このページでは、PSP用ソフト『コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー』と、その3DS移植版について記述しています。



コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー

【こーぷすぱーてぃー ぶらっどかばー りぴーてぃっどふぃあー】

ジャンル 廃校監禁ホラーアドベンチャー

対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 5pb.
発売日 2010年8月12日
定価 通常版:6,090円
限定版:8,190円(税込)
レーティング CERO:D(17才以上対象)
配信 2012年1月19日/3,990円(税込)
判定 なし
ポイント ドットだからこその凄惨さ
決して救われない主要人物たち
コープスパーティーシリーズ

概要

「チームグリグリ」がパソコン向けに発表した同人ホラーアドベンチャーゲーム『コープスパーティー BloodCovered』の家庭用移植版。
移植元は1996年に発表されたRPGツクール製のゲームをリメイクしたものである(詳細は余談を参照)。
パソコンゲーム時代から非常にグロテスクかつ猟奇的な表現が含まれていることで有名な作品であり、CS機への移植は絶対不可能と言われていた。

しかし、いざ移植実現を達成した本作の蓋を開けてみれば、色々な意味でとんでもない代物であった。


ストーリー

舞台は現代の如月学園高等部。ここに通っている主人公・持田哲志たち仲良しグループは文化祭の後片付けに追われつつ、
オカルトや占いが好きな委員長・篠崎あゆみの怪談話で盛り上がっていた。
そこにクラスの副担任・宍戸結衣や哲志の妹・由香も加わり、話に花が咲く。
そしてこの日は、他の学校へ転校してしまうクラスメイト・鈴本繭にとっての最後の登校日であった。
そこであゆみは、「みんながずっと一緒に仲良しでいられるように」と「幸せのサチコさん」のおまじないをやりたいと提案する。
その場にいた全員が快諾し、あゆみを含めた9人で「幸せのサチコさん」を実行する。

ところがおまじないを行ったその直後に謎の地震が起こり、ある事件がきっかけで1975年に廃校となり、
取り壊されたはずの呪われた学校「天神小学校」の校舎に飛ばされ、閉じ込められてしまう。
哲志たちは仲間と協力して脱出を試みる。

それが血と恐怖にまみれた惨劇に繫がっていくことになるとも知らずに……。


評価点

  • 原作からさらにパワーアップした演出。
    • 原作であるPC版『BC』は、元祖とも呼べるRPGツクール製初代『コープスパーティー*1』の雰囲気を色濃く受け継いだドット絵主体のゲーム構成ながら、「薄暗く荒廃した不気味な廃校」という舞台を見事に表現し、至る所に散りばめられた猟奇要素と相まって独特の恐怖感を生み出していた。
      本作ではシリーズの特徴であるドット絵による表現を活かしながらも、コンシューマ用に更なる改良が加えられている。
      • イベントスチルなどのビジュアルシーンが数多く追加されたことで、臨場感を引き立てている。
      • 立ち絵のイラストも描き直され、表情差分やポーズ差分も大幅に増えている。
        PC版では、当初はシナリオ担当者が作画も兼任しており、その頃サブメンバーだった人物が途中から作画その他の担当として正式加入したという経緯のため、キャラクターデザイン・作画を行った時期によって若干絵柄のバラつきがあった。
        本作ではPC版のキャラクターデザインはそのまま引き継ぎつつも、細部のブラッシュアップ・絵柄の統一が行われ、全体的にクオリティがアップした。
      • 背景や小物等のドット絵も、本作用に新たに描き起こされた。
        PC版で「次元の歪みによって隔絶された複数の『天神小学校』が重なり合う『多重閉鎖空間』」という環境を現す演出として使われていた、「基本構造は同一でありながら次元ごとに床板などの色調が異なる校舎」などの要素はしっかりと引き継ぎつつ、PC版と比べて廃校の朽ちた床・傷んだ壁などの表現が更に細かくなっており、リアリティを増している。
        人物のドット絵は本作よりもドットの密度が低いPC版と共通(本作で新規作成された分も規格は同一)であるため、背景と馴染ませるための処理によって僅かにぼやけたようになっているものの、PC版と比べて違和感を覚えるほどではない。
    • PC版は全5章構成のうちChapter3までパートボイス方式であったが、今作では全Chapter通してフルボイス化されている。
      • CVキャストは、プロ・アマ問わずに公募で選ばれていたPC版からプロの声優のみに一新*2されており、人選も大谷育江氏や大塚明夫氏など非常に豪華。彼らの迫真の演技で感情移入度が増している。
      • ちなみに、本作で主要人物の1人である刻命裕也を演じた杉田智和氏は、本シリーズについてツクール版の頃からのファンであったことを公言しており、PC版にもゲスト出演の形で参加している。
      • 一部のセリフにはダミーヘッドマイク*3を使用したバイノーラル録音を行っているため、ヘッドホン着用でのプレイを推奨しており、これが恐怖感を倍増させている。
        声があっちこっちから聞こえる、と言えば分かりやすいだろうか。公式サイトで使用されているワンシーンの音声を視聴出来る。
  • BGMや効果音に不気味なものが多く、無音の時も多いが、言い換ええれば作品の雰囲気によく合っている。
    • 最終章ではこれまでと一転し明るい曲(前述のツクール版で使われたBGMのアレンジ)が探索中の基本BGMとなり、ここまで話を進めたプレイヤーが最後までクリアするためのやる気を奮い立たせてくれる。
    • 篠崎あゆみ役の今井麻美氏が歌うオープニングテーマ「シャングリラ」も好評。曲調・歌詞共に本作のイメージにピッタリなため、1度本作をクリアしてからフルバージョンを聴いて欲しい。
      また、エンディングテーマである「Confutatisの祈り」と挿入歌の「闇に濡れたCatastrophe」は、今井氏と持田由香役の喜多村英梨氏によるユニット・ARTERY VEINが担当しているが、こちらも好評。
      • 特に「闇に濡れたCatastrophe」は、掛かるタイミングと歌詞がそのシーンに非常に良く合っている。
        ちなみに、「闇に濡れたCatastrophe」はシングルに収録されず、本作限定版の特典CDでしかフルバージョンを聴けない状況が長らく続いていたが、2012年にARTERY VEINの1stアルバムが発売された際、ようやく収録されることとなった。
  • ここまで書いたら分かると思うが、公式にも謳っている通り「サウンド」には相当な力が入っている。
    • その力の入ったサウンド演出が、本作の特徴であり人を選ぶ点でもある鬱&猟奇要素を更にパワーアップさせているのだが、それについては後述する。

賛否両論点

情け容赦のない鬱&猟奇要素
本作は廃校を舞台にしたホラーアドベンチャーであるが、肝試しレベルの生易しいものではない。
猟奇的でグロテスクなシーンが非常に多く、その凄惨な描写はDead Space』のような海外のホラー作品を思わせるほどである。
携帯アプリ版のキャッチフレーズである「10年*4経ってもこいつは凶悪(エログロ)だ。」は、本シリーズの特徴をよく表している。

  • 舞台となる「天神小学校」の校舎には、閉じ込められ無念の死を遂げた人間たちの死体がゴロゴロと転がっている。
    白骨死体・腐乱死体・溺死体・内臓が飛び散った粉砕死体・亡くなったばかりの死体・生首だけの死体など、その数は有に100人を超える上に、どの死体も非常に無惨な死に方をしている。
    • そんな天神小学校を彷徨うこととなったキャラクターたちを操作するプレイヤーは、直訳で死体の宴を意味するゲームタイトルの通り、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図をこれでもかという程に見せ付けられることになる。
      • 死体を調べると名札が収集できる。名札を収集するとオプションモードでそのキャラクターの死因と享年が分かるようになるが、あまり気持ちの良いものではない。
        しかもその名前の半数以上は、PC版の公式HPで「天神小監禁ツアー」と題し、ファンから「作中で登場させて欲しい犠牲者の名前」として公募したものである。
        応募した名前が作品内でどういう扱いを受けるのか明白とはいえ、自分が普段使っているハンドルネームで応募した人間が多数いるにもかかわらず一切容赦のない虐殺ぶりである(応募者側からすればその容赦のなさが魅力的とも言えるが)*5
        公募された名前の一部は立ち絵やボイス付きの一部のキャラクターの名前としても採用されているのだが、立ち絵やボイスがあることによりむしろ余計酷い目に遭わされている。
      • 仲間以外の生存者は滅多におらず、稀に見つけてもほぼ全員が恐怖のあまり気が触れて狂っており、ほとんど会話にならない
        ほんの一握りだけまともな会話の出来る人に会ったりもするが、その人物も実は平常を装っていて気が触れていたりと異常な人ばかり。
      • 学校内の至る場所が血塗られていたり、効果音にハエの羽音が入っていたりと凄惨であり、それを見たヒロインが激しく嘔吐する描写が多い。
        その時の効果音もあまりにリアルなため、人によっては気分を悪くする可能性大。
      • 何かを調べた際のメッセージも常軌を逸しており、「死体が強烈な腐臭を放っている」「バケツに蛆が湧いている」「棚に長い髪の毛が詰め込まれている」といった明らかに異常な内容をですます調で淡々と説明するという形式になっているため、こちらも人によっては気分を悪くする可能性がある。
      • キャスト陣の迫真の演技が、こういった陰惨なグロ描写をさらに強烈にしている。悲鳴や生々しい苦痛の声などは、思わず耳を塞ぎたくなってしまうほど。
    • 前述のように、PC版及び本作はツクール製である初代『コープスパーティー』のイメージを踏襲しており、死体も操作する人物も皆ドット絵である。
      が、それ故に色んな意味で容赦がないため、ドットだからと馬鹿にしていると後悔することになるプレイヤーもいるだろう。
      もっとも、ソフコン作品の頃からドットとはいえ容赦はなかったのだが*6
      • 後述するWrong End(いわゆるバッドエンド)を始めとした悲惨かつ猟奇的な描写の数々も、ドット絵だからこそ過激な描写をほぼそのままにコンシューマ移植することが許されたとも言えるだろう。
        一部のバッドエンドについては移植の際に規制を受けるどころかイベントスチルまで追加されているが、スチルの方はアングルを工夫して損壊部位がなるべく見えないようにするなど、ドット絵に比べるとかなり描写がマイルドにされている。
    • イベントスチルなどのビジュアルシーンもほとんどが狂っていたり死に関係する気味の悪いビジュアルばかり。
      一部のビジュアルシーンではヒロインや少女のパンチラが複数あるが、ゲームの内容が内容なだけに色気はまったく感じられない。
  • 公式にChapter4以降のネタバレが厳しく禁止されている為該当する部分については記述を避けるが*7、仲間の中には必ず死ぬキャラクターがいるため全員揃っての脱出は絶対に不可能*8
    しかも、その死に方は全員凄惨極まる死に方で浮かばれないものばかり。
    • 本作は発売1ヶ月ほど前から、PlayStationStoreにてChapter1を丸ごと遊べる体験版が無料で配信されていたのだが、Chapter1のエンディングの時点で仲間の1人が命を落とすという急展開のため、匿名掲示板では体験版をプレイした人々から他のルートがないのかを確かめる質問が殺到。
      あまりに似た質問が多かったため、スレッドのテンプレートや攻略WikiのQ&Aに「Q:○○○は助けられないの? A:無理」という一文が追加されたほどだった。
    • Chapter2では仲間の1人が暴走した霊によって壁に叩き付けられ、原型すら留めない肉塊と化すという壮絶な最期を迎える*9
    • Wrong Endも救いがない上に惨いものがほとんど。特にChapter2にはカニバリズムを扱ったWrong Endがあり、前述の肉塊化と併せてプレイヤーにトラウマを植え付けた。
    • 幾多のWrong Endを潜り抜けてようやく辿り着けるTrue Endですら、生還したキャラクター(とプレイヤー)の心に追い打ちを掛けるかのような描写がある。
      • そのあまりに救いのない悲惨な展開は、シナリオ担当の祁答院(けどういん)慎氏*10が、ファンや関係者から揶揄混じりに「外道院」と呼ばれるようになったほどである。
      • 杉田氏がメインパーソナリティを務める「ぶるらじ(パーソナリティの会話に合わせたイラスト動画を付けて配信された『BLAZBLUE』シリーズの公式ラジオ)」では、両シリーズに共通する出演者が多い関係で杉田氏が祁答院氏の名前を出すことも何度かあり、同氏を描いたイラストも登場したのだが、その姿は「顔部分に『丸に中に(「祁」ではなく)「外」という字』が描かれた真っ黒な人影」というものであるなど、この愛称(?)は広範囲にすっかり定着してしまった。

問題点

原作と共通の問題点

  • デモシーンを飛ばせない。
    • 周回プレイ前提でバッドエンド(Wrong End)を回収する要素があるにもかかわらず、既読スキップなどの機能が全くない。
      • この仕様に対してはよほど不満の声があったのか、本作発売後に発表されたPC版のChapter5(最終章)を収録したディスクでは既読スキップが搭載された。
    • やり方によっては詰むことがあるが、その際も詰んだことに気付かないため何度も飛ばせないデモシーンを見る羽目に。
      • ホラーゲームという性質上、何度も同じシーンを見せられると恐怖感より煩わしさが勝ってしまう。
  • 唐突なアクション要素。幽霊との鬼ごっこなどが途中でいきなり挟まれ、しかもそのほとんどは1回でも接触してしまったら即Wrong End。
    狭い場所で的確に追手となる幽霊を避けなければいけない箇所がいくつかある上、PC版と比べると若干操作性が悪くなっていることもあり、初見のプレイヤーがスムーズに先へ進むのはかなり難しい。
    • 更に、大抵の場合は飛ばせない長いイベントシーンを見た後にセーブができないまま鬼ごっこ開始という流れのため、下手すると1回失敗するごとに10分近く無駄になってしまう。
      • 校舎の各所にある蝋燭がセーブポイントになっており、基本的にセーブポイントでしかセーブできない。
        一応中断セーブ機能も搭載されているのだが、ロードすると中断データが消える仕様のためそれほど頼りにはならない。
    • 救済措置としてか、Chapter2とChapter3には1度だけゲームオーバーを回避してくれるアイテムが存在しているが、特にChapter2は難度が高い箇所が2回あるため、必ず1度は自力で突破しないといけない。
      ただし、追いかけてくる幽霊の動きにはきちんと法則があるため、何度かやれば慣れるようにはなっている。
  • 「天神小学校からの脱出」を主軸としたシナリオは一応完結しているものの、本作発売時には移植元であるPC版『BC』がまだ製作途中で完結していなかったためか、伏線とも取れる描写を残した状態でエンディングを迎えるようになってしまっている。
    • シナリオ担当の祁答院氏が続編の構想をしたためだと思われる。ちなみに、本作発売後にはPC版も最終章であるChapter5のを開発中であることが明言されていた。
    • その後、PC版のChapter5は2011年の3月28日に発売することがチームグリグリのメンバーのTwitterで発表された。
      どちらも偶然のタイミングとのことだが、その情報が発表された12月22日は『BC』漫画版の5巻とツクール版漫画の1巻、更に『BC』漫画版の最新話が掲載されているガンガンjokerの発売日な上、主要人物の1人である篠原世以子の誕生日でもあった。
      • なお、PC版のChapter5は開発の遅れで発売が延期され、2011年7月28日に発売された(True Endの内容については本作と同一である)。
  • 主人公である持田哲志の扱いがあまりよくない。
    • 主人公であるにもかかわらずメインの操作キャラクターとなるのはChapter4からであり*11、その前のChapter2で篠崎あゆみや岸沼良樹の存在感が主人公並みに高まっていることもあってかそれと比較して存在感を食われた形となってしまった。
      • なお悪いことにChapter3より登場する存在感の強い刻命裕也を始めとした白檀高等学校の生徒たちに出番を食われてしまったこともこのことに拍車をかけてしまった。
      • さらにPC版においてはChapter1・2からChapter4発売までの間が1年半近くかかっていたこともあってそれまで登場済みのキャラクターになおのこと存在感を食われやすいという悪循環に陥ることとなっていた。
      • その上本作は前述の通りネタバレ防止策としてChapter4以降のネタバレを禁止しているため、よりにもよって哲志が本格的に活躍できるChapter4以降は配信による知名度向上が図れないという事態に。ネタバレ防止としては妥当ではあるものの、この点でも他のキャラクターに比べて割を食う形となってしまった。
    • 以上のことが積み重なった結果、哲志はシナリオ全体での存在感を十二分に発揮しきれず*12、次回作以降では主人公をあゆみや良樹に奪われてしまうこととなり、それによる不遇待遇が以降の作品展開にも伝播していく羽目に。
      • CVを担当した下野紘氏もラジオ配信にて 「俺…主人公じゃないやん?」 とこぼすほど。
    • なお、『BC』漫画版においては雑誌連載という都合上如月学園の関係者に話を絞っていたこともあって物語が綺麗に整理されており*13、哲志が主軸となる話の展開になるのはゲーム版同様遅めながらも活躍の度合いはゲーム版に比べ大きく改善され、主人公としての存在感は十分に取り戻せている。
  • エンディングのコンプリートがやや面倒
    • ChapterごとにTrue End及びWrong Endの数が星形のアイコンで示され、既に見たエンディングのアイコンは色が変わるのだが、Wrong Endの条件についてのヒントは全くない。
      • 一応、アイコンの順番とWrong Endを迎えた際に表示されるエンディングナンバー*14から、「大体どの辺りでWrong Endへの分岐が発生するか」を推測することは可能だが、細かい条件を絞り込むには試行錯誤を繰り返すしかない。
      • さらに、本作はPC版に比べてセーブ・ロードのテンポが悪くなっているため(後述)、攻略情報に頼らずエンディングをコンプリートするにはかなりの根気が必要となる。

本作で新たに発生した問題点

  • データ読み込みの多さと長さ。
    • 部屋に入ったり出たりするごとに頻繁にディスクの読み込みがあるため、PC版に比べるとゲームの進行テンポがかなり悪くなっている。
      本作はPC版に合わせ、暗転や「Now Loading」の表示といったロード中の演出はないのだが、その代わりに部屋を出入りした直後に数秒間、ロード待ちで操作キャラクターが操作不能状態になってしまう。
      また、Chapterごとにセーブ数が多くなるほどデータの読み込みに時間がかかるため、セーブ時やロード時はイライラすることがある。
      • Chapter5のとある場所には、障害物の隙間を正しいルートで進まないと落とし穴に落ちて最初の地点に戻されるというトラップが登場するのだが、正解のルートが少々複雑な上、本作では1回落ちる度に5秒以上のロードが入ってしまうため、かなりのストレスを感じる。
      • 1つのChapterで作成可能なセーブデータの数がPC版の3つから5つに増えているのだが、このテンポの悪さのせいでWrong End回収の手間はそれほど変わらなくなってしまっている。
      • 後日発売されたファンブックでは、プロデューサーの野村氏がロード時間の長さやバックログの未搭載に関して「システム的な作り込みに関してはお詫びしかない」と謝罪している。
  • せっかくPC版にはないビジュアルシーンが多数追加されたのだが、鑑賞モードに当たるものが一切ない。上記の通りグロいシーンばかりなのであまり見たいと思う人は少ないと思われるが…。
    • 後述する次回作のファンブックでは、今作にCG鑑賞モードがないことについてシナリオ担当の祁答院氏自ら「付けてもグロ画像鑑賞モードになっちゃうし(と思って搭載を見送った)」とコメントしている。そりゃそうだ。
      • ただし、続編でクリアデータを読み込むことで本作のCGを鑑賞することが可能になる。画像としてメモステへの出力も可能。壁紙にして周囲を引かせるのもまた一興。

総評

デモを飛ばせなかったりセーブ・ロードが長いなどインターフェイス面の悪さは目立つものの、PC版の『BC』から演出・音楽などが格段に強化されている。
さらに、当時携帯アプリ・PC版では未発表だった最終章Chapter5や、PC版にはない追加のEXTRA Chapter(天神小監禁前の日常を描いたミニストーリー)が収録されているので、未見のプレイヤーは勿論、PC版をプレイしたユーザーでも100%楽しめる内容になっている。
また、PC版のChapter5はロード時間の短さ及び既読スキップ追加によるプレイの快適化や、サブイベント及びWrong Endの追加がある。
その一方、EXTRA Chapterについては今作で追加された分は収録されていないため、PC版Chapter5発売によってその価値が大きく失われたということもない。

一方で、上でも書いた通り、容赦ないグロ描写満載な上に、どう抗っても救いがないシナリオ展開なため、その点は覚悟しておくべきである。
グロ描写が苦手な人、特に「文章や音だけでも状況を頭の中で明確に想像してしまうのでダメ」というタイプの人は絶対にプレイしてはいけない。
一見すると絵柄は漫画タッチの可愛い系だし、ゲームの大半がドット絵なのだから怖くないだろう…と油断していると確実に痛い目に遭う。
「単に血や内臓を見るのが苦手なだけで、文章や音によるグロ描写なら平気」という人ならまだ大丈夫だろう。
だが、PC版はともかく本作ではイベントスチルの追加によって血や内蔵等の表現がリアルになっている部分が数箇所あるためどちらにしろ注意が必要である。

以上のように決して万人向けの作品ではなく賛否分かれる作風であるが、グロ描写が含まれたホラー映像作品が好きという人であるならば、本作の残虐に塗れたホラー世界を存分に味わえるだろう。
ただし、何度も言うようだが本当に情け容赦がない内容なので、その点だけは念頭に置いておくように。


余談

  • 『コープスパーティー』というゲームが初めて作られたのは1996年のことであり、本作の移植元である『BloodCovered』はそのリメイクの移植版に当たる。
    • 『コープスパーティー(初代)*15』はPC98用の『RPGツクールDante98』で製作され、アスキーのソフトウェアコンテスト(ソフコン)で最優秀賞を受賞したゲームであった*16*17
      • そのツクール版『コープスパーティー』を原作として、2007年に設定や登場人物に大幅な追加・変更を加えてリメイクした携帯アプリ版『コープスパーティー NewChapter』が発表、さらにその携帯アプリ版をイベント追加やグラフィック向上などバージョンアップしたPC版『コープスパーティー BloodCovered』が発売された。
      • なお、本作の移植元である『BloodCovered』は漫画化やドラマCD化などのメディア化もされており、その流れで後述のように初代であるツクール版もアレンジを加えた上で漫画化されている。
    • さらなる余談として『コープスパーティー』ファンの有志が製作した二次創作フリーソフトの『コープスパーティーZERO』(『RPGツクールXP』にて製作)という作品もある。
      • 携帯アプリ版登場前に製作された作品であるため、内容はツクール版の前日譚となっており、本作やPC版『BC』を含めたリメイクシリーズとの直接的な繋がりはないが、この作品に登場する人物の名前は本作にも犠牲者名として登場している*18
    • なお、本作品はかつてファミコンで発売された名作ホラーゲーム『スウィートホーム』の作風の影響を受けている。一部で使用される「板」や画面構成などはおそらくその影響であろう。
  • リメイクにあたって舞台となる廃校は小学校に変更されているものの、実のところリメイク版開発当初は小学校ではなかった。
    • 舞台を小学校に変更した原因は、携帯版を開発の際にキャラ担当と背景担当が別ラインで動いており、実際にゲーム画面を出した時にキャラに対して机が小さかったために小学校のように見えたためたとか…。
  • 本作及びPC版には、漫画『おたくの娘さん』の主人公である雪村叶*19がゲスト出演しているが、なんと白骨死体で登場する。
    • また、漫画版『コープスパーティーブラッドカバー』の作者である篠宮トシミ氏や本作のスタッフも同様にゲスト出演しているが、やはり死体役としての登場である。スタッフはともかく、他のゲスト出演キャラにも容赦はなかった。
  • あまりに内容が残酷なゲームのため、店によっては取り扱わない所もあったそうである。
    • また、それを見越して生産数を絞っていたのか、通常版、限定版共に1ヶ月近く売り切れ状態となる店が続出していた。
  • 先発であったはずの携帯アプリ版の発表がChapter4でストップしたまま、何の説明もなく本作及びPC版のChapter5発売が先に発表された*20ことなど、本作に纏わる原作製作者の対応については批判の声も多い。
    本作を広報のために有名実況者を喋らせながらプレイさせたが、一部の実況者ブログを覗くと別タイトルのコープスシリーズをプレイしていない実況者にやらせたことが分かる内容であったことが判明しており非難の声が上がった。
  • 前述のように、PlayStationStoreにてChapter1を丸ごと遊べる体験版が無料で配信されていたが、現在は配信停止されている。
    • その代わり、2012年1月19日にダウンロード版が販売されている。価格は3,990円。
      • こちらはUMDメディアの読み込みを必要としないため、UMD版のネックであった読み込み時間が短縮されており、多少ながら製品版よりかは快適にプレイできる。
  • 『コミックアライブ』にて連載された初代版の漫画『コープスパーティー;娘*21もファンの間では有名。エロ要素は語り草。
    • ヒロインが無数の怨霊にレイプされるなど別の意味で過激な内容だがこちらも一般向けである。
      • もうお分かりだろうがこちらも救われない話となっている。単行本化されてるので気になる方は是非。

その後の展開

  • 2011年9月1日に続編に当たる『コープスパーティー Book of Shadows』がPSPにて発売された。
    ストーリーは、プロローグと最終章が今作のTrue Endの続き、その他の章は過去のエピソードを除いて今作のWrong Endの1つからの続きになっている。
    ゲームシステムも一新されており、テキストアドベンチャースタイルとなった。
    • これ以降、天神小学校を舞台とした「天神小学校シリーズ」は、コンシューマゲームとして継続されていくこととなる。
  • 2013年よりPC版『BC』を制作した「チームグリグリ」スタッフによる同人レーベル「グラインドハウス」から、「天神小学校シリーズ」完結後の世界を舞台としたPCゲーム『コープスパーティー2 DEAD PATIENT』が発表されている。
    • マップやキャラクターは3D化されており、マップ等のテクスチャーにドット絵を使用することで『コープスパーティー』らしい雰囲気を残しつつ、大幅に演出を強化している。

コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー(3DS版)

【こーぷすぱーてぃー ぶらっどかばー りぴーてぃっどふぃあー】

ジャンル 廃校監禁ホラーアドベンチャー

対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 5pb.
発売日 2015年7月30日
定価 通常版/DL版:5,800円
限定版:7,800円(共に税別)
レーティング CERO:D(17才以上対象)
判定 なし
ポイント ドットがほぼ一新
コープスパーティーシリーズ

概要(3DS)

上記『BR』の3DS移植版。2015年8月に実写映画版が公開されたのに合わせて移植された。


評価点(3DS)

  • ほぼ一新された人物ドット。
    • PSP版ではPC版の流用だった人物のドット絵が、死体など一部のものを除いてPSP版の背景に合わせたものへと描き直された。
      • 解像度が上がったため、表情などの表現が更に細かくなっている。
        その分、流用のまま残されたドット絵との差異が際立つ結果ともなってしまっているが、全体的に見て演出面の強化に繋がっている。
      • あゆみの場合、コンシューマ化に際して髪色の設定がPC版の焦茶色から漫画版のカラーイラストと同じ青っぽい黒に変更されていたため、PSP版ではドット絵と立ち絵で髪色が異なっていたが、新規ドット絵によってその食い違いも解消された。
  • インターフェイスの快適化と更なる演出の強化。
    • 部屋に出入りするたびに発生するロード待ちといったロード時間の長さに関する問題はほぼ解消され、かなり快適にプレイできるようになった。
      また、メッセージスキップの機能も搭載されたため、Wrong Endの回収はかなり楽になっている。
      • PSP版の時点で「とあるイベントを起こさなければWrong Endということが分かりにくく、なかなかクリアできなかった」という意見があったChapter1については、ヒントとなる張り紙が追加されており、PSP版と比べると詰まりにくくなっている。
      • バックログ機能も搭載され、PSP版でインターフェイス面での不満点として挙げられた部分は大幅に改善された。
    • 演出面では、イベントスチルが3DSの立体視に対応しており、文字が動いたりといった演出も追加されて更に不気味さを増している。
      • BGMについても、既存曲にアレンジが加わったり、新規曲が追加されている。

問題点(3DS)

  • ボイス新録一切なしの追加イベント。
    • 本作には、PC版Chapter5で追加されたイベントの逆輸入や新規Wrong Endなども追加されている。
      しかし、そういった追加イベントには、PSP版の時点で没になったと思われる1つのイベントを除き、一切ボイスが収録されていない。
      • 前述のように本作ではキャスト陣の迫真の演技も魅力の1つとなっているため、この仕様についてはがっかりしたという声も多い。
    • また、追加要素自体も細かなヒントの追加や表現の変更を除けばWrong Endが2つ、EXTRA Chapterが2つ*22、イベントが1つであり、PSP版発売から約5年後の移植としては目新しさに欠けるという意見もある。
      • PC版はボイスデータなどにロックがかかっておらず、Chapter5に没となったイベントやWrong Endが多数あったことが早くから確認されていたため、そういった没要素の復活がほとんどなかったことも不満意見が多数出た一因となっている。

総評(3DS)

追加要素は豊富とは言えないが、強化された演出やインターフェイスの快適化など、PSP版から劣化した部分は一切ない。
PSP版を既にプレイしているのであれば無理をして買うほどではないが、PSP版を未プレイで3DSを持っている。
今からこのシリーズをプレイするという場合は、PSP版ではなくこちらがお勧めだと言えるだろう。


その後の展開(3DS)

  • 2021年2月18日にPS4/Switchで完全版がダウンロード専売でリリースされた。
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最終更新:2023年12月28日 01:39

*1 こちらはコンシューマ移植されていないが、新キャラを加えたコミカライズ『コープスパーティ;娘』が世に出ている。掲載誌の色故か、ある意味そっちの内容の方が本作より危険だったり…。

*2 基本的には2009年に発売されたドラマCD版と同一キャストで、一部キャストのみ変更されている。

*3 頭部だけのマネキンにマイクを仕込んだような形の録音装置。声優がこのマイクの周囲を実際に動いたり、シチュエーションに合わせた立ち位置に立って演技することで、非常に臨場感のある音声を収録することができる。

*4 初代『コープスパーティー』の発表が携帯アプリ版発表の約10年前であったことから。

*5 このあたりは媒体を問わず他の人気ホラー作品でもよくある話ではある。

*6 ただし、殺害される瞬間をドット絵で描写するようなことは一切していない。「今まさに死にかけ→暗転→死体となっている」という感じである。というかそんなとこまで事細かく描写していたらドット絵とはいえ確実に発禁となっていただろう。

*7 ただし2020年8月8日より声付きの実況配信に限りChapetr4以降のネタバレは解禁されている状態。

*8 ただし、元祖のツクール版では全員脱出のグッドエンドも存在していた。

*9 PC版のドット絵の場合、殺害直後の時点では下半身の大部分が原型を留めているように描かれているのだが、中途半端に原型を留めている部分が逆に不適切と判断されたためか、本作では全く原型が分からないただの肉塊に修正されている。また、肉塊の中で心臓らしき部分が一瞬動くモーションも削除されている。

*10 なじみのない苗字であるがゆえにペンネームと誤解されやすいが本名である。

*11 正確にはChapter3から持田由香とともに操作キャラクターとして出番はあるのだが、序盤ですぐに別々の空間に飛ばされてしまいその後は由香メインでの行動となるため、この時点では存在感がほとんど発揮できないことに。

*12 一応フォローすると本格的に登場してからの存在感は確かなものとして描かれており、みんなをまとめる主人公としての役割は十分に果たしてはいる。

*13 『BC』漫画版においては白檀高等学校の関係者については刻命裕也、黒崎健介、刻命春奈と必要最低限の人物に絞っている。

*14 基本的に、各ChapterごとにWrong Endへの分岐発生が早い順に番号が降られている。例えば、4個中1個目なら「1/4」と表示される。

*15 制作チームの名義は「KENIX SOFT」となっているが、主なメンバーの構成は「チームグリグリ」とほぼ同じである。

*16 なお、現在でもソフコンホームページ上で初代のダウンロードが可能。ただし遊ぶ場合は別途Windows上でDante98ソフトを動作させるソフトを導入する必要がある。また、そのままでは一部のエンディングが見られないバグが存在するため、有志が制作したパッチを当てる必要がある。

*17 また、本シリーズファンが「チームグリグリ」に許可を取り、初代『コープスパーティー』を『RPGツクールXP』にて再現した、『コープスパーティーrebuilded』という作品もある。こちらは多少のアレンジがあるものの、ほぼ忠実に原作を再現している。

*18 スタッフ同士の打ち合わせに使われていた掲示板を読まない限り知ることのできない、企画段階で没となり完成版には登場しなかった人物の名前まで登場している。また、ツクール版のコミカライズにも『ZERO』の主人公姉妹が登場しているなど、半公式の扱いを受けている。

*19 小説版である『おたくの娘さん小説集』で彼女が『コープスパーティー』をプレイしている描写があるため、そのタイアップである。

*20 PC版Chapter5発売後もフォローはなく、実質的に打ち切り状態となっている。

*21 区切り文字はセミコロン。コロンではない。

*22 初回生産分限定特典コードでダウンロードできるものを含めれば3つ。