メトロイド フュージョン

【めとろいど ふゅーじょん】

ジャンル アクション
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売・開発元 任天堂
発売日 2003年2月14日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個(FRAM)
レーティング CERO:全年齢(全年齢対象)
配信 【3DS】アンバサダー・プログラム
【WiiU】バーチャルコンソール
2014年4月30日/702円(税8%込)
判定 なし
ポイント 『スーパー』からゲーム性の大幅な変化
箱庭おつかいゲー
後付け設定との微妙な矛盾
アクションゲームとしては良作の部類
シリーズ完結から9年ぶりの続編
メトロイドシリーズリンク


概要

スーパーメトロイド』以来、9年振りに発売されたメトロイドシリーズ第4作。
プレイヤーはバウンティーハンター サムス・アランとなって、銀河連邦管轄の巨大宇宙ステーション「B.S.L(バイオロジック宇宙生物研究所)」を探索する。

また、同時期に発売されたGCソフト『メトロイドプライム』と連動しており、GCの方では本作と連動させることで初代『メトロイド』をプレイできたり、スーツの外見を本作の「フュージョンスーツ」仕様に変更できたりする。


特徴

  • 今回はストーリー進行にともなって移動できるエリアが少しずつ広がっていく。これはかつて『メトロイドII』でも用いられた手法である。
    • ただしひたすら探索してはメトロイドを倒す『メトロイドII』とは異なり、本作では母船「スターシップ」に内蔵されているCPUの指示に従って施設の探索を進めていくことになる。
  • 今作の敵は「X」と呼ばれるアメーバのような不定形寄生生物で、B.S.L内のほぼ全ての生物が「X」が擬態した偽者となっている。
    • 元々『II』の舞台でメトロイドが闊歩していた惑星SR388の原住生物で、これまではなりを潜めていたが天敵であるメトロイドが全滅したことで活動を活発化し、閉鎖環境であるB.S.L内で大量増殖してしまった……という話。
    • サムス自身も「X」によって一度死にかけたが、メトロイドの細胞から作られたワクチンによって一命を取り留め、新たなスーツ「フュージョンスーツ」を身に纏い「X」に立ち向かうこととなる。
    • 宿敵「SA-X」は「X」が擬態した「もう一人のサムス」。サムスに寄生しパワードスーツごと切り離された「X」が擬態したもので、最強状態のサムスと同等の能力を持っており、弱体化しているサムスの攻撃は全く効かないため勝ち目は無い。
      • 攻撃力も非常に高く序盤では下記コンボで即死することさえあるため、遭遇した場合はSA-Xが去るまで身を隠すか、必死になって逃げるしかない(もっとも、こちらから手を出さずに必ず見つかるケースは一度だけだったりするが)。この要素はこれまでにない緊張感があり、BGMなどの演出も相まって恐怖感を煽られると好評。
      • 余談になるがSA-Xは、「サムスをアイスビームで凍らせた後、スーパーミサイルを食らわせる」という従来の作品通りの戦い方をすることがある。
    • 倒したXはボスも含めて本来の姿に戻る。これをサムスが吸収することで体力やミサイルの弾数を回復する事ができるため、実質確実に出現する回復アイテムとして機能している。
    • また、ボスに擬態したXを吸収すると特殊能力を取り戻す事ができる。それを意識してか今作のボスはサムスの特殊能力を意識したものが多い。
      • 例えばアルマジロのような姿で丸まり攻撃を仕掛けてくるボス「マルカラ」からはモーフボール能力を、高速の突進攻撃を繰り出してくるボス「イシュタル」からはスピードブースター能力を獲得できる。
      • その他、バリアスーツを入手するまでは吸収するとダメージを受けてしまう(理由は後述)青いXも存在し、普通のものとは異なり自分からサムスに向かってくるが、バリアスーツ入手後に一度でも吸収すると今度は逃げていくようになる。

評価点

シナリオ面
後述するが、本作はメトロイドシリーズのキモである「探索の自由度」が減少している。その代わりにシナリオに重点が置かれており、その評価はシリーズでも一二を争う程高い。

  • 何故か惑星SR388の自然環境を再現している人工的なセクターの存在(この存在理由はちゃんと作中で明らかになる)、銀河連邦の怪しげな行動など、ほどよく謎や伏線をちりばめながらゲームが進行していく。
    • 中でも最終ミッション発令は、道中での伏線とうまく合わさりプレイヤーの気持ちを盛り上げてくれる、メトロイドシリーズ中でも屈指の名シーンである。
    • これに合わせてシリーズで初めてキャラクター同士の会話シーンやサムスの独白が導入され、話の面でも大幅にパワーアップした。
      • これにより過去作のようなただクリーチャーを倒していくというシナリオから脱却し、どう攻略すれば先に進めるのかも分かりやすくなった。
  • ストーリー進行は一本道だが、それは裏を返せば迷子になりにくいという事でもある。
    • 「次に何をすればいいか分かりやすい」というのはシリーズ未経験者にとってはありがたい。前作から9年も経っているため、「新規プレイヤーのためのメトロイド入門ソフト」と考えれば、一本道のストーリーは一概に欠点とは言い切れない。
  • 前作『スーパー』で生死不明だったエテコーン&ダチョラ(身振りで隠しアクションを教えてくれた生物達)および過去作で登場したクリーチャーの再登場など、シリーズ経験者へのファンサービスも盛り込まれている。
  • 子供用にテキストを調整した「子供向けモード」を搭載。
    • 低年齢層でも良質のストーリーを楽しめるように配慮されている。

システム面など

  • 操作性が向上。GBAのボタン数に合わせて各種行動が簡略化されてはいるものの、これによってストレスを感じることは皆無。
    • 前作で煩雑だった武器の切り替えは、セレクトボタンで切り替える方式から、Rボタンとの同時押しの有無で切り替える方式に変更され、より素早く変更できるようになった。それに伴い、ミサイル系統の武器は1種に集約されるように再構成されている。
    • 前作で個別のボタンが割り振られていたダッシュは廃止。
    • 上下で別々のボタンが割り振られていた斜め撃ちは、Lボタンと上下キーで撃ちわける方式に変更。
    • 通常ジャンプ中にAボタンを押すと、回転ジャンプ状態になるようになった。
      • 回転ジャンプ中に攻撃すると通常ジャンプ状態になるが、前作では一度通常ジャンプ状態になると着地するまで回転ジャンプできない(スペースジャンプなどが使用できない)仕様だった。
    • 本作のサムスは従来のパワードスーツを切り離し軽量化しているという設定に基づき、「崖や一部の天井に掴まる」アクションが追加された。
  • BGMはGBA初期作ということもあって若干音質が不安定で、前後作とも曲調が違うため好みこそ別れるが、個々の曲のクオリティ自体は高い。
    • 一方SEのクオリティは高く、チャージやジャンプ時の特徴的な音や恐怖感を煽る「SA-X」の足音は今でもプレーヤー間で話題になる程。
  • ドットグラフィックもクリーチャーはもちろん背景、イベントグラフィックに至るまで十分書き込まれている。

やりこみ要素の増加

  • タイムアタックや効率のいいアイテム回収ルートを模索していく楽しさは従来作と全く変わっていない。
  • 難易度も易しめの「EASY」から高難度の「HARD」まで存在し、エンディングのおまけグラフィックが多数用意されているため、やりごたえも十分。
    • クリア後のご褒美画像は「難易度・クリア時間・アイテム回収率・子供向けモードか否か」などの要因により変化し、全13種類と非常に豊富。
      • 若干萌え路線に走ったイラストも存在するが、個々のイラストのクオリティは高い。
    • 恒例の「アイテム回収100%&2時間以内クリア」も存在。しかし、それを上回る難易度の条件が「アイテム回収1%*1クリアである。
      途中で強制的に取らされるミサイルタンク1個以外は何も取得できず、道中では敵におびえつつ走り抜け(攻撃を食らうと1~2発で死ぬ)、ボス撃破時にはプレイヤーの精魂が付き果てること間違いなしという超マゾプレイ。
      • 一応、前述のミサイルタンクを取得しない「アイテム回収率0%クリア」も可能ではあるが、そのミサイルタンクを無視するのはTASでもなければ不可能なほどに操作難易度が高い。

賛否両論点

難易度がやや高め

  • 敵から受けるダメージが高めに設定されており、中盤以降だと一撃で100以上受ける事も多々ある。HARDモードでは更に高くなる。
    • ただし、エネルギータンクの数は多く、前述の通り全ての敵は倒すと必ず回復アイテムとなるためその代償とも言える。回復スポットが各所に設置されていたり、ボス前にはEN数百、ミサイル数十発という大回復を行うXが必ず出現するなど、バランス面は考えられている。
  • 壁となるボス敵が増加。
    • 中でも中盤以降に登場するゲドゥやナイトメアはかなりの強敵で、アクションゲームが苦手な人は難易度Normalでも苦しめられる。これが難易度Hardになると敵の攻撃力上昇およびエネルギータンクの体力上昇値半減、サムスのミサイル所持数低下による火力減によりさらに手ごわくなる。さらに1%回収クリア時にはアクションゲームが得意な人でも数十回のリトライを強いられる死闘と化すことも珍しくない。

ストーリー面での矛盾・後付け設定の増加

  • サムスに過去に慕った上司がいた事、Xという危険生物がおりその天敵がメトロイドだった事、ベビーメトロイドの細胞が保管されていた事、これらの大半は『スーパーメトロイド』後に作られた後付け設定である。
    • ただし、そのおかげで完結するはずだった本シリーズが続くようになったのだが。
  • 本作でのサムスはメトロイドワクチンによって、「冷気に弱い」というメトロイドの弱点も受け継いでしまった、という設定があり、この設定の下「低温の青いXを吸収するとダメージを受ける」という展開や「最後に登場するオメガメトロイドにアイスビームしか効かない」という描写がある。
    • しかしスーパーメトロイドの攻略本で明かされていた設定では、アイスビームとは「撃った対象の時空間を凍結させる」というとんでもない仕組みのビームで、冷気で凍っているように見えるのはその副作用、という訳である。もっとも、この設定は上記の攻略本でしか書かれておらず、ゲーム中及び取扱説明書などでは一切触れられていないので、はっきりとした仕組みは断定できない。
      • この作品以降「アイスビーム」はその名の通り冷気によって凍結させる武器、そして「メトロイドは冷気に弱い」と設定された。同時期に発売されたプライムでも、低温化でメトロイドの機能が低下することがログブックで触れられている。
      • なおゲスト出演と言う形だが本作以前にこの設定を採用した作品は存在する(余談参照)。
  • サムスの宿敵であり、初代と前作で爆散したはずのリドリーが、何故か原形を保ったまま冷凍保存されている。
    • ディレクターの坂本賀勇氏は、当時「秘密」と答えてその理由を明らかにしなかった。その後2010年発売の『METROID Other M』にてこの設定に補完が入り、後付けとはいえちゃんとした理由付けがなされた。
  • ただし、メトロイド自体シナリオ面を最重要視するゲームというわけではないし、矛盾といってもそこまで大きなものでもない。むしろ「後付けの割には上手くまとまっている」と褒めるべきかもしれない。
    また、完結した作品に再び続編が出る以上、それまでの設定に新たな設定が加わったり変更点が出ることは避けられない事である(しかも9年も間が空いている)…というフォローを付け加えておく。
    • 同時期に発売された『メトロイドプライム』は従来のアクションゲームはなくFPSであり、「売れないのではないか」「ユーザー離れを引き起こすのではないか」と危惧されていた。これにより、『スーパー』でストーリーが完結していたにもかかわらず急遽従来通りのアクションである本作が製作される事になった。そのために後付け設定と矛盾が発生したと思われる。
  • フュージョンスーツのデザイン。
    • 設定により外観が大幅に変化してしまったスーツだが、従来の機械的なデザインから、生物的なデザインに変更され人を選ぶ。

問題点

探索の自由度およびシステムでできることの減少

  • B.S.Lにはナビゲーションルームが各セクターに設置されているのだが、大抵はセクター探索前に必ずナビゲーションルームから指令を受けなければならない。
    そのため、ゲームでやる事は「ナビゲーションルームで指令を受ける→指定の場所に行って敵を倒したりアイテムを受け取って指令完了→新たな指令を受ける→……」という流れの繰り返しとなる。
    • また、ストーリー進行に応じて行けるエリアが広がっていくシステムになっているため、探索の自由度はシリーズ中でもメトロイドII同様に最底辺。
    • そしてこれはマップなどと連動しており、フラグを立てないとストーリーを進行できないようになっている(例:装備入手後に破壊されてしまい通れなくなるハッチ、アイスミサイルがないと足場にできない敵など)。
    • 前作は探索の自由度の高さに重点が置かれており、新たなルートの発見やシークエンスブレイク(現在の装備や状況では行けないはずの個所を知識とテクニックで強硬突破する事)も可能であった。そこが好評だっただけに惜しまれた。
  • 前作に存在したチャージコンボ・ボムばら撒き・連続ボムジャンプ・クリスタルフラッシュ、装備のON/OFFといった隠しテクニックも軒並み廃止されている。
    • 一応ストーリー的な理由付けは可能だが「前作で出来たのに出来なくなった」ことに対する不満の声もある。
    • ただし、これらのテクニックは一部を除き実用性の低いものも多いため、ゲームバランスに与える影響は大きくはない。
  • 前作に登場し、隠し通路等の発見に一役買っていた「X-RAYスコープ」が削除されたため、隠しアイテム・通路を発見するのがやや困難になった。
    • パワーボムの回復手段はリチャージルームと赤いXのみ。探索中に残弾が切れた場合はその都度リチャージルームまで戻らなければならない。
    • ちなみに、パワーボムで敵を粉砕すれば、画面内のXをまとめて爆発地点に引き寄せる事ができる。回収の手間が省けて便利なのだが、絶対数が少ない上にアイテムの発見と探索に使うので、武器として使っている余裕はあまりない。

その他

  • 多くのボスの鳴き声が異常にけたたましい。
    • イヤホンでプレイした場合、耳を痛める恐れもあるため要注意。
  • 中盤、必ずSA-Xと鉢合わせする場面が初見殺し。
    • 特徴にもある通り、SA-Xとはまだこちらが敵わない状態ながら必ず一度鉢合わせしてしまう場面が存在するがここが本作トップクラスの初見殺しとなっている。
    • 逃げようにも少し進んだ先は壁に阻まれており、壁はボムで破壊可能だがいきなりSA-Xと鉢合わせした事で慌て、逃げられないと勘違いしてしまい、初見では多くのプレイヤーがこの場面のSA-Xに葬られることとなりやすい。
    • この時点ではSA-Xにビームこそ効かないがアイスミサイルであれば短時間ながら動きを封じることができ、この事を知っていれば格段に逃げやすくなる。
      • スターシップのCPUからもアイスミサイル取得時にその事が説明されているのだが、この場面はそれからかなり物語が進行しているので、SA-Xと鉢合わせした混乱も相まってアイスミサイルの使用を忘れてしまいがちである。
  • しかし最終盤で直接対決した際のSA-Xは非常に弱い。
    • 「フルパワー状態のサムスと同等の能力を持っている」という設定の割に、ビームとスクリューアタックしか使ってこない。アルゴリズムも単純であり、ノーダメージで勝つのも難しくはない。
    • ある程度ダメージを与えると第二形態になるが更に弱く、大ジャンプして踏みつけてくるだけ。

総評

「メトロイドシリーズとして見れば」賛否両論に分かれた作品。
本作が批判される理由は、やはり前作と大きく異なったゲーム性、特に探索要素の激減が原因であろう。
本シリーズはアクションやストーリーよりも探索の自由度の高さに重点が置かれており、それが最大の魅力であり長所でもあった。しかし、本作はストーリー性を追求した結果ゲーム進行がほぼ一本道で自由度がなくなり、メトロイド最大の特色である探索要素が薄れてしまったのである。
また、公式・非公式問わず存在する豊富なテクニックの削除もシリーズファンにとっては不満点となった。

とはいえ、操作性は良好でバグもほとんどなく、周回プレイ前提ならかなり楽しめる造りとなっている。好みの問題はあれどストーリーやグラフィック、BGMのクオリティも高く、前作発売から9年という長いブランクを全く感じさせない完成度の高さである。
アクションゲームとしては十分及第点の出来であり、名作・良作として挙げられても決しておかしくない作品である。


余談

  • 本作は日本で開発されたにもかかわらず、なぜか北米での発売の方が早い、という不思議なソフトである。
    • これは日本よりもアメリカの方がメトロイドの人気が高いため。ちなみに後発である日本版には「大人向け・子供向け」要素の追加に合わせてエンディング画像の追加も行われている。
  • 発売当時月刊マガジンZに石川堅二氏によるコミックが掲載された。
    • ディレクターの坂本賀勇氏も監修しており、公式設定扱いとなっている。石川氏は日本版で追加されたエンディングのご褒美画像の一部も担当している。
    • 鳥人族のもとでやんちゃな姿を見せる幼少時のサムスや、既に危険生物として認知されているXなど見どころは多い。
    • また、同時期に連載を開始したコミックボンボンの「メトロイド サムス&ジョイ」についても、特別編として同紙に本作の序盤をコミカライズした物が掲載された。
  • 先述のように本作ではスポイルされているはずの「シークエンスブレイク」だが、実は一箇所だけ可能なルートが意図的に残されており、成功すると隠しメッセージを見ることができる。
    • だがこれを見るには、まさに「その発想はなかった」的なルートを思い付き、かなり高度な操作テクニックを用いて突破しなければならない。
  • 本作より5年前に発売された星のカービィ3でメトロイドがゲスト出演した際は、カービィのアイス系統のコピー能力でのみ倒せる仕様となっていた。
  • メトロイド サムスリターンズ』のアミーボ解放要素として、フュージョンスーツを着て被ダメージが大幅に上がった状態で遊べる高難易度モードが搭載されている。