ネオジオバトルコロシアム

【ねおじおばとるころしあむ】

ジャンル 対戦型格闘ゲーム
対応機種 アーケード(ATOMISWAVE)
発売・開発元 SNKプレイモア
稼動開始日 2005年7月27日
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント オールスターの名に恥じない「夢の対戦」を実現した人選
ゲーセンでのプレイに全く向かないCPU戦
悪くは無いが大味で粗が目立つ対戦バランス
CPU戦の仕様等は後に家庭用移植で一部改善
SNKクロスオーバー関連作品シリーズ


概要

SNKが長年に渡って展開してきたハード(プラットフォーム)、ネオジオ(MVSとAES)の元に展開された歴代のSNK作品(と一部ADK(旧“アルファ電子”)作品)のキャラクターが参加するお祭り格闘ゲーム。ネオジオに加えて、ネオジオの後継機、ハイパーネオジオ64の作品から参戦したキャラクターも一部存在*1
そんな本作はネオジオにおいて新作ソフト供給を終えて終焉を迎えた2004年*2から約1年後の翌年2005年に発売、稼働開始した。
格ゲー代表作を主に取り上げていたKOFとは異なり、より広いネオジオ作品に登場したキャラクターたちによる夢の2ON2タッグバトル実現というコンセプトの対戦格闘ゲーム。
タッグバトル制で、CPU戦はどちらか片方、対人戦は両方を倒せば勝利。

登場キャラクター

  • 本作では新たな主人公として「ユウキ」と「アイ」が参戦。各キャラクターには本作独自のストーリーがあり、一部のキャラの設定は原作と異なっている。
  • ADKキャラの出典作品は、キサラのみ『痛快GANGAN行進曲』、それ以外は全員『ワールドヒーローズ』シリーズ*3
  • シークレットボスのアテナのみネオジオ発売以前に稼働した同名アーケードゲームが出典作品で唯一の非ネオジオ作品。
    • 本作では「2003年にネオジオで稼働開始した『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』におけるバックストーリーの後日談」という形での特別出演となっている*4
オリジナルキャラ ユウキ、アイ、グッドマン(最終ボス/家庭用版のみ使用可能)
THE KING OF FIGHTERS 草薙京、八神庵、K'、シェルミー
餓狼伝説/餓狼MOW テリー・ボガード、不知火舞、キム、ギース・ハワード、タン・フー・ルー、秦崇雷、秦崇秀、ロック・ハワード、双葉ほたる
龍虎の拳 二代目Mr.カラテ(名義上はゲスト参戦の『武力~BURIKI ONE~』枠)、ロバート・ガルシア、Mr.ビッグ、リー・パイロン
サムライスピリッツ 覇王丸、ナコルル、牙神幻十郎、色、アスラ
月華の剣士 楓、御名方守矢、一条あかり、鷲塚慶一郎
メタルスラッグ マルコ・ロッシ、マーズピープル(隠し/タイムリリース)
風雲黙示録 獅子王(隠し)、真・獅子王(最終ボス/CPU専用)
キング・オブ・ザ・モンスターズ2 サイバー・ウー*5
ADKキャラ ハンゾウ、フウマ、マッドマン、キサラ・ウェストフィールド、NEO-DIO(最終ボス/隠し)
その他 アテナ(隠し/タイムリリース)、ミズチ*6。))(最終ボス/隠し)

システム

  • 1レバー+5ボタンで操作(A:弱パンチ、B:弱キック、C:強パンチ、D:強キック、E:キャラクターチェンジ。『サムライスピリッツ』シリーズのキャラクターのみ通常技の仕様が「Aボタン:弱斬り、Bボタン:中斬り、Cボタン:強斬り、Dボタン:蹴り」となっている)。
  • タッグ制を除いた操作感覚やシステムは『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』(以下『SVC CHAOS』『SVC』と表記)を踏襲しており、「ガードキャンセルフロントステップ」や動作が遅めのジャンプなども継承されている。
    • 新要素として、高速接近手段はフロントダッシュに加えて『KOF』のランも実装されており、パワーゲージを消費して全身無敵で前方移動するタクティカルステップが採用されるなどの改良も加えられている。
      パワーゲージは『SVC CHAOS』と同じく3ゲージまでストックできるが、使用する超必殺技によって使用するストック量が違い、パワーMAX状態は廃止されている。
  • タクティカルステップ
    • AB同時押しでパワーゲージを半分消費しての移動手段。移動中は打撃無敵で隙が無く、動作中はあらゆる攻撃を出す事ができる(ただし他行動への移行と同時に打撃無敵が切れる)。投げ技には無防備だが、中間距離から相手の牽制技をかいくぐり、密着から連続技や投げ技で反撃する事が可能。
  • ACタクティカルステップ
    • 通常技をヒットさせた直後にAB同時押しでパワーゲージを1本消費する事で隙をキャンセルし、一瞬全身が青く光った後前方へタクティカルステップする。青く光っている間は無防備で一定時間後から打撃無敵。動作中はあらゆる攻撃を出せるので、ここからさらに大ダメージ連続技を作り出せる。
  • ヴァイタルソース
    • 減った体力の一部が変色してライフゲージに残り、自動回復する。
  • オートチャージ
    • 8秒間、パートナーと交代せずに戦うことで発動。パワーゲージが少しづつ自動的に溜まっていくようになる。
  • ダブルアサルト
    • ヴァイタルソースを削る。オートチャージ時のみ、パワーゲージの有無に関係なく使用可能な突進技(ゲージ上に、Auto Charge又はD-ASSALUTと表示される)。コマンドは共通で236+E。
    • ヒットすると相手をロックして2人掛りで攻撃し、黄色ゲージを少しだけ、赤いヴァイタルソースを特に多く奪う。さらに特典として待機キャラに交代した際、 一定時間は攻撃力・ケズリ・ガードクラッシュ値が1.25倍上昇した状態で戦える 「ハイパーチャージ」が発動できるようになる。待機し続けると2秒に1秒の割合で交代後の持続時間が増加(ダブルアサルト直後なら8秒、最大20秒まで上昇)する。ただしガードされると隙だらけとなる。浮かせ技などから積極的に連続技に組み込んでいける。戦略的な需要が高く、一部ボスキャラクターの出現条件にもなっている。
    • 一部キャラクターの組み合わせの場合、特定の条件を満たし特殊なコマンドを入力すると、「アナザーダブルアサルト」が使える。通常と違う演出が見れる上、ノーマルのダブルアサルトよりヴァイタルソース攻撃力が高いものが多い*7。基本的に突進技ではなく、その場で一撃を振るいヒットすると乱舞に移行する…というものが多い。
      • ただし、条件を満たしてから10カウント以内に入力しなければならない上、条件を解除してしまう技などもあるので、実戦で狙うのはなかなか難しい。基本的に、因縁の深いキャラクターの組み合わせで出せるようになっている。
  • ガードキャンセルフロントステップ
    • ガード硬直をキャンセルし、フロントステップする。パワーゲージを消費するがここから反撃に転じることが可能。通常の入力だと0.5ゲージを消費するのだが、ガード直後に素早く入力すると0.25ゲージしか消費しない「ジャストガードキャンセル」版になる。
    • 『SVC』では無敵時間がついていたが、ゲームを単調にしていた為か削除されている。お手軽な割り込みとしての使い道はほぼ無くなり、一部技の確定反撃に使用される。
  • CPU戦の仕様。
    • 体力回復なしの“サバイバル形式”。
    • “タイムカウントダウン制”。
      • 上記二つに関しては3戦区切りで体力回復かタイム増などのバトルボーナスが受けられる。
    • “敵も味方もメンバーのどちらかやられたら試合終了”。
    • 時間切れでボス戦に移行。それまでに倒した人数、バトルボーナスの使用回数、コンティニュー回数、アサルトを決めた回数、残り体力で対戦相手が決まる。
      • ラスボスは過去SNK作品から「真・獅子王」「ミズチ」の2体(ミズチはオロチのクローン。)+過去ADK作品から「NEO DIO」+本作オリジナルかつ真ボスの「グッドマン」以上計4体。

評価点

  • 既存シリーズ続編の多い本メーカーのゲームの中でひときわ光る新鮮さ。
    • 今までのオールスター・クロスオーバー系のゲームに出てないキャラが多く出場しており、キャラクター選出に関しては評価が高い。
      • 『ワールドヒーローズ』シリーズと『痛快ガンガン行進曲』から参戦。これらは旧SNKと資本提携をしていたADKの作品であったがSNKプレイモアがADK作品の版権を取得していた為実現した。
      • 安易に主人公や女キャラだけ持ってくるのではなく、「マッドマン」など「ファンの心をわかってるチョイス」や「NEODIO(全キャラ元ネタが存在する『ワーヒー』シリーズでも元ネタがかなり露骨で「名前も同じ」)」など、ある意味で難しいキャラクターまでねじ込んでくるなど、人選はかなり頑張った方と言える。
      • また、自社キャラクターでも『風雲』シリーズで主人公ではなく「獅子王」を持ってくるなど、ADKキャラや『風雲』シリーズなどのチョイスは「良好」と言えるだろう。
      • 前述の通りアテナは麻宮アテナではなく原作のアテナ。勿論ビキニ水着姿である(本人も「水着」と言っている)。
    • 本作主人公のユウキとアイはオリジナルの新キャラクターだが、設定や使う技の数々もネオジオのオールスターというコンセプトを反映してかネオジオで発売された様々なゲームやネオジオ発売以前にSNKから発売されたゲームが元ネタになっており、往年のファンならニヤリとしてしまうの間違いなしである。
      • ちなみにユウキの格闘スタイル「新日本機械格闘術(略称:新日本機格)」はSNKの設立当時の旧社名新日本企画が由来となっている。
      • 声優もユウキが緑川光氏、アイが鉄炮塚葉子氏と力の入れようが窺える。
      • しかしユウキの方は本編のグラフィック(ドット絵)に難点あり(後述の「問題点」にて参照)。
    • ラスボス勢も「真・獅子王」「グッドマン」以外全員使えるが、ボス仕様でなく対戦用に調整されてある。「グッドマン」はPS2のみ使用可。
      • 「獅子王」が「真・獅子王」のプレイヤーキャラ版となっている。なので獅子王はプレイヤー専用。
    • これらによりタイトル名に恥じない、ネオジオ作品の会社枠を超えたドリームマッチが実現したことは凄い。
      • 一方で版権の関係からか、ADK以外のネオジオサードパーティーキャラクターは登場できなかったのが残念ではある。
  • 背景も正しく「オールスター」。
    • 背景に登場するキャラクターも実にオールスターらしく過去に発売されたネオジオ作品から多くのキャラクターが選出されており、グラフィックこそ基本的に出典作品からの流用であるものの、往年のファンならニヤリとするような人選であるのも嬉しい点。盛り上げるのに一役買っている。
    • 加えて、一部キャラクターの技において、演出の一環として本作には参戦していないキャラクターが登場するものも。そして更にその果てには……(詳しくは「余談」の項目にて)。
  • 初心者にもやさしい要素
    • 若干操作に癖があり慣れが必要なものの、長すぎるコンボなどの初心者お断り要素は少なく、懐かしさと共に格闘ゲームのシンプルな楽しさと奥深さを味わう事が出来る。後述の通りCPU戦さえ足を引っ張っていなければ…
    • タッグシステム以外の基本は『SVC』準拠だが、本作はそれに加えてKOF準拠のラン(走り続ける移動)も追加、加えてゲージコストが要るが打撃無敵を付加できる共通移動システムの「(AC)タクティカルステップ」も健在。おかげで、連係を組んでラッシュをかけやすく、純粋に攻めが楽しい傾向となっているのも結果的に初心者に入りやすくした要因となっている。
  • BGMは基板の性能が上がったため音質は高い。
    • ただし往年の名曲などは一切収録されず、雰囲気は独自路線である。
  • グラフィックは既存作品のキャラクターは塗りなおし+使いまわしだが新規キャラクターも多い。
    • 特に、携帯ゲーム機を除けば今回初めて2Dグラフィック化を果たしたアスラは、『KOF2003』のデュオロンの如くぬるぬると動く。
    • また、ロバート・ガルシアは名目上は『龍虎の拳』シリーズからの参戦であるものの、『武力~BURIKI ONE~』時代の歳を重ねたリョウ・サカザキこと二代目Mr.カラテに合わせて彼も歳を重ねた設定、ストーリーとなっており、それに伴い外見やモーションも出典作品やKOFシリーズから大きく変更、描き直しが行われている。

問題点

  • CPU戦の仕様がインカム重視過ぎて誰得
    • CPU戦では前述の通り操作キャラの片方が負けたらその時点で終了という厳しい条件を強要され、サバイバル形式な事に加えて一戦ごとの難易度が高く初心者にはつらい。なおかつラウンド制でなく1本勝負制なので、立ち回りや試合展開のアヤを覚えるには対戦数をこなさないと見出しにくい作りでもある。
      • そして時間切れとなって登場したボスに挑めたとしても、SNKのボスの例に漏れず滅法強い相手ばかりなので、初心者はおろか中級者でもあっさり負けることがザラにあった。予備知識なしで普通にプレイした場合は「ミズチ」にたどり着くケースが多いが、格闘ゲームのボス全体としては易し目のアルゴリズムであった『'97』のオロチとは違って実に鬼畜なアルゴリズムで攻めてくる。
      • 結果的に、せっかくのオールスターなのにKOF参戦キャラクターばかり使われる事になってしまった。性能的に比較的使いやすく、シリーズで取った杵柄により深い研究をしなくても動かしやすいためである。
      • 初心者はバトルボーナスに行きつくどころか、キャラクターの動かし方を学ぶこともままならないまま終わってしまう事もある。
    • 制限時間がかなり短めな事もあり、ゲームに慣れた人も良い結果を出す為には「とにかく速攻でダメージを受けずに敵を蹴散らす」必要がある為、のんびりと遊んでいられず、コンボ研究すらままならない。
      • 制限時間システムそのものは旧SNK時代の『サムライスピリッツ 天草降臨』にも存在したが、あちらはあくまで「制限タイム以内にクリアしないと本来のボスが出ず、グッドエンドが見れない」だけなので、グッドエンドを見る為だけに急かされる点への批判はあったものの、エンディング目的でなければ実戦でじっくり練習することは可能だった。
      • 「メンバーどちらかが1人KOされた時点で試合が終了する」システムも『風雲スーパータッグバトル』ですでに存在したが、当作品はタイムカウント制ではないため急かされることはなく、その気になれば試合時間を引き延ばすことは可能だった。
    • そしてCPU戦が短いうえに厳しめという事は、プレイヤーが対戦待ちしている時間も短いという事である。結果として対戦相手を見つけるのにも一苦労するはめに。
    • こんな仕様もありアーケードでプレイする人は自然と少なくなり、PS2の家庭用が出てからようやく研究が深まってきた。
  • 『SVC』同様EDの仕様もきつい
    • キャラクター別のエンディングは最も出現条件が厳しい「グッドマン」を倒さなければ見ることは出来ない(他3名は共通のエンディングで、内容的にも通り一辺倒の面白くないもの)。しかも倒した方のキャラクターだけで、相方のエンディングは流れない。
    • 加えてボスキャラクター達はSNK格闘ゲームのお約束どおりの超反応&超性能。
      • パターンを知らなければ初見で倒すことは難しく、中でも「真・獅子王」の極悪さは必見。彼は出典作品である風雲シリーズ2作でも、鬼畜なアルゴリズムであったため原作再現ともとれなくはないが…。
  • 操作性には多少の癖がある。
    • 評価点で記した通り、今作は敷居を上げがちな複雑な長いコンボが殆どなく、加えてゲージさえあれば打撃無敵を付加して接近できるタクティカルステップのおかげで初心者でも攻めと連係でラッシュをかける楽しさを簡単に味わえるのが特徴だが、やはりそれでも慣れが必要な独特の癖がある程度は存在する。
    • 例えば、攻めが強い一方で今作は全体的にガード硬直が長めに設定されているために、絶対というわけではないが反撃にはガードキャンセルフロントステップの使用が求められるポイントが多い。
  • キャラバランスもある意味相変わらず。
    • キム、ほたるが圧倒的二強(ほたる一強説も根強い)で、Mrビッグ、NEODIO、マルコ、ロバートなど数名が強キャラ。他のキャラクターで勝つにはかなりの修練が必要であり、同レベルであればなおの事厳しい。
      • 対して弱キャラ筆頭である秦崇秀、ユウキ、アスラなどは、強キャラ相手は勿論、並みのキャラクターと闘っても「はっきりいって厳しい」と言えるほど性能が低い。
    • それらを抜きにしても、リー・パイロンやタン・フールーなどが「比較的操作難易度が低い」上に割合強さを引き出し易く、少しやりこめば「強キャラ化」「凶キャラ化」するので、キャラクターの理不尽さを感じる局面は意外と多い。
    • タッグ制ではあるが、組み合わせによる変化は一部のキャラクター同士で組むと使用可能になる協力技(アナザーダブルアサルト)のみで、相性などは特にない。そのため単純に強キャラ同士で組むのが最適解で、戦略は存在しない。
    • ただし、上級者勢同士のガチトーナメントレベルの闘いなどでは、二強キャラを集めてるプレイヤーはキャラバランスほど多くない。これはほたるとキムが似た属性の「ラッシュが強い攻めキャラ」である上、強キャラの常として対策を練られていることが多く、戦法がはっきりバレているため動きの癖を読まれやすい点があるからである。
      • そのため、交代した後の中盤のカギを握る「(仲間が回復するための)時間稼ぎキャラ」としてディフェンスの強いキャラクターを入れた方が有効だったり、自分が強さを発揮できて対策度が低めのキャラクターを入れた方が上位勢同士では勝てたりする。
    • じゃあ「バランス悪くないのでは?二人のチーム組みも戦略あるのでは?」と言われそうだが、それはあくまで超ド級のスーパープレイヤー同士の問題であり、そこまで行きつくには才能と努力が必要とされる。
  • タッグ制が特徴の本作だが、やはりそのシステム周辺にもまだ改善の余地が見られる。
    例を挙げると、本作ではただ技を当てるだけではヴァイタルソース(回復可能ダメージ)が非常に多く残り、待機中の回復速度もかなり速い。さらに、相手の控えを強制的に引き出すシステムが存在しない。
    • このため対戦でパートナーがやられてしまうと、余程相手が交代戦略をミスしない限り、その後の総体力に大きな差が生まれてしまう。また、ヴァイタルソースを大きく奪うダブルアサルトも一人では使用できない。交代自体も比較的安全にできてしまう*8*9ため、一人側は圧倒的不利。
    • 一応1人状態=オートチャージ状態継続にはなり、ゲージをフル活用したコンボやACTSなどのシステムを駆使することで戦況を1対1のイーブンに持っていけなくも無く、(賛否はあるかもしれないが)時間切れなども戦術として組み込める作りではあるが…やはり2対1状態ではよほどの熟練プレイヤーであってもそこまで持っていくのは厳しい。
      • 「1人目がやられ、2人目が出現する時に1フレームだけガードしかできない時間が存在する」ため、 コマンド投げやガード不能技を重ねられると確定してしまう のもその一因。様々な動画サイトにアップされている本作上級者プレイヤーの対戦動画を見ても、早い段階で一人目がやられてしまった場合、そのまま押し切られて負けていることが圧倒的に多い。
  • 効果音は『SVC』よりはマシだが相変わらずショボい
    • 折角新世代のハードに移行しハードスペックや容量という意味での限界という問題が解決したのにである。
    • 文章で表現すると打撃で『ポーン』炎に当たって『シュワワワ』斬撃系は『チュリ』と言った感じで、派手さは増したが、相変わらずの格闘らしからぬ妙な効果音で、爽快感や迫力に乏しい。
    • ロケテスト期間に何度も差し替えられたが、方向性自体は意固地になって変えなかったため、結局FIX版でも残念なセンスのままで稼動した。オールスターというコンセプトらしく参戦キャラクターの出典作品の各種効果音を有効活用して欲しかったという意見も多い。
  • グラフィック面の問題
    • 新規グラフィックが頑張っている物もある中、粗さが目立つのもしばしば見られる。
      • 特に粗いという意見が見られるのが、よりによって今作の顔である主人公のユウキ。
      • 他にも、『武力~BURIKI ONE~』から参戦した設定のリョウ・サカザキこと二代目Mr.カラテに至っては、KOFシリーズのタクマ・サカザキ(父、初代Mr.カラテ)の身体に、リョウの顔を継ぎ接ぎで着けただけのグラフィックとなっており、これに関しても手抜きなどの苦言が目立つ。相方となるロバート・ガルシアが新規で描き起こしされている分、継ぎ接ぎな点が目立っているとも。
    • 勝利デモ時のキャラクターイラスト*10が異様に古臭く不評。キャラクターによってはメインイラストとは別人レベルのものも。
  • 使用基板(ATOMISWAVE)の仕様の問題として試合開始前にかなり長いシークタイムが発生する(約10秒ほど)。
    • これは同基板の後続作品(『KOF XI』『剣サム』)でも同じ問題を抱えている。
  • AW-NET終了後の扱いについて
    • AW-NETサービス終了後は「システム設定でAREAをOTHER、ネットワークをOFF」にした状態で、通電時間が1190時間を経過すると、ミズチ・獅子王・NEO-DIOまでタイムリリースの隠しキャラクターとして順次使用可能になる。
      • ただし基板の仕様上ロムカートリッジを外すと稼働時間がリセットされるので、その場合は最初(アテナ・マーズピープル)から。しかも本作はタイムリリース制を採用している多くのアーケードゲームには救済措置として搭載されているオペレーターコマンドも搭載されていない。
        これは同基板の後続作品(『KOF XI』,三國戦記)でも同じ問題を抱えている。

総評

まずアーケードにおいては CPU戦が不評要素の殆どを締める
インカム重視のこの仕様にめげずこのゲームを遊んでいたのは、大会に出場できるレベルまでやり込む、いわゆるガチ勢くらいなもので、当時ゲーセンに通っていた人でも、理不尽な強さを持つボスにボコボコにされた為に1,2回プレイして終わり…のユーザーが大半だった。
そうでなくても当時は『ギルティギアイグゼクス スラッシュ』『メルティブラッド アクトカデンツァ』『北斗の拳(AC)』『KOFXI』などの多種多様な格ゲーがリリースされており競争相手も非常に多く、所謂『コンボゲー』全盛期であったため、そちらに流れていったプレイヤーが大多数を占めたため、必然的に多くのゲーセンにおいて本作は常に閑古鳥が鳴いている状態か、早期に撤去されていたのが実情だった。
また対戦バランスはKOFシリーズほど悪くはないがキャラ間の格差は激しく、システム面でも調整不足な面があり良作・名作の域には遠い。
しかしネオジオオールスターという新たな境地を開き、事実上の前作の存在はあったとはいえ独自システムもそれなりに昇華されており、新シリーズの出発としては十分な完成度を持っていた。
KOFシリーズとはまた異なる方向性を打ち出すことに成功していたのだが、アーケード版の不評を払拭するようなフォローが一切行われず、一作限りの作品となってしまった。


家庭用移植

共通部分は省略しています。

対応機種 プレイステーション2
裏を見る
発売日 2005年12月22日
定価 7,140円
レーティング CERO:12歳以上対象
廉価版 SNKベストコレクション
2007年1月25日/2,940円
配信 Xbox LIVE ARCADE
2010年6月9日/800マイクロソフトポイント
ゲームアーカイブス
2015年2月18日/1,000円
判定 なし
  • PS2版ではサバイバル形式・タイムカウントダウン制ではないタッグ形式をきちんと活かしたCPU戦が追加され、ギャラリーもあるなど基本的に良移植。ただしロード時間が長いのが欠点。またセーブデータ破壊バグの報告も。
    • ボスキャラクターの一人グッドマンは使用可能になったが、真・獅子王だけはアーケード版同様に使えない。やはり「獅子王」が「真・獅子王」のプレイヤーキャラクター版扱い。
  • XbLA版では基本PS2版仕様だがステージ追加とロード時間が激的に改善され、ズームインアウトを廃止し16:9ワイド対応*11でドットがハイレゾになり、キャラクターのイラストも新たに書き下ろされている他ネットワーク対戦にも対応している。
    • あまり評価されていないが、XBLA版のネット対戦はSNKプレイモア製のゲームの中でも格段にラグがないのでオフラインと遜色ない対戦を楽しめる。一部のプレイヤーはこれ以降のネット対戦の出来に期待していたが、『KOF XIII』では相変わらずの「ギリギリ遊べるが、ゲームを楽しむ意味では致命的」なラグであった。

余談

  • 本作が登場した2005~6年のSNKプレイモアは本作のような初外部出演オールスターゲスト出演をウリにしていた作品を多くリリースしており、ある意味それらの先陣を切った作品とも言える。
  • 一条あかりが使用する技に「劾鬼・百鬼夜行」という技があり、これは妖怪の大群を召喚してその行列を相手へ突進させてダメージを与える技なのだが、ここで召喚されるメンバーの一部も本作がオールスター作品らしく様々なネオジオのゲームからのゲスト出演となっており、しかも実にツッコミどころ満載で狙ったとしか思えない選抜になっている。
    • 具体的に挙げると、妖怪軍団の中にアースクェイク、不知火幻庵、花諷院和狆、顔に暗い陰がかかった謎の格闘家(と言ってもどう見ても藤堂竜白)、初代Mr.カラテ、巖陀羅、望月双角の使役する雷神が紛れている。つまり竜白やMr.カラテなど、明らかに人間であるはずのキャラクターが妖怪として召喚されているのである。ファンなら是非とも必見*12
  • 他にも前述と同じく、ある技への非参戦キャラクターのゲスト出演がある技にキサラ・ウェストフィールドの「ジェラシーボンバー」があるが、これは出典作品の『痛快GANGAN行進曲』の彼女のストーリーとエンディングを踏襲した内容となっており、知っていると往年のファンなら感涙モノ……かもしれない。
  • 本作で参戦したオロチのクローン「ミズチ」は技こそオロチを再現したもので構成されているが、必殺技にも元々技名が存在しなかったオロチ*13とは異なり、新たに必殺技に技名が設定された。
    • この技名は後にオロチがKOFシリーズにて再登場(『'98UM(FE)』など)した際にも逆輸入された。
  • 後に『KOF XI』がPS2版に移植された際に、それの家庭用追加隠しキャラクターとして、本作から数人がゲスト参戦している。
    • 参戦したのは、ロバート・ガルシア、双葉 ほたる、不知火 舞、EX草薙 京(本編の京とは別性能)、タン・フー・ルー、Mr.ビッグ、ギース・ハワード。このうち、ほたるとタンはKOFシリーズ初参戦となった。
    • 性能の方も、本作ベースではあるものの、単なるコピペでそのまま参戦した手抜きでもなく、『KOF XI』に合わせてある程度の調整が入っている。

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最終更新:2024年03月10日 10:51

*1 『武力~BURIKI ONE~』から出場のリョウ、ポリサムこと3D版『サムライスピリッツ』シリーズ2作からの出場である色とアスラが該当。アスラに至っては携帯ゲーム機を除けば2Dグラフィック化は今作が初である。

*2 ネオジオ最終作は『サムライスピリッツ零スペシャル』。

*3 フウマのみ、『痛快GANGAN行進曲』にゲスト出演したことがある。

*4 『SVC CHAOS』及び本作では“天界の守護者”の肩書で登場。本作においては「『SVC CHAOS』で起こしたとある事件の償いの為ネオジオワールドに降りてきた」という設定になっており、試合前の掛け合いで『SVC』で共演したキャラに文句を言う演出が存在する。

*5 原作のサイバー・ウーと同一のものではなく、全く異なる設定がある。

*6 KOF'97のラスボス・オロチのクローンという設定。しかし元々オロチは精神体(地球意思)であり、肉体はオロチが現世に顕現するために触媒にしたオロチ八傑集・四天王のうちの一人(KOF'97ではクリスが該当)の物であるのだが…。また声優もクリスから変更されている(クリスの声優は女性声優の緒方りお女史だったが、このミズチは男性声優の丸尾恒人氏(KOF2003のデュオロンなどを担当

*7 そうでないものもある。例えばハンゾウ・フウマの「協力奥義 挟撃九字斬陣」は通常のダブルアサルトと発生もダメージも一緒。

*8 一応交代直後は隙があるのだがたった「3F」しかないため、相当意識していないとなかなか大反撃は狙えない。

*9 本作ではジャンプが緩く高めのキャラクターが多いため、起き攻めならともかく、「相手のちょっとした隙にジャンプ攻撃からのフルコンボを狙う」のが、かなりやりにくいのも一因。

*10 メインイラストを担当したおぐらえいすけ氏ではなく別のデザイナーが担当

*11 ただしこの画面サイズの影響により端までの距離が若干広くなり飛び道具系に極わずかな影響が生じているが今のところ問題視されてはいないレベル

*12 余談だが、竜白は『頂上決戦 最強ファイターズ』でも紛れているほか、『SNKギャルズファイターズ』の類似技「劾鬼・魑魅魍魎」にも紛れており、毎回召喚されている。

*13 そのため、出典のKOF'97発売当時の雑誌などの媒体では技の見た目や性質を指して(※は本作のミズチに相当する技)、「衝撃波を飛ばす(※解除-はらえ-)」「斜め上or前方にバリアを張る(※顕斎-うつしいわい-)」「画面全体に光を浴びせる(※混-まろかれ-)」などと便宜上の仮称で呼ばれていた。