この記事では『電車でGO!2 高速編』『電車でGO!2 3000番台』のアーケード版および据置機・パソコン移植版、ならびにこれらのリメイク作品である『電車でGO!64』『電車でGO!2』を取り扱います。



電車でGO!2 高速編

【でんしゃでごーつー こうそくへん】

電車でGO!2 高速編 3000番台

【でんしゃでごーつー こうそくへん さんぜんばんだい】

ジャンル 電車運転シミュレーション
対応機種 アーケード
使用基板 JCシステム
発売・開発元 タイトー
稼動開始日 量産車 1998年3月
3000番台 1998年9月
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 快速や特急主体の作品
唯一の三セク路線収録作
初見殺し要素大量発生
電車でGO!シリーズリンク


こんどは () () ()だ。



概要

電車でGO!』の直接的な続編作品。正式タイトルは『電車でGO!2 高速編』であるが、タイトル画面に『量産車』の副題表記がある。この部分はロケテスト版では『量産先行車*1』となっており、正式リリース版であることを示すものである。以下、無印版については 『量産車』と表記する。

サブタイトルの「高速編」は、運転する列車が快速や特急主体なのが由来である。
これは、前作で「停車ができずすぐゲームオーバーになる」といった問題が浮き彫りになったことから、通過運転を中心に据えることで停車が苦手なプレイヤーにもプレイ時間を提供できるようにするためであり、「ダイヤに沿って駅を通過すること」がゲーム内容の多くを占めることになった。

後に、路線を増やしたバージョンアップ版『電車でGO!2 高速編 3000番台』(以下「3000番台」)も制作されている。ちなみに『EX』や『3 ダイヤ改正』とは違い、『3000番台』の筐体は無印版と明らかに違うカラーリングとなっており判別は容易である。
新規路線として「東海道線」(大阪〜神戸)が収録されたほか、初代で収録された「山手線」「京浜東北線」が逆方向となる「外回り」「北行き」で追加された。それ以外の既存路線でも、延伸や列車の追加が行われた。

タイトルについて

後述する移植作も絡み、『電車でGO!2』関連はタイトルの関係性が非常にややこしいことになっている。シリーズリンクでも一部述べているが、以下の通りの関係となっている。

  • 電車でGO!2 高速編(AC/Win)…大元の作品。別名『量産車』
    • 電車でGO!2 高速編 3000番台(AC/DC/Win)…『量産車』のバージョンアップ版
      • 電車でGO!64(N64)…『3000番台』のアレンジ版
    • 電車でGO!2(PS/WS/GBC)…『量産車』のアレンジ版

つまり『64』は『3000番台』の追加要素を反映したアレンジ移植であり、PSで発売された『2』は『量産車』のアレンジ移植(『3000番台』の要素は反映せず)となっている。
このため単に『2』や『高速編』と表記するとどのバージョンのことなのか紛らわしいので注意が必要である(先述の通り、本記事では大元の作品を『量産車』と表記する)。


前作からの追加・変更点

基本的なルールは前作と変わらないが、以下のルールが追加・変更されている。

  • 駅通過の重要性が増したことから「定通」の概念が追加。通過予定時刻ちょうどに駅を通過すると残り時間が加算される。
  • デッドセクションや信号場など走行中のイベントが増えた。
  • 駅停車時の減点項目であった「駅進入速度超過」が廃止され、停止位置に止まれさえすれば駅進入時の速度は問われなくなった*2
    • 代わりに初級以外のダイヤでは「非常制動停車」が追加。前作では低速域なら非常ブレーキを使用して停車しても問題なかったが、本作以後は停車時に非常ブレーキを使用した場合でも減点の対象となった。
  • 残り時間が走行距離(スコア)に反映されるようになり、ハイスコア競争が強化された。
  • プロフェッショナルモードが追加。ゲーム中スタートボタンを押すと、通過点・停止位置までの距離を隠してプレイできる。
  • ボーナスゲームが前作の貨物駅での貨車の連結から、信越本線横川駅での連結となった。
    • これは、EF63形電気機関車を補助機関車として使用していた横川~軽井沢間が廃止となり、横川駅での連結作業が見られなくなるためそれを惜しんで導入したという。攻略本でもわざわざ1ページ使ってまでEF63の記事を書いていた辺り、スタッフも力を入れていたのだろう。
  • 速度制限の数が増加した。
    • 前作では山陰本線と東海道本線の各1か所および山手線の徐行標識だけだったが、本作では速度制限区間がどの路線でも最低1か所は設置されている。
      • ただしこの速度制限標識が新たな問題を発生させてしまった(後述)。
  • 運転評価の採点対象が変わり、前作よりはわかりやすくなった。
    • ダイヤの正確さ
      • 停車駅と通過駅でいかに規定時刻に合わせられたか評価される。「優」判定を取る際、1度だけ1秒早着or遅れが許容される。
    • ブレーキ(乗り心地)
      • ブレーキを丁寧に扱えていたか評価される。B8を使用した場合は当然減点され、低速時に強めのブレーキを掛けるとこれまた減点される。
    • 停止位置の正確さ
      • 停止位置にに合わせられたか評価される。
    • 信号・標識を守る
      • 信号や標識の指示に従えていたかで評価が変わる。1度でも無視すれば「優」は取れなくなってしまう。
    • 安全性への配慮
      • 各ダイヤで設定された、ゲーム中では確認できない最高速度から95%以上の速度を出せば減点。

収録路線・ダイヤ

『量産車』では3路線が収録されており、各路線に5つのダイヤが用意されている。
難易度表記は前作にある級位に加え、5段階の●による表記も加わり細分化された。級位自体も前作の「初級」「上級」だけでなく「中級」と「特級」が追加されている。

隠し路線を出現させる方法は手間が掛かるもので、

  1. 警笛ペダルとスタートボタンを同時入力しながらクレジットを投入
  2. スタートボタンを押すよう促す画面が表示されたら、ブレーキレバーを「非常」の「非」と「常」の間に合わせ、マスコンを3にしてスタートボタンを押す
  3. 画面が切り替わった後はマスコンを5に入れっ放しにして選択時間ギリギリまで待つと出現し、強制的に選択される というものとなっている。
+ 『量産車』から収録されている路線

ほくほく線」上り 直江津→六日町

  • シリーズ初にして唯一の第三セクター鉄道*3。国内屈指の高規格路線であり、ローカル線にもかかわらず普通列車でも100km/hを超えるスピードを出す。山間部で高速化を実現するために、走行区間の大半が長大トンネルというのも大きな特徴である。
  • 本作のほくほく線は知名度ではなくスタッフの趣味で入れられている
    開発段階ではさらに越後湯沢*4まで制作されていたものの、何らかの事情で開発を打ち切らざるを得なくなったため、六日町までというやや中途半端な終わり方になってしまったとのこと。この六日町~越後湯沢間は、後の『プロフェッショナル仕様』で日の目を見ることとなる。
    • 難易度4のほうの快速は本作でもかなり難しい部類に入るが、一定条件を満たせば途中の信号場で列車交換のイベントが楽しめる。
  • 特急はくたか(681系)が収録されているが、AC版『量産車』では隠し路線。家庭用および『3000番台』では最初から選択が可能。
    • また、『3000番台』では485系のはくたかも収録されており、ブレーキを使うことでJR東日本所属車とJR西日本所属車を選べる(Win版ではそれぞれ別に収録。『64』ではJR西日本車が最初から登場し、JR東日本車は隠しダイヤになっている)。

秋田新幹線」 上り 秋田→大曲(以下「奥羽こまち」と表記)

  • 宣伝でもセールスポイントとして全面的に紹介されたシリーズ初の新幹線…ではあるが、この区間は正式には在来線(奥羽本線)。いわゆる「ミニ新幹線」として在来線規格の線路を走行している区間である。
  • 計画段階で新幹線の路線を入れることは決まっており、当初は山形新幹線「つばさ」が収録される予定だった。しかし本作の開発時には秋田新幹線の開業があったため、話題性を鑑みて変更になったという。
  • 秋田駅を出ると、終点の大曲駅まで一つも停車駅が無い、史上初のノンストップダイヤ。まさしく本作を象徴するような路線である。
    簡単そうに思えるが、在来線規格のため速度制限が多く設定されており、実際の難易度は中々のものである。
    • 難易度5版は最初から雪が降るほか、大曲で定位置に停車成功すると、隠し路線でフル規格の新幹線「東北新幹線」を盛岡→新花巻の一駅間だけプレイできる。

京浜東北線」北行 品川→上野

  • 前作にも登場した京浜東北線だが、今度は快速運転で品川から北行きで上野へ向かう。
  • 開発当初は各駅停車で制作していたが、「高速編」のテーマに合わないことから快速に変更された経緯がある。時刻表示が昼の時間帯なのに背景が夕暮れ時なのはこの名残*5
+ 『3000番台』で追加された路線

秋田新幹線」上り 大曲→盛岡(以下「田沢湖こまち」と表記)

  • 奥羽こまちの続き。こちらも新幹線車両ではあるが、在来線(田沢湖線)と共通の線路を走って盛岡を目指す。
  • この区間の停車パターンには「ノンストップ」「角館・田沢湖に停車」「角館・田沢湖・雫石に停車」の3つがあるが、本作では「ノンストップ」を除いた2つから選択できる。
    基本的にはランダムだが、路線選択の際にブレーキを使い自分で選べる。なおWin版ではそれぞれが別に「雫石通過」「雫石停車」として収録されている。
    • 2ダイヤの見分け方として、車両紹介で使用される区間がある。在来線区間(北大曲~羽後四ツ屋?)を走っていれば雫石停車、新幹線区間を走っていれば雫石通過となる。
    • ノーコンティニューで盛岡に到着し、GOOD以上を決めた場合にのみ、やまびこ号と連結ができる。車両はE2系・200系のいずれか。なお、連結後の東北新幹線は運転できない。

秋田新幹線・東北新幹線」上り 秋田→新花巻(以下「直通こまち」と表記)

  • 隠し路線(Win版では最初から選択が可能)。関西路線の下に出現するもう一つの東北路線に収録されており、AC版では先述のコマンドにより出現する。
  • ダイヤは4つ表示されているが中身は全て同じであり、Win版では1つクリアすれば4つ全部に星が付く。なお全て雫石停車ダイヤである。
    • 奥羽こまちと田沢湖こまちにボーナスゲームの東北新幹線を合わせたものであるが、3000番台のこまちと同条件で連結ゲームをプレイし、かつ連結に成功した場合にのみ新花巻まで運転可能。ただし盛岡で終了となった場合でもクリア扱いにはなる。

奥羽本線」上り 秋田→大曲

  • 奥羽こまちと同じルートだが、一部区間を除き並行している在来線専用の線路を走行する。

田沢湖線」上り 田沢湖→盛岡

  • 田沢湖こまちと同じルート。奥羽本線と違い線路は新幹線と共用のため、盛岡駅手前までは同じ場所を走る。盛岡駅では田沢湖線ホームへと入線する。
  • 最初の区間には信号場があるが、一つ目の志度内信号場で列車交換イベントが必ず発生する。交換相手はE3系と、なぜか標準軌区間を走る701系0番台のいずれかで、信号場内の停止位置で変化する。

京浜東北線」北行 横浜→品川(→上野)

  • 前作の区間を逆向きに走る。やっぱり15時台で夕焼けを拝める。
    • 品川まで全駅GREATまたは1駅のみGOOD・他をGREATを達成すると、品川でボーナスゲームがあり、その後上野まで延長運転が可能となっている。
    • Win版では品川までのダイヤと延長運転するダイヤが分かれており、後者を選択した場合は成績にかかわらず延長運転ができる。

山手線」外回り 東京→新宿

  • 途中までは前作の逆向きを走る。渋谷以遠はシリーズ初登場となる。
    • 上級路線ではあるが、減点秒数などは中級に近い。

東海道線」下り 大阪→神戸

  • 前作の続きとなる路線で、一般的に「JR神戸線」と呼称される区間を運転する。
    • 普通と快速の2種別が2ダイヤずつ、計4ダイヤが収録されている。車両は普通が207系と201系、快速が223系と221系。205系は対向列車として登場。
      • JR西日本特有のあのミュージックホーンは、残念ながら本作では再現されていない。
    • 対向列車に寝台特急がいたり、新快速と並走したりと見どころの多いダイヤ。
    • 201系はブレーキ性能が悪い上に天候変化も発生するため、ダイヤは207系と同じでありながらシビア。
+ 収録ダイヤ一覧
最初から選択できるダイヤ
初出 路線名 難易度 等級 種別 車両 区間 備考
北陸路線
量産車 ほくほく線 初級 快速 HK100形 直江津→うらがわら
●●●● 上級 直江津→六日町
●●●●● 特級 特急はくたか 681系 AC版『量産車』のみ隠しダイヤ
3000番台 ●● 中級 485系 AC版のみブレーキ位置で車両選択
東北路線
量産車 秋田新幹線 ●● 中級 こまち E3系 秋田→大曲
●●●●● 特級 条件を満たせば盛岡→新花巻が運転可能
3000番台 ●● 中級 大曲→盛岡 AC版のみブレーキ位置で雫石停車か選択
奥羽本線 ●●● 中級 普通 701系 秋田→大曲
田沢湖線 ●●● 中級 普通 701系 田沢湖→盛岡
関東路線
量産車 京浜東北線 ●●● 中級 快速 209系 品川→上野
3000番台 横浜→品川 条件を満たせば品川→上野が運転可能
山手線 ●●●● 上級 普通 205系 東京→新宿
関西路線
3000番台 東海道線 ●●● 中級 普通 207系 大阪→神戸
快速 223系
●●●● 上級 普通 201系
快速 221系
隠しダイヤ
3000番台 秋田新幹線 ●●●●● 特級 こまち E3系 秋田→盛岡 条件を満たせば盛岡→新花巻が運転可能

評価点

初心者や慣れない人に対しての配慮が増えた

  • 初級ダイヤにおいて、鉄ちゃんによる一通りの説明を、タイミングに合わせて表示されるようになった。
    • 「ここで○○の操作をして」「制限速度や信号に差し掛かる前に○○km/hまで落として」「駅に近付いたのでこの辺りからブレーキ操作を開始して」といった感じに表示され、前作よりは解説がわかりやすくなっている。
      これにより「どこでどのような操作をしなければいけないのか」といった部分をある程度は教えてもらえるようになった。
  • 通過駅が設定されている快速や特急が主体になった。
    • 後述の通り速度制限による難しさはあるが、スタート時の持ち時間が前作から目に見えて増えているため、少なくとも前作での「停車に失敗してあっという間にゲームオーバー」という結末はまずなくなっている。

収録路線

  • 3Dポリゴンで描かれた沿線風景の再現度は高く、可能な限り再現されている。じっくり見る余裕がないのが悔やまれるほど。
    • 3Dポリゴンが貧弱なJCシステムボードだが、前作と違い地方路線が多く、逆に綺麗ではないポリゴンパーツやテクスチャーのおかげで田舎っぽい風景にマッチしている。都会の路線は相変わらずの「急に現れるビル」等、貧弱ボードの公開処刑状態だが。
  • ダイヤが前作から大幅に増加。同じ路線でもそれぞれで違う楽しみを提供することが可能に。
    • 前述の通りシリーズ初にして唯一の第三セクター線である「北越急行ほくほく線」が収録されている。高規格路線を高速で走る列車が運転できるのは、まさしく「高速編」と言うサブタイトルにぴったり。
  • 3000番台では新路線の追加に加えて既存路線のダイヤが更に増量され、ボリュームはACでも屈指のものに。

賛否両論点

相変わらずの棒読みボイス

  • 本作でも運転手や車掌のアナウンスなどはスタッフが担当しており、相変わらずの棒読み演技である。
    その上音量も小さく聞き取りづらい。やはり気にする人は気にしてしまうだろう。

問題点

新たに発生してしまった初見殺し要素

  • ほくほく線や秋田新幹線では速度制限標識があちこちに設置された関係上「いきなり速度制限が表示され、減速が間に合わず減点→ゲームオーバー」というコンボによる初見殺し箇所が続出してしまった。これは開始時の持ち時間30秒に対して速度超過の減点が15秒と非常に多いためである。基本速度が100km/hオーバーなので、普通に走っていてはまず減速は間に合わない。
    • そもそもの問題点として、ポリゴン数の関係か速度制限の開始位置がわからないというものがある。そのためどこまでに減速すればいいのかがノーヒント。
      一応、制限予告が出る位置から速度制限位置までの距離は難易度ごとに一定であるが、最も緩いダイヤであっても常用最大(8)から間に合わないケースが少なくない。そのため当該2路線ではどんなに上手なプレイヤーでも事前に攻略法を知らないとクリアすることはまず不可能。速度制限の位置は難易度ごと共通であるため、低難度ダイヤを利用して予習することはできなくもないが、それとて完走は容易ではない。
    • 何よりの問題は、そういった事象に対するアドバイスも事前説明も全くないことである。先述のアドバイスはあくまで「初級路線において基本を教える」「大まかな目安」であり、細かな制限速度等に関してはやはりノーヒント。しかも最初に出る目安速度はJR線区間に合わせているため、犀潟より先で同じ速度を出していると確実に遅延するという罠が存在する。
      • さらに停車に至っては一切の案内が無くなり、むしろ前作より悪化してしまっている。
      • 実際の運転では事前に線路図表をよく覚えておいたり、運転時刻表に速度制限の注釈等が書かれていたりと習熟のための予備知識があるわけだが、このゲームにそんなものはない。開始直後に言われた速度の目安通りに走っていたらペナルティ、というコンボはいくらなんでも理不尽である。
    • この仕様から「おおむね10秒遅れていて遅れ回復できる見込みが無い区間なら減点覚悟で速度制限を無視して回復運転した方がクリアに近い」という現実の鉄道員からすれば青ざめること間違いない価値観がこのゲームでは常識となってしまっている。

相変わらず存在する現実との理不尽な乖離

  • ほくほく線は分岐に一線スルー方式を採用しており、駅や信号場を通過する場合は、方向関係無く必ず速度制限の掛からない本線側を通過するのだが、本作の快速は、虫川大杉駅と各信号場でわざわざ速度制限の掛かる副本線側を通過している。初見プレイヤーに対して制限速度で引っ掛ける形でインカムを底上げしようとするために、わざわざ副本線を走行させるルートを意図的に組み込んだものと思われるが、現実と乖離させてまで難易度を無理矢理上げて良い理由にならないのは当然である。
    • ちなみにゲーム中で通過駅となっている虫川大杉駅は現在は快速停車駅となっているが、開業当初の1997年は同駅を通過していた。
  • 特急はくたかで早着時に高速進行信号からいきなり減速信号が現示される場合がある。はくたかでは140km/h超の高速運転をするため減速が間に合わず、速度超過による大幅なペナルティで一発ゲームオーバーの恐れがある。
    そもそも現実の鉄道路線で高速進行信号が導入されているのはこのように高速運転中にいきなり減速信号が現示され減速が間に合わない事態を避けるため(高速進行→進行→減速と段階的に減速させる)なのに、このゲームの高速進行は進行と意味が変わらないただの飾りになってしまっている。 しかし、実際の田沢湖線の田沢湖~赤渕は峠越えの難所でありトンネルを除き急カーブが続くため、こまちでも60km/hという厳しい速度制限(最も低い箇所は55km/h)を受ける箇所が複数ある。実際にゲーム通りのスピードで走ったら脱線しかねない

ハイスコアと100点満点を両立できない路線がある

  • 該当するのは難易度5の奥羽こまち。刈和野~神宮寺のダイヤが非常に厳しく、普通に運転していては定刻通りに神宮寺駅を通過できない。
    定時に通過するには設計最高速度である134km/hに至るまで延々と力行を続けなければならないのだが、128km/h以上の速度を出すと「安全への配慮」で減点されてしまう。
    この問題点は同路線が再録されている『プロフェッショナル仕様』でも残留してしまっている。
    • 一応「1秒早着×1回のみ」または「1秒遅れ×1回のみ」であれば「ダイヤの正確さ」は満点となる。
      その為刈和野駅を定時かつ127.5km/h以上で通過、その後もその速度を維持して神宮寺駅での遅れを1秒以内に抑え、大曲で定時停車すれば、「ダイヤの正確さ」と「安全への配慮」の両方で満点を出せる。
      但し定通ボーナスが切られるためスコアを犠牲にしなければならない点がネックである。
    • 一方でボーナス路線である東北新幹線やまびこ号はダイヤにゆとりがあり、ATCの指示通りに運転すると早着しやすいので、攻略本ではATCの指示速度より5-10km/hぐらい下げて運転することが推奨されていた。

インカム周りの弊害

  • 高速編にふさわしい長時間ダイヤや、快速・特急の通過等のシチュエーションに重点を置いたことにより、回転率が上がるかと思われていたが、実際にはプレー時間がそれなりに伸びてしまい、ゲーム面での回転率が前作より減ってしまった。
    直営店では毎日インカムを取って売上を見ていたが、上手い人が増えれば増えるほど前作よりプレー時間が伸びてしまった結果インカムが伸びずに、直営店も含めて中小規模の店舗にまわされる事態が多発した。
    • プレイヤーからしても悪い点にしか見えないのだが、これが皮肉にも「新作ゲームが中小規模の店舗にすぐまわる」と結果的に店舗間の回転が良くなり、ロケーション全体の回転率に関しては若干改善したとも言える。もちろん全体から見れば回転率が悪いことに変わりはないだが。
      • なお、この時期のタイトー大型筐体ゲームは、バイクゲームなのに5周8セットの『WGP』を筆頭に、やたらテンポの悪い『パワーショベルに乗ろう!』、ランディングシミュレーターなのに8~10セットもやらせる『ランディングギア』『ランディングハイジャパン』等、1プレー時間が他社より無駄に長い物が多く、対照的にプレー時間が短くてもプレイヤーが満足する回転率が高かったゲームは、『サイドバイサイド』のような周回数固定のレースゲームか、5面まで突っ走って各面時間延長の無い『ナイトストライカー』くらいしか無かった。

総評

「停車」という基本でありながらゲーム中でも屈指の難しさを誇る動作を、快速や特急列車中心に収録する事でなるべく減らしつつかつ運転する楽しさを提供しようとする意識が見える作品である。
しかし、新たに本格的に追加された「制限速度」に対しての考慮がなされていない、初見殺しど真ん中な仕様でやはり全体的な難易度は据え置きのままであり、当初の目的が果たせたとは言い難い。
この問題はPSオリジナル作品である『プロフェッショナル仕様』での「ナビゲーションシステム」の採用である程度解決するが、この時点でそれくらいの措置が施されていれば…と感じるばかりである。

2019年9月25日に『電車でGO!!』にて『3000番台』の『復刻版』が同時収録されたが、北越急行ほくほく線と一部長時間プレーに繋がるダイヤが収録されていないため、求めるものによってプレーしたい方を選ぼう。


余談

  • 前作にあった警笛過多のペナルティ*6がなぜか無くなっており、何度鳴らしても減点されない。
    隠し警笛ボーナスを確実に獲得するため、隠し警笛ポイント手前で警笛ペダルを連打する攻略法がある。
  • 『3000番台』で追加された路線の殆どは『量産車』の開発途中で没になった路線であった。その為Windows版にはその没データを呼び出すことが可能となっている。
  • 『3000番台』稼動開始前にはタイトー主催の全国大会が行われた。
    東京で行われた決勝では、リリース直前の『3000番台』が使用され、それに収録されている『山手線外回り』の一部区間が競技の対象となった。
  • 踏切事故イベントのトラックの積荷は、本作の筐体である。

電車でGO!2 高速編 (Win)

【でんしゃでごーつー こうそくへん】

電車でGO!2 高速編 3000番台 (DC/Win)

【でんしゃでごーつー こうそくへん さんぜんばんだい】

ジャンル 電車運転シミュレーション
DC版
Win版無印
Win版3000番台
対応機種 ドリームキャスト
Windows
発売元 DC タイトー
Win アンバランス
開発元 タイトー
発売日 Win量産車 1999年3月18日
DC 2000年1月20日
Win3000番台 2000年4月28日
定価 DC 6,380円
Win 9,680円
廉価版 Win量産車 新価格版
2000年1月20日/3,980円
爆発的1480シリーズ
2002年4月19日/1,480円
Win3000番台 新価格版
2001年10月19日/3,980円
爆発的1480シリーズ
2004年2月20日/1,480円
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 移植度はかなり高い
だがおまけ要素もなし
備考 無印版はWinのみ

電車でGO!64

【でんしゃでごーろくよん】

ジャンル 電車運転士ゲーム
対応機種 ニンテンドウ64
発売・開発元 タイトー
発売日 1999年7月30日
定価 7,480円
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 2本しかないVRS対応ソフトの一つ
新幹線単独プレイが可能
一部サウンドに変更あり

概要(CS)

前作の人気もあってか本作も移植された。
追加要素の存在もあってか移植作はほとんどが『3000番台』相当で、無印版の移植作はWindows版のみとなっている。


独自路線(64のみ)

東北新幹線」上り 盛岡→新花巻

  • 『64』にのみ存在する隠し路線。難易度は●●●●●。条件を満たせば直通こまちのある東北路線の中に追加される。おまけ的な存在だった東北新幹線区間だけが運転できるダイヤで、車両は200系・E2系・E3系から選択できる。

評価点(CS)

共通の評価点

  • 今回も高いレベルでしっかり移植されており、ACと大差無いプレー環境を構築できている。やはり「移植の質」という部分で見れば、グラフィックがACを上回る程に出力できるWindows版が一番だろう。

N64版独自の評価点

  • 僅か2本しかない音声認識システム(VRS)対応ソフトの一つである。これ以外でVRSに対応しているソフトは『ピカチュウげんきでちゅう』だけである。
    画面上に出てくる運転士のセリフの一部(「出発進行」「制限45」など)を喚呼することで持ち時間を1秒獲得できる。 成功すればかなりゲームの進行が楽になる。強制されないので従来通りのプレーも可能。
  • 入門編なるチュートリアルが追加された。まだ不親切な点も散見されるが、これだけでもハードルがどれだけ下がったことやら。
  • 東北新幹線の運転は目玉要素でありながらプレイには手間がかかる仕様だったが、独立したダイヤとして収録されたため楽にプレイできるようになった。

DC版独自の評価点

  • AC版『3000番台』を忠実に移植しており、OPもAC版とほぼ同じものが使用されている*7。隠し路線も最初から解放されており、出力ケーブルの種類によってはAC版とほぼ同じグラフィック・解像度でプレイすることが可能。

Win版独自の評価点

  • 前述の通りAC版を上回る解像度で表示が可能。隠し警笛ポイントの動物などを確認しやすくなった。
  • 『3000番台』ではDC同様隠し路線が最初から解放されている他、自分のプレイを保存できるリプレイ機能を搭載。リプレイ機能は後に初代や量産車にも搭載された。

問題点(CS)

共通の問題点

  • AC版にあった初見殺しの問題点が全く解決できておらず、「いきなり現れた速度制限に対処できずにゲームオーバー」になる光景が各所で繰り返されることに。事前に攻略法を知らなければクリアはまず不可能である。
  • 停車駅が1駅しかない秋田新幹線中級(秋田→大曲)で大曲駅を0mではなく0cm停車しなければ100点獲得できなくなった。
    • PS、64版は他の移植版同様に残り距離の表記をcm単位にすることも可能だが、0cm停車を狙って出すことは初心者どころか上級者ですら至難の業。100点獲得は神業の域である。
    • 前述のアーケード版では0m停車(誤差49cm以内)でも100点可能だったため、見方によっては移植による改悪である。
    • アスペクトから発売されたPS版『電車でGO!2』の攻略本71ページには、「秋田中級は0cm停車しないと100点獲得できない」と記載されていたので、この仕様変更はPS版からだと思われる。

N64版独自の問題点

  • 音楽が全て内蔵音源による再生となっている。音質が良いとは言えず、気になる人は気になってしまう。特にオープニングがその影響で簡素化されてしまっている点は頂けない。

DC版・Win版独自の問題点

  • 後の『プロフェッショナル仕様』同様入門モードが収録されておらず、資料館などのおまけ要素も皆無で、文字通りのただの「移植作」となってしまっている。

総評(CS)

入門編やPS版独自の追加要素など、移植として見るのならばかなり高いレベルで移植されており、ここだけ見れば良移植の部類に入る。
しかし、AC版で問題になっていた制限速度による初見殺しの類が全く解決できていない点は、単独のゲームとして見るのならばやはり問題であると言わざるを得ない。
追加要素や移植の質としては非常に魅力的であることは間違いないのだが、初心者向けの措置が中途半端でなければまだ評価は違っていたのかもしれない。


電車でGO!2

【でんしゃでごーつー】

ジャンル シミュレーター
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 タイトー
発売日 1999年3月18日
価格 5,800円(税抜)
廉価版 PlayStation the Best
2000年7月27日/2,800円(税抜)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 複数の独自追加路線
UI・声優は後発作品準拠

概要(PS)

「高速編」のPS版…であるが、移植どころかUIも声優も違う別物と言うべき作品。ナビゲーションが無い以外は『プロフェッショナル仕様』及び『名古屋鉄道編』と同一のシステムとなっている。
「電車でGO!コントローラー」が同梱されたプレミアムパックや、専用の「ワンハンドルタイプコントローラー」も同日発売された。

追加路線(PS)

括弧内は難易度である。

大阪環状線」内回り 大阪→天王寺

  • 名前のとおり大阪をめぐる環状線。背景に大阪ドームや旧フェスティバルゲートといった大阪の名物建造物を再現。意外と対向列車のバリエーションが豊富なのも特徴で、都市路線ながら見どころが多い路線である。
  • 難易度3の普通と、難易度5の関空快速の2ダイヤを収録。

鹿児島本線」上り 博多→小倉

  • 個性的な車両デザインで定評があるJR九州からシリーズ初の路線。対向列車にも注目。
  • 折尾→小倉を運転する快速(難易度4)と、博多→小倉を運転する特急ソニック(難易度5)を収録。ただしサウンドテストには博多→折尾間の快速停車駅の案内ボイスがボツ音声として収録されている。

評価点(PS)

  • 2つの独自追加路線があるほか、写真集やムービー等のおまけ要素も前作以上に多彩に。
  • 乗務員や男性客の声は、声優や車掌のものまねを得意とする芸人立川真司氏を起用。従来よりも明らかに意識した熱演となっており、雰囲気抜群。鉄ちゃんや女性客の声もプロの声優である中山真奈美氏*8が担当しており、こちらの評価も上々。
    • また、首都圏の発車メロディーがちゃんと再現されているのも雰囲気を高めている。初代では架空のメロディが、高速編では大井町を除き*9発車ベルが流れていた。
  • 更に、ZUNTATAによるテーマソング「LOVE特急こまち」は、ファンからはシリーズ屈指の名曲との評価が現在でも続いている。
  • 前作と同様チュートリアルである「入門編モード」を収録している。

問題点(PS)

  • 上述の通り2路線が『量産車』から追加された一方、『3000番台』で追加された路線・ダイヤが一切収録されていない。
    • 完全新規の路線はまだしも、既収録路線で追加された485系はくたかや701系普通などは収録してほしかったとの声が多かった。
    • 当初の予定では「前作でカットされた隠し路線やEXバージョン路線を収録」「時刻表モードの採用で様々な列車を運転可能」*10の予定だったが、間に合わなかったのかいずれも反映されていない。なお上記の3つは次作『プロフェッショナル仕様』ですべて実装されている。
  • CSオリジナル路線は速度制限予告が表示される距離が短い・ブレーキの性能が低いため難易度が高い。

総評(PS)

棒読みボイスからの脱却を計ったいわばモデルチェンジ作品であったが、数々の追加要素が評価され、売上げは50万本と上々であった。『3000番台』の追加要素が無かったのは残念であったが、本作から変更されたシステムは2作品にわたって受け継がれた。


余談(PS)

  • 当初は1998年12月に発売予定だったが、諸般の事情により延期された。
  • 前作に続き、PS版を基にしたワンダースワン版・ゲームボーイカラー版が存在する。さらに本作のみ、ネオジオポケットカラーにも移植されている。
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最終更新:2023年08月24日 10:54
添付ファイル

*1 鉄道車両におけるプロトタイプ・試作型車両のこと。

*2 駅進入時に速度制限標識が設置されている駅で制限速度をオーバーした場合でも、駅停車時の減点対象にはならない。ただしこの場合、「制限速度超過」のペナルティは取られてしまうので、停車時の評価に関係なく残り時間が減点されてしまう。

*3 正式には直江津〜犀潟はJRの信越本線であるが、大半の列車が直通運転を行っている。

*4 ほくほく線の列車の多くは六日町駅から上越線に入り、越後湯沢駅まで直通運転を行っている。

*5 京浜東北線は日中は快速運転を行っているが、朝夕は並行する山手線の列車と同じ各駅停車になる。そのため、夕方に快速運転となることは通常ない。

*6 30回以上警笛を連続で鳴らすと、減点されてしまう。

*7 が、何故か冒頭のE3系がホームを通過するシーンで遠近感がおかしなことになっている。気になる人は動画サイトで検索されたし。

*8 現在は「中山さら」名義

*9 曲は「春」第一楽章。クラシックのため許可が要らないことから、ここだけ再現されたと思われる。

*10 当時のゲーム雑誌には、時刻表風の路線選択画面のスクリーンショットが掲載されていた。