女神転生外伝 ラストバイブル

【めがみてんせいがいでん らすとばいぶる】

ジャンル ロールプレイングゲーム


対応機種 ゲームボーイ
ゲームギア
ゲームボーイカラー(全GB共通)
発売元 【GB/GBC】アトラス
【GG】セガ・エンタープライゼス
開発元 【GB/GBC】アクセス、マルチメディア インテリジェンス トランスファー
【GG】シムス
発売日 【GB】1992年12月23日
【GG】1994年4月22日
【GBC】1999年3月19日
定価 【GB】5,300円
【GG】3,800円
【GBC】3,980円
配信 3DSバーチャルコンソール【GBC】2012年4月25日/600円
書換 ニンテンドウパワー
2000年3月1日/800円/F×8・B×1
判定 なし
ポイント 本家とは別の方向に尖った世界観
元祖対戦型RPG
女神転生シリーズ

※本項目ではオリジナルである1992年発売のGB版を中心に、
その移植作である1994年発売のGG版と1999年発売のGBC版についても触れている。



概要

  • 女神転生シリーズ初の携帯ゲーム機向け作品として制作されたタイトル。
    • 開発はPCE版『ウィザードリィ』シリーズやSFC将棋ゲーを多く手掛けるアクセスで、企画制作は後に多くの女神転生シリーズの関連作を手掛ける事になるマルチメディア インテリジェンス トランスファー(MIT)。
    • シリーズおなじみの悪魔絵師、金子一馬氏はメインキャラクターデザインのみ参加。氏が人間キャラのみのデザインを手掛けるというのは珍しいパターンである。

ストーリー概要

遥かな昔、まだ神が神と呼ばれず、悪魔が悪魔と呼ばれていなかった時代。

太陽系の第五惑星には我々が「神」と呼んでいる存在が、テレキネシス、テレポーテーション、テレパシーなどの超自然的な力「ガイア」を使い文明を築いていた。

エルはゾディアの元でガイアの力を訓練していた。そんなある日、突如として見たこともない「魔獣」の群れが現れ、人々を襲い始めた。エルはこの魔獣の謎を解くために旅にでる。 (Wikipediaより引用)

特徴

  • 近未来やサイバーさを世界観に取り入れる本家シリーズと異なり、神話や聖書などを取り入れた幻想的な世界観をベースにしており、シリーズの中では異色な雰囲気を持つ。
  • 全てのマップが見下ろし型2Dで、シリーズの特徴である3Dダンジョンは登場しない。
  • 神と悪魔という存在が明確になる以前という設定のため、いままでの作品で「悪魔」と呼ばれていた存在は本作では「魔獣」と呼称される。
    • つまり「仲魔」は「仲間の魔獣」といった意味合いとなる。
  • おなじみ「合体」も、本作では「合成」と名前を変えている。
    • 本作では一人目の仲間が合成魔法「コンバック」を使用可能で、彼の力で魔獣合成を行う。
    • 合成時には稀にミューテーションが発生し、予想外の魔獣が誕生する事もある。本家における合体事故システムの原点とも言えるだろう。
  • 会話システムは独自の進化を遂げ、主人公の代わりに仲間や仲魔に交渉を任せられるようになった。
    • 各キャラは、交渉を任せると「今機嫌が悪い」「自分に任せろ」などとセリフを言うが、出るセリフによって交渉の成功率が変化する。
  • 携帯ゲームならではの強みとして、通信ケーブルを用いて友達が育てたパーティと対戦できるというおまけ要素がある。
  • 本家女神転生シリーズにおけるロウ・カオスに近い概念として、「フォース」「ガイア」という概念が登場。これら次第で、終盤のシナリオ展開が変化する。

評価点

  • 極めて良質なBGM
    • 特に、非常に格好良い通常戦闘のBGMと、深い味のあるラスボス戦のBGMには好評の声が多い。
  • 勧善懲悪では無い、深いストーリー
    • このゲームの当面での敵であるガイアマイスター達は一概に悪とは言えず、彼達にも守るものが有って行動を起こしている。
    • 唯一「メフィスト」のみ魔獣を喰って変身する程の悪党として描かれているが、一人位はそのような外道が居ても不自然ではないだろう。
  • とにかくスピーディでストレスフリーなオート戦闘
    • GBでの制作にあたってエフェクトが省かれており、オート戦闘の速度はSFCの真女神転生よりも速い。
    • あまりにスピーディなため、回復のタイミングが間に合わず全滅という事も有り得る。快適なのは確かだが、だからと言ってあまり頼り過ぎないようにしたい。
  • 収集・育成要素を有した携帯ゲーム機RPGにおける、通信対戦の先駆けとなった
    • 上述した通り、携帯ゲーム機のRPGでの通信対戦機能の採用は『ポケモン赤・緑』より本作の方が先である。
    • ポケモンの製作者もこのゲームに影響を受けたという点においては、やはり本作の功績として高く評価すべきであろう。

賛否両論点

  • 合体魔法「コンバック」のあれこれ
    • 邪教の館を利用する必要があった本家女神転生とは異なり、本作ではMP消費と引き換えに移動中なら任意のタイミングで合体(合成)が行えるようになった。
    • しかしこの作品、合体を用いないと仲魔にできない魔獣は本編クリア前には殆どいない。折角好きなタイミングで合体できるようになったのに、本編中は合体の利用価値があまり無いという、何とも寂しい事態になってしまっている。
    • 本作で合成できる魔獣は主人公のレベル+3以下という他のシリーズ作品と比べてもかなり狭い範囲であり、そもそも会話では主人公のレベル+5以下の魔獣が仲魔にできる。つまりミューテーションなどの特殊な合成以外では合成のメリットが殆どない。
    • イベントやミューテーションで加入した魔獣は合体に使えない種族に設定されており、戦力外になったら外すしかない。とはいえ、イベント加入のあくまで作れるソルレオンはラスボスに特効効果がある「スターダスト」が使えるのでそうそう戦力外通告はされないと思うが。
  • パーティ入れ替えについて
    • 本家女神転生では魔獣の呼び出しや連れ歩きの際にマグネタイトを消費する必要があったが、本作ではそのようなコスト制は存在しない。
      • このため、リソースに悩まされる事無く魔獣の呼び出しや連れ歩きが可能となっている。パーティ編成を試行錯誤する上では有難い。
    • ただし本作では連れて行ける仲魔の数が10体と、登場する魔獣の総数に対してやけに少ない。仲魔を預ける施設も存在していないため、必然的に10体分の枠の中で仲魔のやりくりをしなければならないのである。
      • 特にクリア後はこの仲魔の数に関する制約が不便極まりない。その気になれば全種類のポケモンをパソコンに預ける事もできた『ポケモン赤・緑』とは雲泥の差である。
  • 宿屋のシステムについて
    • 本作の宿屋では、そのまま利用するのではパーティに参加していない仲魔のHPが回復しない。控えに回っている仲魔を回復する場合、宿屋利用の際に「?」マークによるチェックを一々ボタン操作で外す必要がある。
      • これは見方を変えれば、回復する必要のない控えキャラの「?」マークを付けたままにしておく事で、その分の宿代を節約する事ができるという事でもある。
    • 「?」マークが付くのはパーティに参加していない仲魔のみ。パーティに入っている状態の仲魔と、そもそもパーティから外す事ができない人間キャラは、たとえHPが一切減っていない状態であっても人数分の宿代を払わなければならない。
      • 仲魔であれば、回復の必要が無い場合は「もどす」で戦闘パーティから外し、回復したい別の仲魔と入れ替えるという抜け道も無い訳ではない。
  • アイテム関連
    • 店以外から入手したアイテムについて。通常のRPGなら先頭から順に空きのある者が自動的に入手するが、このゲームでは誰が持つか選択する仕様。必要or好きなキャラに直接渡せる反面、いちいち選ぶのが少々面倒でもある。
    • アイテムの効果が説明書や攻略本なしでは確認できない上に、消費アイテムか何度でも使えるアイテムかの違い、さらにイベントアイテムかもわからない。
      「ボアズ*1」「ヤキン*2」「パナ*3」など、おそらく殆どのユーザーが聞き慣れない単語がアイテムになっており、直感的ではない。
  • 一部ステータスによる影響があまりにも落差がある。
    • 前提として本作は本家と異なり、ゲーム開始時にステータスの割り振りが行えず、主人公もきちんと魔法を覚える仕様となっている。レベルアップ時にあげられるステータスも一つだけであり、ドーピングアイテムも入手法が限られる上に「うん」を上げることができない。
    • 他のシリーズ作品における「力」「強さ」に当たるステータスである「こうげき」を上げても物理ダメージの量が増えない。
      これは本作の攻撃の計算式が「武器攻撃力+LV+(こうげき/2)」というものであり、武器を装備出来る主人公たちはもちろん、武器を装備できない魔獣でさえ、「こうげき」の値は当てにならないということである。
      • 本作は人間キャラ三人にきちんと威力の出る武器があるため、人間キャラに関しては攻撃の火力はある。武器がない魔獣はどうなるかというと…(問題点参照)
    • 「ちりょく」は魔法ダメージにわずかに影響があり、上げた次のレベルアップで増えるMPが増加する。上述の「こうげき」より魔法ダメージに影響がある。仲間の場合は交渉の成功確率が上昇する。
    • 「たいりょく」は防御力にわずかに影響があり、その上で上げた次のレベルアップで増えるHPが増加する。気休めではあるものの、上げておけばそれなりの耐久力が得られる。
    • 「うん」はクリティカル率に影響を与える(発生率=運数値/256)。
    • 「すばやさ」は本作に於いて重要ステータスとなる。本作の行動順はおなじ「すばやさ」でもない限り、乱数の影響がないうえ、逃走確率も上がる。
      「こうげき」の影響が薄いため、物理型のキャラであっても「すばやさ」を上げるほうが効率がいい。
    • 結論としてすばやさ>>たいりょく≒ちりょく>>こうげき>>うんという歪な序列となっている。
  • 主人公で会話する場合、実は種族ごとに成功パターンが固定されている。
    • 本作は魔獣はいくつかのグループに分かれており、それらのグループ内で会話の成功パターンが決まっている。楽といえば楽だが、他のメガテンシリーズではランダムであり、ラストバイブルシリーズだけでも本作独自の要素である。

問題点

  • かなり大味な戦闘バランス
    • 特に戦闘を不安定にしている要因が「仲間の魔獣は武具を装備できない」という点。HPと防御力は基本的に装備した人間キャラよりも高めだが、仲間の魔獣は武器にあたる攻撃力が0となっており、攻撃はあまりあてにならず、魔法もボス相手だと効果的ではないケースが多い。
      • 武具装備不可のハンデがあるにもかかわらず、魔法を一切覚えない魔獣がかなり多い。この種類の魔獣は盾役にする位しか利用価値がない。
    • 魔獣の強弱差がポケモン以上にはっきりしており、どうしても最終的なパーティが似たり寄ったりの構成になってしまう。
      • 特に問題視すべきは、骨を集めて復活させる「骨魔獣」。そしてそこから復活させる完全形態。普通の魔獣よりも圧倒的に強く、普通に攻略するのであれば使わない理由がない。一方で骨魔獣を使用しない場合の攻略は、本家譲りの難易度の高さもあって困難を極める。
      • ストーリーの進行上ほぼ仲間になるオルトロス、隠しマップで仲間になるが条件自体はゆるいケルベロス、そしてその二体をイベントで合体させることで仲魔になるソルレオン。基本的に骨魔獣三種とこれらがストーリー中最強パーティになる。
    • 当然ながら、通信機能による対戦プレイのバランスも相当な粗削りとなっている。
      • 仲魔の育成や魔法(スキル)継承といったカスタマイズ要素もまだ存在しておらず、戦法のバリエーションは極めて薄い。この辺りは最初期の作品故に仕方が無い部分も無い訳ではないのだが…。
+ ネタバレ注意!
  • なんと本編クリア後に本作ラスボスを、敵として戦った時のままの能力で仲魔にできてしまう。
    • 『ポケモン赤・緑』当時において絶対的一強として君臨していたミュウツーを鼻で笑える程のバランスブレイカー…と説明すれば、どれ程の強さを有しているかお分かりいただけるだろうか。
    • このため、当時のガチ対戦ではラスボスなしルールが暗黙の了解となっていた。ラスボスの性能について何も知らないチビッ子が頑張って育てたさいきょうのぱーてぃを、此方の使うラスボスで一方的に撲殺して驚かせるというのは当時の定番ネタだったそうな。
    • 勿論ラスボスなので、本編攻略には使えない。せめてもの良心(?)といったところか。
    • また一部ボスも加入できるのだが、それらもラスボスには劣るが非常に強力。クリア限定の合成魔獣より強力でしかも加入条件がクリア後に各地にいる彼らに話しかけるだけという非常に簡単なもの。ノーヒントではあるがそれはクリア後限定の合成魔獣もそうである。
    • 仲魔にできるボスキャラは4体。更に骨魔獣3体とソルレオンで枠が埋まるので、最終的に自由に扱える仲魔の枠は2体になってしまう。当然、この2体をクリア後の特殊合体悪魔枠で埋めるのであればボスキャラを仲魔にする前に行う必要がある。
  • 上記要素を除いても基本的には「先にムド(即死魔法)を当てた方が勝ち」という展開になりがち。ムドを縛っても人間キャラは全員強力な攻撃魔法を習得しており、魔獣は物理攻撃に問題があるためやはり単なる魔法の撃ち合いになる……と、とにかくやれることが少ない。地味に攻撃属性による相性こそあるが、ゲーム上のステータスでは表示されないため実際に魔法を当ててみないと判断は不可能。なお人間キャラは使える魔法こそ強力だが、全ての属性相性がゼロ扱いで、防具による魔法防御でしか軽減できない点と、魔獣と比べてHPが劣りやすいため、実はかなり不利。
    • アイテム周りの不便さ
      • アイテムを持てるのは人間だけ、しかも1人につき8個まで。
        • 追い討ちとばかりに持てる道具のうち3個は武器・鎧・盾で埋まる事になるため、事実上5個(盾を装備できない女性キャラは6個)しかアイテムを持てない事になる。その枠内で回復・復活・重要品といったアイテムをやりくりしなければならず、想像以上にしんどい。
      • パーティ内でのアイテムの受け渡し方法にも少々癖がある。
      • 武器防具の値段が高めに設定されており、その時点で最高の装備を買おうとすれば長時間の稼ぎ作業が避けられない。
        • 2つめの町の時点で、お値段6,000マッカの装備品が売りに出されている。この時点で回収できるマッカは1戦闘につきおおよそ40前後。背伸びして買おうとしたら相当な戦闘回数を要求される。どう考えても序盤の町で売っている装備品につけていい値段ではない。
        • 攻略を進めるにつれて装備品の値段も当然のように上がっていき、6つ目の町の時点で装備品につけられた値段の最高値が5桁を突破する。そして作中に登場する最高額の装備品は、驚くなかれお値段81,000マッカ。
        • 流石に終盤になれば1戦闘500マッカ前後と敵から獲得できる資金も他のRPGと比べても多くなり、資金稼ぎ自体はオート戦闘が快適なのもありそこまで大変という訳ではないのがせめてもの救いか。
    • 仲魔と仲間の設定やデザインが色々とおかしい
      • 原典では妻が居る破壊神シヴァが どう見ても女神 だったり*4、蜘蛛女アルケニーが虫みたいで 女どころか蜘蛛の面影すら皆無 だったり、凶鳥チョンチョンが頭の尖ったかわいらしい 妖精的なキャラ だったり、一角獣ユニコーンが小さな羽が生えた 不細工なカバ だったり、妖精バンシーが ポケモンのベトベターみたいな怪物 だったり、悪霊レムルースがこぢんまりとした てるてる坊主 だったり。名前から抱くイメージと、実際のグラフィックから受ける印象がかけ離れ過ぎているものがかなり多い。
        • 他にも道化師のような格好のアヌビス、どちらかと言うとガルーダ*5の見た目なスザクやパズス、ハゲ頭のヴィシュヌやロキなど良くも悪くも「このゲームに登場するのは本家の悪魔ではなく魔獣である」という前提だと思われる独特な解釈が見られる。
      • 仲魔になった魔獣のグラフィックが一切見られないというのも、地味ながらかなり寂しい。
      • 人間の仲間についても、首をかしげざるを得ない設定が見られる。
        • デフォルトで「ウラノス」というギリシャ神話の男神の名前*6を付けられた仲間キャラが居るのだが、このキャラの性別はれっきとした 女性 である*7。男性仲間キャラの「キシュ*8」と名前を交換した方がまだマシだったかもしれない。
      • 人間キャラにもグラフィックが用意されているのだが、エンディングか対戦モードでしか見ることができない。
    • 設定の不便さや不可解さ
      • 倒れた仲間を復活させるアイテムや魔法は移動中にしか使用できないため、戦闘中に復活させる手段が全く無い。
        • にもかかわらず、即死魔法のムド系を使うボスが結構おり、やっかいこの上ない。
      • ダンジョンは全てシンプルな構造で、迷うことはまず無い。小部屋とも言うべき分岐点の先には大抵宝箱が置いてあり、罠になりうる無駄な通路が存在しない。
        • しかし、なぜか町の建物の方が複雑で、どこにどの店があるか外見ではわからないことも多く、宿屋に行くだけでも結構歩かされることがある。預かり屋も町によって宿屋にあったり道具屋にあったりと場所が一定していないうえに看板も無いため、入ってみないと有無がわからない。ある意味ダンジョンより面倒。
      • 最後の惑星で、回復の泉がある魔獣のほこらに、強力な武器があるのだが…。
        • 特殊効果などは持たないうえに、装備可能な2人のうち主人公の最強武器は惑星に来る前に入手可能、もう1人のキシュの最強武器もこの惑星の別の場所にあるため、この武器の存在意義がほとんど無い。
        • 一応、主人公以外の2人の最強装備があるほこらは隠されているうえにノーヒントであり、後述の通り主人公が最強装備を手に入れられないシナリオルートもあるので、そちらのルートを攻略する場合や、機種の最強装備に気付かなかった場合は、誰かの最終装備にはなり得るのだが…そもそも、 主人公の最強装備一式は簡単に手に入るのに他の2人は全て隠し扱い という時点で不可解。
        • さらに言えば、なぜかキシュには、最強装備の中に専用の盾が存在しない。鎧はあるのに…。
      • 店で物を売る時、売却不可のアイテムを選ぶと、それがどんなに貴重な物であっても「 こんな1マッカの値打ちにもならない物は引き取るわけにいかないね! 」という、とんでもない暴言を吐かれる。売れないだけでそんなトゲのあり過ぎるセリフを入れる必要あったのだろうか?
    • プレイヤーにとって若干不親切なシナリオ
      • 設定が独特な上にシナリオ序盤から本作独自の用語が遠慮なしに飛び交うため、プレイヤーは置いてきぼりを喰らいがち。
      • 「主人公を導く女神や神官は一概に善とは言えず、また魔獣を操る人間も必ずしも悪とは言えない」など本家に通じる深いテーマではあるのだが、全体的に主人公(=プレイヤー)に対しての説明があまり無く、しかも説明不足なまま話が進んでいく。
      • 一応マルチエンディングでルートによってボスの台詞やエンディングのメッセージが変わるが、分岐条件はあるイベントを取りこぼしたかどうかのみ。取りこぼした場合は主人公の魔法欄がスカスカかつ最強装備も手に入らない状態で最終ダンジョンに突入する。
        • ただし該当するイベントは期間限定ではなくきちんとイベントを追っていれば普通に回収できるものなので、むしろ取りこぼした場合の展開が存在することを知らないままクリアすることになる可能性の方が高い。

    総評

    ゲームバランス、システム共にもう一歩といった出来栄えであったものの、携帯機における新たな女神転生シリーズとして一定の支持を集める事には成功した。
    単体の作品としても、ポケモンに先駆けて「収集・育成した仲間を戦わせる」通信対戦要素を取り入れたという、ゲーム史を語る上で外せない作品である事には違いない。

    本作の評価を受けて、ラストバイブルは本家女神転生から独立し、独自の方向で続編などのシリーズ展開が行われていく事になる。

    移植・その後

    • 1994年にセガから発売された本作のゲームギア版は、ハード特性を生かしてカラー化され、魔獣のグラフィックやBGMもGB版とは異なっている。
      • ラスボス攻略後にエピソードが追加されており、エンディングもGB版とはまったく違った展開となっていた。一部のキャラの設定やアイテムの名称の変更もなされており、移植というよりリメイクに近い。
      • 全体的にデザインがGB版よりグロく一部の敵はもはやホラーゲームの様相を呈している。また検閲が緩いのを良いことに裸の敵が異様に多い。男も女も。
    • 本家から独立した後のシリーズ作品『II』では、キャラクターが全体的に漫画調のデザインとなった。
      • 人間キャラのデザイナーは金子氏から変更されているが、一応金子氏も制作に参加はしている模様。ガネーシャなど、本家真女神転生の悪魔のデザインに近い魔獣も登場した。
      • 見映えだけならばGBのメインユーザーである児童層をターゲットに変えたかのように見えるが、そのストーリーは子供向けの絵柄とは逆に「オープニングから人間の赤子の皆殺し」「魔獣の虐殺描写」「立て続けに起こる登場人物の惨死」「死亡した妻子を蘇生させようとした仲間の結末」「主人公達の真実」とあらゆる要素が暗くて重い作風となっている。このゲームは携帯アプリの『新約II』と共にメガテンシリーズきっての鬱ゲーとして有名である。
    • 1999年には『I』と『II』がそれぞれゲームボーイカラー対応の移植版として発売された。
      • 色数ではGG版に劣るが、幾らかゲームバランスの調整が行われており、多少は遊びやすくなっている。
      • 一部の魔獣のグラフィックが新しいものに変更されている。ただし、「ゾードH」や「ガルーダ」などの不可解な見た目に変わっている魔獣や、同じグラフィックな上に配色まで被っている魔獣がいくつかいる。「GBC版II」では配色被りが極力起こらないように配慮されているようなのだが……
      • 3DSのバーチャルコンソールで遊べるのはこちらのバージョンのみ。
    • 本シリーズを制作したMITは、後にこの路線を引き継いだ『デビルチルドレン』シリーズを制作した。こちらも絵柄に反して中盤から重いシナリオになっていく。詳細は当該記事にて。
    • 2000年に始まったニンテンドウパワー*9では続編の『女神転生外伝 ラストバイブルII』とともにローンチラインナップとして起用された。どちらもFブロックをフルに使うため、メモリカセットをまるまる1つ専念させる必要がある。
      • スクウェアとエニックスが非参入だったため、同サービスの数少ないRPGタイトルとなった。
    • 2007年より2014年まで、アトラスモバイルコンテンツでフィーチャーフォン向けアプリ『新約ラストバイブル』シリーズ全3作が配信されていた。
      • ラストバイブルという名前を冠してこそいるが、その実態は“新訳”とある通り単なる移植ではなく、独自路線のシリーズ作品となっており、実質完全新作。『新約I』はGB版ラストバイブルのグラフィックがモチーフとなっているデザインのベリアルやバアルなどが登場するが中身は別人であり、『新約II』や『新約III』は原作のラストバイブルシリーズの作風からもかなりかけ離れたシナリオになっている。ただし『新約I』は比較的落ち着いているが、『新約II』や『新約III』は鬱展開の中でメタネタが多く台詞回しのクセも強め。
      • G-MODEアーカイブスシリーズにて2022年7月14日からSwitch向けに『新約I』が移植配信され、その後『新約II』や『新約III』も順次配信されてプレイ可能になっている。
    • 2020年10月に発売されたゲームギアミクロレッドカラーには、GG版『ラストバイブル』と『ラストバイブルスペシャル』が収録されている。
      • 獲得経験値と資金が2倍になるイージーモードも収録されている。元々が骨太な難易度なので、イージーモードでも標準的なRPGと同程度にはやり応えを感じられるだろう。

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    最終更新:2023年06月07日 06:14

    *1 ダメージを与える消費しないアイテム。ストーリーで手に入り、イベント的にも重要アイテムだと勘違いしがち。実際にはイベントでは使う場面はない

    *2 味方キャラ全員を回復する消費しないアイテム。元ネタ的にはボアズとは対になっているが、作中ではなんの説明もなく宝箱に入っている

    *3 MP回復アイテム。上位にパナケアというものがあり、元ネタはおそらくギリシア神話の癒やしの神

    *4 海外版だと名前がそのシヴァの妻の姿の一つであるカーリーになっている

    *5 このゲームにはガルーダも居るがそちらは通常の鳥系のグラフィック。GBC版だと何故か妖精系

    *6 しかも国によっては男性同性愛者を指す暗喩として使われる

    *7 あるいは「ウラヌス(天王星)」と勘違いして命名したのか。事実海外版だとUranusになっている

    *8 こちらの元ネタはイスラエル王サウルの父親か、古代メソポタミアの都市の名前と思われる。ただし海外版だとスペルが異なる

    *9 ローソンで2002年8月まで行われたゲームソフトの書換えサービス(スーパーファミコンは1997年9月30日に既に開始)。空状態の専用メモリカセットを2,500円購入して別料金で書換えて入れる必要がある。スーパーファミコンほどではないものの割高な上に、端末の操作がわかりにくく普及しなかった。