This War of Mine

【でぃす うぉー おぶ まいん】

ジャンル サバイバルシミュレーション
対応機種 Windows 7/8/10
Mac OSX 10.6以降
Ubuntu 14.04以降
開発・発売元 11 bit Studio
発売日 【Steam,GOG】2014年11月15日
【Epic Games Store】2019年7月26日*1
価格 1,980円(Steam, Epic Games Store)
$ 19.99(GOG)*2
判定 賛否両論
ポイント 内戦の発生した都市で民間人として生き延びる希有なシチュエーション
難易度が高く陰惨な表現も多いが、MODでヌルゲーにも
2015年10月から公式に日本語対応、ただし翻訳は雑


概要

『This War of Mine』のプレーヤーはエリート兵士ではありません。敵に包囲された都市で必死に生き残ろうとしてる一般市民です。
食料と医薬品の不足に苦しみ、狙撃手や敵対するスカベンジャーに常に狙われています。
このゲームでは、まったく新しい視点から戦争を体験することになります。 (Steamおよび Epic Games Storeの紹介文より)

本作はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中のサラエヴォ包囲から着想された、戦場のまっただ中に取り残されてしまった民間人としてサバイバルするゲーム。
昼間は拠点の構築、夜間は廃墟でスカベンジ(資材集め)をして戦争終結までの生存か脱出を目指す。

特徴

キャラクター

  • プレイヤーが生存させるべき人物。
    • このゲームの目的は、隠れ家に住まうキャクターたち(家族や同居人)を一人でも多く終戦の日まで生き延びさせること、もしくは危険地域から無事に脱出させることである。
    • 複数いる場合[tab]キー、画面右下の人物アイコンのクリック、コントローラーの場合LB,RBで操作キャラを切り替える。
    • 指示できるのは移動とマーカー地点での各種作業のみ。操作できることは少ない。
  • キャラクターにはそれぞれ特技があり、戦闘が得意なもの、調理が得意なもの、士気の回復が得意なものなどがいる。
  • 次のような状態を持ち、体調が悪くなると能力が低下するほか、最悪死亡する。
    病気 自然発生するほか、気温の低い状態を放置すると発生。医薬品類と休息で治療。最悪死亡する。
    怪我 スカベンジ中の戦闘の他、生存者同士の喧嘩でも発生。包帯と休息で治療。最悪死亡する。
    士気 様々なイベントで上下する。特に殺人によって猛烈に低下。低下すると抑鬱状態に陥り、自殺や失踪に至る。
    栄養状態 食事をとっているかどうか。食料アイテムによって回復量が異なる。
    疲労 就寝も休息もさせないと陥る。指示を無視して床で寝始める。
    酩酊 アルコールを摂取すると陥る。士気は上がるが、指示を無視するほか喧嘩を始める可能性も。飲酒は夜間の体温低下も招く
    • 舞台となるポゴレンは寒い地域であり、寒波と体調不良が重なると一晩で凍死してしまうことも。

昼間
市街地で交戦中の軍隊の目を避け、拠点に籠もって補給・物品製作・休息をする。

  • 補給
    • 主に食事。空腹状態だと移動速度が遅くなるほか、士気が下がる。
    • 状態異常の場合、包帯や薬を使用して治療しなければならない。
  • 物品製作
    • 集めた資材を使って家具, 設備, 装備, アイテム類を製作する。
      • 家具類を製作すると休息や調理の効率が上がる。アイテム類は主に探索・戦闘用か状態異常を回復するもの。
  • 休息
    • ベッド(無い場合床)に横になり休息をとる。疲労や体調不良(病気・怪我)が回復する。
  • 訪問者
    • 10時頃に訪問者が来ることがある。内容は、物々交換か人手を貸して欲しいというもの、もしくはそのお礼。生存者がグループへの加入を求めてくる事もある。

夜間

  • 都市の中のマップを選び、キャラクターの一人を操作してアイテム集めをするモード。
    • 本作は2Dサイドビューという、サバイバル物としては珍しいシステムとなっているが、この夜間のモードに丁度良いシステムである。
    • 「留まる」を選んで誰も外出させないという選択もある。
  • 外出先によっては先客がおり、資材を巡って窃盗や強盗(殺人)も発生する。
    • 1日目に誰もいなかった場所でも2日目には誰か居るなどの変化がある。
  • カギや鉄格子、瓦礫の山など探索を邪魔するものを破壊するために、対応するアイテムが必要となることも。
  • バッグパックのアイテム枠はキャラクターによって異なるが、8~17枠。
    • 同一アイテムは同じ枠にスタックすることができるが、アイテムの種類によってスタック可能な上限が異なる。
      • 「材木」は同じ枠に2つしかスタックできないが、「たばこ」や「銃弾」は20個までスタックできる。限られた枠をどう割くかに頭を悩ませることになる。
  • アイテム集めをしないキャラクターは、就寝するか警戒することになる。
    • 「就寝」は名前の通り就寝して体を休める。「休息」とは異なる(「問題点」で詳述)。
    • 「警戒」は夜間の強盗に備えて寝ずの番をする。強盗の被害を抑えられるが、寝不足状態になる。
    • ベッドがある場合「寝床で就寝」がベッドの数だけ選べる。

評価点

  • 「戦時下における難民生活」というシリアスな現実の問題にゲームとして切り込んだコンセプト
    • 本作最大のテーマであり評価点。「疑似体験する」というゲームの特性を最大限に生かして、戦争に巻き込まれた民間人の悲惨さ、無力さを淡々と伝えることに成功している。
      • サラエヴォで報告された「高層ビルに陣取った狙撃手が通りを渡る民間人を遊び半分に狙撃する」という状況も再現されている。
    • ゲームの題材として戦争を扱う場合、大抵は指揮官あるいは戦闘員の視点から描かれるものなだけに、戦火の状況に振り回される民間人の視点に徹した本作は「戦争もの」としては類を見ない試みといえる。
    • 戦争を生き延びたとしても幸せなエンディングとは限らない。心理的な後遺症や、単に不運によって悲惨な戦後を送る者もいる。
  • リアルなゲーム性
    • 大きな資材はより大きなインベントリ枠を消費する、住環境の不備が死に直結する、といったリアルなサバイバル要素。
      • 残虐行為に手を染める事による抑鬱状態、という要素が取り入れられているゲームは希有であろう。
    • 特定の嗜好品に固執するキャラや、高齢・女性のキャラは移動が遅かったり、世渡り上手で物々交換の取引がうまかったりとキャラクターの人間性もゲームのシステムに上手く取り込んでいる。
    • 戦争に様々な反応を見せる民間人
      • 家族を亡くして気が狂った男、売春婦に身を落とした女性達、完全武装して家を守る息子……と全員の生活が戦争によって破壊されてしまったことがよく表現されている。
      • 殺人・窃盗で(キャラにもよるが)士気が下がっていく。極限状態に対応していない民間人ならではの要素。
  • 2Dサイドビューで描かれる都市
    • 敢えて奥行きの方向を無くすことで、探索範囲を無駄に増やさず高層マンションや広大な空港などを表現できている。かつての大都市が戦災によって変わり果ててしまったという表現には最適だろう。
    • グラフィックもキャラ顔写真を実写にするなどリアル一辺倒で、シリアスなゲームの雰囲気にぴったり。
    • ゲームのほとんどが木炭画調のモノクロームであり、ゲーム全体の退廃的・絶望的な鬱屈した雰囲気を増幅している。
      • アップデート「FINAL CUT」で追加された拠点はカラーとなったが、シェーディングはそのままの橙色基調で、元の雰囲気を阻害せず、暖かな我が家という雰囲気を醸し出している。

賛否両論点

  • 単純すぎる操作
    • 操作は、作業位置への移動と作業開始(中止)の指示のみで、プレイングスキルの介入する要素が非常に少ない。戦闘すら攻撃アイコンを指示して放置するだけ。
      • 単純に操作することが少なく、手持ち無沙汰になりやすい。
        日中の仕事が、操作したら待つだけの水の精製しかないような場合は、特に暇になる。
      • 最大で3人のキャラを同時に操作可能であるため、ずっと1人のキャラにつきっきりになるような操作性でも問題があるが。
      • なお、このような操作性のゲームはADVでは『東京トワイライトバスターズ(1995年)』の探索パートから既に見られるものであり、特に本作に限ったものではない。
    • PCが特殊技能の無い民間人キャラであることが本作の特徴であり、スーパープレイで攻略するものではないため、そこまで問題ではないという意見も。
      • アクション性が皆無というわけではなく、夜間に人がいる建物内でNPCに見つからないように物を盗んだりは出来る。
        実際、静かに鍵を開けられる器具を用意しておいたほうが良いという悪魔の囁きのようなTipsが出ることがある。
  • プレイヤーキャラのメンタルの弱さ
    • 特徴にあるように、状態異常や殺人・窃盗によって士気が低下し、キャラクターが鬱状態に陥る。
      • 本作のコンセプトである「民間人PC」ということを強烈に表現する要素であり、特に殺人による士気の低下は極めて大きい。
    • 一方、士気の低下が状態異常に陥ったり犯罪を犯したキャラだけでなく、全員に適用されるため、非常に難易度が高くなっている。
      • 前述の通り殺人が全員の士気を大きく下げるため、やむにやまれぬ「最後の手段」としてもリスクが大きすぎる。
        略奪が選択肢に入るのは「ブルーノ・ロマン・アリカ組」「ロマン・エミリア組」などの士気低下率が低いキャラばかりのシナリオか、士気回復の十分な余裕がある時のみ。
      • 一方で「禁酒」スキル持ちは「飲酒での士気上昇ができない」ということに対するバランス調整かそういった自制心の表現かは不明だが「1日の士気減少が最大1段階」という能力を持っており1日なら何人殺しても1段階の悪化で留まる。
    • 殺人でなくとも、強盗や怪我・病気で士気が低下するため、抑鬱で問題に対する対応が停滞、対応が停滞するためさらに士気低下……と悪循環に陥りがち。
      • 殺人・窃盗や怪我・病気を極力避けても、拠点への強盗での士気低下は不可避なため、特に序盤に連続で強盗を食らうと物資の不足も重なり生存が非常に厳しくなる。
      • 励まし適性のあるキャラで回復したいのだが、大半が弱メンタルで真っ先に鬱状態に陥ってしまう*3
    • 一方、全ての殺人行為が即座に士気を低下させるとも限らない。市民を遊び半分で無差別に狙撃している狙撃兵や他国からの援助物資を強奪して私腹を肥やす武装集団等、弱い立場にある一般市民を一方的に食い物にするような相手を排除した場合はむしろ善行として士気が向上する場合もあり、これを利用して士気の回復を狙うこともできる。
  • 鬱ゲー要素
    • 後味の悪いエピローグ
      • 次が一例。必死で戦争を生き延びた報いがこれでは……しかもこれは3段階の真ん中のエピローグである。

        アリカは戦争を生き延びたが、人間不信は続いた。戦争中に見たきた(原文ママ)恐怖の光景のせいで、友達をみつけるのも困難だった。アリカは家庭を持つことも怖くてできず、良い親になれるとも思えなかった。

  • もちろん、良い評価でクリアしたり脱出に成功すれば報われるエピローグも用意されている。
  • ゲーム内のイベントにも鬱要素
    • 老夫婦宅を襲撃し、夫だけを殺害すると、目が悪く病気がちの妻は後日訪れてもいなくなっている。悲惨の一言である。
  • このゲームが徹底して追究している「戦場のリアリティ」の表現でもある。
  • 社会全体の動きがさっぱり語られない
    • 交戦勢力は「政府軍」「反乱軍」としか分からず、エンディングも「戦争が終結した」というだけでどっちが勝ったのかも不明。
      ラジオも気象や物々交換の相場についての話題、意味の無い政府広報*4程度で、戦争の情勢について語ることは無い。
      • 但し「国連が調停のための国連軍を派遣した」など、ゲームクリアまでの日数の目安となる情報は断片的ながら提示される。
    • キャラクター達も戦況の推移に関心を示す者はいない。脱走兵であるロマンくらいは興味を持っても良さそうに思うが……
      • 一般市民はどちらの勢力が勝とうが興味は無く、ただ早く終わるよう願うばかり、という表現であるとも考えられる。
  • 夜間の探索に一人しか連れ出せない。
    • 少ないインベントリ枠に汲々とするゲームであり、2人以上連れて行ければ非常に楽である。
      • もちろん、拠点の防衛は手薄になるためリスクを負うことになるだろうが、そういう選択の幅があれば自由度も広がったのではないか。
    • 戦場となり大荒れの街に、仲間を単独で送り出す、というのも理不尽なシチュエーションである。
      • 大人数で行動するリスクや共倒れの危険性を重視したとも考えられる。
  • 他、リアリティと遊びやすさがカチ合った部分。
    • ゲームクリアに要する日数が分からない。
      • リアルではあるが、最短の20日であれば2時間程度に対して最長の80日であれば6~8時間程度は見込まねばならず予定が立てにくい。特に実況・配信する場合非常に不便。
    • HPゲージが味も素っ気も無い水色のバー。
      • 戦闘がある以上便利ではあるのだが、ゲーム全体から非常に浮いている。

問題点

  • イベント・状況変化・エンディングにバリエーションが少なく、リプレイ性が低い。何周しても同じような展開に。
    • イベントと言えるのは昼間の訪問者、夜間の強盗のみ。
      • 訪問者にしても特徴にあるとおり民間人ばかりで、戦争でも災害でも通用しそうなシチュエーション。反乱軍が物資の徴発に来る、というようなイベントがあってもよかったのでは。
      • 救助やシェルターの補強といった力仕事を頼まれるイベントでも、貸し出す生存者は老人・病人誰でもOK*5。ややリアリティに欠ける。
    • 状況変化も、冬将軍・犯罪激増・戦闘激化の3種類のみ。
      • 犯罪激増は夜間の襲撃の激しさが増すのみ、戦闘激化は数カ所の探索地点に行けなくなるのみ、とアクションパートに関わる変化が無く、あまり実感が無い。
      • 冬将軍はステージのグラフィックが雪景色に切り替わる他、探索地点の制限・水入手方法の変化・病気になりやすくなるなど状況が大きく変わる。
    • エンディングは戦争終結と脱出*6のみで、エンディングコレクション性も非常に低い。
      • また、(脱出エンド以外は)指定の日数をこなす他無く、能動的にエンディングに向かっていけるわけでは無いため、慣れてしまうと非常に単調*7
    • 拠点の間取りは数種のパターンがあるものの、防衛戦モードがあるわけでもなく、設備を設置しにくい拠点というものはあることにはあるが、ゲーム性を大きく左右するものではない。
  • キャラの性能差
    • 探索や物資の節約に長けたキャラが有利な反面、そうでないキャラは下位互換程度の個性に留まっている。
      • 特に強力なキャラは、移動能力が標準なのにインベントリ枠が大きいマルコ、医薬品や料理を少ない物資で作れるブルノ、移動が最速でインベントリも標準のため広いマップの探索に有利なパヴェル。相手の在庫がゼロになるまで買い叩けるカティナも強力だが、おそらくバグ(後述)。
      • ロマン、アリカは戦闘に長けるが、前述のように略奪→全員鬱→全滅ルートに容易に繋がるため使いどころが限られる。マリーンの設備強化時の物資節約も、有用ではあるのだが、生存が安定してから活躍するオマケの感は否めない。
      • アントン、クヴェタ、エミリアなどは基本性能も低い上特技も効果が薄い。ボリスも、インベントリ17枠は破格だが、移動が最遅かつ弱メンタルのため、探索に出しにくく腐らせがち。
    • 弱キャラとして挙げたキャラはほとんどが女性や老人で、そもそも生存能力が低いと思われるため、あえて下位互換にした可能性もある。
      • ただ、前述のようにシステム面でもリプレイ性が薄い上、キャラ面でも「体力任せで資材をかき集めるスカベンジャー」「資材集め能力に劣るキャラでスカベンジャーをやる縛りプレイ」の2つしかプレイスタイルが無くなっており、ゲーム的に有効なシステムにはなっていない。
      • ぱっと見では「極力スカベンジを避ける自給自足スタイル」「殺人を一切厭わない略奪者スタイル」などはできそうなのだが、これら向けの特技の効果が小さく、現実的ではない。
  • キャラクターへの没入感の低さ
    • 2Dサイドビューという視点と、移動して作業指示を出すだけという操作の単純さから、キャラクターに感情移入するというよりは神か監督のような感覚になりがち。
    • 特に、状態異常のキャラクターは度々指示を無視して作業を中断するため、だだっ子に付きっきりで作業をさせるような感覚。
  • ゲームシステムについての説明不足。
    • 「就寝」と「休息」が異なる。
      • 「休息」とは昼間にベッドで寝ていること。病気や怪我の療養に必要。一方、夜間に選択する「就寝」は怪我や病気に一切関係が無く、「警戒」でも「就寝」でも回復量は同じ。
    • 怪我をした時に包帯を使うことで回復が早くなるのだが、その効果が1日だけで、毎日包帯を変えなければならないという説明はない。
    • キャラクターの情報の内明示されるのは、体調・インベントリ枠数・特技程度。
      各キャラクターには、戦闘適正・倫理観(窃盗・殺人での士気低下率の高低)・ギターが弾けるといった要素もあるのだが、隠しパラメータとなっている。
      • 特に、アリカが静かに移動できるだけではなく、戦闘適性も2番目に高く殺人での士気低下率も低いことなどは知っておきたい情報なのに……
      • ギターが弾けない者ばかり集まったシナリオ(ボリス・エミリア・マリーン組など)でギターを製作して腐ってしまうことも。
      • 「特技」の文面から能力が読み取れないこともあり、アントンの特技「熟練の数学者」の効果は「ネズミ取りに要する時間の短縮」、「優れた弁護士」であるエミリアは「味方の士気低下率減少」。
  • 戦闘システムのバランスの悪さ
    • 戦闘はクリックで目標を指定することによる射撃と格闘の他、物陰に隠れたり背後から接近しての不意打ちがあるのだが、この不意打ちがあまりにも強すぎる。
      ガチガチに武装した政府軍兵士でさえアンブッシュが決まればほぼ一撃必殺。このため、操作に慣れマップを把握してしまえば物陰に敵をおびき寄せてバールで一撃、の繰り返しで殆どの拠点は簡単に制圧できてしまう。
      • 背後からバールで殴られて無事な人間などいないのでこれもリアリティの一環ともとれるが…
    • もちろん一度に一人しか倒せないし、倒した後は少しの間もとの物陰には隠れられなくなるので迂闊に行えば残りの敵に射殺される危険はあるが、武装した兵士を倒して得られるリターンに対してリスクはかなり低い。
      そうしてライフルと銃弾を手に入れてしまえば、後は割と雑に連射するだけでも政府軍に勝ててしまう。無力な民間人とは何だったのか…
      • 上述されているように政府軍は市民を虐げているため、殺しても士気があまり下がらない*8のも手伝って、慣れてしまうともはや格好のカモである。
        最終的にはバール一本ひっさげて政府軍駐屯所に乗り込み、櫓の見張りを殴り倒して銃を奪い、ハシゴを登ろうとする敵を撃ち落として排除。
        そして屋内に入ったら後は物陰からのバールで単独占拠も難しくない。あとはたんまり溜め込まれた物資の山に埋もれるようにして期日を待つだけのゲームに…
  • 後半がダレる
    • リソース管理系ゲームによくある「後半になるほど増す消費に追いつくように供給を強化する」という要素が無く、とりあえず人数分食っていける食糧供給があれば問題ない。
      むしろ食糧供給、拠点構築、治療*9の3つを平行して行わなければならない最序盤が最も難しく、どんどん難易度が下がっていく。
      • 拠点の構築が終わってしまうと昼間は飯を食って寝るだけになってしまう。
      • 夜間の探索も、前半は次々探索先が解放されるが20日ほどで全て出切る。特に殺人を避けてクリアしようと思うと探索できる部分がかなり少なくなってしまう。
  • 物資の絶対的欠乏
    • 物資の再配置システムは無いため*10、40日以上のシナリオでは、強盗や殺人を厭わず物資を集めても一部の消耗品が不足しがち。
      • 特に「水」を入手するために消費する資材「材料」が欠乏しやすく、物々交換で水もろともに購入しておきたい。
      • 水の入手手段としては、「冬将軍時に庭先で「雪」を回収・貯蔵→「燃料」を消費して「水」に変換」というシステムを利用して「材料」を温存する手もある。(「雪」は冬将軍が終わっても消滅しない)
        豪雪の中1日中ぶっ通しで雪を回収し続ける重労働をさせることにはなるが、傷病には繋がらないので非常に有効なテクニック。
    • 教会や病院、政府軍の拠点に救援物資などが届いてもよかったのではないか。
      • 物々交換可能なマップには取引者達の在庫保管場があるため、彼らを殺さなければ何度でも窃盗できる。一種の裏技ではあるし、窃盗なので(駐屯地以外では)で士気が下がる。
  • その他の問題
    • 物々交換にボーナスの入るキャラ(カティナ、保険外交官*11)で交換と買い戻しを繰り返すと無限に資材が増える。
    • 昼間に外に出られない理由を「スナイパーの目があるから」としているが、5日に1度は物々交換を求めて真っ昼間に人が訪ねてくる。
      • しかも、狙撃手が見ているはずなのに、家に入らずに玄関先で用事を済ます。
      • ただしこれはあくまで「昼間に探索へと行けない理由(=戦闘に巻き込まれるのを防ぐ為)」であり、脅威もスナイパーに限らず交戦中の軍隊全て、となる。主人公達の拠点自体は戦略的な価値の低い位置にあるので常に監視がある訳ではなく、前述の訪問者に関しては相応の危険を冒してでも日々の糧を得ようとしている――とも解釈できる。
      • そもそもマップ「狙撃手の交差点」や「建設現場」では夜間でもスナイパーが無差別狙撃を行っている。ただ、無差別ということは軍の組織立った監視ではなく夜闇に紛れられる分やはり昼間よりは安全ということなのだろう。
    • 病人・怪我人の行動が理不尽
      • 治療するには本人を専用の治療品置き場に向かわせる必要があるにもかかわらず、それらが重度になると治療のための移動を指示しても途中で指示を無視してベッドに戻っていることがよくある。リアリティという意味でもゲーム的な快適さでも重度な患者は仲間に治療させてもよかったのでは。
    • DLCの子供システムについて
      • 「大人と同量の食事で栄養状態が2倍回復」するため、「大人1人前を平らげ、絶食4日でやっと空腹を訴える」という凄まじいバイタリティの幼児になってしまった。
      • 半個単位の管理が難しかったのだろうが、大人と組で食事させ回復量で調整するなどやりようはあっただろう。
    • 雑な日本語対応
      • インベントリメニューが「{MS私}」のまま放置されている。最終アップデートで修正されたが、「{{MS私}たちの持ち物}」となっている。
      • 「非難(避難)した地下室」「建物は債権(再建)された」「できんだいだろう」などの誤植が多数。
      • 文字の解像度が低く、フォントも見づらい。しかも、原文との字数の違いか文字が見切れていることもあり、結構重要な情報がさっぱり読めないことがある。
      • 公式で日本語対応したにもかかわらず内容に問題が多すぎるためか、きちんと改善されている有志の日本語MODを利用している人も未だにいる。

総評

完成度の高い、やり甲斐のあるゲームとはとても言えない。
システムの説明がろくにされない上、難易度調整がいびつで、慣れないうちは訳も分からず死んでしまうが、慣れるとシステムの穴を突いて軍事基地を一人で制圧するのも難しくない。
リプレイ性の低さや操作の単調さも面白味を削ぐのに一役買っている。
とはいえ、本作は「戦災シミュレーション」であり、終わりの見えないストレスに鬱々と耐える、紛争難民の悲惨さ、無力さを追体験するものである。
この点で見れば、先に挙げた問題点もテーマ性の表現としては効果的なものが多く、戦災の追体験としては成功していると言える。
鬱ゲーでもあり、ストレス要素が強いことは確かだが、それこそがゲームのテーマ性を際立たせている、という特異な状況が本作の評価を難しくしている。


後の展開

  • 2016年1月に「子供」の特殊生存者が登場する『This War of Mine: The Little Ones』がPS4, Xbox One向けに発売された。
    • 2016年6月には、CS版『This War of Mine: The Little Ones』の追加要素をPC版に追加するDLC『This War of Mine - The Little Ones DLC』が発売された。
      • 子供は探索・製作・取引ができず、防衛へのボーナスも無い完全に無力な存在。
      • 大人と同量の食事で栄養状態が2倍回復する。
      • 親族と一緒に寝ることで、両者の疲労度を2段階回復することができる。
      • 専用家具「おもちゃ」を製作することで士気が回復するほか、会話による士気回復量が励まし適正持ちと同量である上1日に2度実行することが可能なため、士気回復役としてはかなり優秀。
  • PC向けに追加シナリオ集がDLCとして発売されている。
    • エピソード1『This War of Mine: Stories - Father's Promise』
    • エピソード2『This War of Mine: Stories - The Last Broadcast』
    • エピソード3『This War of Mine: Stories - Fading Embers』
    • 上記3エピソードをすべて含んだ『Stories - Season Pass』というセットが、エピソード3の詳細について発表もない時期から既に発売されていた。
    • 現在は「The Little Ones DLC」と前述のシーズンパスが同梱された、『This War of Mine:Complete Edition』も配信されている。

余談・MOD

  • Steamワークショップに対応しており、多数のMODが投稿され、容易に適用することができる。
    • GOGやEpic Games Storeから本作を購入した場合はやや不便となる。
    • 特に人気があるのは、やはりインベントリ拡張もの。これと鬱無効MODを投入するととたんにヌルゲーになる。
    • ジョークMODも多く、ギターの曲を差し替えるもの、バールを一撃必殺にするものなどがある。
    • キャラクターについてはゲーム内に自作キャラMODエディターが内蔵されており、簡単に作ることができる。
      • 顔写真は自由に差し替えることができ、「マリオ」「エージェント47」といったゲームネタ、「ブルース・リー」「ジョン・メイトリクス」といった映画ネタ、「ウラジミール・プーチン」「AVGN」「小島秀夫」といった実在人物ネタなど多数投稿されている。
      • エディット要素が「特技(7種類)」と「性別」「ゲーム中の外見」「顔写真」しか無く、ジョーク以外に使い道が無いという声も。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ストラテジー
  • シミュレーション
  • サバイバル

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最終更新:2022年12月15日 00:39

*1 発売より1週間無料で配布された

*2 オリジナル・サウンドトラック付き

*3 「共感性」というステータスがあり、これが高いほど「会話」コマンドでの士気回復量が大きいのだが、同時に他キャラの士気低下にも影響されやすいので共倒れになることが多い。

*4 「反乱軍に加わらないように」というもの

*5 手伝いに貸し出している間は体調が変わらないので、むしろ医薬品が無い間の時間稼ぎとして利用可能。

*6 2周年記念アップデートで追加

*7 脱出エンドは探索中に特定のNPCと接触し、その後「宝石」を10個集めて渡すとエンディングとなる。

*8 ついでにプレイヤーの気もあまり咎めない

*9 ほとんどのキャラクターはゲーム開始時に怪我か病気を持っている。

*10 冬将軍時は別マップ判定になるのか一部資材が復活するが

*11 エディットキャラ用の特技