ラングリッサーI&II

【らんぐりっさーわんあんどつー】

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)


※通常版


※限定版
発売元 角川ゲームス
【Win】NIS America
開発元 シティコネクション
キャラアニ
監修 エクストリーム
発売日 2019年4月18日
【Win】2020年3月10日
定価 通常版6,800円(税別)
限定版9,800円(税別)
【Win】6,450円(税込)
判定 良作
ポイント ゲームシステムを全体的に調整
シナリオは追加を除いてそのまま
変更をどこまで受け入れるかで評価が分かれる
備考 限定版にはオリジナルサウンドトラックとイラスト集が付属
ラングリッサーシリーズ


概要

SwitchとPS4で発売されたフルリメイク版。過去にPSで発売された同名のカップリング移植『ラングリッサーI&II』とは内容が大幅に異なっている。
当初は2月に発売予定だったのだが、よりクオリティを高める為と言う理由から4月に延期された。
今回はKADOKAWAグループのキャラアニが企画を、パブリッシャーは同じグループ会社の角川ゲームス、開発はレトロゲームのリメイクに定評があるシティコネクションという布陣。そして、版権保有者のエクストリームは監修として参加する事となった。
リインカーネーション』の悪夢が記憶に新しい中での過去作のフルリメイクという事で、不安を隠せないファンも多かったようだが…

旧作からの主な変更内容

  • I』のオリジナルの楽曲が収録された。
    • 前述の通り旧作では版権の都合から『I』の曲はオリジナルの物が使えなかったのだが、本作では版権問題が無事に解決し、オリジナルの曲が大幅アレンジして収録された。
    • ただしPCE版『I』のEDで使用された歌だけは版権問題が解決しなかったようで、『II』のスタッフロールの曲で代用されている。
  • ステータス周りの大幅仕様変更
    • 旧作ではどれだけレベルが上がろうが全ユニットでHPが10で固定*1、他の能力値もLV・MP・AT・DF・指揮範囲・指揮修正(AT+とDF+)・MOVのみと非常にシンプルだった。
    • 本作ではATはACT、DFはDEFに名称が変更。また能力値の種類もAGLとDEXと魔法系の指揮修正が増え、HPも少ないユニットでも100程度、最終的に育てれば500近くにまで成長するなど、よりユニットごとの個性が出るようになっている。
      • 今まで可視化されてこなかったMAG(魔法攻撃力)、MGR(魔法防御力)などのステータスも可視化されるようになった。
    • 装備品については、『4』『5』と同様に、武器・防具・装飾品の3点構成となった。
    • 『3』以降のようにスキルあり。
  • 『I』にもマルチエンディングが採用された。
    • 一部ルートでは本作の新キャラである「ベティ」が登場し、新たなヒロイン格として活躍する。
    • 『II』のドラマティックエディションで追加された、破滅ルートと真・光輝ルートも収録されている。
  • 全編フルボイスになった。
    • 旧作では容量の都合からか音声が流れないシーンも多かったのだが、本作ではモブキャラも含めて全てのセリフに音声が収録され、正真正銘のフルボイスとなった。
    • 『II』の破滅ルートと真・光輝ルートもSS版では音声は一切無しだったのだが、本作ではちゃんと全編フルボイスになっている。
    • 隠しシナリオもこれまでのシリーズではいずれも音声無しだったのだが、本作では全編フルボイスになった。
    • 声優陣は全員総入れ替えとなっているが、旧作でランスの声を担当していた井上和彦氏のみ、本作ではボーゼル役として引き続き参加している。
      • また、一部のキャラを除き、スマートフォン用アプリ『ラングリッサー モバイル』とも異なるキャストが当てられている。
  • クラスチェンジのシステムも見直された。
    • 旧作では前述の通り、レベルが10になった時点でクラスチェンジしレベルが1に戻る、という仕様だった。
    • 本作ではレベルは一切関係無く、レベルアップした時とシナリオクリア時に一番敵を多く倒した指揮官が入手出来る「CP」というポイントを消費し、クラスを開放するという仕様に変更された。
    • クラスチェンジをする事でレベルが1に戻る事も無くなった。*2
    • その際に開放済みのクラスには、準備画面でいつでも戻れるようになっている。
      • これにより本作ではアイテムからルーンストーン*3が削除された。
    • また、クラスチェンジの度にキャラクターにスキルが追加されるようになった
      • これはそのキャラクターのステータスを強化するもので、よりクラスごとの個性が強まったといえる。
  • 旧作では裏技扱いだったシナリオセレクトが、本作では「シナリオツリー」としてシステム化された。
    • これにより過去にクリアしたステージならレベルと装備を維持したまま、準備画面でいつでも戻れるようになった。
    • また分岐するシナリオにおいて、「どのような条件で分岐するのか」が詳しく表示されるようになっている。
    • ただしこのシナリオツリーにも問題点がある。詳しくは後述。
  • 傭兵ボーナスが廃止された。
    • 旧作ではシナリオ毎に生き残った傭兵の数に応じて指揮官の攻撃補正が上昇されるシステムが備わっていた。
    • 本作では撤廃され、傭兵を最後まで生き残らせるメリットは特になくなった。
  • 治療コマンドが廃止された。
    • その代わりに、レベルアップ時にはHP・MPが全回復するようになっている。
  • ムービーは流れなくなったが、代わりに要所で一枚絵が表示されるようになった。
  • 指揮官の撃破数がステータス画面でいつでも確認出来るようになった。
  • 隠しアイテムの場所が視覚的に分かるようになったほか、傭兵でも回収できるようになった。

評価点

  • ゲームバランスが大幅に見直され、全てのルートで満遍なく同程度の難易度に調整された。
    • 『II』では帝国ルートに突入してから急激に難しくなるのだが、本作ではそういう理不尽な部分が解消された。
    • 凶悪な難易度だとされていた『II』の真・光輝ルートも、本作ではマイルドな難易度に調整されている。
  • さらに広がったやりこみ要素
    • 『I』では旧作では分岐無しの1本道だったのに対し、本作では8ルートものシナリオに分岐する。
      • 分岐条件も細かく、そう簡単には遊びつくせない。
    • 旧作で隠しクラスの存在しなかった全てのキャラクターに隠しクラスが解放されたため、キャラクターを育成し続ける意義も強まった。
    • 旧作では不可能だった、「下級クラスのまま攻略する」という進め方も可能になったため、プレイングの幅が増えたと言える。
  • グッドED条件の緩和
    • 一度でも指揮官が撤退すれば、その指揮官のエンディング内容がバッドEDになっていた旧作とは異なり、本作では一定数まで撤退してもグッドEDが見られるようになっている。
  • 撤退数のリセット
    • 一度ゲームをクリア後に、セーブデータを引き継いだまま最初からやり直すかどうか選択肢が出るのだが、これにより撤退数と撃破数をリセット出来るようになった。
    • これにより旧作と違い取返しのつかない事態にはならなくなっており、撤退数の付与に怯える事無く気軽にプレイ出来るようになった。
  • BGMの良質アレンジ
    • 旧作では版権問題で使用出来なかった『I』の曲も含め、過去作の曲が全て大幅アレンジされているのだが、特に違和感無くゲームに溶け込んでいる。
      • また初回生産版に封入されているダウンロードコードを導入することでBGMをPS版『ラングリッサーI&II』のものに切り替え可能になり、更にごく一部のネットショップのみでしか取り扱われていなかった豪華限定版に至ってはこれまで全てのIとIIのBGMに切り替え可能になるコードが封入されていた。
  • セーブスロットの増加
    • 旧作では『I』『II』それぞれ3個ずつしかなかったセーブスロットが、20個ずつに増加した。
      • 先述したように、本作ではルート分岐が非常に多いため、各ルート進行を管理する上でも非常に役に立つと言える。

賛否両論点

  • クラシックモードの仕様
    • これはグラフィックやBGMを旧作のものに変更することができるシステムのことであり、初回生産版*4に導入された。
    • 旧作ファンにとってはありがたい仕様… と言いたいところだが、実際のところこのシステムが適用されるのはマップグラフィックと主要キャラクターの立ち絵とBGMのみ。
    • ユニットのグラフィックやモブキャラクターの立ち絵は据え置きのため、実際にプレイしてみるとかなり中途半端な印象を受ける。
    • 特にキャラクターの立ち絵が旧作でありながら、ボイスのみリメイク後のものが流れる光景には後述の問題もあって大きな違和感を持つ旧作経験者もいた。
  • 声優陣の総入れ替え
    • 総じて演技力は問題無いものの、旧作とは完全に声質が別物になったキャラも何人かいるせいで、どうしても違和感を感じると言うユーザーも多い模様。
    • 特に顕著なのが光の女神ルシリス。平松晶子氏が演じた旧作では女神らしく凛とした喋り方になっていたのだが、早見沙織氏が演じた本作では何故かおっとりとした口調に変更になっているため、全く同じセリフなのに旧作とは完全に別人のようになってしまっているのである。
    • だが、こればかりは仕方が無い部分もある。毎度のことであるが既に声優を引退している、あるいは鬼籍に入ってしまった方たちも何人かいるので、旧作の声優を全員揃えるなど今更無理な話なのである。
    • 重ねて言うが、新たな担当となった声優陣の演技力に関しては概ね問題無い。
      • なおそもそも初出のメガドライブ版ではモブキャラに至るまで同じの「ウワー」「キャー」という汎用の悲鳴くらいしかボイスと呼べるものはなかったので、よほどの棒か単体で見てもミスキャストでもない限り別に誰でもいいという意見もある。
  • マップデザイン変更による弊害
    • 全体的に旧作よりもマップが広く設計されているため、敵と対峙するのにやや時間がかかる。
      • ゲーム後半になれば敵は強力な魔法を遠距離から放ってくるため、嫌でも敵との距離の長さを意識する場面が増えてくる。
    • また、マップが広くなった関係上、NPCを救援する必要のあるシナリオの難易度が若干上がった。
      • 例として挙げられるのが『I』の3章。このシナリオでは、教会に逃げてくる村人を守りながら敵を倒していく必要があるのだが…
      • 旧作では村人を放置していてもさほど問題がなかったのに対し、本作ではマップが広くなったことにより、敵が幅広く分散されるようになったため村人全員をカバーすることが難しくなっている。
    • 一見プレイヤーに不利な仕様だと思えるが、ユニットのステータスは抑え気味なので、ある意味バランスはとれている。また、旧作との難易度差別化の一環として考えれば悪くはない。
  • 魔物の没個性化に伴う戦闘の単調化
    • 旧作では歩兵・槍兵・騎馬の3すくみ兵種に分類されていた魔物たちの多くが共通の兵種へと統合された。
    • 例えば旧作で槍兵だったゴーレムや、騎馬だったボーンディーノは、一律「怪物陸」という兵種に変更された。
    • この兵種は3すくみの対象外であるため、どの兵種でも平等に戦える半面、3すくみによる駆け引きがなくなるため、単純に高スペックなユニットをぶつけるだけの単調な戦いになりがち。
    • また、魔物ごとの特性も薄まってしまった。例として、旧作におけるゲル系統の魔物は普通の攻撃ではダメージが通りづらく、僧兵をぶつける戦い方が有効だった。
    • 本作ではゲル系統の魔物たちにも普通に攻撃が通ってしまうようになったため、僧兵でなくとも苦戦することはなくなった。そのため、兵種ごとの特性よりも単純なステータスの方が重要になってしまい、結果的に3すくみの駆け引きの面白さを低減させる結果となっている。
  • 基本的にシナリオ・テキストは『ドラマティックエディション』と同じ。
    • オリジナルを徹底的に再現しているとも取れるため、一概に悪いとは言えないが。
    • 『II』のドラマティックエディションの真・光輝ルートで問題になっていた「エンディングが光輝ルートからの使い回しである」という点についても、本作でもそのままとなっている。
  • 中盤以降に目立つ範囲魔法による戦闘の大味化
    • 魔法系のユニットは初期は少し離れた距離へMAG基準で単発攻撃できる程度なのだが、範囲攻撃魔法を覚え始めると接敵時に雑魚一掃を行いやすくなり、これが後半になると広範囲の範囲魔法で何部隊もまとめて攻撃可能になってくる。
      • 敵も味方もMGRが高い一部ユニット以外、範囲攻撃で指揮官以外はかなり危機的な状況になる為、戦闘がかなり大味になってしまう。
      • 初プレイにおいては意識して魔法系ユニットを育てているでもなければ敵の方が先に使ってくる事が多く、特に終盤に複数の指揮官からメテオを連発されて味方が壊滅するのはよくある事。
    • ただしこちらも範囲魔法が使えるようになると同様に敵を一掃出来るようになり、かなりの爽快感もある。
  • 敵専用のMP回復によるバランス調整
    • 魔法系の敵指揮官が範囲魔法を撃ったら何も出来なくなるという事を避けるためか、ゲーム後半になると、一部の指揮官はターン終了時に自動的にMPが回復するスキルを持つようになる。
      • こちらはレベルアップ以外でのMP回復方法がない為、敵有利なシステムが気になるという声もある。まぁ、こちらはこちらで敵よりレベルで大きく上回るまでは範囲魔法で雑魚一掃し、それでレベルアップをして更に範囲魔法を連発という事もしやすいのだが。この点でも範囲魔法による大味化につながっている。
      • とはいえ、それ前提でゲームバランスは取られており、MP回復量も程々なので中範囲程度の魔法を連発される事はあっても、メテオのような広範囲魔法を連発される事はない。待ちゲーはしづらいゲームデザインになっているだけではある。

問題点

シナリオ面

  • 『I』の追加ルートの展開について。
    • 『II』に準拠する形で各勢力に所属するルートと、全てを敵に回す独立ルートが追加されているのだが、闇ルートと独立ルートは少々強引な展開も目立つ。
      • 上記の2ルートへは「闇に操られた敵軍の将を先に倒さない事で帝国撃破後に帝国国内が混乱しランスが危機に陥る」というシナリオ分岐の仕方をするのだが、そこで新キャラであるランスの妹のベティが登場。ベティを助けるとランスの救助を依頼され「内政干渉にならないように国としてではなくレディン個人で動く」事になるのだが、ランス救助後に自国の腐敗貴族による自国民への略奪に遭遇し人類に絶望して世界を滅ぼす独立ルートへと進むことになるのは行動が極端すぎるのでは?と言われている。
      • 闇ルートの方は上記のベティ登場時に救助に失敗すると分岐するのだが、レディンとクリスが闇の軍勢の街に連れ去られ、そこで人を襲わない魔族に手当てを受けていた状況で自国の兵が攻め込んで来た上、魔族をかばうクリスを魔族の仲間として自国の兵が殺してしまうという展開。結果、レディンが魔族側へと付いてしまう事になるのだが、展開が急転直下すぎるとは言われやすい。
    • レディンがエルウィンと比較すると実直で一国の王としての面が目立つキャラである為、どちらの展開も国王として真面目過ぎた結果と取れなくもないが。
  • クラシックモードで追加キャラのみ少し浮いている
    • クラシックモードではキャラグラがうるし原智志氏の物となり、本作からの追加キャラもうるし原智志氏書下ろしのグラフィックになるのだが、他が過去作で使われたグラフィック、新キャラのみ最近のグラフィックになるので、うるし原智志氏の絵柄の変化もあって同じ絵柄の中で少し浮いてしまっている。

戦闘システム面

  • 『リインカーネーション』ほどではないが、AIの出来はあまりよくない。
    • 攻撃指示の場合、表示される予測値でこちらが死なないようなら相性不利でもとにかく攻撃を優先してしまう。予測ではギリギリ死なない為突っ込んだが結局乱数で死ぬといった展開が敵味方共によく発生する。
    • 移動においては指揮官との直接的な距離を優先してしまう。壁を迂回して進まなければならないステージの場合、壁越しでも指揮官に近い位置へ動こうとして実際の指揮官との距離は遠ざかる(次に隣接を目指そうとしたら余計に遠くなる)行動も多発する。
      • 上記のような事がしばしば起きる為、屋内ステージでは手動操作を行わないと上手く部隊がついて来ない。
  • 「治療」コマンド削除による敵挙動の変化
    • 指揮官のHP回復がレベルアップか回復魔法のみでしか行えなくなった為、敵は回復魔法を所持していないと回復が行えなくなった。
      • これにより回復魔法を持たない指揮官やMPが尽きた指揮官が突撃してくる事も起きやすく、周囲の傭兵を倒して経験値を稼ぐ前に指揮官を反撃で倒してしまうという事も起きやすい。
      • 旧作では「敵指揮官はHPが一定値以下になると、攻撃を行わずその場で回復に専念する」という仕様があった為、これを利用して傭兵を倒すまでの時間稼ぎや範囲魔法等の攻撃行動の抑制も出来たのだが、そういった戦法は取れなくなった。
  • 魔法のレベル制限
    • 本作ではクラスチェンジ後に習得する一部の魔法にレベル制限がかかっており、一定以上のレベルに達していないと使うことができない。
      • シリーズ最強クラス魔法の「メテオ」は30レベルが必要で、周回プレイやシナリオツリーによる継続プレイを続けていないとレベル制限を超えられないままクリアしてしまう事もしばしば。
      • とはいえ、このせいでクリアが厳しいというような事は起こりづらく、またレベル制限が敵にもかかる為にある程度シナリオが進むまでは敵側も魔法の使用が出来ないストッパーにもなっている。

その他システム面

  • 粗の目立つUI
    • システムの最適化で遊びやすくなったという触れ込みだったが、実際のところ怪しい部分も目立つ。
    • 指揮官の装備やクラスを変更する画面(メインメニュー)と、マップの確認・傭兵の雇用画面(戦闘準備画面)が別々に分かれてしまい、「敵の配置を確認しながら指揮官の装備を決める」というプレイングがし辛くなった。
      • 一度メインメニューから抜けると、再度同じ画面に戻るには一度シナリオを開始し、スタートボタンを押してメインメニューに戻る必要がある。
      • 旧作では全て1つの画面で設定できたため、このような余計な手順を踏むことはなかった。何故このような形に改悪してしまったのか。
    • 本作ではイベントスキップ機能が実装されたものの、その内容はイベントそのものをスキップするのではなく、メッセージスピードを高速化させて読み飛ばすという機能になっている。
      • スキップしつつ大まかな流れを追う事は出来たりとこのシステムにも利点はなくはないが、一括スキップ機能も欲しかったところ。
  • プレイヤーへの説明不足
    • 本作を遊ぶにあたってのチュートリアル的なものは無し。初見プレイヤーが『I』を始めると女神による主人公の性能決めの会話選択が入り、その後、オープニングムービー等もなくいきなり戦闘準備メニュー画面になる。
      • 1章開始時に世界観や主人公周りの説明もなく、いきなり城が襲われ奪取する所から始まる等、この辺りは古い作りがそのまま移植されている。システム解説等も一切なく、一応ポーズメニューからゲームのルールを確認することもできるが、それ自体の説明もない。
      • 上記の通り、初見でも遊びやすい難易度にはなっているので、手探りでも困らないくらいではあるが。
    • 可視化されるようになった各種ステータスの見方についても一切フォローがない。
      • ATK(攻撃力)やDEF(防御力)の意味は分かっても、AGLやDEXといったステータスがどのように関係してくるのか、初見では分かりづらいだろう。
    • シナリオ攻略中にメインメニューに戻る事が出来るが、出撃時に使用した雇用費やそのシナリオ攻略中に得た経験値やアイテムを保持した状態で戻る事の説明はない。シナリオ開始前の状態に戻ると初見で勘違いした人もいる。
  • 撃破数が1000を超えると表示がバグってしまう。
    • とはいえ普通にプレイしていれば、撃破数がそこまで到達してしまう事はまず無い。また表示がバグったとしても前述のように、ゲームクリア後に最初からやり直せばリセット可能。

旧作から劣る点

  • グラフィックの雰囲気の変化
    • マップ上のユニットグラフィックや戦闘グラフィックは、『リインカーネーション』から引き継いだ所謂「ちびキャラ」などと称されるタイプのデフォルメの効いたグラフィックであり、本編の雰囲気にはそぐわない。
      • 一応、作りは細かく描き分けはしっかりされており、頭身バランスもまともなものにはなっている。
  • 戦闘アニメーション
    • 旧作では傭兵達が指揮官に突撃したり、その傭兵を指揮官が魔法や剣波で吹き飛ばしたりなど、小さいながらも臨場感のあるアニメーションが繰り広げられていた。
    • 一転して本作では、傭兵に関してはその場で立ち止まって武器を振るう動作を繰り返すだけとなっている。
      • さすがに『リインカーネーション』のような酷い代物では無いが、躍動感に乏しく迫力もイマイチという声が多い。
  • シナリオツリー機能において、「戻る」事は出来ても「進む」事が出来ない。
    • 過去作のシナリオセレクト機能に慣れているとやはり不便な点である。
  • 『II』におけるキャラメイクの内容変更
    • 旧作(SFC版デア以降)では、ルシリスからの質問によってエルウィンの初期クラスは7種類もあったが、本作ではMD版のクラスである(MD版はエルウィンの初期能力値変動=ルシリスからの質問そのものがなかったが)歩兵クラスのファイターのみになってしまった。
  • 旧作で問題になっていた撤退数バグは改善されたが、何故か『II』のレオンだけは、どうあがこうが撤退数0でもバッドエンドになってしまう。

総評

一言で言えば「『ドラマティックエディション』を元に『I』にもルート分岐を追加した移植作」である。
見た目やシステムの調整で一新されたようにも見えるが、シナリオは追加部分以外では変わった点はなく、ゲームバランス自体も少々大味な点はあるが、全体的に遊びやすくはなっている。
今初期のラングリッサーのシナリオやキャラに触れたいという事なら手に取りやすさも含めて本作をプレイするのが一番遊びやすいだろう。
とはいえ、変わった点の多さ等からシリーズ経験者からは気になりやすい点も多い。
シリーズ経験者としては変更点をどこまで許容できるか次第といった所。


余談

  • キャラクターデザインの変更について
    • 『ミレニアム』『リインカーネーション』と続き、もはや恒例となったキャラデザ変更騒ぎ。
    • 本作でも旧作のキャラデザ担当であるうるし原智志氏から凪良氏への変更が決まった際は物議を醸した。
    • しかし制作側もそれを見越してか、制作発表会では、うるし原氏の手掛ける限定版の完全新規パッケージイラストや、旧作のキャラデザインで遊ぶことのできるクラシックモード実装の発表、さらにはうるし原氏本人をゲストに招いた上でのインタビューを行うなど、徹底した「うるし原智志復活」アピールで旧来のファンを刺激させた。
    • 2018年末のコミックマーケット95にも出店し、うるし原氏がイラストを手掛けた数多くのグッズを販売した。
    • 一方で本作キャラクターデザインを担当されたはずの凪良氏に対する公式からのフォローは薄く、氏の手掛けたキャラクターデザインもあまり高い評価を受けたとは言い難い。
      • 凪良氏の手掛けたキャラクターデザインも決して悪いものではないが、如何せん最初期からシリーズを支えてきたうるし原氏と比較するとなると、ファンからの評価は言わずもがなである。特に男性キャラのデザインが比較されがちである。
    • 特典に関しても凪良氏がイラストを手掛けたものはあまり多いとは言えず、先述したコミックマーケット95においても、氏がデザインを担当した商品は 1つも販売されなかった
    • 結果的に、公式からの怒涛の「うるし原智志プッシュ」に割を食らった形になってしまったと言えるだろう。
  • 超兄貴シリーズでお馴染みのアドンとサムソンの声は『リインカーネーション』から引き続き、杉田智和氏とマフィア梶田氏のアニゲラコンビが担当している。

その後の展開

  • 2019年10月にパッチ1.03が配信され、不具合の修正と共に周回プレイ向けの「チャレンジモード」が実装された。
    • これは周回プレイを重ねる事に「敵のHPが20%ずつ上昇していく」という物。上昇するのはHPだけで他の能力値は一切変化しない。とはいえ、HPが増えるだけでも範囲魔法での一掃や不利相性へのごり押しはしづらくなっていくので、大味な部分がある程度解消されるようにはなっている。
    • チャレンジモードをプレイするには一度ゲームをクリアする必要がある。クリア後にチャレンジモードに挑戦するか否かの選択肢が出現し、セーブデータを引き継ぐか最初からやり直すかも選択可能。
  • 2020年3月10日にはWindows版がSteamにて配信開始。ワールドワイドパブリッシャーはNIS Americaが担当。字幕/音声/UIもちゃんと日本語に対応している。旧作のBGMへの変更は有料DLCである「Langrisser I&II - Legacy BGM Pack」を導入すれば可能。PS4/Switch版では限定版のみに付属されているイラスト集やサウンドトラックも有料DLCとして配信されている。
  • 2020年4月に中国版と韓国版が発売され、それに合わせて日本版でもパッチ1.04が配信。プレイ中の表記文字を英語、中国語、韓国語に変更出来るようになった。ただしボイスは日本語のまま。
  • 現在ではクラシックモードが無料でDLできるようになり遊びやすくなった。
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最終更新:2023年11月14日 22:39

*1 旧作スタッフによると、10は割合であり1減れば兵力が1割損耗したことをあらわしていた。

*2 旧作では、本作の「MAG(魔法攻撃力)」にあたる値はクラス段階とレベルから算出されており、クランスチェンジ後のLV1がクラスチェンジ前のLV9により魔法範囲が少し狭いというような事態もあった。

*3 シリーズ恒例のアイテムであり、使うことでステータスはそのまま、初期クラスのLv1に戻ることができる

*4 体験版にも導入されている