太閤立志伝II

【たいこうりっしでんつー】

ジャンル シミュレーションゲーム
対応機種 PC-98
Windows 95/98/Me/XP
プレイステーション
セガサターン
発売・開発元 光栄→コーエー
発売日 【PC-98】1995年3月5日
【Win】
【PS】1996年2月23日
【SS】1996年11月29日
【Win定番シリーズ】2002年2月8日
定価 【PC-98】9,800円(以下全て税抜き)
【Win】9,800円
【PS/SS】7,800円
【PSBest版】2,800円
【Win定番シリーズ】1,980円
判定 良作
ポイント 全国マップに拡大
秀吉以外でのプレイが可能
システムや表現はややマイルドに
他家仕官が可能に
リコエイションゲームシリーズ


概要

コーエーのリコエイションゲーム(歴史シミュレーションゲーム)のひとつ、『太閤立志伝』シリーズの二作目。
『信長の野望』シリーズとは違い、豊臣秀吉の出世譚を題材にしている。
仕える大名からの『主命』を達成して信頼度を稼ぎ、昇進を繰り返して、いずれ城主、大名になり天下統一というのがゲームの目的であり大まかな流れ。

関東から中国地方限定だった前作と比べて、東北から九州まで全国を網羅しているのが最大の特徴。その他大小の変更点がある。

前作からの変更点

  • マップが全国に拡大
    • 東北の伊達家から九州の島津家までメジャーな大名や城・武将は一通り登場。四国・九州には港町から船を使うことで移動できる。
  • 秀吉以外でのプレイが可能
    • 最初は秀吉のみしかプレイできないが、一度クリア(ないし裏技コマンド)する事で柴田勝家、明智光秀、新武将の三人が新たに主人公として選べるようになる。
    • 勝家編は秀吉と同じく1560年5月の桶狭間の戦い直後から開始。能力は高いが、内政型の配下集めにやや苦労するか。お市との結婚はない。
    • 光秀編は1568年7月、足利義昭が信長の庇護を求めるところから開始。他編よりかなり時代が後なので、登場武将や配置、大名の勢力などがそれに沿うものになっている。
    • 新武将編は桶狭間直後の京の町で行き倒れているところから開始。どの大名にも所属しておらず、すぐに仕官するのも浪人生活を送るのも自由。プレイ次第で大きく歴史が変化する。
  • 他家への仕官が可能になった
    • 一度仕えた主君のもとを辞し他家に仕官することが可能になった。但し全ての大名に仕官できるのではなく、伊達・上杉・武田・北条・徳川・織田・毛利・長宗我部・島津の9大名のみ。その他の大名にはこちらから願い出ても仕官できない。
    • 秀吉で早期に他家に仕えたければ、わざと主命を失敗しまくって信頼度を落とすと解雇されるのでそこから他家に仕官するという手もある。*1
  • 国主任命
    • 前作では最高身分の宿老になっても一城主にしかなれなかったが、本作ではいくつか畿内の分国を制覇し織田家が地方制圧の目を向けるころには、特定の分国を切り取り次第複数の城の支配を任される国主となる。居城移動や物資輸送も可能になる。
      • 秀吉なら播磨但馬か信濃の国主に任命されることが多い。財政的にも余裕ができるので家臣団を育てておこう。
  • 一部行動や表現の削除
    • 大名の暗殺ができなくなった。また主命に失敗し続けても手打ちにされることがなくなった。
    • 大名の姫の居室への侵入、宿屋での白拍子イベントなどが削除。これにより女性キャラが非常に少なくなっている。
    • 悪徳商人と結託し、主君を騙すことができなくなった。但し自分が騙されることはある。
  • 同行者システムの導入
    • 家臣の一人を同行者とし、主命の手伝いや個人戦闘の肩代わりなど様々なことをさせられる。能力値や技能を上げる修行をしていると、同行者も上がることがある。
  • 作中のミニゲーム
    • 新田開発のパズルゲーム、個人戦闘での目押し要素など一部にミニゲーム的要素が取り入れられている。
  • 個人戦
    • 武術以外の技能も影響を及ぼすようになった。弁舌に優れると挑発をかけることが出来たり、乱波技能があると目つぶしを食らわせる等。
  • 歴史イベント
    • 前作では触れられなかった岐阜城への居城移転、足利義昭関連、長篠の合戦などが追加。木下小一郎や竹中半兵衛など一部武将の登用もイベントになっている*2。半面、姉川の戦いや比叡山焼き討ちなどは削除された。

評価点

  • 自由度の高さ
    • 前作譲りの自由度は、マップを全国に広げた今作でさらに高まった。
      • 本能寺の変の回避や自ら信長に謀反するなど、多様な分岐を楽しめる。
      • 他家に仕官し、覇業の補佐をするもよし、大名家の乗っ取りを狙うもよし。長い浪人生活を送った末に弱小大名に仕官、天下統一目前の勢力に喧嘩を売るといった行動も可能。
      • 本作の最高難易度のプレイは、秀吉編で史実をなぞらせることと言われるのは、高い自由度とランダム性の裏返しでもある。
    • 本作の武将は修行することで誰でも限界まで(体力以外の)能力を上げられるため、好きな武将を活躍させることができる。
      • 敵に優秀な家臣が多くても時間をかければ対抗できるし、本来なら何の見せ場もないような人材にも活躍の目はある。
  • 地方の大名・武将が登場
    • 前作は信長に関わりの薄かった地域がオミットされていたが、今作では地方勢もしっかり登場。日本の端から天下を目指してみるのもよい。
      • やはり当時の文化的中心地である京・堺を含む近畿圏から離れると、商業・文化施設などが少なくなりがち。地域の特性に合わせた戦略が求められる。
  • 新武将プレイ
    • 秀吉・勝家編同様の時代設定で、京の町から始まる。ほぼ無一文だが京の医師・施薬院全宋との親密度が最大であり、無料で体力を全回復してくれるので修行や辻斬りがいくらでもできる。自分の能力や技能をある程度育ててから目的の大名に仕官しよう。
    • 基本的に主人公が仕官した勢力が強くなり、勢力拡大が加速するので(戦闘で負けないようにプレイするので当たり前だが)、織田家以外の大名に仕官し活躍すればするほど本来の歴史から外れていく傾向が強い。
      • 特に近畿・東海地方は中規模の大名が多数存在するため、運次第では予想もできない勢力図となる。
      • 「毛利家が上洛を目指して近畿に侵攻したら、六角家に仕える服部半蔵が織田軍を撃退し続けていた」「甲信越・北関東地方を制覇した上杉謙信が病死し、跡継ぎは武田勝頼」といった意味不明な状況になることも。
    • 仕えている大名の寿命が尽き、直系の跡継ぎがいない場合は最も信頼度の高い家臣が大名家を継ぐことができる(CPU担当でも同様)。そのため謀反をせずとも大名になる可能性がある。
      • 最もあてはまるのは毛利家。元就が高齢で跡継ぎの輝元が登場前に病死することが多いため、CPU担当だと小早川隆景が継いで小早川家になることが多い。逆に新武将プレイではお家乗っ取りが最も楽と言える。
    • 自分だけの武将で自分だけの戦国時代を生き抜くのが本作の最大の魅力ともいえる。
  • 他家仕官
    • 秀吉ら三人も新武将も、一度仕えた大名家を辞め他家に仕官し直すことができる。敵に寝返ることも、自家が滅亡したのちに別の大名の力を借りて敵を討つことも可能。
      • ただしある程度の信頼度がないと大名が内謁で会ってくれず、辞めることができないので注意。
      • 先述のように、わざと信頼度を落として解雇されることも可能。もちろん、仕官元の大名からは恨まれる事になるが
  • 同行者システム
    • 武力の高い同行者を連れて用心棒代わりにする、知力の高い同行者を連れて悪徳商人の詐欺を見抜いてもらうなど、主人公の能力が未熟な時にそれを補うような働きをしてくれるため、非常に頼りになる。
      • 先述の通り、一緒に剣術道場で修業したりする事も可能なので感情移入もしやすい。
      • 書物を持って長期間宿に泊まる事で同行者から技能を師事する事も可能。
      • 同行者と船に乗ると場合によっては船酔いした同行者にゲロをかけられて体力が1になるといったコミカルなイベントも存在する。
    • このように非常に有用なシステムであり、後作には受け継がれなかったことを惜しむ声も多い。

問題点

  • 武将の登場数制限
    • ゲーム開始時に元服していない武将は年数が経つと登場するが、一度に登場できる数に制限がある。
      そのため寿命や戦死で武将数が減らないと、いつまでたっても真田幸村などの1560年時点で登場していない武将が出てこない。毛利輝元や武田勝頼など有力大名の跡継ぎ達も同様。
      • 辻斬りで相手を殺すことはなぜか登場武将数を減らすことにならないらしく、積極的に人数を減らすことができない。前作では辻斬りで次の武将が出てきたのだが。
      • このため大名になったら各地を巡って浪人を雇い、役立たずを敵大名に狙われやすい城に配置して戦死または捕縛を祈るという極めて戦国的なリストラ政策が求められる。滅ぼした敵大名の微妙武将たちも斬首推奨。
      • 役立たずばかりを最低兵士数で合戦に連れていき、全滅させて葬る策もあるが、自分に危険が及ぶ上に軍団の士気が下がるのであまりお勧めできない。大名になる前から武将数を減らしたい場合には有用。
  • 要介護大名・武田家
    • CPUに担当させるとほぼ間違いなく上杉家に攻め込まれて滅ぼされる。武田家臣団が上杉家に能力で劣っているわけではないのだが、上杉軍は何故か城攻めに出撃する頻度が他家に比べて圧倒的に高く、陣取り合戦で負けてしまう。領地が減って城の連結を切られてしまうと兵力の補充ができず滅亡一直線。
    • 新武将で仕官しても、合戦に連れて行ってもらえないことが多いため、春日山城攻めに失敗して帰ってくることが多い。
    • 織田家とは一度も戦わずに滅亡することもザラである。前述の武将登場数制限もあり武田勝頼に世代交代すらままならないため歴史イベント『長篠の合戦』が極めて起こりにくい。1568年開始の光秀編なら多少可能性がある。
      • 主人公が城主になると長篠イベントが発生しないのも起こりにくさの要因の一つ。出世は控え時間を稼がねばならない。
      • 仕官する以外で武田家を救うには、上杉家の有力武将を調略や辻斬りで減らしたり、自腹で忍者に春日山城の破壊工作を何度も依頼したり、最悪リセット技に頼ったりとあの手この手を尽くさなければならない。世話の焼ける有力大名である。
    • 武田家はハンドブックの大名紹介で「最強大名のひとりだ」と紹介されているが、同書の別項目では「命をはって守り抜いてほしいのだ」などと酷評されている。どっちなんだ
      • 但し前作では立場がまるで逆で、上杉家がすぐさま武田家に滅ぼされていた。
  • 仕事の多い大名時代
    • 本能寺の変(または所属大名の病死による世継ぎ指名)で大名になると、領地と家臣団の大部分を受け継ぐことになる。城も武将も一気に数十以上増えるので作業が煩雑になる。
      • 数十人の家臣の主命達成報告を一人ずつ聞くのは大変。次回作の『III』では一括報告が可能になっている。
      • 一度の評定で出席できる武将数は最大50人。それ以上は次の日に評定を開かないと主命を与えられない。合戦は在城の全武将から選んで連れていける。
    • 本作では家臣を城主に任命しても、特定の武将以外は敵を攻めに行かない。そのため他国侵略も領土防衛も大半は自分でやらなければいけない。
      • 各家ごとに、面会時の反応が特殊な武将(織田家なら柴田勝家や丹羽長秀など)しか出撃しない。その他の武将は城主にしても、城の内政を任せられることと防衛時に持ちこたえられる確率が高くなる程度である。
    • 最終目標は天下統一だが、落とさなければならない城が異様に多い為、非常に時間がかかる。大名になってある程度の力を持つと負ける要素がなくなるので延々と長い消化試合をやる事になる。上記の様に他国侵略もほぼ自分でやらなければならないので尚更。
      • 但し上杉家が他の滅亡した家の武将を多数取り込み、兵力を充実させてくると厄介。互角の武将能力・兵数では押し負ける可能性すらある。軍神謙信はやはり半端ではない。
  • 最短経路で移動しない
    • 本作の移動はマウスカーソルで位置を指定するか、町又は城を指定して自動移動の二種類である。このうち、自動移動は設定された最短経路をたどらないことが多々ある。時には街道を外れて野原を進むことも(そして山賊に襲われたりする)。
      • 例えば、岐阜城から堺の町に最短で行くには、「目加田城→飯盛城→堺」と指定しなければ勝手に伊賀方面へ回り道をする。他CPU武将や軍団も同様。
    • かと言ってマウス指定は操作ミスを起こしやすく、屋外ではクリックが時間を進める操作でもあるため逆に使いにくい。
  • 大名でも城主でも徴兵ができない
    • 城主以上の身分でも自力では出来ず、配下にも主命で出せないので長期遠征が難しくなる。
      • 前作同様、敵対している大名家から調略すれば居城の兵が増えるが、ゲーム内はノーヒントで初心者や初見プレイのプレイヤーは気付くまで苦しいプレイをする羽目になる。
      • 月が替わり居城に兵が増えるのを待つという手もあるが、兵が激減していて石高の小さい城だと、酷い場合は1年以上かかるなんて事も。
      • 大名から兵を譲り受けるという手もあるが、信頼度が下がる上に大名の敵城への出陣が兵力不足で後回しになったり、敵大名の攻撃で籠城戦になりやすくしかも兵不足で負ける可能性が上がるなど、かなり使いづらい。
      • 結局調略して兵を増やすことが近道であり、外交と魅力の高い武将を連れて調略するという回りくどいことをする羽目になる。

総評

前作を順当にバージョンアップさせた作品であり、本シリーズの売りである自由度の高さは本作で一旦の完成を迎えた。クリアするだけなら難易度は高くないが、状況や目標設定によってどこまでもやり込める奥深さが魅力である。
PC-98時代ゆえの容量制限やUIの不便さは多少あるものの、そのゲーム性は現在でも十分通用するといえるだろう。
但し大名暗殺をはじめとした、初代の持っていたドラスティックな要素は鳴りを潜めている。その点があと一歩足りないと評するプレイヤーもいるのは事実ではある。


その後の展開

  • 移植版の追加要素・変更点
    • PS/SS版では武将グラフィックがポリゴンになったり、備の組数や最大兵数が違うなどの変更点がある。また陣形や特殊な計略などの追加要素がある。
      • これらの追加要素は往々にしてプレイヤー有利となっており、難易度はPS/SS版のほうが低い。特に「陣形」は露骨で、特定の武将が覚えている「飛鳥」「雲龍」(使用には軍学3の技能が必要)になると、余程の能力差がなければまず勝てる。
      • 秀吉だと全ての陣形が使える竹中半兵衛をイベントで仲間にできるため、戦場では彼を連れて行けばほぼ無双状態になる。 冗談抜きで、秀吉たち1部隊で四国や九州を制覇してしまうことも可能。
    • 隠しモードがあり、新武将の名前を『太閤立志伝』にして始めると……?
  • PC版は後に定番シリーズやコーエイ記念パックなどで、XPまで対応している。
    • 何故かWindows2000は公式には非対応である。またWindows7でも互換モードで一応動作する。
  • 2006年1月からiモードケータイをはじめとした機種で移植作となる『Mobile太閤立志伝』が配信された。現在は配信終了している。
    • 容量の問題からか、同行者システムや一部技能、町での一部コマンドなど削除された要素がある。グラフィックは太閤立志伝Vのものが採用されている。

余談

  • 墨俣城の謎
    • 秀吉・勝家・新武将編では開始時に空き城であり、イベントをこなせば築城される。しかし光秀編では最初から存在し、他編とは最大石高の数値が違う(他編2万石に対して光秀編6万石)。時間をかけてじっくり築城したのだろうか。
    • イベントをとばして空き城のままになると、墨俣城には入れなくなる。新武将などの場合、この状態で美濃が敵の領地なら墨俣城を攻撃対象に選べるが、攻め入るとゲームが強制終了する。後のブラックホール城であろうか。
      • 美濃攻略の主命が出ていると達成不可能となってしまう。謀反・乗っ取りや覇業補佐でのクリアを目指すしかない。
  • 大坂城築城
    • 大名になった後に本願寺城を大名自身で築城すると、グラフィックが変化し大坂城となる。城の性能に変化はないが、自動的に官位が一つ上がる。また石山の町が大坂の町に名称変更される。
  • 城の兵士数について
    • その城の石高(万石)×300が最大兵士数となる。但し大名の居城はその制限がなく、石高に関係なく最大5万人まで。また月初めに自動で最大兵士数の1割が補充され、補充されると士気と訓練度、兵糧が少し低下する。城主や国主の場合、出撃したまま月を跨いで帰還すれば一時的に城の最大兵士数を超える兵士を保有できる。
      • 兵士数の一の位が0でないと上限まで兵士数が増えないバグがある。解消するには対象の城を居城にし、出撃したまま月を跨ぎ出撃中の軍団と合計で5万人を超えるようにしてから帰還するとカンストで正常化される。
  • 敵城偵察の際に様々な手段を用いて侵入するのだが、「堂々と入る」を選ぶと「オレオレ詐欺」のような手口で侵入を試みる。発売時期的に偶然だろうが…
    • また、戦国時代なのに「評定をさぼるとは何事じゃ」と怒られたり*3、出世すると信長から「いきなり姿が変わると不気味じゃな」と言われるなど妙なセリフが多い。

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最終更新:2023年06月21日 21:29

*1 前作でも同様の手段をとると暇を出されるが、何故かそのまま信長に手打ちにされるので不可能だった

*2 前述の同行者システムとの兼ね合いでもある

*3 「さぼる」はフランス語のサボタージュが1900年代に日本で略語の動詞になったもので、当然戦国時代には存在しない言葉である。