Virginia

【ゔぁーじにあ】

ジャンル FPV-AADV
対応機種 Windows 7~10
Mac OSX 10.8以降
開発元 Variable State
発売元 505 Games
発売日 Steam, GOG: 2016年9月22日
定価 980円(Steam), $ 9.99 (GOG)
参考 Unityゲームエンジン使用
判定 なし
ポイント 事件を解かないサスペンスADV
女性主人公(美人とは言っていない)


概要

  • Writers' Guild Awards(全米脚本家組合賞) 2017 にてBest Writing in a Video Gameを受賞している。
    • なお、製作元のVariable Stateは Londonに拠点を置く英国のゲームスタジオであり、『Virginia』が処女作となる。
  • アクション要素もなく、ストーリーは1本道でありゲーム性は乏しく、ADVというよりはインタラクティブムービーに近い。
    • 登場人物らはゲーム内にて全く台詞を話さない。

ストーリー

1992年、FBIのアカデミーを出たての新人のFBI捜査官である主人公Anne Tarverは、着任先のVirginia州にて起こった青年失踪事件の捜査にあたるかたわら、その事件で一緒に捜査にあたっている、主人公と同様に有色人種で女性の先輩であるHalperin捜査官の不正についての内偵を命ぜられた。

  • 失踪事件なんて飾りです。
  • 基本情報欄に貼り付けたバナーに描かれている女性は主人公ではなくHalperin捜査官。
    • 意味ありげな羽は、ただの収集要素。拾うと主人公の部屋のコルクボードに飾られる。
      全部で10枚あるが、収集は困難。

    • それとは別に、Virginia州の州の鳥である猩々紅冠鳥(ショウジョウコウカンチョウ)がゲーム内にて象徴的に使われる。
      • なお、猩々紅冠鳥は、ウエストバージニア州、ノースカロライナ州、イリノイ州、インディアナ州、ケンタッキー州においても州の鳥である。

問題点

  • FPVのAADVにした意味が分からない
    • 最初の場面で主人公が鏡を見ている場面から始まる。これはつまり、主人公の容姿をはっきりと認識してもらいたいための演出と思われるが、であるならば、なぜ主人公の姿が常時描かれる三人称視点ではなく、FPVにしたのか疑問が残る。
    • 主人公の取れる行動は非常に限られており、また、風景も簡素な表現でウォーキングシミュレーターとして楽しめない。
      • 例えば最初の場面はトイレから始まるが、洗面台の蛇口もトイレの電気のスイッチも反応せず、トイレの水を流すための金具は最初から存在しないという潔さ。
      • 廊下に出ると絵が飾ってあるようなのだが額縁の中身は黒塗りと化している。あまりにも殺風景である。
      • 探索要素は薄く、オフィスの廊下を歩いていたはずが数歩で階段に場面が切り替わり、さらに階段を少し降りただけで今度は場面が地下道に切り替わる。ちょっと普通のFPVのADVと異なる感覚の演出である。
         この点については、ダラダラ移動させられるよりも物語を先に進めたいという欲求に対応しているとも考えられるが、それならなおさら「なぜFPVにしたのか?」という疑問が強まる。
      • 全く探索要素がないわけでもないが、実績が増えるだけでストーリーに変化はない。
        のだが、例えば霊安室で木工用ボンドを見つけていないと、その後に霊安室に来た人が霊安室に何の用があったのか分からないままとなる。なお、木工用ボンドを見つけた場合、その人物が木工用ボンドを使っている別の場面で実績解除となる。
    • 正直、AADVよりもインタラクティブムービーにしてもらったほうが、操作できないオブジェクトに対して無駄な試行錯誤を試みる手間が省けてありがたい。
      • ノーヒントで、プレイヤーが主人公に口紅を塗らせるまで次の行動に移れない場面があり、そういう演出的なものは自動イベントで勝手にやってもらいたい。
  • 注意力が必要
    • アイテムを確認するなどの機能はなく、証拠をゆっくり見返す事ができないので、それが一体何なのか瞬時に理解することが必要。
      • 失踪した青年の日記にUFOの絵が描かれていたので、UFOが夢に出てきたりするが、UFOの絵を覚えている人がどれだけ居るのだろうか。
      • 主人公がバーで拾った布がカフェのウエイトレスのバンダナだったというのは、気づかない上に、だから何なんだである。
    • 登場人物らはゲーム内にて全く台詞を話さない。
      • このため、表情で察する必要があり、気が抜けない。
        プレイヤーがキョロキョロしすぎると見逃すことも。

評価点

  • 次にアクションすべきポイントが探しやすい
    • 遠方からでもマウスカーソルの形が"・(ドット)"から"○(まる)"に変形するため、ぐるりと周囲を見渡すだけで、次にどこをアクションすべきなのか見つけられることが多い。
    • ただし、アクションすべきポイントが分かっても、実際アクションしてみるまで何が起こるのか予想がつかないことが多く、カーソルの変化によるヒントがなければ何をすべきか途方に暮れたであろう。
      • その、何をしていいのかわからない場面の多くが主人公の夢の中の行動である。夢なので奇妙であるのは仕方ないのだが、自動イベントでも良かったのではないかと思われる場面が多い。
    • 逆に、唯一探索しがいのある被害者の自宅の探索ではあっさり手がかりの品を見つけてしまえて、味気ないこととなる。
      + ネタバレ
      実は青年は事件に巻き込まれたわけではなく、みずから家出しただけ。
      なので、意味ありげなアイテムに意味はない。

      本作のストーリーで語られる内容は、主人公が行っている同僚の内偵に関する部分に比重が置かれている。

      最終日はエンディング直前まで、ほぼ主人公の夢か妄想で、主人公の葛藤が描かれる。

      • だからといってアクションしないでいい部分を見逃して良いわけではない。
        例えば、被害者の自室に入った際に、第三者によってフィルムが抜き取られたであろう様子のカメラがある。伏線となっているのだが、普通の推理ADV作品とは異なり、アクションする必要もなければ、視界に入れる必要もない。
    • なお、主人公はFBI捜査官のくせに少々手癖が悪く、なんでも自宅に持ち帰ってしまう。変な癖をつけないように。

総評

主人公の心情を示すイベントの演出に大半の時間が割かれており、着地点が見えない脚本となっている。
あくまで新人捜査官の心の揺れを描いた作品であり、ミステリーものと思って購入するとエンディング手前で「何じゃそりゃ」となること請け合いである。
果たしてストーリーの見せ方としてFPVが最適だったのかは疑問が残る作品となっている。