メタファイトEX
【めたふぁいといーえっくす】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームボーイカラー
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発売元
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サンソフト
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開発元
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アウトバック
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発売日
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2000年2月24日
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定価
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3,980円
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2011年11月22日/617円
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判定
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劣化ゲー
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ポイント
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パスワード実装 申し訳程度のEX要素 初代の焼き直し感 とにかく迷いやすい迷宮
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メタファイト/ブラスターマスターシリーズリンク
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概要
『超惑星戦記 メタファイト』から始まり、海外にて既に『Blaster Master』としてシリーズ化していた中で、『Blaster Master』ではなくタイトル通り『メタファイト』の続編として発売された作品。
パスワードの実装により非常に遊びやすくなっている他、オリジナルボスなども多数用意されているが、骨子は原作と殆ど変わらない。
ちなみに、今作は2019年現在における『メタファイト』のタイトルとして発売された最後のシリーズ作品でもある。
今作から約5ヶ月後に発売された『ブラスターマスター』から海外版の『Blaster Master』とタイトルが統一され、以降は『ブラスターマスター』としてのシリーズ展開が行われる事になった。
特徴
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舞台は宇宙歴2107年。惑星ソフィア近隣のラムダ銀河にて怪物が出現、事態を重く見た科学アカデミーは、レオナルドを向かわせる。
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本作の主人公レオナルド・ガードナー。前の大戦を終わらせた英雄の子孫である。戦闘万能車両のメタル・アタッカーを駆る。
評価点
ゲーム性
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パスワード機能
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原作はボリュームのある内容にも拘らず、セーブやパスワードでの中断・再開の機能が一切存在しなかった。本作はセーブとまではいかずともパスワードが搭載された事で中断が可能になった。
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これはメニューを開くといつでも見られる。またゲームオーバーになった際も表示されるので安心。
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数字とアルファベット35文字を使って8文字である。
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向きを固定
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例えば前方に銃を撃ちながら後退するという動作も可能。
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カメラワークも良好。
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前のめりでないとスクロールせず前方の視界が悪い作品もあるが本作では快適。
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ウォールのON、OFF仕様
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壁に吸着走行できるウォール1、天井に吸着走行できるウォール2をアイテム選択画面で着脱できるようになった。これによって、オリジナルにあった穴をギリギリでジャンプしようとすると、誤って壁に張り付いてしまうという事が無くなった。
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クリアには必須ではない強化アイテムの追加。
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オリジナルではボスを倒し入手したアイテムを使って進めなったエリアに進めるようになっていたが、それ以外にアイテムは落ちていなかったため隅々まで探索する必要は無かった。本作ではクリアに必須ではないがゲームを有利に進める追加アイテムがいくつか隠されており、各エリアを探索する楽しみができた。
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これらアイテムの中には「ガンパワーが最大8個まで上昇する」「メタル・アタッカーの主砲の攻撃力上昇」「グレネードの飛距離が増加」といった様に、原作を知っているファンならニヤリとする物も存在する。
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サイドビュー時の生身での行動について
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今作でもサイドビュー面では生身での行動を強いられるシーンが存在するのだが、新アイテム「ガン1」を取得する事によって、生身でのショットの攻撃力上昇に加えて、特定のブロックを破壊出来る様になる。
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ブロック破壊能力自体は原作でもあったのだが、今作では役割が生身へと移行した事によって、破壊可能ブロックのパズルのシーンの際に高所から飛び降りて大ダメージを受けるという要素が追加。死と隣り合わせの内容は、結果的に今作ならではの謎解きへと昇華したと言っても良いだろうか。
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これらの優れた仕様は後のシリーズでも採用される事になる。
演出
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オープニング、エンディングでは豊富な一枚絵が多数使われている。
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ナレーションの文章には漢字まで用意されており、更にフリガナまで振られている。
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ラスボス戦の曲
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原作はエリア7のステージ曲、『Blaster Master 2』では通常ボス曲の流用だったが、本作では専用の曲が用意された。
ただし通常ボスとあまり変わり映えはしない。
その他
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トップビューに階段が配置され、ダンジョンに階層という概念が取り入れられた。
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今作における各エリアには最深部から入口付近まで移動が可能な所謂「ショートカットポイント」が設けられている物も多い。
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原作におけるボスが待ち構えているダンジョンをクリアした後はダンジョンの入口まで戻されるのだが、その際にメタルアタッカーのダメージが残っていた場合は、エリアの入口に戻る際にリスキーな戦いを強いられてしまう事が多かったのだが、今作ではエリア数が限られているとはいえ、ほぼ瞬時にエリアの入口まで戻れる様になったのは良い点と言える。
賛否両論点
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ゲーム全体像
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携帯機リメイク故に各エリアやダンジョンのマップ自体は今作のみのオリジナルに差し替えられているが、基本的に原作の焼き直しと言っても差し支えはない。
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とはいえ、原作とは全く異なる構造のマップを進んでいくため、原作や後発の『ゼロ』とは異なる新鮮さを味わう事自体は出来るのだが。
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BGMもファミコン版と同じ音楽。良く言えば忠実、悪く言えば使い回しである。
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今作での新アイテムについて
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今作では新たに特定アイテムの取得によってサブウェポンの飛距離上昇やガンゲージの上昇を行う事が出来るのだが、実はこれらは元々ファミコンで発売された原作ではデフォルトの時点で搭載されていた能力でもある。
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このため、今作から入ったプレイヤーはこれらの点に対しては「純粋な強化」と捉えられるのだが、反面原作のファンからは「最初から出来る事が少なくなった」と批判されかねない。
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実際、今作で初めてダンジョンに入るとガンゲージの最大値が少なく、アイテム回収であっという間にゲージがMAXまで溜まってしまう上に、最大になったガンの見た目も一直線上に通常弾が飛ぶだけなので、最初から派手なパワーアップが出来た原作と比べると地味に感じられてしまう。
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次回作以降では、今作からサブウェポンの切り替え機能が引き継がれているものの、ガンゲージの最大値上昇については引き継がれておらず、初代同様にガンゲージの最大値が最初からMAXになっている作品が殆どとなっている。
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マップ切り替えの際はスクロール仕様だったが本作では白く暗転する。
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それ自体は一般的な手法であって悪い訳ではないのだが、原作のスクロールが印象的だった為、アレンジ移植である本作で無いのは寂しい。
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カギの登場
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ボスのいるダンジョンに入るために必要となった。オリジナルではボスのいるダンジョン以外入る必要は無かったが、本作ではカギを見つけ入手しなければならない。ダンジョンを複数用意してある事に意味があるようになり、探索のしがいのあるものになったが、面倒に感じるのも確か。
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中盤のエリア5辺りまではカギの数が一つだけと少なく、そこまで面倒に感じないのだが、後半のエリア6に差し掛かると必要なカギの数が2個に上昇するので、途端に取り逃しが面倒になってしまいやすい。
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やられても実績フラグは残る
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ダンジョン奥のアイテムを手に入れたら戻るのだが、普通に引き返すよりもわざとやられた方が早いというのもザラ。デスルーラを多用するのが効率的に。それを前提に道中でHPを削るのが良いのはゲームの流れ的に違和感がある。
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メガドライブの『2』も同様だったが、あちらは中断機能が無くコンティニューも有限だった為、安易に自殺が出来るような仕様ではなかった。
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一方、後の作品では実績が残らなくなった事でデスルーラは通用しなくなったが、敵の猛攻が激しい『ブラスターマスター』、凶悪即死トラップが猛威を振るう『ブラスターマスター ゼロ 2』では難易度が急上昇するという別の問題も。バランスが難しい所である。
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シューティングゲームからのオマージュ
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エリア5のボスは『ファンタジーゾーン』の5面のボスと同じ発想。ただし海洋生物をモチーフにしており海ステージボスとしてマッチしている。
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エリア8のボスは『スターソルジャー』のブレインに酷似。
問題点・劣化点
ゲーム性
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原作以上に非常に迷いやすくなった各エリアの構成
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今作は容量の少ないゲームボーイカラーで発売されたタイトルなのだが、ハード性能故に各エリアのマップには使いまわされているマップのデータが非常に多い。使いまわしの多さから、探索の際に同じようなシチュエーションを繰り返し通っているかの様な錯覚に陥りやすく、結果的に原作以上に各エリアで迷いやすくなってしまった。
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今作では、上述の様に一部のエリアにおいて最深部から入口付近まで移動できるようになるショートカットポイントが追加された物があるのだが、今作の仕様も相まって無限ループの一部に組み込まれてしまった様な扱いがされているのも確かである。
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にもかかわらず、今作にはオートマッピングという生易しい機能は搭載されておらず(後述)、ますます迷いやすくなりやすい。
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原作同様にオートマッピング機能は未搭載。
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原作は探索型アクションの黎明期という時期に発売されていただけあって、オートマッピング機能が未搭載だったのは仕方のない点ではある。
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しかし、今作が発売されたのは原作の発売から実に10年以上も経過した2000年。原作から大分年月が経過しているのにもかかわらず、オートマッピング機能が未搭載というのは理解に苦しむ。
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オートマッピング機能が存在しない事により、只でさえも非常に迷いやすい迷宮が更に迷いやすくなっているのは否めない。2000年代生まれのゲームにもかかわらず、手書きマップに頼るプレイヤーも続出したと思われる。
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ナナメ移動が出来なくなった。
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トップビューステージではジグザグ状の地形があるので尚更に不便を感じる。
BGM
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音質の劣化
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前述の通り音楽自体はオリジナルと同じ楽曲が演奏されているが、BGMがオリジナルに比べ劣化しており、やや耳障りなものになっている。ハードの違い故致し方ないかもしれないが、オリジナルの魅力が大きく損なわれたのも確か。
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オープニングデモのBGM
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状況に応じて曲調が変化するわけでもなく効果音も無いせいで盛り上がりに欠ける。オープニング映像というよりも資料映像感がある。BGMはフェードアウトですらなくブツ切りで終わる。
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これは初代海外版で追加されたオープニングデモを踏襲したとも言えるが、それを知らない人がファミコン時代と同じ演出を見せられてもしょぼく感じてしまうのは仕方ない。
演出・世界観
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原作にあったような最初のメタル・アタッカー出撃シーンはカットされた。
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出撃シーンがカットされてしまった事によって、冒頭のシーンが味気なくなったのは致し型ない。
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オープニングとエンディングでは一枚絵があるが、道中ではイベントなどは無く勿論一枚絵もない。
その他問題点
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ボス部屋
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一度入ったらボス戦が始まり、撃破するまで外に出る事は出来ない。見た目で分からないので、準備が出来ていないままうっかり入って逃げられなくなってしまう事も。
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HP表示
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HPは相変わらず表示されず、かと言って『Blaster Master 2』のようにボスの色が変わるわけでもないので分かり辛い。折角のGBCなのに…
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相変わらずボスは全てパイロットで倒すので、戦車で戦うボスはいない
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原作で登場した一部回復アイテムのリストラ
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今作では原作で登場した取得アイテムのうち、「体力回復(大)」(※点滅するP)がリストラされてしまった。
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体力回復数の多いアイテムがリストラされてしまった事によって、プレイヤーの体力の回復はほぼ1目盛りずつのちまちました方法でしか行う事が出来ず、結果的に「ピンチからの大脱出」という事が出来なくなったのは否めない。
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また、体力回復の量が1しかなくなってしまった事により、体力の量が残りわずかになってしまった場合は、デスルーラに頼った方が早くなったのは確かである。
総評
パスワード機能が実装され格段に遊び易くなったという点は良いものの、それ以外の追加要素は乏しく、
寧ろ原作から劣化した点ばかりが目立ち、これのどこがEXなのかと比較されるのは仕方のないところ。
正直言って今作はメタファイト名義作品の有終の美を飾れなかったのは残念である。
しかしながら、焼き直し感は否めないものの、今作は原作にユーザーフレンドリー要素を取り入れた作品ではある。
途中再開機能の無さからファミコン版を投げたプレーヤーには良い選択肢と言えたかも知れない。
余談
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海外でのタイトルは『Blaster Master: Enemy Below』。
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初代同様、日本の『メタファイト』ではなく海外の『Blaster Master』の世界観であり、過去の『Blaster Master』に続いてJason Frudnick(ジェイソン・フラドニック)を主人公としている。
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無論、ストーリーも日本版とは異なり、オープニングとエンディングのデモも独自のものになっている(参考)。
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こちらは戦いに疲れて遠くの土地に移り住んだジェイソンが、謎の女から地下研究所に蠢くミュータントの討伐依頼を受け、結局また戦いの渦中に身を投じるという内容である。
ビルをなぎ倒すような巨大怪獣などいなかった。
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海外版では初代の時点でオープニングデモがあった為、主人公の容姿はそちらに準拠している。
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旧シリーズとしては本作がジェイソンの最後の舞台となり、次作『ブラスターマスター』では戦いは息子の代に移る事になる。
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そして後年、『ブラスターマスター ゼロ』にてジェイソンの物語はリブートされ、日本でも彼の雄姿が描かれるようになった。
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後に『ゼロ』シリーズ三部作を一つにまとめたカップリングソフト『ブラスターマスター ゼロ トリロジー メタファイトクロニクル』が発売。同作では今作以来、久々に「メタファイト」名義が使われている事から、長らくの間「最後のメタファイト名義作品」として扱われていた今作も役目を終える事になった。
最終更新:2024年01月14日 23:09