がんばれゴエモン ~天狗党の逆襲~
【がんばれごえもん てんぐとうのぎゃくしゅう】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ゲームボーイカラー(全GB共通)
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発売元
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コナミ
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開発元
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トーセ
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発売日
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1999年1月14日
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定価
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4,515円
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書換
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ニンテンドウパワー 2000年5月1日/1,000円/F×8・B×1
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プレイ人数
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1人
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判定
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シリーズファンから不評
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ポイント
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天狗党、弱すぎませんか? 謎の架空アニメ版 99年製とは思えない低ボリューム
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がんばれゴエモンシリーズリンク
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概要
シリーズ初のゲームボーイカラー対応ソフトとして作られたがんばれゴエモンシリーズの1作。
ゲームジャンルは『外伝2』以来となるRPG。
『現代に住むTVアニメ版『ゴエモン』の視聴者の子供がゴエモンたちと共に冒険する』というストーリーで、本作発売の1年前に放映されていた実際のTVアニメ版とのタイアップ的な設定になっているが、実際のシナリオの内容はそちらとはほとんど関係ない。
ストーリー
ゴエモンのアニメが大好きな小学生の主人公・ハジメは祖父母の家の裏山で不思議な穴の空いた大木を発見。
穴をくぐるとなんとそこは大江戸時代。ハジメはタイムスリップしてしまったのだ。
奇妙な天狗の化物に襲われたがエビス丸に助けられたハジメ。
エビス丸と通りかかったヤエ・サスケと共に、憧れのゴエモンに会うために大江戸時代の大冒険へと向かう。
問題点
時代にそぐわぬボリュームの薄さ。
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本作最大の問題点。じっくり探索して普通に遊ぶだけでも4、5時間で終わってしまう程。ファミコンで発売した『外伝1』・『外伝2』のように長く遊べる大冒険ではない。
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同時期のゲームボーイでは『ポケモン』や『DQM』といった据え置きに迫るボリュームのRPGが発売している中、この低ボリュームRPGはあまりにも時代遅れ。
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それでいて収集要素などの遊び込める部分は無く、ストーリーは平凡でゲーム部分は一本道。つまりクリアしたら終わりである。
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『黒船党』を反省したのか難易度はやや低めで常識的なのだが、このボリュームで低難易度では味のないガムを噛んでいるようなものである。
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最初のダンジョンはまだそれなりに楽しめるが後述の術が強烈なため、NP(他のゲームで言う所のMP)が増えて自由に使える中盤辺りから一気に作業化してしまう。
短いストーリーに活かされない設定。
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ストーリーは異常に短く、敵組織である天狗党の本拠地が最序盤で陥落。後は宝が眠る鉱山を目指すのだが、通り道の街道や船といった短めのダンジョンを3個ほど進むだけですぐに鉱山へ。後はイベントをこなして鉱山を攻略して終わり。
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各キャラクターの見せ場も少なく、特にサスケは見せ場という見せ場が皆無で、「いてもいなくてもどうでもいい存在」に感じられる。主人公も空気に近く大半のイベントは見てるだけで、序盤はゴエモンに突き飛ばされたまま放置されるなど扱いも雑。
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タイムスリップを活用するのも2回のみ。しかも1回目は英語の解読をするだけというタイムスリップをする必要が感じられない要素。2回目は「大江戸から船で渡った先にあるはずの鉱山が、現代では何故か大江戸裏山の大木の近くにある」という地理的に明らかにおかしい点が引っかかる。
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更に現代でも両で売り買いができるという謎。『ゴエモン3』の未来世界と違って現代日本を舞台にしている為、齟齬がある。この世界の日本は未だに両を使っているのか?
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ボス戦も6回しか無い。その内の1回はチュートリアル的な雑魚敵とのバトル、3回はラストダンジョンの前座ボス→回復を挟みボス2体連戦という形のため、実質3回のみ。
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その有様のため天狗党の幹部2人のキャラもまるで印象に残らない。サブタイトルは本拠地を潰された天狗党の逆恨みと文字通りの意味なのだが、本拠地を潰した後は中盤とラスボス戦でしかちょっかいを出してこないので因縁も希薄であり、空気。
ボリューム不足を誤魔化すかのようにエンカウント率が高く、道が嫌らしい。
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このゲームはとにかくエンカウント率が高い。1マス歩くだけで即エンカする事もよくある。
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更にダンジョンや街道はマップを切り替えると即行き止まりという構成の場所が多い。そして、行けそうなのに歩けない"見えない壁"も多い。
短いのに戦闘内容はワンパターン。
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戦闘はターン制のドラクエ風。前列1人と後列2人の基本3人で戦う。
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このゲームはとにかく物理不遇。通常攻撃が「ぼてぼてのあたり」というハズレ攻撃である事が多く、もちろんミスもあるため使い難い。逆に術攻撃は「ぼてぼてのあたり」が無く安定してダメージを与えられて使いやすい。NP回復アイテムが平然と売っているので消費もあまり気にならない。
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エビス丸とサスケが初期から覚えている「じばしりのじゅつ」と「このはのじゅつ」が全体攻撃で有用、それを連発しているだけで基本は終わる。他の単体術も通常攻撃よりは使いやすい。
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各キャラの術は3種類しかないため上位の術はヤエの「ふぶきのじゅつ」しか存在せず、最初から最後までボス戦含めて同じ術を連発するだけというワンパターンな戦いが最適解となる。
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サスケはレベル10で強力な攻撃術である「こなみじんのじゅつ」を習得する。自らを戦闘不能にする代わりにザコ敵全体を全滅させるという強力なもの。しかも消費NPは1のみ。このゲームは戦闘後にHP1で復活するという便利仕様があるため、このデメリットも殆ど気にならない。レベル10以降の雑魚戦はサスケが自爆するだけのゲームと化してしまい更に作業化する。
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必殺技も存在するが威力は中途半端。合体必殺技は使用キャラ全員の行動ターンを使ってしまうため個々で術を使った場合と総合ダメージは大差無く、あまり役に立つものではない。
非常に貧相な立ちグラフィック。
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戦闘中は前列に表示したキャラのみ立ち絵が表示される仕様なのだが、そのグラフィックが今一つ。
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特に主人公はゲーム中見る機会が非常に多いにもかかわらず描き込みの出来が悪く、鏡餅のような顔に遠近感がありそうで無い謎ポーズ、垂れ気味のヨーヨーと見栄えが宜しくない。
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ヤエもかなり出来が悪い。肌色パレットがある筈なのに肌は真っ白、目付きも可愛くない。
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一方で顔グラフィックはそこそこ出来が良い上に差分も存在、戦闘中と移動時では別々のものが使われており凝っている。
評価点
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立ち絵と歩行絵以外のグラフィックはそれなり。
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前述で批判した立ち絵もエビス丸だけはかなり出来が良く、戦闘不能時の差分として半裸のサービスカットまで存在する。
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戦闘中の立ち絵は総じて今一つなのに対して、他のイラストはまあまあ良好。前述の通り顔グラも悪く無い。ほとんどの村人や町人に専用の顔グラが存在しているのも特徴。妙な所には気合が入れられている。
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必殺技「Gハンマー」使用時には枚数の多いアニメーションでゴエモンインパクトが出現。画面をぶち抜いたカットインで攻撃し、中々に迫力がある。
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出現時のメッセージはランダムで表示される。何故か「そして伝説へ」などの全く関係ないものが表示される事も。
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エンディングの一枚絵の和風イラストはどことなく浮世絵を彷彿とさせつつもゴエモンらしくもあり、絶妙なタッチで仕上がっている。
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BGMは全体的に良好。ゲームは短いのに雑魚戦は2種類の曲が存在し、どちらも和風の心地よいリズムで盛り上げてくれる。
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防御力の高いエビス丸、回復が得意なヤエなど、キャラの個性はきちんと活かされている。
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後列から攻撃した際はキャラによって異なる飛び道具を使用する。
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全体マップから行き先を選べばすぐに行きたい所に飛べる便利機能を搭載。帰り道で1歩エンカに悩まされるといった事はない。
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ゴエモンらしいギャグやパロディは健在
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エビス丸の武器がバキハンマー、オーガハンマー、ジャックハンマーだったり。
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雑魚敵も個性豊か。リサイタルを行うガキ大将風味の「じゃいてんぐ」、不気味な目玉を持つ宇宙人風味の馬「UMA」、「あーむぱんち」で攻撃するゴーグルを付けた犬「スコープドック」といった具合。
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主人公の必殺技が何故かろっこうおろしで、虎の姿をしたタイガースというザコ敵がいたりと妙な所に関西ネタがある。
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現代の住民たちは進行状況に応じて細かく台詞が変わる。英語の解読を依頼する際は「英語を使う国とは取引していない」「英会話を習っているが、英語は喋れるけど読めない」と、特に意味のない会話でもバリエーションが豊富。ついつい進行と無関係な人にも話したくなる。
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ただ、本作のターゲットであろう小学生低学年に『グラップラー刃牙』や『装甲騎兵ボトムズ』といった作品のネタが通じるかは疑問な所も。
総評
とにかく低ボリュームで貧相なRPG。当然ながら当時のゴエモンファンのみならず一般ユーザーからも速攻で否定的評価を下される事となった。
ゲームとしては破綻しておらずクリアまで遊べるだけ『黒船党』よりはマシだが、様々なRPGが流通している1999年でこの内容は流石に苦しい。
結局、ゴエモンシリーズの1作としても単体のRPG作品としても、褒められない出来となってしまった。
アニメ版設定の謎
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本作発売の1年前に放映されていたTVアニメ版『アニメがんばれゴエモン』は、「ゲーム界から人間界へとやって来たゴエモンたちの悪との戦いと、ゲーム好きの少年・ツカサ一家との交流を描くドタバタコメディ」という内容である。
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一方、本作においては上述の通り「ゴエモンたちの住む大江戸を現実世界の過去」と扱っているため、TVアニメ版の設定は反映されておらず、ゲーム内におけるアニメ版の設定とも齟齬が生じている。素直に解釈するなら「ゴエモンたちが過去の偉人として伝わっており、それに基づいたアニメ化作品」ということなのだろうか。
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TVアニメ版のゲーム化とみれば宣伝詐欺的な内容であるのは否めないが、実際にタイアップ作として作られたのかどうかがはっきりしないため、今となっては真相は不明である。
余談
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去年12月に『でろでろ道中』『綾繁一家の黒い影』が発売したばかりのため、本作含めて1ヶ月以内に3本のゴエモンが発売されるゴエモンラッシュとなった。
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ハード・ゲームジャンルはそれぞれ異なるのでニーズに合わせたと言えなくもないが、既にセールスに乏しいシリーズでこの販売戦略は挑戦的すぎると言わざるを得ない。
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『でろでろ道中』は全盛期と比べて売り上げは落ちるものの、評価は高いため、残り2作の出来の悪さが売り上げに悪影響したとみなすファンも多い。
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流石のコナミも売れる見込みが無いと判断したのか出荷本数は抑え気味のようで、こんな評価でも中古価格は意外と高い。
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当時ゴエモンシリーズとタイアップしていたコミックボンボンで本作のコミカライズ版が連載されていた。
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ただし、作者は帯ひろしでは無く本作で初登場の山藤ひろみ氏。内容も『でろでろ道中』『綾繁一家の黒い影』の2作との抱き合わせであった。
最終更新:2023年11月13日 12:55