ピクトロジカ ファイナルファンタジー≒

【ぴくとろじか ふぁいなるふぁんたじー にありーいこーる】

ジャンル パズルRPG
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 ジュピター
発売日 2017年7月12日
定価 基本無料(アイテム課金)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ファイナルファンタジーシリーズ
ピクロスシリーズ


概要

スマートフォン向けに配信されていた『ピクトロジカ ファイナルファンタジー』の3DS移植版。
一言で言えばFF版ピクロスで、開発も『ピクロスeシリーズ』までを開発してきたジュピターが行っている。 システム的に『ピクロスeシリーズ』や『ポケモンピクロス』と共通する要素も多いが、FFらしくRPG的な戦闘・育成要素を取り入れている。
特に育成要素はスマホ版とは大きく異なる内容となっているため、本記事では違いについても併記する。

なお、名前・開発会社こそそのままだが厳密にはピクロスシリーズには含まれない。*1


特徴

  • ピクトロジカ(ピクロス)部分の基本システム・問題バリエーションについては『ピクロスeシリーズ』そのままなので、そちらを参照。
    • ナビゲーション機能やヒントルーレットなども搭載されている。また、間違えるとモーグリが訂正してくれるお助け機能も標準搭載。オプションからオフにする事も可能。
    • 今作はノーマル・メガといったeシリーズおなじみの問題に加え、ピクロス2の基本モードである「分割」がまさかの再登場。当時のユーザーを驚かせた。従来の「ミクロス」に該当するヒュージプレートも用意されている。
  • 全30エリア+α。
    • 1エリア10問の問題が用意されており、9問目までクリアするのが次のエリアの開放条件となっている。
    • 最後の10問目は高難易度のExステージで、やりこみ扱いのためクリアは不要だが、強力なメモリアが入手できる。
      • 後半のエリアのExステージでは各作品においてラスボス(或いは実質的なラスボス)を務めたキャラクター達が登場する。問題を解いた時、クエストをクリアして邂逅を果たした時の喜びはひとしお。
    • 次エリアの開放には開放条件を満たした状態で時間経過を必要とする。課金アイテムの「クポの実」を購入することで即時開放可能。
      • 「どっさりクポの実」を購入すれば全てのエリアを開放可能。こちらのみ購入金額は開放済みエリアの数によって低下していくため通常のクポの実を購入していった時と金額的な差異は発生しない。
+ 非課金プレイの詳細
  • 先のエリアに進む度に、エリア開放にかかる時間が異常なほど増加していく。
    • エリア2は30分待てば解禁されるが、エリア21以降になると336時間(2週間)近く時間がかかる。全てのエリア開放までに必要な待ち時間は合計5599時間と30分、日数に換算すると約233日。1年の2/3近くを待ち時間に費やす破目になる。
    • 特に、『ポケモンピクロス』等の作品を経験していないプレイヤーが336時間の表記に面食らう…というケースが散見された。
    • とはいえこの点は本作が基本無料であるという点を考えれば、ある程度は止むを得ない面もある。
      • 即時開放の為の課金は上限3,000円と比較的安価に抑えられている。ボリュームを考えれば寧ろお得な位であろう。

クエスト

  • 集めたメモリアでパーティを組んで連続バトルに挑む要素。
    • スマホ版と違って特定の問題をクリアすると開放され、クリアするとメモリアが入手できる。また、序盤の初心者の館のチュートリアルを除いてストーリーのようなものは存在しない。
    • クエストのクリアはエリア開放には必須ではなく、次のエリアを開放した後でまとめて攻略する事もできる。
  • 戦闘は上画面にモンスターとパーティーがSFC時代のFF同様の構成で表示され、戦闘の様子が展開される。
  • HPはパーティ全員のHPを合算したパーティHP制を採用。上画面の一番下に表示されるHPゲージがゼロになればその時点で敗北だが、バトル中に戦闘不能になる事はない(状態異常による行動不能はある)。
  • ターン制で、下画面に表示される5×5の問題を解くと戦闘が開始される。
    • パーティは5人パーティで、問題の横の列が各メンバーに該当しており、列を塗れたキャラから順番に出撃して攻撃順が決定される。
    • 列を塗りきる前に塗ってはいけないマスを塗ってしまった場合、その列に対応したメモリアはそのターンの間攻撃できなくなる。
  • 下画面の一番上にはリメントゲージが表示されており、問題を素早く解くことで溜まり、時間経過で減っていく。
    • リメントゲージが最大になるとブレイク状態になり、与ダメージの上昇、HP回復量の上昇などの効果が得られる。ブレイク状態で問題を解いていくと攻撃倍率が上昇していき、最大10倍もの効果を得られる。
  • パーティにはメメントと呼ばれる作戦が存在し、パーティ全体の能力補正に影響を及ぼす。メメントはターンの最初(マスを塗る前かつアビリティ未使用時)に変更できる。
    • - 攻撃力がアップするメメント。ブレイク状態で使用する事で大ダメージを期待できる。
    • 知恵 - リメントゲージの上昇率がアップするメメント。戦闘開始当初はこのメメントにしてゲージを溜める事を意識するのが基本戦法。
    • 祈り - 戦闘開始と同時にHPが一定量回復するメメント。回復量はパーティの回復ボーナスに依存し、ブレイク中は回復量がアップする。なお、ケアル系のアビリティでも回復は可能。
    • 守り - 攻撃力低下と引き換えに防御力をアップするメメント。適切なタイミングでの使用が必要となるクエストも存在する。

メモリア

  • 仲間となる歴代FFキャラクター達。クエストを攻略すれば仲間にでき、彼らでパーティを組んでいく。
  • HP・攻撃力などのステータスの他、アビリティスキルプレミアムスキルを所有しており、戦闘中に使用可能。
    • アビリティは各種魔法。一人につき2種類まで習得し、レベルアップに伴い上級の魔法に強化されていく。
    • スキルは特定条件を満たすと発動する能力で、例えば最初に出撃した場合に2~4回の攻撃を行う「乱れ撃ち」やブレイク中にのみ発動する「ジャンプ」などが存在する。
    • プレミアムスキルは各メモリアの必殺技で、非常に強力だが1ターンに一人しか使用できない。また、アビリティを先に使用した場合も使用権がなくなる。
      • アビリティ、プレミアムスキルの使用にはポイントが必要で、問題を解くことで溜まっていき使用可能になるとアナウンスされる。
    • 特定のメモリアはカオスエフェクトという強力なスキルを所有するが、発揮されるカオスエフェクトは一種類のみで、並び順が先頭に近いメモリアのものが発揮される。
    • 各メモリアには攻撃属性も設定されており、モンスターの属性によって与ダメージが増減する。
  • メモリアは各ステージやクエストに設定されたミッションをクリアすると入手できる「スター」を消費することでレベルアップする。
    • 最初はレベルキャップが設けられており、3エリア開放ごとに1レベルずつ上限が開放されていく。最大レベルは9。
    • スマホ版では経験値によるレベルアップや武器やアクセサリなどの装備品の要素も存在したが、本作では削除されており武器のみレベルアップに伴い上位の武器に取り換えていく形になっている。これに伴い錬金などの要素も存在しない。

連動要素

  • スマホ版のスペシャルクエストをクリアする事でエリア31の、コミュニティサイト「SQUARE ENIX BRIDGE」においてスマートフォン版のセーブデータバックアップ登録を行う事でエリア32の開放を行える連動コードを入手可能という連動要素が存在する。
  • スマホ版のサービスが終了した現在は、公式ページ上において連動エリア開放用のコードが公開されている。

評価点

  • 登場する作品は、ほぼ全てのFFシリーズを網羅している。
    • タイトルに『ファイナルファンタジー』と入る作品であれば大体収録されており、ナンバリング優遇以外では特定作品の贔屓なども特に見受けられない。
    • さすがに『聖剣伝説』のような別シリーズ化した派生作品や『光の4戦士』といったネームドキャラの存在しない作品は登場しないが、『ミスティッククエスト』や『WOFF』からも登場する。また、ナンバリングの派生作品については登場しないものもある。
  • 登場するメモリアもナンバリング作品であればメインパーティメンバーは全員登場*2。『FF1』や『FF3』は『DFF』のキャラやリメイク版のキャラが仲間になる。
    • 固定主人公の存在しない『FF11』や『FF14』からはNPCが参戦。さらに原作の敵役なども選抜されている。セシルとゴルベーザ兄弟やスコールとラグナ親子のような夢のパーティを組むことも十分可能。ちなみにセシルは暗黒騎士とパラディンが、シドは『FF4』版と『FF7』版がそれぞれ登場する。
    • なお、派生作品かつメンバーの多い『FF零式』や『FFT』などは主要キャラクターのみ。また、スマホ版に登場した非ネームドの各種ジョブは登場せず、基本ネームドキャラのみとなっている。
  • 問題の回答はキャラクター以外も用意されている。
    • モンスターは勿論、NPC、アレキサンドリア城やコクーンなどの背景、果てはアイテムやイスなどの背景オブジェクトまで多彩。全て出典のグラフィックを踏襲している細かさ。
    • 解いた問題の画像は図鑑モードで解説を閲覧可能。真面目な内容からプレイヤーなら分かるネタまで多彩なテキストが用意されていて楽しめる。なお、メモリアの場合は問題の答えと今作用に描き下ろされたイラスト*3を切り替えられる。
  • バトルシステムも良好で遊びごたえのある内容。
    • 問題も5×5である程度パターンが絞られるため、遊んでいるうちにパターンを把握して各メモリアのスキルを考慮した解き方ができるようになっていく。
    • 通常ステージのクエストはさほど苦戦しないが、Exなどの高難易度クエストは歯ごたえ抜群。最初のエリアのExからしてボスにオメガ改が登場。おなじみの波動砲で2500ダメージを与え、一気にHPを吹き飛ばしてくる強敵。
      • 一方で、守りメメントを使えばダメージを6割軽減可能なので、上手くすればさほど鍛えていないパーティでも十分対抗可能。高難易度になればなるほど敵の行動を覚えてタイミングよく適切なメメントに切り替えたり、アビリティの使用タイミングが重要になってくる。意外と練られたゲーム性になっている。スマホ版と違ってスタミナ制ではないので、敗北してもすぐに再戦して行動を覚えていくのも楽。
    • パーティ編成においてはメモリアの検索システムが優れているので、必要なメモリアを見つけやすい。
      • 作品ごとは勿論、武器種、魔法種、性別など細かく設定して検索可能。ミッションに必要なメモリアも探しやすい。
      • スマホ版と違って育成が簡素化されているが、それゆえに使えるキャラと使えないキャラといった格差は感じにくく、レアドロップ狙いによる作業感もなくなっている。
  • 『ポケモンピクロス』における問題点の改善。
    • 特に批判されたタッチ操作の強要が無くなっており、ボタン操作でも遊びやすくなっている。
      • クエスト中においては速度が重要なため、タッチ操作の方が有利だが。
    • 課金要素についても前述の通りエリア開放の時間短縮のみなので、エリア開放を待つ間にExクエストや連動エリアに挑戦するなど、無課金でも手軽に楽しめるようになっている。
      • 開放にかかる時間はエリアを進める度に増加していく。無課金だと気長にプレイせねばならない点は『ポケモンピクロス』と同様だが、毎日コツコツとポイントを溜める作業が不要な為、気楽に遊べるようになった。

問題点

  • パーティ編成の操作については若干劣化ぎみ。
    • 『ポケモンピクロス』と違ってスライド操作でキャラを入れ替えられず、入れたい場所を2連続タッチしてメモリアを選択して入れ替えるという方式。人数制限のミッションに挑む為にはパーティから外して空きを作る必要があるが、その際もいちいちキャラを選んでボタン操作をせねばならず、直感的ではない。
    • このため、パーティ編成だけはボタン操作の方がやりやすい。
  • キャラクターの顔グラフィックに関する問題はそのキャラクターの顔の一部しか問題の範囲になっていないことが殆どであり、全体像を掴みにくくなっている。
    • とはいえ「制限されたドット数でお題を無理矢理再現しようとして見栄えが悪くなる」というピクロスにありがちなパターンは避けられており、完成して表示される全体図のクオリティは高い。
  • 基本的にエリア内のステージを一つずつクリアしていくスタイルで、エリアの分岐などの要素もないため好きな問題から挑戦はできず、進行の自由度は低め。
+ リリース当初のスマホ連動に関する問題点
  • リリース当初から暫くの間は、一部メモリアの入手にスマホ版との連動が必須であった。
    • 連動でのみ開放可能なエリア31・32にもメモリアを入手可能なクエストが存在しており、スマホを持っていないプレイヤーはメモリアのコンプリートと、加えて一部アチーブメント(トロフィーや実績解除のようなもの)達成条件の都合上アチーブメントのコンプリートが物理的に不可能であった。
      • 連動コードと一緒にスマホ版のユーザーIDも同時に入力しなければならなかった為、セキュリティ面の問題から「3DS版をプレイしないユーザーから連動コードを貰う」という方法も困難であった。
    • 更に、この連動エリアで入手可能なメモリアは「ジタン」「ユウナ」「ライトニング」そしてよりにもよって「クラウド」の4名。見事なまでにシリーズの人気キャラ狙い撃ちである。
      • このソフト自体がスマホ版への導線という位置付けであった為、そういう意味では妥当な人選と言えなくもない。しかし当時各所のコミュニティで、連動エリアを開放できないプレイヤー達の怨嗟の声が木霊する結果となったのは態々説明するまでもないだろう。

総評

FF作品大集合で全300問以上とボリュームは十分、歯ごたえのあるバトルシステムや十分量のやりこみ要素も楽しめる逸品。
課金しない場合、待ち時間が異常に増加していく難点こそあるが、基本無料という点を考えれば致し方なしか。
気になるなら課金すれば即座に先のエリアを開放できるし、パズルゲームらしく空いた時間に少しずつ攻略を進めていくというスタイルでも問題ない。

スマホ版がサービス終了した現在、本作はピクトロジカFFとその世界観を楽しめる唯一の手段でもある。
今なら連動要素もスマホの有無に関係なく開放できるので、興味がある方はプレイしてみてはいかがだろうか。

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最終更新:2023年10月25日 21:31

*1 「ピクロス」は任天堂の商標登録であり、今作には特にクレジットもされていない

*2 『FF8』のラグナパーティなど非メインパーティは揃わない事もある。

*3 この描き下ろしイラストでのデザインは、後に発売された『WOFF』でも「プリメロ」の姿として取り入れられている。