メタルギア サヴァイヴ

【めたるぎあ さゔぁいゔ】

ジャンル サバイバルアクション

対応機種 プレイステーション4
Xbox One*1
Steam
メディア Blu-Ray Disc
発売元・開発元 コナミデジタルエンターテイメント
発売日 2018年2月21日
定価 5,178円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 4箇所
レーティング CERO:D(17才以上対象)
備考 オンライン専用
判定 賛否両論
シリーズファンから不評
ポイント 本シリーズ初の完全非コジプロ関係作品
土台があるのに粗すぎる作り
サバイバル要素の着眼点は〇
信用しづらいレビューサイトでの評価
メタルギアシリーズ関連作品リンク


概要

本作はステルスアクションの金字塔で有名な「メタルギア」シリーズの新たな外伝作品であり、小島プロダクションが全く関わっていない作品*2でもある。
前作『メタルギアソリッドV ファントムペイン(以下TPP)』開発段階で明らかになったコナミとコジプロの確執、更にはトレーラー映像が「異世界へ飛ばされたプレイヤー部隊がゾンビと思わしきクリーチャーと戦う」という、
シリーズから大きく離れている内容という事もあり、発表当初は膨大なバッシングを受けた。

ただ、本編から流用された、土台としてのアクション性と、『3』におけるサバイバル要素を深化させた内容は、良作とは言えないまでも酷評される程の出来でもなく、本来の評価がある程度見直される事になった。

特徴

  • ストーリーは『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ(以下GZ)』から分岐した内容*3で、システム面は『TPP』に準拠している。
    • ただし、システムの変更に伴い、新たに防衛設備の「召喚」をおこなう「ガジェット」の追加等により、操作体系はいくつか変更されている点がある。
  • 本作では「異世界におけるサバイバル」が最も大きな要素となっており、野戦でのサバイバルを取り入れた『MGS3』譲りのスタミナの復活と、そこを更に掘り下げた「空腹・渇きゲージ」の導入がなされた。
    • また、本作では戻れる拠点が存在している為、これらを守る為の防衛戦が行われる事もある。ガジェットの導入などもあり、TPSアクションに加え、ちょっとしたタワーディフェンス要素も組み込まれた。

評価点

良好なサバイバル要素

  • 本作のキモであるサバイバル要素はうまくまとまっており、近年のTPSの中でもある程度の独自色を出す事に成功している。
    • フィールド中には素材が点在しており、これらを組み合わせていく事で様々なアイテムをクラフトする事ができる。空腹メーターと水分メーターでサバイバル要素を活用している。
    • ベースキャンプ強化の為に遭難者を救出するのも良し、素材集めの為に生存者を派遣するのも良し……等とサバイバル要素は結構豊富である。
      • クラフトできる物はかなり多く、食料から防具、更に医療品や施設等も作れる。

バランスの取れたアクション部分の難易度調整

  • 難易度のステップアップと各種要素の解放具合は良好。序盤は主に空腹と渇きによってかなり厳しいサバイバルを強いられる事になるが、徐々にできる事が増えていく感じを実感できる。
    • ストーリーの進行に沿って素材収集はもちろん、プレイヤーにも新たな要素が追加される為、「本当に飽きそうになったところで、また少し引き戻される」という感想を残したプレイヤーも。塩梅はある意味絶妙。
    • また、よく挙げられるのがチュートリアルの丁寧さ。『GZ』で一気に複雑化した操作とフィールドアクションを、かなりかみ砕いて説明してくれるため、全く知らない状態でプレイしても安心。
    • 進行に従って充実していく装備と敵の強化のバランスも悪くなく、空腹と渇き以外の大まかな所を少し低めの難易度にアジャストしたおかげで、いざとなればゴリ押しも効く。
      『TPP』が高すぎる自由度故に、慣れていないと通り一辺倒なやり方しかできない状況に陥っていたため、本作は自由度は下がったのに、却って攻略構築の幅が広がったように感じるとする意見もある。
      • 一方、唯一のボス戦では終盤に登場する事もあり、グレネードを使わない限りは、かなり苦戦する戦闘が展開される。
        本編最後の防衛戦も4回のウェーブに渡ってワンダラー達の襲撃を受ける事になる。難易度の高さも踏まえて今までのノウハウが重要になる為、ゲーム終盤に適した難しさを持っている。
  • ただし、特に序盤の空腹・渇きのシビアさは、ただただ止めたくなったと言われるレベル。野ネズミを喰らい、泥水を飲み、散々吐き散らかしながらのサバイバルとなる。詳しくは後述。

様々なコナミ作品へのオマージュ

  • やり方としては少々不器用だが、歴代コナミ作品の要素もちょこちょこと入っている。 例えば、動物の名前としてZONE OF THE ENDERSシリーズ*4からの「ジェフティ」と「アヌビス」が登場していたり、
    道中で拾えるカセットテープには往年のコナミ作品によるBGMが入っている事もある。
    • 似たような要素、特に楽曲に関しては『MGS4』でもあったが、それ以来。あちらはIpodとのタイアップ&小島氏と関わりのある作品のみという側面も含まれていた。
      選曲の幅という意味では拡張されているが、本作は全体的な意匠が2010年代ではなく、1980年代である為、BEMANI楽曲等の一部の楽曲が明らかにミスマッチになっている感は否めない。

賛否両論点

水分メーターと空腹メーターの是非

  • 「素材は悪くない」と言われる本作のサバイバル要素だが、その中心である水分メーターと空腹メーターの存在は議論の的になる事がしばしば。
    • 良く言えば、「絶望的な状況下でのサバイバルの難しさ」と言う意味でリアル性は増したが、逆に、本作のプレイ要素として最も大きな割合を占める長時間探検や防衛戦の必要な本作には向いていない。
    • ゲームとして一つの要素ではあるのだが、「サバイバル感」に主軸を置きたいプレイヤーと、「探索要素」に主軸を置きたいプレイヤーとで、価値の相違が発生する。
    • 上述の通り、最初から最後まで「減る」という部分に対する特別な救済はない為、装備やスキルの無い序盤が一番厳しい。これで早々に投げたというプレイヤーもチラホラいる。
  • そもそもの問題として、アクション側では「順を追って難しくなる」という大前提が遵守出来ているにもかかわらず、
    この点に関しては「序盤がMAXで難しく、後半は『軽い時間制限要素』くらいの認識」という、段階を追って陳腐化してしまう逆転現象も起きている。
    「異世界」という、ある意味都合のいい設定があるだけに、後半へ進むにつれてサバイバルも困難になるような形にセットされていれば、少なくとも「サバイバル要素」は一つの完全な評価点になっていただろう。

完全オンライン専用作

  • 本作は文字通りのオンライン専用作であり、オフラインではメインストーリーをプレイする事すらできない。いくら世が世とはいえ、この点に対する不満を述べる層も当然ある。
  • 協力プレイに軸足を置くつもりだったのか、そこそこ早い段階で、オンライン協力である「CO-OPミッション」に参加できるようになる。
    • 序盤における資源の乏しさも、適切な難易度のCO-OPミッションを受諾、成功させれば、ガラッと変わるくらいのレベルで報酬を獲得できる。
      円滑・確実なプレイの為に、ある程度はシングルで準備を整える必要はあるが、それを差し引いても十分すぎるほどのお釣りがくる事もあり、「CO-OP抜きは半縛りプレイ」という意見も。
  • また、後述するが、様々な面で「ソーシャルゲーム」、あるいは「(MMO)RPG」の様な待機時間や、課金要素が出てくる場面も少なくない。
    • 長大な待機時間は、「TPP」でも兵器開発などで発生する場合はあったが、あちらはクリア後もいい所、やり込み要素・チートクラスの武器開発で求められる程度であり、
      課金要素も存在しているが、少なくとも普通にやり込む分には、気にしなくていいような塩梅で抑えられている。

問題点

『メタルギア』の名と開発リソースの流用

  • 本作が発表当初からネガキャンともいえる評価を受けていたのは、偏にこの部分によるものと言っていい。メタルギアの名を冠していながら、メタルギアとはほぼ無関係
    • 早い話が大手企業の内ゲバである為、オープンでない部分も多いが、少なくとも事実を記載すれば「ゲーム業界きっての一大IPを、作り主を追い出して乗っ取った」のが本作。
      本wikiの趣旨からは外れる為、詳細については各々で確認を。
    • 元々、本シリーズ自体、国内外に熱狂的なファンを多数抱えている事もあり、のっけからメタルギアに繋がらない要素を推した本作は、発表時点で既に大バッシングを受ける事になった。
    • ただし感情論抜きで公正に見れば、小島氏は(看板クリエイターとはいえ)一会社員という立場であり、莫大な期間と人件費という億単位の大金を投じて完成した成果物の全権利を会社側が有しているのは当然の事実でもあるので、それを使用する事で批判される理由など何も無い。本作の出来栄えに関する評価ではない点も踏まえれば、「評価が不当」と言えばその通りではある。
    • しかしながらここに至るまでの経緯を鑑みれば、やはり本シリーズの持つ影響力や、この騒動自体を軽視し過ぎたと言わざるを得ない。
  • ただし、これらを除いても、下記の通り、ファンが納得できる内容でなかったのは確かだった。
    • アクション面では、背後から近接武器で不意打ちを行う「バックスタブ攻撃」が、残された数少ないステルス要素。
      とはいえ、これ自体は『メタルギアライジング リベンジェンス(以下、MGR)』も考えればまだ許容の範囲内。早い話が「別ゲー」として作られている。
  • その癖、ゲーム中の様々なリソースが『TPP』からの流用である事が分かる点も大きな批判を呼んだ。
    • ゲーム中、一目でわかる所だけでも「Mob含むフィールドのほぼ全て」「キャラの基本的な造形」「銃火器」「新規武器以外の動作モーション」「UIデザインのベース」「画面上のインフォメーション」等、これだけある。
    • また、システム的な所ではマザーベース譲りの「班要素」、操作方法を含めた「各種アクション」、事実上、資源の名前を変えただけの「コモンリソースの備蓄」*5等。
      最も大きなところでは、小島プロダクションの遺産であるFOXエンジンをそのまま使っており、あらゆる面を労せず踏襲できるところにまで至る。
  • これらの点から、敢えて過激な表現をすれば、「開発/プロモーション両面で楽をする為にメタルギアの名を騙った」と捉えられる事が非常に多い
    • もちろん、これを言いがかりとする意見はあるが、後述する通り、システムもストーリー面でもメタルギアである必要はなく、その一方でこれだけの「TPPの部品」を使っているのだから、流石に無関係と言う事はできない。
  • よく、本作を評価するプレイヤーの意見や制作側との兼ね合いもあるメディア等では「メタルギアでなければ……」という文章が頻出する。
    しかし、実態は本項記載の通り、「GZ」「TPP」という作品の上に、別のルールとキャラを載せただけでしかなく、この表現自体も正しいかと言うと疑問符が付く。
    • 尤も、近年のTPSやグラフィックへのノウハウが絶対的に不足しているコナミが0からここまで作り上げるとなると、相当な予算と労力が必要になる事は想像に難くない。
      さりとて、使わず残した所で主無しの本シリーズをどうこうする事は難しい為、「とりあえず使い潰す」「ダメならポイ捨て上等」という意図もあったのだろう。

面白みのないストーリー

  • ストーリーも大きな問題点の一つ。メタルギアシリーズとは無関係な作品と考えても、こじつけやご都合主義といった部分がストーリーが進むほど増えていく。元々、出す度に何らかの形で高い評価を受けていた本シリーズ*6*7において、この点は特に大きな批判点となる事が多い。
    • とある大手ゲームメディアのレビューでも「ご都合主義とお使いの繰り返しの様なシナリオ」「キャラクターが活きるどころか記号としての意味も持っていない」等、ことストーリーに関してはかなり辛辣に表現されている。
  • 「メタルギアシリーズの一作」と考えれば余計にこの点が浮き彫りになる。最初こそ、GZのEDと繋げるような形で始まっているが、その後の話は別に何の関係もない
    • 少ない接点を挙げるとすれば、『TPP』に登場したメタルギア「サヘラントロプス」搭載のレールガンが重要な場面で活躍、主人公がMSF*8の一員で、XOF*9の一員が仲間として登場する事ぐらい。
  • 登場人物全員が、これまでのシリーズでは影も形もなかった存在であり、なおの事メタルギアである必要はない。いくら外伝作品であったとしても、ファンや生みの親へのリスペクトも兼ねて、本編の邪魔にならない程度に繋がりを持たせるのが一般的*10
    • ところが本作では、その点から逸脱した割には深い独自ストーリーがある訳でもない。使えそうな既成素材を並べ立て、取り敢えず考えていたストーリーのポイントまでをこじつけで何とか繋げている感が強い。
    • 造形も「アバターパーツにちょっと手を加えただけ」と言うのが一目見て分かる。「名も無き兵士達の奮闘」と言えば聞こえはいいが、ガッチリ造り込まれた前作のメインキャラ達に比べると、既成素材感満載で、思い入れの介在する余地は少ない。
+ ストーリーの顛末と関連した問題点
  • まず、本作の主人公達はGZでのED後、突如出現したワームホールに巻き込まれ散り散りに。主人公はかろうじて留まるも、片腕をワームホールに巻き込まれて切断、昏倒する。
    半年後、「ウォーデンクリフ・セクション」という米国秘密組織にて目覚めた主人公は主席研究員である「グッドラック」という男から、主人公の失った片腕を癒着させた未知の生命体の寄生と、ワームホールへ巻き込まれて異世界へ飛ばされた仲間の存在を告げられ、組織からの任務遂行を依頼される。
    • 治療と救出のために、ワームホールを通じて向かった異世界「ディーテ」は人間をゾンビ化させる「塵」と、それによる寄生浸食が進みゾンビ化した人間「ワンダラー」が跋扈する世界だった。
      主人公は、そこでかつての相棒である「セス」や、元MSFの主人公にとっては仇敵であるXOFの一員「リーヴ」、
      足は不自由だが優れたソフト技術を持つ少年「クリス」、同僚がワンダラーと化した事をきっかけに、その治療法を探すと決意する看護婦「ミランダ」等の漂流者を救出する。
    • ゲーム終盤、相棒のセスがワンダラーの力に魅せられて離反。更に「ディーテ」が異世界ではなく、22世紀の地球である事、組織からの任務を仲介していたグッドラックが、年老いたクリス本人であった事が判明する。
    • 最終的に、膨大な「塵」とワンダラーを取り込んで知性を手に入れた「塵の王」と呼ばれる存在と対峙。ワームホールを利用して時間遡行を繰り返しながら強化されていくこの存在に対し、
      相手が最弱の状態であるタイミングを見計らい、打ち捨てられていたサヘラントロプスのレールガン利用して交戦。一度目は塵の王が「死の概念を持たない」ために復活してしまうが、
      主人公達のナビゲーターであった「ヴァージル AT-9」というAIロボットが同化。「死の概念」を共有した事で、二度目の攻撃で塵の王の撃破に成功。
      その後も主人公達は戦い続け、結果的に本作におけるパラレルは解消され、「TPP」のストーリーに繋がる……というもの。
  • まずこの大筋を見て分かってもらえると思うが、導入以外はこれまでのMGSと無関係であり、繋げられない理由を「ワームホールを介したパラレルワールド」という設定で無理くり収めている。
    • 「ワームホール」自体は「TPP」で登場したものだが、あちらはいわゆる「やり込み要素のチートアイテム」の意味合いで登場したものであり、少なくとも本編中には単語すら出てこない要素である。
    • それを見た目一つ変えずに都合よく利用した上、あまつさえストーリーの主軸に据えるというのは、「いくらSF要素の強いMGSシリーズでもやり過ぎ」という意見が多い。
  • MSF隊員の主人公と、XOF部隊の一員という、おいしくなり得る部分についてもチョロっと触れただけ。
    • 歴代を知っていると「どっかで聞いた組織・地域名を肩書に名乗るだけのモブキャラ」、知らない人にとっては「意味も意義も良く分からない肩書を持つ設定の薄いキャラ」という評価に終わる。
  • 前述のサヘラントロプスのレールガンにしても、主人公達にとってロストテクノロジーに等しいというだけの存在であり、「それ」である必要は皆無。
    • 本作のムービーで最初にワームホールが登場したGZのEDである1975年、その半年後に主人公がディーテへのダイブを試みた時点でもサヘラントロプスはまだ影も形もない状態である。
    • また、ファンサービスとして過去作のメタルギアを22世紀に残すのであれば「REX」や「RAY」の様な、ゲーム内の2014年時点でも残っていた機体の方が説得力がある。
    • なのに敢えてサヘラントロプスを残したのかについては「ワームホールという存在を利用し、TPPのモデルを使いまわす為」と邪推せざるをえない。
  • この他、ストーリー背景とその他様々な部分の齟齬や、手抜きと取られても無理はない粗も。
    • 本作の世界は「塵」によって荒廃しきった世界が舞台だが、22世紀であるにもかかわらず、目の前に広がる風景は1987年のアフガンorアフリカ。風景はもちろん、その場にあるガラクタや瓦礫はおろか、建物さえもそう。
      「実は22世紀でした!」という所に驚きを生み出したかったのかもしれないが、このあたりの齟齬は全て「ワームホールによる瓦礫や物資の転移」で済まされており、しかも、その何れも1980年代のそれで止まっている。
      仮にもラスボスの塵の王は、「時間遡行を繰り返す」という設定があるのだから、それら瓦礫の中にチョロっと80年代から時代錯誤な物を混ぜ込んでおけば、風景上の伏線にもなったはずである。
    • よく指摘されるのがラスボスの設定。「死の概念が無い=死なない」という理論で復活、逆にその概念を与える事で消滅したが、そもそもの成り立ちが死の概念を持つワンダラーをこれでもかと取り込んだ存在である事を無視している。
    • 上述しているが、ストーリーの流れも「困った事が起こる→都合よく心得のある人間が漂流 or クルーが手を挙げる」を繰り返す。
    • 終盤、主要なクルー達 といっても見た目はモブキャラだが が一致団結し、それぞれの思いを胸に主人公に付き従う様子も、「とりあえずそれっぽい事言わせておけ」と言わんばかりの説得力の無さ。
    • とあるレビューでは「物書き初心者がやりがちな失敗の満漢全席」という評価も。
  • キャラクターも大概。主人公自体はよくある「プレイヤーの影」で済むが……
    • その他のキャラも既に原形をとどめていないワンダラーを「人間に戻す」といって憚らない看護婦偉そうなことは言うが早々に負傷して前線を退きっぱなしの元敵兵等、コメントに困るようなキャラクターばかり。
    • もっと言えば、ストーリーの顛末で記載されている通り、重要な役割を持つ「ヴァージル AT-9」の造形も、前作及び『MGSPW』に登場したザ・ボスのAIポッドそのまんま*11である。

セーブスロットの作成に半課金要素が必要になる

  • セーブスロットを作成するには1000SVコインが必要になる。SVコインは原則として課金の為に用意されている物であり、一応課金無しでSVコインを貯める事はできるが、その代わりに長い連続ログインが必要になる。
    • この為、カットシーンの再視聴や途中までの段階をリプレイしたい場合は、わざわざデータを消して対応する事になる。
      セーブスロットの制限は『TPP』でも同様だが、あちらはカットシーンが見たければ当該のミッションを再受注するだけでいい上、「あらゆるものを全てリセットしたい」というのでなければ、
      携行武器の調整等でいくらでもその時点でのプレイ環境を再現できる。
    • セーブスロット作成という基本中の基本に課金を強いられるため、プレイヤーの怒るのは当然と言えば当然。これは大半のプレイヤーに共通する問題点である。
  • なお、後にアップデートでカットシーンの再視聴はできるようになった。

全く詰め切れていない細かな仕様

  • このほかにも、杜撰なシステムも多数存在。
    • 例えばクルー人員。全部で30人という、前作における一斑の10分の1という限られた人数しか雇用できないにも拘らず、一度雇用したクルーを解雇する事はできない
      • この為、人数上限を超えてリクルートした場合は、既存のクルーが、この危険な世界にありながら突如として脱走する
        場所と状況の関係上、クルーをおいそれと解雇できないのは分かるが、それだけに丸腰で「脱走」と言うのは流石におかしいとしか言えない*12
    • 何より、脱走するクルーはランダム*13の為、手塩にかけたクルーがあっさり逃げる可能性もある。
      • この脱走対策としてプレイヤーが取れるのは、要らない人員を丸腰で探索に放り出して殺すというもの。ストーリー上は協力して世界を生き抜くものであるにもかかわらず、である。
        おまけに、「探索班は無課金では1つしかなく、人員整理を行うと普通の探索は行えない」という問題もある。機能強化の為にクルーの選別を行おうとすると猶更。
  • 本作は崩壊した異世界におけるサバイバルがテーマの為、重火器を手にしても、弾丸の作成にもコストが掛かり、おいそれと撃つ事はできない。
    • 一方、グレネード(手榴弾)はゲームの序盤から作れるようになるうえ、コストが安く、ちゃんと当てれば威力も申し分ないという、かなり高い性能を持っている。
      唯一のストーリー関連のボスであるセスでさえグレネード6発で倒す事ができる……というか、基本戦術自体がグレネードを推奨されている為、終始頼りきりになる「グレネードゲー」という誹りを受ける事もある。
    • ちなみにクリア後のボスはセスと比べてとても強くなっており、グレネード6発やマシンガンタレット等の攻撃力が高い武器でも足りない程の強さを持っている。
  • やり込むプレイヤーの少なさ故か、あまり目立つ事は無いものの、クリア後に実行可能になる「ベースキャンプ採掘」の仕様も大概。
    • 基本的にはストーリー中にもあったワームホール採掘機同じ、半タワーディフェンスの防衛戦を行い、難易度レベルに応じた報酬を手に入れるというもの。
      従来の防衛戦と同じく、複数のWAVEに分かれて戦闘を行うが、1WAVE毎のインターバルが異常に長く、一律リアル時間で22時間ものインターバルが入る。
    • 要は「一日一回」が基本であり、初回以降は最低でも2日、最高ランクの採掘プランでは実に6日間も報酬獲得を待たされることになる。
      一応、ワンダラーによる襲撃は、プレイヤーが都度採掘を再開したタイミングで行われる為、自身の与り知らぬ間に襲撃を受けておじゃんになるという事は無い。
      NPCに防衛を任せる事も出来るが、その場合でも、セオリーとして、キャンプ地に設置すべき設備がプレイヤー迎撃とNPC迎撃でかなり異なる点、結局はプレイして採掘再開を指示する必要がある点が足を引っ張る。
  • いくらオンライン専用に作られているとはいえ、仮にもコンシューマーゲームで、近年の基本無料RPGオンラインの如き待機時間を持たせるという点に反発を覚えたプレイヤーも多い。
    • もちろん、当然の様に課金する事でインターバルを短縮可能。「長大な待機時間」を前提として飲み込む事が出来れば、あって当然の要素なのだが、やはりこの点にも反発するプレイヤーも少なくなかった。
  • 全体的な主人公の動作についても粗さが目立つ。
    • 一応、前々作『GZ』、前作『TPP』と、二作分の土台がある為、全体的な操作感は良好。前作で批判されていた、所謂「ズザー*14」についても起伏の平面化や制限で、少々強引ながらも改善している。
    • ただ、新規で作られた動作モーションはかなりぎこちなく、不評を集めている。上述の通り、引き継ぎ部分はしっかり二作分と旧スタッフの作り込みが見える出来栄えなので、余計に悪目立ちする。
    • その他、別段隠密にこだわる必要もないのに、自発的なジャンプが出来なかったり、操作方法も妙に改悪されている部分があったりと、微妙に何かが足りていない。

総評

本作発表前に起こったコジマプロダクションのゴタゴタ、そして予てから噂になっていたコナミのゲーム事業に対する姿勢の片鱗が見えた事もあり、本作も同様にして、発売時点で既に強いバッシングを受けながらの船出となった。

尤も、いざ蓋を開けてみると「サバイバルTPSとしては」それなりの差別化が図れた一作であったが、
一方で、メディアサイトでも「つまらない」の一言で切って捨てられてしまう様なストーリーや、説明は親切な割に融通は利かない各種システム等、良作・佳作と呼ぶには至らぬ面も多々ある。
加えて、本作の基本的な部分はほぼ全て『TPP』をそのまま流用した事を隠そうともしておらず、「前作・前々作の土台ありき」な部分が目立っており、
「GZ」や「TPP」をやり込んでいたプレイヤー程、本作の出来の粗さに嫌でも目に付くという点も、本作の評価を落とす一端となった。

実際、本作の完全オリジナル部分である「ストーリー」や「サバイバル要素の調整」等はあまりいい評価を受けているとは言えず、
やはり『従来のメタルギア作品には遠く及ばない』と言う評価が、ユーザー・メディアの大部分の意見と言えそうだ。

結果的に、本作の評価としては「シリーズに思い入れが無く、プレイ動画を見て興味が湧くなら一考の余地あり」といった、玉虫色の評価と言わざるを得ない。
実際、システム面の粗さや調整不足・全体的な表現のお粗末さや使いまわしだらけの部分を批判する意見も、
シリーズの隠れたプレイテーマでもあった「サバイバル(生存)」を再構築した着眼点や、少々乱暴だった難易度を噛み砕いた点を評価する意見も、一本筋は通っている。
「刺さる人には刺さるが、刺さらないと途端にボロさが顔を出す」という表現が一番妥当かもしれない。

何れにしろ、通販サイトや掲示板サイトの意見は「本作に対する強烈な敵意を持つシリーズファン」と「小島秀夫氏個人とそのファンを異様に叩くアンチ」による舌戦ばかりが目立ち、
他の作品以上に本作の本来の姿が見えにくい。
幸い、ディスク版であれば中古で1,000円を切る場合も多いようなので、多少気軽に手に取る事ができるだろう。


余談

  • プロローグにある兵士報告書を書くシーンに"MG KJP FOREVER"の頭文字暗号、"BASTARD(ク◯野郎) YOTA"と"CUNNING(ずる賢い) YUJI"(後者2名にAWOL*15が表記されている)が表記されている。
    • これは本作のプロデューサー、及びディレクターであるYOTA(堤崎陽太氏)とYUJI(是角有二氏)の事を示しており、恐らくスタッフ内でもコジプロが無関係な本作に対する相当な憤りを感じていたものと思われる。
  • 小島秀夫監督も、自身の新作発表会で、本作に関する質問を振られた際、「(サヴァイヴは)全然関係無いですよ」「メタルギアにゾンビなんか出るわけ無いじゃないですか」と直接批判した事も有名*16
    • これに対して「公式のプレイムービーで傀儡兵をゾンビと呼んでいた」という批判もあったが、「公開時点で既に氏は開発から外れている」「あくまで敵兵士の比喩表現」「本人がそれらを『ゾンビ』と形容した事は無い」等、意見としては的外れと言える。
  • 本作の評価はレビュー集積サイトMetacriticではメタスコア64/100点、ユーザスコア1.6/10点と低い数字。
    • 特にユーザースコアに関しては、上述された本作への嫌悪感によるものが強く反映された数字と言える。
      これについては、特に海外におけるメタルギアシリーズの人気・ファンの熱気が日本本国のそれを遥かに凌駕している点にある事に起因していると思われる。
      『サヴァイヴ』という作品も、流石にこれほどのユーザースコアを叩き出す出来ではないのだが、やはりそこに至るまでの数々の紆余曲折、遺産の食い荒らしともいえる粗い開発内容が目立った。
  • 発売から約1年が経過した本作だが、元々のプレイヤーの少なさやシングルプレイの評判がたたってか、マルチプレイは大分閑散とした状態になっている。
    • 現在ではSNS等を活用したプレイヤー募集をしなければ、ゴールデンタイムでもまともにマッチングする事は少ない。この影響で、ストーリー序盤の難易度が少々上がっている他、
      一部トロフィーの獲得が難しい状態になっている。今からプレイしようという方は一応注意。

*1 日本国内ではダウンロード版のみ。

*2 メタルギアシリーズの外伝作品としては『メタルギアライジング リベンジェンス』があるが、こちらは元々、小島プロダクションの若手で開発が始まり、後にプラチナゲームズが参画している

*3 ムービーでも『GZ』のマザーベース襲撃シーンが流用されている。

*4 両方のシリーズが小島氏繋がりである

*5 一応、兵器開発などに使う訳ではなく、ただクルー人数に応じて自動消耗するだけの代物に代わっている

*6 『MGS1』は米フォーチュン誌にて「20世紀最高のエスピオナージストーリー」という評価を獲得、『2』も終盤に起こる怒涛の展開と、2001年当時に既に現代SNSの問題点を指摘した考察が高い評価を受けた。『3』は前2作から方向性は少し変わったが、全ての背景が明かされるEDの評価が特に高い

*7 ムービーゲーと言う誹りも受けた『4』でも、これまでに散らされた伏線をほぼ完全に回収しており、歴代ファンの評価は高い。『V』はぶつ切りの様な形が批判を受けているが、解析によって本編以外に、更に6章分の痕跡が確認されており、不本意な状態だったのは間違いない

*8 「国境なき軍隊」の略称。GZの主人公、ビッグボスが指揮官を務める私設傭兵団

*9 同じくGZにて、MSFの海上本拠、マザーベースを襲撃・沈没させた部隊

*10 例えば『MGR』は主人公が『MGS2』でも主役を務めた雷電であり、彼自身のシリーズ中での設定とも深く関わるストーリーが展開、シリーズキャラのその後についても語られる機会がある。

*11 よくある「間違い探しレベルで違う『そのまんま』」とかではなく、文字通りモデルをそのまま流用しただけ

*12 むしろ「=(イコール)死」である事は誰の目にも明白な為、人員整理に苦慮する主人公を慮った「文字通りの自殺行為」であるという皮肉交じりの考察もある

*13 多少の法則性はあると考えられているが、条件は判然としておらず、記述の通り、どんな扱いをしてもバンバン脱走する

*14 ちょっとした坂道や起伏で、主人公のスネークが足を滑らせて登れない仕様の通称。同じような起伏でも、細かな判定の凹凸で登れる場合とそうでない場合があり、折角のオープンワールドを活かせていないと言われていた

*15 意味は"逃走、任務を棄権"

*16 ちなみに、現場ではこの発言を受けて歓声と拍手が起こっていたとの事