アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-

【あめいじんぐ ぐれいす わっとからーいずゆあーあとりびゅーと】

ジャンル エンドレスクリスマスADV

※下が廉価版
対応機種 Windows 7/8.1/10
発売・開発元 きゃべつそふと
発売日 2018年11月30日
定価 10,175円(税込)
レーティング アダルトゲーム
配信 2018年12月21日/7,800円
2021年2月26日/6,800円(税込)
廉価版 価格改定版:2021年2月26日/7,480円(税込)
判定 良作
ポイント 壮大なトリック
美術ネタが豊富
キャラの扱いには賛否あり
きゃべつそふと作品


愛しの君へ 明けない聖夜の祝福をー




概要

「きゃべつそふと」ブランドの2作目。

1作目『星恋*ティンクル』と同じく「梱枝りこ」がメイン原画を担当している。
前年に『もののあはれは彩の頃。』を担当した「冬茜トム」がメインシナリオライターである。

2021年2月26日に廉価版が発売され、ダウンロード版の価格も引き下げられた。同日にFANZAGAMES PLAYカード版(ダウンロードカード)も発売された。

ストーリー

主人公・シュウは記憶を失くし、雪の降る “町” で目を覚ました。
彼はそこをとても奇妙な場所だと思う。
中世の西洋を思わせるアンティークな町並み。
何よりも芸術を重んじる文化的価値観。
そして……町を囲むように閉ざしている、オーロラと呼ばれた巨大な壁。
だがシュウはそんな町の人たちに助けられ、
やがて聖アレイア学院という学び舎で学生たちと豊かな日々を過ごすことになる。
しかしそんな幸せはまたたく間に奪われる。
12月25日、原因不明の大火災により町は崩壊の一途をたどった。
誰よりも町を愛するユネは運命の変革を心に期し、
アドベントの初日─12月2日にまで時計の針を巻き戻す。
─なぜ、破滅は起こったのか?
─なぜ、何度やり直しても同じ運命を辿るのか?
─なぜ、これだけ時間を繰り返すことができるのか?
巡り巡る時の回廊。その果てに待つ世界を知るべく、
町というキャンバスに彼らは真実を描き出す。
(公式サイトより抜粋)

特徴

  • テキストを読み進めるノベルゲーム
    • テキストウィンドウには2行で文章が表示される。
    • 前作『星恋*ティンクル』のゲームエンジンは「吉里吉里Z」だったが「Ethornell」に変更されている。
  • 目的を達成するまで試行錯誤を繰り返す「ループもの」であり、一つのゴールが定められている。
    • 4人のヒロイン及びサブキャラと親交を深めることで真相に辿り着くのが目標である。
      • ループ開始後は怪しい人物に接触を図るため、複数人から犯人と思わしき人物を選択する。
        なお、総当り前提の形式のためプレイヤーが推理すべき要素は少なく、誰でもエンディングを迎えられる仕様。
    • いわゆる途中下車形式であり、条件を満たすとアフターストーリーが解禁される。
  • 「烏滸がましい(おこがましい)」のようなごく一部の難読漢字にはルビが振られている。

評価点

  • 壮大なトリックと説得力を持たせる伏線
    • 終盤に明らかになるトリックが見所であり、大きなカタルシスを得られる。
    • このトリックのために、背景・小物・雑談内容といった細かいところまで伏線が仕込まれており、読み返すと序盤から大量に伏線があったことに気が付くだろう。
    • 後述する美術要素や舞台もこのトリックに深く関わっており、説得力を持たせる土壌は十分である。
    • ミスリードとなる用語も上手く紛れており、一筋縄では真実に辿りつきにくくなっている。
  • 美術要素
    • 『パリスの審判』など現実に存在するパブリックドメインの絵をCGとして使用している。
      • 作中の美術の授業などで使われており、それに反応するキャラクターの価値観や性格の描写に一役買っている。
    • 絵や用語の解説が丁寧であり、本作をきっかけに美術に興味を持った人もいる。
      • なお、プレイヤーの事前知識はほとんど必要ない。美術の教科書に載るレベルの画家を知っているレベルで十分であり間口は広い。
    • 映画や彫刻といった、絵以外の表現技法も登場しこれもキャラクターの造詣を深めている。
  • グラフィック
    • 立ち絵や背景は安定しており好評。
  • 演出
    • 重要な場面で流れるBGMやスタッフロールで明らかになる小ネタが好評。

賛否両論点

  • キャラクターの扱い
    • 前述のトリックを成立させるためにシナリオ上の犠牲となっていると指摘されることがある。
    • 具体的にはキャラごとに見せ場の数が違うことや、掘り下げの程度がバラバラなことなどが挙げられる。
    • ミスリードや犯人候補として配置されており、キャラとしての魅力が薄いと感じる人もいる。
+ 軽いネタバレ
  • 全体的に暗い部分が強調されない
    • 一見狂った世界観や、異常な事件に対して、犯人の動機はある程度は理にかなっているため、狂った価値観や動機を期待すると肩透かしを食らう。
  • 真犯人というべき人物の所在については賛否両論ある。
  • 重要な立場のメインヒロインの取った行動は、深い愛と見るか引くかで意見が分かれる。
    • 決して否側の意見ばかりではなく、どのヒロインが一番魅力的か意見が分かれたり、日常会話のギャグを評価する人もいる。

問題点

疑問の残る設定がある。

+ ストーリーのネタバレ
  • リンゴを食べたことによりループの能力を得るが、そもそも何故そんなリンゴが存在したのか? という疑問は解消されない。
    • そういうものとして割り切ることもできなくはないが、ファンタジー要素の介入そのものを問題視する人もいる。
    • それを棚上げしたとして、作中各分岐に応じてループ回数が明言されているのだが、あるキャラの行動の指針上かなりの数の検証や試行錯誤していないと成立しないであろう根幹設定がある(ループ回数が桁違いに多ければおかしくないのだが、リンゴに関するある重要設定によりそれは出来ない)。
  • 序盤やループ時の緊張感のなさ
    • 舞台やキャラの性格を掴むための下準備の段階ではあるが、悪く言えば退屈になりやすい。
    • ループの代償が明かされるのが終盤のため、道中の緊張感に欠ける。
      • 未曾有の大火災でありながらも何度かやり直せる、キューピッドの格好のヒロインがループを開始させるといった要素は非難されやすい。
  • グラフィック
    • 上述したキューピッドや一部の構図は、迫力がないと言われることもある。
  • シスター・リリィというサブヒロインが棒読み
    • 解説役としてそれなりに台詞が多いので、気になるところである。
+ 実は……
  • 演出上で棒読みするヒロイン・正体不明で声だけの人物がいるため、それらと絡めた伏線やミスリードと取れなくもない。
    • 実際は特に関係ないためただの棒読みであったが……。
  • セーブフォルダが80箇所+クイックセーブと少ない
    • 再読用にこまめにセーブを残したいプレイヤーからすると気になる点である。
    • 参考までに2017年発売の『星恋*ティンクル』では900箇所セーブ可能であった。

総評

美術に関する造詣の深さと壮大なトリックが魅力のシナリオゲー。
特殊なトリックを成り立たせるためのキャラクターの扱いには賛否あるものの、シナリオを重視するユーザーにはお勧めできる。

余談

  • タイトル画面で流れる曲は「Jingle Bells(ジングルベル)」
    • 誰もが知っているクリスマスの定番曲である。
  • ダウンロード版には描き下ろしのCGが1枚おまけとしてゲーム外に付属する。
  • 体験版
    • Twitterと連動したキャンペーンが行われており、体験版限定の台詞もある。エッチシーンはない。
    • カウントダウンボイスにも言えることだが、本編プレイ後に見直すと見方が変わる場面があるため、後から遊ぶのも一興である。
  • プレイステーション4移植版が2019年9月26日に発売。発売元は「dramatic create」。
    • 2023第4四半期にSteamでも販売予定。パブリッシャーは「Shiravune」。
  • 萌えゲーアワード2018にて「シナリオ賞」を受賞した。
  • 月刊コミックアライブ2018年10月号から2019年2月号まで本作のコミカライズが連載されていた。
    • ゲーム版発売日以前から連載されていたためか、重要な伏線等は少なくお色気要素が強めとなっており、漫画単体では未完のストーリーである。
    • 2019年1月23日に単行本として販売された。
  • 成年向けの無料機関情報誌「月刊うりぼうざっか店 2018年8月25日頃発行号」の本作の紹介ページにヒロインの誕生日が記載されていた。一方で公式サイトには何故か誕生日が掲載されていない。
    • DL版もあったが配信停止したため、現在は入手困難となっている。

原画家関連

  • 本作原画家の「梱枝りこ」の同人サークル「無人少女」の同人誌に本作関連の新規イラストが収録されている。
  • 2019年にバーチャルYouTuber「月乃絵鈴」による体験版実況動画がYouTubeに投稿された。
    • 正体は「梱枝りこ」である。
  • 漫画『ありすorありす ~シスコン兄さんと双子の妹~』に本作のコスプレ衣装が登場する。(参考画像

きゃべつそふと作品関連

  • 前作について
    • 本作は単品で完結するオリジナル作品だが、「前作」と比較するレビューも多い。
    • これはブランドの前作である『星恋*ティンクル』、もしくはシナリオライターが同じ『もののあはれは彩の頃。』を指している。
    • 概要でも述べたが、共通の用語や舞台設定の繋がりなどは特にない。
  • 2020年1月31日にきゃべつそふと3作目『あまいろショコラータ』が発売された。
    • ゲーム内容に本作との接点はないが、YouTubeで公開された「あまいろショコラータ 発売日前カウントダウン」の4日前3日前に本作のキャラクターがスペシャルゲストとして登場した。
    • 3日前ムービーは本作の宣伝が主な内容であり、『あまショコ』側のヒロインにツッコミを入れられている。
    • 他のカウントダウンムービーも本作のファンに向けたと思われるネタがある。
    • 続編『あまいろショコラータ2』の3日前ムービーにもスペシャルゲストとして登場している。
  • 2020年9月25日にきゃべつそふと4作目『さくらの雲*スカアレットの恋』が発売された。
    • 本作とメインクリエイターが共通であり、比較して評価されやすい。また、作中にも本作との繋がりが示唆されている。
    • 2020年12月25日の公式Twitterでは両者のキャラクターが登場するムービーが投稿されている。
    • 2022年12月25日の公式Twitterでは両者に加え、6作目『ジュエハ』のキャラクターが登場するムービーも投稿された。
      • 『ジュエハ』はファンタジー世界であり、ゲーム内に繋がりがないため、外部媒体限りのお遊びだろう。
+ タグ編集
  • タグ:
  • アダルトゲーム
  • きゃべつそふと

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年09月22日 23:31