BLACK BIRD
【ぶらっくばーど】
ジャンル
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循環型シューティング
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対応機種
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Nintendo Switch Windows/Mac(Steam) プレイステーション4
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開発・発売元
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Onion Games
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発売日
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【Switch】2018年10月18日 【Steam】2018年10月30日 【PS4】2021年12月16日
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定価
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1,980円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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スルメゲー
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ポイント
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ダークで奇妙な独特の世界観 システムに関する説明不足 真のエンディングを見るにはスコアアタックが必須
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幸せの鳥さんが生まれたよ
みんなの命を食べにくるよ
概要
『moon』や『王様物語』などの制作に関わった木村祥朗氏を中心に立ち上げられたデベロッパー、Onion Games初のコンシューマータイトル。
かつて存在したラブデリックの作風を連想させる独特な世界観で、発売前から一部で注目を浴びていた。
ストーリー
昔々可哀想な少女がおりました。
誰も助けてくれないので死んでしまいました。
しばらくすると、どこからともなく一人の紳士が現れて、少女をステッキでつつきました。
不思議なことに、少女は大きな大きなタマゴになりました。
タマゴはパリパリと割れて、中からは禍々しい「黒い鳥」が生まれてきたのでした。
(公式サイトより引用)
システム
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『ファンタジーゾーン』のようなステージがループしている横スクロールの循環型STGとなっており、プレイヤーは「黒い鳥」となって国を破壊していく。
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各所にある拠点を全て破壊するとサイレンが鳴りボス戦となる。
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ライフ制を採用しており、ライフが0になるとゲームオーバー。コンティニューは存在しない。
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自機の特徴
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プレイヤーの操作する黒い鳥は敵を倒すと出現する緑色の宝石を手に入れることでパワーアップしていく。
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パワーアップすると自機の見た目が変化し、ショットやボムが強化されていく。
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自機の当たり判定は目だけにしかなく、それ以外の場所に攻撃が当たることはない。
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また、下記のアイテムを取得する事でボムやライフが増えたり、移動速度が上がったりする。
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アイテム
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ステージ中に隠してあるツボを破壊することでアイテムが出てくる。アイテムはショットを当てる度に「ライフアップ」「スピードアップ」「ボム」の順番で変化する。
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コンボ
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敵や拠点を連続で倒していくとコンボカウンターが溜まっていき、手に入るスコアが増えていく。
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コンボカウンターは30でMAXとなり、MAX時にボムを撃つと大量のスコアと宝石が手に入る。
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ノーマルモードとトゥルーモード
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最初はノーマルモードしか選べず、ノーマルモードをクリアするとトゥルーモードを選択できるようになる。
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トゥルーモードはノーマルモードと比べて敵キャラの増加及び強化、初期ライフとボム数の減少、ストーリーとエンディングの分岐、見つけて倒すと高得点が貰える隠しキャラの追加などがある。
評価点
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ダークで奇妙な独特の世界観
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ゲームの目的は国の破壊で、人々を襲ったり、家や拠点を破壊していくなど、シューティングゲームとしては異様な雰囲気になっている。
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敵キャラにはこちらへの攻撃手段を持っていないやつもおり、ただ逃げ回るだけだったり、呑気に昼寝をしてたり、洗濯物を干してたりと妙なかわいらしさもある。
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自機である黒い鳥もパワーアップする度に段々と禍々しいデザインになっていき、ボムの演出も壮大になっていく。
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スコアアタックの面白さ
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画面のスクロールがプレイヤーの任意で行えるため、攻略順を自分で決められる自由がある。
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コンボカウンターの管理やボムの使いどころなど、いかに効率よくスコアを稼ぎ、自機を強化するか戦略を考える必要があり、ハマる人にとってはとことんハマる。
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BGM
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幻聴歌劇という架空の言語で歌われたオペラ調の音楽は一聴の価値がある。
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また、一部の敵はBGMにシンクロして出現するようになっており、その演出も中々凝っている。
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そのためスコアアタックをするにはBGMを覚えるのも重要。
賛否両論点
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スコアアタック前提のゲームデザイン
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トゥルーモードでは稼いだスコアによってストーリーとエンディングが変化する。
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周回やスコアアタックのやりがいがある一方、世界観に惹かれて買ったライトユーザーだとストーリーを楽しみたいのにスコアが稼げず、やきもきしてしまうといったことになりやすい。
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昔ながらのシューティングゲームのように、パターンを構築してハイスコアを目指すことを前提としたゲームデザインとなっているため、スコアアタックを楽しめるかどうかが本作の評価を大きく左右する。
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ストーリーの解説がない
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本作のストーリーはステージクリアごとに短いカットが入るのみで、テキストなどの解説は一切ない。
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シューティングゲームにストーリーを求めること自体お門違いという意見もあるだろうが、本作の場合世界観が独特かつ意味深な描写も多いので、解説が欲しい人もいるだろう。
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木村氏へのインタビューによると、世界観の設定は作りこまれているようなので、ある程度の解説があった方が、より世界観を楽しむことができただろう。
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考察の余地があると肯定的に取るか、単に説明不足と取るかはプレイヤー次第。
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ストーリー考察を阻害するラスボス。
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基本的に市街等を襲撃する黒い鳥を人々が迎撃する構図なのだが、ラストは急にそれまでとは明らかに異なる神のような何かが立ち塞がる。
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苦労の末に辿り着く真エンドもこの存在が急に出てくるため、全エンディングの中でも特に理解を難しくしている。
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ステージの数が少ない
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ステージは全部で4つしかなく数十分で一周可能なため、1,980円という価格は高く感じる人もいるかもしれない。
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この辺は世界観やスコアアタックに魅力を見出せるかどうかで変わってくるだろう。
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また、一周が短い事は集中力を維持しやすく、スコアアタックをする分にはメリットと言えなくもない。
問題点
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システムに関する説明がない
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起動時のロード中に操作方法と拠点を破壊することしか説明されず、上記のパワーアップの方法や自機の当たり判定、コンボに関する仕様などの説明はない。
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チュートリアルや説明書も存在せず、ゲーム外で情報を得ない限り手探りでシステムを理解する必要がある。
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スコアの稼ぎ方にもコツがあり、それらの知識がない or そのことに気づけないと、いつまでやってもスコアが稼げないといったことにもなってしまう。
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ボスの強さについて
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本作のボスは世界観やデザインを重視したのかそこまで強くない。トゥルーモードでもあまり強化されない。
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STG慣れした人は少々物足りないが、STGが苦手な人でも遊びやすい事はメリットともいえる。
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ただしラスボスだけは例外で他のボスが使わない自機狙い弾や細かい弾幕を放つなど頭一つ抜けた強さを持っている。
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さらにトゥルーモードでは詳細は伏せるがいわゆる初見殺しをしてくる。
総評
世界観こそ奇妙で独特なものだが、ゲーム自体は見た目に反して意外と普通のシューティングゲームである。
コンボシステムやオペラ調のBGMに合わせた演出など、ゲームとしての出来自体はよくできているのだが、肝心のシステムの説明が一切ないのが一番の難点。
ステージ数も少なめで、何とかシステムを理解してもストーリーを楽しむためにスコアアタックを強いられるゲームデザインは万人向けとは言い難い。
しかしそれは、裏を返せばスコアアタックのやりがいがあるということでもあり、世界観も他のシューティングゲームにはまずない独特な雰囲気を持っているので、スコアアタックをやりこめるシューターならば本作を存分に楽しむことができる。
注意点としてトゥルーモードの難易度はそれなりに高いので、シューティングをあまりやらないラブデリックファンや、世界観のみを楽しみたいユーザーは相応の覚悟が必要だろう。
余談
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本作のクレジットにスペシャルテストプレイヤーとして『UNDERTALE』の作者であるToby Fox氏がクレジットされている。
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そもそも『UNDERTALE』自体が木村氏が関わった『moon』の影響を受けている部分があり、それ故に木村氏とToby氏は親交があるためと思われる。
最終更新:2024年02月23日 01:22