マリオ+ラビッツ キングダムバトル
【まりおぷらすらびっつ きんぐだむばとる】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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Nintendo Switch
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発売元
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任天堂(日本含む東アジア地域) UBIソフト(それ以外の地域)
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開発元
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Ubisoft Milan Ubisoft Paris Ubisoft Montpellier
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発売日
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2018年1月18日
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定価
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6,578円(税込) 【DLC】2,037円(税込) 【本編+DLC】8,615円(税込)
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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マリオとラビッツのコラボタイトル 初心者にも取っ付きやすい戦略SLG アクの強いラビッツの見た目が人を選ぶ
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マリオシリーズ関連作品リンク
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ラビッツシリーズ
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概要
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お馴染み任天堂のヒゲオヤジ・マリオと、UBIソフトのキモカワウサギ・ラビッツのコラボタイトル。
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ラビッツは『ラビッツ・パーティー(原題:Rayman Raving Rabbids)』(2006年)というパーティーゲームで登場したキャラクター。最初はレイマンシリーズの脇役からのスピンオフだったが、現在ではほぼ独立したキャラクターとしてUBIソフトのマスコット的存在になっている。
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マリオ・レイマンともに原作はアクションゲームだが、本作のジャンルはターン制の戦略シミュレーションである。
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開発はUBIソフト直属の3つの開発スタジオ(ミラン(伊)、パリ(仏)、モンペリエ(仏))が共同で行い、東アジア地域のパブリッシャーを任天堂が、それ以外の地域のパブリッシャーをUBIソフトが受け持っている。
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有料DLCのシーズンパス「アドベンチャーパック」も発売され、後述の追加ストーリーや特典武器等が全て含まれる。
システム
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基本システムはターン制・スクエアマス・クォータービューの戦略シミュレーション。
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マス目状のマップを移動し、メインウェポンの銃やサブウェポンの様々な武器を使って敵を攻撃、全キャラが行動を終了すると敵フェイズに移行……というオーソドックスな流れで戦闘は進む。
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基本はメインウェポンの銃で攻撃することになるため、敵味方ともに攻撃の射程が長い。『戦場のヴァルキュリア』からアクション性を抜いたようなゲーム性となっている。
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サブウェポンはキャラによって異なり、射程の長いバズーカ、射程は短いが攻撃力が高いハンマーなど様々な種類がある。
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またサブウェポンにはクールダウンタイムが設定されており、一度使うと数ターン経過するまで再使用不可となる。
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武器によっては「スーパーエフェクト」という追加効果を確率で付与するものがある。
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後方に吹き飛ばす「バウンス」、1ターン移動できなくなる「ハニー」など。
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射撃攻撃の命中率は、普通の状態だと100%だが、体が半分隠れるブロックに隠れたキャラを狙うと50%にまで落ち、体がすべて隠れるブロックだと0%(当たらない)となる。
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よって、本作では「ブロックに身を隠しながら撃ちあう」という戦い方が基本となる。ただしブロックは攻撃によって破壊できるものもある。
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一方で、後半になるとスーパーエフェクトや後述のアクティブスキルなどの攻撃手段が成長することでブロックを無効化する手段も多くなる。敵もそのような手段を取ってくるため、ブロックで身を隠すことの価値が低下する。身を隠すよりも敵の数を素早く減らした方が結果的に被弾を抑えられるため、後半は豊富な攻撃手段を使用して素早く敵を殲滅するようなゲーム性になる。
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移動中に敵に触れると「スライディング」が発動しダメージを与えられるので、場合によっては接近戦を仕掛けるのも選択肢の一つ。
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また移動中に味方に触れると「スーパージャンプ」が発動、遠くまでジャンプで飛んで行くこともできる。これを上手く使えば、1人では移動できない場所まで一気に進めたり、高台に飛び乗ったりと機動力が大きく上がる。
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キャラクターは固有のアクティブスキルを持ち、スキルツリーで習得・強化できる。
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射程内の敵が動くと自動で攻撃するマリオの「ヒーローサイト」、周囲の味方を回復できるラビッツピーチの「ヒーリング」などいずれも効果は強力。
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アクティブスキルにもサブウェポンと同じくクールダウンタイムがあり、連発はできない。
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自キャラが倒されると、そのマップでは以後行動不能になる。
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基本的にキャラに「経験値」「レベル」の概念はないが、敵を倒したりすると貰えるコインで強い武器を買ったり、スキルを開放することで強化が可能。またストーリーを進めるとHPが自動で強化されていく。
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使用可能キャラは全部で8体(+2体)
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マリオシリーズからはマリオ・ルイージ・ピーチ・ヨッシーの4人、ラビッツシリーズからはそれぞれの衣装を模したラビッツの4人が使用可能。
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自軍キャラは3人(1人プレイ時)。ただしマリオだけは常に強制出撃となる他、ラビッツ系キャラは1体以上出撃させなければならない(つまりマリオ+ラビッツ系+自由枠)。
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メインウェポン、サブウェポンはすべてキャラごとに固有。
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マリオファミリーはチームジャンプに特殊能力がありスキルにはヒーローサイトを持ち、ラビッツはスライディングに特殊能力がありシールド系のスキルを持つ。
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有料DLCで2018年6月26日より追加された「ドンキーコングアドベンチャー」では、ドンキーコング・ラビッツピーチ・ラビッツクランキーの固定メンバーとなる。
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ドンキーコングはスライディング・チームジャンプができない代わりに敵や味方を掴んで投げるという独自の能力を持つ。また、ラビッツクランキーはラビッツだがスキルはマリオファミリー寄り。
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ストーリーモード
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メインモード。ラビッツたちの世界とマリオたちの世界が時空の裂け目によって交差するところから物語が始まり、おかしくなったキノコ王国を冒険する。
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マリオ本編と同じく、「1-1」のようにワールドの中にいくつもステージがある構成。
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1ステージにはさらに複数の戦闘マップがあることもある。ステージをクリアするまでは基本的にHPが回復できないため、いかに体力を温存しながら先に進むかも重要。
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戦闘の合間は、フィールドを自由に探索しながら移動する。パズル的なギミックがある場所も多く、宝箱などの収集要素も豊富。
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戦闘は規定のターン内・及び戦闘不能キャラなしでクリアすると高評価となり、リザルト時に入手できるコインなどが増える。
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一度クリアしたマップは「タイムセンタクキ(外観は洗濯機)」という施設から再プレイすることが可能。
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またクリア済のワールドを再び訪れると「チャレンジモード」をプレイすることができる。本編とは異なりやや特殊なマップ構成が多く、武器や敵の特性を上手く利用しなければクリアできないパズル的な要素も強い。
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「ラビッツジム」では2プレイヤーによる協力プレイで遊べる。本編とは独立した専用のマップで、それぞれが2キャラずつを操作する。
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VSモード
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2プレイヤーによる対戦モード。すべてのキャラ・スキルを自由に組み合わせて編成することができる。
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有料DLC「アドベンチャーパック」を購入すると、前述のドンキー新シナリオの他、1人用&2人用の高難易度チャレンジマップ、ピクセル風&スチームパンク風の特典武器が追加される。
評価点
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シンプルで取っ付きやすいシステム
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出撃可能なキャラは基本的に1マップ3人とかなり少なく、1戦闘も一般的な戦略シミュレーションと比べるとかなり短いため、気楽にテンポ良くプレイできる。
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他にも命中率システムが簡潔だったりと全体的にシンプルな作りなので、戦略シミュレーション・SRPGに慣れていない初心者でも取っ付きやすい。
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射撃戦がベースのため、マップの構成や高低差が重要になるシステムも、シンプルながらオリジナリティがあり完成度が高い。
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本作の基本システムは海外製の有名な戦略SLG『X-COM』シリーズと非常に似通っている。
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しかしながらそこから難易度を上げる要素を排除しつつスライディングやチームジャンプ、土管移動といった独自アクションを加えることによりいかに効率良くダメージを重ねていくかという楽しさが生み出されており、単なるコピーではない面白さを生み出している。
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バランスの良い難易度
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序盤こそ簡単だが、中盤からは難易度が高くなっていき、戦略SLGとしての歯ごたえも十分ある。
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どうしても難しい場合は、「イージーモード(自キャラの最大HP1.5倍&毎ステージHP全回復)」をいつでも選ぶことができるため、これを使えばある程度のゴリ押しは可能になる。
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コミカルなラビッツたちの描写
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高精細なグラフィックで描かれるラビッツたちのドタバタっぷりや百面相が全編通して楽しめる。
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特に、ピーチ姫のドレスと王冠を身に着け、やたらとスマホで自撮りするラビッツピーチは独特の存在感を放っている。
賛否両論点
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ラビッツ達の個性的過ぎるキャラクターデザイン
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恐らく、本作の購入を敬遠した人達が挙げるであろう最たる要因
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日本産のキャラクターでもいわゆる「キモかわいい」系のキャラクターというものは存在するが、本作に登場するラビッツたちは海外産キャラクター特有のアクの強さがあり、造形自体も純粋に見ても「かわいい」とは言い難い見た目である。(参考)
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日本産のかわいいマスコットキャラに慣れた日本人の多くにとってはまず受け付けられにくいキャラクターデザインであることは否定できない。
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また、日本において『ラビッツ』シリーズの知名度が低いままであったことも足を引っ張ってしまったことは否めない。
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ラビッツシリーズ自体は日本でもこれまで任天堂ハードで多数発売されていたのだが、いずれも残念ながら国内売上は乏しかったため、本作発売まで存在自体をまともに認識していなかったユーザーも多いと思われる。
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このように日本での人気はいまいちではあるが、100か国以上でアニメ放送が行われており世界的には受け入れられており人気のキャラクターではある。
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前半と後半とのゲーム性の違い
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前半は攻撃・回復手段が乏しいこともありダメージを受けないように、ブロックなどの位置取りを気にしながら戦うことが重要となる。位置取りを計算して戦うパズル的な要素を含むがやや地味。
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一方後半はブロックを無視するような攻撃も多くなるため、敵を素早く殲滅することの方が重要となる。豊富な攻撃手段を使用してどうやって効率的に敵を殲滅するかを計算するパズル的な要素が強くなる。
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後半の派手なゲーム性を好む人にとっては序盤は退屈と感じてしまう可能性がある。前半のような落ち着いたゲーム性が好きな人にとっては後半のゲーム性は何か思っていたのと違うと感じてしまう可能性もある。
問題点
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探索パートが多い
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前述の通りマップ間にフィールドを移動する探索要素があるが、この部分のボリュームがそこそこあり、(それほど複雑ではないが)パズル的なギミックを解かなければ進めない場面も多いため、戦闘をテンポよくプレイしたいプレイヤーには煩わしい。
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また探索パートではマリオではなくビーポという円盤状のロボットを操作するため、向いている方向が分かりにくい。
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ヨッシーの加入が遅い
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今作のワールドは全部で4つあり、それぞれ9つのステージがあるが、ヨッシーが仲間になるのは
4-5クリア後
。遅すぎるのでは?
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仲間になる過程も"メカJr.(メカを操縦するクッパJr.)を倒す"→"メカが壊れたことによる爆発でスポーニーが崖下に転落"→"クッパJr.退散"→"
ヨッシーがスポーニーを抱えて崖下から復帰する
"という実に唐突なもの。
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ヨッシーはOPでルイージやキノピオ共々渦に吸い込まれてしまい、その後は先述の4-5クリア後まで一切登場せず再登場の伏線もない。もう少し早く加入させてあげてもよかったのではないだろうか。
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再プレイ時のゲームバランス
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チャレンジモードや「タイムセンタクキ」による再プレイでは、敵の強さは変わらないため、こちらが強くなってから挑戦すると敵が弱すぎてゲームバランスが崩れやすい。
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UI面
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一度移動してしまうとキャンセルできない。
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特に移動時にマス目がマップ上に表示されないのも相まって、目的のマスを間違えて移動してしまう…というミスが起こりやすい。
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敵の移動距離と攻撃射程を別々にしか確認できないため、「どこまで逃げれば攻撃されないか」を図るには別途計算する必要がある。
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一方で移動範囲は円形となっているため、移動距離の計算を間違えやすい。基本的にはゲームが表示してくれる移動範囲を見て移動するので問題となることは少ないが、次のターンの移動距離を計算しようとすると失敗しやすい。
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カメラのズームアウトができないので、マップの全景を確認しづらい。
総評
光線銃を持ったマリオと謎の兎ラビッツによる戦略シミュレーション……というと一見異色のコラボだが、肝心のゲームの内容は、シンプルなシステムで初心者にも取っ付きやすく、一方で適度な歯ごたえのある戦略性も併せ持った、万人向けの安定した出来になっている。
コラボ先のキャラクターデザインの独特さゆえに人を選んでしまう作品になっているのが惜しい所であるが、それ抜きにしてみれば十分にやる価値のある作品である。
余談
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本作のテレビCMは独特のリズムにのせた「マリオなの~に マリオじゃな~い」という印象的なフレーズの曲で話題となった。
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日本では任天堂から発売のため、「ニンテンドーカタログチケット」の引き換え対象に含まれている。
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ただしゲーム本編のみ対象で、DLCの「アドベンチャーパック」は別売となる。
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『カラオケJOYSOUND for Nintendo Switch』のスペシャルムービーに本作が使われている。
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本作発売と同年の2018年10月より、日本国内でラビッツの短編CGアニメ『ラビッツ インベーション』が放映開始された。
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2022年9月16日~9月23日の期間限定で、Nintendo Switch Online加入者限定の「いっせいトライアル」で本作を無料で遊ぶことができた。
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続編にあたる『マリオ+ラビッツ ギャラクシーバトル』が2022年12月2日に発売。
最終更新:2023年08月22日 23:33