2064: Read Only Memories

【にせんろくじゅうよん りーどおんりーめもりーず】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 Windows/Mac/Linux(Steam)
プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
Nintendo Switch
発売元 【Steam】MidBoss / PLAYISM
【PS4/PSV/Switch】PLAYISM
【SwitchPK】コーラス・ワールドワイド
開発元 MidBoss
発売日 【Steam】2015年10月6日
【PS4】2017年11月22日
【PSV】2018年4月5日
【Switch】2018年12月27日
【SwitchPK】2021年4月15日
定価 【Steam】1,980円(税8%込)
【PS4/PSV/Switch】2,064円(税8%込)
【SwitchPK】3,980円(税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
備考 PSV/iOS版は2021年1月31日に配信が終了
ポイント 昔ながらのサイバーパンクアドベンチャー


概要

アメリカのインディーゲームデベロッパーMidBoss制作の2064年のネオ・サンフランシスコを舞台としたサイバーパンクアドベンチャー。
プレイヤーは売れないジャーナリストとして、失踪した友人を捜すべく、突如現れたロボット「チューリング」と共に事件の謎へと向かっていく。


ストーリー

世界は今相次ぐ技術革新によって繁栄のときを迎えていた
サイバネティクスと遺伝子操作は人間に身体のほぼすべての部位を修繕し、強化することを可能にさせ
膨大な数の人々が高度に発達したテクノロジーによって脳と機械を接続し、仮想現実の中で働き、遊び、そして繋がるようになった
そして街には遺伝子操作によって誕生した”ハイブリッド”が溢れ、その姿は日増しに人間から遠ざかっていった
しかし中にはこの速すぎる変化を受け入れられない者たちもいた
彼らはパララックス社が開発し、社会に広く普及した”ROM”を人類が太古より培ってきた生存能力を失わせ、後戻りできない道にいざなうものとして危惧していた
ROMは人工知能を搭載しておりまるで人間と変わらぬようにふるまうが、その実態はあくまで機械の延長線上にあった
それでも「ヒューマンレボリューション」に代表される組織は、過度なテクノロジー信奉は我々から人間性を失わせるとしてその速度に歯止めをかけるべく活動している
緊張が高まる中、ある高層マンションの一室では、ひとりの技術者がさらなる一線を越える存在を生み出そうとしていた
人類の運命を永遠に書き換える存在を

(オープニングより抜粋)


特徴

  • システムはコマンド選択とポイント&クリックを組み合わせたようなもの。
    • マウスや方向キーで選んだ対象に「見る」「調べる」「話しかける」「アイテムを使う」のコマンドを選択できる。
  • 道中ではパズル、ガンシューティング、3D迷路などといった、ミニゲームが入ることもある。
  • 選んだ選択肢によって、登場人物との関係性に影響を及ぼし、それらによって登場人物との会話やエンディングが変化する。
+ 主な登場人物
  • チューリング
    • 世界初の自立思考を持ったROM(Relationship and Organizational Managerの略)、失踪した自らの製作者であるヘイデンを探す為、その友人である主人公に助けを求める。
  • レクシー・リバース
    • ネオ・サンフランシスコの刑事。主人公の長年の友人でもある。
  • トムキャット
    • かつて神童とも呼ばれた凄腕ハッカー、ヘイデンとも知り合いであり、主人公と共にヘイデンの捜索を手伝う。
  • ジェス・ミーズ
    • ハイブリッドの人権の為に戦う弁護士。自身もハイブリッドであり、少々口が悪い。

評価点

  • トランスヒューマニズム(超人間主義)をテーマとしたストーリー。
    • ハイブリッドやサイバネティクス、自立思考を持ったチューリングの存在など、人間とは何か、どこまでが人間なのかを問いかけるシナリオは評価が高い。
    • ハイブリッドに対する差別や、ヒューマンレボリューションによるデモ活動など、SF作品でありながら考えさせられる展開もある。
  • 個性的な登場人物
    • 事あるごとに自身の知識をひけらかす「チューリング」や、強い正義感を持った刑事の「レクシー」など個性的な登場人物が多い。
  • ドット絵で作られたキャラクターの顔グラフィック
    • 状況に応じて表情を変えたり、リアクションをしたりと、結構細かい。
    • 中でもチューリングは表情が非常に豊かであり、常に行動を共にすることもあって、愛着が湧きやすい。
  • イベントシーンや会話シーンは英語音声ではあるが、ほとんどの台詞にボイスがついている。

賛否両論点

  • 個性的ではあるが、人間臭い登場人物
    • トランスヒューマニズムが本作のテーマでもある為か、人間臭いキャラクターや、重い過去を背負った人物が結構多い。
      • とある人物の経歴は人によってはトラウマになる可能性も。
    • 主人公の相棒であるチューリングも例外ではなく、質問しまくったり、なれなれしくしたりすると、嫌悪感を示されたりすることもある。
  • 良くも悪くも古典的なSFアドベンチャー
    • 世界観やシステム、UIなどは『スナッチャー』などの80年代のSFアドベンチャーの影響を多く受けており、本作ならではの特別なシステムなどは搭載されていない。
    • ゲーム中のグラフィックも、ある程度は意図的にレトロ風にしたと思われるが、人によっては「ドット絵の出来が粗い」「古臭い」と感じてしまうかもしれない。
    • シナリオもSF作品としては良く言えばスタンダード、悪く言えばありきたりである。

問題点

  • 固有名詞が多い
    • 冒頭から「ROM」「ハイブリッド」「サイバネティクス」など多くの固有名詞が登場し、理解するのに時間がかかる。
    • ある程度はOPで解説されているが、それでも完全に理解する為には、話を進めて登場人物から聞いておく必要がある。
  • セーブ周りがやや不親切
    • 本作のセーブはデータごとに名前を付ける必要がある。
      • 本作はマルチエンディングでもあるため、周回したり、セーブデータを分ける人ほど煩わしくなってくる。
    • また、オートセーブも搭載されていない。
      • Switchで発売された『2064: Read Only Memories INTEGRAL』には実装された。
  • バーでのカクテル当てが面倒
    • 道中、指定されたカクテルを持ってくるイベントがあるのだが、その選択肢であるカクテルの数がかなり多い。
    • 味などの情報はカクテル名を選択しないと聞くことができず、正解に辿り着くまで総当たりになってしまいがち。
  • レスポンスが今一つ(CS版)
    • ゲームパッドを使用する際や、CS版では方向キーが反応しなかったりすることがある。
    • PC版はマウス操作に対応しているので、そちらの利用を推奨する。

総評

往年のSF作品の影響を受けたサイバーパンクアドベンチャー。
作品としては昔ながらのオーソドックスなSFアドベンチャーであり、本作ならではの独特な魅力があるわけではない。
そのため、この手のSF作品を多く嗜んでいる人からは、新鮮味があまり感じられない可能性が高い。
しかし、大きな欠点などは見られず、王道ではあるがシナリオの評価は悪くない為、SFやサイバーパンクのADVに興味があるなら、遊んでみてもいいだろう。


他機種版

  • 『Read Only Memories Type-M』
    • iOSへの移植版。
    • チャプター1までは無料でプレイでき、以降のチャプターのプレイには課金が必要。
    • オリジナル版にあった、キャラクターボイスは削除されている。
    • Android版もあるが、日本からは購入できない。
  • 『2064: Read Only Memories INTEGRAL』
    • Nintendo Switchへの移植版。大まかな内容はPS4/PSV版と同じだが、以下の追加要素がある。
    • サイドストーリーの追加。
    • HD振動の対応。
    • オートセーブの実装。
    • 55ページにも及ぶデジタルアートブックを収録。
      • このアートブック、内容はPC版のDLCとして販売されているものと同じなのだが、『INTEGRAL』ではご丁寧なことにPLAYISMによって日本語に翻訳されている。
    • サウンドトラックの収録。
    • 今まで公開した紹介映像などのムービーを収録。

余談

  • 本作は他のゲームと比べてLGBTの登場人物が非常に多い。主要キャラクターの1人であるレクシーもレズビアンである*1
    • 本作を開発したMidBossはLGBTゲーマーが交流するイベント「GaymerX」を主催したりと、セクシャル・マイノリティーのイベントを積極的に催している。
      • ただし、本編のストーリーに絡んでくるLGBTの登場人物は、バーのマスターと店員のゲイカップルくらいであるが。
  • 本作の日本での対象年齢はCERO:B(12歳以上対象)だが、海外レーティングのESRBではM(17歳以上対象)、PEGIでも16歳以上対象と、日本のレーティングとは大きく離れている。
    • 英語では「F××k」や「A××Hole」といった汚い言葉が多く使われているが、それが日本語ローカライズに反映されていないせいだろうか。
      • ちなみに文章には反映されていないのだが、英語ボイスの方はそのままかつ無修正なので、英語のリスニングができる人だと汚い単語がはっきりと聞こえてしまう。それでいいのか。
  • Sukeban Games制作の『VA-11 Hall-A』とは世界観を共有しており、お互いのキャラクターがゲスト出演している。
    • 製作者もその国籍(アメリカとベネズエラ)も違うふたつのゲームだが、最初から同一世界観として作り始めたわけではなくお互いがトレイラーやデモ版をリリースした段階で共通点に気づき後からコラボすることになったという極めて珍しい経緯となっている。
  • 2019年12月には『Read Only Memories』のコミカライズ版が発売された。ストーリーは本作と後述の『Neurodiver』の間をつなぐ内容となっている模様。
  • 日本での販売を担当していたPLAYISMが2021年1月31日をもって日本でのパブリッシュを終了することを発表した。
    • 以降、日本でのパブリッシャーはPS4版とSwitch版がコーラス・ワールドワイドに、Steam版はデベロッパーのMidBossへと移るため、PLAYISM版は既存の購入者へのサポートは継続するが新規購入はできなくなる。これらに含まれないPSV/iOS版の販売は終了となる。
  • 2021年4月15日にSwitch版『2064: Read Only Memories INTEGRAL』のパッケージ版が3,980円(税別)で初回特典(予約特典)付きで発売。販売元は前述の通りコーラス・ワールドワイドが担当。

その後の展開

  • 2019年6月に本作の続編である『Read Only Memories: Neurodiver』が発表された。対応機種はPS5/PS4/XSX/One/Switch/Win/Macで、2023年夏に発売が予定されている。また、本作と異なり日本語吹き替えにも対応予定とのこと。

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最終更新:2022年03月04日 23:23

*1 物語の序盤で「主人公の姉の元恋人」だと語られている。