萌え萌え2次大戦(略)3

【もえもえにじたいせんかっこりゃく すりー】

ジャンル シミュレーション+アドベンチャー


対応機種 Windows Vista/7/8/10
プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
発売・開発元 システムソフト・アルファー
発売日 【Win】2017年1月26日
【PS4・PSV】2017年2月16日
定価 【Win】9,800円(税別)
【PS4通常版】7,800円(税別)
【PS4プレミアムエディション】10,800円(税別)
【PSV通常版】6,800円(税別)
【PSVプレミアムエディション】9,800円(税別)
レーティング CERO:D(17歳以上)
備考 PS4版・PSV版にDLCあり
判定 シリーズファンから不評
ゲームバランスが不安定
ポイント 7年ぶりのシリーズ新作
詰め込みすぎの新要素、無理のあるシナリオ
大戦略シリーズ


概要

システムソフト・アルファーの第二次世界大戦の兵器擬人化ゲーム・萌え萌え2次大戦(略)シリーズが7年ぶりに復活。キーワードは『超進化』。
大戦略シリーズでおなじみのヘックス制を廃止するなど、新要素を多く取り込んだ挑戦作。

ハードによってシナリオが異なった前作の『2』とは違い、再び全てのハードで同じシナリオが遊べるようになった。
シナリオは「日本ルート」「連合ルート」「ドイツルート」の3つがある。戦闘のみのサバイバルモードや、CG鑑賞などができるエクストラモードもある。
難易度は不安定なため、初心者向けとも玄人向けとも言えない。


特徴

  • 本シリーズでは『鋼の乙女』と呼ばれる兵器を擬人化したキャラが登場し、鋼の乙女を中心に史実に基づいたシナリオが進行する。
    • 初代は2007年の発売で、公式も「兵器擬人化ゲームの先駆け」としている。
  • 物語を読むADV(アドベンチャー)パート→箱庭式の戦闘を行うSLG(シミュレーション)パート→サービス要素の修理パート(シリーズでは本作から)の3段階でゲームが進む
  • 主要キャラは(おそらく)全員が女性だが、物語の中では司令官や一般兵など男性も登場する。
  • 戦闘はシリーズを通して小規模であり、敵味方ともに限られたユニットで戦闘する。また、燃料が尽きる心配がない。

新要素

本作は派生作品『萌え萌え大戦争☆げんだいばーん』から数々のシステムを逆輸入しつつ、いくつかの新要素を導入している。

キャラ設定

  • 数多くの新しい鋼の乙女が登場
    • 非公表のキャラを除けば42人の鋼の乙女が新しく登場した。これによりキャラ数は前作の2倍弱になった。
    • 一部、既存の鋼の乙女の名前や容姿などの設定が一新され、新しい鋼の乙女となった。
  • 敵サイドとして「黒鋼の乙女」が登場
  • 元人間設定の鋼の乙女が登場
  • 新設定「コア」の追加
    • 鋼の乙女にはコアが搭載されており、それが心臓部になっている。黒鋼の乙女には黒鋼のコアという別の種類のコアが搭載されている。

戦闘システム

  • キャラ編制システムの変更
    • 従来は戦闘ごとに出撃できる鋼の乙女と数は決められていたが、本作では固定編制に空きがあれば、自由にキャラを編制できる。
    • 一度でも仲間になったキャラはいつ、どこでも、どのルートでも編制できる。
  • 新システム「超進化」の導入
    • シナリオの中で鋼の乙女が進化し、外見が変わるほか、性能も向上する。
    • ただし自由に超進化できるわけではなく、一度超進化すればクリアするまでそのまま。また、シリーズ既存のキャラは戦闘の中では最初から超進化している。
  • 陸海空すべての鋼の乙女が同じ戦場で戦える
    • 陸上に海戦ユニット、海上に陸戦ユニットを配置でき、ともに地上ユニットとして移動できる。
  • 戦闘のフル3D化
    • 従来は2Dのマップ上で、デフォルメされた3Dキャラが戦っていたが、本作では『げんだいばーん』と同様にマップも3Dとなった。
    • 全ての3Dキャラのモデルが一新された。
    • 高さの概念が導入され、地上ユニットが動ける範囲がより限られるようになった。
  • ヘックス制の廃止
    • 『げんだいばーん』と同様、大戦略シリーズ最大の特徴である六角形のマスを取り払い、マス目の概念が無くなっている。この変更に伴い、移動や攻撃などの範囲選択はすべて円形である。
  • EPの廃止、APとSPの導入
    • これも『げんだいばーん』からの逆輸入。
    • 従来は、攻撃に用いるためのEPが各ユニットに存在し、ユニットの移動と攻撃は互いに干渉しなかったが、本作から移動も攻撃も毎ターン補充される『AP』を消費して行うようになった。
    • APとは別に、攻撃や被ダメージによって徐々に増えていく『SP』が導入され、これを一部の特殊攻撃や必殺技に使用するシステムになった。
    • SPの導入に伴い、必殺技はキャラ固有のものではなく一部キャラが共通するものとなり、個別に設定されていた必殺技の名称は廃止された。
  • 連携攻撃の導入、合体技の廃止
    • 攻撃時に周囲に味方の鋼の乙女がいると、連携が発動しダメージが増えるようになった。
    • その代わり、特定のキャラの組み合わせで発動できる合体技が廃止された。
  • 加速攻撃の導入
    • 攻撃前に移動した距離が長いほど、攻撃の威力が上がるようになった。
  • 状態異常の種類の増加
  • ステータス/スキルカスタマイズの導入、クラスチェンジの廃止
    • 『げんだいばーん』からの逆輸入システム。
    • 従来は一定レベルごとにクラスチェンジ(選択制の強化)を行うシステムだったが、本作では戦闘終了後にもらえるCP(ボーナスポイント)を各キャラのステータス強化やスキル付与に用いるようになった。
    • 強化できるステータスには細かい種類があり、スキルは全種類の中から最大4つまで選べる。
  • 武装変更システムの変更
    • 従来は全キャラに3種類の武装があり、戦闘準備画面で武装の変更を行っていたが、本作から戦闘中でも武装変更が可能になった。(サバイバルモード除く)
    • シナリオ内の戦闘では「母艦」と名付けられた空軍ユニットが必ず配置され、その周囲でのみ武装変更が可能
    • 新キャラの武装は2種類あり、既存キャラの武装は1種類のみで変更不可。
  • 装備品の導入
    • 物語に登場する『コア』を装備品として入手でき、1個だけ鋼の乙女に装備できる。敵の撃破時や戦闘終了後に入手できる。

修理パート

  • 派生シリーズの『萌え萌え大戦争げんだいばーん』から逆輸入された新パート。
  • 戦闘が終わるごとに参加した味方の鋼の乙女をおさわりできる、いわゆるサービス要素。
  • 修理パートの導入に伴い、従来は戦闘開始後にあったミニゲームや、戦闘終了後に導入されたおまけシナリオの「鋼の乙女秘密図鑑」は廃止された。

DLC

  • PS4・PSV版にはDLCが発売されている。派生作品を除けばシリーズ初となる。敵専用の鋼の乙女や、修理パート追加要素(期間限定)がある。

変更点

  • 前作まで存在した構え状態の立ち絵が廃止された。
  • 攻撃しないユニットが無くなった。油槽船などの補給ユニットも通常攻撃する。

問題点

キャラ設定

  • 太平洋戦線で主役だったゼロ戦のレイをはじめとした、人気キャラを含む既存キャラのリストラ
  • 登場キャラが公表キャラだけで73人と多すぎるため、キャラへの愛着が薄れてしまう。
    • うち味方キャラは53人存在し、育成が大変でキャラ選択画面のページをめくるのにも一苦労。にもかかわらず、キャラ選択画面は従来より狭くなってしまった。
  • あまり兵器描写が得意でないイラストレーターをさらに追加起用した。にもかかわらず、今まで雇っていたメカニックデザイナーを雇っていない。

シナリオ描写

  • 特定の1キャラが場を振り回すという、これまで以上にご都合主義でかつ無理のある展開。一方でノリが控えめになったため、バカゲーらしささえ感じられなくなった。
  • 戦績が良いと行けるようになるトゥルーエンドが廃止になった。これにより戦績が意味を持たなくなった。
    • 前作までは味方を犠牲にしない慎重なプレイングが求められ、腰を据えて遊ぶことができたが、本作ではいくら味方を犠牲にしても、勝利条件さえ満たせばハッピーエンドにたどり着けてしまえるため、戦闘の楽しみが薄れた。
  • 鋼の乙女秘密図鑑やおまけシナリオといった、前作までにはあった外伝ストーリーが一切なく、キャラの掘り下げが行われていない。(コンシューマー版のDLCにも追加シナリオはない)
  • 戦闘とシナリオが乖離している場面が多い。
    • 戦闘に勝ってもシナリオで負けたことになっている戦闘があまりにも多い。
    • 戦闘に入ってから戦闘前の会話が入ってきたりする。(特にドイツルート)
  • シナリオ中でキャラのイラストと異なる描写がある。

戦闘関連

  • 能力の強化が容易でスキルを4つまで自由に付与できるため、簡単にバランスブレイクができてしまう。
    • 特に敵からのダメージを90%カットする完全重装甲をつけた場合、カウンターされない限りほとんどダメージを受けなくなる。
    • 一方で敵の鋼の乙女はスキルを1つしか持たないため、圧倒的な戦力差が生まれる。
  • 既存キャラの武装変更ができず、戦略性が失われた。
  • 一部のキャラが持つ必殺技の「全体攻撃」が強すぎる。火力を上げれば一撃で戦闘が終わる。
  • 陸海空全ての鋼の乙女を同じ戦場に配置できるため、見た目が非常にシュール。
    • 出撃できる鋼の乙女が制限されないこともあり、数人のキャラだけ育てれば、あとはどうとでもなってしまう。
  • APがある限り何度でも移動できるが、1回の移動ではまっすぐにしか進めないので、曲がるたびに指示を出さなければならない。
    • これにより障害物が多く設置されたマップでは、地上ユニットの移動が極めて難しい
  • マス目が無いためマップの端に行くと埋まってしまい、抜け出すのが難しい。
  • 戦闘でキャラを選択したときのメニュー展開速度が若干遅く、操作に難が生じる。
  • 1ルートあたりの戦闘が多すぎる。
    + ネタバレ注意
    • その数なんと45戦前後。従来は20戦あれば多いほう。
    • 理由はキャラがシナリオで参戦もしくは超進化するたびに戦闘を仕切り直すため。この場合1戦目は一人でも倒せばクリアとなり、非常にテンポが悪い。
    • 後述の通り戦闘は小規模化したためプレイ時間が著しく長くなることはないが、逆に作業感が増した。
  • シリーズの特徴として本家より小規模だった戦闘がさらに小規模化敵が一人しか配置されていない戦闘もある。
  • 1ユニット倒されただけで戦績が最低になる戦闘がある。

その他

  • PC版のADVパートで上スクロールによるバックログの表示が出来なくなった。
  • 一部の効果音がおかしい。
    • 機銃音を出す戦艦の主砲、戦闘準備画面まで延々と続く沸騰音。
    • 鋼の乙女の移動時の効果音の一部が歩行音になり、重厚さがなくなった。
  • 一部のキャラ表情がおかしい。
  • 戦闘終了後の勇壮なBGMと戦闘終了後の展開が合わない場面がしばしばある。
  • スタッフロールに名前が載っていないスタッフがいる。
    • 男性声優、メカニックデザイン担当、効果音担当など。

賛否両論点

キャラ設定、シナリオ描写

  • 元人間設定のキャラの追加。これにより、鋼の乙女の兵器ゆえの魅力が失われた部分がある。
  • 総じて史実との設定の乖離が激しい。
    • 旧作からそうだが、旧作よりも鋼の乙女の登場時期や関係が史実から離れた。(未開発の超兵器富嶽が開戦時から登場するなど)
  • 戦争自体の苦しみよりも登場キャラ個人の苦しみを最優先したシナリオ描写。
    • キャラゲーの印象が余計に濃くなり、終盤では終戦間近ゆえの緊迫感はあまりない。
  • 既存キャラの関係描写が不足。
  • 自虐的なメタネタを言い放つキャラの登場。
  • どのルートでも上からの指示に従わざるをえない展開が多く、あまりキャラの意思で動けていない。
  • 既存キャラの新規CGがない。

戦闘関連

  • 自由に超進化できない
    • 新キャラの超進化はシナリオの進行によってのみ行われ、また既存キャラは戦闘中では常に超進化するシステムとなっている。
    • 公式サイトのウリとして書かれていた新要素だが、これによって戦略性が豊かになるわけではなかった。
  • 操作システムの変更
    • ヘックス制を廃止したことによりマス目の概念自体が無くなり、従来とは操作性が大きく異なるものとなった。ただし、平地での移動やAPの扱い方は慣れればなんとかなる。
  • 新しい強化システムが無意味
    • 前作のクラスチェンジ(選択制強化)は、特定のクラスのみが有用であったため、実質1、2択で戦略性には疑問の残るシステムだった。
    • 強化はボーナスポイント制になったが、全項目を容易に最大強化できるため、結局戦略性は感じられない。
  • 一部敵ユニットの攻撃力が高い
    • 本作ではAPがある限り1ターンに何度でも攻撃できるため、従来の作品よりも攻撃力の高い敵は脅威となる。
    • このためダメージを軽減するスキルを付与する必要性が生まれ、バランスブレイクを促進してしまう。
  • 既存キャラ性能の変化
    • APやSPの導入や既存キャラの武装変更の撤廃により、既存キャラの性能が前作とは異なるものとなった。
  • 状態異常の影響があまりない
    • 状態異常の種類は増加したが、無効にできるスキルを自由に付与できるため、総じて影響をあまり感じない。
  • 3Dの描写が粗い
    • 一部3Dキャラの顔がイラストと合わない見た目になっている。
    • 3Dマップのテクスチャが5~6年前の『げんだいばーん』より粗い。
    • 陸上マップの施設がどこにあるか分かりにくい。従来より戦闘がさらに小規模になったため、施設による回復の必要性すら薄い。

修理パートの必要性

  • サービス要素ではあるが、スキップできるため遊ぶうちに不要になり、シナリオのテンポが若干悪くなってしまう。

その他

  • BGMがすべて新調された。(旧作のアレンジ曲はない)
    • 一部戦闘ではボーカル曲が挿入される。苦手な人は注意。
  • PC版のADVパートのUIが、従来のコンシューマー版と同じような間接展開メニューとなり、直接バックログ表示やセーブなどを操作できなくなった。
  • PC版では若干スキップを止めにくい。(右クリック長押しで止められる)
  • キャラが多すぎるためか、被弾CGの鑑賞ができなくなった。
    • 一応エクストラモードのギャラリーから修理パートという形で観賞できるが、敵を仲間に出来ない関係ですべてのキャラの被弾CGを鑑賞することはできない。

DLC

  • PC版ではDLCが無いため敵専用のキャラを仲間に出来ない。
    • 従来はPC版でも高難易度のシナリオをクリアすることで仲間に出来た。

評価点

  • 前作の『2』と異なりどのハードでも同じシナリオが遊べる。
    • 前作はPC、PS2、PSP、DSのすべてのハードで共通して遊べるシナリオが無く、すべてのシナリオを見るには全ハード揃える必要があった。前作が酷すぎたともいえる。
  • PC版では非アクティブでもゲームが動き、また自由に画面サイズを変えられるようになった。
  • 新キャラの立ち絵や新規CGは今時の絵柄で非常に可愛らしく、タイトル通り萌えを感じられる。
  • コア装備により戦略性が少し生まれた。(装備による効果の種類は多くない)
  • 配下ユニットを活躍させやすくなった。
    • 配下ユニットのレベルはリーダーに依存し、得た経験値はリーダーに行くため。前作は配下ユニットの種類ごとに独自の経験値があり、別々に管理する必要があった。
    • 戦績が意味をなさなくなったから、という理由もある。
    • ただし、味方鋼の乙女のバランスブレイクにより、結局配下の必要性自体は極めて薄い。
  • 敵の思考が早く、アニメも簡略化されたため戦闘の進行が非常に速い。
    • マシンによって差がある可能性はある。
  • バグが少なく、アップデートによりほとんど見られなくなる。
  • サウンドテストがある。

総評

7年ぶりの新作であり、多くの新要素を取り込んだ本作だが同時に多くの問題を抱えてしまい、新要素の導入が裏目に出て、むしろ従来の作品の魅力が失われる結果となった。
前作からの改善点があり、バグも起きにくいため、遊べないクソゲーと断言することはできない……が、容易にバランスブレイクが可能なので、片足を突っ込んでいるのは確かである。


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最終更新:2021年02月04日 22:41