ロックマン11 運命の歯車!!

【ろっくまんいれぶん うんめいのはぐるま】

ジャンル アクション

対応機種 プレイステーション4
Xbox One
Nintendo Switch
Windows 7~10
発売・開発元 カプコン
発売日 【Win】2018年10月3日
【PS4/One/Switch】2018年10月4日
価格 パッケージ版
【PS4/Switch】4,990円
ダウンロード版
【PS4/Switch/Win】4,620円
【One】4,680円
コレクターズ・パッケージ
【PS4】6,990円
【Switch】7,990円(全て税抜)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント シリーズ30周年記念作品
ファミコンスタイルから脱却
数より長さで勝負
グラフィックもキャストも思い切り一新した新世代感
ロックマンシリーズ


概要

『ロックマン』シリーズのナンバリング第11作目にしてシリーズ30周年記念作品。
9』『10』と8bit風の作品が続いたが、今作では『ロックマン ロックマン』以来となる3Dによる最新グラフィックとなっている。
ロックマンダッシュ3』『メガマンユニバース(仮)』の無念の開発中止以降コンシューマでは長らく白紙状態が続いていた『ロックマン』シリーズだったが、ここにきてようやく再始動。
ロックマンX アニバーサリー コレクション』とのセット版も発売された。

プロローグ

悪の科学者Dr.ワイリーが禁断の研究を完成させ、再び平和なロボット社会に襲い掛かる!
彼が完成させたのは「ダブルギアシステム」。
ロボットの能力を飛躍的にアップさせる装置だが、あまりの高性能ゆえの危険性から研究は凍結され、
ライト博士とワイリーの対立の発端となった因縁のあるシステムでもあった。
ライト博士は事態に対抗するため、かつてワイリーが作り上げた「ダブルギアシステム」の試作機をロックマンに組み込む決断をする。
果たしてロックマンはDr.ワイリーの野望を食い止める事が出来るのだろうか!?
(公式サイトより引用)


特徴

基本アクション

  • ロックマンのアクションにチャージショットとスライディングが復活。
    • 新たに『ロックマンXシリーズ』から逆輸入されたガードブレイクが採用。最大チャージショットを当てると敵のガードをブレイクして一瞬だけ無防備にさせる事が出来る。
  • ラッシュコイルとラッシュジェットはボタン一発で呼び出せるようになった。その代わり、エネルギーが共有化された。

ダブルギアシステム

  • 今作の物語の鍵を握る新システム。ワイリーが若い頃に開発した装置の試作機をロックマンに組み込み、一定時間だけ2つの能力を使える。
    • パワーギア - Lボタンで発動。ロックマンの攻撃力を強化する能力。チャージショットが2連射されたり、さらにチャージすると超威力の「ファイナルチャージショット」が撃てる。特殊武器も強化される。
    • スピードギア - Rボタンで発動。高速化能力。演出としては全体がスローになるが、ロックマンのみ若干早く動ける。とあるアイテムを装備すると使用中でもロックマンだけ通常通りに動けるようになる。『ロックマン ロックマン』の「タイムスロー」に近い。
    • 共に便利な能力だが、発動中に増加するゲージが最大になるとオーバーヒートして一定時間使用不可能になる。使用しない間は自動的にクールダウンされる。また、歯車型のアイテムを取る事でもクールダウンされる。
    • また、瀕死状態になった際、LとRを同時押しすると両方の能力を同時発動する「ダブルギア」が発動出来る。ただし、ダブルギアは任意解除できず、時間切れになるとチャージショットが撃てなくなるなど大幅に弱体化してしまう諸刃の剣。
  • ボスもパワーギアかスピードギアを使用してパワーアップしてくるようになっている。どちらを使うかはボスによって決まっている。

強化パーツシステム

  • 『8』にあった強化パーツシステムが久々に復活。条件を満たすとネジと交換で様々なパーツを制作出来るようになり、ロックマンの性能を強化する事が出来る。
    • 一度作成したパーツは任意にON・OFFが可能。
    • 条件はゲームオーバーになりまくったり、ギアを使いまくるといった単純なものから特定の曜日限定、クリア後のセーブデータでのみ解禁されるものもある。
  • E缶などのアイテムやエディー、ビートを呼ぶサポートアイテムも継続。自由に購入出来る。
    • 今までとは異なり保有数は減少しているが、特定のアイテムを購入することで数を増やすことができる。

難易度選択

  • 『9』『10』にもあった難易度の選択肢がより増えた。最初から全ての難易度を選択出来る。
    • NEW COMER - 初心者向けの難易度。ADVANCEDに加えて『ロックマンX アニバーサリー コレクション』の「かけだしハンターモード」同様、トゲや落下死が無効化され、全体的に難易度が下がる。残機も無制限になる。普通のゲームで言うところのベリーイージー相当。
    • ADVANCED - 久しぶりのプレイヤー向けの難易度。ダメージが減少、敵の配置が減る、設置アイテムが多い、死亡からの復帰時、特殊武器のエネルギーが全快する、初期残機が5機。普通のゲームで言うところのイージー相当。
    • ORIGINAL SPEC. - 現役プレイヤー向けの難易度。敵の配置が増える、配置アイテムが一部なくなる、死亡からの復帰後も特殊武器のエネルギーが回復しない、中間ポイントが少ない、初期残機が2機。名前の通り、普通のゲームで言うところのノーマル相当。
    • EXPERT - ORIGINAL SPEC.に満足できないプレイヤー向けの高難易度モード。被ダメージが増加、敵の耐久力が増加、ボスが全体的に強化、ネジ以外のアイテムが出なくなる*1。普通のゲームで言うところのハード相当。

その他

  • 7』や『8』と異なり、オープニングステージや中間ステージは存在せず、最初から8ステージを選択出来る点は8bitシリーズに倣っている。
    • 更に今回はワイリーステージ中にセーブしても最初からにならず、続きからプレイ出来るようになった。ワイリーステージを一気にクリアする必要はない。
+ 本作のボスと特殊武器
ブロックマン ブロックドロッパー: 空中からブロックを4つ落とす
アシッドマン アシッドバリア: 劇薬で身体を包んで敵弾を防ぎつつ、劇薬の雫を発射して攻撃
パイルマン パイルドライブ: 突進しつつ杭を突き出す近接攻撃
ラバーマン バウンスボール: 地形で反射するゴム球を3方向に同時発射
ヒューズマン スクランブルサンダー: 左右に分かれ地形を這う電撃弾を下方or上方に撃つ
ツンドラマン ツンドラストーム: 自分を中心に吹雪の竜巻を起こす
トーチマン ブレイジングトーチ: 斜め上→斜め下という軌道を描く炎を発射
ブラストマン チェインブラスト: 敵に吸着する時限爆弾を放つ。個数で爆発威力Up(最大4発)

評価点

  • 絶妙なゲームバランスと快適性の向上したシステム
    • 難易度は歴代ナンバリングの中でも高い方で、現役プレイヤーでも苦戦するほどだが、一度クリアしてしまえばすいすい進められて上達を感じられる絶妙な調整になっている。
      • 新システムのダブルギアも絶妙。素早く行動する事が求められる場面や8大ボスステージ全てに中ボスが配置されているため厄介に感じるが、前者はスピードギアを使用すれば落ち着いて操作でき、後者はパワーギアと特殊武器で瞬殺可能。かなり厳しくなるが一切使用せずともクリア可能な調整になっている。
    • ラッシュをワンボタンで呼び出せるようになった事でサブメニュー画面をいちいち開く機会は大きく減少し、テンポ良くプレイ出来るようになった。
      • 特にラッシュジェットはコイルと違ってエネルギー消費が少なめ且つジャンプ中に呼び出してもある程度補正されて乗る事が出来るので、上級者はジェットを使ってショートカットを多用するスーパープレイを披露している。
    • ロックマン自身も、バランス調整の為の露骨な弱体化を感じない高スペックに仕上がっており、単純に動かしていて楽しく快適。
      • 「5」以降のチャージショットの性能調整に伴う制約感、あるいは「9」「10」におけるチャージショットやスライディングのオミットに伴う不便さが解消された。スライディングの操作感、性能も良好。
    • 他にもキーコンフィグを使えばスライディングをボタンに割り振る事が出来るようになるなど、自分がプレイしやすいボタン配置を設定出来る。これまでにはなかった要素である。
    • また、今作から地味に雑魚、中ボスを含めた全ての敵について、弱点を突いたときに特殊なエフェクトが出る。
      これにより、効率よく進めるにはどこでどの武器を使えばいいかが把握しやすくなった。
    • 特殊武器も右スティックで選択出来るようになったため、目的の武器を一瞬で装備出来るようになった。並び順もステージセレクト画面と同じため憶えやすい。
      • Switchだとコントローラーの配置的に暴発しやすいが、不必要なら設定でoffにすることも可能。
      • 特殊武器入手時やステージセレクト画面でサブメニューを開いてR2(RT/ZR)を押すと練習モードになり、特殊武器の使い勝手を確かめられるのも親切。
    • これまでと違って未クリアのステージからも脱出可能なので、ネジを集めて強化パーツやアイテムを購入する事で意図的に難易度を下げられる。逆に外すことも出来るので好みに合わせて難易度調整が出来る。
      • 1upや缶類も購入しやすい価格設定。トゲを防御するアイテムを複数購入すればトゲだらけの通路も楽に通過可能と救済は多く用意されている。土曜日にプレイするとセール価格になるので、アイテムを買い込んでクリアしたいプレイヤーは利用すると良い。
      • 強化パーツの中にはライフを減少させて意図的にダブルギアを発動出来る状態にする「エネルギーディスチャージャー」といった玄人向けのアイテムも存在する。
    • シリーズ初となるエンディング後にセーブが可能になり、クリアデータをロードすると8大ボスが復活する2周目が遊べる*2
      • この2周目では特殊武器が撃ち放題になる「覚醒チップ」とダブルギアが使い放題になる「クールダウンシステム∞」という強化パーツが購入可能になり、苦労したステージを思う存分蹂躙出来る。
    • ロードもほぼ皆無で全体的に快適にプレイ可能なよう配慮されている。
  • 個性的なボスキャラ達
    • どのボスも非常に動きが特徴的で、一概に強い弱いという評価がしにくくなっている。
      • 中でも唯一3段階に行動パターンが変化するブロックマンや、画面中を跳ねまわるラバーマンなどは個性が強く、単純な強さ以上に得意不得意が攻略難易度に影響してくる*3
      • それ以外のボスも、ダブルギアシステムを組み込まれたこともあり行動パターンは今まで以上に多彩。
    • ボイスを担当する声優陣も豪華なだけでなく、台詞自体もとにかく印象に残りやすいものが多い。パターンも豊富で、登場や攻撃時はおろか、なんと断末魔まで基本的に3つものパターンが用意されている。
      • 加えて、後述するギャラリーモードでは改造前の大まかな性格に加えて製造元まで記載されている。情報量が多すぎて入りきらないキャラはわざわざ2ページ用意されていたりと、設定面に関しては歴代でもかなり作りこまれている。
    • なお、メインキャラクターの声優はシリーズ復活に伴い一新されている。
  • 優秀な特殊武器
    • 特殊武器の使い勝手の良さはシリーズでもピカイチ。使えない武器は存在せず、消費も程よいバランスに収まっている。
    • 特に優秀なのがロックマンの前方に天井からブロックを落とす「ブロックドロッパー」、上下に発射出来て地形に沿って移動する「スクランブルサンダー」、水平方向にダッシュしながら攻撃できるほか、ジャンプ中でも使用できる「パイルドライブ」、ロックマンの周囲に竜巻を発生させ、パワーギア発動時には全体攻撃が可能な「ツンドラストーム」。
      • パワーギアとの併用でさらに強力になるが、その分消費が大きくなるためバランスは取られている。
    • その他の武器もやや癖がありつつも優秀な性能を持つため、ロックマンの売りである特殊武器を活用してステージを攻略する要素はシリーズ屈指。
    • ロックバスターやチャージショットに頼ってしまって良い場面と特殊武器に頼ると楽な場面のメリハリがついており、従来作で散々問題とされてきた「特殊武器ゲー」「チャージショットゲー」どちらかに偏るということが起きづらくなるよう工夫されている。
  • 敵キャラの使い回しが少ない
    • どのボスステージも、そのステージで初顔となる雑魚敵が多いため、マンネリ感を感じることが殆どない。ガワだけ入れ替えてモーションが同じ…というわけでもない。
    • 各ステージにいる中ボスも似た行動を一切取らない。過去の経験を活かしづらい反面、どのステージも真新しい気持ちで挑むことが出来る。
  • グラフィック
    • 初代シリーズでは『ロックマンロックマン』以来となる3Dを採用。そちらよりも頭身は上げられており、ディテールも細かくなっている。
    • 視認性の面でも気を遣っており、敵が見づらいような場面はない。
  • キャラクターデザインが一新され、より今風のテイストが強いデザインアートになっている。
  • ファンサービス要素
    • シリーズ30周年記念という事で、シリーズファンへのサービス(特に初代『ロックマン』の)オマージュ要素も多数存在する。
    • 登場するボスキャラの構成が岩(ブロック)、炎、氷、爆弾、電気と初代を踏襲。弱点武器も初代プレイヤーならある程度予想がつくようになっている。
      • 一方で、明確に弱点とされている武器以外にも有効な武器が存在する点もシリーズ初期作品を意識している。場合によっては弱点以上に有効な武器も…。
    • パッケージイラストも初代の構図を元にしておりロックマンのポーズなどが初代のものである。
    • ザコ的もお馴染みのメットール、バットン、シールドアタッカー、スナイパージョー、ガビョールなどの他に、『1』以来の登場となるピッケルマン、『2』以来となるスナイパーアーマー、『5』以来となるリリックなど懐かしの敵がリメイクされて登場する。
      • もちろん本作オリジナルのザコも多数存在する。
    • 強化パーツの中には「バスタープラス」や「ショックアブソーバー」といった『Xシリーズ』から逆輸入されたものもある*4
    • ギャラリーモードではラスボスまで含めた敵の特徴や設定が用意されており、ボス勢はボイス再生機能も用意されている。ゲーム中ではなかなか落ち着いて聴く機会がなく、レアなボイスもあるので嬉しい配慮と言える。
      • またギャラリーの説明文の中には一部攻略のヒントが書かれている敵もいる。目を通せば思わぬ攻略法を発見出来る。
  • バリエーション豊かなチャレンジ
    • 『9』や『10』『クラコレ』のチャレンジは基本的にタイムアタックがメインだったが、今作のチャレンジモードは様々な条件が用意され、本編とはまた違ったプレイを楽しめる。
    • 最小ジャンプ回数を競う「ミニマムジャンプ」最小攻撃回数を競う「ミニマムアタック」青い風船だけを壊しながら進む「バルーンアタック」ロックマンファミリーのプレートを取りながら進む「ファミリープレート」など多彩。
      • 基本的には通常と同じ構成のステージを突破していくだけだが、正確な操作が求められたり、上位にランクインするには頭を使うチャレンジもあって本編とは違った面白さ。
    • オンラインランキングには対応していないがボス・中ボスと個別に戦ったり、跳ね回る敵をリフティングの要領で跳ねさせまくるといった独特なチャレンジも存在する「プレイグラウンド」も用意されている。
      • ボス戦に関しては本編中のボスラッシュのタイムアタックも用意されており、こちらは一度クリアすると難易度「EXPERT」が解禁されるため練習に最適。

賛否両論点

  • ストーリー
    • 今作では今まで少しずつしか語られていなかったライト博士とDr.ワイリーの学生時代の確執や二人の関係性が大きなテーマになっている。しかし如何せん初登場からかなりの年月が経ってからの言及で、そこに新システムを絡めている構図上どうしても後付けという印象は拭い切れない。
      • 「ダブルギアで性能を向上させても、それを誤った形で行使することが無いよう正しく判断できる心を持っていないと危険」といった主張が若き日のライト博士によってなされるのだが、後の『ロックマンX』シリーズでは心を持つがゆえにイレギュラーが発生したとも思える描写があり、そちらの方が危険ではないかと指摘する声もある*5
    • ただし、エンディングに関してはこれまでなかった展開であり、ライト博士がDr.ワイリーの事をどう思っているかが描かれるなど見所がないわけではない。
  • ボリューム面
    • 後述のように後半がやや短めな事もあってか、ボリュームが少ないと指摘するプレイヤーも多い。
    • その分、8大ボスステージはやや長めの構成になっているため、プレイ時間という点では従来作に劣らない。
      • ただ、長くなったためORIGINAL SPEC.以上の中間ポイントが少ない難易度でプレイするとミスした際にかなり前の地点に戻されてしまい、やる気が削がれやすい。ADVANCEDなら中間ポイントの数が適正になるので、大抵のプレイヤーが楽しめる難易度と言える。
      • 前述のように8ステージ全てに中ボスが配置されたのも賛否両論。足止めされて面倒くさいという声もあるが、中ボスは特定の武器とパワーギアで瞬殺できる*6ので殆ど障害にはならず、慣れたプレイヤーなら休憩ポイントと化す。
      • また、この「中間ボスをどう対処したいか」も攻略手順を考える上で欠かせないポイントとなるので、攻略手順構築の楽しみが増えるというメリットも存在する。
    • 『9』や『10』にあったブルースやフォルテでプレイ出来るモードをDLCでいいから出してほしいという声も多く聞かれた。ゲーム中、二人が一切登場しないというのもこの意見に拍車をかけている。
    • 基本的に従来通りの何度も遊んで上達を楽しむストイックなゲームのため、一周を長く楽しみたいプレイヤーやライトユーザーからの評価は低くなりがち。
  • ステージギミック
    • 特にラバーマンステージについては賛否分かれている。
      • 簡単に言えば『7』のスプリングマンステージを難しくしたようなステージで、あちこちにバウンドするボールや高所から落ちることでハイジャンプできるトランポリンが仕掛けられている。これが楽しいという人とストレスが溜まるという人に二分されている。
    • 即死ギミックについても前作より減ったという人と多いという人で分かれている。
      • 両者に共通して指摘されるのが、トーチマンステージの後ろから追いかけて来る炎、アシッドマンステージのトゲの配置。これらは慣れを要するので苦手な人も多い。
  • サウンド
    • デフォルトでBGMの音量が小さいためか、人によってはBGMが印象に残りにくい。
      • 曲自体は特に悪くなく、むしろ好評。「BGMの音量を上げたら改善された」という声もあり、気になるならオプションでボリュームを変更する事を推奨する。
    • また、SEに関してはワイリーのUFO以外総取っかえされており、ノーマルショット(いわゆる豆)を当てた時の音がしょっぱく、迫力がなさすぎるという意見が多い。他は問題ないのだが…。
      • SEが新規ハードで殆ど変えられて全く違うものになったが、これに関しては完全に好みの問題だろう。
  • 武器チェンジ時のグラフィック
    • 今作では武器チェンジを行うと『星のカービィシリーズ』のようにロックマンの体色だけでなく姿も変化するようになったが、これは過去作や当時の関連書籍で明かされている体色変化の設定*7との矛盾点があり、こちらについても賛否分かれる事となった。
    • ただ、姿が大きく変化する事で視認性という面では向上しているのは確か。元々ロックマンの武器チェンジ時のカラーパターンが頭打ち気味だったので類似性を免れる意味もある。
  • 敵との接触による落下死が殆ど無くなった
    • ロックマン伝統の死にパターンであり、特に『10』ではそれらを想定したトラップが複数用意されていた。
    • 本作では敵と接触してノックバックはするが、足場ギリギリの所で踏ん張るので辛うじて生き長らえる*8。またラバーマンステージに出てくる雑魚敵「トーサナイザーV」はシリーズお馴染みの「奈落から突然飛び出してきて、飛び越そうとしたロックマンへの接触を狙う」タイプの敵だが、実際に被弾してもジャンプ元の地面方向目掛け水平に突き飛ばされ、これまた落下死への直結へは至らない設計になっている。
    • この仕様により事故による落下死は免れてストレスフリーになるためライトユーザーにはありがたい仕様だが、旧来のロックマンユーザーには理不尽な事故死も含めてロックマンの醍醐味と考えるユーザーもいるので難しいところである。
  • 『ロクロク』や『Xシリーズ』のようなボス戦前の会話が存在しない
    • ただし元々シナリオ上ロックマンとボス達の間に何の因縁も無く、会話しようも無い(ボス達がワイリー側に付いているのは洗脳改造されたためだとわかっている)。無印ナンバリングではボス戦での会話シーンは一切存在しないので、従来通りと言える。
  • スピードギアの利便性
    • ダブルギアシステムはゲームバランスが壊れすぎないように塩梅が保たれているが、それでもスピードギアの使い勝手が長けている。
      • ダブルギアシステムはオーバーヒートを起こさなければすぐにゲージが回復し、もしオーバーヒートしてもしばらく待機すれば復活する。その上で(オーバーヒートしていなければ)ゲージ回復中も再発動可能で何度でも使えるため、こまめに発動を切り替えればローリスクで活用出来る。必要な時だけ使えばデメリットが殆ど無い。その上はスピードもパワーも共通したゲージを消費するので片方ばかり使用することにも特にデメリットがない。
    • スピードギアは『発動中はロックマン以外のあらゆる挙動が遅くなる』ものであり、敵キャラ以外にステージギミックも遅くなる効果を持つ。…という説明だが実際は「ロックマンの挙動が遅くなり、それ以外はさらに遅くなる」というものである。なので1マスジャンプやトゲ地帯での精密な操作や、敵に囲まれた時の脱出、ボスに対しては敵の挙動や攻撃パターンを見抜けたり等攻略を格段にラクにしてくれる。加えて敵が遅くなっているうちに打ち込んで倒すなど実質火力でも貢献可能。
    • 対してパワーギアは少し扱いづらく、チャージ中にダメージを受けるとチャージが解除される、チャージしてからパワーギアを発動しても、チャージがリセットされてしまう等、パターンを見切っていないとただゲージを消費するだけになってしまいがち。特殊武器も強化されるものの、強化版にできて通常版にできない事というのはそう多くなく、結果それぞれの武器がどのように強化されるかを覚えて場面ごとに最適な武器を選択するより、スピードギアでゴリ押ししてさっさと抜けたほうが「ラク」になってしまう場面も少なくない。
    • そのため単純な使い勝手の良さでスピードギアに軍配が上がってしまう。通して1回クリアするだけのプレイヤーは多くがスピードギア頼りでプレイしたことだろう。
      • しかしパワーギアが全く使えないかと言えばそうではなく、玄人向けなシステムと言える。「パワーギア発動→特殊武器発射→パワーギア即解除」と行うことで実質ノーリスクで即座に強力な攻撃が出来たり、ダブルチャージはボスにも2発しっかりヒットするので大ダメージが期待できる。またスピードギアはプレイヤーの判断に余裕が生まれるものの、それは時間を多く消費しているということである。実際タイムアタックランキング上位者はパワーギアを大きく活用しており、最終的にやり込むならスピードもパワーも一長一短なよくできたシステムと言える。

問題点

  • 尻すぼみなワイリーステージ
    • 今作のワイリーステージ「歯車城」は初期シリーズ並の全4面。 ただし、後半の2つのステージに関しては「手抜き感がひどすぎる」と批判されている。
      • 3面はごく短い通路をクリアしたらすぐボスラッシュで、8ボスを倒せばクリア。4面は狭い通路をリフトに乗って進むだけ。途中のトゲ以外は散発的にザコが出現するのみで労せずラスボスに挑める。
      • このような構成のため、チャレンジでもこの2ステージだけ省かれている。ボスラッシュとワイリー戦は個別にあるが…。
      • 1~10まで、本作を除けば一番グラフィックが良い『8』でも全4面だが、あちらはボスラッシュがラストステージにあるため、ステージ3は普通のステージになっている。
    • ステージのBGMが1曲しかない。
      • BGM自体は良曲なのだが『7』から『10』までは1ステージ毎に1曲、それ以前の作品についても最低2曲は用意されていたため(『5』と『6』は表向きのボスステージと合わせての実質2曲)、少々盛り上がりに欠ける。
        ただし、ワイリーステージボスのBGMをボスラッシュ戦でも使用するのはナンバリングタイトルでは新たな試み。本作以外では『ワールド4』で同様の演出がある。
    • これらがボリュームが薄いと批判される要因ともなっている。その分、前述の通り8大ボスステージが従来よりやや長いが、純粋にステージ数を増やした方が不満は出にくかっただろう。
  • 一部操作感覚の変更
    • 特に着地した際に若干ながら再ジャンプ出来ない硬直時間が発生するようになったため、慣れないと連続ジャンプ地帯などでミスしやすい。
  • 実績機能の中に、取り返しのつかなかったり条件が厳しかったりする内容が多い
    • 実績の中には「チャレンジモードや2周目では達成できない」「一時間以内でORIGINAL SPEC以上をクリア」「ADVANCE以上のレベルでアイテム未購入・缶未使用でクリア」と言った具合に別のセーブデータが必須となる実績が多く、実績を気にする人にとっては非常に気になってしまう。
  • 回復アイテムはリトライ時に復活する仕様になったが、1UPやエネルギー缶は取得すると二度と復活しない。

総評

新システムを取り入れつつ、高難易度ながら絶妙に調整されたゲームバランスと久々の最新グラフィックで手堅く纏まっている。
幅広い難易度選択や救済要素による初心者への配慮、快適性の増したシステム面など過去作から改良された部分も多く、30周年記念作に相応しい良作と言えよう。


余談

  • もはや書く必要はないかもしれないが、やっぱり黒幕…と言うか首謀者はDr.ワイリー。
    • Dr.ワイリーからロックマンとライト博士へ正々堂々と挑戦状が叩きつけられるのは、『2』以来の出来事となる*9
    • 今までは「Dr.ワイリーの技術がライト博士の作ったロックマンに一歩及ばなかった」という設定ばかりだったが、今作は「Dr.ワイリーの技術をロックマンに組み込んで初めて同じ土俵に立てる」という、新しい設定である。
      • これを踏まえて迎えるエンディングの内容は感慨深いので、是非プレイして確かめて欲しい。
    • また、ダブルギアシステムを無断でロックマンに組み込んだことを知ると、ライト博士を発明泥棒呼ばわりしているが、ワイリー自身もライト博士らの作業用ロボットや平和利用のロボットを悪用しているため「お前が言うな!」「どの口が言うか!」と思わずツッコまざるを得ないものである*10
  • 今回ゲーム内で初めて若い頃のライトやワイリーの姿が描かれたが、これは有賀ひとし氏の『ロックマン ギガミックス』に登場した姿が元ネタ。
  • Switch版はamiiboに対応しており、ランダムでアイテムが1日1回もらえる。『コレクターズ・パッケージ』には新デザインのロックマンのamiiboも同梱されている。
  • 今作のボスキャラ、パイルマンとラバーマンは国内版と海外版で名称が異なる。
    • それぞれの海外名は「インパクトマン」「バウンスマン」。
    • 国内版と海外版でボスの名称が異なるのは『1』のボンバーマン(ボムマン)以来の出来事となる。
    • ラバーマンが変更されたのは英語圏(とりわけアメリカ文化圏)ではRubberはコンドームを指す俗語として使われているからだと思われる。
  • 今作のボスキャラ達は総じて扱いが良く、オープニングでブロックマンに台詞が与えられていたり、事件後、ライト博士に救出して貰っていたという描写があったりする。
    • ギャラリーモードでは製造元を知ることが出来る。ブロックマンとパイルマンは同じ製作所出身であり、ツンドラマンはなんとコサック製ロボットである。
  • 今作でボスキャラを担当している声優の中には、過去にロックマンシリーズに出演したことのあるベテランもいる。
    • 中でも炎属性のトーチマンを担当する小西克幸氏は『エグゼ』にて火野ケンイチという、これまた炎属性のボスキャラ(のオペレーター)を担当していた。
  • 今作で初登場のブラストマンは『ロックマン エグゼ6』にて同名のネットナビとして登場していたため、エグゼシリーズのキャラが本家に逆輸入された初めてのケースとなった。
  • 本作の宣伝として体験版が配信された。内容はブロックマンステージのみ丸々遊べる内容となっている他、数種類の武器が使える。
    • 他にもコミカライズ版エグゼシリーズの作者である鷹岬諒氏によって本作の読切漫画がコロコロアニキに掲載された後、期間限定でWeb配信された。
    • 無印ロックマンのコミカライズは講談社のコミックボンボンが中心だったため、本作で初めて小学館系列の無印ロックマンのコミカライズが掲載されることになった。
  • 本作発売のきっかけは30周年記念だけでなく、シリーズ再始動という面もあった。
    • 前作の『10』で既に8年前の作品であった上『8』と『9』の間で12年の空白があったため「ロックマンは過去の産物」という印象が強かった。
    • 大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii Uのゲスト出演で注目を浴び、その後ロックマン クラシックス コレクションで世界で100万本以上の売上を記録したのが本作開発の後押しとなった。
      • シリーズ再始動と銘打っていて、好調であれば次回作の検討もされていると語られており、実際に世界で100万本以上売り上げたのだが、発売から4年以上経っても次回作の音沙汰は無い。
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最終更新:2024年04月13日 23:16

*1 アイテムの出現率をアップするパーツを装備すれば出現するようになる。

*2 ただし、最初からではなくステージは全て解放済みの状態のまま。

*3 ただし、大まかなボスの強弱についての評価はある程度固まっている。特に強いと言われるのがトーチマンやブラストマン、逆にツンドラマンは最弱候補と言われている。

*4 ただし、『Xシリーズ』とは効果が異なるものもある。

*5 厳密にはイレギュラーが発生する原因は不明で、より人間的な思考が可能なのはエックスのみ、ゼロを除くレプリロイドはエックスの劣化コピーに過ぎないという点に留意。

*6 冗談抜きに開始10秒以内で撃破可能。

*7 簡単に言えば、武器チェンジによって動力から発生するエネルギーの変化により、プリズム状の体表コーティング素子の屈折率も変化して違う色に見える……とのこと。空の色の変化に例えられることもあった

*8 例外的にパイルマンステージ等に存在するリフトからはノックバックで落下する場合もある。加えてステージ後半では広い奈落の上を敵弾を狭いリフトでよけながら越えるシチュエーションもあり、特殊武器を使わない場合かなりの難所となっている

*9 単純に「小細工なし」という条件なら『8』以来。

*10 例を挙げればブルースや『1』のライトナンバーズ、共同制作ではあるが『3』の8ボスとガンマなど。イエローデビルはライト製の形状記憶粘土をDr.ワイリーが流用して作られた。