モンスターゲート

【もんすたーげーと】

ジャンル ローグライク
対応機種 ゲームボーイアドバンス
開発・発売元 コナミ
発売日 2002年7月4日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1~4人
セーブデータ 1個
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント メダルゲームを家庭用に
大量メダルによる安易なパワープレイを排除


概要

コナミが2001年秋に世に送り出した業界初のメダルゲーム用ダンジョン探索型RPG『モンスターゲート』シリーズ。
シリーズの息は長く、幾度かのマイナーチェンジの後に『エターナルナイツ』や『エルドラクラウン』と名を変え、2024年現在ではシリーズ15作目『エルドラクラウン 悠久のラビリンス』が稼働している。

今作は、シリーズ2作目の『モンスターゲートII』を元に、携帯ゲーム向けにアレンジした内容となっている。

プロローグ

いにしえの伝説に残りし魔界への扉…
その扉の奥には世界を手にする力が眠っているという
だが、力を求めんとするものよ、覚えておくがいい!
求めようとすれば対価が必要だという事を…
求める力が大きければ大きいほど、対価も大きくなるという事を…
アドゥクス記―魔界の章―

(オープニングデモより)

特徴

  • 基本ルール
    • 基本はローグライク(と言うか『不思議のダンジョン』)であり、自分が1回行動(移動、攻撃、マジックカードの使用)を行えば、敵も1回行動を行う。
    • 一部を除き、ダンジョンや城に挑戦する前にマジックカードを選んで持ち込むことができる。持ち込める枚数は原則として最大10枚。
    • 満腹度の要素は無く、特定のマジックカードを使わない限り、いくら歩いてもHPは回復しない。その代わり、新しい部屋に入る毎にHPが少し回復する。
      • 同一フロアでのターン制限は一切無い。そのため、何百ターン、何千ターン同じフロアにいても地震や突風による強制終了は起きない。
    • 経験値の要素も無く、弱い敵をいくら倒してもレベルが上がらない。現在のレベルに見合った敵を倒せば確率でレベルが上がる。より強い敵を倒せばより多くレベルが上がる。
    • 目に見えないトラップの要素もない*1。そのため、視界内に目に見える敵が居ないなら視界外からの攻撃を受ける可能性だけ排除すればとりあえずは安全である。
      • 状態異常攻撃を受けることもないため、混乱対策なども不要である。
    • ダンジョンの最深部、あるいは城の最上階のどこかにある祭壇に安置されている「クリアの証」(ワールドモードでは「オーブのかけら」)を取得し、そのまま祭壇から脱出するか、入口まで戻ればクリアとなる*2
      • 証を取得しても、脱出せずにうろついている間に(入口に戻るのも含む)倒されれば当然攻略失敗となる。
    • ダンジョンを脱出すればその時手元に残っているマジックカードを全て持ち帰ることができる。
      • 「クリアの証」または「オーブのかけら」を取得していなくても、入口まで戻れば脱出できる。その場合攻略失敗にはなるが、マジックカードは持ち帰れる。
    • ダンジョン攻略中でも中断セーブをすることができる。スタートボタンを押せばデータをセーブした旨のメッセージが出るので、そのまま電源を切れば続きから再開できる。
  • MPの導入
    • マジックカード使用のコストを、アーケード版の「クレジット」から「MP」に変更。MPはレベルが上がるごとに少しずつ最大値が増えていく。
    • それに伴い、アーケードでは宝石入手やダンジョンクリア報酬としてクレジットを入手していたところを、ショップでの売買やカジノでの賭け金、カード合成費用の支払いに使用するコインを入手するように変更されている。
      • 敵を倒したときも少額ではあるがコインが蓄積され、ダンジョンクリア時にまとめて精算される。
    • マジックカードは原則として10枚までしか持てないが、不要なマジックカードはカード選択中に下を押すことでMPに変換することができる。
  • 職業
    • 見習い:初心者向き。HPがゼロになっても一度だけ復活できる。いつでも他の職業に転職できる。ロングソードなど装備系のマジックカードを使用できず、ワールドモードでは遊べない。
    • 戦士:一般向き。攻撃と防御のバランスが取れている。
    • 魔法使い:中級者向き。魔法の威力は高いが、マジックカードが無いと魔法を使えないのは他の職業と変わらない*3。当然通常戦闘力は戦士より弱い。一方で通路での視界が2マスと広いため不意打ちを受けづらいのは他には無い利点*4
    • ギャンブラー:上級者向き。魔法使いよりはましとは言え戦士より弱く、HPに至っては魔法使い以下で序盤は一撃死と隣り合わせ。利点はフロア到着時点で(マップを踏破しなくても)宝石と祭壇の位置が表示される事。ターンが経過するごとに強力な敵が湧いてくることを考えれば、最上階でいち早く祭壇の位置を察知できるのは大きな利点である。クリアタイムを競うフリーアタックだと尚更だろう。
    • 魔人:上級者向き。能力は戦士より高く、マジックカード使用時の効果も高めだが、一行動ごとにHPが1ずつ削られていくので、階数の多い城、規模の大きい城ではジリ貧になりかねない。
    • 獣人:クリア後に解禁される職業。規定ターンごとに人間タイプ(弱)と獣人タイプ(強)に入れ替わる。
  • ゲームモード
    • 一人用ゲーム
      EASY、NORMAL、HARDの3段階のレベルがある。レベルは敵の強さとワールドモードでの城防衛のしやすさなどに関わってくる。
      • クエストモード:全20種類のダンジョンを攻略していく。全てのダンジョンを制覇すると職業ごとに強力なマジックカードが一枚手に入る。
      • ワールドモード:砦を拠点として全5エリア、49の城を攻略し、占領していく。城の難易度は色別になっており、黄、緑、青、赤の順に難しくなっている。攻め込むことができるのは自分が占領している城に隣接するものだけで、砦以外の占領した城は敵が奪還してくる可能性があるので、ガーディアンを配置して守る必要がある。
        エリア内全ての城を占領するとボスがいる赤城が出現し、そこを占領すれば配置していたガーディアンを引き上げた上で次のエリアへと進む。*5最終エリアにあるGREAT城を占領すればゲームクリア。
      • フリーアタック:クリアしたことのあるダンジョンや城のクリアタイムを競う。
        ワールドモードでクリアしてないダンジョンでも、このモードでクリアすれば1つずつ解禁されフリーアタックに限り遊べるようになる。
  • 対戦用ゲーム
    • 2人から4人まで対戦可能。ワールドモードの城を奪い合ってポイントを競う「ワールドバトル」、同じダンジョンを誰が最初にクリアするかを競う「スピードバトル」の2種類がある。
      前者は人数分のカートリッジが必要だが、後者はカートリッジ1つで対戦可能。

評価点

  • 移植の着眼点
    • 本作はジャンルに助けられている点ではあるのだが、そもそも家庭用ハードへの移植に向いていないメダルゲームを家庭用機種に移植した事自体が評価できる。
  • 原作には無かった簡単なストーリーがあること
    • あらすじはモンスターゲートを開いてしまったGREAT城の城主ロドリーグ王を倒す、というもので、特定のダンジョンをクリアしたときやボス城への挑戦の前などに会話イベントが挿入される。
      その会話イベントも主人公の職業によって異なり、王道、ほのぼの、コミカル、シリアスなど様々な展開が待っている。
    • 余談だがACでも『エターナルナイツ2』以降はストーリーモードが追加されている。
  • 中断が簡単にできること
    • 本作ではいつでも中断して続きから再開できるので、長丁場の城やダンジョンを攻略中に本体の電源が切れそうになっても対処しやすい。

問題点

  • 「クレジット使用」から「MP制」になったことによる難易度上昇
    • 敵を一掃する「マルチメテオ」や体力を完全回復する「ポーションMAX」といった便利なマジックカードの使用には大量のMPを使う。
      • 原作では、一掃してから回復するという手段もメダルさえ用意すれば可能だが、今作では両方するにはMPが足りない場面が出てくる。
    • 高難易度のダンジョンでは、「ロングソード」「パワーシールド」といった装備品がクリアのために必須になるが、そのような強力なマジックカードは消費MPが多い。
      • しかし、序盤は最大MPも少ないので、「装備したいがMPが足りない」ということが頻繁に起こる。そのため、ある程度レベルを上げてMPを確保するか、MP変換用に不要なマジックカードを持ち込むかで対処する必要がある。
      • 原作ではメダルさえ用意すれば序盤からガチガチに装備できるので、このような問題は起きない*6。この点を取ってもこれは難化と言えるだろう。
  • 難関城攻略に必要なマジックカードの収集がしにくいこと
    • ワールドモードの難関城を攻略するためには、リング系のカードが手に入りやすいDEAR城、剣系のFINE城、盾系のPURE城、各種レアアイテムが手に入りやすいRARE城の4つの城に何度も挑戦して必要なアイテムをため込んでいくのが定石である。原作では好きな順で城を攻略することができたので、これらの城に隣接する城さえ押さえておけば何度でも挑戦することができた。しかし、今作ではエリア別に分かれているため、異なるエリアの城には挑戦することができなくなっている。
    • 一度クリアした城やダンジョンはフリーアタックで何度でも挑戦できるようになっているが、1つ目のエリアにはこれらの城が1つも存在しないので、必要なアイテムをフリーアタックでため込むこともできない。
      • そのため、収集するためにはクエストモードの「ゆめみる」ダンジョンに何度も入らなければならないが、そのダンジョンでは最終フロアにしかレアアイテムが落ちていない上、カードの質も良いとは言い難く、剣や盾などがそろうまでかなりの数の挑戦が求められるだろう。カジノでのスロットぶん回しでも入手できるが、大量のコインと膨大な時間が必要。
  • カード合成の手順が面倒であること
    • 占領した城を防衛するためにはモンスターカードの強化が必要になってくるが、強化するためには合成屋を利用する必要がある。しかし、その都度合成屋のあるダンジョンに入らなくてはならない。
      • 合成屋のあるダンジョンのうち、「きわどい」ダンジョンはそれほど難易度は高くないので、モンスターカードばかりを持ち込むなど極端なことをしない限りは事故死する危険性もほとんど無いのが救い。
  • セーブデータが1つしか作れないこと
    • クリアデータがあればフリーアタックのクリア状況などを引き継いで新しくゲームを始めることができるが、ゲームクリア前に新規でゲームを始めようとすればそれまでのセーブデータが消えてしまう。
      • それまでのプレイを無駄にしないためにも、別の職業で遊びたい場合には面倒でも一旦ゲームをクリアしてからそのデータを引き継いで進めることが推奨される。

総評

先行投資としてたくさんのメダル(=リアルマネー)を準備しないといけなかったアーケードのメダルゲームが家庭用ゲーム機で気軽に遊べるようになったことは大いに評価できる。
また、店によっては予約制や時間制だったり長時間待つことがあったが、それもない利点がある。
しかし、アイテム使用のコストがMPになったことでMP管理の要素も求められ、その結果原作よりも難易度が上がってしまっているのが残念な点ではある。

とはいえ、ゲームとして破綻しているほどの難易度、というわけではないので、ローグライクゲームファンであれば十分楽しめる。
シリーズ経験者であれば、メダルゲームとは別のゲームだと割り切って楽しむのがいいだろう。


その後の展開

  • GBAでは後に家庭用オリジナル続編の『モンスターゲート 大いなるダンジョン ~封印のオーブ~』が2003年6月12日にて発売されている。
    • その作品が発売されてから約17年後の2020年6月1日に、2020年時点での最新作である「エルドラクラウン 紅蓮の覇者」のコナステ版*7がオープンアルファテストとして発表され、それから約半年後の2020年12月25日からコナステメダルコーナーの一作として正式にサービス開始された。これによりAC作品からの連動ではあるが、久々の家庭用版モンスターゲートとして日の目を見る事になった。
  • また、GBA版とは別にトレーディングカードゲームもリリースされていたことや、NTT出版から発売された公式ガイドブックにAC版の情報が掲載されていたことから、コナミは当時モンスターゲートシリーズに力を入れていた事をうかがわせる。
    • PCでも、韓国のUNIANAと共同開発したMORPG『Chaotic Eden』がリリースされる予定であったが、お蔵入りした。
      • メダルを使わないという点では、『エターナルナイツ/エルドラクラウン 勇者覚醒』がある。そちらは、PASELIによる時間制課金である。

余談

  • ポップンミュージック9』で行われた店舗対抗解禁イベント「闘え!ギャンブラーZ」での移動画面のマップ構成は、ギャンブラーつながりなのかモンスターゲートシリーズを模した物になっている。
  • アーケード版のシリーズ作品は、メダルゲームでは唯一KONAMI Arcade Championshipの参戦タイトルに選ばれている。

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最終更新:2024年01月17日 06:30

*1 歩く度に1~2ダメージ受ける毒床、部屋や通路の滑る床といった目に見えるトラップはある。

*2 拾い損ねたマジックカードを回収する目的でもなければわざわざ戻る必要はないが。

*3 更に「ポーションMAX」(全回復)等は当然として、状態変化魔法(自身の強化も含む)も効果量や持続ターンは他の職業と変わらない。

*4 ただし、部屋から通路への視界は他と同じ1マス(通路から部屋への視界なら2マス)。

*5 ボス城ではボスとして最上位レベルのガーディアンが祭壇を守っているが、オーブのかけらさえ手に入れればクリアとなるため、必ずしも倒す必要はない。

*6 と言うか、原作の高難度ステージでは1階から30レベル(3階相当)の敵がわんさと出てくるので(一応10レベル差までは基本、20レベル差だとギリギリの戦力差)、装備できなければ死ぬしかない。

*7 コナミが展開しているPCとスマホのクラウドゲーミングサービス。主に『麻雀格闘倶楽部』や『beatmania IIDX INFINITAS』が有名