キャッスルクエスト

【きゃっするくえすと】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売元 ハドソン
開発元 トムキャットシステム
発売日 1990年5月18日
定価 5,800円
プレイ人数 1~2人
判定 ゲームバランスが不安定
スルメゲー
ポイント ファンタジー版将棋
戦闘はトランプ
目押し推奨


概要

将棋やチェスに、ステータスや魔法といったファンタジー要素を加えたシミュレーションゲーム。


ストーリー

むかし、むかし、あるところにジョカリアーナ王国という国がありました。
ジョカリアーナは平和で人々のくらしは豊かでした。
キングジョカラはひとびとから、とても尊敬されていました。
若いころは勇敢で有名でした。

ところが、そんなキングジョカラにも悩みがありました。
それは、このところ荒れ続いている嵐のことでした。
あらしはもう、ひと月も荒れ狂っていて収まる気配がありません。

困り果てたキングは町で評判のタロットおばばにみてもらうことにしました。

どうだね?おばば

うーむ、悪い相がでておる。

この国に昔から伝わるゲームを征服しないと、嵐は去らないとでたゾヨ。

(ゲームのデモ画面より抜粋。一部漢字に変換)


ゲーム内容

  • ストーリーモードと対戦モードがあり、ストーリーでは25ステージを順番に攻略していく。パスワードによるコンティニュー制。
    • 対戦はセレクトモードとエディットモードの2種類が存在する。
      • セレクトモードはストーリーモードとは違う25種類のマップの中から1つを選んでそのまま対戦するモード。
      • エディットモードは同じようにマップを選んだあとそのマップの配置を変更できるモードになっていて、どちらもCPUとの対戦と2Pでの対戦が選べる。

ルール

  • 戦闘はターン制で、先攻後攻はトランプスロットの出た数で決まる(多い方が先攻)。敵軍の「キング」を倒せれば自軍の勝利。逆に自軍の「キング」が倒された場合は敗北となる。
    • 1ターンにつき、自軍のユニットを1つだけ動かせる。
    • 30ターンで1日となり、30ターン経過毎に「夜が来た・・・」「そして朝が来た」と休息したことになりマジックやスタミナが全回復する*1
  • バトルもターン制で、トランプによる命中判定(相手の防御以上で命中)で、当たれば攻撃分のダメージを与える。相手のスタミナを削り切れば勝利。削り切れなかったら相手が攻撃し、決着がつくか、どちらかが逃げるまで交互に繰り返す。
    • 攻撃をしかけた側は、トランプに+1のボーナスがあり、仕掛けられた側は逃走失敗時のトランプに-1のペナルティが付く*2
      • 出たトランプがJ(11)以上の時に「絵札スペシャル」が発生し、攻撃した後に再度攻撃ができる。もちろん、その攻撃でもJ以上がでれば更なる攻撃が可能で、10(9+1)以下が出るまで攻撃が終わらない。
    • ユニットによっては、一撃で相手を倒す「ジョーカー」を持っている。もちろんキングには効かないが、「しかしキングはよろめいた」となって反撃されず連続攻撃になる。
    • バトルで相手を倒せば、スタミナが最大値の2割回復する。逃走されたら回復はしない。
  • 動かしたときにバトルが発生しないとマジックによる攻撃や回復の権利があり、相手のスタミナを削ったり味方を回復したりできる。即死魔法もある*3
    • そのマジックで相手を倒した場合奈落に落ちて「棺桶」になり、その棺桶から死体を復活させて味方にすることができる。ターンが進む毎に死体がどんどん乾燥して(乾燥する程、復活の成功率は下がる)、最後には粉々に砕け散る。砕け散るまでのターンはそのユニットのスタミナと同じ。ある意味持ち駒に近い。
      • ただし「キング」と「クイーン」は持ち駒にならない。
  • 相手の陣地に踏み込む*4とそのユニットは「出世」して名前と容姿が変わりスタミナの最大値が+5、トランプの目が+1されてスタミナとマジックが全快し、マジックが使えるユニットは使えるマジックが1段階強化される*5。キングとクイーンは出世せずスタミナとマジックが1度だけ全快する。
  • 一定数相手を倒すと、相手側の盤面が1段階押し出される。逆も同様。
    • 「棺桶」による復活の失敗でも自軍の死亡数にカウントされるが、「棺桶」化ではカウントされない。
    • 押し出されたときに空きスペースがないと、そのまま押しつぶされる。キングが潰されればそこで試合終了。
  • マップによっては宝箱が置いてあり、そのマスに入ることで色々な効果がある。
    • ダジャレが書かれた紙が入っているだけ(スカ)の事もあれば、タロットの審判(ジャッジメント)が出てユニットの魂(キングとクイーンは除く)が見つかり仲間が増えたり、タロットの力(ストレングス)が出て4つの選択肢の中から1つ選んでいい効果をもたらしてくれたり、タロットの悪魔(デビル)が出て4つの選択肢の中から1つ選んで敵味方問わずに影響を及ぼしたりする。
      • 中でもデビルに引き起こしてもらう地震は敵味方問わずいくつかのユニットを棺桶にしてしまう強力なものでこれ1発で局面が大きく変わってしまう事も。

評価点

  • 比較的バランスの取れたユニット設定とそれによる戦略性
    • ほとんどのユニットは攻撃とトランプが反比例の関係になっている。以下に例を挙げる。
      • トランプの目は小さく守備も最低だがスタミナと攻撃力は高い「ピンボケきょじん(かいりききょじん)」
      • 攻撃力は低いがトランプの目は大きく手数を稼げ、回復魔法も使える「おセンチイーグル(ワンパクコンドル)」
      • 攻撃力・トランプの目が共に高いが、スタミナも防御も低い「ルンペンぐも(ブルジョアぐも)」という別の意味でバランスがとれたユニットもいる。
    • 「ねっけつドラゴン」や「きどりやデーモン」といった強ユニットもいるが、どれかのステータスが下になるため『上位互換』のユニットは(ストーリーでの敵のキングを除いて)存在しない。
    • これらのユニットを駆使することで様々な戦略が広がっていく。
      • 逃げながらマジックを撃ったり、トランプの目以外は最弱クラスだがマジックがほとんど効かない「ほらふきジョー」を壁にして相手のマジックを防いだり、守備の高い敵のキングをマジックだけで倒したりとさまざま。
      • 極端な話、自分のキングを囮にして(相手に攻めさせて)相手のキングをピンポイントで狙うこともできる。
  • キャッチーでコミカルなイラスト
    • ほんわかとしたユニットが多く、時折「タロットカード」を題材にしたイラストも出てくる。
      • タロットカードの例としてはゲーム終了時、勝利した時は「皇帝」、敗北した時は「塔」など。
    • コミカルなのはイラストだけに留まらず、バトル開始時のやりとりや駄ジャレといったユーモアもある。
  • 丁寧なチュートリアル
    • メインメニューにユニットの性能やマジックの効果を説明してくれるモードがあり、1つ1つ丁寧に解説されている。
    • 魔法に関しては説明だけでなくちゃんと実演してくれる。
  • 分かりやすいパスワード
    • パスワードは野菜の名前になっていて、短くてわかりやすく適当に入れただけで終盤の面に行けてしまったりもする。
    • 中には「ごぼー」や「とんもろこし」など少しひねったものもある。
  • 自由度の高いエディットモード
    • ユニットの配置変更などによってハンデを付けたりはもちろんフィールドを広くまたは狭くしたり、最初から全ユニットが出世するようにしたり、お互いのユニットをキングだけにして一騎打ちをしたり、ユニットを増やしたり相手が1人でも死んだらキングが潰されるなどストーリーモード以上の理不尽な配置にしてCPU又は無抵抗の2P相手に憂さ晴らし、とやりたい放題できる。

賛否両論点

  • イラストや台詞回しの中には癖が強い物も多く、人によっては嫌悪感を覚える物も。
  • ストーリーモードを何面かクリアするごとに楽しいデモが流れるのだが長い上に飛ばせない。

問題点

  • 戦闘がトランプで決まるため、目押しができないと難易度が非常に高くなる。
  • ストーリーモードの理不尽な難易度
    • ストーリーモードでは各城のキング*6を倒しながら進むが、序盤はこちらが有利な初期配置もあるのだが中盤から不利になっていき、終盤では理不尽な配置で始まる。
      • こちらの方が弱いユニットばかりだったり、マジックを使えるユニットがほとんどいなかったり、相手に大量のドラゴンが居たりなど。
      • 中にはこちらのキングが隔離されており直接接触されることはないもののこちらのユニットが2体倒されただけでキングが押しつぶされて負けになってしまうという面もある。
      • 目押し前提の難易度調整であり、目押しがほぼ確実にできないとクリアは困難。

総評

バランスの取れたユニットや戦略性、そしてコミカルなイラストやエディットモードがある等、ハマればハマるほど奥の深い魅力がある。その反面、癖の強い理不尽な難易度があり人を選んでしまった。

長所もあれば短所もある、まさにスルメゲーにふさわしい作品である。


余談

  • オークラ出版発行のムック『懐かしのファミコン ムリゲー大全』にこのゲームの批評が掲載されている。ちなみに、評価は難易度最高ランクの裏ボス級。
    • 裏ワザで、プレイヤー名を入力せずに決定すると「ざけんなよ」と強制入力されるが、「お前の方こそザケンナヨ」とコメントされていた。
  • 欧州圏でのみゲームボーイ版も発売されている。
    • NESにも『CastleQuest』という同名タイトルがあるが、そちらは『キャッスルエクセレント』のローカライズ作品である。
  • 本作と同時期に発売された「さよなら人類」が大ヒットしたことで一躍有名になったロックバンド「たま」のメンバー石川浩司が本作をおすすめソフトとして挙げている。
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  • トムキャットシステム

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最終更新:2023年07月20日 00:02

*1 3日経過すると朝が来た時に謎のキャラが出る。

*2 攻撃をしかけた側は+1のボーナスが相殺される形になる。

*3 すちゃらかボウズを出世させてインテリそうりょにすると使えるシゼスカというマジックで、何とラスボス以外の敵キングにも必ずではないが効いてしまう。

*4 1Pは六芒星のマス、2Pは六芒星が2つ書かれたマス。

*5 たとえばいかすマジシャンなら魔法使いレベル3のバイラック、デスカルム、ネスパルを使え、出世してドッキリまどうしになると魔法使いレベル4のガンティバイラ、アルフデスカルム、エリネスパ、コーデイルが使えるようになるといった具合。

*6 それぞれ姿も能力も違う。