熱血硬派くにおくん すぺしゃる

【ねっけつこうはくにおくん すぺしゃる】

ジャンル アクション
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 アークシステムワークス
開発元 エイビット新潟
発売日 2011年12月15日
定価 4,200円(税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
ポイント 熱血硬派くにおくんを現代風にリメイク
様々なシリーズの要素を継承
シリーズのファンならニヤリと出来る
くにおくんシリーズ


概要

『くにおくんシリーズ』25周年記念作品。アーケード版『熱血硬派くにおくん』をベースに『ダウンタウン熱血物語』などの要素を加えてリメイクしたメインの「ストーリーモード」、
アーケード風の操作感と演出を再現した「アーケードモード」、シリーズの様々なキャラで対戦する「バトルロイヤル」
決められた条件でミッションをこなしていく「ミッションモード」、歴代シリーズの資料を閲覧できる「ギャラリーモード」、すれちがい通信カードバトルの「タイマンバトル」で構成されている
リメイクにあたって「みすず」以外のキャラはダウンタウンシリーズ調の2.5頭身で描かれるようになった。(「みすず」はFC版の『熱血硬派くにおくん』をベースにしたグラフィックで表現されている。)


基本操作

  • Aボタンでパンチ、Bボタンでキック。AとB同時押しでジャンプ。方向キー2回入力でダッシュが行える
    • 武器の近くでAボタンでアイテムを拾う事ができる。所持しているアイテムはBボタンで投げる。
    • 「腰掛けパンチ」や「襟づかみ投げ」や、「羽交い締めからのジャーマンスープレックス」といった『熱血物語』以外のシリーズのアクションも取り入れられている。
    • 倒れた相手を攻撃することで勢い良く滑り、他の相手にまとめてぶつける事が出来るようになった。
    • 至近距離で敵が攻撃してきたとき、AボタンまたはBボタンを押すとガードすることができる。
      • 必殺技の「まっはぱんち」または「まっはきっく」が使える状態だとガードできない。

ゲームモード

ストーリーモード

  • 熱血高校に転校してきた「くにお」が「ひろし」と出会い、様々なトラブルに巻き込まれる「ひろし」を助けながら「りき」をはじめとする硬派達との戦いを繰り広げていく。
    シリーズの原点である『熱血硬派くにおくん』のストーリーを明確に掘り下げた、全4章仕立てのRPG風のモードである。
  • アーケード版の1ステージを1章とし、ステージの舞台となった場所以外にも熱血高校やその周辺の街における「くにお」の日常も交えて描く。
    • 設定は一度リセットされており、旧作とは相違点も存在するが自然な展開でアーケード版をなぞるストーリーが進行する。
    • 原作のキャラ以外も、サッカーシリーズや『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』などで度々ヒロインを務めた「みさこ」、お馴染みのドッジボール部員「こうじ」なども登場。また、くにおの担任教師「まどか先生」、りきの配下「わたる」、みすずの取り巻き「みゆき」、しんじの腹心「みこと」といった新キャラも多数登場する。
  • システムは「ダウンタウン熱血物語」を継承しており、敵を倒してお金を入手し、商店街での買い物で各パラメーターを上げていく。
    • 敵を倒した時にダルマ型のシンボル(校章等のアイテム)を落とすことがあり、拾って公園にいる「もるどふ*1」に渡す事で換金することが出来る。
    • パラメーターの上昇アイテムも『熱血物語』に準じている他、一定量の敵を倒す事でレベルアップし、全てのパラメーターが上昇するようにもなっている。買い物時には「くにお」が不良らしからぬスマイル全開になる演出も健在(自販機でもニッコリ)。
    • 学校や商店街では通行人に話して情報を得る他、通行人を蹴ってダメージを与える事が可能*2、そして一定の間隔で不良がケンカを売ってくるなど、『初代熱血硬派くにおくん』に近い部分もある。さすがに通行人を殴り倒して経験値にする事は出来ないが…
    • 『熱血硬派くにおくん (FC)』の要素も取り入れられており、ストーリーの中ではFC版の追加要素であるバイクチェイスや電車内の乱闘などもある。
    • 登場人物からメインストーリーに関係ないクエストを頼まれる事があり、こなすことでアイテムをもらえる。
      • ゲームセンター、バッティングセンター、フリースロー、といったミニゲームも存在し、クエストの条件にも使われている。

アーケードモード

  • アーケード版『熱血硬派くにおくん』を本作のシステムで再現したものとなり、このモードのみ、操作系が異なる
  • アーケード版同様に面クリア式のベルトアクションゲームとなっており、「校門の前でひろしがボコられる→待てこの野郎!」の流れで進行していく。
    • 残機制となっており、パラメーターの成長も存在しない。またクリアしたステージのボスの顔アイコンが下に表示されるなど、アーケード版の仕様の再現にこだわっている。
    • 操作は十字キーと2ボタンで行う(カスタマイズ不可)自キャラの向きによって攻撃ボタンの役割が変わり、攻撃ボタン同時押しでジャンプキックを繰り出すのでFC版に近いが
      自キャラの向きを自由に変えられる為、アーケード版やFC版と操作感は異なる。どちらかと言えばアーケード版『ダブルドラゴン2』に近い。
    • 敵を持ち上げることが出来ず、武器も拾えないが、武器持ちの敵を攻撃することで武器を落とさせることが出来る。
    • ボスにも普通に腰掛けが出来たり、ボスの体力が残っている状態でもリングアウトさせる事が出来たり、マッハパンチの仕様が熱血物語以降のものになっている*3等、違いも多い。
      • 全体的にボスが強くなっており、ゲームバランスはアーケード版ともFC版とも大きく異なる。
    • しかし、ファミコン版でカットされたヤクザのドスによる一撃死が再現されている等、アーケード版のスリルが味わえる部分もある。
    • 一定のスコアを超えるとゲームオーバー後にネームエントリーが行える。残念ながらアーケード版で見られた「裏番、総番…」といった番付風ではないが、特定の点数を超えるとギャラリーが解放される。

ミッション

  • 「くにお」を操作し、「時間以内に○○人倒せ!」といったミッションをこなしていく。
    • 「くにお」のパラメーターは固定、かつ必殺技も固定されているので決められた条件でチャレンジする形になる。
    • 最初は不良を倒すだけだが、ミッションによっては「りき×3を倒せ!」といったような難易度の高いものになっていく。
      • ボスを複数回倒すミッションでは倒れたボスが復活して襲ってくるというものでファミコン版のように増殖はしない模様。
      • 中には「「みさこ」や「まどか先生(今作初登場のオリジナルキャラ)」を一定時間守れ」「何故かパワーアップして喧嘩を売ってきた「ひろし」を〆ろ」「巨大化した「みすず」を倒せ」と言った風変りなミッションも。
      • 後述の「バトルロイヤル」のキャラを倒すミッションも存在する。ミッションをクリアする事で、「バトルロイヤル」用のキャラが売りに出されるようになる。
    • ミッションをクリアする事でポイントが貰え、ショップで買う事で後述の「バトルロイヤル」に登場するキャラを解禁する事が出来る。

バトルロイヤル

  • くにおくんシリーズに出てきたキャラをつかって『ダウンタウン熱血行進曲』の「かちぬきかくとう」のようなシステムで殴りあうバトルロイヤルとなっている。
    • メインストーリーのキャラ以外にもダウンタウンシリーズでお馴染みの「ダブルドラゴン兄弟」に「ごうだ」や「ごだい」、『熱血格闘伝説』に登場したダブルタイガー兄弟こと「とらいち」「とらじ」、
      ドッジボール部の「へいるまん*4」サッカー編の「よりつね」等のスポーツ選手等ジャンルを問わずにごった煮となっている。
    • 出典では格闘などしない「へいるまん」でも平然と当時のドット絵から拳や蹴りを繰り出すのでシュールになっている。もちろん必殺技は「わーぷしゅーと」。
    • ダウンロードプレイによる通信対戦が可能となっている。

CARD BATTLE(タイマンバトル)

  • すれちがい通信を利用しカードバトルで対戦を行なうモード。
    • 最初に「タイマンカードの作成」として、自分のキャラクター(バトルロイヤルで解禁しているキャラクター)を設定し、すれちがい時の「啖呵コメント」とカードのデザインを決める。
    • キャラには「パワー」、「テクニック」、「ガード」の三種類の属性があり、「テクニック」は「パワー」に勝つが、「ガード」に負けるといった三すくみがあり、すれちがい時の勝敗に関わる。
    • 啖呵メッセージは自由に決めることは出来ず、「固有名詞」、「接続詞」、「締め」に用意された言葉を組み合わせて作る。
    • こうして出来上がったカードをすれちがい通信に登録し、すれちがった後で「タイマンバトル」を選ぶと「タイマンカード」同士の対決が自動で行われ、勝敗の戦歴とスコアが変化する。

評価点

  • 操作性は良好
    • 以前にシリーズのリメイクでやらかしてしまった時とは異なり、モッサリ感はなく、ファミコンシリーズの操作感に近く、ガシガシと敵を倒していく爽快感は健在
      • 倒れた敵をハメ難くなったものの、倒れた敵を蹴っ飛ばしてぶつけるという新たなアクションもくにおくんらしさがでている。
  • ストーリーモードの描写
    • 熱血格闘伝説』で登場した熱血高校の下足室、『くにおたちの挽歌』で登場した三和会事務所、アーケード版で登場した熱血校門前が3Dで描画されている等、それまでのシリーズの世界観をしっかりと継承している。
    • ストーリーでボスと戦う場面もアーケード版のステージと同様の場所になっている。
    • 「くにお」が入る前の「ドッジボール部」が登場したり、ミニゲームもシリーズとの繋がり(『べーすぼーる物語』や『すとりーとバスケット』)を連想させるような内容になっている。
    • キャラの掘り下げも行われており、それまでのシリーズでは他の濃すぎるボスに囲まれて影が薄かったボスキャラ「しんじ」には「りき」の先輩という設定が加えられ、見せ場も用意されたので存在感のあるキャラになっている。一人だけパッケージに描かれていないが
      • それまでのシリーズでは「しんじ」は雑魚の暴走族のマイナーチェンジのような見た目だったり、三下のような扱いが多かったが、原点のデザインに回帰した上でキャラが掘り下げられた為、見事に他のボスに負けない個性的なキャラに生まれ変わった。
    • 終盤、一高校生に過ぎない「ひろし」がヤクザに刺されなければならない理由も明確に描写されている。
  • 『ダウンタウン熱血物語』同様、倒した敵が台詞と共に消滅すると言う演出もあり、バリエーションも豊か。
    • 「おかーちゃーん!」「お楽しみ頂けましたか?」などの同作からの台詞の他、「バ・バイクがぁーっ!(バイクに乗った暴走族)」「その腕に抱かれたい!(スケ番)」など、本作に登場する敵キャラのタイプを活かした台詞も多数。ドスを持ったヤクザに至ってはまともなものなら「こ・こんなガキにーっ!」などだが、中には「スリル味わえました?」「命は大切に!」と言ったものも。アンタらが言うな!
    • ストーリーモードのみならず、ミッションモード限定のキャラにも台詞が用意されている。ダウンタウンシリーズなどからのゲストキャラや、「ひろし」「みさこ」など本編では一切戦わないキャラにまで個別のやられ台詞がある(しかもミッション毎に違ったりもする)。
  • BGMは『ダウンタウン熱血物語』、『熱血硬派くにおくん(FC)』等からチョイスされ、元の曲のイメージを潰さない正統派なアレンジが施されており、良質。
  • ゲームセンターのポスターに過去作のパッケージ絵が描かれていたりと、シリーズファンがニヤリとできる小ネタもある。

問題点

  • ストーリーモード
    • メインモードである「ストーリーモード」がボリューム不足。アーケード版が僅か4ステージしか無く、それを掘り下げた本作の各章もさほど長くない為、初プレイでも2~3時間で終わってしまうほど短い。
      • 周回プレイも可能だが、敵が強くなったり新しいイベントが増えたりする事はないので繰り返しのプレイにも向かない。精々、クエストや必殺技のコンプリートを目指す程度だが、それも二、三周もすれば十分。
    • 商店街の数も2個と『ダウンタウン熱血物語』の半分しかない上に店の数も少ないので買い物の楽しみが少ない。
    • 雑魚敵も同じ顔のキャラばかりが出てくるので個性が薄い。顔だけではなくキャラも少ないようで倒された雑魚が次の瞬間に復活しているといった事がよく起こる。
      • ミッションモードでは雑魚敵の見た目も名前も、ストーリーモードより遥かに種類が豊富。データとしてはしっかり収録されている事が分かる。何故これがストーリーモードに活かされていないのか。
    • ストーリーモードにはシリーズに登場するお馴染みのキャラが出てきたりするのだが、話に絡む前にストーリーが終わってしまうので単なる顔見せになっている事が多い。
      • 例えば「こうじ」は本当に顔見せだけで終わってしまっている。「みすず」も後述のように扱いが酷い。
      • 「みさこ」はヒロインだけあってそれなりに登場するのだが、初対面時に「くにお」と険悪な雰囲気だったのがいつの間にか仲良くなっていたりと、描写が不足気味。細かい点だが、以前の口癖「びきびき」を言う事も無い*5
    • ボツ要素と思わしき情報をしゃべるキャラも居る。「てっくばーがーが美味しいんだって」という情報はあっても、「てっくばーがー」には入れない*6。学校のどこかにある「謎の科学部」も本当に謎のまま終わってしまう。
    • マップの随所に出現しては思わせぶりに去って行くNPCもいるが、それらについても謎のまま。あるシーンでは本編のキャラと意味ありげなやり取りをしているがやはり語られず終い。
      • このNPCについては公式サイトにも質問が寄せられたが、岸本氏の回答は「営業番長!普段は気が弱く、人にやさしいおじさん。いったん酒が入ると怖いおじさんに変身!今も元気にしているそうですよ!」であった。やはりボツネタなのだろうか。
    • 武器を別のマップに持ち越せなくなっており、「まっはたたき」の価値が急落。
    • パラメーターアップの方法が『ダウンタウン熱血物語』準拠の買い物に加え、敵を倒した事によるレベルアップでも上がる為に非常に上がりやすく、すぐにカンストしてしまうのもゲームの寿命を縮めている。
      • 『時代劇』と同様に「うたれづよさ」がカンストするとあらゆるダメージが1になるので「ドスや銃弾を受けてもダメージ1」という状態になり、緊迫感が削がれる。ドスや銃弾は「うたれづよさ」が高くないと即死級のダメージであり、終盤のドスを持ったヤクザの群れとの戦いはアクションが苦手な人には厳しい為、救済措置とも考えられるが。
      • この辺りは過去作のバランスをそのまま持ってきてしまったが為の弊害とも言える。この反省からか、次回作以降では買い物によるパラメーターアップは高価なもののみ行われるようになった。
  • バトルロイヤル
    • Wi-Fi非対応なのでローカルで対戦相手を探さなくてはならない。また、CPUもそれほど強くないのでシングルプレイの場合、非常に飽きが早いモードになってしまっている。
    • バランスもかなり大味であり、「ごうだ」の「頭突き(キック)」を4発あてただけでKOになる等、完成度が高いとはいえない。
  • ミッション
    • 様々なミッションがあるが「くにお」でしかプレイ出来ない。このモードではステータスと必殺技も共に固定なので
      「バトルロイヤル」の練習の意味も兼ねて「くにお」以外のキャラでも挑戦できるものがあれば楽しみの幅も広がったと思われる。
    • 「バトルロイヤル」キャラ解禁ミッションは総じて難易度が高いが、クリア報酬はあくまで解禁なので、使用したければ改めて膨大な量のポイントを稼がなければならない。
      • このため、「バトルロイヤル」を色々なキャラで楽しむにはかなりの時間がかかる仕様となっている。
  • タイマンバトル
    • 「啖呵コメント」はどうにも使い所に困る妙な言葉ばかりが用意されており、シリーズの名台詞はおろか「なめんなよ このやろう」「ざけんじゃねぇ」といった原作ボスの啖呵すら再現できず、自由度が低い。
      人を不快にさせない配慮と思われるが、そもそも「てめぇ」「ぶっつぶす」「ぶちこわして」「コラアァァ!!」といった言葉が用意されているわけで…。
      明らかに公序良俗に反するようなセリフならばもちろんNGだが、もともとが不良同士のケンカをテーマにしているだけに、このゲームをわざわざプレイしている人にとってはそこまで神経質になる必要のない要素でもあるはず。
    • 「すれちがい」の人口の過疎化や、そもそもやった所で勝敗のポイントが増えるだけで旨味がなくとってつけた感が強い。
  • 致命的なバグ
    • メインメニューから「CARD BATTLE(タイマンバトル)」を選択しタイマンカード作成画面に入った後に、画面下部に表示される「タイマンカードを作成します」をタッチしてしまうと確実にフリーズする。
      こうなると電源を切る以外になくなってしまい、それまでの進行状況をセーブしていなかった場合に泣きを見る羽目になる。
      • この件に関しては、パッケージ内に注意書きの紙が同封されたのだが、公式サイトではこのバグに関して一切告知されていない。
        修正する時間がなかったという事情は察せられるものの、注意書きの紙の同封だけで済まさず公式で告知するくらいはするべきだろう。
  • 細かいバグ
    • 「たいりょく」の最大値が255の状態でレベルアップするとオーバーフローを起こして現体力が0になるといった初歩的なバグが存在する。
    • バイクチェイスシーンの後に異様に体力が低い状態で次のシーンが始まるといった不可解な減少も多い
    • グロッキー状態の敵には様々な攻撃が空振るため、今までのシリーズでは攻撃のチャンスだったがまったくの逆の状態になってしまっている。
      • このグロッキー状態の敵に行える「襟つかみ膝蹴り」も空振ることが多く、一定のタイミングで押さなければ使いづらい。
  • システムの不備
    • 「装備品の装備箇所」等は明記されず、必殺技の出し方がマニュアルに一切書かれていない。従来の技なら予測はつくものの、新技である「きゅうこうかぱんち(2段ジャンプ後にパンチ)」等も同様なので手探りの状態となる。
      • 技の説明は「ギャラリーモード」の「人物」を見ることでキャラの紹介とともに紹介されているが、気づき難い。
    • アイテムリストは使用アイテムと換金アイテムと必殺技アイテムがごっちゃまぜになっており、見づらい。
  • パッケージ
    • ダウンタウンキャラを始め、熱血硬派シリーズ以外のキャラも多数が描かれているが、いずれもおまけモードである「ミッションモード」「バトルロイヤル」での登場である。ストーリーに登場するかも?と期待をかけると肩透かしを食らうハメになる(一応、ミニゲームや背景キャラとして出演しているが…)。
    • パッケージに描かれているキャラでストーリーに登場するのは「くにお」「りき」「みさこ」「みすず」「さぶ」の五人だけ。残りは全員おまけのゲストキャラである。これでは人によってはパッケージ詐欺とも捉えられかねない。
    • 次回作『乱闘協奏曲』でもやはり本編には絡まない他シリーズキャラが描かれているが、本作に比べると控えめになっている。「しんじ」もやっと載れた。

賛否両論点

  • お馴染みのキャラの描写について
    • 「ストーリーモード」では「くにお」がかなりの割合で喋るようになっているが、それまでのシリーズではどちらかと言えば「くにお」は無口系主人公タイプであり、他のキャラクター達が代わりに話を進める事が多かった。また、台詞自体も「クサい」と感じられるものが多く、シリーズファンにとっては違和感に感じられやすい。
      • 尤も、無口系主人公と言うのはダウンタウンシリーズの傾向であり、熱血硬派シリーズやスポーツシリーズでは普通に喋っている作品が多い。かつてはダウンタウンシリーズがくにおくんの主流として定着していた為、余計にその印象が強いのだろう。
      • また、無口キャラになっている作品でも全く喋らなかった訳ではない*7
    • 「ひろし」の性格もそれまでのシリーズとは違うが、これはいつもの事なのであまり問題ではない。
      • ちなみに「ひろし」は本作同様にいじめられっ子だったり(初代)、妙に強気だったり(サッカー編)、くにおの舎弟になっていたり(くにおたちの挽歌)と、登場する度に立場や性格がコロコロ変わっている。
    • また、ストーリーを通して徹底した悪役がいない。設定が変更された「しんじ」はともかく、ラスボスの「さぶ」もラストバトル直前まではひたすら極悪人として描かれた割には、最後は改心した様子を見せ、和解して終わる。
      • 実は全く改心していなかった事が続編で明らかになるが、そのことを伏線として仄めかすような描写もないのでこの時点では分かりようもない。
  • ストーリーモードでの「みすず」の扱い
    • 「歌舞伎町のゲームセンターでプリクラをとっていただけなのに一方的に「くにお」に笑われ逆上して襲い掛かった挙句、謝罪されずにボコられる」という酷い扱いを受けている。その後、ストーリーにも絡まないので浮いてしまっている。
    • そもそも正義のツッパリであるはずのくにおが人を嘲笑った挙句に悪びれもせず殴るなどという描写自体が頂けない。しかも「ひろし」をその場に置き去りにし*8、「いい加減にしな!みすず姐さんに失礼だろ!」と後を追って窘めたスケ番「みゆき」を無視して笑い続けた挙句そのスケ番集団まで笑いながら叩きのめすと言う、「熱血硬派」が聞いて呆れるような態度である。
    • ただ、「くにおを超えるデカ女」「怪物呼ばわりされるとキレる」といった「みすず」のイメージそのものは守られており、そのキャラを強調しようとしたフシが見られる*9。しかし、肝心の表現の仕方がマズく、流れ的にも無理やりな感じは否めないだろう。
    • 批判があったのか、以降の作品ではみすずがこのような扱いを受けることはなくなっていった。『りき伝説』ではチョイ役だが、逃げようとした敵幹部を捕まえてボコボコにするという活躍を見せ、次回作『乱闘協奏曲』では「りき」「しんじ」と共にくにおの相棒となっている。

総評

操作感、及びストーリーは「昔に遊んだくにおくん」をよく再現できており、シリーズのファンがニヤリと出来るポイントが随所に散りばめられているが、2011年のソフトしては明らかにメインモードがボリューム不足であり、評価に響いてしまった。
また、その他モードもモード間の結びつきが弱くてどこか散漫な印象が強く、上述の致命的なバグの存在も含め、「25周年に発売を間に合わせようとして作りこみ足りなかった」という印象が否めないのが惜しいところである。

「くにおくん」の入門編としてや、シリーズファンが短い時間でプレイするには丁度いい作品だったが、安価で致命的なバグも修正されていたダウンロード版の配信が終了した現在では気軽に入手し辛くなったのもまた残念である。


余談

  • これまでは「くにおくん」シリーズと言えばほぼダウンタウンシリーズ一色で、熱血硬派シリーズは扱いが今一つだったが本作を皮切りに焦点が当てられるようになっていった。
    • 元祖親友「ひろし」、元祖宿敵「さぶ」、シリーズ屈指のキワモノ「みすず」、本作で躍進を遂げた「しんじ」、『サッカー編』キャラから本編ヒロインへの大出世を果たした「みさこ」と、古参でありながらあまり目立たなかったキャラ達も本作以降は露出が増え、改めてシリーズの世界観を支えるレギュラーとなっていく。
    • 後に本作の「ストーリーモード」のシステムを使用して『りき伝説』が配信された。本作のいくつかの不満点が解消されている他、本作の前日談としてストーリーにもつながりがある。
      • 更に後に本作および『りき伝説』の直接の続編である『熱血硬派くにおくんSP 乱闘協奏曲』が発売された。熱血硬派シリーズとしては『くにおたちの挽歌』以来久しぶりの完全新作である。
      • 2019年には『挽歌』との関連性を持ちながらも、新たな熱血硬派の世界観を構築し、両シリーズのヒロイン対決にまで至った『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』が発売されている。
    • ゲーム以外でも、『乱闘協奏曲』発売後には本作以降の熱血硬派シリーズの世界観をベースに他のシリーズ作品も包括した実写ドラマ版が放送された。
      • 2018年には舞台版『乱闘演舞編』も上演された。ドラマ版とは異なるが、こちらも本作以降の熱血硬派シリーズがベースとなっている。
  • 公式サイトにて原作者の岸本良久氏による質問コーナー「熱血番長きしもとくん」が掲載され、「りき」、「みすず」といったキャラクター誕生のきっかけや、過去作の設定などにも言及されている(リンク)。
  • 「ギャラリーモード」の「豪田剛(ごうだ つよし)」の紹介で、「フルネームは ごうだ たけし」と誤植している。それじゃ某ガキ大将だろ
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  • 2011年
  • アークシステムワークス
  • くにおくん

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最終更新:2023年11月29日 21:28

*1 熱血高校ドッジボール部に登場した「それん(ろしあ)」のキャプテン

*2 つまり非戦闘キャラでもダメージモーションが用意されている。

*3 アーケード版では襟を掴んで顔面を連続で殴るものだが、本作では素早いパンチの連打になっている

*4 熱血高校ドッジボール部に登場したアイスランドのキャプテン。時代劇等にも登場。

*5 実写ドラマ版では言うシーンがある。また、本作発売の5年後に公開されたシリーズ30周年記念の新作紹介動画に出演した際もしっかり言っている(そもそも動画名が「みさこのビキビキ通信」)。

*6 次回作では入れるようになった上、多くの街に店舗が展開している。

*7 例えば『ダウンタウン熱血物語』でも、プロローグや「まみ」救出時に台詞がある。

*8 哀れにもそのまま「みすず」の襟首掴みビンタの餌食に…。

*9 ケンカ「後」にみすずから謝罪をうけたひろしが「デカいですね」といってキレさせるシーンもある