ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君

【どらごんくえすとえいと そらとうみとだいちとのろわれしひめぎみ】

ジャンル RPG
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トーセ
発売日 2015年8月27日
定価 5,980円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ数 2個+中断
判定 良作
ポイント PS2版から様々な追加要素
グラフィックはさすがに劣化
ドラゴンクエストシリーズ


概要

2004年にPS2で発売された『VIII』を11年ぶりにリメイクした作品。
スマホ版や北米版をベースに様々な追加要素がある。


PS2版からの追加要素

  • 新たな仲間の追加
    • ヤンガスと旧知の仲である「ゲルダ」と、モンスターバトルロードのオーナー「モリー」が加わる。
      • ゲルダはキャプテン・クロウ戦後、モリーはバトルロードでSランクをクリアすると仲間になる。
    • 各々、従来の4人には無い個性的なスキルや特技を覚えるので戦略の幅が広がった。
      • 特にモリーが自分や仲間のテンションを上げる特技を覚える事により、本作のテンションシステムの使い勝手がオリジナル版から大きく変わっている。従来での『盗賊』のように戦闘終了後一定確率でモンスターからアイテムを盗むゲルダも今迄のメンバーには無い特徴である。
      • 武器スキルもゲルダは扇スキル、モリーは爪スキルが使用可能。その武器2種も本作に登場することとなった。
    • 戦闘は4人で残りの2人は馬車で待機となり、それに伴いメンバーそのものの「いれかえ」コマンドが採用されている。ただし主人公は戦闘メンバーから外すことは出来ず、メンバーも4人で固定。
  • イベントは全てフルボイスに対応。
    • ヤンガスとゼシカは『ドラゴンクエストヒーローズ』の立木文彦氏と竹達彩奈氏が、モリーは『バトルロード』の中田譲治氏が引き続き担当している。
      • ストーリーの主要人物以外にモブキャラにも声が付き、本編のみならず戦闘中の一部行動や特技にもボイスが付いている。主人公のみ声はなし。
    • 主人公に対しては、メッセージでは名前が表示されるが、音声では「あなた」などと呼ばれる。
    • これらはオプションでOFFにする事も出来る。
  • 追加シナリオ
    • オリジナル版で明かされる事の無かったドルマゲスの過去(マスター・ライラスの死の真相)、主人公とミーティアの出会い、マルチェロのアフターストーリーや新たなエンディングが追加。
    • これにより、作中では名前でしか出なかった賢者の末裔「マスター・ライラス」の容姿や大まかな人物像が描かれるようになった。
    • PS2版ではある町人からしか聞けなかったトロデーンとサザンビーク間のしきたりについて、隠しED内でクラビウス王からも聞けるようになった。
      • エンディングの根幹となる重要な設定であるにもかかわらず、聞き逃しも充分ありうる形でしか確認出来なかったのが些か問題だった為、妥当な処置である。
    • ラスボス直前のオーブ探しの最中専用の「なかま」コマンドでの会話が追加された。
  • 新ダンジョン「奈落の祭壇」と「追憶の回廊」が追加。
    • 「奈落の祭壇」は終盤の追加イベントを見ると現れるダンジョン。新ボスとしてラプソーンの部下的な立ち位置であるジャハガロスが待ち受け、このダンジョン専用の新規モンスターも作られている。
    • 「追憶の回廊」は大幅に強化されたボスを順番に倒していくやり込み型のダンジョン。
      • ボスの強さは半端なものではなく、終盤のボスになると全員LV99であっても戦略や運が悪ければ普通に全滅しかねない。装備の耐性を吟味することは勿論のこと、道具やスキル等メンバー全員の戦力をフル活用する事が求められる。
      • ヤンガスの打撃スキルで習得できるデビルクラッシュや格闘スキルの大防御、回避率上昇といった本編ではあまり活用されないスキルが非常に重要となる為、死に技や不遇スキル救済の場にもなっている。
      • そしてその最奥部で待ち受けるボスは、ファンサービス要素も相まってシリーズファンを驚かせた。
      • ボスとは何度でも再戦可能で、対応した木の実や種を必ずドロップする為、後述の宝箱も合わさって大幅なドーピングがしやすくなっている。
  • 撮影機能
    • その場の風景をスクリーンショットのように撮影し、保存できるようになった。写真はSDに保存され、本作中では100枚分まで取り扱える。101枚目以降もSDカード内に保存されている。
    • これを利用した「写真クエスト」も導入されている。新キャラクターの「フォート」からクエストを受け、モンスターや町の風景等の様々な写真を取って来る事で報酬が貰える。
    • 撮影した写真をスタンプやフレーム等で加工してすれちがい通信で皆に見て貰う事も可能。
    • クエスト用の新規モンスターも登場(スライムプディングやモリーサタン等)。
      • 撮影対象として、『IX』からサンディも登場。
  • モンスターバトルロード
    • 新たにランクSSが追加。
      • 一方で、モリーが仲間になる関係で、ゼシカがパーティに復帰するまでSランクに挑戦できなくなっている。このためPS2版では(相当な運ゲーになるが)可能だった「ドルマゲス戦前にSランクを制覇し強力な装備を入手する」ことが不可能となっている。
    • 仲間に出来るモンスターの数が増え、新しく仲間に出来るようになったモンスターや、それらのモンスターによる必殺技も追加。
  • カジノのビンゴに「色ビンゴ」が追加された。
    • 各マスに色が付けられており、同じ色が全て開くと成立してコインがもらえる。ちなみに倍率は10倍で固定されている。
    • 色は全部で5色あり、基本は5マスが同じ色だが、センターフリーは除くので1つだけ4マスしかない色がある。
      • ただ、この1つだけ4マスしかない色の設定がおかしいのか、「5マスある色が残り2マスあるのに、リーチになって1マス残っているのにビンゴ成立」「4マスしかない色が全て開いたのにビンゴが成立しなかったりする」などの不具合を引き起こしている。
  • 戦闘関連
    • モーション全般を高速化する高速モードが追加され、オリジナル版での戦闘テンポの悪さがある程度解消されている。
  • その他
    • パッケージデザインはDS/3DSリメイクでは初めて専用のイラストが描かれた。
      • なお、何故かPS2版同様ククールの姿はない。
    • 時間経過で中身が復活する青宝箱と紫宝箱の追加。
      • リアルタイムで1日ごと。前者はフィールドのあちこちにあり、中身がランダムで変わる。後者は追憶の回廊に置いてあり、ランダムで木の実や種が手に入る。
      • 一部貴重な錬金用アイテムもそれに含まれており、レシピの問題がある程度緩和された。
    • 錬金レシピ、道具、武器等の追加。
    • 小さなメダルの報酬の追加。
    • 装備によって見た目が変わるコスチュームの追加。PS2版ではなかったヤンガス、ククールにもいくつか追加されている。
    • インターネット通信によるアイテムの配信。

PS2版からの変更点

  • 前作『VII』と同じく、シンボルエンカウントに変更。
    • これにより、エンカウント率を操作する特技の効果が変更されている。ただし海上はランダムエンカウントのまま。
  • BGMは北米版と同じく東京都交響楽団によるオーケストラ音源となっている。
  • モンスターから手に入る経験値とゴールドが1.5倍に増加。
    • ただし経験値が高めになったのは序盤の敵だけ。
    • 特にPS2版の「おどる宝石」は外見の割には得られるゴールドが少なかった(その時期の敵の中では高い方だが)が大幅に引き上げられ、出現率・出現数の多さ・比較的弱いという都合のよさから序盤の金策として乱獲されるようになった。
  • ボスの強化、特にゲルダ加入以降のボスは攻撃力などのパラメータが上方修正される等全般的に強化されている。
    • ドルマゲスからハッキリと強化が見られる。このボスは元々中盤の山場とも言える強敵であったが、行動が完全ランダムになって更に難易度が上がっている。
    • 顕著な強化が見られるのはレティスとマルチェロ。
      • レティスはメダパニーマを使うようになって低めだったHPも上昇、元々本編の壁となる難関ボスであったのがますます難関になったと言える。
      • マルチェロはザラキを新たに使ってくる様になった他、HPや攻撃力も大幅に上昇し難易度が上がった。物語の重要人物だったが弱いボスだったので、この大幅強化は妥当。
      • また、どちらもベホイミを使わないようになり、攻撃の隙が少なくなっている。
  • 中でも、一時とはいえ「シリーズ史上最弱」とまで言われたラスボスについては別格な強化を受けている。
    • ステータスのみならず特技の威力増加、行動パターンの抜本的な変化、無駄行動をしなくなった、時折行動パターンを無視してくる等、あらゆる面でかなり強化されている。目に見えて攻撃的かつ読み辛い行動を連発してくる為、オリジナル版の感覚で挑むと全滅しかねない。この戦闘では馬車によるメンバーの入れ替えも出来ないのも難易度上昇を後押ししている。
  • 錬金釜の強化。
    • スマホ版と同様、材料を投入後すぐに完成するようになった。
      • これにより竜神王の褒美から「錬金釜の強化」がなくなり、「もっとすごい修業場(追憶の回廊)を出してもらう」に変更されている。
    • レシピが分からなくても材料を入れるとどれを入れれば良いかが分かるようになったので、予想してあれこれ入れて試す必要が無くなった。
    • さらに、99個まで一気に作る事が可能。
    • 行く先々で手に入れる錬金レシピ本の内容が若干変化。
      • PS2版では必要なアイテムが抽象的にぼかされていたが、具体的なアイテム名が出るようになった。
  • 戦闘面に関する調整
    • 「ぼうぎょ」や「一閃突き」「まじん斬り」(進化後も含む)などでテンションが消費されないようになった。
    • メラゾーマ、ベギラゴン、イオナズン、マヒャド、バギクロス、ギガデインといった最上位の攻撃呪文はすべて元々のダメージと賢さによる威力上昇の上限の両方が高く調整された。
    • 特技に関する調整点
      • 驚異的な性能だった「双竜打ち」を始め強すぎた技が弱体化。「オノむそう」「なぎ払い」のようにMPを消費するようになったものもある。逆に「ライトニングデス」等上方修正がかかったものも。
      • 性能に変更はないが、宗教的事情に配慮したのかククールの「グランドクロス」が北米版での名称・モーション変更に合わせ「天国への階段」に変更されている。が、マルチェロの使うグランドクロスは変更なし*1
      • 北米版で主人公に追加された特技「ドラゴンソウル」も追加。習得レベルが北米版がレベル65だったのに対しレベル70と遅くなっている他、ダメージも若干低下している。
    • 特技のダメージ限界値が9999から12800に上昇した。
    • スキルに関する点
      • 主人公とククールは序盤で貰えるスキルポイントが増えた。
      • 後のシリーズと同様にスキルポイントを振らずに貯めておく事もできるようになった。
    • レベルアップするとHP・MPが全回復するようになった。
    • 主人公にも作戦を指示して操作をAIに任せる事が出来るようになった。
    • 「けんじゃの石」の回復量が60前後と半減しており、使い勝手が悪くなった。
    • ヤンガスのちからの成長率が上がり、レベル99になっても主人公に抜かれなくなった。
      • 補足しておくと、PS2版ではヤンガスは最もレベルアップが早いので能力値が抑えめになっており、普通にプレイしている限りは他のキャラと比べて遜色ない。よってヤンガスのレベルが99になった時は主人公よりも高いが、成長が止まるので主人公もレベル99まで育てた場合ちからが抜かれてしまうのである。
  • アイテムに関する調整点
    • PS2版ではマルチェロから「世界地図」を貰うまでフィールドマップを見ることが出来なかったが、3DS版ではゲーム開始時から見れるようになった*2
    • 一部の落ちているアイテムの変更。
      • ダンジョンの地図は最初から持っているようになり、オリジナル版で地図の入っていた宝箱はゴールドに変更。
    • ほとんどのアイテムや武具の売価が変化した。
      • PS2版では「上やくそう」を筆頭に錬金で作成することで売値が原価を上回り、いくらでも金稼ぎが出来るアイテムが多く存在していたが、3DS版では売却を続けることでそれらの売値が赤字、もしくは原価と比べてプラスマイナスゼロになるよう調整され、ほとんどのアイテムで恒久的な金稼ぎが出来なくなった。はずだったのだが……(後述)
    • リブルアーチのヒミツの店で、スキルのたねが継続して購入出来るようになった。
      • ただし現実時間で1日に一度のみ、2度目以降は値段がどんどん跳ね上がり、最終的には10万ゴールドという凄まじい値段になる。それに伴い、購入するごとに店主の服装が豪華になってゆく。
      • 10万ゴールドで購入した後、店主は写真クエストの対象にもなる。
    • 神秘の樹の下に落ちているせかいじゅの葉が容易に入手出来るようになった。
      • PS2版では目の前で戦闘になったり画面を切り替える等すると消えてしまっていたが、消えなくなった。これによりせかいじゅの葉を用いた錬金が楽に。
  • その他
    • 容量の削減の為か、茂みや木等一部のオブジェクトが削除。町の中などで流れる環境音もなくなった。
    • レーティング対策としてかモブキャラも含め肌の露出が減った。露骨過ぎたゼシカの胸揺れも抑えられている。
    • モンスターバトルロードで全滅しても、こちらの全滅回数にカウントされなくなった。
  • 重要人物・マルチェロ絡みでは多くの変更がなされている。
+ ネタバレ注意
  • PS2版ではドニの領主(ククールの父親)が館に仕えていたメイドに手を出した結果生まれた妾腹の子という設定だが、3DS版ではドニの領主がかつて付き合っていた平民の恋人との間に生まれた子供で、貴族の娘(ククールの母親)との縁談が決まり母子共々捨てられた、という設定に変更されている。
    • 3DS版が発売された2015年頃にはさほど珍しくなくなった「シングルマザーの子供」に対しての配慮だろうか。「貴族の妾腹の子」も「貴族と平民の間の私生児」も左程意味合い的には変わりはないのだが。
    • さらに追い討ちのように、結婚した貴族の娘との間に子供が生まれなかったため養子として迎えられかけるが、ククールが生まれた事で養子縁組も反故にされたという、ドニの領主の人でなしぶりを強調するエピソードも追加されている。
  • 物語後半、ラプソーンが封印された杖を手にした際、茨に腕を支配されかかった際にはPS2版では自分の腕にナイフを突きさすのだが、自殺・自殺未遂を連想させるためか、3DS版では光の呪文で浄化するという描写になっている。
  • その後の法皇就任演説でも、「不貞の子として生まれ家を追われた身分卑しき者~」(PS2版)が「平民の母を持つ身分卑しき者~」(3DS版)に変更されている。
    家柄と血筋が物を言う世界、という事の強調とも見て取れるが。

評価点

  • 様々な追加点によるボリュームアップ。
    • ボスの強化やクリア後の追加要素により、オリジナル版をプレイした人も楽しめる。
    • クリア後も追憶の回廊によって、大量追加された最強のボスたちと戦えるようになり、ドーピングのしやすさで限界まで鍛えることが可能になったなど長くやりこめる。
  • 中断システムの改良
    • 今迄の携帯機作品よりも中断できる場所が格段に増え、気軽にプレイを中断できるようになった。中断データはロードしても消えない為、吟味やボス戦の再戦にも効果を発揮する。
  • 序~中盤の資金不足がある程度改善された。
    • 上記の青宝箱から一定数のゴールドが得られるようになった他、モンスターの所持金が上がる、錬金釜の改善で一時的とはいえ金稼ぎもスピーディに行えるようになった等ゴールドを得る機会が多くなり、PS2版ほど資金不足に悩まされることは少なくなった。
    • もっとも3DS版では錬金を使うことで一気にゴールドをボロ儲け出来るテクニックが存在するのだが…(詳細は後述)。
  • 従来のシンボルエンカウントに調整が入り、あまりストレスを感じない仕様になった。
    • 敵シンボルの追尾の速度や追尾精度が程よく低下し気づかれても逃げ切りやすくなった他、此方から逃げるシンボルでも視野の外にならない限り消滅しなくなったので、メタル系スライム等と戦闘しやすくなった。敵シンボルの出現場所なども見直されている。
    • モンスターから少し離れて画面外になると消え、別のシンボルが現れるようになった。「せんれき」画面を開くことでも同様。
      • この仕様を利用して戦いたい敵を吟味する事も可能に。特にメタル系スライムを意図的に選別出来るようになったのは大きい。
    • アイテムに魔物を観察したりする為の「魔物の香水」が追加。これを使うと魔物に気付かれなくなり、触れても戦闘に入らないので快適に進める。低レベル攻略のお供としても有用。
      • 魔物の香水は青宝箱から高確率で入手出来る。
    • 同じシンボルエンカウント方式の3DS版『VII』で削除された「しのびあし(本作では「しのびばしり」)」は、魔物に気付かれる距離を短くするという効果に変更された。
    • モリーの特技「モリーもりもり」を使うと、メタル系含む全てのシンボルがこちらに向かってくるようになる。メタル狩りの際には非常に有効。
    • 撮影機能の使用中は、敵シンボルが完全に動かなくなりながらカメラアングルを自由に動かせる。これを利用すれば、しのびばしりやモリーもりもりを使わずとも簡単に敵の厳選・戦闘・逃走ができる。
  • PS2版で多くの指摘がされていた、戦闘時のテンポの悪さが大きく改善されている。
    • 高速モードが追加されたことに加え、呪文や特技のモーションが高速化・簡略化され、演出にかかる時間が短くなっている。それでいながら派手さもあまり損なわれていない。
      • 特に、イオナズンの演出はかなり短くなっている。強力な全体攻撃呪文であり使う頻度も多めなのでありがたい。
  • 錬金レシピの改善。
    • 貴重なアイテムが手に入り易くなっていたり、手に入る数が増えているのでレシピのコンプリートもしやすくなった。
      • 特に問題になっていた「こおりのやいば」は確実に2つ手に入る様になっている他、モンスターのドロップアイテムとしても手に入るようになっている。
    • これにより各カテゴリの最強装備が両立しやすくなっている。スルーされがちだったブーメランとハンマーは、錬金素材となる別カテゴリの武器が2つ入手出来るようになった為価値が向上した。
    • 一部の錬金レシピが簡略化されている。
  • 写真撮影機能はアイテム報酬によるゲーム的なメリットだけではなく、加工などの自由度がとても高くて純粋に面白いと評判である。
  • ゲルダとモリーの追加
    • 惜しい点はあるが、現在でも賛否の分かれる『IV』のピサロや発売前から波紋を呼んだ『V』のデボラと比べるとこの2人の追加に関しては発売前から好評だった。
    • ピサロのようにストーリー的な違和感を持ったまま仲間になる訳でも、デボラのように設定・性格共にトゲが強い訳でもない。本作の場合両者とも自然な流れで仲間になる上、性格も個性的ではあっても余計な粗やトゲはほとんど無く仲間会話などを彩ってくれる。
  • これまでのDS・3DSリメイクのパッケージは、各キャラの一枚絵を並べただけだったが、今回はパッケージ専用のイラストが描き下ろされた。
    なお、完全な新規イラストにもかかわらず、何故かPS2版同様ククールの姿がない。

賛否両論点

一部キャラクターの設定や描写が改変されている

  • マルチェロの生い立ちやチェルスがハワードに虐げられている場面など(倫理的問題からレーティング対策によるものと思われる)。
  • PS2版では中性的な外見で性別が明かされなかったイシュマウリに新たにボイスが設定された。声優は杉田智和氏で明らかに男性の声で演じている為、彼の性別も男性と確定した……と思いきやククールが「アイツは男なのか女なのか訊くの忘れたな」とPS2版と同様にコメントするなど微妙に齟齬が発生している。
    • 追加ストーリーが多い中、彼についての追加エピソードは無し。CV発表では終盤まで登場するマルチェロとチャゴスと共に発表された為、PS2版プレイヤーの多くからは、元々彼が説明不足の塊だったこともあって他のキャラと同様何らかの追加エピソードを期待されていたのだが、結局説明されることはなかった。

賛否ある追加エンディング

+ ネタバレ注意
  • ゼシカとの追加イベントをこなしているとエンディング時に選択肢が現れ、選択に応じてゼシカと2人旅に出るエンド、真エンディング時はゼシカと結婚するエンドがある。
    • この一連のイベントはミーティア姫よりもゼシカの人気が高く、特に同人界隈において主人公とのカップリングを推す傾向が強いことを踏まえた上でのファンサービスと思われる。そうしたファンを中心にこのイベントを喜ぶプレイヤーもいたが、一方で下記のような問題から、このイベントを否定的に見るプレイヤーも少なくない。
    • まず、そもそもミーティアよりゼシカの方が人気が高かったのは、PS2版において「ミーティアとのイベントが必須ではない上に見るのに手間がかかるため、多くのプレイヤーがイベントをスルーしてしまい魅力を感じにくい」と言う事も大きな原因であった。にもかかわらず、そうした問題点をほとんど是正せず*3、ゼシカの方に追加イベントを用意する事について、「そうじゃない」「本来のヒロインが蔑ろではないか」と言う声が少なからず上がった。
      • 逆にゼシカの方に関しても、道中に追加イベントが用意されているとはいえ恋愛感情を見せる事は基本的になく、結婚エンドを選ぶと初めて「前から好きだった」「あなたのことばかり考えていた」と言い出す。「ミーティアを思って胸に秘めていた」と言い訳はされているものの、あまりに唐突。また、結婚を肯定的に見ているプレイヤーからしても、惹かれ合っていく過程をほとんど見る事ができない。
      • これに関しては「恋愛感情を見せた上で通常のミーティアエンドに進むと、ゼシカが振られた事になってしまう」と言う配慮もあると思われる。だが結局ミーティアの方は、ゼシカエンドを選べば振られるので……。
    • 次に、結婚エンディングの運びがかなり強引であること。チャゴスとミーティアを別れさせるようにクラビウス王に求めるシーンで、突然「ミーティアではなく他の人が好き」と言い出す。当然クラビウス王やトロデ王に激怒される相当に無礼な行為*4であり、「エンディング中に分岐選択肢を作りたかった」と言う事情もあるのだろうが、もう少し何かなかったのかと言わざるを得ない。
      • その後、なんとか両王が話し合いをまとめ、ミーティアがゼシカの意思確認を行い、ゼシカとの結婚式を行う事になるが、この際ミーティアが着るはずだったウェディングドレスをゼシカが着て、さらにミーティアが式場へゼシカを連れ出す。ミーティアが主人公に好意を抱いていたのは周知の事実であるため、負けヒロインに対して鞭を打っているようにしか見えないと言うプレイヤーも少なくない。一応、ごく一部には「恋路を認めて応援する優しさを見せたので、株が上がった」と擁護する向きもあるにはあるが……。
      • 結婚イベントの内容はかなり力が入っているのだが、その結果、PS2版から変化のないミーティアの結婚式が比較して地味になっている。本来のヒロインであるはずなのに。
      • 細かい点では、ウェディングドレスを着た際にゼシカが「ちょっと窮屈」*5と述べるシーンについても評判が悪い。確かにゼシカはスタイルの良さがウリのキャラであり、他人の服はキツかったのかもしれないが、他人からウェディングドレスを譲り受けておいてその物言いは無いだろうし、ゼシカはそのような失礼なキャラではない。空気を読まずにおいろけネタを入れたスタッフの悪ノリと取られる事が多い。
    • 何より、ゼシカファンの全てが結婚イベントを望んでいた訳ではなく、「ゼシカは好きだが、それは別に恋愛的な意味ではない」と言うプレイヤーも多かった。ゼシカファンも含むPS2版のファンの中には、ゼシカに恋愛感情を抱かれる事自体に違和感を覚えるファンもいる。
      • そもそも本作は「呪われし姫君」とサブタイトルに冠している通り、ミーティアを救うために主人公が長い旅をして、そして最後には呪いを解いて結ばれる、と言う物語である。「呪いを解いたら責任を果たしたので姫君を捨てて他の女に」と言うのは、物語として非常に収まりが悪い。
    • こうした多くの問題があるものの、もちろん「それでもゼシカと結婚出来て嬉しい」と言うファンもいる。また、不満があるプレイヤーは追加イベントを発生させなければほぼPS2版同様に進み、ゼシカとの恋愛が描かれる事はない。幸いと言って良いのかどうかは分からないが、この追加イベントはかなり分かりにくく、攻略情報無しに発生する可能性は少ない。
      • イベントの途中で強力なアイテムが手に入るが、他のアイテムで十分に代替できる範囲。また、最後まで進めなければ分岐は発生しないので、アイテムだけ貰ってイベントをストップしても良い。

スキルとその習得特技の強さ

キャラ性能にも大きな格差があり、キャラバランスの調整が不十分である。

  • 1つ目はゲルダの強さ。
    • ゲルダの短剣スキルを最大まで上げたときに覚える「キラージャグリング」が壊れ性能。
      • 敵全体にランダムで0.4倍の攻撃を6~8回行うもの。敵1体だと最高3.2倍、最低でも2.4倍のダメージを与えられる。はぐれメタルの剣を装備すればメタル系に2×6~8の大ダメージを与えられ、メタル狩りまで出来る。この特技と同じく武器効果や耐性に影響されず、この特技を上回る倍率を持つのは、バイキルト状態のゼシカのライトニングデスとモリーのデュアルカッターしかない。修正前の双竜打ちに匹敵する性能を持つ。複数回数攻撃をする特技な為ダメージ限界値にも引っかからず最大で20000以上という、シリーズの常軌を逸した量のダメージを与えられる。
      • 仕様の関係上バイキルトの恩恵が少なかったり、攻撃が分散するので大勢で出てきやすいメタル系には魔神斬りや隼の剣メタル斬りに劣る場合があったり、全体攻撃なら他のスキルの特技の方が強力だったりと、一見欠点にも思える部分もあるが、これらの要素は別に弱点というほどでもなく、単に使い所の問題である。敵の数が3~4体以下の時に絞って使えば良いだけの話である。
      • 仲間加入のレベル33の時点で100ポイント以上貯まっていて、あとレベルを5上げれば習得できてしまう。ただし、短剣スキルで習得できる特技はこれ以外は微妙なため、いきなり短剣スキルを極めると他スキルの育成の余地が無くなり、逆に使いにくくなってしまう。他のスキルにも有用性はあるが、揃えるにしても育成に時間がかかるため、ゲルダが真価を発揮するのは終盤~クリア後となる。
    • 加えてベホマの呪文やザオリク相当の特技、ピオリムや追憶の回廊の最終ボスに有効なラリホーの呪文…と、終盤以降に欲しい呪文や特技をピンポイントで習得するのもあって、性能は他のキャラに大きく勝る*6。今作では裏ダンジョン攻略に、最大レベル近くまで鍛えてから挑む場合もあるため、鍛えれば鍛えるほどゲルダの強さが際立つことに。
    • キャラ自体の性能も全キャラトップクラスのすばやさを持ち、隠しボス達相手でも安定して先制攻撃が可能で、最速でも追憶の回廊攻略中での入手になるが彼女専用装備の1つが装備中にHP+100、すばやさ+200という尋常でない補正がかかるのもあって、クリア後はほぼ必然的にスタメン候補となりうる。
    • またアウトロースキル27Pで習得できる「ゴールド投げ」も、所持金から最大2500ゴールドを消費して敵単体に消費額の1/5のダメージを与えるというものだが、このダメージは相手の守備力を無視して与えられる上、属性が軍隊属性となっているため耐性持ちの敵が少ないという優秀なスキル。あの強化されたレティスですら12500ゴールド用意できれば5ターンで倒してしまえるほどで、金策面も激辛チーズ錬金を使えば容易に調達できるので気にならない。
    • ゲルダはストーリー中で「戦うのは得意じゃない」と発言し、実際に敵にアッサリとやられてしまう描写もあるのだが、それでいてここまでの強さはさすがに矛盾が大き過ぎる。
      • 発売直前のスタッフインタビューでは、ゲルダとモリーは加入が遅い分強くしたと語っている。ならばストーリーでの描写も変更すべきだったのでは…
      • そのモリーは特技の「モリーエール」で仲間のテンションを1~2段階上げられるので、アタッカーのサポート役として使われることが多いようだ。
  • 2つ目はゼシカの強さ。PS2版の時点でかなりのぶっ壊れキャラだったゼシカはリメイクで弱体化されるかと思いきや別のところが強化されたため、結局のところ男性陣を差し置いて強い。
    • ゼシカのムチスキルは双竜打ちの弱体化により中盤まではあまり有効ではなくなった。グリンガムのムチを入手以降は高い威力を発揮できる。
      • 弱体化後も相変わらず、少なくとも他の男キャラの特技よりは遥かに優秀な性能であり、力のパラメータの低さを差し引いても、主人公の五月雨突きに匹敵するダメージを叩き出せる(主人公、ゼシカ共にバイキルト状態で比べた場合)。
    • 短剣は「ライトニングデス」の威力が通常攻撃の1.3倍から1.8倍に引き上げられた。単発技なのでバイキルトの効果を余すことなく発揮し倍率は3.6倍にもなり、バイキルト状態の双竜打ちを遥かに超え、バイキルト状態のキラージャグリングと同等になる。こちらは一撃ダメージ限界値に引っかかるが、ダメージ限界値でも倒せないのは追憶の回廊の最終ボスのみ。吹雪の剣を装備させれば、追加効果でさらに引き離す。
      • ゲルダと同様、最初から短剣スキルを極めると他スキルの育成の余地が無くなってしまうが、それを差し引いてもぶっ壊れた威力であり、もちろん男性陣の物理攻撃よりも遥かに高い威力を出せる。
  • 3つ目はヤンガスの弱さ。PS2版の時点で「ヤンガスは中盤以降パッとしない」と言われてしまっていたが、本作では「パーティキャラ6人中ヤンガスだけが弱い」とよく言われるようになってしまい、立場の改善ができていないどころか、格差がさらに広がってしまっている。
    • 一応移植にあたって彼専用の強力な盾やコスチュームが追加される、ちからの成長率が上がった…など方々でテコ入れはされているのだが、ベホマズンによる回復力に加え専用装備や特技による高い耐性&火力を誇る主人公、低くないHP・大防御・優れた各種装備・格闘スキルの身かわし率上昇によってメンバー中実質最も打たれ強くて回復と補助のスペシャリストのククール、高倍率特技と完全蘇生に加えて優秀な補助呪文やマダンテを使えるゼシカ、高倍率の特技+完全回復と蘇生が可能なゲルダ、高倍率特技+完全蘇生+自分含むメンバーのテンション1~2段階上昇ができるモリーと、得意分野が非常に優秀な他の面子に比べると攻撃・回復・補助のどれをとってもパっとしない。
    • 打撃スキルの最終特技デビルクラッシュは、悪魔系へのダメージは2倍のままだが物質系に1.75倍のダメージを与えられるよう強化され、追憶の回廊で実質的に最強と言われるボスに対しても強力な攻撃手段となったのだが、彼の素早さが低い為ほぼ後攻になってしまう事、補助や回復の手段に非常に乏しい事から、それらも兼ねたゼシカやゲルダを押し退けてでも起用する程かと言えば疑問符が付く。
      • それでも本作以前ならパーティーメンバーが4人固定だったので必然的に活躍の余地があったのだが、本作になって「戦闘メンバーから外す」という選択肢が生まれてしまった事で、「ゲルダかモリーが仲間になったら馬車送り」、追憶の回廊に至っては「出来て精々メガザル係が関の山」と酷評されている。
  • 追憶の回廊について
    • 3DS版で追加された上記にある通り非常に難易度が高いのだが、その調整が極端になっている。
    • 前半のボスこそ強いものの、永遠の巨竜を倒せるレベルであれば容易に勝て、戦略や装備次第ではレベル40台でも十分勝利出来うる相手ばかりなのだが、5戦目の「追憶のアルゴン」以降から大雑把な調整となり、露骨に難易度が上がる。
      • 例を出すと「追憶のアルゴン」は完全3回行動と高い攻撃力から繰り出される痛恨が厄介な敵だが、何よりもこいつが使用する「おたけび」という特技が問題。通常の同技よりも命中率が上がっており、通常のものと違いマジックバリアで軽減出来ず、全体に1回休みを高確率で与えてくるため、全く攻撃や回復が出来なくなり、敵は「痛恨の一撃」で戦力を確実に削ってくる。ならどう戦うのかというと、なんと「猛毒」が通用するため、ゼシカの「ポイズンソード」で猛毒にして、それ以降はずっと防御or回復で相手が毒殺されるのを待つという何とも言えない攻略法となっている*7。その後に戦う「追憶のレオパルド」も似たような戦い方で弱点も同じ、要するに「猛毒」で倒せてしまう。逆にこの戦法以外では回避率やすばやさを上げるなどをしても理不尽な行動不能技と痛恨の連打で確実性の無い運ゲーになってしまっている。この通常とは違う「おたけび」を使用する敵を境に推奨難易度が跳ね上がる*8
      • 後半に戦う「追憶のゼシカ」は本編に無かった「ゆうわく」という特技を使用する。その効果はゼシカとゲルダ以外の全キャラクター(メタル系のスカウトモンスターも含む)を完全耐性無視で100%混乱させるという、パーティ編成という概念を根底から覆すもの。6人中4人の男性はまともに戦えず、残ったゼシカのゲルダの二人だけで戦うことを強制させられる。「ゆうわく」以外はどうかというと、強力な雑魚を呼んだり攻撃呪文で攻めてくるのだが呪文の威力が非常にショボいため、回復に追われ反撃できなくなるなどということは基本的にない。とはいえ、倒しても無限に呼ばれてくる雑魚の「痛恨の一撃」などによってゼシカとゲルダが倒されてしまい詰んでしまうということも十分にあり得、総合的な撃破難易度は高い*9
      • ラストに戦うボスは非常に高いHPとこちらのHPの最大値以上のダメージを与えてくる専用特技*10を持つ超強敵なのだが、「眠り」が高確率で効いてしまい、このせいでほとんど攻撃を受けず勝ててしまう。シリーズお馴染みのボスで弱点の「眠り」もお馴染みではあるのだが、いくら何でも極端すぎる弱点の敵が多すぎる。ある種の救済処置とも取れるが、手前のボスが鬼のように強く運ゲー要素を多分に孕んでいるため、むしろそちらに救済が欲しいという意見も少なくない。
    • このようにステータスや攻撃力が極端にインフレしており、その対抗手段は恐らくは意図的に調整された状態異常が攻略の鍵ということなのだろうが、意図された弱点が致命的過ぎるのとそれ以外の攻略が運ゲー過ぎるのも相まって攻略の幅を狭めてしまっている。逆にこのような意図した弱点の無い敵はかなりの運ゲーか、そんな弱点を突く必要が無いほど弱いボスのどちらかであり、バランス調整の取り方が雑になっている。
    • よくレベル99でも苦戦するダンジョンという紹介をされているが、実際このような敵は弱点の無い運ゲーを強要されるボスだけであり、「猛毒」や「眠り」が通用してしまう敵は高レベルである必要は無い。これといった弱点が無く「おたけび」などで運ゲーにしてくる敵をゴリ押しで倒すために高レベルが必要なだけである*11
    • また、敵もこちらと同じく攻撃呪文を使用するのだが、これがエンドコンテンツのボスとは思えない程貧弱な威力となっており、結局敵味方問わず、攻撃呪文の不遇さを露呈するものとなっている。ただし、最後に戦うボスだけは特別仕様となっており、威力が非常に高い。ちなみに最後のボス手前のドルマゲス第二形態の強化版は、特別仕様の「おたけび」や「灼熱の炎」などを使用し、決定的な弱点もないため最後のボスよりも強いと言われているのだが、攻撃呪文は通常のままなので、ダメージの落差が顕著になっている。設定的に彼は呪文を使えないことにコンプレックスを抱いており、折角使えるようなってもこの仕打ちである。何故もう少し段階的に威力を上げる調整をしなかったのか。
    • この極端すぎるバランスは、こちらの仲間キャラクターが次回作の『IX』や『XI』などと比較して対抗手段に乏しいのが理由として挙げられる*12。その対応策として追加の仲間キャラクターを万能キャラとして調整したのだろうが、それが上記の仲間キャラクターの格差を広げてしまっている状況となっている。せめて、追加キャラクターだけでなく既存の四名も様々な調整をされていればもう少しマイルドな調整が出来たかもしれない*13

その他

  • 上記にもあるが、序盤の経験値上昇やレベルアップするとHP・MPが全回復するようになった。
    • これにより「ヌルゲーと化した」という声もあるが、ボスはしっかり強化されているので判断はプレイヤーに委ねられる。
  • BGMの音質
    • 前述の通り、BGMは交響組曲版による演奏音源の流用となっているが、録音の質が悪い*14という指摘も多い盤であったため、ゲーム音源として流用されたことへの不満の声も少なからず聞かれる。
      • 流用に当たり加工によって残響はだいぶ抑えられているため、聞き比べてみると意外と違いが大きい。

問題点

  • グラフィック
    • PS2版から大きく劣化しており、特にフィールドの自然描写はどう見てもショボい。
    • 携帯機である以上仕方ないのだが、「見渡す限りの世界がある」をテーマにした作品だけに、グラフィックがショボくなってしまっているのは看過し難い点である。
  • ロード時間
    • フェードアウトしてから戦闘に入り、操作可能になるまで約5秒掛かる。町の出入りにも数秒のロードが起こるようになってしまった。
    • New3DSでは短くなっており、快適に遊ぶならこちらを推奨。
    • 高速モードなら1.5倍のスピードで戦闘できる。本当に一瞬で決着する戦闘でなければ、圧倒的に本作の方が早い。
  • 実質上立体視に非対応
    • 公式サイト等に「一部対応」とは書かれているが、実際に対応しているのは装備画面と戦歴画面のみ。処理の都合上仕方ないかもしれないが、3Dで描かれたフィールドを立体視で楽しむ事ができないのは残念な点である。
  • 新たな仲間のゲルダとモリーは加入するのが後半。追加枠なのもあってストーリーとの絡みがあまりなくて寂しい。
    • 本編でのイベントを経て必ず仲間になるゲルダはまだしも、モリーとのやりとりはほぼ完全にサブイベントの範疇で、仲間にしなくてもストーリー進行できるため、本編のイベントではほとんど絡まない。加入条件である「バトルロードランクS突破」もハードルが高い。
    • 更にモリーは『少年ヤンガス』で培ったヤンガスとゲルダとの既知設定がほとんど活かされていない。唯一それらしき部分は「なかま」コマンドで「ミスター(ヤンガス)やマドモアゼル(ゲルダ)も…やめておこう」という台詞があるのみ。
      • あくまで外伝作だからという見方も出来るが、DS版『VI』ではテリーに『テリーのワンダーランド』を彷彿とさせるセリフが用意されていた。
  • モンスター・バトルロードのランクSSが運ゲー。
    • 1戦目からSランク以上のステータスと痛恨の一撃を放つチームが立ちはだかり、ヘタなチームではジリ貧でやられてしまう。2戦目に至っては2体もの痛恨の一撃持ちにラリホーマでの絶妙なサポートが脅威。この時点で痛恨の一撃や補助呪文を喰らわない事を祈る運ゲーなのだが…
    • 3戦目のチームは1体は痛恨の一撃、もう1体は強烈な攻撃呪文やザラキでこちらを苦しめ、最後のウドラーがせかいじゅの葉で倒したモンスターを蘇生させてしまう。しかもこちらのAIの仕様を突いたのか、最初のうちはこちらのモンスターがウドラーにあまり攻撃してくれず、他のモンスターを倒した傍から復活させられるという状況に。チーム名の「そんなの絶対ムリーズ」の名に相応しい鬼畜ぶりである。
    • 全体攻撃でまとめて倒そうとしてもAI行動な上、味方モンスターの使える全体攻撃では火力が低すぎるため倒す前にこちらがやられてしまう。そもそも全体攻撃主体では3戦目に辿り着くことすら難しい。
    • 様々な新スカウトモンスターが追加されたものの、結局最強クラスのモンスターはPS2版と大差無い為、味方サイドの戦力はさほど変わらない。にもかかわらずPS2版以上の難易度のランクを設け、痛恨や補助呪文といった実力ではどうしようもない要素に頼った難易度設定にしてしまっているのが、運ゲー化の要因だろう。
  • 一概に問題点とは言いにくいが、錬金を利用して金を無限に稼げるテクニックの存在。
    • 具体的には、激辛チーズを錬金して売ると素材料が130Gに対し600Gで売れる。一度に99個錬金すれば46530Gの儲け。15分もあれば999個錬金して40万ゴールド儲ける事もできるシリーズでも最高の金策に。素材に関してもサザンビークのバザーが始まれば手軽に集められる。
    • いくら売っても売値が下がる事はないため、乱用するとヌルゲーまっしぐら。ご利用は計画的に。
      • 前述のように他の錬金で利益の出たアイテムは全て修正されているのに、これだけは残っているのは単なる見落としか、それとも意図的に残したのかは不明である。
    • PS2版でも錬金による金稼ぎは可能だったが、錬金待ち時間がある上に一度に1個しか錬金できなかったのでさほど問題にはならなかった。
  • 操作性に関しての問題。
    • オリジナル同様にカーソル記憶できない。
    • 飛行の操作性はまったく改善されていない。
      • マップも下画面に表示されるが、マップの表示と飛行中の座標がかなり異なり、表示どおりに着地しても思ったとおりの場所に着地できない為、見づらい上画面で着地点を定める必要がある。
    • カーソルの操作は十字キーにしか対応していない。
    • 複数開いたメニュー画面の一斉閉じが出来なくなった。
  • 細かな演出の削除
    • PS2版では一部のボス敵に「大ダメージを与えると大きくのけ反るモーションを取る」という細かな演出があったのだが移植版では実装されていない。
  • 各種バグ・不具合に対する修正などが現在に至るまでされていない。
    • 身の守りが999になったキャラに賢さの種が使用できない、ボスがモンスター図鑑に載らなくてゴスペルリングの入手が不可能になる、ルーラをするとゲームが強制終了した、仲間会話をしたら強制終了した、といったバグ・不具合が報告されている。
    • ただしPS2版でバランスブレイカーかつ進行不可能になる可能性があった「船落ちバグ」は修正されている。

総評

ハードのスペック差故に、グラフィックや演出等PS2版から劣化した点がいくつかあり、「世界を味わう」という点においてオリジナル版に劣ってしまうのは否めない。

しかし、本作の魅力はそれを補って余りある、システム面をメインにした多数の追加要素や調整であろう。
仲間の追加による戦略の増加、追加イベントによるシナリオの補完、大量の追加ボス、調整不足気味だった様々なシステムの補完は間違いなくゲームとしての質を高め、本作を名実共に完成形にいたらしめたと言えよう。

一部の追加要素に賛否があったり、ゲームバランス面でいくつか問題が残っているが、全体として見れば良質な移植作品である事は間違いないだろう。新規プレイヤーは勿論、PS2版を遊び尽くしたプレイヤーも再び手に取る価値は十二分にある。


余談

  • この『VIII』の移植版が出た事により、『XI』までのナンバリングタイトル全てが3DSで遊べるようになった。
    • 1~3と10が3DS DLソフト、4~6と9がDS互換機能、7~8と11が3DSソフトとして動作する。
  • 日本版はPS2海外版の要素が取り入れられた完全版といったところだが、海外版ではPS2版にあったいくつかの要素が削除、UIなどのの見た目が日本版基準になるなど人によっては劣化と感じる移植となっている。

+ タグ編集
  • タグ:
  • ドラゴンクエストシリーズ
  • ニンテンドー3DS
  • スクウェア・エニックス

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月26日 13:43

*1 なお、もともと「グランドクロス」とは占星術の用語でありキリスト教の十字架とは無関係である。一方北米版での「天国への階段」にあたる「Pearly Gates」は聖書に登場する完全なキリスト教用語であり、むしろ変更後のほうが宗教問題に発展しそうな名称となっている。

*2 ちなみにPS2版で世界地図を貰う場面ではマルチェロは何も渡さなくなったため、ただのイヤミなキャラという印象が強まったが…。

*3 一応、幼少時における主人公との出会いのシーンが追加されてはいる。

*4 正規ルートではそもそも「ミーティアが好きだからチャゴスとの結婚を取りやめて欲しい」と話を持っていくのであり、「ミーティアの事は別に好きではないがチャゴスとは結婚しないで欲しい」と言うのは失礼極まりない。

*5 どこがキツいとは言わないが、これまでの劇中でのゼシカの言動を考えれば胸について指しているのは明らかとなっている。

*6 補助役としてはゼシカやククールに、範囲回復ではククールや主人公には劣るが

*7 猛毒のダメージは毎ターン最大HPの1/8、ダメージの上限はあるものの影響はほぼ無い。その後のシリーズでは猛毒は全く効かないか、上限値が低く猛毒だけで倒しきれるケースが皆無となっている。前作のⅦでは猛毒で倒せるボスも一応は存在する。

*8 なお、とある条件で入手可能なククール専用防具「バトラースーツ」には作中で唯一1回休み半減の耐性を持つため、確実性に欠けるが「おたけび」の対処方法は存在している。

*9 他にも猛毒はおろか「即死」が通用するボスもいるが、こちらは元のボスが雑魚モンスターと大差ないため納得がいく。

*10 ただし各種防御やテンション&一部限定アクセサリーによるダメージ軽減の影響は受ける為必ずしも一撃必殺になる訳ではない。

*11 かなり極端な例ではあるが、最後の敵は弱点さえ突けばレベル50台でも勝つことが可能、そこまで行かずとも60~70あれば容易に倒せてしまう。逆にその手前の敵は恐ろしく試行回数が必要となる運ゲーになってしまう。

*12 自由な職業と特技や呪文で戦える『IX』、個性的かつ頼りになる仲間ばかりの『XI』、両方のシリーズに備わっている合体技のシステムもあり、『VIII』に比べて戦い方の幅が広い。

*13 一応追加装備やステータスの調整はされているが、大きな調整はされていない。

*14 「残響が強すぎて音が遠く聞こえる」という点が批判されている。