TWIN

【ついん】

ジャンル ロールプレイング
対応機種 ゲームボーイ
発売元 アテナ
発売日 1992年1月31日
定価 3,900円(税別)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント ゴーレム仕事しろ
敵の強さがデタラメ
BGMと戦闘時のグラフィックは良質


概要

  • アテナ開発のゲームボーイ用のRPG。
    • 主人公は戦士、魔法使いの職業のうちどちらかを選んで進めていく。
    • タイトルの『TWIN』の由来は「対となる職業の存在」「敵味方最大で2対2の戦闘が出来る」事から来ていると思われる。

ストーリー

光の世界をも支配しようとしたデスタークも精霊の力により敗れ去りその野望を果たせぬまま宝玉の聖なる力により地下深くに封印された。精霊の力により光と闇のバランスは保たれた。しかし時の流れと共に精霊とデスタークの存在も伝説と化し人々の心から消え失せようとしていた。

時は流れて…

概要・システム

  • 拠点と洞窟を行き来し経験を積み重ね、復活してしまったデスタークを再び封印するのが本作の目的。
  • プレイヤーは最初に主人公の名前を入力し、職業(戦士or魔法使い)を決める。
    • 戦士は攻撃・防御が高いが呪文が使用できない。
    • 魔法使いは呪文が使用できるが攻撃・防御は戦士に劣る。
    • また、戦士と魔法使いで装備できる武具が異なる。
  • プレイヤーの操作は建造物内と洞窟を除いてサイドビュー方式。
    • 建造物内では見下ろし視点となる。
    • 洞窟内ではAボタンでジャンプする事が可能。このジャンプで崖を越えたり出来る。
    • 洞窟の中には塔があり、基本的に塔の中にしかアイテムの入った宝箱は存在しない。
  • 魔法使いのみ、拠点で呪文を購入する事が可能。呪文を使用する際には種類に応じてMPを消費する。
  • 戦闘はコマンド方式。敵は最大2体まで同時出現する。
    • 敵を倒してもその場で得られるのは経験値のみであり、ゴールド(お金)はその場で手に入らない。
    • 倒した敵は「えもの」としてカウントされ、この数値が1以上の時に王に話しかけると倒した敵に応じてゴールドを入手出来る。
  • 洞窟内のある場所では「ゴーレム」を販売するところがある。
    • このゴーレムは戦闘時一緒に戦ってくれるが操作はオートとなる。ただしHP、MPの最大値は固定。また、ゴーレムはHPが0になると土くれ(再購入は可)となってしまう。
  • 主人公のHPが0になると全滅となり、えもの0、所持金半額で王の所に強制送還される。
    • 再開はパスワード制。王に話しかけるか、或いはある道具を使用する事でパスワードが聞ける。

評価点

  • BGMはそこそこ良質。
    • 戦闘時の緊迫した曲や塔内部の物悲しい曲調は雰囲気にマッチしている。
    • ただプログラム処理がまずいのか、道中のステータス表示や戦闘中などウインドウが表示される場面では一定時間ごとにBGMがスロー再生のように鳴ってしまう。
  • 戦闘時のモンスターのグラフィックも当時のゲームボーイ作品としては頑張っている方。結構リアルに描かれており躍動感がある。
  • 敵からしか入手できないレアアイテムの存在といった、規模は小さいながらもやり込み要素はある。
    • 中には入手すると攻略がグッと楽になるような見返りが大きいものも。
  • 職業の違いによる難易度の差異。
    • この差は再序盤の雑魚戦から表れる。全体的には戦士が有利な場面が多いが、後述する「りゅうきし」は魔法使いであれば多少はすごく楽に戦える。
  • 洞窟の奥に進むと闇の世界に突入し、移動時のBGMが変化する等地味ながらも芸が細かい部分もある。

問題点

  • セレクトボタンでコマンドを開くのだが、「セレクトボタンを連続で押すと新たなコマンドが出現する」というわかりにくい方式。これに気付かないとアイテムを装備することもできず、序盤から大苦戦する。
  • 一定距離を移動すると敵とエンカウントする方式だが、ジャンプや落下の途中でもエンカウントする。
    • 遠くの足場に飛び移る途中でエンカウントした場合、それを覚えておかないと、戦闘が終わったあとで自然落下することになってしまう。場合によってはそのまま落下し続け、回復もしないまま次の戦闘に突入してしまう。
  • ゴーレムのAIがお馬鹿。
    • 特定のゴーレムは呪文が使えるが、MPが枯渇しても唱えようとする事がある。この場合そのターンでは何もしない無駄行動扱いとなる。
      • 呪文を使い切ってMPが足りないにもかかわらず呪文を連発しようとする様には苛立ちを覚える。
      • 幸い一番強い「ホーリーゴーレム」はMPが0で呪文を使用しない為このような事が起こらないのが救い。
  • 「えもの」のカウント表示数が255までしか行かない。
    • 実際はこれ以上もカウントし続けているので損をすることはないが、現在値が途中からわからなくなるのは困る。
  • 闇の世界に突入すると敵の強さが極端なインフレを起こす。
    • 順当に進めるとこちらのHPが400にも満たない時点で200近いダメージをバカスカ叩き出す雑魚敵が出てくる。
    • 闇の世界で戦う事になるボス敵「りゅうきし」は異様な防御力*1を誇り、戦士だとまともにダメージを与えられない。魔法アイテムを大量に持ち込むか、クリア目前までシナリオを進めてレベルを上げてから戻って来ないと、まず勝てない。
    • 本作の魔法は属性の概念があり、こちらが敵に対して攻撃魔法を使った場合属性毎に半減されたり効かなかったりするのだが、こちらにそんな耐性を付ける手段は全くなく、しかも必中。こんな敵贔屓な仕様の為、敵が使用する攻撃魔法「ガスプ*2」は脅威となる。
    • 中盤でこの有様なので、終盤はこのインフレがさらに加速する。
      • 頻繁に255ダメージ(カンスト値)を出す雑魚敵が当たり前のように出現してくる。多めにレベルを上げておけば主人公ならば2発くらいは耐えられるようになるが、一度の戦闘で毎回最大HPの半分以上を持って行かれるのではたまったものではない。
      • 因みに上述した一番強いゴーレムのHPは300強。2発喰らっただけで購入費がパーになる。
  • ラスボスは事前にそれまでのボスを全て倒してフラグを立てておかないと無敵なのだが、普通に戦えてしまう。
    • 前述の竜騎士のような強さのおかしいボスもいるので、フラグを立てないままラスボスと戦うのはよくあることである。
    • 無敵であることを示すメッセージなどもないため、フラグ忘れに気付かないと、倒せないことに気付かず延々とレベル上げをしてしまう可能性もある。
  • 主人公が倒されると通常は王様のもとに戻されるが、ラスボスに限っては倒されるとラスボスの前に居る状態でバグる。一応脱出アイテムや雑魚敵に倒されることで脱出は可能。
  • 洞窟内の塔について。
    • 中に入っても何もないダミーの塔がいくつか存在する。宝箱すらなく本当にもぬけの殻なのである。そのくせ敵だけはしっかり出現するので無駄に時間と戦力を削がれるだけでストレスが溜まりやすい。
  • パスワードが長い上に入力に時間がかかる。
    • パスワードは文字選択式ではなくドラムロール方式であり、パスワードの入力だけで5分以上かかる事がざらにある。
    • 文字選択式に出来ない理由があったのであれば、せめてバッテリーバックアップ方式にして欲しかったものである。
    • パスワードで再開するとなぜか装備が全て外された状態で始まるため、装備するのを忘れたまま戦闘に突入してしまう可能性がある。
    • こういったことからVCやswitch—onlineのような公式エミュレータ方式の配信があれば相性がいいはずなのだが、残念ながら現在のところ配信は一切されていない。

総評

内容はオーソドックスであるが戦闘のバランスが非常に悪い上にプレイヤーのモチベーションを削ぐような要素が多く、お世辞にも佳作とは言えない作品である。
ただ、BGMと戦闘時のグラフィックの質は良質であるので、鑑賞目的でプレーするならば悪くはないだろう。

余談

  • 前述した通りパスワードがどこでも聞けるようになるアイテムがあるが、そのアイテムの名前が「いとでんわ」である。糸電話って…。
  • 本作のBGMの一部は同社が過去に発売したファミコン用ソフト『ソードマスター』からの流用である。
  • 没アイテムで「ばいあんのはり」というものが存在する。
    • 戦士のみが装備可能な武器であり、デバッグ用で使われていたものなのかべらぼうに高い攻撃数値を誇る。
    • 元ネタは池波正太郎の小説『仕掛人・藤枝梅安』だろうか。

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最終更新:2023年10月08日 20:23

*1 他の敵は多くても20後半が良い所であるが「りゅうきし」の防御力は101。他のボス敵の防御力は1桁であり、おそらく竜騎士だけ設定ミス。

*2 敵全体に200ダメージを与える窒息魔法