このページでは、FC版『デジタル・デビル物語 女神転生』および、携帯アプリ移植版『デジタルデビル物語 女神転生』を紹介する。



デジタル・デビル物語 女神転生

【でじたる・でびる・すとーりー めがみてんせい】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売元 ナムコ
開発元 アトラス
発売日 1987年9月11日
定価 4,900円(税抜)
プレイ人数 1人
備考 パスワードコンティニュー(34種×最大40文字)
判定 なし
ポイント 禁断の悪魔合体でカルト的な人気に
ゲームバランスに難あり
女神転生シリーズ

概要

西谷史の小説『デジタル・デビル・ストーリー』シリーズを原作とする、メディアミックスの一環として開発されたRPG。 当時任天堂と交流のあった西谷史が、日本らしい伝奇的な要素のあるファンタジーを基にしたゲームとかあったら面白いという話を任天堂の人としていたら、 それならいっそあなたが原作小説を書いたらどうかと提案されたのが小説執筆の発端になっている。

原作第1巻「女神転生」の名を冠してはいるが、時系列的には3巻「転生の終焉」のパラレルかつオリジナルストーリーとなっている。

なお、同名のPCゲームがほぼ同時期に発売されているが、そちらはアトラスと日本テレネットの共同開発で、内容も見下ろし型のアクションゲームという別物である。


ストーリー

十聖高校に通う天才プログラマー中島朱実。彼はコンピューター理論と降魔術のあいだに接点を見い出し、
コンピューターを使って悪魔を召喚、使役する「悪魔召喚プログラム」を作りあげることに成功した。
だがその実験により悪魔が実体化し、人間を襲い始めてしまったのだ。

ついに中島自身にも危機が迫った時、それを救ったのは転校生の白鷺弓子であった。
実は彼女こそ日本神話に登場するイザナミ神の転生した姿だったのだ。
そしてさらに驚くべきことに、中島もイザナギ神の転生であるという。
自分の持つ力に目覚めた中島は、弓子と協力して、激しい死闘の末に悪魔を打ち破った。

平和は戻ったかのようにみえた。だが……

その頃魔界では、新しくルシファーが大魔王として君臨した。 彼は人間界の制圧を企み、飛鳥の地に魔宮を建造し始めていたのだ。
奸智にたけたルシファーは、やがて自分たちの脅威になるであろうイザナミを玄室とともに魔宮に封じ込め、
さらには中島たちに倒されたロキやセトを復活させるなど、着々と魔の手を広げていった。

一方、霊視によってそれを知った中島と弓子。人類、そしてイザナミを救うため、彼らは急いで飛鳥へ向った。
そしてそこで2人が見たものは、邪悪にそびえたつ大魔宮“デビルポリス”であった。
新たなる闘いの幕が今、切っておとされようとしているのだ!


特徴

基本システム

  • ウィザードリィ』に代表される、主観視点の3DダンジョンRPG。
    人間2人+最大3体の仲魔(後述)でパーティーを組み、広大なダンジョンを踏破しつつ、最後に待ち構える魔王ルシファーを撃破するのが目的となる。
  • パーティーメンバーの内、人間である中島朱実(ナカジマ)と白鷺弓子(ユミコ)は固定で外せない。この2人が両方死亡してしまった場合、仲魔が生き残っていても即ゲームオーバーになってしまう。
    • ナカジマはいわゆる勇者タイプであり強力な武具を装備可能で、きちんと装備を整えれば攻撃・防御共に仲魔と同等かそれ以上の強さを発揮する。また、悪魔召喚プログラムがインストールされたPCを持ち歩いており、それを使って悪魔と交渉したり、仲魔の召喚や退避を行える。
      • ちなみに魔法を使えないため飾りパラメータに見られがちなナカジマの知力は、悪魔との交渉成功率などに関わる係数となっており疎かには出来ない。
    • ユミコは肉体的な強さはナカジマに大きく劣るが、代わりに多くの魔法が使用できる魔法使いタイプとなっている。
    • 能力はこの頃の日本FCソフトでは珍しかったパラメータ自由割り振り式。プレイ前に一定数を自由に割り振る事で、初期状態のキャラに個性を付ける様になっている。
      • レベルアップする毎にパラメータの割り当て数が一つ貰え、それも自由に割り振れる。
  • データの記録はパスワード制。バッテリーバックアップは搭載されていない。

探索

  • フィールド画面が存在せず、全てのエリアが3Dダンジョンで構成されている。店や回復の泉などの施設もダンジョン内に点在している。中でも「ミコンの街」と「天空の街ビエン(敵ボスを撃破した後)」はそれらの施設が集中しており、敵とのエンカウントも発生しない。
  • 大魔宮は6つのエリアに分かれ、それぞれにエリアを支配するボスである魔王が存在する。
  • 時代が時代だけにオートマッピングは存在していない。ただし、「マッパー」の魔法を使うことで、周囲縦5マス横3マスの地図を表示できる。
  • 月齢の表示が画面左上に表示されており、一定歩数毎に新月から満月まで全9段階で変化する。月齢は敵の強さや敵との交渉の成功率、一部のイベントにも影響する。

戦闘

  • オート戦闘システムを搭載。コマンドで「AUTO」を選ぶと敵味方どちらかが全滅するまで全員が通常攻撃を繰り返す。Bボタンを押し続けることでキャンセル可能。
    • オート中戦闘メッセージは「ナカジマたちは たたかっている」としか表示されないため、どれだけダメージを受けたかはHPの減り具合からしか判断できない。
    • 戦闘から逃走した時「ナカジマたちは」の後に「・・・」と一つづつ打たれ、「逃げ延びた」or「こけた」と間を置いて表示される。以降のシリーズも「・・・」とじらす事で「逃走の緊張感」に一役かっている。
  • ゲームオーバーになってもタイトル画面で「コンティニュー」を選ぶことで復活が可能。ただし所持金は半分、宝玉は0になる。
  • なお後作とは違い、敵悪魔は一回の戦闘に一種類しか出ないが2体以上居る場合は交渉(後述)がうまくいかないので残り1体まで減らしてから交渉する必要がある。

「悪魔」と「仲魔」

  • モンスターの大半が世界各地の伝承に登場する妖精や魔物、神々達であり、能力系統やアライメントによって「幻獣」「妖精」「鬼神」といった種族に小分類されている。また、全てのモンスターをひっくるめた共通の呼称として「悪魔」とも呼んでいる。
  • ランダムエンカウントではアライメントのうち「neutral(中立)」と「evil(悪)」の悪魔が出現するのだが、このうちneutral属性の悪魔はナカジマが会話交渉することで味方に加えることができる。ナカジマ達の仲間に加わった悪魔を「仲魔」と呼ぶ。
    • 仲魔はCOMP内に7体までストック可能で、うち3体までを召喚可能、最大5人パーティーとなる。
    • 同じ悪魔は2体以上仲魔にできない。既に仲魔になっている悪魔に話しかけると「仲間をよろしく」系の挨拶を交わし戦闘する事なく立ち去っていく。不要な戦闘による無駄な消耗を避けるのに使える。
    • 仲魔はCOMPから呼び出す際に手数料としてお金(魔ッ貨)を取られる。更に現界中は1歩毎に「生体マグネタイト(MAG)」というリソースを消費する。消費するMAGは召喚した仲魔の強さに比例して大きくなる。MAGが0になっても現界は可能だが、その場合代わりにHPが減っていってしまう。

悪魔合体

  • 仲魔は戦闘に参加させるだけでなく、より上位の悪魔を召喚するための素材としても利用できる。その際に必要な儀式が「悪魔合体」である。
  • 悪魔合体は「邪教の館」と呼ばれる施設でのみ可能で、2体の仲魔を合体させて新たな仲魔を生み出すことができる。
    • アライメントの「good(善)」に属する種族はこの悪魔合体によってしか出現せず(ごく一部に例外あり)、オーディンやクリシュナなど世界の神話の中でも有名かつ強力な存在がずらりと並ぶ錚々たる面子である。
    • 新たな仲魔が出現した際に言うセリフ「わたしは (種族名)(悪魔名) こんごとも よろしく…」は、シリーズを代表する名台詞となっている。

評価点

メガテンの「お約束」の確立

  • 神々を扱うシナリオ
  • 原作の小説からしてそうなのだが、世界中の神話から神々や魔物が一堂に会し、そして彼らと「会話」することで味方に引き入れ、さらに「合体」させることで新たな悪魔を生み出す…というのは、良く言えば「背徳的な魅力あふれる」行為、悪く言えば「神様を素材・道具扱いするというバチ当たりにも程がある」行為と言える。
    • キリスト教を始めとする一神教の影響が強く、かつ神をみだりに扱う行為がタブーとされる海外では絶対に生まれ出なかった発想であり、当時も各雑誌から「イケナイコトをしている感覚」と、中毒ぶりを紹介されていた。
    • 合体によってしか出現しない悪魔も数多いため、いったいどんな悪魔が作れるのかという楽しみも大きい。
    • 「仲魔」という言葉は「仲間」とかけた語呂合わせであるとともに、「魔と仲を保つ」といった意味を持つ名フレーズである。これは後のメガテンシリーズを支える基礎概念となった。
    • なお、仲魔の一体「ケルベロス」は、原作小説で活躍していた事もあり、仲魔にし易い(レベルは低い)がキャラ能力は高めと特別扱いとなっている。後のメガテンシリーズでも、皆勤賞かつ重要な役割を演じる事が多い悪魔として名を馳せる事となる。
    • 一方で神話や魔物というものを知ることもできて、それぞれのバックフォーンを調べると二度美味しい。また、技や弱点なども神話の逸話から取られていることが多く、神話を知っていると攻略がし易くなるというのも本作の魅力の一つである。
  • 「主人公は物理攻撃と悪魔交渉・仲魔の召喚担当、ヒロインは魔法担当」という構造は後のシリーズの定番となっている。

BGM

  • 増子司によるBGMはいずれもクオリティが高い。当時RPGの音楽はクラシック音楽を基調としたドラゴンクエストの音楽性を踏襲したものが多かった中、メガテンでは戦闘シーンのBGMがロック調であり衝撃的な印象を与えた。
    • ゲームミュージックのCDは初代と女神転生IIのカップリングで発売されており、非常に評価が高い。なお、CDのレコーディングの際、ファミコン8台を使用してステレオ化する等、手の込んだ作成方法で作られている。
    • 後述の余談にもあるが、『バイオ戦士DAN』と同時期に製作されたためか両作のメロディラインには類似点が多い。

演出面

  • 全滅してゲームオーバーになると、次に倒すべき魔王が姿を現して、こちらを挑発する一言を投げかけてくる。継続プレイの意欲を掻き立ててくれる演出である。
    • ラスボスであるルシファーの場合は、暗闇に目と左手のみが浮かび上がる、
  • 上記ゲームオーバーの口上も含め、ボス戦闘前のセリフ等非常に貫禄があり、キャラが立っている。ボス悪魔の戦闘前の口上は後のシリーズでも存在感を放っている。
    • またほとんどのボスは、イベントアイテム(自動使用)で一部の凶悪な能力を封じることができる。とはいえ封じた上でなお強く、歯ごたえのあるボス戦が楽しめる。
  • 悪魔のデザインは洗練されているとは言い難いが、十分味の有るグラフィックであり、2パターンだけだがアニメーションもする。
    • また、原作小説に登場するキャラのドット絵は気合が入っており、特にステータス画面に表示される中島・弓子のポートレートは北爪宏幸氏の絵を忠実に再現した美男美女である。
  • 世界観的にはダークファンタジーで終始一貫して暗い雰囲気なのだが、時折コミカルなメッセージ・演出が入ることもあり、一服の清涼剤として機能している。
  • 石に変えられた天空の街ビエンを救うイベントは、RPGでは当たり前のイベントである「人助けをする」イベントではあるが、原作では「ありとあらゆる災いの元凶であり人間界を混沌へ変えた悪魔召喚プログラム」が、本作では初めて人々を助けた記念すべき瞬間となるという、原作小説へのアンチテーゼ的な展開となっている。

賛否両論点

  • 最強武器「ヒノカグツチの剣」の入手難易度
    • ヒノカグツチの剣は原作小説にも登場する剣で、本作を筆頭にメガテンシリーズでは常連かつ最強クラスの武器として登場している。この武器がなくともクリアは可能であるが、その代わりというべきか、本作のヒノカグツチの剣の入手難易度はシリーズ中でも飛び抜けて高い。
      • ヒノカグツチの剣の安置されている場所に辿り着くには、隠された入り口を見つけ出し、落とし穴やワープだらけのエリアを正確に踏破しなければならない。マッパーで表示されるミニマップには罠が一切表示されないうえに、一歩でも間違えれば即最初からやり直しとなってしまう。
      • また強敵と罠の山を潜り抜けてヒノカグツチの剣の元に辿り着いても、中島の特定のステータスの合計値が一定以上に達していないと剣を引き抜くことができない。
      • ペルセウスの剣を装備していると、ヒノカグツチが刺さっていない。どういうことなのか...
  • 主人公より大幅にレベルの高い悪魔と交渉ができるのはこの作品のみ。下記の「悪魔のレベルが表示されない」という欠点もあり、プレイ中は気づき難いかもしれない。
    • ダイダロスの塔→ビエンの順を一旦置いといて所謂「ラケーさんスカウト」等をする事でボス戦を楽にしたりと攻略の幅が広がっているが、悪い見方をすると低レベルで強力なダンジョンに簡単に行けてしまうという事でもある。

問題点

とにかく広い大魔宮

  • 最初のエリアこそ8×8マスの塔と比較的単純だが、エリアが進むたびに構造は加速度的に巨大化・複雑化していき、フロアが斜めや思いもよらない形でつながっていたり、エリア全体がダメージゾーン*1だったりと、3Dダンジョンに慣れていない人にはかなり厳しい難易度である。
    • 説明書には「8マス×8マスで構成されているので方眼紙等にマッピングしましょう」的な事を書いてあるが、最初の塔をクリアした途端に8×24の長通路が開かれ、その後のエリアは最大「32×24」まで拡大していく。
    • ただでさえ広いのに回復の泉は2ヶ所の街のみ、悪魔合体や状態異常回復のできる邪教の館はスタート地点であるミコンの街にしかないというのも辛い。
    • さらにパスワードを聞けるのもミコンの街だけなので、ユミコがパスワードを見ることのできる魔法「スワードナ」を覚えるまでは、ゲームを中断するのも一苦労である。
      • 一応迷宮内に街へ移動できる仕掛けは存在するが、あまり救済になっているとは言い難い。
    • II』の攻略本に書かれた本作の紹介記事では「攻略本がないと解けない」とまで書かれているが、実際にはそこまで理不尽ではなく、きちんとマッピングしていけば解ける程度の難易度ではある。
      • 逆に言えばマッピングしなければその難易度は跳ね上がり、当時のプレイヤーの中には最初のボスであるミノタウロスですら倒せずに諦めたという声まである。
      • フォローしておけば、当時の3Dダンジョンゲームはプレイヤーの自力でマッピングするプレイスタイルがむしろ主流で、ゲーム機の性能向上等でオートマッピング仕様が珍しくなくなる時代までその風潮は続いていた。ゲームによっては攻略本にすら後半フロアのマップは故意に掲載しないような時世であった。

戦闘バランス面

  • 仲魔のステータス
    • 同じ悪魔でも、敵として出現した時と仲魔になった時でステータスが大きく違う者が大勢いる。特に問題なのは使える魔法が違う悪魔が多いこと。酷い場合魔法が一切使えなくなってしまう悪魔もいるため、魔法目当てで仲魔にしてみたらがっかり……ということも起きがちである。
    • ステータス画面で確認できる「こうげき」の数値があまり当てにならない(攻撃17のはずのナーガが攻撃12のツクヨミとほぼ同等の攻撃力だったり、逆に攻撃16に過ぎないワイバーンが全仲魔中トップレベルのダメージディーラーだったりなどが有名)。数値がある程度の参考にはなっても実際に起用してみるまで実情が分からないという状況になりやすい。
      • ちなみに「ぼうぎょ」のステータスについてはそういったブレは無い模様。
    • 以後の『メガテン』ではそうした明らかなズレは減り、数字が盛られたボス戦や、味方時にもそのままというわけにいかない魔法・スキル(例えばマッカを奪うマッカビームの削除など)の調整に留める方針になっている。後代には『ポケモン』『ドラモン』、或いは『スパロボ』等、敵味方時で性能のズレは当然という作品群も増えるが、本作は「敵をそのまま仲間化できる」パイオニアの1つだっただけに悪印象が残されたきらいはあるだろう。
  • 装備品関連
    • こちらもステータスが数値化されないため、どの装備品がどういう性能なのかが非常にわかりにくい。さらに値段と性能が釣り合わない装備品(主に防具)が少なくない。
      • ナカジマ専用の装備品である「盾」は概ね低性能で、同格の鎧の三分の一かそれ以下の防御力しかない(その割に値段が高い)、ユミコの最強の鎧は実はその前の装備に比べて価格が8倍以上なのに被ダメージはせいぜい1点しか違わない、など。
    • なお本作の装備は持ち替え式となっており、新たな装備を入手すると以前のものは自動的に処分される(店での購入時は半額下取り)。
      • 装備には性別による装備者制限システムが有ってどちらでも装備出来る品も有るがナカジマ-ユミコ間で譲渡する事はできない。
  • バグ関連
    • ゲーム進行そのものには深刻な影響を与えず、かつ非常に気付きにくいが、戦闘バランス面で大きな影響を及ぼす不具合が多い。特に有名なもの(の一部)は以下の通り。
      • 味方の行動順の決定にその仲魔自身の素早さではなく「リストの一つ下の仲魔」の素早さを参照してしまう。(ナカジマとユミコは正常に自分の素早さの通り動くので気付きにくい)。
      • また戦闘中に隊列を入れ替えた場合、その戦闘ターンでは変更前の隊列のメンバーの素早さが参照されてしまう(隊列変更によってそのターンでの素早さ≒行動順が入れ替わってしまう)。
      • 魔法の威力に関して、味方の攻撃魔法では使用者の強さと知力を参照するはずが、何故かナカジマのステータスの一部を参照するようになってしまっている(隊の順番によってどこを参照するかが変わるが、概ねオーバーフロー気味で、マイナスの数値になることも多い)。そのため、使用者や敵の強さに関わらず、隊列順次第で「最大ダメージか最小ダメージかのどちらかしか出ない」といった事態になりやすく、そもそも威力の予想もほぼできないという欠陥だらけの攻撃手段になってしまっている。
  • 使用アイテムの乏しさ
    • イベントアイテムを除くと、使用できるアイテムは移動中にHPを完全回復させる「宝玉」だけ。
      • 小口の回復アイテムや、状態異常を回復させるアイテムさえ存在していない。
    • 中盤から手に入る「ルースのこびん」が、特定イベントのある場所で「ここだここだ、ここがあやしい」とヒントをくれるが、そこでイベントを起こすために「マッパーの魔法を使う」というのにやや気付き難い(一応それっぽいメッセージや、また攻略上で魔法を使う状況になりやすくなる誘導は一応あるが、直接的なヒントは一切無い)。また、向きが合わないと教えてくれない。
  • 仲魔の魔法が移動中に使えない
    • 仲魔の魔法は戦闘中にしか使えないため、状態異常回復魔法を使えるユミコが行動不能になってしまうと、リスクを承知で戦闘中に仲魔の魔法で回復するか、ミコンの街まで戻って邪教の館で回復するしかなくなってしまう。
  • 悪魔のレベルが表示されない
    • 悪魔合体ではナカジマのレベルより大幅にレベルの高い悪魔は合体させられないが、悪魔のレベルを知る方法がないため、いつ仲魔にできるようになるかわからない。
      • 今作ではナカジマのレベル+7の仲間まで合成可能なので制限としては緩いほうだが、仲魔になるタイミングが分からない、レベルも推測するしかないという問題については解決できない。ちなみに戦闘中の勧誘には(知力によって成功率は上下するが)レベル制限は無い。
      • すでに仲魔になっているものなら一応レベルを調べる方法は無いこともないが、その場合は調べる意味がそもそも無くなっているので…
  • エナジードレインの存在・説明書の不備
    • 終盤以降、受けた者のレベルと累積経験値を下げる特殊攻撃「エナジードレイン」を使用する悪魔が頻繁に出現する。使用頻度はそこまで高いわけではないが、失われたレベルと経験値を回復する手段は「再び敵を倒して経験値を貯め、レベルを上げる」しかないため、受けると精神的にかなりへこむこと請け合い。
    • 一応、対抗策としてエナジードレインを完全に防ぐ防御魔法「テトラジャ」が存在するのだが…
      なんと説明書には「シールドをはり、味方の防御力を上げます」という効果だけが記されていて、エナジードレインなどに対する記述は一切ない(ちなみにこの魔法で物理防御力は一切上がらないので、記述ミスというか数あるバグの一つとも言える。)。使用時のメッセージも「せいしんのかべが つくられた」と効果がはっきりとわからない表現になっているため、テトラジャがエナジードレインを防ぐ魔法だと気付けないとレベルを下げられ放題になってしまう。
      • 更にテトラジャの効果に気付けたとしても、ユミコは覚えないためテトラジャが使える仲魔を連れ歩く必要がある。
      • テトラジャは戦闘時に唱える必要があり、ターン最初に発動するようになっている。しかし、敵に先制されたターンにはどうしようもない。
      • エナジードレインを使う敵の中でも、特に炎の腐海に出現する鬼女ターラガは、最大7体も出るため非常に危険。酷い時には1回の戦闘で2~3レベルほど下げられてしまうことも。
      • ただ、エナジードレインの対策なしでも、普通にマップを埋めつつ探索しながら基本通りにプレイしていると炎の腐海~アンフィニ宮殿序盤で概ね最大レベルになってしまうので、これもやはりゲームの進行に大きな影響を及ぼすことは無い。極端に運が悪く被害が大きいようなら一旦リセットしてパスワードを入れなおして再プレイ、という方法での対策もできなくはない。
  • マズルカの回廊に出現するサキュバスの悪夢
    • ここに出現するサキュバスは、強力な攻撃魔法である「カンデオン」を連発する上に出現数が多いため、マズルカの回廊に到達した時点で遭遇し、なすすべもなく全滅させられる流れは誰しもが通った道であろう。一応、サキュバスは体力が低いため、ここで売っている弓子用の「らんぶのつるぎ」を入手できれば楽になるので、それまでの辛抱ではあるが。
  • まだ合体が洗練されておらず、合体表も「空白」が多い。その空白に当てはまると「妖精ドリアード」となってしまう。

その他

  • メッセージスピード速度が遅いうえに早送りもできない。このせいで戦闘のテンポはかなり悪い。 オート戦闘はそれなりに処理が速いので、殴って対処できる雑魚ならばそれですむのだが。
    • また、逃げる際は「…」と数秒のウェイトが発生してから成否のメッセージが流れるため、若干ストレスが溜まる。
  • 中盤、クリアに必要なアイテムを購入しなければならないイベントがあるが、その際なんと所持金全額を要求される
    • 本作には売却可能なアイテムは存在せず、装備もDQ1式の「新しい装備を買ったらその場で交換、古い装備は下取り」というシステムなので、お金をアイテムに換えておいて被害を減らすということも出来ない。
    • 本作はパスワードでの再開時に仲魔はCOMPに戻っているので、召喚費用を稼がないまま中断してしまうと中島と弓子の二人だけでザコ相手にちまちまとした金稼ぎを強いられてしまう。
  • 本作のパスワードは最大40字に達し、書き写すのが大変。
    • 「数字とアルファベットで構成され、数字と混同しやすい『I』『O』『Z』は除外されている」といった救済措置もあるが*2、書き間違いによる取り返しのつかない事態はやはり起きてしまう。

総評

システム面で粗が多くゲームバランスにも問題はあるが、「モンスター=倒すべき敵であり悪」でしかなかった当時のRPGの常識を覆す世界観と「悪魔を手なずけ新たな悪魔を生み出す」というシステムの独特さがそれを補って余りある魅力を内包しており、その魅力に取りつかれたファンからカルト的な人気を得ることに成功した。
後に続くシリーズ作の原点として、今でも高評価されている作品である。


続編・移植

  • 本作独特のシステムや雰囲気は根強い人気となり、『女神転生』シリーズとして長年続く人気シリーズとなった。
    • 直近の続編としては、3年後の1990年に続編の『デジタル・デビル物語 女神転生II』が発売された。ストーリー・演出・ゲームシステムなどあらゆる面で初代メガテンを超えており、「FCのRPGの中でも屈指のクオリティを誇る名作」として語り継がれている。廃刊前の「ファミコン必勝本」で、クリエイターが選ぶファミコンソフトで選出され、「芸術だ!」と評された程。
  • 後にアトラスからSFCにてリメイクもされている(『II』とのカップリング)。詳細は『旧約・女神転生』の記事を参照。
  • 携帯アプリ版はFC版を基準にした移植だが、大きな特徴としてどこでもセーブが可能になっている他、様々な変更・調整が加えられている。詳細は後述。
  • 2020年6月18日に発売されたNintendo Switch用ゲームソフト『ナムコットコレクション』の有料追加DLC第3弾として2020年8月20日より配信開始。
    • 当初、本作を含む第3弾DLCは10月配信予定だったが第2弾と同日配信に前倒しされた。
    • FC版のベタ移植だが、『ナムコットコレクション』側の中断セーブ機能によりパスワードを記録せずに中断・再開できる分、遊びやすくなっている。

余談

  • シリーズおなじみの「ラグの店」は、最初の作品である本作では「アメジストを不思議な品と交換する店」として登場している。
    • ちなみにアメジストは、雑魚敵に差し出すと必ず戦闘を回避できる。取得ポイントに行けば何度でも拾えるが、持っていると取得ポイントからは消えるので複数持ち歩くことは出来ない。
  • ゲームクリア後「END」の文字が出てから5分待つと、画面左下に「しかし...」と表示された後に、難易度が上昇した「裏メガテン」が始まる。
    • 裏メガテンでは敵が大幅に強化されるだけでなく、迷宮内のイベントやアイテムの位置が変更されたりもしている。
      • 最初のダイダロスの塔からして、表面では開始階(8F)にあった辺境の店が7Fに、軍資金の入った宝箱は6Fに配置換えされているため、「軍資金を得るまではひたすら逃走」しか取れる手がない。最初のステータス配分を表面と同じように行うと詰む危険性が高い。
  • ガネーシャ・ウォンロン・クリシュナをパーティに入れるとマグネタイトが減らない裏技がある。
    • 1作目でそれぞれ作りやすい上にスタメンといっても良い優秀な仲魔でかなり使える裏技なのだが実はこの裏技、攻略本にしっかり紹介された為にかなり有名。これが「当たり前の様に組まれた最終メンバー」だったプレイヤーも多い。
  • 本作のストーリーでは「人類を救うため」などといかにも主人公然とした解説がされている中島朱実であるが、原作小説ではかなり趣の異なる人物である。
    • 開発に成功したものの稼働に躊躇していた悪魔召喚プログラムを稼働させてしまったきっかけが『自分を暴行した不良への復讐』のためで、そのために無関係な人間を生贄に捧げることも辞さなかったり、弓子を救うために魔界と現世を隔てる扉を破壊して悪魔たちを現世に呼び込むという暴挙を行いながら「五十億の人間より、ぼくは君一人を選ぶ!」と開き直ったりと、非常にエゴイスティックな人間として描かれている。そして、それ故に最終巻では本作とはまるで違う悲劇的な結末を迎える事になる。
  • 当時下請けメーカーだったアトラスは、本作と『バイオ戦士DAN』をプレゼンのためジャレコに持ち込んだ。 しかし、ジャレコは『女神転生』には目もくれず、『バイオ戦士DAN』の方を選んだという。
  • 本作のTVCMには、同年発売の『さんまの名探偵』『ファミリージョッキー』などに引き続き、島田紳助や西川のりおら吉本興業の芸人が出演していた。
    • ユーザーからの質問電話が殺到するという『ドラゴンスレイヤーIV』のCMの後を受け、のりおが「電話が怖い~」と怯える内容になっている。
  • 「ウィルオウィスプ」という敵は青色と赤色の2種類がいるが、これはゲーム中に同じ名前で強さと色が違う敵が設定されている唯一の例。おそらく「ドルアーガの塔」のオマージュ…というか遊び半分で設定したものだと思われる。
  • ディスプレイからどろどろになったロキが出てくる挿絵を見て上田和敏氏は悪魔合体を思いついた。
    • 上田氏はこの挿絵が使われている小説の未定稿のコピーを見たことがあり、その後どろどろになったケルベロスだった記憶違いを起こしていたとのこと。
    • なお、この挿絵はページ数を16P単位で整える都合もあって没になっており掲載されなかった。

デジタルデビル物語 女神転生(携帯アプリ版)

【でじたるでびるすとーりー めがみてんせい】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 携帯電話(iアプリ、Vアプリ、EZアプリ)
発売元 ビービーエムエフ
開発元 アトラス
発売日 【iアプリ】2004年2月26日
【Vアプリ】2004年12月1日
【EZアプリ】2005年9月29日
定価 【iアプリ】月額315円*3
【Vアプリ/EZアプリ】525円(買い切り)
プレイ人数 1人
備考 2014年10月末で配信終了
判定 良作
ポイント 多くの欠点を解消
絵作りの方向性がFC版と異なる
女神転生シリーズ

概要(携帯アプリ版)

デジタル・デビル物語 女神転生』の携帯電話用アプリ移植。2004~5年に各キャリアで配信された。
内容自体は忠実に移植しつつ、グラフィックの描き直し、各種のバランス調整とシステム改善が行われている。


FC版との違い(携帯アプリ版)

細かい点を含めるとかなりの相違点があるが、プレイへの影響が特に大きいと思われる点を挙げる。

システム・UI

  • 真・女神転生以降のシリーズ作品では標準であるデビルアナライズとオートマッピング導入。
  • どこでもセーブの導入。
  • ゲーム中のメッセージが漢字交じりになった。
  • 主人公たちの名前をプレイヤーが決められるようになった。

ゲームバランス調整

  • 宝玉の効果がHP・MP・状態異常が完全回復と強化され、戦闘中も使用可能。
  • 仲魔の魔法が移動中も使用可能。

グラフィック

  • 迷宮および悪魔のグラフィックが新たに描き直された。
    • ダンジョンの見た目は全く別物といっていい出来。立て板が連続で並んでいるようだったFC版と違い、きちんと「壁・扉・天井」が描かれている。
    • 悪魔は色遣いがより繊細になっている。デザインは基本的にFC版を踏襲しているが、一部は持っている武器や衣装、髪形などが微妙に変更された。

追加要素

  • シュオル聖塔
    • 本作より追加された新ダンジョン。炎の腐海から始まるイベントをこなすとビエンから移動できる。
    • クリアするとある魔人が仲魔になる。こちらも追加要素の新悪魔。

評価点(携帯アプリ版)

  • 大きく改善されたゲームバランスおよびプレイの快適性
    • バランス調整によって難易度はややマイルドに。
    • 各システムの導入で全体的にストレス要素が減り、SFC以降のシリーズ作品に近い感覚でプレイできる。辛い手書きでのマッピングやパスワードのメモともおさらば。
      • FC版でパスワードを教えてくれたミコンの町長は仕事がなくなったとセリフを言う。
  • より書き込まれた悪魔のグラフィック
    • 神話の武器を持ったトールやオーディン、翼が生えたサキュバスや植物要素が増したアルラウネなどは、原典要素を加えつつコンパチグラを改善している。
  • BGMは良好
    • FC版の大きな魅力である数々の楽曲は、携帯電話というハードながら曲数減や明らかな劣化もなく移植されている。
  • 原作小説を活かした追加要素
    • 追加ダンジョンをクリアすると登場する魔人は原作小説*4の登場人物。詳細な説明は避けるが、ラスボスとの因縁もあり憎い演出である。
    • ただし、ダンジョン自体の難易度は問題点に記述の通りなかなか厳しい。

賛否両論点(携帯アプリ版)

  • グラフィックの改善によって失われたFC版の味のある粗さ
    • 迷宮は奇麗になったぶん、FC版にあった暗さ・不気味さがだいぶ薄まった。
    • 悪魔のグラフィックは評価点に記載の通りFC版の方向性を活かしつつ進化したが、一部賛否が分かれるものもある。
      • 具体的にはツクヨミおよびスサノオ。上半身だけだったFC版から全身が描かれたのは良いものの、却ってこじんまりとして迫力が感じられないという意見も。

問題点(携帯アプリ版)

  • 相変わらずむやみに広い大迷宮
    • 追加要素のシュオル聖塔は他の終盤ダンジョンに負けず劣らず意地悪な作りで、好評とは言い難い。
      • 無数のワープと無数の小部屋が散らばる10階建て。オートマッピングがあっても攻略はかなり骨が折れる。
    • また、既存のダンジョンについてもイベントもない無意味な空間が多すぎる構造はFC版そのままである。内容自体は忠実な移植なので当然と言えば当然だが。
      • セーブの仕様とオートマッピングのおかけでプレイヤーの負担は大幅に軽減されたが、だからと言って迷宮自体の不毛さが改善されたわけではない。

総評(携帯アプリ版)

バランス調整と新システムによりFC版の欠点について多くが解消・改善された。一部のグラフィック変更については好みが分かれるものの、総じて良移植といえよう。
配信元は既にサービス終了しているが、独自の追加要素があるこちらのバージョンもいずれプレイの機会が訪れることを期待したい。

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最終更新:2024年04月06日 12:27
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*1 あるアイテムを手に入れることによってダメージは受けなくなるが、そのためにはこのエリアの探索が必要。

*2 これに限らず『0』と『Q』、『U』と『V』などの見間違いもある。

*3 アトラスモバイルコンテンツの利用料。本作は月額で利用できるコンテンツの一つという立ち位置。

*4 新デジタル・デビル・ストーリー