ザ・デッドヒートブレイカーズ
【ざ・でっどひーとぶれいかーず】
ジャンル
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アクションタワーディフェンス
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対応機種
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ニンテンドー3DS (ニンテンドー3DSダウンロードソフト)
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発売元
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任天堂
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開発元
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バンプール
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発売日
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2018年4月26日
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価格
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4,980円
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判定
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なし
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ザ・ローリング・ウエスタンシリーズ ザ・ローリング・ウエスタン / 最後の用心棒 / ザ・デッドヒートブレイカーズ
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概要
ニンテンドー3DSダウンロード専売ソフトとして発売されたザ・ローリング・ウエスタンシリーズの3作目(及び最終作)。前作から5年経ってからの発売である。これまではダウンロード専売だったが本作はフルプライスによるパッケージ版も発売している。
シリーズの正統な続編であり、基本的なゲームシステムや主要人物を引き継ぎながら、大幅な世界観変更が施された。
ストーリー
いた風が吹き荒れる、近未来の荒野。
そこには、自由を求めた民が暮らす「開拓地」があった。
突如飛来する、ナゾの宇宙岩石生命体たち。
ヤツらに襲われて危機に陥った開拓地の未来はジロー達に託される……。
(公式サイトより引用)
特徴
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世界観は西部劇物から荒廃した世紀末な世界観に変わっている。
過去作とストーリーの繋がりは無いが、登場キャラはそのままだったり一部役割を変えて出演している。
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主人公はジローとプレイヤー(ゲーム内表記:あなた)のダブル主人公となり、状況や役割に応じて入れ替わる。
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敵である岩石生命体から開拓地の名産物である「マンジュー」を全滅させずに守り通すのがこのゲームの目標となる。
襲撃に備えて防護ゲートの原材料やマンジューの餌を採取し、襲撃する岩石生命体を駆除していく流れを行う。無事に守り通せばステージクリア。
また岩石生命体から入手出来る原材料は主人公の村が襲撃され、バリヤーが展開されているため、バリヤーを破壊するための武器を建造するために必要となる。
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一部ミッションでは防護ゲートを突破されたら即ゲームオーバーと厳しいが、その分報酬が豪華なエクストラミッションも用意されている。
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エクストラミッションはストーリー進行に応じて登場し、オマケ要素コンプリートのためにはプレイ必須なのだが、順序は後回しにすることが可能。
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今作では1マップに複数の拠点が存在しマンジューも分散しており、拠点とガンタワーが一元化されている(一部例外あり)。さらにガンタワーの攻撃はすべて全方位になっている。
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そのため一度手こずった途端に撃ち漏らした敵が押し寄せてあれよあれよと全滅、といった事態は起こりにくくなっている。
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今作ではガンタワーの弾薬に相当する「電力」という概念が追加され、戦闘中の補給も主人公ジローの大きな役割となった。
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一撃が強力な武器や、1拠点に複数ガンナーを配置するとあっというまに電力を吸い尽くしていくので、補給効率も戦略として考慮される。
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今作ではガンナーにMiiを使うことで一人一人に個人名と容姿と性格が設定され、扱う銃の種類も固有になっている。
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同じ種類の銃でもガンナーによって性能差がある。さらに戦闘を通して経験値が溜まり、個別に能力が上がっていく。
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そのかわり一度でも戦闘中にガンタワーが破壊されるとそこにいたガンナーは犠牲になり、登場しなくなる。クリア済マップの再プレイでも然り。
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つまりはファイアーエムブレムシリーズのような感じ。ただしガンナーは無数に登場するため多少犠牲にしてもFEほど大きな影響はない。(道徳的にどうかはともかく)
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この仕様のため、マップを攻略しながら順次ガンタワーを設置していった過去作とは違い、出撃前にガンナーを雇って各々の持ち場を指定する形式になった。
拠点との一元化とガンナーの成長・犠牲のシステムがあるのでガンタワーを守り抜く重要性が増している。
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各マップにガンナーの最低人数が設定されており、最低限も雇わずに出撃すると数合わせの「村のガンナー」が臨時で参戦する。
ただし能力が低いうえに、村のガンナーを犠牲にするとペナルティをとられてしまう。
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準備期間
昼間の間にマップの下見を行い、マンジューのエサであるマンジュー草の採取、村の防護ゲートを建造するための鉱石の採取や支援攻撃のガンタワーで扱う電力の充電を行って岩石生命体の迎撃に備える。
マップ中にはコンテナが放置されており、中から宝物やライフアップアイテムといった貴重なアイテムが設置されている。
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また前日には用心棒達(Mii)を雇うことが出来て、武器に応じてガンタワーの役割に適した配置を行える。
なお過去作に存在したウォッチタワーは廃止され、下画面でマップや状況がどうなっているか全て把握出来るようになった。
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襲撃期間
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敵が襲撃し、村へ向かってくる。それらを防ぐために主人公のジローによる直接攻撃やガンタワーによる援護射撃により撃墜する必要がある。ガンタワーの一部は無人な代わりに料金を支払うことで稼働させる機種もある。
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襲撃中の「あなた」はNPCとなり、前作『最後の用心棒』の味方用心棒と似た役割。NPCだが部分的にジローから指示を出せる。ジローと離れて別々に行動したり、ジローと同時に戦闘に入って素早くカタをつけたりが可能。
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敵の数を一定数減らすと、敵がパワーアップして村の周りを周回してくる。ガンタワーは使用不可能となるためジローの直接攻撃で撃破する必要がある。
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敵もジローもマップ内を高速走行しながらのバトルで通常のバトルとは若干システムが変わっているものの、通常バトルのアレンジのようになっており別ゲーにはならない。
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制限時間内に撃破し損ねると更にパワーアップして村を襲う。直接攻撃しか倒せないためジロー(とプレイヤー)のみで手強い敵と戦うこととなる。
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全滅させるとステージクリアとなり、生き残ったマンジューの数や撃破手段に応じて報酬が貰える。
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夜間~昼間
体力の回復や装備の購入、ミニゲームを遊ぶことが出来る。また定期的に期間限定イベントも行われる。
ミニゲームはレースゲームやポーカーやスーパーの店番、スマートボールやシューティング、仕分け作業といった様々な物が遊べ、動物(マンジュー)鑑賞も行える
評価点
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過去作の面白さはそのままに、非常に遊びやすくなった
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過去作はタッチペンによるスライド操作を絶えず行う必要があり、3日間連続かつ難易度が高くなるため続けて遊ぶのはしんどかったが
今作はAボタンによる加速が主で、襲撃も1日限りとなったため心身ともに負担が軽減された。ジローの主要なアクションもボタン操作に割り当てられた。
開発側も疲労がたまることを認知していたのか、クリア後に休むよう注意メッセージが表示される。
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ガンタワーもお金がかかり、すぐ破壊されたりと難があったが、今回は武器が強力であり、簡単に近付けなかったり、やられる前に敵を倒してくれたりと頼りになれる。
襲撃中も充電や補強が可能になったことで出費が抑えられた。拠点と同じように補強材を使用して耐久力を高めることもできる。
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電力消費の概念のほか、変則的な能力や行動パターンを持つ敵が適度に出現するので任せっぱなしにもできないゲームバランスになっている。
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報酬も条件が若干緩くなり、最高得点(及び報酬)も狙いやすくなった。
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やりこみ要素の「スター集め」も健在。ムービーや設定画の鑑賞などのオマケ要素が追加される。
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様々なミニゲームが遊べる
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パッケージ版となり容量が増えたからか、様々なイベントやミニゲームが追加された。そこで得られる賞金は用心棒の雇用へと繋がる。
雇うだけの所持金が足りない場合は金貸し屋から借りることも出来る。
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気に入ったミニゲームだけを遊ぶことも可能で、何もやる気がなければホテルで寝て次の襲撃まで時間を潰すことも可能。
ミニゲーム強要にはならない柔軟な仕様。
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作ったMiiから様々なケモだち(用心棒)が生まれる
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ガンタワーで雇える用心棒は全てMiiを元に生まれたケモだちとなる。武器や性格も設定されており役割に適した配置をしなければならない。3DSに保存されているMiiもランダムで登場する。
Miiの顔つきや髪型を活かしたまま動物に変身させたキャラクター。
ただし何の動物モチーフか選べるのはプレイヤーが決めたMiiだけであり、他のMiiは自動的に設定される。
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動物の種類は全10種類おり、「プレイヤーケモだち」は自動で絞られた4種類からの選択になる。
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任天堂らしさのある個性的なキャラクターっぷりは相変わらず
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世界観こそ異なるが主人公のジローは「紅い閃光」の名に恥じない迅速かつ圧倒的な強さで敵を倒す実力者っぷりは相変わらず。
またイベントで行われるレース大会も優勝常連の実力者であることが判明する。本人は出場に乗り気ではないため渋々参加しているようだが。
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そんなジローを兄貴として慕うリッスも今作はメカニックや指揮官として有能な働きを見せ、非常に頼りになる一面が見られる。
頼れる場面が増えたせいか、間の抜けた顔だった過去作よりスッキリした顔立ちになった。
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その他のキャラも本作に登場。一部キャラはケモだちと入れ替わる形で役目が変更されている。
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過去作では文章で表示されるだけだった会話シーンには、セリフにあわせて声(架空言語の合成ボイス)がついたため、キャラクター性を高めている。
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細かい仕様の修正
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コチニウム(コチン石)<ガチン鉱石<ドガチン塊の3ランクある鉱石は、過去作では所持数がバラバラに表示され、防護ゲートの設置に必要な個数もグラフ表示で把握しづらかった。
今作は所持数も設置コストも「コチニウム◯◯個分」の単位にまとめて換算表示されるので、鉱石のコスト管理がしやすい。
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戦闘中の敵グループが残り1体になった場合に、その1体がいる方向が矢印で表示されるようになった。
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過去作の必殺技「激転」や補助アイテムの「クリスタル」は、共通のエネルギーゲージを消費して使う「バトルチップ」という機能に統括された。
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十字ボタンでチップを選択、Xボタンで発動という操作になったため「ボム」の発動もスムーズになった。
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ゲージが共用になって消費が増えたぶん、敵やステージオブジェクトが緑エネルギー(激エネ)をドロップする確率が引き上げされている。
問題点
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ガンタワー(ガンナー)の性能差がわかりづらい。
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「攻撃力/消費電力」は表示されるがいずれも一発あたりの数値で、「射撃レート」がわからないため総合的な戦力・電力消費率がよくわからない。「攻撃力」数値の基準もよくわからない。
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過去作の「ガトリング」に相当する、高レートで削りダメージを与える「ビームバルカン」はこの仕様により殆どのガンナーが「2/2」になってしまっており、成長が把握できない。
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もっとも、そこまで厳密に考えなくてもクリアは可能。
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経験値が偏りやすい。
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戦闘を通してガンナーに個別に経験値が溜まるのだが、敵を撃破した数がトップのガンナーにはさらに追加で経験値がつく。
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撃破した数というのは敵にとどめを刺した数であり、一発が高威力の「ロングバスター」使いがいるとそのガンナーに偏りがちになる。
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1つの拠点に複数ガンナーを配置すると全員分を合算してまとめて経験値が入るのだが、なおさら「ビームバルカン」で援護に徹したり離れた拠点を一人で守ってくれたガンナーが空気になってしまう。
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終盤の展開はガンタワーが役に立たない。
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敵の数が減るとパワーアップして村の周りを走り回るが、ガンタワーは妨害されて一切行動が出来ない。
過去作と違い、襲撃は1日限りで依頼料も仕事をこなせる性能の武器にするには相応の金額が必要なので下手すれば殆ど活躍出来ないで代金だけ失うこともザラ。
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ライバルがいない
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第2作目の最後の用心棒では、ライバル兼助っ人の3人が登場し、彼等と決闘する展開があった。
が、今作では全てケモだちに取って代わっている。ケモだちは一部ライバル視してる奴もいるが、終始味方であり、敵対することは無い。強いて言うならポーカーの時に戦うくらいで、それらも不正行為などの妨害行為もすることは無い。
そのため今作の敵は岩石生命体だけなのだが、一切言葉を発しないため、掛け合いの類は無い。
一部キャラは何か裏がありそうな台詞を発するが、それら全てミスリードであるため何も影響は無い。怪しい人もただ怪しいだけでトラブルは何も起こらない。
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人為的トラブルが無いのはよく言えば「優しい世界」で不快感はない。一方で意味深な言動をしておいて何も起こらないのは若干肩透かし感がある。
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万能すぎるもう一人の主人公『あなた』
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襲撃時はプレイヤーもNPCとして戦闘に参加するが、雑魚戦に限ればジロー以上に強すぎる。
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下画面でプレイヤーを移動してほしい場所を指示出来るが、空中移動であっという間に移動してしまう。
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おまけに複数の敵を一人で倒してしまう一騎当千ぷりも。困った時に頼れば本当に何とかしてしまうほど強い。
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ガンタワーと同じ遠隔射撃攻撃と、ジローと同じ接近戦を両方こなす。雑魚敵は遠距離から安全に排除、拠点に到達しそうな敵は接近戦に持ち込んで足止めするオールラウンダーっぷり。
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夜間時はライフアップイベントもあるため、HPに困ることも殆ど無い。武器も比較的安めに強力な武器が手に入る上に壊れることがない。
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前作で似た役割のNPC用心棒には加入条件があった。キャラクターの性質上『あなた』は常に参戦している。能力も前作の用心棒のほうが控えめだった。
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プロローグではトレーラーに乗って岩石生命体から必死に逃げる気弱な面があったが、別人かのように活躍する。もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな
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さすがに大ボスクラスと戦うと普通にやられてしまうので、肝心なところはジロー(操作キャラ)に委ねることになるが。
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ダメージを負った場合に自分で回復しないという弱点はあるが、近くにいるときにジローから回復アイテムを渡すことで回復できる。
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ライフアップイベントも合わせると最終的な最大ライフがジローをも上回るので1戦闘に1度回復させるかどうかというレベル……。
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夜のホテルでポーカー対決に参加していないケモだちに話しかけると、なぜかそのときだけ口調・一人称が異なる。しかも妙に冷たい物言いをする。設定ミス?
総評
敵を次々と倒す以上に村を守り通すのが重要となるゲームデザインは相変わらず。遊びやすくなり難易度が下がっても面白さは変わっていない。
クリアするまでに様々な苦労をすることは多いが、クリアした時の達成感は格別なものとなる。プレイヤー自身も用心棒の実感が湧くだろう。
フルプライスではあるが遊びやすさは本作の方が断然上である。
3DSのダウンロード販売が終了した現在では、本作が唯一今からでも遊べるシリーズ作でもある。
余談
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特別体験版が配信されていた。内容は本作のプロローグとほぼ同じ内容となっている。
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ザ・ローリング・ウエスタンシリーズの続編ではあるが、タイトルや世界観が全く異なるためかシリーズ物としての認知度が低い。
ゲーム自体は出来がよく、普通に楽しめるのだが売上が乏しいのか小売店での原価割れが相次いでいる。
人を選ぶ内容ではあるが、決して駄作の域には入っていないので興味あれば是非とも手にしてほしい。
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2023年05月31日に開発元のバンプールが解散することとなり、事実上本作がシリーズ最終作となった。
最終更新:2023年07月24日 16:05