スペクトラルフォース クロニクル
【すぺくとらるふぉーす くろにくる】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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アイディアファクトリー
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発売日
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2005年4月28日
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定価(税抜)
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通常版
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6,800円
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限定版
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8,800円
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廉価版
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IFコレクション 2006年3月9日/2,800円(税抜)
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レーティング
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CERO:12歳以上対象
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プレイ人数
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1人
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判定
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クソゲー
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ポイント
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完全にシリーズを熟知したファン向け 中途半端な焼き直しダイジェスト バトルに関しても大いに問題あり
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ネバーランドシリーズリンク
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概要
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アイディアファクトリーから発売された「ネバーランドシリーズ」の一作。
ストーリー
緑におおわれた美しい楽園「ネバーランド」。
かつて世界はコリーア、イプシロン、ジャネスという3柱の神々のよりバランスが保たれていた。
しかし永い歴史のこの地にも、数多の争いが起こった。
そして、いくつもの戦いを経て、今この地上は大魔王ジャネスが恐怖の力で統一している。
永き魔族の力による統一…
ジャネスは自らを大魔王と名乗り、魔族を使って世界の調和を守っていた。
しかしそれを良く思わぬ者もいる
時は魔導世紀996年
ついに「3勇者」と呼ばれる人間たちが、天界の神々より授かりし最凶の剣「天魔剣」を持ち、大魔王の居城へと侵攻。
そして大魔王ジャネスがシフォンら「3勇者」に滅ぼされたことを機に、再び大陸に戦乱の世が訪れる。
後に【ネバーランド大戦】と呼ばれるこの戦争は大陸全土を巻き込み、
史上最大最悪の戦争へと拡大していった…(製品紹介ページより引用)
システム
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バトルはFEシリーズのように比較的小さなマップでの戦術バトルである。
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ステージを順次クリアしていくが、クリア後に選択肢で次のシナリオが分岐する場合もある。
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ターン制ではなく、敵味方入り乱れて行動順番が回ってきたキャラが順次行動するシステムになっている。
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行動順番はキャラの素早さに加えて、後述のAPの消費次第でも入れ替わる。
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戦闘時のキャラの行動はAPと呼ばれるポイントを消費して行う。
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行動順番が回ってくると最大値の7ポイントまで回復する。この7ポイントを移動や攻撃、アイテムや必殺技の使用に振り分けていく。
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攻撃は3段階のレベルに分かれており、レベルと同じだけのAPを消費する。
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行動を組み合わせることで(AP3分移動)→(攻撃レベル3)→(攻撃レベル1)のようにいくつもの行動をさせることが可能。
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必ずしも7ポイント全部を消費する必要はなく、ポイントを余らせて行動を終了することも可能。余らせたポイントが多いほど次の行動順番が早く回ってくる利点もある。
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魔魂システム
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一部のボス敵を倒すと「~の魔魂」というアイテムを入手できる。
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この魔魂は味方のモブである「ガイコツ兵」に装備させることができ、装備させるとその魔魂のキャラに合った特性や同じ外見になる。
問題点
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貧相なグラフィック
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3DモデルはPS1末期レベルの稚拙な3~4頭身グラフィック。体型のバランスも悪い。
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シナリオはシリアス色が強いのだが、デフォルメの効きすぎた3Dで雰囲気が損なわれている。
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また人物のイラストとの乖離も激しく、その点でもグラフィックの酷さが一目でわかる有様である。
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ユーザー置き去りのストーリー
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シリーズのダイジェスト作品ということを差し引いても唐突な展開が多く新規ユーザーは話の内容が飲み込めない。地名や人物名が出てきてもシリーズ知識がないと具体性が見えてこない。
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一方でシリーズをプレイしたユーザーから見るとあまりに大雑把すぎるダイジェストで失望してしまう。
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戦闘時の問題
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出撃人数に対して強制出撃枠が多すぎる。
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マップが一般的なSLGのようにマス目で仕切られておらずキャラを自由に動かせるのだが、操作性が悪い。動きが遅く、微妙な当たり判定で引っかかって進めなかったり、敵との距離感がわかりにくいことになっている。
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システム上ロングレンジで攻撃できるキャラが有利すぎる。移動に多くのAPをかけずに遠距離から攻撃を行えてしまうため。近接攻撃のキャラもAPの多くを攻撃に回すための待ち伏せ戦法一辺倒になる。
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移動に消費するAPは動き始めの地点からの直線距離で判断しているため、段差を大回りで上っても結果的にAPをほぼ消費しないこともある。
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マップには高低差があるのだが、遠距離攻撃に対しては無意味になっている。正面に衝撃波を放つ技が下の段差にいる相手に命中したり、弓矢や魔法攻撃が段差で生じている壁を突き抜けてくる。
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各キャラの行動開始時には抜刀モーションが、終了時には納刀モーションが入りテンポが悪い。加えて必殺技のモーションもスキップ不可能。
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カメラアングルも悪く、ズームインやアウトができない。回転も45度単位でしか行えない。
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必殺技の演出
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まともなムービーがなく、必殺技発動時のボイスがBGMの大きさに比べて小さすぎるためかき消されてしまっている。
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戦闘バランス
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全体的に敵が強い。雑魚相手でも袋叩きは即、死に繋がる。後述の稼ぎプレイを前提としている節がある。
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タワー探索モードの問題
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稼ぎマップとしてスペクトラルタワーを探索するモードがある。
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最上階は100Fに設定されているが、10F単位でしか踏破状況がセーブされないため非常に面倒。
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また、稼ぎマップとして見てもサクサクと進めるような内容ではなく、入る経験値やお金が半分なことも難点。
評価点
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OPやゲーム中のアニメムービーはそれなりに力が入っている。ゲーム中の3Dグラフィックとは雲泥の差。
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敵のターンを早送りできる。
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敵のターンは□ボタンを押しっぱなしで早送り可能。プレイのテンポを上げることができる。
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敵ユニットのステータス表示で各キャラクターのプロフィール文が読める。
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この点だけはユーザーの理解を得ようという考えが感じられる。ただしほぼ既存の設定をなぞるだけなのでシリーズファンにとっては新たな発見は少ない。
総評
アイディアファクトリー10周年として発売されたソフトであるが、実態としてはIF製ゲームの酷さを集大成したような結果となった。
稚拙なグラフィック・不備の多いシステム・快適にプレイできないゲーム性と見所がない。褒められるのはアニメムービーぐらいというPS2にしても前時代的な部分しか評価できない罪深い作品。
発売時はネバーランドシリーズそのものが人気を博したPS1時代から作中時間で半世紀近く経過した時代が中心になっていた。キャラ・世界観人気の低下や停滞と、それに抗するためなのか舞台を全く別の大陸に移すなどIFの迷走とも取れる動きが広がる中で原点回帰を志向したと受け取れなくはないが、結果的に原点にすら泥をかけて終わってしまった。
最終更新:2021年07月21日 15:50