ファリア 封印の剣

【ふぁりあ ふういんのつるぎ】

ジャンル ARPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ハイスコアメディアワーク
開発元 ゲームアーツ、コロン
発売日 1989年7月21日
定価 6,200円
判定 ゲームバランスが不安定
ハイスコアメディアワーク作品
ゾンビハンター / ファリア 封印の剣


概要

かつて出版されていたゲーム情報誌「ハイスコア」が『ゾンビハンター』に続いて企画開発した2本目のゲーム。
キャラクターデザインにあさりよしとお氏を起用し、コミカルさを前面に押し出した作風を売りとしていた。

ものがたり

聖書の時代に、ひとつの戦いがあった。天空の神と、魔導士レビュアの戦いである。
この戦いは、256日続いた。
魔導士の力は強大で、神でさえも倒されそうであった。
神はドラゴンを造り、その中に自らの命を封じ込めて戦った。
魔導士は戦いに敗れ、魂はつるぎに封じ込まれた。
月日が流れ、これが、神話になったという。そして、数千年の時が流れた。
ある日、不気味な雷鳴とともに、封印が解かれた。
古代最後の魔導士レビュアと5匹の部下が復活したのだ。
その部下のうちの1匹、羽の生えた怪物がお姫様をさらった。
噂によると、お姫様はゲルブの塔に閉じ込められているという。
カシス王は姫を救出するために、兵を繰り出した。
しかし、姫を助け出した者はおろか、無事に帰ってきたものすら、一人もいなかった。
途方にくれた王は、旅の戦士達に助力を乞うことにした。
王は、町中に布礼を出した。「姫を救い出した者を姫の婿とする」
そのとき、偶然にもエドの街にいた女戦士は、
姫を愛する村人達の願いにより、救出を決意した。


システム

  • フィールド(地上、町、洞窟)移動はドラクエ式の移動、エンカウント時や塔ではゼルダ式の戦闘画面となる方式。
  • 攻撃手段は剣での攻撃のほか、弓矢や魔法などを使って戦うことも可能。
    • ただし矢や魔法は弾数制限があり、ショップで詰め替えを購入して補充する必要がある。
      • 魔法に関しては最初に魔法を購入して習得する必要がある。
  • アイテムの所持数はレベルアップが条件で増加すると錯覚しがちだが 全8個の(非売品)フラグアイテムを入手することにより初期の12枠から最大20枠まで増加する。
  • 戦闘で敗北した場合は所持金を半分に減らされたうえで最後にセーブした宿屋に戻される。
    • 換金アイテムとして宝石類があり、宝石類は下取り価格が元値の9割であるため、事前に宝石を購入しておけば敗北の際の損失を抑えることも可能。

問題点

  • システムの理不尽な仕様
    • 仕様と言う名の製作者の悪意か失念によるバグなのかは判断に困るが、人食い象の討伐を幻の塔のボスを倒すまでに終えておかないと以降は人食い象とエンカウントしなくなる。 その場合は最強の防具である「だいあのよろい」と2つのアイテム枠の回収機会を永久に失うことになってしまう。
    • アイテムの下取りはその店で扱っている商品しか下取りの対象にならないため、アイテム所持制限の厳しさもあって取捨選択が厳しい。
      • 上記の宝石の仕様も宝石店が1か所しか存在しない上に所持アイテム制限の厳しいこのゲームではあまり生かせない。
    • 町の主な施設に宿屋(セーブポイント)・医者(HP回復及び回復アイテムの購入先)が両方揃っている町が少ないのも地味に痛い。
    • フィールドエンカウントで逃亡を選んだ場合のペナルティが確率で所持金、経験値、アイテムのロストが発生するという仕様。
      フィールドでのエンカウント率は高めの部類なのにこの仕様があるため安易に逃亡を選択できないのがきつい。
    • 毒には強弱の概念があり、強い毒に弱い毒消しを使っても効果がない。そのうえで現在の毒の強さがステータス画面ではわからないという仕様。
      • 毒の強さ自体は毒を受けた時の主人公の顔色で判断するしかないが、当然わかりにくい。
      • 前述の通り所持アイテム制限も厳しいため、状態異常回復アイテムに荷物を多く割くわけにはいかないのもつらい。
  • 戦闘の難易度の高さ
    • 序盤から堅めの敵や動きが比較的早い敵が多く出てくるため、難易度は高め。
      また森林ではテレポートを繰り返す見えない敵が出現するため、序盤に誤って森に侵入して殺されることも多い。
      • さらにこの見えない敵は中盤以降は平地でも普通にエンカウントする上に姿が見えるようになるアイテムを手に入れられるのは終盤に差し掛かるころ。
        それまではエンカウントした場合は逃亡するか魔法の発射位置から推測して攻撃するしかない。
      • 『かげのまほう』の使用効果に関する情報が説明書,本作中でも(関係ないがネットですらも)一切出てこない。効果は戦闘中および塔内部で「つかう」ことによっていわゆる「影潜り」が発動する。効果時間は(きっちり計った訳ではないがおそらく)10秒。その間は敵からの攻撃を一切受け付けない(=無敵となる)が、こちらからは一方的に攻撃できるというもの。これはゲーム開幕のエト゛の時点から20GOLDで購入できる消費アイテム。――という一見してトンデモな公式チートアイテムだが、エンカウント率とアイテム所持上限数を鑑みた場合、使い処が難しい(下記にもある通り、あの地獄の塔を駆け抜ける猛者ならばボス戦はどうということはないだろう)。余談だが、ひーるのゆひ゛わの自動回復の時間稼ぎには良いかもしれない。
  • ダンジョンの難易度の高さ
    • 序盤の塔からして複雑な構造のため難易度が比較的高め。ダンジョンのみならず地上も迷いやすい構造が多い。
      • 終盤の塔ではノーヒントで無限回廊を突破しなければならない局面もあるのはつらい。
    • 洞窟はライトがないと行動できないうえ、視界もかなり狭くマッピングがしづらい。
      • しかもラストダンジョンとなる塔に向かうためにはこの洞窟が大量にある大陸を攻略しなければならないためここで心が折れたプレイヤーも多い。
    • 発売当時は上記の攻略情報を探ろうにもそもそもゲーム情報誌が企画発売したゲームであるため攻略情報を得にくい環境であったのも厳しかった。

賛否両論点

  • 人によってはやる気をそぎかねないストーリー
    + ネタバレ注意
  • 主人公は女性剣士だが実は魔導士の呪いを受けて女性化していた男性というある意味パッケージ詐欺な展開である。
    • 一応、予言を成就させないためにこのような呪いをかけたという設定ではある。
  • 伏線自体はゲーム中にある程度示唆されるものの、名前をプレイヤーが設定する本作では完全な女性名にしてしまいあとから後悔してしまうプレイヤーも多かった。

評価点

  • あさりよしとお氏デザインのキャラクターはどれも完成度が高い。
    • 会話画面でのグラフィックやマップチップ、敵キャラのデザインも氏の個性が存分に発揮されている。
    • エンディングのスタッフロールでは氏の美麗な絵柄を存分に堪能できるため、高い難易度のご褒美としては非常に感慨深い。
  • シルフィード』の音楽を手掛けたメカノアソシエイツが作曲したBGMは好評。

総評

コミカルさを前面に押し出した作風ではあるものの、ところどころにある理不尽な仕様が足を引っ張っているという作品。
発売当時の攻略情報の雑誌による情報格差も難易度の高さにつながった部分もあるため、せめてシステム周りをもう少し整備してほしかったところ。

余談

  • 本作は元々パック・イン・ビデオから発売される予定だったようである。パック・イン・ビデオMagazineで確認済み(参照)
    • また、本作は元々MSX2で発売される予定であったが*1、諸般の事情でMSX2での開発が頓挫し、機種をFCに変更したうえで開発が続行され発売された模様。
  • 本作で後半に登場する町の名前には開発元のゲームアーツのゲームタイトルが含まれている。
  • 本作発売当時あさりよしとお氏が少年キャプテンで連載していた漫画「宇宙家族カールビンソン」にて、雑誌掲載時に作中で本作について言及していた箇所があった。単行本では削除されている。
    • なお、本作のダンジョンで出てくる石像は先述の漫画の登場人物である原住民たちを模したものである。

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最終更新:2023年09月19日 12:12

*1 当時のMSX系雑誌でも「あさりよしとおさんのRPG」として本作の開発中と思われる画像が掲載されていた。