牧場物語 キラキラ太陽となかまたち
【ぼくじょうものがたり きらきらたいようとなかまたち】
ジャンル
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ほのぼの生活シミュレーション
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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ニンテンドーDS専用カード
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発売元
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マーベラスインタラクティブ
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開発元
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トーセ
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発売日
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2008年2月21日
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定価
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5,040円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A (全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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キミと育つ島のパラレル 粗が取れて無難に楽しめる作品に
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牧場物語シリーズリンク
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ストーリー
都会を離れ、新天地を求めて旅立った移民船は、
無事に新天地「ひまわり諸島」に到着。
島に降り立ったのは、
主人公と、出荷業を生業としているタロウ一家。
新しい街、住人たち。
遠く彼方には、無人島であるひなた島を見ることが出来ます。
新しいくらしにも慣れてきたある日、
コロボックルたちが訪ねてきて…
太陽の力を集めて島を浮かべたり、
たぬきやうさぎといった野生動物の群れと仲良くなったり、
コロボックルたちがお手伝いをしてくれたり…
不思議なことが次々と起こります。
たくさんのなかまたちと一緒に、
主人公のにぎやかな牧場生活が始まります。
(公式サイトより)
概要
のんびりとした牧場生活を楽しみながらキャラクターとの恋愛もできる『牧場物語シリーズ』の作品。シリーズ第14作目。公式略称は『キラなか』。
携帯機における前作『キミと育つ島』のパラレルであり、前作の舞台であったひなた島の近傍に位置するひまわり諸島が舞台。前作で主人公たちが乗っていた移民船が難破せず、無事に新天地にたどり着いていたら…というストーリーである。
登場キャラやシステムも大半が共通であり、実質的に『キミ島』のアッパーバージョン。ただストーリー展開などは大きく異なっており、単純な完全版というわけではない。
大半のシステムは『キミと育つ島』と同一であるため、そちらの記事も参照。
評価点
新要素
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結婚相手候補が追加
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前作までの男女6人ずつに加え、更に男女それぞれ1人が追加。また最終的に結婚することは出来ないものの、前作にも登場したあるキャラクターに対して新規に好感度と恋愛イベントが設定されている。
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また、結婚相手候補以外にもひとりだけ顔つきの新キャラが登場。前作にも登場したキャラの関係者。
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ただし、顔グラなしのサブ住人に関しては大幅に減少。基本的に顔グラがない以外はメイン住人とはシステム上区別されなくなっている。
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収集要素「陽の石」
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今作のひまわり諸島には周囲に沈んだ島が複数存在しているという設定になっており、太陽の力を宿した「陽の石」の力を使うことで浮上させることができる。今作の各種解禁要素を担う。
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島を浮上させる順番はある程度任意となっている。牧場経営の幅を広げる島を優先するか、採掘場に真っ先に潜りたいか、新たな住人が登場する島を優先するか、などなど、プレイヤーの自由。
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無造作にマップ内に落ちていたりもするが、基本的に牧場経営を頑張ると手に入る仕様。また住人との信頼を深めることも重要。
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全部で100個。『コロボックルステーション』のコロボックル全救出ほど厳しくはないが、やはり信頼度上げに関してはかなり時間がかかる。
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野生動物とのふれあい
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前述の陽の石で「野生動物の住む島」を浮上させると野生動物とのふれあいが楽しめるようになる。
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ネズミ、スズメ、サル…など全6種。エサを与え続けて愛情度を上げるとアイテムを集めてもらえるようになる。
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ただし、愛情度の上昇ペースはかなり遅いため実用ラインにするには時間がかかるのは否めないところ。
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ペットや家畜の種類追加
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ペットに「ネコ」「ブタ」が追加。ブタはレアなキノコである「トリュフ」を入手するのに必要。
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「ネコ」、および従来の「犬」「馬」にはミニゲームが追加され、このミニゲームを用いた大会も開かれるようになった。
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ペットの入手条件も前作と比べると大幅に緩和されている。
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家畜には従来の「ニワトリ」「ウシ」「ヒツジ」に加え、それぞれの上位版である「ウコッケイ」「ジャージー」「サフォーク」が追加。得られる副産物もより高価になるが、入手周期自体は長くなる。
前作からの改善点
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ボタン操作の復活
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前作はほぼすべての操作をタッチペンで行うという極端な操作性であったためかなり癖がある作品だったが、今作では通常どおりのボタン操作も可能になっている。
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4スロット制自体は健在であり、Rボタンでスロットを選択する。
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リュック内のアイテムを直接取り出すコマンド(L+他のボタン)も復活。ただ過去作と比べるとモーションが長いことから若干扱いづらい。
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ちなみにタッチ操作も可能。えさ箱への投入など一部の操作はタッチで行った方がスムーズ。
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細部のシステム微調整によるゲームシステムの改善
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アイテムを拾う際の頭の上に持ち上げるモーションがカットされ、かなりテンポアップ。
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天気による農作物への「光」加算値が調整され、曇りでも加算されるようになった。各作物の必要な「光」量も若干増えているものの、曇り続きでも全く育たないということはとりあえずなくなっている。
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デフォルトでの農具の消費体力値が3から2になり、単純計算でもこれまでより1.5倍行動できるようになった。
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序盤から一部の「すてき」が販売されている。特にいろいろと用途が多い黄色があるのがありがたいところで、真ん中のマスに水を撒けるようになる赤も嬉しい。
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装飾品作成に必須の「オリハルコン」が鉱石場25Fで入手可能になった。そのため前作と比べてもかなり早期の段階で装飾品入手ができるように。
落とし穴でのダメージは前作と全く変わらないため、体力最大値を上げていない状態では即死の危険性があるのは相変わらず。体力最大値を上げる装飾品は真っ先に作っておきたいところ。
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他にも「アダマンタイト」、「賢者の石」といった用途のある鉱石は前作よりも浅めの特定の階で取れるようになっている。75F以降まで潜らないと取れないのは換金&贈答用アイテムである「アレキサンドライト」「ピンクダイヤモンド」だけになったため、深く潜るのは前作と比べるとチャレンジ要素としての色合いが強くなっている。
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舞台設定変更による改善
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今作では無事に新天地「ひまわり諸島」にたどり着けた設定なので、序盤から町の施設は充実している。
前作では終盤にならないと揃わないような町の施設が一通り揃っており、嘘のように楽になっている。
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コロボックルによるお手伝いが復活。ただ、好感度を上げて数を揃えないと効果がかなり低い上、お手伝い終了後には数日間のクールタイムが発生するため常時お手伝いをさせ続けることは難しくなっている。あくまでピンポイント運用向け。
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島の拡張に関しても、牧場経営によるものよりも住人たちとの信頼の醸成のほうが重要度が高くなっている。ただこちらは賛否両論(後述)。
賛否両論点
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舞台のスケールダウン
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前作のひなた島が広すぎただけとも言えるのだが、ひまわり諸島は小さな島々が点々としているためかなりスケールダウンしている。
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最終的な住人の数も前作の半分以下(前作は100人ほどだったが、今作は40人程度)。主人公以外と結婚した夫婦の子供も登場しなくなってしまった。
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スケールダウンしただけでなく、牧場エリアの配置も全体的に変化している。ビニールハウスや果樹、水田は別のマップに配置されるようになったため移動がかなり不便に。世話が不要な水田や中では時間が経過しないビニールハウスはともかく、成長しきるまでは世話が必要な果樹に関しては非常に面倒。
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ビニールハウスの利便性が悪化
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天気ごとの「光」量が調整されたのに合わせて作物に必要な「光」量が増えたのに対し、ビニールハウスでは「太陽」1つにつき「光」1ポイントというルールは変わっていないため、初期状態では外で育てるよりも成長にかかる時間がかなり長くなってしまう(作物次第だが、概ね2倍前後)。
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「太陽」の設置数を増やすためには更に太陽置き場を追加設置する必要があるが、90万G+木材と凄まじく高額(ビニールハウス自身ですら30万G+木材)であり、そうそう手が届かない。
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もともとビニールハウス自体が季節に関係なく作物を育てられる、という代物なのである程度の利便性悪化はやむを得ない、という見方もあるが、それでも前作と比べて露骨に利便性が下がっているのは疑問符がつくところ。
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ちなみに水汲み場を追加設置する場合も50万G+木材と超高額だが、この段階ならまず手に入っているであろう飛行石があれば比較的速やかに移動できるためこちらはそこまで重要ではなくなっている(こちらは別マップ扱いになったおかげで結果的に改善された点と見ていいだろう)。
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鉱石場の仕様変更
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新たな障害物として「溶岩」が登場。じょうろで水を3回掛けると消滅し、時々「ようかん」が手に入る。ネタ要素が減った『キミ島』以降では珍しい直球のギャグ要素。
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鉱石場に持ち込むべきものにじょうろが追加された上、じょうろは橙のすてきを追加しない限りは50回分しか水を撒けないため実際に潰せる溶岩の数は少ない。予め複数じょうろを買っておいて水を入れておく、という手もなくはないがリュックを圧迫する。単純に探索を面倒にする要素が増えただけであり、邪魔の一言である。
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溶岩に下り階段が塞がれていることはめったにない。そのため無対策でも困らないといえば困らないのだが、深い階層を目指す場合は100Fと200Fがほぼ全体が溶岩で埋まっているというとんでもない構成になっており対策の重要性が高くなっている。
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ようかん自体はもちろん食べられるのだが回復量は非常に低く、じょうろを3回使う体力消耗の方が大きいことがほとんど(じょうろに緑のすてきを詰め込んで体力消耗をゼロにでもしていれば別だが…)。一方贈答用としては「好き」以上のキャラが多いため優秀。他の鉱石同様、鉱石場から得られる副産物と捉えるのが無難である。
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陽の石の入手条件
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全100個のうち、牧場経営に関わる条件で入手できるのは23個しかない。他は落ちているものを拾ったり、ランダムイベントで入手したりといったものがある。
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しかし最も割合が大きいのは住人の信頼度に関わる条件のものであり、それだけで51個を占める。上げなければならない信頼度自体はそこまで高くはないものの、住人の数が数な上一定回数のプレゼントも必須であるためかなり面倒。
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ちなみに前作の島の拡張は基本的に全てお金と資材さえあれば可能だった。ただある程度住人集めと並行する必要はあったのだが、そちらも牧場経営と無理なく両立できた。
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「すてき」の入手性
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一応必須級の黄は最初から店売りされているのでだいぶマシにはなったものの、それでも行事に優勝するか採掘場の最深部まで潜るか、冬に低確率で売られるかのいずれかであり相変わらず入手性は悪い。
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今作でも一応狙った色を入手するテクは残っているものの、前作よりも遥かに難しくなっていたり根本的には運ゲーのままになっていたりする。
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また、根本的な強化上限も前作よりかなり下がり、半分ほどになってしまった。
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最初にもらえる農具は全てすてきスロットがゼロなので買い直さなければならなくなった(前作はスロット1だった)。
問題点
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大半は前作の流用
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ストーリーがストーリーなのでしょうがないとはいえ、キャラクターのデザイン、大半のセリフやイベント、一部BGMなど前作の流用が非常に多い。
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操作性の不備
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タッチ操作だった前作をボタン操作に対応させるために生じた操作性の悪化がいくつか見られ、また引き続きタッチ操作のほうが楽な部分が多い。
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エサ箱や資材置き場にアイテムを入れようとするといちいち選択肢が出るので鬱陶しいことこの上ないのだが、これはもともとタッチ操作でアイテムを持ち上げた時に直接対象をタッチした場合に出る選択肢。タッチでドラッグ操作した場合には出ない。
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プレゼントする際もボタン操作よりもアイテムを持ち上げた状態で直接対象をタッチしたほうが遥かに楽。特に細かく動き回るコロボックルに対してはボタン操作だとうっかりアイテムを投げ捨ててしまうことが多い。
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メニュー画面でワンボタンで食べたり捨てたりできるなど一見利便性の高い要素も。ただ本当にワンボタンで動作してしまうので誤爆の危険性が高い。上述のように、全体的に動作前の確認選択肢が多い作品だけにここだけ一発なのもやけに不自然。
特にすてきを詰め込んだ道具を捨ててしまった場合は泣くに泣けない(道具を選択して十字キーを下に動かすとスロットより先に「捨てる」にカーソルが合ってしまうのでその意味でも事故りやすい)。また道具箱や冷蔵庫などに出し入れするときにも機能しているため要注意。
総評
全体的には前作のアッパーバージョン。前作で作り込まれていた部分はちゃんと引き継がれており、操作性や他の作りが荒かった部分が改善された。
まだ操作性の難点が細かに残っているのは事実だが、それでも十分良作に値する作品になったといえる。
余談
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DS向けの次回作『牧場物語 ようこそ!風のバザールへ』では再び世界観とシステムが一新され、『キミ島』及び今作でわずかに残っていた『ハーベストムーン』以来の旧シリーズとのつながりはほぼなくなった。
ちなみに同作では本作からのゲストキャラクターが数名登場している。
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前作および今作で結婚できないことを非常に残念がられたシスターのアリエラだが、後の『ふたごの村』にてようやく結婚できるようになった。ただし攻略難易度はかなり高め。
最終更新:2023年03月07日 19:51