カルディナル アーク ~混沌の封札~
【かるでぃなる あーく こんとんのふうさつ】
ジャンル
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カードゲーム
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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アイディアファクトリー
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発売日
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2003年8月7日
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定価
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6,800円(税抜)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:全年齢対象
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廉価版
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IFコレクション 2005年10月6日/2,800円(税抜)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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1回の対戦に時間かかりすぎ カードゲームとしては不満足なUI 戦いは数だよ!(陣取り的な意味で)
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ネバーランドシリーズリンク
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概要
アイディアファクトリーから発売された「ネバーランドシリーズ」の一作。
今作は独自のルールで行われるカードゲームである。
主人公は『学園都市 ヴァラノワール』で登場したガラハドが務める。
ストーリー
魔と人が覇権をかけて渡り合う場所。戦乱の続く大陸ネバーランド。
古の時代、地上を滅ぼそうとした邪神ヘルガイアは、聖神コリーア、魔王ジャネスら、
五柱の神によって大陸の北西に位置する小さな"ウマリー島"の地下、"カルディナル アーク"へと封じられたという。
その封印が破られる事を恐れ、五柱の神々はヘルガイアの力を幾多ものカードに分け、封印の鍵として六枚の封神札を作り上げた。
永きにわたる戦乱によって生み出される、混沌は未だ終わる気配を見せない。
その愚かな争いは地上の混沌を膨れさせ、それによりヘルガイアの封印が解けようとしていた。
ヘルガイアは封印が完全に解けていない自らの分身として、巫女レフィーナの体を奪い、自らの封印を完全に解こうとした。
しかし、世界からヘルガイアを封印する可能性を秘めた者達、つまりスペクトラルカードを持つ者達がエグマにより集められる。
自らの生きる目的を求めて世界を旅していたガラハドは、突然の召喚に戸惑いつつも、
スペクトラルカードによって再びヘルガイアを封印しようと戦いに挑む。(製品紹介ページより引用)
主なゲームルール
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大まかに言えばカード同士の戦闘は『ハースストーン』や『シャドウバース』と同じ。
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カードにはAP(攻撃力)とDP(防御力)とHP(耐久力)があり、戦闘では(敵のAP)-(自分のDP)のダメージを受け、HPが0になればカードは破壊される。
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上記のゲームと大きく異なる点の1つめは「プレイヤー自身も戦場にいて行動する」という点。
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プレイヤー自身はゲーム中「ドミネーター」と呼ばれ、相手のドミネーターを倒すことが勝利条件。
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ドミネーターは通常のカードよりずっと高いHPや特殊能力を持っている。相手のデバフ効果などを無効にする特性もある。
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2つ目の異なる点は『カルドセプト』のようにボードゲーム要素があるということ。
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マス目で区切られたマップ上をドミネーターや自身が召喚したユニットを移動させていく。ユニットが通過したマスはそのプレイヤーの領地になる。
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ターン中に使用するカードのコスト(一般的な対戦カードゲームで言うところの「マナ」にあたる。)は上記の領地のマスの数になる。
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強力なカードは当然使用するコストが高いため、低コストのカードで領地を広げていくことも大事な戦術になっている。
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3つ目の異なる点は「ユニットには維持コストがある」ということ。
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どんな弱小ユニットでも維持コストが存在する。このコストは自分のターン開始時に強制的に支払わなければいけない。
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コストが支払えない場合はユニットが破壊されるため、強力なユニットを1つ2つ出しておけば後はOKとはならなくなっている。
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直接戦闘で勝てなくても、多数のユニットで相手の領地を減らせば維持コストが払えずに自壊するため、この点においても低コストカードの価値がある。
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ターンの流れ
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「デッキから1枚ドロー」→「カードの使用・召喚」→「ユニットの移動・戦闘」という流れになっている。
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デッキからドローできない場合はドミネーターのHPが5削られた後に、使用済みカードが全部回収されて新たにデッキになる。このため、HPがある限りドローできずに敗北というルールはない。
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カードには「スペル」という分類のカードがある。使いきりのカードでユニットにダメージを与えたり、強化・弱体化などを行うことができる。このカードの使用にもコストが必要。
評価点
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カードのイラストはそれなりに出来が良い。
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一般的なカードゲームと比べても遜色はない。カードごとにフレーバーテキストもついている。
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序盤に手に入るような弱いカードでも使いどころがある。
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システム上強力なカードを多量に運用ということができないので、どうしても小回りの利くカードが必須になっている。
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初期デッキにあるカードですら使いようによっては活躍できる。
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カード入手システムの処理
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1つのデッキには同一カードは3枚までというルールのため4枚目以降の入手カードは完全にデッキ構築上無意味。
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ただし所持枚数が10枚になるとそのカードはドロップしなくなるという措置もあるため、回数を重ねるほど強力なカードの入手が容易になっている。
問題点
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1回のバトルが長い。
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1ターンでドローや召喚に各ユニットの移動と戦闘が入り、SLGのターン並みに長い。
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戦闘はマップ上での戦闘や簡易表示もできず、いちいち攻撃シーンを見せられてテンポの面でも悪い。
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これが直接作用するのがカード収集。バトルで勝利することで新たなカードを入手するのだが、1回の長さから何度もサクサク戦えないのでカード収集も面倒になる。
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洗練されていないユーザーインターフェース
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直感的操作でカードの入れ替えができない。デッキからカードを出し入れするには当該カード選択→枚数変更とやらなければいけない。
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詳細な絞込みやソート機能がない。デジタルカードゲームのUIとしては大きなマイナスポイント。
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対戦中、ユニットに使用されたバフ・デバフの効果はカードイラストのみ表示され、実際の効果をテキストで確認できない。
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ユニットの斜め移動が面倒。例えば左斜め前のマスに移動したければ、前に1マス移動→左に1マス移動というようにボタン入力の回数が増える。
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いびつな敵の強さの調整
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相手ドミネーターの能力は最初の相手を除いて基本的に主人公の上位互換であり、不利な戦いを強いられる。
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デッキも主人公より強力なカードを揃えている上に、戦闘するマップに対して最適化されているので性質が悪い。
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一方で敵のAIは今ひとつ賢くない。カードパワーで上回る分をAIの馬鹿さで帳消しにしてバランスを取ろうとしたような状態になっている。
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ただし最終盤の相手のAIは相応に強く、後述のハメ戦術でもないと勝てない。
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ハメ戦術ができてしまう
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低コストユニットによる人海戦術で敵の領地を潰して行動不能にさせつつ、相手のドミネーターをボードの隅に追いやってハメ殺すことができる。
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この戦術はAIが大して賢くないので成立している。通常の人間のプレイならハメる前に阻止される可能性は高い。
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カードゲームなのにカードの種類が少ない。バランスもいいとは言えない。
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全部で200種類程度でありカードプールとしては少なめ。
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低コストで序盤からでも相手の手札を3枚も捨てさせることのできる「ど忘れ」、ルール上デッキは30枚なのだが7枚もデッキ破壊する「未来破壊」、ドミネーターのハメ殺しに使えと言わんばかりの強制的に相手を移動させる「プッシュ」、低コストなのに手札が5枚になるようにドローする効果の「思いがけぬ来客」などの強力なスペルがある。
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ユニットに関しては「破壊されたときに1枚ドロー」の効果を持つものが複数いる。上記の「思いがけぬ来客」などと合わせると超高速でデッキが回転する。
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ストーリー性は薄い
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行く先の対戦相手と適当に会話して、その後バトルして終わりという淡々とした展開である。特に斬新な話の展開もなし。
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声優の演技
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極端な棒読みというわけではないが、非常に甲高い声などがあり演技としては不十分。人によっては不快レベル。
総評
既存のカードゲームのいいとこ取り(パクリとも言う)を狙った作品であり、ゲームプレイ上は著しい破綻はない。
しかし、ゲームのテンポの悪さ・いびつなゲームバランスの取り方・不出来なUI・薄いストーリー・人によるが水準以下の声優とIFゲーに付きまとうクソ要素の金太郎飴は健在である。
IFゲーのクオリティに慣れてしまっている冥界住人ならともかく、一般のゲームプレイヤーにはクソゲーと断じられても已む無しのゲームと言える作品。
余談
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後にPSPに移植されている。
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OPムービーの一新や通信対戦の機能追加が行われている。
最終更新:2021年07月21日 16:26