このページではiOS/Android/WiiU版『D.M.L.C. -デスマッチラブコメ-』と、PS4/Switch/Win版『デスマッチラブコメ!』について紹介しています。


D.M.L.C. -デスマッチラブコメ-

【でぃーえむえるしー ですまっちらぶこめ】

デスマッチラブコメ!

【ですまっちらぶこめ】

ジャンル ノベルアドベンチャー
対応機種 Android
iOS
Wii U
プレイステーション4
Nintendo Switch
Windows(Steam、DMM Games)
発売元 ケムコ
発売日 【Android】2013年4月24日
【iOS】2013年10月1日
【WiiU】2014年4月9日
【PS4/Switch/Win】2020年6月25日
定価 【Android/iOS】500円(EX別売り)→610円
※価格変更前はEXシナリオ5話が各100円で別売り。
【WiiU】1,080円
【PS4/Switch/Win】3,000円
※PS4特典パッケージ版のみ3,666円
(全て税込)
レーティング CERO:C (15才以上対象)
判定 良作
ポイント 告白されると爆死というパワーワードに見合ったぶっ飛んだ内容
爆死ネタやヒントコーナーでバッドエンドでも楽しめる
勢い重視のギャグはやや人を選ぶ
ケムコノベルアドベンチャーシリーズ
鈍色のバタフライ / トガビトノセンリツ / D.M.L.C. -デスマッチラブコメ- / 黒の令達
レイジングループ / 最悪なる災厄人間に捧ぐ / 千里の棋譜 ~現代将棋ミステリー~


概要

「告白されると爆死する」 という奇妙な体質になってしまった少年「八木 景」が、自分を好きだと言う美少女二人のアプローチを避けながら爆死の原因を突き止めるアドベンチャーゲーム。

元はスマートフォン(Android/iOS)用のゲームとしてリリース。程なくしてWiiUにも移植された。
その後、更に約6年後の2020年になり、イラストのリデザイン・追加やシナリオの手直しが行われたリメイク版『デスマッチラブコメ!』が発売され、PS4/Switch/Winにも移植されている。
同メーカー、同ライターで製作された『レイジングループ』とのコラボ特典もあるなど、『レイジングループ』のヒットによりリメイクにこぎつけられたことが窺える。


システム

  • 基本的には至って普通のアドベンチャーゲーム。ストーリーを読み進めながら、時折現れる選択肢を選ぶだけ。
    • ただし、ほぼ全ての選択肢は間違えると爆死、ゲームオーバーとなる。
    • 選択の結果は大抵すぐに出るが、一部はフラグ形式になっており、選択肢より後になってから展開に影響を及ぼすものがある。
  • 画面左下には縦に4つのハートマークが表示される。普段は黒い(消灯状態の)ハートが4つ並んでいるだけだが、状況に応じてハートが下から1つずつ点灯し、色も緑(1個)→黄(2個)→ピンク(3個)→赤(4個)と変化していく。
    • 点灯するハートの数が多い程危険な状況。4つ全て点灯すると主人公は 爆死 、ゲームオーバーとなる。3つの段階でも、作中で爆死はしないまでも出血などの実害が生じる。
    • このハートマークは作中では主人公の手に表示されている設定。主人公が作中で個数の変化を認識していない段階でも、プレイヤーには変化が見えている状態である。
  • 作中で得られた情報は専用の「TIPS」に追加され、再確認ができるようになっている。
  • ゲームオーバーになると 「とろりんの巣」 というミニコーナーが始まる。任意で見ないことも可能。
    • メインキャラクターである「とろりん」こと「 土呂 (とろ) (すず)」のデフォルメキャラクターが、「何故ゲームオーバーになったか」「回避するにはどうすればいいか」を教えてくれる。
    • 他のADVでもよくあるヒントコーナーだが、本作では爆死した際の被害状況まで教えてくれる。
      • 小規模な場合は主人公と目の前で告白したヒロインの2人だけの犠牲で済むが、規模が大きくなると「通行人数人が巻き込まれた」「通りかかったが巻き込まれた」などと変わっていき、中にはかなりハチャメチャな規模の爆発も。
    • 一度見たものはアルバムにまとめられ、いつでも再度見られる。これを全部集めるのが今作の一種のやりこみ要素となっている。

評価点

  • ストーリーや設定はかなり練られている。
    • まずそもそも「告白されると爆死する」という設定自体がかなりのインパクト。
    • 序盤はラブコメらしくギャグ満載。しかしストーリーが進むにつれ、他にもさまざまな奇妙な現象が起き徐々に雲行きが怪しくなっていく。これらの現象には全てちゃんと原因が存在し非常に複雑に絡み合っている。
    • 話も二転三転し、後半はほぼシリアスに。序盤からは想像できない方向に話が広がり、見る者を飽きさせない。
    • ギャグは後述の通り人を選ぶものの、文章に稚拙さはなく十分整っている。
  • 登場するキャラクターも個性がはっきりしている。
    • ちょっとおバカな主人公、ヒロインは天然ボケとツンデレ、友人達も生真面目だったり姉御肌だったりと、覚えやすくストーリーを読み進める上で非常にわかりやすい。
    • 一方でほとんどのキャラクターが暗い過去を背負っており、それがストーリーにも大きく関わってくる。
  • 豊富で多彩なバッドエンド。
    • 選択肢を間違うとバッドエンド直行だが、前半はかなり間抜けで笑える死に方が多い。シリアスになる後半では単純な死亡エンドとは違ったものもあり、どれも一度は見てみたくなる。
    • バッドエンド後の「とろりんの巣」はほぼ全て明るいノリでこれだけでも見ていて楽しい。後半のバッドエンドの後なら一種の清涼剤にもなる。

賛否両論点

  • 本作のシナリオライターは『鈍色のバタフライ』『トガビトノセンリツ』と言ったデスゲームもの、サイコホラーものを手掛けているamphibian氏である。今回は氏の作品としては異例のラブコメだが、やはり氏の作風が活きており、純粋にコメディを期待していた人にはやや辛い展開がある。
    • ほぼシリアスになる後半にはかなりヘビーな話も含まれる。バッドエンドも後半は少々エグい死に方が増えていく。
  • 逆にコメディ要素として見ると、勢いに頼った好みが分かれるものもやや見られる。
    • 冒頭から主人公がクラスメイトの亜須賀と「おっぱいは何に例えるのが正解か」トークを延々としているなど、特に下ネタはその傾向が強い。主人公がひたすらうんこちんこ叫んで乙羽を笑わせるシーンなどは苦笑してしまう人も出てくるだろう。
    • クラスメイトの美弥に至っては、最初から最後まで主人公が「おっぱい」扱いしてひたすらその巨乳をネタにする。他のクラスメイトも同様にからかっていたり美弥本人もそこまで気にしていなかったりと不快感を覚える程かは人によるところだが、どうも安易な印象は拭い切れない。
    • 一応、そこまで人を選ばないベタなコメディ要素も多数入ってはおり、全体がそうだという訳ではない。前述の要素が目立ってしまうのは確かだろうが…
  • 一部のキャラクターのクセが強く、好き嫌いが大きく分かれる。
    • ヒロインの一人である「白詰乙羽」は、つい主人公に手が出てしまう「ツンデレ&暴力系ヒロイン」。だがこの暴力シーンがギャグで済ませるには少々難があり、不快に感じる人もいると思われる。
    • とあるキャラが中盤以降大きく印象が変わる。今作でも随一の強烈な個性なので苦手な人もいるだろう。
  • 後半になるに従って設定が盛り盛りになっていく。
    • とにかくあらゆる登場人物に「実は○○だった」という背景設定が多発していく。
    • 必ずしも伏線は張られていない訳ではないのだが、伏線が巧みに張られた秀逸な展開と表現するには遠く、こちらも良くも悪くも勢い任せの展開が多い。特にシリアスな場面だと、後出しっぽさもやや感じられかねない。
    • 登場人物自体そこまで多くはないこともあり、複雑すぎて付いて行けない、というほどではないのだが、話が進むに連れて説明台詞も増え、物語が取っ散らかったような印象を受ける人も多いことだろう。
  • 「告白されると爆死」の要素は後半に進むに従って頻度が減っていく。
    • ストーリーが半分を過ぎる頃には作中で対策がなされ、無防備に爆死してしまうようなことはほぼ無くなる。
    • 爆死する条件は分かっているにもかかわらず学習もせず爆死し続けたり、そもそもある意味一発ネタに近い「爆死」を延々と引っ張っていては物語が成立しないのでストーリー上必然的ではあるのだが、本作のストーリーを「告白すると爆死するゲーム」としてまとめている割にはそれに徹し切れていない感はある。

問題点

  • 通常の会話シーンの背景・イベントにおける一枚絵のどちらも少なめ。この手のアドベンチャーゲームとしては物足りない。
    • メインが学校ということである程度誤魔化せてはいるものの、「家⇔通学⇔学校」以外のシーンだと、途端に背景の貧困さを感じることが多くなる。アクションシーンも演出不足を感じやすい。
    • 学校の食堂など、画像を用意せずグラデーションの背景だけで済ませるケースも少なくない。
    • 立ち絵もそれほど多くはない。サブキャラは立ち絵すらないものも多い。
      • クラスメイトの1人である難波真理恵は、メインキャラではないものの、他のモブ生徒と異なり何度も出番やキャラの立つ場面が与えられており中々インパクトのあるサブキャラなのだが、彼女も立ち絵が与えられておらずだいぶ違和感がある。
      • クラスメイトの家族など、他にもキャラが立っているので立ち絵が欲しかったキャラは多い。
    • リメイク版ではイラストの追加も行われたが、その追加分を含めても人物が映っているイラストだけで数えると20枚そこら、ヒロイン1人につき多くても4枚程度、男性キャラは1~2枚とまだまだ足りない。
      • 土呂鈴に至っては、クラスメイトではなく先生であるとは言え、女性メインキャラなのに1枚もイラストが存在しない。
    • WiiU版までは、立ち絵の顔だけ見せて入浴を演出するという荒技も見られた。リメイク版では新規に書き起こされている。
  • ボイスも存在しない。
    • 元々のスマートフォン版やWiiU版に存在しないのは価格を踏まえても妥当なところだが、リメイク版『デスマッチラブコメ!』については、リメイクかつこの価格ならばボイスが欲しかったというところである。
  • ストーリーを少し戻って読み直す機能はあるものの、戻せる範囲があまり長くなく機能としてはいまいち。
+ わずかにエンディングのネタバレ
  • 実は本作内ですべては解決しない。
    • 真エンドはコメディらしい明るいノリで終わるものの、未回収の伏線や未解決の問題*1が残されており手放しでは喜べない。

総評

強烈なインパクトを誇る設定と、それを盛り上げる良質なストーリー。
読み進める程に謎が増え、事件の真相知りたさにどんどん先へ読み進めたくなる構成は見事。
若干人を選ぶ点もありさすがに万人向けとは言い難いが、そこさえ受け入れられるなら最後まで楽しむ事ができるだろう。


余談

  • amphibian氏の次回作である『レイジングループ』と世界観が繋がっており、本筋に直接は関係しない裏設定だが本作の登場人物と深く関連がある。
    • 同作で断片的に描写された「異能」の存在についても、本作をプレイするとだいぶ理解はしやすくなるだろう。
    • 半面、『レイジングループ』と同じ作者なので読んでみよう、というノリだと、勢い先行の本作のギャグにちょっと引いてしまう可能性も捨てきれない。あくまでそういう作品だと理解した上で買うことをお勧めする。
  • 冒頭から「4/26(木)」の終了まではプレイ動画が公認されている。(参考リンク
    • 元々公式サイトで公開可能範囲が設定されていたが、『デスマッチラブコメ!』にリメイクされるにあたって、作中でも冒頭に注意文が表示され、公開範囲に達した際には警告を表示できるようになった。

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最終更新:2022年08月28日 15:56

*1 九段のアレとか