インフィニットループ ~古城が見せた夢~

【いんふぃにっとるーぷ こじょうがみせたゆめ】

ジャンル ミステリアスファンタジーアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ポータブル
開発・発売元 日本一ソフトウェア
発売日 2008年7月24日
定価 4,800円(税別)
レーティング CERO:B 12歳以上対象
廉価版 The Best Price : 2009年6月25日/ 2,800円(税別)
配信 PlayStation Store : 2009年11月19日/ 2,263円(税込)
判定 良作
ポイント 自力で移動も会話もできない「憑依システム」で様々なトラブルを解決する


概要

亡霊となってしまった王子を操作して新たな悲劇を回避したり、自身が殺された謎を解き明かしていく事が目的のアドベンチャーゲーム。
主人公は亡霊である為、直接的な介入は出来ないが、誰かに憑りつきその人物の見聞きする事を一緒に知ることが出来る。
他に唯一介入可能な要素が憑りついた人物の夢への介入で、特定のキーワードを意識させる事で、それに心当たりがある人間であれば意識をそちらへ向けさせ、翌日以降の行動に影響を与えることが出来る。

ストーリー

とある小さな王国での物語。
国王の亡き後、王位継承を控えていた若き王子・ウィリアムは突如現れた死神の眼を見てしまい、死亡してしまいます。
彼は自分の遺体を見つけたメイドの背後につき、自分の死後の状況を見て回ることになります。

(公式 ホームページより抜粋)

システム

憑依システム

  • 主人公は自分で移動できず、他の登場人物の背後に憑依して、その人物と共に移動することになる。
  • 憑依した人物が他の登場人物と会話をした際には、会話相手に憑依して憑依先の人物を乗り換えることが出来る。

夢システム

  • 主人公は他の登場人物らの会話内に現れた「キーワード」を憑依している人物に 夜に 与えることで、それにまつわる夢を見させることが出来る。
    会話の出来ない主人公(というかプレーヤー)が唯一、ストーリー分岐に関与できる手段である。
    • 登場人物は時に徹夜することが有り、その場合は「キーワード」を与えられない。
      また、徹夜明けに昼間に寝ることもあるが、この場合も 夜ではない ので「キーワード」を与えられない。
    • 与えたキーワードが無効な場合、憑依した人物に「よくわからない夢だった」と言われる。
      • 憑依した人物と「キーワード」の他に与えるタイミングも重要な場合があり、「よくわからない夢だった」と言われた「キーワード」でも、別の日だと効果がある場合がある。
    • キーワードを与えたものの、その日に憑依した人物にどんなキーワードを与えても意味のない日(1日目のセレスなど)には、翌日、憑依した人物は「・・・」という反応を示す。
  • キーワードは思わぬところで出現する場合があり、登場人物らの独り言などもくまなく見て回る必要がある。

キャンドルリスト

  • 憑依した人物に「キーワード」を与えて夢を見させることで、その人物の行動を変えた場合、キャンドルリストに登録される。
  • キャンドルリストに登録される内容は、主人公との過去の出来事を思い出させるという些細なものから、登場人物の死亡フラグを消すものまで重要度は様々である。
    • 登場人物の死亡フラグを消すもののような重大なイベントは、複数の人物に効果的に夢を見させることが必要となってくる。
  • キャンドルリストの中から「キャンドルを消す」を選ぶと、当該のイベントが起こる前のシナリオに戻る。
    • これにより、あるイベントは回避できたものの、もう一方のイベントは回避できなかった場合というIfイベントが閲覧可能となる場合がある。

死神

  • 主人公を殺した元凶であるが、主人公の死後も、主人公同様に誰かに憑依している。
    • 1日目の朝に誰に憑依しているかはランダムである。
      • ただし、死神によって死んで再ループした際は、前回と同じ登場人物に憑いている。
    • ランダムに憑依する人物を変えて乗り移ってゆく。
      • 会話イベントで乗り移る際、会話イベント開始時点で既にそれまで憑依していた人物から次の人物に乗り移っている。
        このため、気づかない間に主人公と同じ人物に乗り移っていることがある。
        そのような場合でも、タイムテーブルを確認すると死神のアイコンがちゃんと表示されている。
  • 主人公が死神を直視している間は、恐怖のあまり、憑依している人物の乗り換えができない。
  • 主人公が死神を直視すると、主人公のHPが減る。
    • 主人公が憑依している人物と、死神が憑依している人物が同じ場合は主人公は死神を見ていないのでHPは減らない。
    • 主人公のHPがなくなると、ループ開始時間(主人公が死んだ直後の時間)に戻される。
    • 主人公のHPは最大で30あり、1時間帯当たり 10ポイント回復する。
      • 同じ人物同士が連続で会話するスケジュール(メアリの6日目昼~ など)で会話相手側に死神が憑いていると、他の人物へ乗り移る機会がなく、回復の甲斐なく死んでしまう。
      • 9日昼の登場人物が4人集まるイベントでは、直前にHPが30あっても途中で死んでしまう。4人もいるため、死神がついてくる確率も高い。

評価点

  • グラフィック
    • 立ち絵にアニメーションが取り入れられており、細かい仕草までしっかりしている。PSP時代のゲームとしてはかなり破格の出来。
  • 登場キャラクター
    • キャラクターはそこまで多くはないものの個性的なキャラが多く、彼らの日常を知ったりできるのも本作の楽しみ。
  • BGMも良好
    • 作品の舞台である中世のヨーロッパの雰囲気に良く合ったBGMが多い。
  • タイムテーブルが非常に見やすい
    • 誰と誰がどこでどういう会話をしたかまで確認できる他、現在憑依している人物の未来であれば、そのイベントへジャンプが可能である。
    • 主人公が憑依している人物と、死神が憑依している人物が同じ場合、主人公目線では死神の存在は分からないものの、会話イベント中にタイムテーブルを確認すれば、その会話イベントに死神のアイコンが表示されているために分かる。
  • スキップ機能が充実
    • イベント中に「このイベントをスキップ」を選ぶとイベントをまるまるスキップできる。
    • 上述の通り、現在憑依している人物の未来であれば、タイムテーブル画面から一気にジャンプできる。なお、過去には戻れない。
    • かなり何度もループするゲームであるため、非常にありがたい機能である。
  • 細かい解説
    • 「臨時租税」などという硬い内容がテーマの章もあり、データベースも中世ヨーロッパの暮らしについて専門書並みの解説が付けられている。

賛否両論点

  • 少々癖の強いゲーム性
    • 悲劇の回避、事件解決の為とはいえ、個人のプライベートなシーンを覗き見てしまう事が多く、また憑りついて夢に影響を与えるという点も合わせてゲーム性自体が人を選ぶ。これが本作の魅力なのだが、合わない人からは悪趣味なゲームと言われる事もある。
      • 覗き見出来る中には女性の入浴シーンから男性の筋肉自慢、占い師の婆さんの入浴および着替シーンまでと、かなりニッチなシーンも多い。
      • 夢による影響も、主人公の婚約者の入浴シーンや着替えを覗かせることが出来るネトラせ的なイベントがあったり、男性キャラの着替えを覗かせたりと様々。
  • 行動選択肢の幅広さ
    • プレーヤーが出来ることは憑依と夢を見させることだけであるが、実際にプレイしてみると意外にも選択肢が多い。例えば2章時点で、主人公が第1夜に憑依可能な人物は10人で、取得可能なキーワードは23個あるため、総当りするならば単純計算で230通りあることになる。しかも2章は第9夜まであるため、2章の時点で既に総当りが現実的ではない。
      • 「この人物にこのキーワードを与えればあれについてわかるのではないか?」と思っても、上手くいかない事も多い。何をどう使えば良いのかをしっかり考えた上で試行錯誤するのを楽しむゲームなので、そういったプレイを楽しめる人であれば問題ないが、あまり深く考えずにクリアを目指す人にはつらいゲーム性。

問題点

  • シナリオ自体はかなり地味
    • 発想の勝利とも言える基本システムの一方、メインとなる話はかなり地味で盛り上がりに欠ける。犯人についても意外性もない。
  • 一部には謎が残ったままとなる
    • 死神がかかわる事件については解決するものの、主人公が何故ループするのかという点は最後まで謎のまま終わってしまう。
    • 夜に広間を掃除したのは誰か等、他にも気になる点も残っており、これらが解決しないのは少々スッキリしない終わり方。
  • 死神システムはただ邪魔なだけ
    • 大半のプレイヤーがまず真っ先に問題にあげる点。死神に憑かれている人に悪影響があるわけでもなく、プレイしていても「ここにいるのか…邪魔だな…」と感じるだけのシナリオルート上の地雷でしかない。結局やり直して同じ内容を聞きなおす羽目になる。
  • 単調な時間が多くなりがち
    • 上記のようにしっかりと考えた上で色々と試行錯誤が必要なゲームな為、夢のキーワードでハズレを引いて特に何も起きない事も起きやすい。キーワードを与えた後の十数秒のイベントも飛ばせず、ゲーム進行のテンポは結構悪い。

総評

憑依している人物の生活を細部まで覗き見出来るため、語られなかった部分に対する読後のもやもや感を残しにくいシステムである。
特に終盤の、空白の時間帯が埋まってゆく段階では、気になっていた部分が明らかとなりスッキリ出来る。
情報が伝わってゆく様子を会話相手に乗り移りながら見ることも出来、そうすることでこのストーリーの細やかさに改めて気づくこととなる。
Ifストーリーの作り込みの丁寧さなど他にも褒めるべき点はあるのだが、シナリオの魅力の薄さと、序盤のほうが難しいという難易度のバランスの問題など、やや残念な点もある。


後の展開

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最終更新:2022年03月25日 15:33