Sunless Sea

【さんれすしー】

ジャンル 探検サバイバルADV
対応機種 Windows XP, 7~10
Mac OSX 10.7以降
Linux
発売・開発元 Failbetter Games
発売日 2015年2月6日
定価 1,880円
判定 スルメゲー


概要

  • 本作は Failbetter Gamesにて製作、運営されているブラウザゲーム『Fallen London』を元としたゲームである。
    • あくまで『Fallen London』の世界観と基本的なルールを引き継いだだけであり、ベタ移植ではない。
    • 『Fallen London』内から本作へ、本作内では入手出来ないあるアイテムを「船長に贈る」事ができる。
  • 本作は「Kickstarter」にて開発資金を募って制作された。

世界観

  • 地底に落ちてしまったロンドンは今や"Fallen London"と呼ばれており、"Unter-Zee"と呼ばれる地底の海と面している。
    あなたはこの"Unter-Zee"の船長となって様々な謎を解き明かす旅に出る。

システム

Map

  • ゲーム開始時にMapが生成される。
    • 生成されると言っても、海域のブロックの並び方が変わるだけであり、海域単位内での島や照明付きブイの位置は固定で、完全にランダムなMapが生成されるローグライクではない。
    • スタート地点である「Fallen London」は常にMap西端に生成されるほか、Map西端に生成される地形は、上下の並び方は変わるものの、必ずMap西端に生成される。
      • 最初のPCが死んで、引き継ぎプレイで2人目以降のPCでゲームを始めた場合、Map西端から最初の茶色い縦線までの範囲の地形はそれ以降変化しない。
    • また、Map北端および南端沿いでは、それぞれ北端にしか発生しない海域、南端にしか発生しない海域が並ぶこととなる。同様に、東端にしか発生しない海域がある。

キャラメイク

  • あなたの過去
    • ゲーム開始時に「孤児」「詩人」「ベテランのキャプテン」「司祭」「哲学者」の中から、プレイヤーキャラクター(以下 PC )の過去を選ぶ。
      • 選んだ過去に対応して、PCのステータスパラメータにボーナスが付与される。
      • 選んだ過去に対応して1名のOfficer(後述)が付く。
      • 2回目以降のプレイでは「A Past Wreathed in Shadows(あなたの過去を影につつまれたままにする)」という選択肢が選べるようになる。
        これを選んだ場合、ゲーム中にPCの過去が確定するイベント(「Revealing your Past」)を発生させた時に確定し、上記2つのボーナスも付与されることとなる。
  • あなたの大望
    • ゲームのクリア条件を以下の中から選ぶ
      • 父の遺骨を探す
         父の遺骨を探すイベントをクリアすることがクリア条件となる。なお、父の遺骨のある場所はPCの過去によって異なっている。
      • ロンドンで一番偉大な冒険家となる
         アイテム「The Zong of the Zee」を作成することがクリア条件となる。

      •  所持金が €30000 を超えた状態でかつ、ロンドンに「海辺の邸宅」を保有している場合にロンドンにて「引退する」を選ぶとクリアとなる*1
      • 隠された大望
         初期は選択不可能。ゲームの途中で特定のイベントを起こすことで、こちらをクリア条件に変える事ができる。
      • 東端に到達する
         開発版に存在していた大望であり、製品版では選択できない。

ステータスパラメーター

  • アイアン
     攻撃力である。
  • ミラー
     視力のようなもので、この値が高いと攻撃時の照準計算が速くなる。
  • ベール
     見つかりにくさであり、この値が低いと敵に見つかりやすくなる。
  • ページ
     頭の良さであり、会話及び外交イベントでこの値が高いと成功確率が高くなる行動が存在する。
  • ハート
     食料の消費量を下げる。また、「食べたら毒だった」的な、主に健康に関わるイベントの成功率を上げる。

Officer

上級のクルー。上記のステータスパラメーターに影響を及ぼす。
PCの過去に応じて割り当てられた初期のOfficerら以外のOfficerを船に載せるには基本的に乗船時にそれなりの対価を払う必要があるが、定期的な給料などは発生せず、なぜか食料も消費しない。

  • マスコット
    • 主に動物のキャラクターとなっている。初期では「フェレット」がマスコットの職に就いている。
    • 他のOfficerと異なり、PCと恋愛関係に至ることはない。
    • 他のOfficerと異なり、PCのステータスパラメーターを上げる訓練を保有していない。
  • 恋愛関係になる
    • Officerと恋愛関係になると、恋愛関係中は航海中の「恐怖」パラメーターの上昇が抑えられる。
  • 訓練をする
    • アイテムを消費してPCのステータスパラメーターを上げる事ができる。
      • ただし、Officer毎に訓練で上昇させられる上限の値が決まっており、PCの過去に応じて割り当てられた初期のOfficerらはPCの訓練対象のパラメーターの値が50を越えると、もはやPCに訓練を施せなくなる。
  • Officerと話す
    • Officerの中には「望み」をもっているものがおり、例えばPCの過去に応じて割り当てられた初期のOfficerらは望みの目的地で船から下ろすと、換金アイテムを残して(そのPCのプレイ内では)永遠にいなくなってしまう。

航海

  • Engines
    • どの船にもエンジンを搭載するスロットが1つあり、そこにEngineを搭載することで船を推進することが出来る。
    • Engineには出力のパラメーターが付与されており、高価なEngineほど出力が大きく、速度が出やすいものの、出力が大きいほど燃料の消費量が増えて効率が悪くなる。
      • Officerのなかには、エンジン出力を上げる能力を有するものや、燃料効率を上げる能力を持つものが居る。
      • より高価な船では船体が重いものがあり、同じエンジンを搭載した場合、船体が重いほうが船の速度が遅くなる。
  • 船体
    • 大型の船には「FWD」「AFT」のスロットを持つものがあり、それぞれ、「FWD」にのみ搭載可能なパーツ(主に兵器)や「AFT」にのみ搭載可能なパーツ(兵器や「閉鎖区画」)を搭載できる。
    • 船体には「Hull」という耐久度が設定されており、これはアイテムやOfficerの能力などでは増強できない。
      • 戦闘などで「Hull」の値が"0"になった場合、「海の底に沈む」というイベント後にゲームオーバーとなる。
      • 防御力という概念はなく、どの船体でも特定の敵から受けるダメージはほぼ同じとなる。
      • 軽微な損傷の場合、アイテムを消費して「Hull」を修理できるが、Londonのドックで修理するよりもかなり費用対効果が悪い。
  • Terror(恐怖)
    • ホラーゲームにおけるSAN値のようなもの。ただし、ある程度プレイしてもPCの個人的な恐怖なのか、Zailor(水夫)と共有しているのかがはっきりとしない。
    • 岸から離れた所を航海しているとTerrorが貯まる他、「折り重なった霧」の中では陸地の沿岸を航海中でもTerrorが溜まり、「折り重なった霧」の中で陸から離れた場所を航海していると普段以上の早さでTerrorが貯まる。
    • 航海中に100まで貯まると水夫による反乱イベントが生じる。それ以下では特にペナルティはないのだが、25を越えると恐怖を煽るランダムイベントが出現しはじめる。
    • とある場所ではTerrorが特定の値の時しか発生しないイベントがある。
    • お金と引き換えにTerrorを減らせるイベントが各所に有り、しかも、1回の上陸で所持金の許す限り何度もTerrorを減らせるイベントを起こせる場所が大半である。
  • Something Awaits You
    • 隠しパラメーターなのだが、下記の方法である程度推理できる。
      • ゲーム画面左下に表示される「Log Book(航海日誌)」にて灯台のマークが表示されている時には「"Something Awaits You" > 0」であり、表示がない場合は「"Something Awaits You" = 0」であるとチュートリアルで教わる。
      • Log Bookに表示されている最後のフレーバーテキストの内容と "Something Awaits You"の値が実は対応しており、「配分されたビスケットから何かの甲虫が出てきた」の場合は「"Something Awaits You" = 40」である。
        ただし、1対1対応ではないフレーバーテキストがあり、「『セントエルモの踊りだ!』叫び声が上がった」は = 55 の場合と = 100 の場合とがある。
    • 航海中に、ある程度ゲーム内時間が進んだ時点で "Something Awaits You"の値がランダムに変化する。
      • ひとたび「"Something Awaits You" > 0」となると、何らかのイベントが起きない限り、自然には「"Something Awaits You" = 0」に戻らない。
    • Unter-Zeeの港に入港した時に選べるイベントの中には、「"Something Awaits You" > 0」でないと選択できないイベントがある。
      • それらのイベントを発生させると、基本的にはイベント後に「"Something Awaits You" = 0」にリセットされる。
        このため、同じイベントをもう一度起こすには、出港して「"Something Awaits You" > 0」の状態になった後に入港する必要がある。
      • 一部の「"Something Awaits You" > 0」でないと選択できないイベントでは、その結果が"Something Awaits You"によってのみ変化、確定する。
        例えば、とあるイベントでは「"Something Awaits You" = 100」のみ出現する選択肢があり、その選択肢を選ぶことでのみ得られるアイテムは結局、イベント前に「"Something Awaits You" = 100」だった時にだけ得られるということになる。
      • 同様に、"Something Awaits You"が特定の値でないとそのイベントの存在すら示されない隠しイベント的なイベントもある。

ゲームオーバー

  • イベントで死ぬ
    • 即死イベントは案外少ないものの、無い訳ではない
  • Zailor(水夫)が0人になる
    • なぜかOfficerが10人いても、水夫が0人になればゲームオーバーとなる。
      • London停泊中でも水夫が死ぬイベントが有り、「雇えばいいじゃん」と思うのだが何故か即ゲームオーバーとなる。
  • 「Hull」が0になる
    • 「海の底に沈む」イベントの後、ゲームオーバーとなる。
  • 燃料がなくなる
    • 燃料がなくなっても即ゲームオーバーとはならず、「絶望的な手段」というイベントを起こせる。
      この「絶望的な手段」のイベントにて「船を捨てる」という選択肢を選んだ場合、低確率で何処かの港に漂着する。漂着できなかった場合、死亡イベントとなる。
      何処かに漂着した場合は一番小さな船と一番安いエンジンを与えられてゲーム続行となるが、そこから巻き返すのは正直厳しい。
    • ゲーム開始直後にShopにて手持ちの燃料を全部売ると、すぐさま「絶望的な手段」というイベントを起こせる。そして、「船を捨てる」を選ぶとLondonに停泊した状態なのにどこにも漂着できずに死ぬことがある。

引き継ぎ

上記の結果、PCが死んだ場合には引き継ぎイベントが発生する。引き継ぎイベント後は再びキャラメイクとなる。

  • 通常、引き継ぐものを以下の5個の条件の中から1つ選ぶこととなる。
    • Rival
       死んだPCの持っていたIronのパラメータの半分
       + 船に搭載する武器のうち1つ
    • Pupil
       死んだPCの持っていたミラーのパラメータの半分
       + 所持金の半分
    • Salvager
       死んだPCの持っていたベールのパラメータの半分
       + 所持金の半分
    • Shipmate
       死んだPCの持っていたハートのパラメータの半分
       + Officerのうち1人
    • Correspondent
       死んだPCの持っていたページのパラメータの半分
       + 死んだPCの作った海図*2
  • 「子孫」がいる場合、上記の中から2つを選ぶことが出来る。
    • 「子孫」はロンドンに自宅が有り、かつ子供(養子でも可)がいて、その子供が「海に出たい!」と言い出すまで育てた場合に獲得できる。
    • 「子孫」は1度所持したならば永続的に効果があるが、ゲーム内のイベントにて「子孫」を失う結果となる選択肢がある。
  • 「破られることのない遺言状」を作成していた場合、Londonの自宅と、もし作っていれば「家宝」を引き継ぐことが出来る。
    • 「破られることのない遺言状」は子供がいなくとも作成可能だが、自宅が必要である。
    • 「破られることのない遺言状」は一度引き継ぎイベントを行うと無くなってしまう。
    • 「破られることのない遺言状」は、ゲーム内のイベントにてロンドンの一切合財を失うこととなった場合は自宅などとともに失われる。
  • その他、サブストーリーのイベントクリアによって入手出来るアイテムの中には、永続的に効果のある、プレイ開始時のPCのステータスパラメータにボーナスが付与されるアイテムが有る。
  • 引き継ぎとは少し意味合いが異なるが、ロンドンにて「引退する」という選択によってゲームを終えた場合は、クリア条件によってステータスパラメータにボーナスが付与される。

評価点

  • 世界観とその演出
    • 航海中は、漆黒の海を探索する心細さを十分に表現したグラフィックと、それを補強するフレーバーテキストでゾクゾクとした臨場感を演出している。
    • 各地のイベントは風変わりで気味の悪い、そして通常の価値観が通用しないものが多く、一貫して奇妙であり、先が読めないというミステリアスさもある。
  • サブイベントが豊富である
    • 幾つかの上陸地点ではイベントを重ねる毎にその島の状況が変化していく。最終的に上陸できなくなったり、逆に自分のユートピアを作れたり様々である。
    • Officerには望みが有る者がおり、単純に目的地に運んでやるだけのものだけではなく、仇を取らせたり、死の呪いを解いてやったりするイベントがある。
      • 望みを叶えることでいなくなってしまうOfficerもいれば、能力が上昇するOfficerもいる。
    • Londonが地底に落ちるはるか前に同様に地底に落ちた異民族Carnelian等との覇権争いなど、英国製らしい陰謀渦巻くイベントも有る。

問題点

  • ゲームに慣れるまでのハードルが高い
    • ゲーム起動直後に、このゲームは死んで覚えるゲームであり、よく死ぬゲームであることと、交易で儲けることは出来ない旨のメッセージが表示される。
      • ただし、引き継ぎ要素があるため、初期のプレイにて効率的に引き継ぐことだけに力を注ぐと、死ぬ度に徐々にプレイに余裕が生まれてくる。たぶん、そもそもがそういうゲームデザインなのであろう。
      • 交易で儲けるゲームではないため、常に資金に余裕がないのは確かだが、交易品ではなく船倉のスペースを取らない情報系のアイテムは気兼ねなく大量に運べるため、そこに気づくと安定した収入が得られなくもない。
  • 運要素が強すぎる
    • 基本的には交易で儲けることは出来ないゲームバランスなのだが、Mapがランダムであるため、物資が無料で複数個入手できる島と、物資を高値で買い取ってくれる島の海域ブロックが並んで出現した場合、わずかながらの利益が恒常的に見込めることがある。
    • "Something Awaits You"が特定の値でないとそのイベントの存在すら示されない隠しイベント的なイベントがあるのだが、そのイベントは一連のサイドストーリーのトリガーイベントとなっており、それにしてはイベントの出現確率(=約5%)が低すぎるのではないかと思う。

総評

昔懐かしいゲームブックをやっているようなプレイ感覚であり、特に無人島や洞窟などの探索イベントはゲームブックのプレイ感覚そのものである。
ゲーム起動直後に、このゲームは死んで覚えるゲームであり、よく死ぬゲームであることと、交易で儲けることは出来ない旨のメッセージが表示される。
実際、慣れないうちは理不尽とも感じる資金繰りの難しさに苦しめられることとなる。しかし、死んで覚えるというよりは、死んで引き継ぐゲームであると分かれば、プレイにやや余裕が出てくるので、そこからがこのゲームの本番である。
イベントの選択肢の中には即死ベントではないものの、一度選択を誤るとそのプレイ中には決してリカバーできない展開になる選択肢がいくつか有り、そうなった場合はわざと死ぬしか無い。そういう意味でも、死んで覚えるゲームである。


後の展開

  • 「Zubmarines」という潜水艦も使えるDLCが出ている。
    • Zubmarinesでしか行けない海底の探査ポイントと、関連のイベント(本編全体と比して約3割強程度の分量)が追加される。
  • 宇宙を舞台にした関連作『Sunless Skies』が2019年2月1日に正式リリースとなった。
    • 創業者の1人と多くのスタッフがFailbetter Gamesを退社したため、『Sunless Skies』の開発は予定から大幅に遅れることとなった。
    • 本作の「隠された大望」ENDの続きとなる世界観が舞台となっている。

余談

  • 本編、DLCとも有志MODによる日本語化が完了している。