マブラヴ

【まぶらう゛】

ジャンル 超王道学園アドベンチャー

対応機種 Windows 98~XP
発売・開発元 アージュ
発売日 2003年2月28日
定価 8,800円
レーティング アダルトゲーム
判定 なし
ポイント UNLIMITED編は未完
オルタへの布石
マブラヴシリーズ
マブラヴ / オルタネイティヴ

※初回版の情報のみを記載
※シリーズ作品は多岐にわたるので、派生元のみ記載。



概要

アージュから発売されたアダルトゲーム。
マルチメディアで展開される『マブラヴ』シリーズの原点である。

過去作『君がいた季節』『君が望む永遠』とは同一世界と考えられているが、キャラがカメオ出演する程度なので未プレイでも特に支障はない*1

特徴

  • システムは一般的なアドベンチャーゲーム
    • 選択肢により展開やエンディングが変わる。
  • EXTRA編
    • 最初から解禁されているルート。
    • ジャンル名が示すように、昼食や祭りなど学園を中心としたイベントが多い。
    • ヒロインはカラフルな髪型と個性的な言動で見分けがつきやすい。
  • UNLIMITED編
    • 特定のヒロインとのエンディングを見た後に「初めから」を選ぶことで解禁される。
    • 主人公が朝に目を覚ましたら周りの町並みが廃墟と化していた。戸惑いながら学園にたどり着くと、この世界は地球外生命体「BETA」からの侵略を受けた事で人類が滅亡寸前となっている*2パラレルワールドだと判明した。
    • EXTRA編のヒロイン達は一人を除き全員登場している(元の世界では主人公の悪友だった男の娘(本人は否定)も何故か本物の女性になっている)が、世界観に合わせて学園は軍事学校に代わっており、彼女らは訓練兵や教官として主人公と共に苦楽を共にし、最終的にほとんどが戦死してしまう。

評価点

  • 演出
    • 全身が描かれた立ち絵や背中を向けているものなどが用意されている。
      • 当時のノベルゲームは、バストアップか腰や膝あたりまでしか描かれていないものが多かった。
    • 背景と上手く組み合わせて、歩いたり動きを付けたりといった演出。
    • 作中作の3Dアクションゲーム「バルジャーノン」(『電脳戦機バーチャロン』のようなもの)はロボットが立体的に動いて見える。
    • これらは発売当時の水準をはるかに超えていた演出である。
  • 構成
    • EXTRA編で楽しい日常を体験し、その後にUNLIMITED編になる。
    • それにより、元の世界を取り戻したいという感覚を主人公とプレイヤーが共有できる。
    • EXTRA編で嗜んでいたゲームの知識や技術がUNLIMITED編において意外な形で活躍するという、異世界転移ものにおける楽しさの勘所を上手く押さえた展開を見ることができる。
  • ボリューム
    • EXTRA編だけでも十分ボリュームがある。それに加えてUNLIMITED編もあるのでコスパは良い。

賛否両論点

  • UNLIMITED編の存在そのもの
    • 要は「超王道学園アドベンチャー」と言う肩書は詐欺である。一応「軍事学園もの」と言えなくもないが*3、その時点で「王道学園もの」とは言えず、さらには物語が学生生活よりも軍事の方に重点が置かれ過ぎて単に「学園もの」と呼ぶのさえ厳しいだろう。「王道を超える」とは「王道とは別物(≒邪道)」と言う意味なのだろうか?
      • EXTRA編の問題点や『オルタ』の存在からも、ファンからはUNLIMITED編の方がメインと扱いされているのもその一端。
    • これでUNLIMITED編の出来が良くなければ(並みの出来でも)問題点扱いされていただろう。

問題点

  • ありきたりなEXTRA編
    • 良く言えば「王道」、悪く言えばありきたりな内容なため退屈を覚え、UNLIMITED編及び『オルタネイティヴ』の前座と感じる人もいる。
    • 超大金持ちの冥夜というキャラクターや彼女が巻き起こす騒動こそ荒唐無稽だが、各ヒロインルートの芯自体は幼馴染との間で揺れ動く三角関係、家庭問題、心の弱さの克服など地に足の着いたものに終始しがち。
  • 未完なUNLIMITED編
    • BETAの地球侵略を阻止しようとするものの、人類に勝ち目は無い状況である。
      そして反攻計画「オルタネイティヴIV」を諦めた人類は地球脱出計画「オルタネイティヴV」を発動する*4……という場面で終わる。
      • このエンディングから続くいわゆる「ループもの*5」が名作と名高い『オルタネイティヴ』である。
        しかし本作単体で見た場合はバッドエンドなので、すっきりできないだろう*6。また続編前提なので当然と言って良いのか、説明不足に感じられる点も少なくない。
    • なおアージュは「容量や納期(既に何度も発売を延期している)の問題でオルタネイティヴ編まで入れられなかった」と弁明している。

総評

優れた演出などの見所はあるが、続編ありきの作品である。単体では未完成とみなされても仕方がない。

この記事でも散々述べたように続編の『オルタネイティヴ』は非常に評価が高い。
本作は「オルタを楽しむための布石」という評価で固まっており、これに異を唱える人は少ないだろう。



続編

移植

  • DVD版(18禁)、全年齢版
    • システムや背景が改良されている。
  • Xbox360/PS3/PSV
    • CERO:Dの移植版。
  • Muv-Luv
    • SteamでのDL配信。元々は海外向けの配信を目的としたクラウドファンディングが行われた結果、目標額達成により実現したもの*7。当初はDegicaがパブリッシャーとして請け負っていたが、契約終了により一時販売停止。その後、Sekai Projectが販売権を引き継ぎ、配信が再開されている。
  • age アーカイブス ~20thBOX Edition~
    • 2020年3月27日発売。Windows 10に正式対応したバージョンの『マブラヴ』関連作品が大量に収録されている。
  • Switch
    • 『Muv-Luv 20th Odyssey Box』として『オルタナティヴ』などとセット販売された。
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  • タグ:
  • アダルトゲーム
  • アージュ

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最終更新:2024年03月28日 09:02

*1 なお本作のUNLIMITED編や『オルタネイティヴ』では両作品の主人公は既に戦死している設定。

*2 BETAとの闘いの為の徴兵で日本人男性は子供と老人を除き大多数が戦死しており、女性までもが徴兵される時代となっている。

*3 『恋愛候補生 STARLIGHT SCRAMBLE』等。また『プリズムアーク』等の所謂「騎士学園もの」みたいな例もある。

*4 BETAは宇宙空間に居る物には興味がない(月面等は別)。ただし地球を脱出できるのは一部の人間のみであり、残された者たちは更に絶望的な戦いを強いられることになる。

*5 主人公はUNLIMITED編時代の経験があるので、(肉体以外は)最初からベテラン軍人となっている。

*6 更には『オルタネイティヴ』で判明した(ループ物としての)種明かしから「UNLIMITED編のオルタネイティブVは失敗に終わったのでは」と言う考察も出ている。

*7 最終的には125万ドルの調達額を達成しており、『Muv-Luv Alternative』も同時配信されることとなった。