サウンドノベルツクール2

【さうんどのべるつくーるつー】

ジャンル サウンドノベルコンストラクションソフト

対応機種 プレイステーション
セガサターン
メディア CD-ROM
発売元 アスキー
開発元 サクセス
発売日 【PS】1997年9月25日
【SS】1997年12月18日
定価 6,090円
判定 なし
ポイント 文字入力のし辛さは相変わらず
サンプルゲームは4種類と豊富
マナビヤ発進!!
ツクールシリーズ


概要

サウンドノベルツクール』の発展型。ハードもプレイステーションとセガサターンに移した。
チュンソフト臭は相変わらずで、本作は素材が実写化したことで当時同社が手掛けていた『』を彷彿とする空気の作品が作れるように*1
インターフェースは強化されているが微々たるもので、それらの問題点の多くはあまり改善されていない。
ただしハードの性能向上に伴い、映像面は綺麗になっており、進歩はしっかりと見られる作品である。


特徴

  • 素材に付いては以下の通り。
    • 背景グラフィックは全て実写。
    • 人物の立ち絵は、シルエットの他、アニメ風のイラストによるものも用意されている。
    • 音楽ツクール かなでーる2』で作曲したBGMを使用する事もできる。
    • 選択肢による分岐やフラグによる自動分岐の他、パスワード(暗号)を入力する事も出来るようになった。

評価点

  • 前作とは異なり、なんとサンプルゲームが4種類も収録されている。これはコンシューマ版ツクールとしてはかなり異例のことである。
    • 内容もそれぞれ異なる趣があり、プレイヤーとしても飽きないバリエーション。
+ 4種類のサンプルゲーム
  • 青春アドベンチャー『卒業証書』(PS版)、お料理サウンドノベル『ユキピーの最短で三分、ヘタすりゃ三世紀クッキング』(SS版)
    • TBSラジオの番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』との連動企画で生まれた作品。番組内でストーリーを紹介し、リスナーがその後を考えて応募するという形で作られた。
    • PS版収録の『卒業証書』は「高校の卒業式の日、主人公は同級生の女子に告白をしようとするが…」という始まり方で、27通りの結末に分岐する。
      • 選択肢は全て違う結末に繋がるため、無意味な選択肢は存在しない。
      • エンディングは、感動もの・ギャグもの・不条理ものから、心底後味の悪い陰鬱ものまで、幅広く用意されている。
    • SS版収録の『ユキピーの最短で三分、ヘタすりゃ三世紀クッキング』は料理番組モチーフのほぼギャグ作品、あとパロディネタ多し。
      • PS版同様27通りの結末に分岐。話の内容は徐々に料理番組から逸脱していったり、料理するが料理しているようには思えない展開も。
      • エンディングも投げっぱなしだったり夢オチだったりかなり強引にまとめるなどある意味ひどい事になっている。
  • スリル&サスペンス『地下の記憶』
    • 記憶喪失になった青年を主人公としたシナリオ。大学の構内を舞台に、事件の謎を追う。ノベルゲーの王道である「怖いシナリオ」であるが、ホラーではなくSFもの。
    • 無駄な行動の選択肢を選ぶと、内部数値の「時間」が減って行き、一定以下になると前半の最後でバッドエンドとなる。
      • その際の「もっと早く行動していれば…」というセリフの意味に気付けないと、何度セーブポイントからコンティニューしても同じバッドエンドに辿り着く事になる。
  • ラブ&アドベンチャー『おもいでの花』
    • 恋愛アドベンチャー風のシナリオ。唯一、シルエットではなくアニメ風の立ち絵が使われている。
    • ストーリーは基本的に一本道だが、選んだ選択肢によって内部パラメータが変化していき、それに応じて複数のエンディングのどれかに辿り着く。
      • しかしこのパラメータの上がり方とエンディングの分岐条件が複雑怪奇で、「なぜこのエンディングなの?」という謎の結末に辿り着く事もザラ。
    • シナリオ自体はリーゼント頭の不良やら、それに惚れている委員長やらが登場するなど、後述する立ち絵の絵柄も相まって70~80年代の青春マンガ調
  • コミカルアドベンチャー『逆版パラダイス』
    • 雑誌『週刊ファミ通』のスタッフがリレー形式で執筆したシナリオで、2バージョンが同時収録されている。
    • ストーリー展開はとにかく行き当たりばったり、弟切草』も真っ青な支離滅裂の不条理展開を繰り広げる。
  • 素材の幅自体が増えた。
    • 後の『恋愛シミュレーションツクール』への布石(と言っても開発が異なるので関係性は薄いと思われるが)か、シルエット以外の立ち絵が増えたこと自体は悪くない要素。
  • ジャンル的にとても作りやすく、他に比べれば挫折しにくい。
  • 次世代ハードになったことで記憶媒体が持ち運び可能となり、共有しやすくなったこと。
    • セガのメモリーパックはややデータ強度に難ありなうえに多少嵩張るが、プレイステーションのメモリーカードなら持ち運びも楽。

問題点

  • 文字入力のし辛さは相変わらず。
    • 本作では平仮名から漢字へ変換することができず、文字盤から1文字ずつ拾わされる。
    • しかも、たまに同じ文字が続けて入力されてしまうバグがありストレスがたまる。
  • ボイスの声優が棒読み気味。「こらぁっ♪」「おほほほ」「たすけてくれー」
    • その為か、サンプルゲームではボイスが殆ど使われていない。
  • アニメ版立ち絵の画風が、発売時期を考慮しても泥臭い。
    • しかも顔は男も女もハンコ気味。
  • 前作同様BGMのテンポや高低を変化させられるが、その変化をエディット中は確認できなくなり、実際にプレイして聞いてみるしかなくなった。

総評

システム的には前作の正常発展型で、前作の制作方式で問題なかった人なら本作もそのまま受け入れられるだろう。
また作成すること自体には興味が無い人であっても、ノベルゲーファンなら豊富なサンプルゲームをプレイする価値はある。
とは言っても現在の目から見れば、文章スキップもフローチャートも存在しないシステムは流石に苦しいが…。


余談

  • 本作を最後に『サウンドノベルツクール』名義のソフトは発売されていない。
    • ジャンル的に似通っているためか『恋愛シミュレーションツクール』に統合され、その内部システムとして「ノベルゲーも作れる」といった形となった。
      • 「サウンドノベル」という単語がチュンソフトの登録商標*2にされてしまったこともあるのだろう。
    • また、現在はPCにおいて「ティラノビルダー」という無料のノベルゲーム開発ソフトがリリースされている為、あえて『ツクール』を発売する必要性が薄いというのもあるかもしれない。
      • ただし、2017年にはiOS/Androidで『ラノゲツクール』『ラノゲツクールR*3』(共に配信終了)が、PCで『ラノゲツクールMV』が発売されている。
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  • ツクール
  • アスキー
  • サクセス

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最終更新:2021年11月15日 20:00

*1 流石に人物グラフィックは実写ではないが。

*2 「サウンドノベルツクール」は1995年9月26日の出願で1997年10月24日に登録と「サウンドノベル」の商標登録(2001年10月19日)よりも実は早い。

*3 乙女ゲー向けのバージョン。