RPGツクールDante98 II
【あーるぴーじーつくーる だんてきゅうはち つー】
ジャンル
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RPG製作ソフト
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対応機種
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PC-9801
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発売・開発元
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アスキー
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発売日
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1996年7月
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定価
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5,500円
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判定
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なし
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ツクールシリーズリンク
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概要
『RPGツクールDante98』に続く、PC-98版『RPGツクール』2作目。
仕様と制限
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スクロール機能がついた。これにより、主人公キャラは常に画面の中心に置かれるようになった。
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その代わり、画面を固定することが出来なくなっている。
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NPCが進行方向を向くようになった。
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容量制限の緩和
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マップが1000枚まで作れるようになり、マップ1枚ごとに容量制限がある、という仕組みに変わった。普通に使っていて使い切ることはまず無い。
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HDDインストールが前提のソフトになり、作ったゲームを配布する際には、作った容量分のFDを用意して分割コピーする必要がある。ゲームを遊ぶ際にもHDDコピー必須。
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変数機能初登場。ツクール最大の革命的進化といっても過言ではない。
乱数を出力してじゃんけんやサイコロを作ることも、HPやお金の増減とは違った数字データとして管理することも、1ポイント単位のフラグスイッチとしてより複雑にイベントを分岐させることも、思いのまま。
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変数に格納できる数字は99までである。
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変数は99番までの通し番号で管理され、独自の名前をつけることは出来ず、検索機能もない。メモを確実に取っていかないと、あっという間にスパゲティコードの出来上がりである。
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対話式の条件分岐は、はい/いいえの他に、自由に文章を設定できる選択肢を4つまで作れるようになった。
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複数のイベントを同時に動かせるようになった。これにより、巨大なキャラクターをアニメーションさせることが可能。
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デフォルト素材とは別に作成したグラフィックを取り込むための枠が用意され、デフォルト素材を消さなくてもよくなった。
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マップチップは個別に通行可能・不可能の設定が出来るようになった。ほかに、下に潜る、特定方向にだけ通行可能の設定も出来るようになっている。
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ゲーム性に関わる細かい設定項目の追加
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属性の概念の追加。
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魔法や状態異常の耐性を四段階で設定できるようになった。
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プレイヤーキャラのステータスを、初期値と成長数の二つに分けて設定できるようになった。
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エンカウント率の設定を大まかにできるようになった。
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戦闘やステータス画面のメッセージを変更できるようになった。
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タイマー機能は無い。しかし、イベントの「特定の方向に移動」機能の性質を利用した疑似タイマーシステムが、ユーザーの手で開発されるようになった。カウントを取ることは出来ないが。
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デフォルト戦闘の処理スピード低下や、キーボードのzキーで決定、xキーでキャンセルが出来なくなったなど、明らかに劣化した部分もある。
評価点
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前作の不満点をほぼ完璧に解消したうえにさらに便利な機能を盛り込んだ
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変数機能により、ゲーム性に関わる部分まで(工夫次第で)深く作り込むことが可能になり、本格的な独自戦闘を制作できるようになった。
本作リリース直後に派手な独自戦闘システムを持った作品がコンテストパークで受賞しており(後述)、「ここまで出来るのか!」と驚愕したツクラーは多かった。
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大迷走を繰り返した家庭用と違って、PC版のRPGツクールが比較的にせよ安定してシリーズ展開しているのは、この作品がシリーズの方向性を明確にしたことによる部分が大きい。
作者(後述)が元々ツクールのコミュニティの出身であり、ユーザーが求めるものをよく理解していたためであろう。
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魔法やアイテムの設定をより細かく設定できる様になった。
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例えば魔法の場合だと攻撃力や精神力が威力に影響するか設定出来るようになり、戦士系の攻撃特技を疑似的に作成出来るようになった。
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アイテムも武器の命中率設定やパラメーター上昇の設定が出来る様になった。
問題点
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個人的な配布しか出来ず、ネット配布は出来ない。
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これはDante98 IIのデータをアスキーが所有している為である。
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個人間でのやり取りは可能であるが、この場合でも金銭のやり取り(販売行為)はNGである。
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細かく設定できる様になった反面、とっつきづらくなった面もあり、若干制作のハードルは上がっている。
総評
リリース時期には恵まれなかったものの、PC版ツクールの方向性を決定づけた歴史的作品。…だが、いかんせん発売タイミングが悪く、悲しいくらいに知名度がない。
機能面では、やはり「変数機能」という大発明が出色。プログラミングの世界では常識的な概念ではあるものの、それを中学校の数学を知っていれば理解できる範囲に落とし込んだセンスは特筆に値する。
たとえば、97年にリリースされた『シューティングツクール95』は、変数機能を導入してはいたものの、ゲーム制作の初期の時点で「グローバル変数」「ローカル変数」というプログラミングのレベルでの抽象概念を理解することが要求され、購入したユーザーの大半が「そもそもなにをすればいいか分からない」という状態に陥ってしまった。
Dante98 IIにおいては、説明書では応用編に説明が配置され、機能的にも数学のxの概念が分かれば使いこなせるようになっている。
現在では、Dante98と同じように、作成したゲームを遊べる公認エミュレーターが存在している。今となってはDante98 IIはツクール2000の下位互換のような内容であり、おそらくDante98のような、ある意味での新鮮さは無いだろうが、面白いゲームはそれなりに揃っている。ツクールの歴史を体験する意味でも、是非とも触れてみてほしい。
『囚人へのペル・エム・フル』など、現在でも知名度のある作品も存在するのでぜひ。
余談
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現在でも現品を入手してハード環境が整えば作成する事も可能ではあるが規約上、公式のコンテストパーク等に投稿するしか配布方法が無い為にプレイしてもらう事も困難になってしまっている。
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作者の尾島陽児は、この後ツクール2000、XPを制作。間違いなくツクール界最大の功労者である。
2chのツクラー達には、一時期「尾島神」などと呼ばれていたが、その呼び名に異論のある人は少ないだろう。
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一般的に、RPGツクール製アクションゲームといえば2000から始まったと考える人も多いが、実は本作にも存在する(コンパク1998年9月もう一歩賞獲得作品『戦伝』)。そういった意味でも、ツクール2000の前身といえる。なお、それ自体は手に入らないが、続編3作(おかわり、参る、4ever)は今でもVectorで普通にDLできる(※これらはツクール2000製である)。
Dante98 IIを取り巻く環境について
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『Dante98 II』という名前のついたソフト自体は93年ごろから発表されていたが、開発は遅れに遅れ、最終的に96年6月まで発売はずれこんでしまう。
当初制作されていたものは一度完全に破棄されたようで、最終的に第一回Aコンのオリジナルプログラム部門受賞者である尾島陽児がソフコンに投稿したプログラムを製品化することになった。
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なお、MSX版『Dante2』というソフトが既に存在していたが、こちらは『イース』風アクションRPG制作ツールであり、本作とは無関係である。更に余談だがMSX版『Dante3』の制作も発表されていたが、程なくしてアスキーがMSXから撤退してしまったので立ち消えとなってしまった。
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「ソフコン」誌上にて、ほとんどリリース直後と言っていい時期にDante98 II製ゲームが受賞していた。
使用可能なキャラクターチップ数の多さを生かしたド派手なアニメーションに、変数を駆使したサイドビュー独自戦闘と、Dante98 IIの性能を見せつける作品であった。
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Dante98 II発売から一ヶ月後という、製作期間を考えると明らかにおかしい時期での受賞であり、編集部からの依頼によって作られたものと思われる。事実上のサンプルゲームの一つと考えてもいいだろう。
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発売時期はすでにWindows 95ブームの後で、PC98が縮小を始めたころであり、さらに発売からわずか半年でRPGツクール95が登場、さらに「ソフコン」が休刊するなど、完成度とは裏腹にとりまく環境は逆風ばかりであった。
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しかし、ツクール95はDante98 IIの続編というわけではなく、どちらかというとDante98の移植版であり、演出系の機能は強化されているものの変数機能がない。
また、イベント一つにつきファイルを一つ生成する、ゲームを遊ぶ際のマウスオペレーションが蛇足、セーブ機能もWindowsのデフォルトのファイルシステムを利用するためわざわざ保管場所とファイル名を決めなければならないなどインターフェイスの練り込み不足が多く、遊びづらい面があった。
そのため、システムに凝りたいツクラーは好んでDante98 IIを使用し、かなり後までDante98 II製ゲームは作られ続けることになる。
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ところが、やがてNECがPC98市場から撤退し、Dante98 IIを使用する環境を維持することが困難になってくる。
ツクラー達は「ツクール95では機能的に物足りないが、Dante98 IIでは遊ぶことが可能な人が年々減り続ける」というジレンマに悩まされることになった。
このことは、結局RPGツクール2000の登場により、期待を大きく上回る形で解消されることになるのだが。
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RPGツクール2000は、Dante98 IIの路線を継承しつつ全ての機能を大幅に拡張させた作品であり、Dante98 IIに出来て2000に出来ないことはほぼ存在しない。
2000の登場によりDante98 IIはその役割を終えることとなった。
最終更新:2022年04月18日 09:37