ELLE
【える】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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PC-9801VX以降 X68000、FM TOWNS MSX2以降
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メディア
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フロッピーディスク4枚組
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発売・開発元
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elf
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発売日
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1991年6月13日
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定価
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7,800円(税別)
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レーティング
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アダルトゲーム
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判定
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賛否両論
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ポイント
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衝撃のエンディング
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概要
日本で初めて「アイコンクリック方式」(いわゆるポイント&クリック方式)を搭載した、アドベンチャーゲーム。
ストーリー
西暦1999年12月、世界各国間の緊張は限界に達し、最終戦争が勃発した。
核兵器を初めとする非人道的兵器が次々に使われた結果、地球上のほとんどは人間の住めない荒野と化す。
戦争の影響を辛うじて逃れた地域でわずかに生き残っていた人類は、種の存続を賭けた一大計画「メガロアース計画」を立ち上げる。
それから9年後の2008年、メガロアース計画を進めるべく世界の治安を守る組織「スナイパー」と、その妨害を目論む犯罪組織「ブラックウィドウ」は、熾烈な戦いを続けていた。
そんなある日、「スナイパー」の勤務地・メディアセンターに主人公が新しく加わった所から、物語は始まる。
システム
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画面内をクリックする事で話の進むADV
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何か反応がある場所では矢印アイコンが会話アイコンや触る手のアイコンに変わり、それらをクリックする事で話を進めていく。
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一部はコマンド選択式
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場所の移動やリスト内の選択等は、画面内で右クリックする事で移動先一覧が表示され、そこから選択する形になっている。
評価点
シナリオ
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蛭田節炸裂のシナリオ
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他の蛭田作品同様、主人公は凄腕の技術を持っているダメ人間で、特に女性やエロい物には弱いという、当時のテンプレ主人公。
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しかし慣れているだけあり話の緩急は上手くつけられており、肝心な場面ではしっかりと格好良く描かれている。
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色々な場所をクリックすると多彩な反応が返ってくるので、P&C形式の面白さの部分は良く出来ている。
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飽きさせない展開
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衝撃的な展開が続き、物語としては非常に引き込まれる。
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それだけに後述のEDが大きく賛否分かれるのだが…。
賛否両論点
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衝撃のエンディング
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シナリオのオチについては非常に賛否分かれる物になっており、好きな人は好きだが、ダメな人にはとことんダメなオチになっている。
+
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エンディングについて(重大なネタバレ有)
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実は物語の舞台は、第三者によって造られた箱庭の世界だった、というもの。
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物語の終盤、主人公は犯罪結社のボスを倒してヒロインを救出するも、その直後から主人公とヒロインを除いて、街から人間が1人もいなくなってしまう。主人公とヒロインが無人となった街を探索すると、建物や構造物のほとんどがハリボテであることがわかる。更に、それまでは近寄ると原因不明の頭痛が起きて探索ができなかった場所にも行けるようになる。
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そこで明らかになるのが、地球は数千年前に既に滅びており、主人公とヒロイン以外の登場人物はモブなども含めて全て作り物であり、舞台となっていた街も別の惑星に造られた箱庭で、そこを管理するロボット達が、二度と戦争の起きない理想郷を実現するため様々なシチュエーションを用意してその行動パターンをテストしていた……という事実だった。
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最終的に主人公とヒロインはロボット達の意向を拒絶し、彼らを破壊して新しい世界で2人で生きていくことを決める。だがその後、モニターに「繁殖」という言葉が表示され、その主人公達の行動すらも何者かの計画通りだったことを匂わせつつ、物語は幕を下ろす。
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このオチについては事前に伏線は張られているものの、SFでこういった結末にするのは反則だ、という声もあり作品の評価を落とすポイントにもなっている(高評価する声ももちろんあるが)。
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グロ描写が多い
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殺される人物が多数登場し、それらがことごとく内臓の露出したグロ描写となっている。しかも人体が爆発するシーン等。直接的なグロ描写も多い。
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物語を盛り上げる事に一役買ってはいるが、やはり苦手な人にはきつい。
問題点
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P&Cの悪い部分も出てしまっている
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話を進めるのにどこで何をすればいいかわかりづらい事も多い。
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特にHシーンで何度も同じ反応を見ながら、どこをクリックすればいいか分からなくなるのは非常に興ざめである。
総評
蛭田昌人の代表作として名が上がる事も多いが、当時から非常に評価の分かれた一作。
ミステリ要素のある展開は評価が高めな一方、ADVの要であるエンディングについては特に賛否が分かれてしまっている。
移植
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Win版『〔él〕』(2000年9月29日発売)
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3DCGムービーや、ワイヤーフレームによるデジタルマップを導入したリメイク作。
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キャラデザが川合正起に変更された他、フルボイス化もされている。
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発売時期に合わせて、物語の舞台が西暦2030年に変更された。
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2017年にDL版も発売された。
余談
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後年のインタビューで蛭田昌人自身、賛否両論だったと述べている。
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(以下、本文まま)「『L(ELLE)』の時は、エンディングがすごく衝撃的だったので、賛否両論が出ました(笑)。ところがおもしろいもので、時間がたつにつれて評価がよくなっていくんですよ。うちのアンケートハガキで、発売後、間もないうちは「こんなショッキングなゲーム出すな!」と文句言ってくる人もいたんですが、そのうち「こういうゲームがいい。パート2を出してくれ」というハガキも増えてきて。」
最終更新:2023年07月09日 15:59