Another Time Another Leaf ~鏡の中の探偵~

【あなざーたいむあなざーりーふ かがみのなかのたんてい】

ジャンル 時遷(ときうつし)アドベンチャー

対応機種 ニンテンドーDS
発売元 アークシステムワークス
開発元 キラウェア
発売日 2009年4月23日
定価 4,800円(税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
ポイント 先に進むたびに杜撰になるシナリオ
空気を読まないBGM

概要

  • 女子高生の主人公・桜音楓が鏡の中に棲む「もう一人の自分」・朱葉と共に、身の回りで起きる不可解な事件を解決していくアドベンチャーゲーム。
    • 事件は学院のみならず、交流のため訪れる修道院や南の島に遊びに行くために乗った豪華客船でも起きる。
  • ライトノベルの挿絵などで知られる夕仁がキャラデザを担当している。

評価点

  • 『ルクス・ペイン』で酷評されたシステム周りは相当改善され、一度クリアした話では既読スキップが可能になっている。バックログも搭載され、セーブスロットも8個に増えた。
  • 一つ一つが短めではあるものの、隠しエピソードも含めると11話とエピソード数が多めである。
  • 朱葉を始め、主人公の楓を取り巻くキャラクターは皆個性的な面子ばかりなので、主人公との掛け合いを聞いていると楽しめる。
  • 大団円のストーリー。
    + ネタバレ
    • 一言で言うと、この作品では 誰も死なないし消滅しない。 これは探偵ものとしては珍しいのではないだろうか。
      • 厳密に言うと、登場人物のうち一人は自殺し、もう一人は殺害された。しかしご都合主義の結果ではあるが、彼女たちは結果として生きている。主人公の相棒も(作中では)犠牲になることはなく、結果として誰一人として犠牲にならない優しい世界を構成している。
      • 当然、作中で犯罪を犯した者は逮捕される。しかし逆に言えば彼らは誰も殺めていないのである。
      • このことから、好きなキャラが殺された/消滅したショックと言うものが無いので、そういう意味ではスッキリと物語を終えることができるかもしれない。

問題点

  • 雰囲気に合わないBGM
    • 朱葉登場のシーンや調査するシーンなどの曲は特に特に雰囲気に合っていないと評される。
    • ちなみに「レッツゴー! 陰陽師」で知られる田中敬一が作曲している。
    • 効果音もおかしい。音が軽すぎる学校のチャイム、何も無い場所で鳴り続ける謎の足音(時計の針だろうか?)、「ヘロヘロヘロヘロ」と気が抜けるようなダメージ音など。
  • 自分で推理していく要素の低さ
    • 空間やセリフを切り取って様々な人に突きつけていく要素などもあるが、ヒントがあからさま過ぎる上、それ以外を突きつけても反応なし。
      • 切り取れるセリフは会話文中で赤くなっているが、そもそも1エピソードに付き2個前後と数が少なく、それを全て突き付ければ話は進むため考える必要が無い。全員に話を聞かないと進まない場面も多いため、「赤字がでたら切り取り、それを全員に突きつける」だけの作業と化している。
    • エピソードクリアとなるためには 犯人だけを当てればよく 、その過程である犯行方法の推理はどうでもいい。そのため、3人前後しかいない犯人のどれかを当てればよいことになり、難易度が非常に下がっている。
      • どれぐらい過程が無視されるか、という作中の例をあげると「近所の家電屋がマゾヒストだから自分の成績データをハッキングして消した」「犯人が自分のケータイを超能力で破壊したが、ケータイが勝手にテレポートしてゴミ箱に逃げたので騒いでいる」という推理を選んでもそのまま通ってしまう。これはこれでバカゲーとしての要素があるため一概には悪いとは言えないが、犯人が犯行方法を詳しく自供せず、まともに見える間違い選択肢もあるためプレイヤーが認識を誤ったまま先に進んでしまう可能性がある。
      • こうなってしまう原因は犯人に反論の機会が与えられていないからである。主人公が自分だけで推理を勝手に組み立てて、それを周りは無批判に受け入れる。たまたま当たっていればラッキー‥‥そんなレベルといっても差し支えない。
      • もちろん、エピソード末の評価には影響するので過程を当てる意味が無いとは言えないが。
      • また、犯行方法を推理する前にキャラたちに尋問するパートがあるのだが、それを正しくやらないと 正しい選択肢すら出ない。
  • システムが改善されたのにもかかわらず、テンポがそこそこ悪い。
    • スキップ機能を使うと、セリフを切り取らなければいけない赤文字を飛ばしてしまい、また会話しなければならなくなる。
    • 会話のやり直しも手間がかかり、話し相手が遠くにいる→話し相手が気付く→こっちに近寄る(足音を立てながらで結構時間がかかる)→Xボタンを押して突きつける‥‥をやらされることも多い。
    • 会話スキップ自体は非常に高速だが、その間にある「話し相手が近づいてくる間」は短縮できないため残念である。
    • 鏡を使って過去に戻る際も、ムービーが毎回挟まる。(スキップは可能だが、過去に戻る回数が多いのでどうしても目につく。)
    • この結果、ボリュームに比べてプレイ時間がかかっているように感じる。
  • シナリオも、最初の「学院編」はまだマシな方だが、その後に続く「修道院編」「豪華客船編」になるとたちまちにシナリオがパワーダウンしている。
    • 「学院編」でも最後の事件の真相に至った時のやり取りは、犯人より先に泣き出す校長の姿(30代だが見た目少女)などがプレイヤーの精神を冷めさせるが。犯人自体も「自分を退学にするため」に事件を起こしている点でどうにも腑に落ちないが。
    • 「修道院編」以降は、転校してきたとある人物がそのチート気味の能力を修道院に狙われたり、豪華客船で犯人に人質に取られたりと異様に出番が多くなるため、主人公のはずの楓の存在か薄くなる。
    • 「豪華客船編」最後の事件ではこれまでの「時遷」の大前提(過去に戻ることはできるが過去そのものを変えることはできない)を覆すような超展開で事件が解決して、死んだはずのキャラが生き返るというご都合主義ぶり。
      • そしてエンディングで思わせぶりに出てくる、続編に続くような展開も疑問を感じさせる。
      • 最後の最後にあるキャラの出自が明かされるが、全く話の筋には関係が無い。その割に演出は壮大なので、空回りしている感がどうしても拭えない。
  • キャラクターの行動に疑問点が残る。
    + ネタバレ
    • その中でも意味不明度が大きいのが豪華客船の搭乗員であるイローナ・セイルズである。
      • 知り合いの女児を利用して中国人乗客にストーカーまがいの脅迫事件を巻き起こすが、その動機は一切不明。また、その脅迫相手である中国人は犯罪組織の構成員であることが後に判明する。
      • しかし今度はその利用した女児が私物を盗んだため激怒。刃物を持ち出して殺害しようとした結果2人を殺人未遂、1人を実際に殺害した。
      • 明らかに刃物を持ち出して殺害するのはやりすぎである上に脅迫事件を起こす理由もなく、更には彼女は事件後失踪してしまう。
      • 脅迫事件と同時並行で起こっている事件が爆弾騒ぎであることと、主人公が「誰かにやらされたのかもしれない」と言っていることから、彼女も犯罪組織の一員の可能性もあるが憶測の域を出ない。このことから、この作品で最後に対峙する犯人であるはずなのに、彼女に対しては何も掘り下げられておらず、犯行の意味が分からない。
    • また、友達ポジションの「和泉こころ」に関しても問題行動が多い。
      • 主人公と出会ってすぐにしたことが、夜の図書室に侵入することである(当然規則違反)。その後他人の携帯電話をうっかり踏みつけて破壊し、それが学園を騒がせても謝罪せず、挙句の果てには学校の成績データを消去するという暴挙に出る。そのせいでこのゲームで 2回犯人になっている。
      • データ破壊の動機も「別の事件で濡れ衣を着せられ、人を信じられなくなった。事件を起こして退学になって家にいたい(意訳)」と言うものであり、余りにも身勝手である。
      • 確かに冤罪をかけられ辛いのは分かるが、そもそも夜の図書館に侵入したせいで疑われているため、自分のせいである。また、別の事件にて彼女を疑っていた人間は一人しかおらず、主人公と教員達はほとんど彼女を信じていた。彼女がふてくされる理由も良くわからない。
      • この事件で皆に本心を打ち明け、理解し合ったのか、これ以降は特に問題行動を起こしていない。

総評

推理ゲームとしては易しすぎる・粗がありすぎるの一言だが、推理を楽しむというよりはキャラクターを愛でる側面が強いゲームであるのは間違いない。キャラたちと波長が合うか、ストーリーの粗を気にしないかが楽しめるかどうかの境目である。

ストーリーをあえて説明不足にして、主人公関連の掘り下げは続編でするつもりだったのかもしれないが、開発元は倒産してしまったため、続編の期待は難しいだろう。


余談

  • ファミ通のクロスレビューでは同日発売のDSのアドベンチャーの中で、シルバー殿堂に近い高得点を獲得していた。
    • ファミ通のクロスレビューの得点に釣り合わないような不出来な部分が多く見られたためか、不満の声が続出した。
  • レビューサイトNDSmk2では2009年作品の中では唯一とも言える極端な低評価になっている。