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おおかみかくし

【おおかみかくし】

ジャンル ミステリーアドベンチャーノベル
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 ガイズウェア
発売日 2009年8月20日
定価 5,500円
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 なし
ポイント シナリオの肩透かしっぷり
ひぐらしの人だという期待が大きすぎた
主人公が終盤空気
全体的にはむしろ良作

概要

原案・監督を竜騎士07、キャラクターデザインはPEACH-PIT、音楽は伊藤賢治という豪華スタッフで制作されたアドベンチャーゲーム。
舞台が昭和58年、主人公が転校した直後に神社で祭りがある、神社に祀られているオオカミさま、いくつものシナリオで見えてくる事件の真相など、ストーリーや設定が竜騎士07の『ひぐらしのなく頃に』に酷似している部分が非常に多く、また表現や一部のセリフにも明らかにひぐらしを意識したものが多い。
発表当初は、ひぐらしの猟奇性を嫌う一部のユーザーからは「大丈夫か?」と不安の声をあげるものもいた。
さすがにPEACH-PIT氏の絵でひぐらしのような猟奇的展開をやられては、PEACH-PIT氏のファンとしては心中穏やかではなかっただろう。ゾンビローンのファンなら耐性はあるだろうが…。

ゲームの雰囲気の酷似っぷりと竜騎士07氏が原案というところから、大半のプレイヤーは本作がひぐらし的なものになると期待していた。しかし期待すれば期待するほど、終盤にガッカリしてしまうことになる。


問題点

  • パッケージに「読み進めるあなたを巧みにあざむく」と書かれているが、事件の真相は割と簡単に想像がつく。ひぐらしを遊んだことのあるプレイヤーなら、一章だけである程度は想像が付いてしまう。また、その真相も終盤まで引っ張るわけではなく、中盤辺りであっさり明かされるため、少なくともミステリーゲームという構成にはなっていない。
    • ひぐらしで例えるならば、鬼隠し編・綿流し編の次にすべての謎が解明される皆殺し編が始まるくらいのシナリオ展開である。もうちょっと「引き」を作ってくれても良かったような…。
    • ちなみにアニメでも中盤辺りで、大半の真相が明らかになっている。
  • 主人公が無個性で空気。竜騎士07作品の主人公が濃すぎるというのもそれに拍車をかけている。
    • シナリオによっては主人公らしい熱い行動を見せる時があるが、大半は何もせず怯えているだけ。
      • 後半になるまで事件の真相を主人公は一切知らないため、ある程度は仕方がないのだが。
    • 序盤の主人公視点のときは主人公に声がついておらず、主人公以外の視点になってからようやく声が聞けるが、ほとんど恐怖で叫んでいる声ばかりである。
    • ちなみに男のはずなのに、何故かイラストが女の子っぽい。
      • けど女性声優の声でも違和感のない容姿だとも言い切れないどっちつかず。
      • 諸事情で(老若男女満遍なく)モテモテと言う意味では中性的外見でよかった気はしなくも無いが。
    • また設定上仕方ないとはいえ、「車の中で男に襲われる」「主人公が失くした眼鏡の匂いを男が嗅いで悦に入る」というシーンが存在する。
      • 前者は腐女子の受けを狙ったのかは解からないが、こうした事件の方が下手な殺人事件より(表沙汰になりにくい分)「影響を受けた」と槍玉に挙げられる頻度は高いだろうに…(件のシーンはアニメ版でも比較的早い第3話で再現されてはいるが)。
      • 後者はあたかも「怪しい店で買った使用済みの下着の匂いを嗅ぎながら自慰する」男を客観的に見せられるような感じで、「恐怖」よりは「生理的な不快感」の方を感じてしまう。
  • 話をまとめなければならないはずの最終章がとにかく薄い。
    最終章までに事件の真相が明らかになり、黒幕の目的がはっきりし、問題の解決方法が朧気ながら判明する。話をまとめられるだけの伏線は全編に散らばっており、どのように話をまとめるのか、プレイヤーは期待をしたのだが・・・。
    • 単刀直入に言ってしまうと、最終章は話が盛り上がるシーンがほとんどない。
    • 黒幕が改心するのが異様に早い。
      • 黒幕視点のシナリオでは復讐を誓う絶対的な意思の強さを見せつけられ、さらに大半のシナリオで街を壊滅させようとさまざま行動をしてきたが、最終章では少し説得されただけであっさり改心。あれだけの復讐を決意するだけのシナリオを用意するなら、改心するプロセスをもう少し丁寧に描くべきでは。
    • 相変わらず空気の主人公。
    • 問題が根本的に解決していないエンディング。
      • トゥルーエンドというほど物事が綺麗に片付いたわけでもなく、かといってバッドエンドというほど悲観するような終わり方をせず、どこか中途半端。一般のゲームならノーマルエンドと呼んでも差支えないくらい、微妙な終わり方をする。
      • 一応、「共生」をテーマにしており、それに基づいたエンディングではあるのだが、如何せんそのテーマが伝わっているのか怪しい。
  • システム周りがやや使いにくい。
    • フローチャートはあるが、どのタイミングで分岐したのかということがわからず、ただ全体の分岐と今読み進めているシナリオの位置がわかるだけである。
    • 人物紹介や作中に出てくる語句を調べられるアクトペディアというのがあるが、マス目に無造作に追加されるだけで、どこに何の情報があるのか把握しにくい。
  • 話の舞台が昭和58年なのに、明らかに平成に入ってからの単語がキャラの台詞に入っていて違和感が有る。

評価点

  • 普段、空気の主人公が熱い活躍を見せる月痕艶女の章はシナリオは総じて評価が高い。
    • 他の章もこれくらいのクオリティなら名作だったのかもしれない。
    • この章だけ明らかに文体が違うため、この章のみ竜騎士07がシナリオを執筆していると噂があるが真偽不明。
      • スタッフロールのシナリオの項目に名前があるため、いずれかのシナリオを執筆しているはずであるが。
  • 音楽が良い。
    • 曲数こそは少ないが、さすがイトケンが担当しているだけあって名曲が多い。
    • とくにエンディングテーマになっている夕時雨は評価が高い。
      • エンディングテーマだからか、これだけサウンドテストに入っていないのが悔やまれる。
        普通は追加要素で入れてくれるようなものだが…。

総評

決して駄作ではなく、シナリオ・音楽・グラフィックすべてが平均以上である。
本作最大の不幸は『ひぐらしのなく頃に』を連想させる要素があまりにも多く、さらに竜騎士07が関わっていることからひぐらしやうみねこと同じクオリティのものを期待してしまうことである。本作にはひぐらしのような強烈などんでん返しやミスリードの類がほとんどなく、最終章で黒幕と徹底抗戦することもないため、期待を大幅に下回る非常にあっさりとした展開になってしまっている。ただ、そういった先入観さえなければ、良作には違いない。


余談

  • 本作の売上はあまり良くなかったものの、竜騎士07氏の作品ということからか、他の作品と同様に積極的にメディア展開が行われている。まず発売直後にアニメ化が発表され、さらに漫画も2誌で連載されることとなり、アンソロやラノベも出版されている。シナリオの肩透かしっぷりにガッカリしただけに、それらのメディアでの展開に注目が集まっている。
    • しかしメディアでの展開も空回りしてしまいアンソロやラノベも売れず、おおかみかくしは失敗に終わった。その後竜騎士07氏はユーザーに喧嘩を売るなどの発言を繰り返しファンを離れさせる原因を作ってしまっている。
    • 下手すると作品自体よりもアニメ劇中歌「嫦娥の八朔」のほうが認知度が高いかもしれない。
  • 本作はスタッフをウリにしているゲームであるため、ひぐらしのファンが購入している確率が高いと考えられる。そのため、何かとひぐらしと比べられることが多く、相対的に評価を落としてしまっていると言えよう。全体的にスタッフをウリにするゲームの売上や評判がいまいちパッとしないのは、その辺りに原因があるのかもしれない。
  • 本作品のセーブデータを所持していると『ときめきメモリアル4』で所持品に「嫦娥八朔」(使うと体調+10)が追加され、アイテムショップで壁紙「おおかみかくし」が購入できる。

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最終更新:2023年06月23日 21:54