アーリエル クリスタル伝説
【あーりえる くりすたるでんせつ】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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ゲームギア
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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発売日
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1991年12月13日
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定価
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4,500円
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2013年2月6日/286円(税別)
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判定
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良作
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概要
ゲームギア初期に発売されたシミュレーションRPG。全16章構成。
『モンスターメーカーシリーズ』で有名な九月姫デザインのかわいらしいキャラクターが人気を呼んだ作品。
アーリエル王国の王女エリスがガーク帝国に奪われたクリスタルを取り戻すために立ち向かうストーリー。
システム
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本作品の特長として、キャラクターには地・火・水・風の4属性が設定されており、それぞれについて有利な地形と不利な地形が分かれている。
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火・水・風の3属性については三すくみの力関係になっており、弱点属性を突くことで大ダメージを与えることができ、苦手属性でダメージを大幅に軽減可能。
本作ではこの三すくみの影響がかなり大きいため、敵の属性の見極めは非常に重要。
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属性とは別に「戦士」や「魔法使い」といった職業もついている。当然、得意とする役割やステータスも変わってくる。
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主人公及び戦士系のメンバーについてはモンスターを倒した際に捕獲することが可能で、戦闘の際に代わりに戦わせることも出来る。
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敵に関しては最初は正体不明の「ハテナマン」として表示されており、敵の正体を見破る魔法を使うか実際に戦うまで正体は不明になっているため、そのあたりの見極めも重要。
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戦闘については隣接して攻撃した場合攻撃側攻撃→防御側反撃を2回繰り返す形になる。魔法を使って遠距離攻撃する場合は防御側反撃を受けない。
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ラウンドをクリアする毎に、街での買い物や情報収集ができる。
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メンバーの装備を買って強化を図ったり、新たなメンバーを資金を払って加入させる事もできる。
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対戦ケーブルを用いた対戦モードも実装。1P側がアーリエル王国軍、2P側がガーク帝国軍として対戦する形になる。
評価点
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九月姫デザインのキャラクターは人気が高く、パッケージイラストの完成度の高さも相まってとっつきやすい。
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キャラクターの造形の可愛さやBGMの明るさも相まって、全体的にほのぼのとした雰囲気で進むのも大きい。
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ルールも単純で誰でも親しみやすい作りでありながら奥が深く、属性を有効活用して進む楽しさもある。ゲームバランスも良好。
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ゲームのテンポもよく、サクサク進められるのも良点。
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対戦モードでは初期段階でお互いのメンバーの属性がわからないようになっているため、対戦ツールとしても十分成り立っている。
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仲間モンスターのメリット
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戦闘中に仲間にしたモンスターは、仲間ユニット同様にそれぞれ属性を持っている。これを利用する事によって、仲間ユニットの弱点属性を補填しつつの戦闘が可能となる。
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今作の魔法の一つ「ダーク」は、喰らった相手の次の攻撃を無効化するという、敵に使われた場合は非常に厄介な能力を持つ。しかし、実質複数回攻撃が可能になる点を利用する事により、喰らった次のターンに仲間モンスターと入れ替えて確実に攻撃を当てる戦術も存在する。
賛否両論点
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魔法系ユニットは仲間モンスターを連れ歩けない
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今作は仲間モンスターを連れ歩ける点をウリとしているのだが、魔法系ユニットの場合はモンスターに止めを刺しても撃破後に仲間にする事が出来ない。
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マギ系のユニットは様々な属性魔法を取得する事から、モンスター無しでも十分に戦っていける。一方で、ヒーラーの場合は、攻撃手段が超低威力な通常攻撃しか持っていない上、敵に狙われた場合はモンスターを盾にできず直接攻撃を受けるしかない。ヒーラー自身の属性が地で統一されている関係上、属性相性を受けないのは幸い。
問題点
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システム面ではまだまだ粗削りな部分が見受けられる。
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仲間モンスターの扱いについては耐久力が低いため十分な活用ができるとはいいがたい。敵のレベルが低い前半戦の場合はそこまででもないが、流石に後半では敵のレベルが上昇している事も相まって、モンスターでの戦闘は気休め程度にしかならなくなる。
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戦術画面での中断ができないうえ、行動後のキャンセルもできないためゲーム中は慎重な操作が求められがち。
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経験値と報酬は敵を倒した時のみ得られるが、戦闘のやり直しができずこちらがもらえる収入は潤沢とは言えないうえに装備品や契約金も総じて高額なため基本的にカツカツの状態が続きやすい。
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ストーリー性が希薄。
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開始からして、ストーリーの概要がテキストで流れてすぐ戦場に放り出される。
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町のマップがすべて同じ上に住人のセリフも大半が役に立たない情報。
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クリスタルについてもいつの間にか入手していたという印象が強く、ストーリーについてもあまりクリスタルが関与しているところが見受けられないのもマイナス。
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敵の会話についてもほぼ皆無でキャラクター性に欠ける。
総評
ルールも単純ながら属性を考慮した戦術が求められるため、お手軽ながらもそれなりに奥が深い作品。
ゲームギアのソフトの中では比較的潤沢であり、VC配信も行われているので楽しむハードルも低いため、気軽に楽しめるSRPGとして手に取ってみるのもいいだろう。
余談
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海外では『Crystal Warriors』の名称で1992年4月に発売された。
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発売から4年後に本作の流れを汲む『ロイアルストーン 開かれし時の扉』が発売された。
最終更新:2023年11月29日 17:43