ボンバーキング シナリオ2
【ぼんばーきんぐ しなりおつー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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サンソフト(サン電子)
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発売日
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1991年8月23日
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定価
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3,300円(税別)
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判定
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良作
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ポイント
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多数の難点を改善した良リメイク 海外ではブラマスシリーズ GB移植=劣化ではない数少ない例
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ボンバーキングシリーズ ボンバーキング / シナリオ2
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ボンバーマンシリーズリンク
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概要
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1987年にファミリーコンピュータ用ゲームとしてハドソンから発売された『ボンバーキング』の続編。ナイトを操作して全9ステージ(本作ではピリオドと表記される)を攻略するのが目的。
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『シナリオ2』となっているが、ストーリーは前作と変わらず、事実上のリメイクである。
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タイトルは今で言う所の「ver.2.0」というニュアンスに近いものだろうか。
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キャラクターのデザインが硬派一徹だった前作とは対照的にコミカルな物となっている。
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元々前作は持ち込み企画だったこともあり、本作は発売元がサンソフトに変更されている。
システム
基本的なルールは前作『ボンバーキング』と同様だが一部が異なる。
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前作のアイテムは一部が削除され、続投されたアイテムも殆どが即効性の物になった。
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ストックアイテムは「ウォータープルーフ」「ランプ(前作の「キャンドル」に相当する)」「鉄下駄」の3種類。鉄下駄は、本作では針の床が追加されたがその上を一定時間ノーダメージで動ける、プルーフのダメージ床版のようなものである。
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前作の「タイムエキスパンド(ライフをある程度回復)」「マル超(一定時間無敵)」「パワーボール(ショットの射程が伸びる)」「フラッシュ(画面上の敵にダメージ)」「エクストラ(ライフ完全回復)」に相当するアイテムもあるが、前の3つはもちろん、前作ではストックアイテムだった後の2つも即効アイテムとなり、取ったその時点で効果を発揮する。
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新規に追加されたアイテムは「ターボブーツ(取得する毎に移動速度が上がる)」「1UP(残機を1増やす)」「フォース(ナイトのパワーアップ。防御力を上げる)」の3種。
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スコアの廃止。また残機制になり残機のある時に1ミスすると「パワーボール」「ターボブーツ」「フォース」の効果が1段階ずつ失われる。
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時間経過によるライフ減少は無くなったが代わりに制限時間が設けられ、時間内にクリア出来ないと強制的に1ミスとなる。
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ナイトの移動は上下左右に一マスずつとなり、これに伴い斜め移動が出来なくなった。
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爆弾の種類が増えた。但し下記3種は回数式でありストックが無くなると使えなくなる。
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ノーマルボム…前作同様起点を中心に8マスに爆発する。本作では無制限で非常に扱いやすくなった。また爆風の方向に応じて地形の半壊が表示されるのも健在。
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クロスボム…爆弾が『ボンバーマン』のように十字に爆発する。
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ハイパーボム…セットした時、ナイトの向いている方向に一直線に爆風が伸びる。射程が長く前作の「ミサイル」に近い。
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メガトンボム…起点を中心に広範囲に爆風が広がる。前作の「メガトン爆弾」とはまた異なる。
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爆弾が爆発するまでの時間が3秒程度と長くなり、爆弾をセットした際の反動も無くなった。また初期状態でも爆弾の爆風にある程度耐えられるようになった。
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階段とボーナスステージ
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階段を下りたら暗い中、明かりアイテムを頼りに敵を倒しながらアイテムを回収するのは前作同様。本作では入口と出口は同じでループする事はないが明かりを失うと戻ってくるのは困難。
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BGMは前作からの流用だが、ステージスタート曲・ステージクリア曲・ボス曲は何れも1曲に統一された。また暗闇ステージの曲は削除された。
評価点
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操作性やシステムの改善により遊びやすくなった。
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『ボンバーキング』で最も問題視されていた「爆弾が爆発するまでの時間」が長くなり、初期状態でも爆風にある程度耐えられるようになった事や爆弾セット時に後ろに弾かれなくなった事もあって自爆の危険度は大きく下がったと言える。
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他にも前作で厄介だった仕様(ボーナスエリアでハズレのブロックを壊すと他のブロックも全てハズレになる、秘宝を取らない限りクリアが出来ない)は全てカットされ、これも難易度の低下に貢献している。
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個性的なボスキャラ。
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前作のブレイン系ボスはどれも似たり寄ったりな攻撃方法だったが、うまく差別化が図られている。
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中には直接攻撃出来ないが、こちらの爆弾を食べさせて倒す3面ボス「キングレオーネ」のように撃破に一工夫必要なボスもいる。
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同じサンソフトによるファミコン版『ファンタジーゾーン』のオマージュと思しきボスも登場する。
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1面ボスと2面ボスはそれぞれ前作の「合体アメーバ」と「ドラゴン」そっくりであり、前作プレー済みのプレイヤーなら思わずニヤリとさせられるだろう。
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基本的な部分は『ボンバーキング』を踏襲しているが本作独自の要素も多く、前作経験済みのプレイヤーでも飽きる事なくプレー出来る。
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「フォース」を取得すると取得した数に応じてナイトのグラフィックが豪華になっていき『ボンバーキング』のものに近くなるギミックもあり、この演出はなかなか凝っている。
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水中から弾を撃ってくる敵や地面から突然出てくる敵まとわりついて移動速度を低下させる敵等、見た目は違えど行動パターンは全く同じだったのが多かった前作とは打って変わって雑魚敵もより個性的になった。
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全方向スクロール。従来は右へ進むだけで後戻りも出来ない仕様だったが本作は全方向で広大な舞台を巡っている実感がある。水地形も短い距離ならプルーフを使わず越せるようになっている。
賛否両論点
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斜め移動が出来なくなった為、前作に比べ敵の攻撃が避けにくくなった。代わりに移動速度が速くなったのでこの点は一長一短と言える。
問題点
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アイテムが不便になった
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前作に比べ持続時間が短めになったり、持ち運び出来なくなったり厳しい。
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暗闇ステージ
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「ランプ」は前作で言うキャンドルみたいなもので、継続時間が短いため計画的に使用していかないと途中で足りなくなる可能性がある。半永久的に画面全体を表示するアイテムは本作では登場しない。
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本作では自分が置いた爆弾すら表示されなかったり位置関係が分かり辛いなど厳しい。まあ前作にも言える事だが出入口の階段くらいは表示した方が良かったと思われる。
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ボス戦闘
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回復アイテム「エクストラ」が持ち運び出来なくなった事によりボス戦の難易度が前作より高くなった。
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本作のボスにはトリッキーな物が多いのも拍車を掛けている。一応、残機制になった事で即ゲームオーバーの危険は下がったが、リトライ時はステージの最初から+1段階ずつパワーダウンなのでゴリ押しは出来ない。
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BGM
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前作からの流用で本作オリジナルの曲はない。暗闇ステージやボス曲など削除された曲もあるのは残念。
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ただし、BGMの減少は本作に限ったことではなく、容量の都合などもありうるので仕方ないことではある。
総評
全体的に難易度が下方修正され、バランス調整がされた事で一般受けしやすくなった作品。
初期状態でも爆風に耐えつつ駆け抜け駆け破る頼もしい様はまさに「自爆王」の汚名を見事に返上した、と言っても過言ではないだろう。
元々のFC版に問題が多かったせいもあるが当時のGB移植にありがちな「劣化移植」にはならず、むしろ良化した数少ない例である。
余談
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元々持ち込み企画という事で前作も海外では『Robo Warrior』というボンバーマンとは別タイトルで発売されていたが、本作は発売元がサンソフトに変更された事に伴い、海外では同社のメタファイト/ブラスターマスターシリーズの関連作品として発売された。
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タイトルはアメリカでは『Blaster Master Boy』、ヨーロッパでは『Blaster Master Jr.』。その名の通り『超惑星戦記 メタファイト』の海外版『Blaster Master』の外伝作である。
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主人公もナイトではなく、同シリーズ主人公・ジェイソンが特殊スーツを纏った姿という事になっている。元々オリジナルのシリーズでも似たような格好で登場していたキャラなので、シリーズが変更されたにもかかわらず違和感は薄い。
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無論、ゲーム内容自体に変更は無いので、同シリーズのように戦車に乗ったり銃で戦う事は無い。
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グラフィックも基本は日本版のままなのだが、ステージ4のボスだけは蛇のようなデザインに変更されている(参照)。
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明確な理由は不明だが、一説によると元の姿が男根のように見えるからだとか。
最終更新:2023年10月09日 15:45