Hey! ピクミン

【へい ぴくみん】

ジャンル 横スクロールアクション
(公称:タッチアクション)

対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 任天堂
開発元 アーゼスト
発売日 2017年7月13日
定価 4,980円(税別)(パッケージ版/ダウンロード版)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
備考 amiibo対応
判定 なし
ポイント タッチペンで攻略する2Dのピクミン
生物・お宝図鑑の復活
無犠牲クリアの難易度高し
ピクミンシリーズリンク


概要

任天堂より発売されているAIアクション『ピクミン』シリーズの一作。『いっしょにフォト』を除くとシリーズ初の携帯機での発売となる。
これまでの作品では見下ろし型3Dアクションだったが本作では横スクロール2Dアクションとなり、シリーズで初めて外注の開発となった。


ストーリー

宇宙をまたにかけるホコタテ運送のベテラン社員、キャプテン・オリマー。今日も仕事を終え、ワープで帰宅しようとしていた。
ところがワープに失敗。ロケットは隕石にぶつかってしまい、そのまま未知の惑星へと墜落してしまう。ロケットはなんとか無事であったが、再び飛び立つために必要な「キラキラエネルギー」がなくなってしまった。必要量はなんと30000キラ。
途方に暮れていたところに見慣れた姿が…そう、この星にもピクミンが生息していたのだ。オリマーはピクミンの力を借り、30000キラのエネルギーを集める決意をするのであった。


特徴

  • 操作について
    • スライドパッド・ボタンはオリマーの移動のみに使い、それ以外は基本的に全てタッチで行う。また、左利きの人に配慮してか、ABXYボタンもそれぞれ十字ボタンとまったく同じ動作をするようになっている。
      • ピクミンを投げるには投げたい場所に画面タッチ、投げるピクミンの色変えや笛吹き、ホバー移動はアイコンをタッチすることで可能。
      • ホバー移動は宙に浮き上がり、高いところや遠くの足場に乗り移るアクション。時間制限がありそれを過ぎると強制的に下ろされてしまう。また、羽ピクミン以外はついてこられず無防備になってしまう。
      • オリマーの体力は従来のゲージ制からライフポイント制に変更。ステージ中に落ちているハート型の実を拾うことで回復が可能。
  • キラキラエネルギーとお宝
    • 『2』における借金10000ポコのように、ステージにたくさん落ちている「キラの実」と呼ばれる木の実かステージ中に2~4個(ボスステージでは1個)隠されたお宝を集め、計30000キラのエネルギーを回収することがクリアの目的となる。効率よくエネルギーを集めるためには、主に後者を回収していくことが重要となる。
    • なお、エネルギーを集めていくことで機能が回復していき、ステージのマップが見られるようになったり、オリマーのライフが増えたり、ホバーでの飛行時間が伸びたりする。
  • エリアとステージ
    • 概要で述べた通り、本作はこれまでと違い横スクロール2Dアクションとなり、「エリア・ステージ(ゲーム中では「ブロック」と表記)を選んで攻略することで次のステージが出現し、エリアの最後に登場するボスを倒すことで次のエリアへ進める」形式になっている。
    • ステージ中ではピクミンを集めて敵を倒しお宝やキラの実を入手し、ゴール地点にいるドルフィン2号機の探査ポッドに回収してもらうことでクリアとなる。一部のステージでは分岐ゴールが存在し、隠しステージ的なコースに行ける。
      • なお、従来と違い倒した敵はその場で消滅する(敵によってはお宝・キラの実を残していく)。
    • また、エリア内には「寄り道ポイント」「キラキラの泉」と呼ばれるポイントが存在。それぞれペレットやamiibo(対応amiibo使用時のみ)を回収してピクミンを増やしたり、キラキラエネルギーを回収したりできる。
  • ピクミンについて
    • 今作で登場するピクミンは『3』に登場した5種類となっている。
      • 赤ピクミン:火に強く攻撃力が高い。一部の燃えた地面を踏み消して通れるようにしてくれる。なお、赤ピクミンにしか突破できないギミックが実装されたのは本作が初となる。
      • 黄ピクミン:電気に強く、高いところまで投げられる。一部の通電ギミックを作動させたり、電撃ゲートを破壊できる。
      • 青ピクミン:水中でも溺れない。本作では水中を泳ぐ場面があるが、そこでも泳いで着いてくる。
      • 岩ピクミン:水晶などを破壊でき、土の壁に投げつけると貫通する。なお、押し潰し攻撃への耐性は本作ではなくなっている。
      • 羽ピクミン:背中の羽で空を飛び、オリマーがホバーした先にも着いてくる。オリマーが高所から落下した時は、掴んでパラシュートのようにゆっくりと降下させてくれる。
    • ステージ内で隠れていたり各自好き勝手に行動しており、オリマーが近づいたり笛で呼ぶことで仲間になり後ろを着いてくる。投げつけると敵に攻撃したり、触れたものを運搬してくれる(複数色のピクミンを連れている場合は、アイコンをタッチすることで投げるピクミンの色を変えられる)。なお、投げられたピクミンは基本的にはオリマーのもとへ戻ってくるが、距離が離れすぎているとフリーピクミンとなる。
      • 各ステージ中では最大で20匹のピクミンと出会える。全員と出会い、1匹も死なせずにクリアすることでノーミスクリア達成のマークがつく。
      • ピクミンの葉、蕾、花については、連れている数が増えることで成長するシステムに変更(成長すると足が速くなる)。逆に数が減ると蕾や葉に戻ってしまう。
      • 今作ではフリーピクミンは「オリマーとはぐれた」という扱いになり、そのまま放っておくといなくなってしまう。
    • 広場
      • ステージで出会ったピクミンはここへ連れ帰ることとなる。広場にもキラキラエネルギーの反応があるため、それらを連れ帰ったピクミンに探索してもらうのが主な目的となる。
      • なお、各色のピクミンでしか探索できない場所があるので、探索をすべて終わらせるためには全色のピクミンの力が必要。
  • 生物・お宝図鑑
    • 『2』にあった生物図鑑、お宝図鑑が復活。後述の対応amiiboを使用した場合はそれらもお宝として記録される(通常のお宝とは別として扱われる)。
    • ただし、『2』と収録内容は異なる。
  • amiiboとの連動
    • ピクミンのamiiboの他、『スマブラ』シリーズのオリマーなどのamiiboに対応。エリアで使うことでゲーム内にもamiiboが出現し、それを回収することでキラキラエネルギーが増やせる(対応amiiboのみ。また、ピクミンamiiboの場合はほかの種類のamiiboもゲーム内に出現する)。
      • ステージ内ではピクミン、及びオリマーのamiiboにのみ対応。どこでもピクミンを呼び出すことができ、ピクミンのamiiboであれば広場でレベルアップを行うことで呼び出せる回数を増やせる。

評価点

  • 2Dながら、しっかり『ピクミン』らしさ満載のゲームができている
    • ところどころ変更点はあるが、ピクミンの力を借りて謎を解き、原生生物と戦い、お宝を回収する…といったピクミンシリーズの特徴・魅力はしっかり押さえている。グラフィック・BGMなどもシリーズの雰囲気をほとんど崩していない。
  • 多彩なステージの面白さ
    • 5色のピクミン、多種多様な原生生物、各種のギミックが登場し、バラエティ溢れるステージを楽しむことができる。これは基本ステージ数が少なかった過去シリーズにはなかった要素。
    • 中には強制スクロールや背景の手出しできない生物に妨害を受けるなど、2D・ステージクリア制ならではの要素も。
  • 図鑑の復活
    • 『2』で登場し、ネタが豊富で世界観にも深みを与えることから人気の高かった図鑑が復活。そちらと同じくオリマーによる命名・解説がなされており、しっかりと書き込まれている。
    • これに伴い、『3』から続投されたウオノコとエボシトバシにもそれぞれ和名と科が新たに設定された。
    • お宝・原生生物ともに種類が豊富なので眺めているだけでも楽しい。お宝の中にはファミコン・ゲームボーイ世代には懐かしく感じられるものも…。
    • また、対応amiiboを使用した場合はそれがゲーム内でお宝として出現するため、それらの名称・解説なども楽しめる。

賛否両論点

  • 難易度の低さ
    • 過去作ではピクミンが全滅すると強制的に一日が終わったり、時間制限があったりとシビアな一面があったが、今回は手持ちのピクミンが減ったり、全滅しても再度補充することができ*1、ゲームオーバーになる条件は「オリマーのライフが尽きたり、穴に落ちるなどしてミスになる(ボスステージのみ、ピクミン全滅でもゲームオーバーとなる)」ことのみ。そのため、初心者でもクリア自体は容易。時間制限もなく(それ以前に時間の概念がない)、じっくりといろんなステージの謎解きや戦闘、お宝集めに集中できる。
      • また、敵は全体的に弱めで適当に投げてるだけで倒せる程弱く、ボス戦もパターンを覚えれば、ほぼ確実に無犠牲で勝てる。
      • どうしてもゴールがわからなかったり、同じステージでゲームオーバーを繰り返した場合も、探査ポッドが「次に進む道を見つけた」という名目でステージを無視して先に進むことができる(ボスステージを除く)。
      • これらに関し、初心者経験者問わず「簡単すぎる」という批判も少なくない。
    • ただし、ノーミスクリアを目指すとなると話は別になる(後述)。
  • 過去作との設定的な齟齬
    • 「率いるリーダーとなる存在がいなければ非常にか弱い存在であるピクミンがなぜ自力で暮らしており、(やり直しの手間を省くゲーム的な事情があるとはいえ)いくらでも補充できるのか」など、細かい突っ込みどころがいくつかある。
      • これに関しては『1』のエンディング及び『2』での赤と青はリーダー不在で原生生物と戦う様子を見せているため全く暮らしていけないわけではない描写はなされている。
    • また、「コブタドックリ」「ヤキコチャッピー」と呼ばれる生物が登場するが、それぞれ大きさは普通のブタドックリ、普通のヤキチャッピーとほとんど同じ。全然小型でない*2
    • なお、これに関連して「クイーントビンコ」と呼ばれる、大量のトビンコを率いるまさに女王蜂のような原生生物に関して、1のエンディングの「ヒメアギト科ではトビンコのオスのみが羽根を持つ。」と矛盾しているとされ、『3デラックス』で整合性を取るように図鑑が変更されたとの勘違いがあるが、実際には2の時点で「ヒメアギト科の大多数は羽を持たない」とされており、特に齟齬はない。
  • ピクミンのコミカルさ
    • 本作ではピクミンと出会ったり、冒険している途中に短いムービーが流れることがあるが、それらで見せるしぐさがとてもユニークで見ていて飽きない(これ以前に3DS、WiiUで配信されているアニメ版のものに近い)。キラの実を見つけてはしゃいだり、原生生物に追い回されたり、ステージに置いてあるもので遊んだり…ハマる人であればそのかわいさに引き込まれること間違いなし。一部は公式サイトでも見られるので、気になる人はチェックしてみよう。
      • 一方で初期にあった無機質な印象が薄れてしまったことを残念がるプレイヤーもいる。
    • なお、これらのムービーはステージギミックの解法のヒントを教えてくれている場合があり、初回のみスキップ不可。2回目以降はスキップ可能なので、周回プレイ時のテンポの阻害にはなりにくい。
  • 敵キャラの大半が新規であること。
    • 過去作とは別の星とはいえ、やはりお馴染みの敵キャラクターが申し訳程度にしか出ないのは寂しく感じる。
    • デザインはそこまで浮いていないことや、スタッフの意欲が感じられるのは評価できる。

問題点

  • 一部要素の簡略化
    • 運ぶ・増やす・引っこ抜くなどが該当。特に「引っこ抜く」要素は全く登場しない。
      • ピクミンは道なりに進むだけで勝手に仲間になる。敵は倒すと消滅してしまう上、ペレット草も存在しないので自由に増やす楽しみに欠ける。寄り道ポイントでペレットを回収した時も「広場のピクミンが増えました!」とメッセージが出るのみと非常に簡素。
    • お宝もオリマーが触れるだけで回収できてしまう上、演出も簡素なので頑張ってお宝を集めていることを実感しにくい。
  • ボリュームはやや不足気味
    • ステージの総数は49(ボス戦のみのステージを含む)だが、1ステージ攻略にかかる時間は長くて20分程度。これをクリアし終え、お宝回収、及び無犠牲クリアを達成してしまうとやることがなくなってしまう。過去作にあったチャレンジモードやミッションモードなども収録されていない。
      • 一応ピクミンやエネルギーをひたすら増やしたりすることはできるが、ほとんど何の意味もないためモチベーションは保ちにくい。
  • 単調な内容
    • ピクミンは大半のステージで1、2色、よくて3色しか仲間にならず、状況に応じて使い分ける要素が希薄。
    • ステージギミックもパターンが少なめで使いまわしも多い。キラの実集めも単純で、お宝だけでよかったのではないかという指摘もある。
    • 広場の探索についても、ピクミンを探索させたい場所に向かわせた後は放置するだけ。さらに、最初に表示されている5エリアを探しきるとそれで終わりと薄さが否めない。
    • 上ではボリューム不足とは言ったものの、人によってはクリアだけでも苦行に感じるかもしれない。
  • テンポの悪さ
    • 前述の通り、ピクミンが仲間になる際ムービーが挿入され、初めは可愛らしく感じるが、各ステージごとに数回となるとさすがに煩わしい。初回でもスキップできるようにしてほしかったところ。
    • 敵を倒さないと次に進めない場面が多く、過去作のように多少の犠牲を承知で無理やり通り抜けるゴリ押しが効きづらいのも難点。
  • ピクミンの死にやすさ
    • 今作では一部の状況を除き、ピクミンにダメージが入る=死亡となっている。過去作では食べられても死ぬまでに猶予があり、救出のチャンスがあったが本作では食べられれば即死。さらに相手によっては触れただけで死ぬ
      • 最たる例がヒトクチパンモドキ
        行動自体はひたすら歩き回り、近付いてきたピクミンを捕食してくる単純なものだが、口元に常に攻撃判定があるため、ピクミンを投げ当てて倒すのを失敗しただけでピクミンが口元に触れて即死する。体が小さいためにやや当てづらく、ゲームが2Dであるために無視して進む、といったこともほとんどできない。
        さらに厄介なことに、この敵は非常に多くのステージで出現し、2、3匹で群れを成してくることも珍しくない。
    • 無犠牲クリアの難易度が高い
      • 特に、潰される危険もある上への強制スクロール+落下してくるヒトクチパンモドキのコンボで攻めてくる「3-X 見上げる大穴」、当たるとひるんで行動不能になる大粒の雨が降ってくる中で原生生物の対処もしなければならない「5-C 大雨のうたげ」、巨大原生生物の背に乗って移動し、その間常に慣性がかかるため普段以上にピクミンを当てづらい「8-D 巨大な背に乗って」、落ちれば即死の毒の池を狭い缶に乗って進み、絶え間なく火山弾・ヒトクチパンモドキ・その他生物の猛攻に耐えなければならない「8-X 真っ赤に燃える毒沼」などは多くのプレイヤーが辛酸を舐めた。
    • ただし、無犠牲クリアすることによるメリットはただ単に達成マークがつくことだけなのが唯一の救い。また、お宝回収と並行する必要はないので、「どれだけ犠牲を出してでもひとまずお宝を回収→最短ルートで極力戦闘を避けて無犠牲クリアを狙う」という戦略で難易度を抑えることはできる。
  • タッチ操作がメインであること
    • タッチペンとパッド/ボタンでの同時操作は操作しづらく煩わしい。

総評

本作は全体的に単調でややテンポは悪く、やりこみ要素は一部苦行レベルであるなどこれまでの本編作品と違い手放しに誉めることは難しい。
しかしながら、携帯機であるためにどこでも手軽にピクミンを楽しめる作品であり、クリアするだけならそこまでシビアでもないため、小さい子供や初心者でも親しみやすい。
本編の難しさに断念したプレイヤーやピクミンを愛でたいファン向けといったところか。


余談

  • 基本的にはタッチ操作の下画面がメインとなり進行するが、ステージの表示に上下2画面をフル活用している関係上、本作は立体視に非対応である。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ピクミン
  • ACT
  • 任天堂

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年09月20日 18:52

*1 ピクミンが潜んでいる草むらなどにいつの間にかまたピクミンが隠れているため呼んで仲間にできる。

*2 逆に普通のチャッピー、普通のブタドックリはかなり巨大化しエリアボスに昇格しており、ダイオウデメマダラと比べても遜色ない。