蚊2 レッツゴーハワイ

【かつー れっつごーはわい】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション2
発売元 Sony Computer Entertainment
開発元 ズーム
発売日 2003年7月3日
定価 5,800円(税別)
配信 ゲームアーカイブス
2015年4月15日 /1,200円
判定 バカゲー
ポイント ハワイで吸血&治療
更に超人化した人間達
蚊 シリーズ
1 / 2


WARNING!!!!!!!

このゲームにはかゆくなる表現が含まれています。 *1


概要

PS2初期のバカゲー『』の続編。
タイトル通り今回の舞台はハワイであり、プレイヤーは再び蚊となって人間達から吸血しまくる。
今回のターゲットは前作の山田家3人に加え、ハワイ在住のブラウン家を加えた6人。
舞台を一新しただけではなく、システム面でも変更が施されている。


ストーリー

前作の蚊騒動から2年。カネヨが商店街の福引で当てた「ハワイホームステイの旅」により、山田一家は急遽ハワイに飛び立つ事に。
しかしその荷物には、あの蚊が紛れ込んでいた。蚊には目的があった。
「スペシャルサッキングスポット」と呼ばれる難所より吸血する事で、未知の生命力を得る事である。
果たして蚊は異国の地にて目的を果たし、生きて日本に戻ってくる事が出来るだろうか?

一方、ホームステイ先のブラウン家も同じく蚊に悩まされていた。
ブラウン一家は山田一家到着前に徹底的な害虫駆除を施し、家からあらゆる虫は一掃された。
だが、そんな惨劇の中でも一匹の蚊がしぶとく生き延びていたのだった。


システム

  • 前作同様、アメリカンカートゥーン調にデフォルメされた蚊を操作して人間から吸血する。基本的な操作系統は変わらない。
    • 「ステージ説明→家族会議→規定値以上吸血→クリア」と言う流れや、人間に見つかるとバトルモードに入るのも同様。
    • しかし後述するようにそれ以外のシステムには大きく変更が加えられている。
  • 今回の主人公は前作同様の「日本の蚊」とブラウン家に住み着いている「アメリカの蚊」の2匹であり、どちらを選んだかでストーリーもステージも異なる。
    • どちらを選んでも山田家、ブラウン家の両方から吸血する事になるが、最終的には日本の蚊編では山田家、アメリカの蚊編ではブラウン家との戦いが主軸となっていく。
    • ナレーションも日本語と英語の2バージョンがある。日本語のナレーションは前作に引き続き、田中敦子が担当している。

前作からの変更点

  • 吸血ポイントが無くなり、好きな場所から吸血できるようになった。
    • 単に自由度が上がっただけではなく、後述のツボを探す為にも必要な要素となっている。
    • 但し、場所によって効率的な吸血速度が異なったり、すぐに人間に振り払われて満足に吸えない事も。
  • ツボの刺激による体調改善がステージのノルマに追加された。
    • 各ステージのターゲットは色々と体調不良を抱えており、吸血するだけではなくツボを刺激して体調を改善しなければクリアできない。
    • ツボは最初は場所が分からず、吸血によって近くのツボを発見する事ができる。一度発見したツボは光点で表示される他、メインメニューから参照できる。
    • 体調改善には、該当する症状に効くツボ付近を吸血するか、バトルモードで直接ツボを突けば良い。当然、服の上からは刺せないので、服に隠れているツボはバトルでしか突けない。
    • 今更だが、蚊がそんな事をする訳がなく出来る訳もない、そもそもそんな事をする必要など無い、などと突っ込まない方が後々楽である。きっと吸血させてくれたお礼なのだろう。
  • ストレスメーターと吸血時のバランスゲージが廃止され、近付き易くなった。
    • 但し、顔の近くを飛ぶなどで発見されればバトルモードに入る。また、吸血時の反撃のタイミングは早くなっている。
    • 今回は吸血中に「気」を貯めてから攻撃してくる事がある。避けるのは簡単だが、ギリギリまで粘ればボーナススコアが得られる。
      • その場合は避けても目からサーチビームを出してしばらく蚊を捜索するようになる。ここでサーチビームに引っ掛かってもバトルに突入する。
      • 一部の人間は「話し合おう」「怒ってないから」などと言うものの、当然それは建前で、いざ発見されると手の平を返して襲い掛かってくる。所詮、人間と蚊が分かり合う事など不可能なのだ。
    • また、「挑発」が可能になり、人間の近くで行えば任意でバトルに入れる。
  • バトルモードは人間もHP制(ストレスゲージ)になった。
    • リラックスポイントは廃止され、発見済みのツボを攻撃するシステムとなっている。
    • 前作と違って発見済みのツボであれば何度でも攻撃可能だが、同じツボばかり攻撃しているとダメージが小さくなっていく。
  • 前作では近距離で攻撃されるとスローモーションになる演出があったが、今回は無い。
    • 前作とは違った意味でスリルがあり、喰らった時の衝撃も大きい。
  • バトルモードのタイム制が廃止され、蚊のカラーバリエーションはステージ中のカラーコインを集める事で増えるようになった。
  • 蚊のライフがゲージ制になった。ハートリングは無くなり、ライフを上げるにはステージ中にある「いのちのもと」を入手する必要がある。
    • いのちのもとはコップの水に沈んでおり、取る為には吸血によって太る必要がある。蚊は水に潜れないとは突っ込まないように
    • 但し、運が悪いと一回叩かれて即死する事も有り得る。
  • 死んでも即座に復活できる「復活メダル」が登場した。
  • 難易度が「かんたん」「むずかしい」から選択可能になった。それに伴い、EXタンクも高難易度の2年目も廃止された。
  • スタミナの概念の追加。飛行していると低下し、無くなると一旦停止してしまう。立ち止まればすぐに回復する。
  • 人間から得た血でステータスアップが可能になった。クリア済みのステージでも新たに血のストックは可能。
  • 家族会議は前作ではステージ開始前に再生されていたが、今回はステージ選択画面から任意で観る事が出来る。
    • また、一ステージにつき山田家とブラウン家の両方の会議が用意されている。
  • 難所吸血スポット「スペシャルサッキングスポット(S.S.S.)」が登場。
    • 特定のステージでノルマを達成すると吸血可能になり、これもクリアしなければステージクリアにならない。
    • 吸血速度が遅く、必要量も多い上、ここに取り付くだけで人間が無意識に攻撃態勢に入ると言う正に難所である。
    • S.S.S.に取り付くと「心して吸って下さい」と言うナレーションが入り、汗握る緊迫のBGMが流れる*2

評価点

  • 前作からの改善
    • 主人公が2匹になった事でステージ数が増え、ボリュームが増した。
      • 前作は全13ステージ。今回は蚊一匹につき、ボーナスステージ込みで13ステージであり、実質2倍近いボリュームとなった。
    • 180度ターンの際、前作のような無駄な動きが入らずその場で即座に回転するようになった。
    • 障害物にぶつかっても怯まず、ガンガンうるさい思いをしなくて済む。
      • ただし、バトル中の人間にぶつかった時は前作同様に怯む。
  • 異様に高いクオリティのBGM
    • 蚊が主人公のバカゲーとはとても思えないほどBGMのクオリティが高い。
    • 前作では怪獣映画チックな壮大な曲が多かったバトル曲だが、今回は打って変わって熱くノリのいいBGMが揃っており、特に健一、ジョン戦の曲は燃え上がる。他もいずれも戦意を高揚させてくれるものばかりであり、巨体を相手にするゲーム性と相俟って、思わず興奮してしまうほど。
      • ラストバトルの曲に至っては大作RPGのラスボス曲と言われても全く違和感が無いほどの壮大さである。
      • 尚、麗奈戦の曲調は前作の路線を引き継いでいる。
    • 非戦闘曲もその場のムードに実に合った曲が揃っている。ハワイらしい常夏感が漂う曲や、中年親父の鬱屈とした感じが出てる健一ステージの曲、優雅なジョンステージの曲など、いずれも高品質。
  • 演出・グラフィックも向上している
    • キャラの口パクが可能になり、前作では鼻から上しか映らなかった家族会議も、状況に応じてアングルが変わるようになった。
    • 健一、カネヨはあまり変わらないが、麗奈は成長して前作よりも美人になっている。若干ケバくもなったが
    • 前作に続いて入浴ステージもばっちり完備。今回はアイテムを集めるサービスステージという扱いで吸血の必要はなく、麗奈とエリスの2人分を堪能できる。
    • ムービー時の肘や膝がゴム状に見えるシーンもあったりと、粗も無い訳ではないが。

バカゲー要素

  • 前作は当初は普通の流れで徐々にぶっ飛んだ展開になって行ったが、今回は初っ端からバカバカしさ全開で、まるで吹っ切れたように飛ばしている。
    • まず日本の蚊編のオープニングからして映画『THE ROCK』そのままの壮大なパロディムービーから始まる。なんと大袈裟な…。
    • アメリカの蚊編も家中を殺虫剤で充満させるという異様なシーンから始まり、ブラウン家の危険性の片鱗を味わう事になる。
  • 今回のターゲットもやはり超人揃い。前作で既に超人だった山田家は更に超人化。最早、人外の域にまで達している。
    • カネヨはストーリー中に雷に打たれて丸コゲのアフロヘアーに豹変。その影響で最終決戦では雷撃を放つ必殺技を繰り出してくる。元の身体能力の異常さも加わって完全に人外化している。
    • 両親に比べればまだ人間をやめていなかった麗奈もオープニングで扉を蹴り壊し、その扉が壁に突き刺さるというぶっ飛びぶり。さらに最終決戦では「マジカル麗奈」と言う魔法で攻撃してくる。いい歳扱いてまさかの魔法少女化である*3
      • しかもスタッフロールでは魔法少女風のコスチュームで登場。何故その恰好でラストバトルに来なかったのか。
      • また、今回はバトルでダメージを受ける度に喘ぐ。これなんてエロゲ?
    • 健一は前作よりもかなりのおとぼけキャラになっているが、最終決戦ではやはり数々の新必殺技を引っ提げて登場。拡散追尾レーザーに、時間差で大爆発を起こす波動弾はおろか、隕石を降らせる技まで持つ。人外と呼ぶのも憚られる魔人と化してしまっている。
  • 新登場のブラウン家も山田家に劣らぬ危険一家である。
    • 妻のリンダは一見、上品な夫人だが実は攻撃的なダークサイドの持ち主で、銃刀類の扱いに長けている。夕飯の支度をしながら鼻歌混じりにコンバットナイフを研ぐ姿は完全にサイコパスである。
      • そして決戦ではガスマスクを装着してマシンガン型殺虫剤を携えて登場する。必殺技は(キッチンの)テーブルの上から殺虫剤マシンガンを乱射する「サイコ・リンダ」…正にサイコ。しかもエフェクトはどう見ても本物のマシンガンを撃っているようにしか見えない。
    • 娘のエリスはヘビメタ好きでボーイフレンドが何人もいたりと、いかにも海外ドラマ辺りに出そうなティーンエイジャー。スタイルも良いこのゲームの綺麗所の一人で、ブラウン家ではまだ普通の娘である。
      • …と思いきや、投げキッスでハートを飛ばして攻撃したりと、やはり変。しかも技名は「フェロモンアタック」…それは攻撃なのだろうか?
    • 世帯主のジョンは人当たりの良い親日家で、言葉の通じないなりに山田家に親身に接する。マッチョな肉体とビジネスで成功する知性を併せ持つナイスガイである。…と、ここまでなら非の打ちどころの無い人物だが、その実態は常にパンツ一丁で肉体を披露し続け、何の脈絡も無く突然ポーズを取る変態である*4
      • よって、彼のステージでは嫌と言うほどその肉体を見せつけられ、ほぼ全身から吸血し放題と言うサービスぶりである。そっちの気がある人も安心。
      • なお、胸や背中を晒しているのは彼だけなので、その近辺のツボを探すチャンスだったりする…あまり嬉しくは無いが。
      • 見た目だけではなく、コンクリートの床にフジヤマ火山を隆起させて噴火させるなど、健一にも劣らぬ人智を越えた魔人である。類は友を呼ぶと言う事か…。
      • 彼の日本語の勉強は必聴。ニンジャ ガ バナナ ヲ タベマシタ ニンジャー
  • ストーリーもおバカ全開だが、せっかくハワイに来たのに事情が重なってどこにも行けない山田家の悲哀や、言葉が通じないなりに理解を深めようと努める(そして見事にすれ違う)両家の姿はバカバカしくも微笑ましさがある。
  • そもそもS.S.S.の設定も「最も美味な血を味わえるとともに、全てを制覇した者は蚊の世界の英雄として称えられ、更に強力な生命力を手に入れる事が出来る。今まで何匹もの蚊がそれに挑戦し、散っていった」というもの。どんな世界だよ!
    • ただのネタかと思いきや、そこから得られる恐るべき生命力はエンディングで実証される。
  • ナレーションもパワーアップ。丁寧だが今回は妙に皮肉が利いている。
    • 今回は死亡すると「儚い一生でした」「短いお付き合いでした」と妙にドライな態度を見せる。
      • また、死亡する度に「圧死」「毒死」などと死因も表示されるように。必殺技で死ぬと蚊では有り得ない死因に…。

問題点

  • ツボを刺激して体調不良を治すシステムだが、これが煩雑で本作のバランスを傾かせている。
    • どのツボが効くのかは実際にそのポイントに立つか、バトルでロックオンしない限り分からない。
    • 発見済みのツボしか反応しない為、まずはツボ探しから始めなければならない。
    • しかし吸血ゲージが最大の9まで達してしまうと、もう吸血で治療はできなくなるし、それ以上ツボを発見する事が不可能に。
    • 発見したツボしかバトルで攻撃する事が出来ないので、もしも有効なツボを発見できないまま吸血ゲージが最大になるなど、最悪詰みになる事も有り得る。
    • ステージクリアに有効なツボのヒントは巻物としてステージの随所に配置されているのだが、吸血に来たはずなのに巻物探しから始めるのも妙な話である。
      • また、入手した巻物を後で読み返す事も出来ない。
    • ツボビューアーはあるものの、メインメニューからしか参照できない上、どこを治療すればよいのかもステージを始めなければ分からない。
    • このシステムの為、通常の吸血ノルマはツボ治療に努めているうちに自然と達成してしまう事が多く、意義が薄い。
  • S.S.S.も難所という設定通り吸血が難しく、これがあるステージは難易度が吊り上がっている。
    • 予め吸血速度を強化しておかないと普通にクリアするのも困難である。
  • 必殺技の多くが見掛け倒し。
    • 終盤の決戦では人間達の固有の必殺技を繰り出してくるのだが、いずれも発動が遅く、殆どは離れれば当たらなかったり安地が存在したりする。エフェクトが派手なだけで、よほど油断しなければ当たらないものばかりである。
  • ステージ中のギミックが無くなった。
    • 前作では電気のスイッチや携帯電話などのオブジェクトに突進する事でアクションを起こす事が出来たが、今回はそういった要素が廃止されている。
      • ストレスメーターの廃止、どこでも吸血可能、とシステムが色々変わった為、これらも必要が無くなった為と思われるが、少々寂しくもなった。
    • また、前作では風に流れる殺虫剤や蚊取り線香、殺虫剤の撒かれた床、バルサンなどのトラップもあったが、今回はトラップらしいトラップは蚊取り線香ぐらいしか無い。
  • ターゲットの偏り。
    • 6人の人間がいるのだが、そのターゲットになる人間には偏りがある。
    • 最終決戦とサービスステージを除いた通常ステージ(2シナリオ合わせて全18ステージ)を見てみると、健一とジョンが4ステージ、麗奈とエリスが3ステージ、リンダとカネヨは2ステージで、妻2人は少なく親父達に偏っている。
  • 2つのシナリオは関わりの無いパラレルワールド的な扱いであり、リンクする事は無い。特にアメリカの蚊編では日本の蚊は影も形も出てこない。
    • しかし日本の蚊編のエンディングにはアメリカの蚊が登場して握手を交わすシーンがある。このようなシーンを入れるなら、いっその事各シナリオに両方の蚊を登場させたり、同時系列に並行して展開し、両方でプレイすればストーリーの全貌が分かるような内容にすれば、このシーンも感慨深いものになりストーリーももっと面白くなったと思われるが。

総評

前作で確立したシュールな世界観を更に発展させ、新システムを引っ提げて登場した新たな蚊の物語。
しかしその新システムが逆に枷になってしまっているのも否めず、取っ付きにくさも増してしまった。
前作ほどの話題性にも恵まれず、売り上げは大きく落とし、前作と違って海外で発売される事も無かった。
それでもこのシュール&おバカなノリは健在どころかパワーアップしており、
前作が好きだった人、この類のバカバカしさに愛着を抱ける人ならば、蚊に成りきって世界一こぢんまりとしたハワイ旅行に行ってみるのも一向にアリだろう。


余談

  • 引き続き、ムヒの池田模範堂とタイアップを行っている。
    • 前作のようにローディング画面で宣伝が入る事は無くなったが、一部ステージ中にムヒS、ムヒアルファSなどが置かれているのを見る事ができる。ハワイでも使われているとは流石である。
    • このタイアップの御蔭か、本作はドラッグストア・コクミンでも販売されることが話題となった。おそらく薬局でゲームソフトが買えたのも史上初。
      • ちなみに「ムヒ」か本作のいずれかを買うと蚊をそのまんま模した「蚊トゥーシール」が特典で付いてきた。余計かゆくなりそうな…。
  • ハワイが舞台だが、住人達は全員家の中で裸足である。足から吸血しやすくする為だろうか。
  • 前作に引き続き、隠しコマンドで出現するミニゲームも用意されている。
    • 主観視点で麗奈を操作して無数の蚊に殺虫剤を浴びせてスコアを競うというもの。まさかのFPSである。
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  • 2003年
  • PS2
  • ソニー・コンピュータエンタテインメント
  • ACT

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最終更新:2022年03月03日 18:00

*1 前作に続いてゲーム起動時に表示される。

*2 しかもS.S.S.に取り付く度に同じナレーションが毎回入る。

*3 ちなみに秘密兵器として魔法少女的なステッキも持っているが、説明書によると玩具に蚊取り線香をタコ糸で括りつけただけとの事。やはり魔法は本人の特殊能力なのか…。

*4 しかも何故かポーズを取る度に拍手と山田家の称賛の声が入る。