でんぢゃらすじーさんと1000人のお友だち邪
【でんぢゃらすじーさんとせんにんのおともだちじゃ】
ジャンル
|
アクションゲーム
|
|
対応機種
|
ニンテンドー3DS
|
発売元
|
バンダイナムコゲームス
|
開発元
|
インティ・クリエイツ
|
発売日
|
2012年11月22日
|
定価
|
4,800円(税別)
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
判定
|
バカゲー
|
ポイント
|
秒間で繰り出されるギャグ アクションとしても遊べる ボリュームが薄いのが難点
|
絶体絶命でんぢゃらすじーさんシリーズ
|
概要
コロコロコミックの人気ギャグマンガ『でんぢゃらすじーさん』シリーズの6度目のゲーム化作品。『邪』としてのゲーム化は今回が初。
原作で売りだった「お友だち軍団」を前面に出した作品となっている。
なお、旧シリーズで開発に関わっていたキッズステーションは今作では関わっておらず、かの『ロックマン ゼロ』シリーズでお馴染みの「インティ・クリエイツ」が開発を担当している。
ストーリー
ある日、町でじーさんがよい行いをしているといううわさが立っていた。しかし、じーさんには心当たりはなく、孫はその噂を怪しく思う。そんな中、キケンが何よりも嫌いな科学者マモール教授が姿を現す。
彼が作ったじーさんにそっくりな謎のロボット・せーふてぃGさんの暴走によって、じーさんと固い友情で結ばれている「お友だち軍団」が、突然、ハガキに戻ってしまい、さらに町が荒野になってしまう。
町を復活させる為、そしてお友だち軍団と世界を救う為、じーさんの冒険が始まる。
(Wikipediaより引用)
システム
-
ごく普通の2D視点の横スクロールアクション。じーさんを操作してステージごとに目標を満たす。
-
じーさんは単独では雑魚の攻撃で即死するほど貧弱。お友だち軍団を集めるのが重要になる。
-
ステージ中では「まもるボックス(どう見てもポスト)」に封じられたり、あるいは普通に落ちていたり、あるいは餌でおびき寄せたりして「ハガキ」が手に入る。
-
ハガキを手に入れると「お友だち軍団」が仲間に加わる。彼らを活用するのがステージ攻略の鍵である。
-
お友だちは仲間にすると「だちション」という施設に入居し、冒険に連れ出すことが可能になる。
-
お友だちは一ステージ当たり最大で30人まで連れ出せる。その合計ステータスによりじーさんの能力も決定される。
-
お友だちにも体力が設定されており、数回攻撃を食らうと魂になってしまう。昇天しきる前に3DS本体を振れば救助可能。救助失敗すると、そのお友だちはそのステージ内では復活しない。
-
お友だちには下画面タッチ、もしくはXorAボタンで指示を出せる。Aボタンで出す指示はLorRボタンで切り替えられる。指示の使用に制限はないが、一度指示を出したお友だちは行動が完了するまで次の指示を出せない。
-
あつまるんじゃっ……お友だちをじーさんの周囲に集める。この指示はXボタン単独で出せる。遠くにいるお友だちには指示が出せないため、重要なコマンド。またステージ中の特定ポイントで使うと、一定数のお友だちがいればギミックを解除できる。
-
とつげきじゃっ……画面内にいる敵に向けてお友だちが一斉に突撃する。瞬間火力は高いが、トゲ付きの敵に対しては逆にダメージを受ける。
-
うつんじゃっ……お友だちが弾…のような何かを発射してダメージを与える。一部の障害物を破壊可能。
-
まもるんじゃっ……お友だちがバリアーとなり、じーさんを守る。一定時間は無敵になれるが、もちろんその間お友だちは攻撃に参加できない。
-
お友だちを集めることで荒廃していたじーさんの街はどんどん復興し、住民も増えてにぎやかになる。
-
施設が増えるとミニゲームが遊べたりといった特典がある。
-
すれちがい通信対応。持っていないお友だちを交換することができる。
評価点
-
初めてメインキャラクターにボイスが付いた。もちろんアニメ版と同様のキャスト。
-
じーさんや孫、校長にはそれぞれ中村大樹や恒松あゆみ、千葉繁が担当している。
-
フルカラーでアニメーションしボイスを喋る1000体のお友だち。これはちょっと壮観。
-
アニメーションと言っても「手を振る」「体を揺らす」程度ではあるが、ちゃんとお友だちごとに異なるアニメーションをするようになっており、手は抜いていない。
-
ボイスの種類は1体当たり2種類程度だが、そもそも1000人のお友だちがいるのだから、この程度でも十分すごい。
-
特に投稿して採用された読者からすると、非常に嬉しい要素だろう。
-
他にも「ちゃむらい」「りゅぬぁってゃ」「運動なら何でもおまかせ隊」といった「邪」へのリニューアル後は出番がなくなったキャラや、「オナライダー」「クトゥ屋の店長」等の非常にマニアックなキャラといった物、「おはガール」「ケシカスくん」「技々みみみ」といったコラボレーションキャラも登場する。
-
シナリオ・演出は非常におバカでノンストップで笑わせに来る。
-
タイトル画面からいきなり「スタートボタンを押して校長を崖から突き落とせ!」と指示される。単なるいつものギャグかと思いきや、実はエンディングまで繋がる伏線だったりする。
-
チュートリアルを始めると、スタートの文字が邪魔で先に進めない。文字を攻撃で吹っ飛ばして初めてゲームがスタートする。
-
チュートリアル中絶対取れないアイテムが普通にある。じーさんも「無視して先に行こう」と言う始末。
-
チュートリアルをクリアするといきなりラスボスステージに行けるようになる。ただし、クリアには特定のお友だちが必要なのでいきなり行っても引き返す他ないが。
-
町中に平然と戦車が走っている。ちなみに触れると問答無用で即死。
-
だが、その一方で「まもるんじゃっ!」発動中に体当たりすれば逆に一撃で弾き飛ばせる。孫からも「戦車弱ぇ…」と突っ込まれる。なお、これ以外にも孫は事あるごとに突っ込んでくれる。
-
お友だちを橋にして崖を渡る鬼畜じーさん。魁!!男塾じゃないんだから…
-
何の罪もない一般人の自宅が邪魔なので「とつげきじゃっ!」で平然とぶち壊すじーさん。同時にお友だちも巻き込まれて確実に死ぬ。
-
一応一般人の自宅は「うつんじゃっ!」でも破壊できる。この方法ならお友だちも巻き込まれずに済む。
だが「とつげきじゃっ!」で破壊しても先述した通り3DSを振れば復活するのでどちらで破壊しても大差はないのだが
-
ゴールポイントに「ニセ」と書かれたものがあり、踏むと爆発する。なお、後々本物のゴールなのに爆発するものも登場する(ちゃんとクリア扱いにはなる)。
-
下水ステージでは流れる足場を乗り継ぐのだが、なぜかその足場がちくわ。たまにちくわぶやロングサイズ、一口サイズも流れてくる。
-
回復アイテムはハート……と見せかけてケツ。ちなみにライフバーは普通にお友達軍団を編成すると早々に表示限界を突破し、画面端を突き破る。
-
ミニゲームで「ロケットで宇宙まで行こう!」と言われ、実際操作説明でもロケットを操作するように言われる。だが、実際にゲームを始めるとロケットがいきなり爆発、昇天するじーさんを操作することになる。
-
クリアすると、実はじーさんの夢オチだった事が判明する。
-
原作では「100万個集めると鉛筆2本と交換できる」鬼畜レートのアイテムだった「トップルちゃん人形」だが、本作ではなんと「100億個集めるとミニゲームが1回プレイできる」アイテムになっている
誰が集めるんだ。
-
原作者の家が登場するが売り地になっている。また作者のサインが障害物になっているため、火属性のお友だちを集めて跡形もなく焼き尽くさなければ先に進めない。相変わらずこのゲームのシリーズは作者への扱いが酷い。
-
なお、お友だちが足りず火力不足だとサインは燃えずに謎の「萌え」キャラに変貌してしまい、先には進めない。
-
無意味に町中に爆弾を投下できる。爆発に巻き込まれるとお友だちはどこかに吹っ飛んでしまう。ちなみにウ〇コも投下できる。ほとんどのお友だちは逃げ出すがう○こ属性のお友だち(じーさん含む)は寄って来る。
-
意外にも終盤の展開はシリアスで真面目。じーさんの言葉が心にグッと来た人も多いのではないだろうか。
-
アクションとしても骨太で出来はいい。
-
横スクロールアクションゲームに定評のあるインティ・クリエイツ社による開発ということもあり、バカゲーでありながらステージ構成や敵配置、お友だちギミックも細かく作られている。
-
基本の操作性は全体的に軽快でストレスはあまり感じない。
-
お友だちはたとえ死んでも完全に昇天するまでに3DSを揺らせば簡単に復活させられるため、30人キープはあまり難しくはない。それでも難易度の高いステージでは、削られてしまうこともある。
-
じーさんと30人のお友だちが一斉にアクションする様は見ていてなかなか爽快。
-
軍団の編成でじーさんの能力を調整でき、色々とカスタマイズ可能。限界まで移動速度に振ると、速すぎて自滅が多発するレベルまで速くなる。
-
4つの指示も的確に使い分けて進める必要があり、ちょっとした戦略性・謎解き要素もある。
-
タイムアタックのタイムは意外とシビアに設定されており、目標タイムを切るのはゲームに慣れていても結構キツイ。とはいえ、鬼畜な難易度ではなく子供でも十分達成できる程度の絶妙な難易度になっている。
-
一度ステージを抜けても、ステージ中のチェックポイントを通過していれば好きなチェックポイントから再開できる。ハガキ集めなどの際も有効利用できる。
賛否両論点
-
お友だち軍団のデザイン。
-
デザインのバリエーションが豊かなお友だち軍団であるが、下ネタ・下品ネタのオンパレードなデザインのキャラが結構な割合を占めている。他にも奇怪なクリーチャーだったり、単なる駄洒落だったりといったキャラも多い。
-
好意的に見れば、投稿してくれた読者のデザインを尊重していると言えるのだが…また前述のようにアニメーションや追加されていたり、ボイスがお友だち一人一人に用意されていたりと手を抜いているわけではない。
-
これに関しては原作の性質や世界観も絡んできているため、原作のファンかどうかで評価の分かれやすい部分でもある。
問題点
-
ゲームの根幹をなすお友だち軍団関連のシステムが欠陥だらけ。
-
まず、レベルアップのためには前述のトップルちゃん人形を10(0億)個集めて「アイツを探せ!」というミニゲームをプレイする必要があるのだが、レベルアップ対象はランダムに選ばれる。あろうことかレベル3(マックス)になったお友だちも選ばれる始末。
-
ミニゲーム自体は町中に散らばったお友だちの中から指定されたお友だちを探すだけの単純なもので、お友だちの配置も固定でガイドもあるので難しい事はないのだが、ゲームが進むと町が嫌になるぐらい広くなるので移動だけでも面倒くさくなる。さらにお友だちの数が増えるとステルスが発生し、指定された場所に行っても該当のお友だちがおらず、数秒経ってポツポツと表示される。また、「ゲベ」がお友だちとなった場合も対象になるが、「アイツを探せ!」と言われた際に表示されるアイコンが通常のゲベと走っているゲベが細くなって同時に表示され、
ガイドもゲベのいる方向以外を指して騙してくる
。
-
お友だち軍団の編成は11種類の特定の傾向で編成されたパーティーを選ぶか、「ふんわりカスタマイズ」という特定のパラメーター傾向を選んで自分で調整するかのどちらか。任意のお友だちを編成に加えることはできない。
-
これが重大な問題になるのが一部の特殊能力持ちのお友だち。「三子間弟下ヌ(さんこまでしぬ)」は原作通り仲間に加えてもステージ開始時のカウントダウンで即死する出オチキャラなのだが、このせいで編成に組み込んでしまうとお友だちが30人必要なギミックが絶対に攻略できなくなる。しかしその一方で三子間弟下ヌがメンバーにいることが隠しコマンド入力の条件でもあるため、逆に意図的に編成に入れられないのも厳しい。
-
最強さんはメンバーに加えても基本的に仲間欄には表示されず、「うつんじゃっ!」を指示すると味方殺しの凶悪レーザーを放って援護するこちらも出オチキャラ。レーザーを受けると80ダメージを受ける。同様に30人の一人としてカウントされないため、こちらもメンバーに入れた瞬間一部のギミックで確定で詰む。
-
ゲベは「とつげきじゃっ!」を指示するとオーラをまといながら画面を高速で横切る。『ストリートファイターZERO3』のラスボスが使う攻撃といえばピンと来る人もいるかもしれない。こちらも最強さんと同じくじーさんも巻き込まれ30ダメージを受けてしまうが、こちらは仲間欄としてカウントされるためギミックで詰むことはない。それでも実用は厳しいが……。
-
「だちション」は部屋番号しか表示されないトンデモ仕様で目当てのお友だちと会うのはとんでもなく困難。町中には普通にお友だちが表示されるが、こちらは選んでも特に何の反応も返さず、単なる背景と同程度の存在。
-
深刻なボリューム不足感。
-
一ステージがあまり長くないのに、全体のステージ数が多くなく、サックリと終わってしまう。
-
隠しステージもあるが、「作中に登場した敵キャラの解説ステージ」と「既存ステージを使いまわして敵を追加しただけのステージ」と目新しさに欠ける。前者のステージはクリアした特典としてゲベと最強さんをお友だち軍団に加えることができるのだが、先述した通りどちらも実用には向かない。後者のステージは今までのステージの敵配置を強化したステージを総当たりで攻略していく。故に本ゲーム内で遊べるステージの中では最長の長さなのだが、こちらにはクリア特典は存在しない。
-
ちなみに後者のステージの最深部には隠しボスがいるエリアがあるのだが...ボスは攻撃行為を一切しない上、とある個所に1回攻撃を当てるだけで撃破できてしまう。もはや(というか実際)出オチネタイベントである。
-
お友だちも割とサクサク集まってしまう。
-
テンポが悪い。
-
事あるごとに孫のツッコミが入るのだが、2回目以降もスキップできない。1回目は面白いが、繰り返されると飽きる。
-
お友だちのアクションの度にじーさんにカメラがアップし号令をかける演出が入る。頻繁に使うアクションなので、これもテンポを悪化させている。
-
特定の障害物を解除する際の演出もスキップできない。会話イベントは飛ばせるのだが…。
-
ロードがやや長く、さらに頻度も多め。
総評
バカゲーとしてのクオリティ、アクションとしての品質はどちらも平均以上でじーさんのファンなら間違いなく楽しめるものはある。
とはいえ、ボリューム不足やテンポの悪さなど目につく欠点も多い。もう少し細かな配慮をしてほしかった惜しいところもある作品である。
最終更新:2023年09月19日 00:51