マリオカート8 デラックス

【まりおかーとえいと でらっくす】

ジャンル レースゲーム
対応機種 Nintendo Switch
発売元・開発元 任天堂
発売日 2017年4月28日
定価 5,980円(税別)
判定 良作
ポイント マリオカートとしては初の『完全版』的作品
WiiU版で不評だった要素を概ね改善
バトルモードが本当の意味で復活
過去プレイヤーは悲喜こもごも
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

WiiU版『マリオカート8』から約3年経ち、Nintendo Switch用ソフトとして発売されたマリオカートシリーズの新作。
『9』ではなく『8デラックス』とあるように、本作は『8』の完全版として制作されている。そのため『8』のシステムを基に問題点の改善や要素の追加・復活が行われている。


特徴

基本的な部分は『8』とほとんど変わらないため、ここでは主に『デラックス』での追加・変更点を挙げる。

  • アイテム2個持ちの復活
    • 画面左上の所持アイテムを表示するスロットが2つに拡大された。1つアイテムを保持している状態(バナナなどを後ろに付けた状態にする必要はない)でアイテムボックスを割ると、小さい方のスロットに2つ目のアイテムがストックされる。
    • ただし『ダブルダッシュ!!』のように所持しているアイテムの順番を切り替えることはできない(ブーメランフラワー・テレサ使用時は例外)。
    • コース上の一部のアイテムボックスが、『ダブルダッシュ!!』と同様に一度に2つのアイテムを獲得できるもの(以下、「ダブルアイテムボックス」)に変更されている。
      • 1位でダブルアイテムボックスを割ると高確率でコイン+こうらかバナナになるので、独走したとしても有利にはなりづらい(コインは第1スロットにある場合下記のテレサ対策にはなるが)。
  • ハンドルアシスト機能・オートアクセル
    • マリオカートシリーズに慣れていない初心者でも安心して遊べるように追加されたシステム。どちらもカスタマイズ決定時やレース中ポーズの設定でオフにすることが可能。
      • ハンドルアシストはダートなどに突っ込もうとすると自動でコース上に方向転換する。「ハンドル」とあるが、ハンドル(ジャイロ)操作だけではなくスティック・十字キー操作でももちろん有効。ダートなどを突っ切るショートカットが出来なくなるうえ、下記のウルトラミニターボが発動しなくなるデメリットもある。
      • オートアクセルはアクセル用のボタンを押さずとも自動でボタンを押した時と同等の速度になるシステム。こちらは特に目立ったデメリットは無い。
  • ウルトラミニターボ
    • 長時間ドリフトすると火花が発生し、この状態でドリフトを終了すると短時間最高速が上がるミニターボシステムは健在だが、ミニターボ・スーパーミニターボの他に第3段階の「ウルトラミニターボ」が追加された。
    • ドリフトの時間によって火花の色が青(ミニターボ)→オレンジ(スーパー)→ピンク *1 (ウルトラ)と変わっていき、ウルトラミニターボでは2秒以上もターボ状態が続く。
    • 前述の通りハンドルアシスト機能がオンの状態だと、いくらドリフトを続けてもウルトラミニターボは発生しないようになっている。
  • バトルゲームの一新
    • 『8』では「バトルコースが一部レースコースの使い回し」「ルールはふうせんバトルのみ」とあからさまに手を抜かれたバトルゲームだが、本作では新旧のバトル専用コース8つと専用ルール5つが用意された。
      • バトル用新コースにはゲスト参戦である『Splatoon』の「デカライン高架下」が存在。アイテムスロット中の効果音が ダウニーガチャ ギアスロット抽選中のものになっていたり、バトル時間が残り1分を切ると原作のナワバリバトル同様「Now or Never!」が流れる等、他のコラボコース同様原作要素の再現が豊富。
      • バトルゲーム中にアイテムによる攻撃を受けた直後の無敵時間はレースゲームの時より若干長くなっており、理不尽に攻撃を受け続ける状態(所謂デスコン)にはなりにくくなっている。
      • 専用コースが用意された代わりに、『8』で選択できた通常のレースコースは今作ではバトルゲームで選択できなくなっている。
    • ふうせんバトル
      • アイテムを駆使して相手の風船を割って得点を稼ぐいつものルール。
      • 風船を全部割られたプレイヤーはリタイアにはならず、得点が半減し風船を3個持った状態で復活するようになった。
    • パックンVSスパイ
      • 本作の完全新規ルール。パックンチームとスパイチームに分かれ、パックンチームは制限時間内にスパイチームを全員捕まえれば勝ち、スパイチームは一人でも制限時間いっぱい逃げ切れれば勝ち。
      • パックンチームは常時アイテムのパックンフラワーを装備した状態で、このパックンフラワーの攻撃にスパイチームのプレイヤーが接触すると捕まえた扱いになる。なおこのパックンフラワーはゲッソーなど他のアイテムを食べられず味方も攻撃しない特殊仕様。
      • スパイチームはコース上の特定の場所にある檻のボタンを押すことで、その檻に捕まっていた仲間を開放することができる。
      • このルールのみチーム戦固定・参加人数が12人固定(足りない場合はCPUで補われる)となっている。
    • ドッカン!ボムへい
      • 『ダブルダッシュ!!』にあったルール。アイテムの仕様が特殊なふうせんバトルで、取得できるアイテムがボムへいのみで10個までストックでき、自分・自チームのボムへいによるダメージは受けない。
      • ボムへいを前に投げた時の挙動もこのルール独自のもので、投げる直前にLボタンを押し続けた時間が長いほどより遠くへ飛んでいく。
    • あつめてコイン
      • Wii』『7』にあったルール。コース上に散らばっているコインを回収したり、アイテムによる攻撃で相手のコインを減らしたりすることで、コインの獲得枚数1位を目指す。
    • いただきシャイン
      • 『ダブルダッシュ!!』にあったルール。コース上に1つ存在する巨大なシャインを奪ったまま走り、20カウント逃げ切ったプレイヤーが1位となる。試合が5分経過した場合はそれまでに減らしたカウントで順位が決まる。
      • シャインを持っているプレイヤーは『Splatoon』のガチホコのように移動速度が若干下がってしまう。また持った状態で攻撃を受けてしまうとシャインがどこかへ飛んでいき、プレイヤーはわずかの時間静止状態になる。
  • キャラクター・マシンパーツ・アイテムの追加・復活
    • 過去作の参戦キャラクターからクッパJr.・カロン・キングテレサが復活。新規のキャラクターとして、メタルマリオの色替えであるゴールドマリオ *2 と、『Splatoon』からのゲストであるガール・ボーイ *3 が追加された。
      • ゴールドマリオのみ隠しキャラで、他のキャラは初期状態で選択可能。
    • マシンにクッパクラウン(カート)・スプラバギー(バギー)・トルネード(バギー)の3種が追加された。
    • 『8』に登場したキャラクター・マシンパーツ・レースコースなどは全て引き続き登場し、ほとんどが初期状態で選択可能。
      • キャラクターは、当時の隠しキャラクター、DLCで追加されたキャラクター、ヨッシーとヘイホーのカラーバリエーション等も含めて全て初期状態で使用可能になっている。
      • 追加パーツ(メルセデスとのコラボを含む)は初期状態もしくはコインの獲得枚数による解放で全て使用可能。パーツ獲得に必要なコインも最大5000枚と『8』から半減している。
      • レースコースは『8』で登場したもの(DLC含む)の全てが初期状態で選択可能。
    • アイテムは『8』に登場したもの全てに加え、テレサ・ハネが復活した。
      • テレサは他のプレイヤーのアイテムを奪いつつ一定時間透明(無敵状態)になれる。透明中は他のプレイヤーや設置されているバナナなどをすり抜けるが、キノピオハイウェイで走っている車などの障害物はすり抜けられない。なおスターとの併用時はスターの効果が優先される(アイテム奪取は可能)。
      • 初代『スーパーマリオカート』から25年振りの復活となるハネはバトルゲーム専用アイテムとなり、ジャンプすることで障害物や低い壁を通り越したり、他のプレイヤーに接触することで風船やコインなどを奪える。有効に活用できる状況は限られるが緊急回避や奇襲に役立つ。またジャンプアクション扱いのためか着地後わずかにターボがかかる。
  • パラメータの調整
    • キャラクターの能力のカテゴリーが『8』の9種類から16種類となり、より細分化された。
      • たとえば『8』では同じ中量級だったマリオとルイージも、僅かながら能力に違いが出ている。また一部キャラの能力が同じだったクッパ7人衆もそれぞれ違うカテゴリーになっている。
    • マシンパーツもパラメータが調整され、『8』とは別物になっているものも多々ある。
    • ミニターボの性能(発動するタイミングの早さや持続時間)に関わる能力は加速のパラメータとほぼ同じであるため、加速性能の高い軽量級でも持ち味が出せるようになった。
  • オフラインのレースモードについて
    • ミラーモードと『8』のアップデートで追加された200ccモードは初期状態で選択可能。
    • 150ccのグランプリをクリアすると50ccと100ccの同じグランプリもクリアした扱いになる。
    • タイムアタックでは従来の150ccだけでなく200ccでも挑戦できるようになった。
  • 対応amiiboの追加
    • 『Splatoon』シリーズのamiiboを読み込むと新規のMiiスーツが入手できるようになった。
    • スマッシュブラザーズ』シリーズのキャラクターのamiiboでないと呼び出せなかった『どうぶつの森』と『ピクミン』のMiiスーツが、各原作作品のamiiboフィギュア・カードでも入手できるようになった(『ピクミン』シリーズはアップデートが必要)。
  • 「マリオカートTV」の仕様について
    • Youtube・Miiverseへの動画投稿機能は削除された(MiiverseはそもそもSwitchが対応外になっている)。
    • リプレイ中にコース図やプレイヤー名の表示・非表示を切り替える場合に一手間かかるようになった(ボタンによる切り替えではなくメニューを開いてから設定する必要がある)。
  • インターネット対戦の仕様変更
    • コース選択画面の間、制限時間が切れるまでキャラクターやマシンのカスタマイズを自由に変更できるようになった。
    • 様々な固定文による挨拶が、コースを選択する前にも行えるようになった。またごく一部の固定文が変更されている。
    • 「せかいのだれとでも」「こくないのだれかと」(以下「野良戦」)で遊ぶ際、一定数以上のレートを満たすと、コース決定時の排気量に150ccだけでなくミラーや200ccも出るようになった。
    • フレンド限定の部屋でチーム戦を行う際、チーム分けを部屋のオーナーが自由に決めることができるようになった。
    • 「他のプレイヤーがオーナーであるフレンド限定部屋に入っているフレンド」に合流できるようになった(自分がそのオーナーとフレンド関係であるかは問わない)。合流してほしくない場合はSwitch本体での設定が必要になる。
  • アイテム関連の仕様変更
    • テレサ・スター・キラーによる無敵状態で他のプレイヤーのサンダーを受けても、持っているアイテムを喪失しなくなった。
    • ボムへいをマシンの後ろに装備した状態で赤こうらなどがそのボムへいに当たった場合、装備したキャラクターもボムへいの爆発に時々巻き込まれるようになってしまった。
  • その他
    • Switch本体をドックから外した状態(テーブルモード・携帯モード)でももちろん遊べる。ただしこの状態での1台4人プレイは一人当たりの画面が非常に小さくなるため、プロデューサーもお薦めしていない
    • Switch間のローカル通信に対応しており、Switchと本作を持ち寄ることで最大8人まで一緒にプレイできる。
      • 1台で2人まで同時に遊べるので、最大人数でも4台の本体とソフトがあれば十分。
    • HD振動に対応しており、様々な状況でコントローラが異なる振動を発するようになっている。

評価点

  • バラエティ豊かなバトルモード
    • PVなどで強調してきたこともあって、バトルモードの充実ぶりは特筆に値する。
    • 5種類の異なるルールで様々なアイテムが飛び交うハチャメチャな内容は、『8』で薄まってしまった「パーティゲームとしてのマリオカート」を取り戻せたと言ってよいだろう。
  • 様々な仕様変更による戦略性の増加
    • バトルモードだけでなく、レースモードでもアイテム2個持ちによって一発逆転の要素が強まったため、1位を独走していても気が抜けなくなっている。
      • 場合によっては『8』より酷い下位同士の潰し合いが発生することもあるが、アップデートにより被弾後の無敵時間の延長・下位プレイヤーの加速系アイテム取得率増加・パックンフラワーの出現頻度減少などのバランス調整が施され改善されつつある。
    • ウルトラミニターボも上手く活用すれば追い上げや引き離しに有利だが、無理をしてウルトラを狙うよりスーパーミニターボで妥協した方が良い場面もある。
    • ネット対戦ではコース選択時にカスタマイズを変更できるようになったため、選択されるコースを予見して最適なカスタマイズにすることも可能になった。
  • バグテクニックの削除
    • WiiU版ではアップデートによる改善を望まれながら放置されていた「サンダードリフト」「ねじれドリフト」といったバグテクニックが修正され、同様の動作を行っても速度が上がらなくなった。
      • サンダードリフトができず他の車種に比べ不利だったハングオンバイクの価値が相対的に上がった。
  • 解像度アップによりグラフィックが更に美しくなった
    • 『8』の時点でもグラフィックは十分綺麗だったが、本作ではHD(1280×720)からフルHD(1980×1080)への解像度の増加により更にくっきり・鮮やかに描かれるようになった。
    • Switchをドックから外して本体に映すテーブルモード・携帯モードではHD画質に落ちるが、携帯機サイズとしては十分だろう。

賛否両論点

  • 全プレイヤーのアイテム所持状況が確認できなくなった
    • 『7』『8』では2画面を活かして他のプレイヤーが所持しているアイテムを別画面で確認できたが、Switchの仕様上本作ではそれが不可能になった。
      • WiiUだから出来たことであるため仕方ないとはいえ、『8』の個性ではあったため残念に思う声も多い。
  • インターネット対戦中の仕様
    • 野良戦で遊ぶ場合に時々出現するミラーや200ccはプレイヤーにとってのサプライズや刺激として働くこともあるが、これらに慣れていないプレイヤーには不評であることも多い。なお現在はアップデートで出現率が下がっている。

問題点

  • 「完全版」共通の問題だが、『8』からの変わり映えが少ない
    • 昨今の任天堂が完全版商法を行う事が増えてきているとはいえ、過去作からのプレイヤーにとってはあまり好意的に捉えられていない。特に本作の場合は据え置きから据え置き *4 という移行の流れだったため余計に焼き直し感が強くなっている。
    • レースコース数は「シリーズ最多の48コース」と謳われているものの、ダブルアイテムボックスの存在を除き『8』のDLC込の全コースと全く同じ内容で、今作からの新コースはバトル専用に追加されたもの以外は一切無い。他の要素でも『8』と同じ部分が大半を占めている。
    • 『8』のセーブデータが引き継げる訳でもなく(マシンパーツも集め直し)、『8』からのプレイヤーに対して何か特典等がある訳でもないため、『8』からのユーザーが単純に損をする結果になってしまっている。
      • 上記の通り「キャラクターはゴールドマリオ以外初期で全員使用可能」「50ccと100ccのグランプリはクリア不要」と、経験者にとってのフォローは無いわけではないが…。
    • アイテムの追加も少なすぎる。『8』でも「にせアイテムBOX」などが無かったことについて残念に思う声はあったが、初心者に配慮してか結局追加はされなかった。
      • バランス調整が難しいという理由かもしれないが、このことが余計に変わり映えのなさを助長してしまっている。
    • とはいえ、これらの問題はあくまで「既に『8』をプレイした人間から見た問題点」であり、初めて『8』に触れる場合は、文句無しの大ボリュームを味わえる。
  • チーム戦の同士討ち、Miiのヘルメットの着脱が出来ないなど、『8』の一部の問題点が改善されていない。今後のアップデートでの改善を期待したい。
  • カスタマイズの固定化は変わらず
    • マシンパーツが自由に組み替えられるようになったにもかかわらず、シリーズ近作のインターネット対戦でほとんど同じカスタマイズばかり *5 が並ぶ様子がしばしば問題視されていた。
    • 本作では上記の通り「加速性能≒ミニターボの性能」となっており、またミニターボ性能の影響が強いため、加速性能が最高のタイヤである「ローラー系タイヤ」と、同じく加速重視の「ハナチャンバギー」(またはやや数を減らすが「パタテンテン」など)の組み合わせが半数以上を占めることが日常茶飯事となっている。

総評

レース、バトル、すべてがデラックス」の売り文句を引っ提げて登場した本作。
バトルゲームやバグテクニックを初めとする『8』での様々な問題点が改善されただけでなく、追加要素も多い。
任天堂らしい初心者へのサポートや『8』ではあまり見られなかったアップデートによる細かなバランス調整など……。
『8』のプレイ経験の有無を問わないよう気を配った内容となっている。
『8』経験者には物足りない点があるのも事実だが、純粋に実力を競い合う「レースゲーム」としても、家族や友達とワイワイ遊ぶ「マリオカート」としては充分良作と呼べる完成度といえる。

後のアップデートやDLCの追加などによるさらなるボリュームアップも期待されるところである。


余談

  • ハンドルアシスト機能とオートアクセルを併用するとプレイヤーが全く操作しない状態でプレイヤーキャラが正しい順路で進むようになる
    • 当然アイテムは自動で使用しないので、弱いCPU相手でもない限り *6 これだけで勝つのは難しくネタの域を出ない。
  • ガールとボーイは原作だと水に入れば即死してしまうのだが、本作ではウォーターパークなどの水中コースでも特に問題なく走れる。
    • スーパーマリオメーカー』のキャラマリオとして登場した際は「あくまでマリオの変身なのでセーフ」という意見もあったが…。マリオワールドとハイカラシティ周辺では水の成分が違うのか *7 、それともインクリングには水に強い個体が存在し、彼女達がその個体なのか…謎である。
      • 身も蓋もないことを言ってしまえばゲーム的に「水に入っただけでアウト」だと成り立たないのは言うまでもない。いずれ公式で何か補足があるかもしれない。
  • ガールの一部モーションが欧米で「侮辱とみなされるポーズである」と指摘があったため、アップデートで修正されている。
  • 本作と同時に、Switchの周辺機器としてJoy-Conハンドルが新たに発売された。
    • 『マリオカートWii』の時のWiiハンドルと同様に、Joy-Conを装着するハンドルタイプのアタッチメントである。Joy-Conのサイズの都合上Wiiハンドルより小さくなっている。