このページでは、オリジナルの『Rance III -リーザス陥落-』と、リメイク版『ランス03 リーザス陥落』(判定はどちらも良作)を併せて紹介する。



Rance III -リーザス陥落-

【らんすさん りーざすかんらく】

ジャンル RPG+ADV
対応機種 PC-9801
PC-88VA
X68000
FM TOWNS
Windows 95*1
発売・開発元 アリスソフト
発売日 1991年11月
定価 6,800円
レーティング アダルトゲーム
判定 良作
ポイント 世界観が壮大に
笑える所もあるが骨太なシナリオ
フェリス無双
Ranceシリーズリンク

概要

1991年に発表されたランスシリーズ第3作目。 従来のRPGから一線を画したシナリオと、アダルトゲームながら一定のクオリティが確保されたゲーム性によりアリスソフト及びランスシリーズの名を広く知らしめることになった一作。

ストーリー

LP2年、4月。
その日、東の大国リーザスの王都が陥落した。
侵攻軍は、皇子パットン率いる北の軍事大国ヘルマンの精鋭たち。
そして何人にも傷つけられぬ、
他を冠絶する力を持つ存在――魔人。
城は瞬く間に制圧され、
指揮を執るべき王女リアは囚われの身となった。
――リーザス、滅亡。

一夜にして過去の存在と成り果てたリーザスから、
ひとりの忍者が落ち延びていた。
手にするのはリーザスの国宝。
そして、王女からの最後の伝言。
一握りの最後の希望を抱えて向かう先は…
西の自由都市、アイス。

美女の事しか頭にない、あの鬼畜戦士の許だった。

特徴

  • ストーリーは『I』と『II』から地続きの物となっており、前作までのキャラも登場するが世界観が曖昧であった前2作と違い本作で改めて世界観がちゃんと設定され、物語に深みが増した。
    • リーザス・ヘルマン両国の主要人物の他「大陸の3大国と西側の魔物の世界」「魔王と魔人と使徒」「日光とカオス」「才能限界」と言ったランスシリーズの基幹設定が出来たのも今作からで、これらの設定は細部を変更しつつも現在まで引き継がれている。
  • 『I』と『II』はADVのシステムを工夫してRPGに見せかけていたが、本作はアリスソフトの製作環境が整ったことでちゃんとRPGそのものになった。
    • 下記の通りに若干独自要素があるものの、基本的にはADVパートで情報収集しダンジョンを突破してボスを倒すというオーソドックスなRPGである。
  • ダンジョン移動中にABを同時押しするとキャンプ画面が開ける。
    • キャンプ画面では仲間と会話・アイテムの確認と使用・経験値の清算とレベルアップ・脱出・セーブロードができる。
      • 仲間との会話は雑談の場合もあるが、攻略のヒントが出ることもある。
      • また、シィルに話しかけるとこれまで歩いたダンジョンの内部構造が分かる。ただし一度ダンジョンから脱出してしまうとマッピング内容は消える。
    • 経験値は『I』・『II』の設定を受け継いでおり他社製RPGのように自動でレベルアップせず、キャンプ画面でレベル神を呼んで清算することで初めてレベルが上がるようになっている。
    • 新たに各キャラには『才能限界』という物が存在する設定になった。例えば本作の仲間キャラの多くは40~50レベルぐらいまでしかレベルが上がらない。と言っても全員限界値になる程度まで育っていればまずゲームクリアに支障はないが。
      • また、才能限界の設定が出来たことでフレーバー要素ではあるが「潜在能力が高いのにもかかわらず現在レベルが低いので努力を怠っている」「限界値ギリギリまでレベルを上げている強者」など各キャラの人格像を掴みやすくなった。
        なお、主人公のランスのみ限界値が存在せず*2、これもランス自身はこの世界にたまたま生まれたバグキャラともいうべき存在というキャラ付けに一役買っている。
    • 余談ではあるが本作からレベル神ウィリスがレベルに応じてストリップサービスをしてくれるようになった*3
    • ダンジョンからはキャンプ画面を介すことでいつでも脱出できる。
  • 戦闘
    • ランダムエンカウント式になっており、プレーヤーはランスのみを操作する。
    • 戦闘形式はタクティカルコンバットで、ターンの最初にランスを移動させ、移動終了時に敵と隣接していると自動で戦闘が始まる。
    • 他のキャラは前作同様自動で行動する。一応全員に動かないよう命令できるが、キャラごとに個別の命令はできない。
    • HPや回避率と言った基本的なステータスのほかに気力(ST)というステータスが存在する。
      • HPが残っていても気力がなくなった場合戦闘続行が不可能となる。消費気力は武器ごとに違い、通常攻撃でも消費する。
    • 高速の自動戦闘モードも搭載されており、開始時に選択するとあっと言う間に戦闘が終わってくれるためストレスフリーな設計になっている。
      • ただし早さの代償かAIの質はあまりよろしくないので雑魚以外には使わない方がいいが。

評価点

  • シナリオ
    • 当時のRPGは「冒険者がダンジョンを制覇して悪い魔物を倒して終わり」という王道な物が多かった中、本作は大国間の戦争という当時のRPGとしてはなかなか斬新な戦記ものの要素を含んだシナリオとなっている。
    • もちろん『FF2』を始めとした先駆者はいたものの、シリアスながらも頻繁に挟まれるギャグ、戦争の裏で暗躍する圧倒的な強さを持つ魔人、ヘンテコなザコキャラ、アダルト要素、そして何より鬼畜な主人公、とこれでもかというぐらいの独自色がある。
      • ギャグのセンスもよく、すごそうな設定を持つ人物があっさり倒されたり、重要なものがえらい近くに隠されていたり…と予想を裏切っていく展開が多く、程よく脱力し笑えるようになっている。
      • 話は壮大になっても主人公の破天荒ぶりは相変わらず失われておらず、策を弄して敵を殺し女性を手籠めにしていく外道ぶりは、むしろ清々しさすら感じる程である。
      • 一方事実上のラスボスである魔人ノス戦はこの戦闘のみフロントビュー方式になっており、ピンチになるも仲間が次々と駆けつけて時間を稼ぎ、逆転したかと思いきや…と実に王道的ながら熱い展開となっている。
    • オチも多少ご都合感があるが、道中の意外な物が伏線となっておりハッピーエンドに終わるため、クリア後の爽快感もなかなか。
    • 道中一回しか名前の出ないもの等にも細かな設定が定められており、これらの裏設定が会誌などで好評を博していき、シリーズの人気につながっていった。
  • 女の子モンスター
    • カオスエンジェルズ』や『ドラゴンナイトII』によりいわばモンスター娘というジャンルの萌芽が始まっていたが、本作は女の子モンスターを襲えるというなんとも直球な要素が搭載された。
      • 戦闘時に女の子モンスターが弱っているとそのまま襲ってCGがゲットできる。ランスのみ手加減攻撃も使えて、他にも固定ダメージを与えるアイテムが存在するので微調整も難しくない。
    • 特に好評だったのか、以降のランス以外の作品含むアリスソフトゲーで女の子モンスターの捕獲・収集要素は時々採用されており、『GALZOOアイランド』といった女の子モンスターメインのゲームも販売されるようになる。
  • 当時のPCゲーといえば良くも悪くも高難易度だったが本作はランスのパロ元よろしく優しめになっており、ヒントもあるのでテンポよくサクサク進められる。
    • ただし終盤に登場する雑魚敵「ストーンガーディアン」が恐ろしいほど強い上に逃走不可という仕様となっており、最大の難所となっている。もっともそこまで来たらもはやクリア目前という状況だが。
    • それでもクリアできない人向けとしてアリスソフトにヒントディスクを注文すれば送ってもらえた。ただこちらはスタッフの落書きやその他資料等も収録されているので、どちらかと言うとファングッズ的な要素も強いが。
  • BGMはアリスソフト作品常連のDRAGON ATTACK!*4が担当。特にタイトル画面の徐々に盛り上がる重厚な曲は人気。
    • 中でもTOWNSはCD-ROMドライブが標準搭載されていたためCD-DA音源仕様となっており、他機種よりも美しい曲が楽しめた。…本体が40万ぐらいしたので当時どれだけの人が楽しめたかは謎だが。

賛否両論点

  • 絵はたったの16色でしか表現できなかったことを考えるとクオリティは高いと言えるのだが、システム画面などではSD化されたグラフィックが多く、そこそこ真面目な場面やエロい場面でもギャグライクな表情も多い。
    • 女性キャラ担当と男性・クリーチャー担当者の書き込み・絵柄が違うので、同時に画面に映る場合若干違和感を感じる。
    • …と言っても、業界全体の絵のクオリティが大幅に上昇するのは翌年発売される『同級生』からなので、総合的なグラフィック面で言えばやはり評価点寄りであるが。
  • バランスブレイカーの存在
    • 悪魔のパスポートというアイテムを手に入れると戦闘時に悪魔フェリスを呼べるようになるのだが、彼女が明らかにゲームバランスを壊すレベルで強い。戦闘終了後に体力が全回復するので安定感も抜群。
    • このアイテムをゲットするチャンスは作中で二回存在し、そのうち一回はやや気づきにくいが序盤にあるため、入手できてしまえば後はかなり難易度が低下する。
      • やや後付要素を含む設定ではあるが、この時のフェリスは魔人と同等の強さということになっているため、やたら強いのはおかしくはないのだが。
      • 恐らく意図的に入れたもので、気づきにくさと合わせて戦闘よりもエロ部分や話だけを楽しみたい人へのお助けアイテムのような立ち位置にあるとは思われる。
  • 上述の通り普通にシナリオをクリアする分には問題がないが、本筋と関係ないサブイベントについては分かりにくく、何に使ったらよいかあいまいな物もある。
    • マップ上にはMランドという娯楽施設のようなものが存在しており、マニュアルにもいかにも行けそうな記述がなされているのだが、実際は入ることはできない。

問題点

  • オートでも楽に勝ててしまう戦闘
    • 前作までとは戦闘方式が大きく変わっているが、結局のところ近づいて殴るのみの作業になりがちである。
    • オートでも勝ててしまうため、レベル上げや装備による能力上昇を感じにくい。
    • 戦闘をサクサク終わらせたい人は前述のフェリスを利用すると、幾分楽になる。
  • 真のラスボス戦が瞬間移動しながら攻撃してくる相手を待ち伏せて追いかけることになる、もぐら叩きのようなゲーム性となっており、せっかくノス戦で盛り上がったところにやや水を差される感がある。
    • 技術的な制約も大きく設定も固まっていなかった時期なので、これに関してもご愛敬な部分はあるが。
    • なおこのミニゲームはアップデートパッチにより後付けで搭載された物で、元々は真のラスボス戦自体が存在せず、軽い会話をこなすといつの間にか追い詰めていたことになるというかなり残念な物だった。
    • ただし設定上の強さ的にも、最強装備の呪縛能力により真のラスボスは100分の1以下の力しか出せておらず、ランスの仲間をあっという間に各個撃破して1対1に持ち込んだ瞬間移動のやっかいさはあるものの呪縛状態で圧倒的な強さを持っていたわけではない。
      • なお後々の会報による後付け設定では、呪縛の設定はなくなり、完全回復すれば本来の力の5%(魔人よりは圧倒的に強い)、消耗して5%より弱っていたという設定になった。
  • バグ
    • 『アリスの館4・5・6』収録版のバグ。重要な敵が消滅して進行不能になる危険なバグが存在する。
    • フェリスを仲間にしていると発生するので注意。ただし修正パッチで改善する。
    • 無料配布されているWin版もこのバグが残っているので修正パッチを適用するのを忘れないように注意。

総評

壮大な世界観とランスらしい無茶苦茶ぶりが両立した名作。
もちろん現代の観点から言うと粗は見られるが、1991年時点においては本作が与えた衝撃は大きく、ストーリー性の強い美少女作品のはしりとなった。

現在は配布フリー宣言により無料で遊べるが、導入に手間がかかり絵・UIともに昨今のゲームと比べると
さすがに時代を感じるので今から遊ぼうというプレーヤーには下記リメイク版を勧めたい。


余談

  • 本作は以降の作品とキャラの言動・設定の乖離が激しく、今からやると間違いなく混乱したり納得いかない展開がある。
    • 特に諸事情でランスが自分の女を他人に抱かせるという展開が存在し、シリーズファンからはいくら当時のランスでもこの展開は絶対にありえないという意見が多い。
      • 一方こういう部分を含めて当時のランスは鬼畜だったとの意見もあるが、スタッフ的には不本意なイベントだったのか後年「なかったことにしてほしい」という旨のコメントを出しており、リメイクの折には必ず改変すると公言していた。
  • 本作当時の魔人の設定では、現行の「無敵結界」の設定がまだ存在せず、魔法攻撃を無効化するバリアを持っているという物だった。
  • パットン皇子は当初ただの敵役としてあっさり死ぬ予定だったが、スタッフが気に入り生き永らえるように変更され、彼を助け出すためのキャラとしてハンティ・カラーが作られた。
  • ファンディスクのような存在である『RanceIII オプションセット』(3,000円 1992年2月)を通販可能だった。
    • ゲーム『あぶない文化祭前夜』(『あぶない天狗伝説』の続編)や音楽CDが同梱。
    • ヒントディスクにもおまけゲームとして 『THE 走り女』と 『婦警さんDA(未完成版)』が収録されている。
    • アップデートパッチも収録されていて、これにより真のラスボス戦のミニゲームが追加されたりした。(アリスの館456収録のWin版は最初からアップデート済み)

ランス03 リーザス陥落

【らんすぜろすりー りーざすかんらく】

ジャンル RPG+ADV
対応機種 Windows 7/8(パッケージ/DL版)
iOS / Android / MacOS / Windows(OOParts)
発売・開発元 アリスソフト
発売日 2015年8月28日
定価 パッケージ版:8,800円
ダウンロード版:6,800円(共に税別)
レーティング アダルトゲーム
判定 良作
ポイント 下馬評を覆したボイス導入
シナリオ・CGは好評
戦闘・ボリューム面が物足りない
Ranceシリーズリンク

概要(03)

アリスソフト及びランスシリーズの名を広く知らしめることになった『Rance III -リーザス陥落-』(以下原作)の24年ぶりのリメイク作。
初代ランスのリメイク作品である『01』のシステムを流用し作られており、『01』同様現行設定に合わせた各種変更点があるが、
最大の変更点としてランスシリーズとしては初めてフルボイスとなることが発売前から大きな話題となった。

特徴(03)

  • ストーリーは原作同様の物で大筋は変わらないが、『9』発売後の最新設定に基づいており『IV』以降で設定変更が行われた物に関してはそちらの設定が用いられている。
    • 『IV』以降のキャラや『01』で新たに追加されたキャラもどんどん出てくるが、どのキャラも本筋に影響を及ぼさない程度の出番に抑えられている。
  • オーソドックスなRPGなのは変わっていないが、以下の通り原作以上に独自要素が強い。
  • ダンジョンは2DRPGによくある見下ろし型ではなく、『01』同様進むたびに3枚までのカードが常に提示され、その中から次の選択肢を選ぶというものになっている。
    • ダンジョン内ではイベント・戦闘中でない限りはいつでもキャンプ画面が開ける。
    • マッピング機能が無くなった代わりに、ダンジョン内にはマップが落ちており、入手すればダンジョンの構造とどのカードがどこに設置されているか表示されるようになる。
  • キャンプでは現在どのイベントが進行中か表示され、パーティ編成・スキルのセット、アイテムの使用、経験値を清算してのレベルアップができる。
    • レベルアップ時には体力が全回復するため、回復手段としても使える。
      • 回復アイテムはいずれも3個までしか所持できないので、この回復法の重要度は高い。
    • もちろん才能限界の概念もあり、限界値に到達したらそれ以上レベルを上げられないが、「欠けスター」というアイテムを使えば限界値を5上げられる。
  • 戦闘はパーティで一つのスキル枠を共有するというシステムになっており、事前にセットしたスキルしか戦闘中には使用できない。
    • 一つもスキルがセットされていないキャラは自動的に補欠となる。
    • スキルは最初は五個までしかセットできないが、「カキン枠」というアイテムを使えば増やすことが可能。
      • セットしているスキルが多いキャラほど敵から攻撃を受けやすい。
      • MP等の概念が無い代わりに強力なスキルほど長いリキャストタイムが存在し、再使用可能になるまでの時間は戦闘終了後も引き継がれる。
    • スキルを選択して戦闘開始を押せば味方が行動し、続いて敵が行動して次のターンに移る。
      • スキルを何一つ押さずとも戦闘開始を押すと戦いが始まる。
      • 敵が何をしてくるかは表示されており、こちらが先手でターンが進むので対処はしやすい。
    • 敵は同時に3体までしか登場しないが、1体倒しても新たな敵が出現し戦闘続行となる場合もある。
      • 3体の敵は順に近距離・中距離・遠距離に布陣している扱いになっており、その距離に合ったスキルでないと攻撃出来ない。敵を倒すと後ろの敵が前進して空いた位置に入り、控えの敵が居れば後衛に入る。
      • 敵の行動パターンは3つの行動を順番に繰り返すという単純なものであり、中距離・遠距離に居る際に近距離用の行動が選択されると不発になる。これを利用して強力な近距離攻撃を持つ敵を前進させないために敢えて近距離の敵を倒さず放置し続けるといった戦術も有効。
    • 少ないターン数やオーバーキルなど条件を満たして敵を倒すと貰える経験値が増加する。
  • 通常のスキルとは別に、キャラごとにゼロスリースキルという特殊能力が存在し、戦闘開始前中後に自動で発生する。
    • 具体的にはリキャストタイムの短縮やダメージや獲得資金の増加など。
    • 通常スキルは特定のレベルになれば自動で習得していくが、ゼロスリースキルはキャラごとに入手できるスポットが定められており、そちらに行かなければ習得はできない。
  • セーブ・ロードに制限がかかっており、街にいる場合のみセーブ・ロードができる。
    • 「セーブライオン」というアイテムを使うとキャンプ画面でもセーブ画面を開けるが、こちらも回復アイテムと同じく3個しか持てない*5消費アイテムである。
    • これとは別にフィールドマップ移行時等に自動でオートセーブが作られる。オートセーブ枠は一つしか存在せず、自動で上書きされる。

評価点(03)

  • イメージを崩さないボイス導入
    • ランスシリーズは20年以上シリーズ展開が続いているが、当然ながら初期作品は技術的に大きな制約があったためにボイス搭載などとても不可能であった。
      そして技術面での制約がなくなってきた『5D』以降の作品や関連作でも「旧作からのキャライメージを壊さないようにするため」「テンポの阻害の要因になる」と言った事情から、
      2014年に発売された『9』まで声無しのまま発売されており、制作スタッフ及びファン双方にとってランスシリーズ=声無しというのは絶対的な共通認識だった。
    • そのため発売前に突然ボイスを導入する旨が告知された際には各所で騒動となり、声がつくというだけで本作の不買を明言するユーザーも多数見られた程だった。
      • 公式ブログにも不安視する内容の書き込みが多数寄せられ、スタッフもフォローに周るなど一騒動になっていた。本シリーズはなまじ通常のアダルトゲームと違い男性キャラにも少なくない数のファンがいるため、ファンが納得するハードルは高かったと言える。
    • ところがいざ発売されてみるとこれまでのファンのイメージにほぼ当てはまるようなキャスティングとなっており、演技指導面においても
      「そのキャラらしい」喋り方が多く、結果称賛する声が相次ぎ事前の評判をひっくり返す形となった。
      • 兼ね役も結構あるが指摘されて初めて気づくレベルの物も多く、指導の徹底ぶりと役者の技量が窺える。
      • あまり人気がなかったキャラも声のおかげでかわいく見えたという意見や、これまでのランスと言えば「エロシーンはおまけ」に近かったが、今作は絵と声合わせてかなりエロくなったという感想も多い。
    • とはいえ、やはり人によっては一部のキャラのイメージが違ったという意見は避けられないものの、少なくとも発売前は否寄りの賛否両論だった物を概ね好評までもっていったことを考慮すると評価点として差支えないであろう。
      • 当然だがボイスOFF機能もついている*6ので、これまでのイメージを崩したくない人はOFFにできる。ゲームを開始するとまず音声を再生するか問われるという普通のゲームではまず見ない設定が出てくるため、スタッフもこれまでのシリーズファンに配慮していることは感じられる。
    • ただし公式ブログによるとOFFのまま進めた人は4%程しかいなかったとのことで、実際に本作の評価点に役者の演技を挙げているレビューは多い。プレイする場合はまず声ありでやってみてから判断して欲しいところ。
  • 良改変とシリーズファンにとって嬉しいシナリオ
    • 特に原作の真のラスボス戦はもぐらたたきのようなミニゲームという何とも言いにくいものだったが、
      本作のラスボス戦はちゃんと戦闘形式で戦いつつも以前からの既存設定を使った無理のない形に改変されており、評価が高い。
      • ラスボスのデザインに変更があったことはやや賛否があるものの、ちゃんと設定に沿ったデザインとなっているため、それなりに理解は得られている。
    • 原作にいなかったキャラの追加エピソードも、それぞれのキャラの前・後日談としてよくできていると言える。
      • 一方本作が初登場となる追加キャラも存在し、特にどこかで見たことあるようなヘルマン兵ロバートの出オチぶりは多くのプレーヤーに強烈なインパクトを与えた。
    • 反面、長らくネタにされつつも続編以降との兼ね合いでマイルドになるのではと噂されていたヘルマン王子・パットンの堕落ぶりは完全に再現されている。
    • 逆に上述したランスが自分の女を抱かせるイベントは大きく改変されており、声優の怪演もあって本作の一番笑ったイベントに挙げるユーザーも多い。
      • 完全な後付けではあるがお馴染「ハイパー兵器」命名の瞬間があり、そちらもよい意味でバカバカしさ全開の内容となっている。
    • ヘルマン軍がメインの敵となる都合上『9』に繋がる会話も大幅に追加されておりこちらもファンから好評。
  • かわいいCG・キャラデザ
    • 『01』同様『5D』以降の作画担当者である織音ではなく魚介が担当しており、今回も好評。
    • 特に原作ではグラフィックが使いまわされていた魔人アイゼルの使徒三体は三体とも別々のキャラ付けが行われており、アダルトゲームだからこそできる極めて大胆なデザインとなっている。
    • シィルやマリアを始めとしたお馴染みのキャラもこれまでのキャライメージを踏襲しつつ現代風のかわいいデザインでまとまっている。
  • 音楽
    • こちらもDRAGON ATTACK!ではなく絵同様『01』と同じ担当者が担当しており、新規曲はランスシリーズのおちゃらけつつも要所でキメていく雰囲気にマッチしていて好評。
    • 原作で使用されていた一部楽曲が無くなってしまったものの、各魔人のテーマや「Force」など原作の人気曲はちゃんとアレンジされ使用されている。
  • 後述の通り戦闘システムそのものに問題点はあるが、バランス自体はサクサク進めてボスは道中の戦闘を怠っていると苦戦するとよくできている。
    • 『01』は往年のPCゲーのように大丈夫そうなものを調べたらダメージを受けたり即死トラップや運で左右される部分も多々見られたが、回避が難しい罠は設置箇所が格段に減り、運要素はほぼ完全に消滅した。
    • 原作だとフェリスが強かったが、システムの都合で必ずしもフェリス一強というバランスでもなくなった。もっとも体力が高く全体攻撃があるのでやはり強いが。

賛否両論点(03)

  • ランスについて
    • 言うまでもないが近年の設定に合わせて原作よりも丸くなっている。
      • ランスの性格だけそのままでもおかしいという意見もあれば、色々経験したからこそ『6』や『戦国』以降の丸くなったランスになったのだから本作は原作に寄せるべきだという意見もある。
    • ランスのみ戦闘画面中のみボイスありになっている。「意外と声があってたからフルボイスでもよかった」という声もあれば、「あってないからそもそも声なしでよかった」という感想もある。
      • フルボイスにして男女のボイスON/OFFとは別に、主人公の声のON/OFFが切り替え可能であればベストだったと言えるかもしれない。
  • ごく一部であるが余計な改変点や、未改変の部分もある
    • 原作でCGがあったのに本作にはない場面が存在する。その代わりに新たに追加されたイベントの中に女性に対して暴力が振るわれるものがあるため当該CGについてはやや賛否がある。
    • 原作ではランスが完全に運で生き残る場面が少なからず存在したが、それらについて本作でもとくに話の流れは変わっていない。
      • 当時はまだアダルトゲームにシナリオ性を求められていなかったので許されていた部分が大きかったが、現代ではさすがに人によっては目につく部分となっている。
      • とはいえランスは元々「深く考えずにノリで行動し、それが結果的に良い結果へと繋がる」というキャラクター性なので問題視する声は少数派である。
  • メタネタ
    • 作中のキャラがBGMや背景に突っ込んだりプレーヤーを意識した発言をするシーンがたびたび出てくる。
    • ある場所では背景スタッフが実写取り込み画像で雑魚敵として登場する。スタッフブログを逐一チェックするようなコアなファンからしたら笑えるだろうが、そうではないユーザーからは賛否が分かれている。
      • アリスソフト社員がゲーム内に出てくること自体は過去作でもたびたびやっている。ただ、過去作ではテキストのみか汎用グラフィックの使いまわし・本筋と関係ない場所がほとんどだったので、本作のは色んな意味で強烈すぎる。
      • 確かに原作にもメタネタはあったが、「そんなとこまで90年代の悪ノリを再現されても…」という意見も。
  • 昔のRPGのリメイクなので仕方ないが所謂一本道ゲーである。一応本編と関係ないやりこみ要素自体は追加されたが。
    • リメイク作品を原作になるべく忠実にすべきか、新たなifルートの類等を用意するかは意見が割れるので、これに関しても難しいところであるが。

問題点(03)

  • セーブについて
    • セーブ・ロードする際一々ALICEMANのメッセージが表示されてからセーブ画面に移行するというひと手間かかる形になっている。特にメッセージは変化しないので面白味はない。
    • セーブライオンのシステムの都合上「好きなイベントのセーブを別に作っておいて後から鑑賞する」というプレイスタイルと相性が悪い。一応ストーリー後半では制限がなくなるのだが、前半部のイベントを保存するためにはそのセーブデータを別途保存しておくしかない。
  • 戦闘は『01』の物を改良した形となっているのだが、やや難がある。
    • 通常攻撃ですらスキル扱いされるので、通常攻撃を採用するだけで枠を一つ消費してしまうことになり、自由に多くのキャラを参加させて楽しむことが難しい。
    • 仲間が倒れた場合控えの仲間が出てくるのだが、これがランダムとなっている。
      • 本作は設定上の強さがステータスに反映されているので、弱いキャラは当然弱く、肝心な時に弱いキャラが出てくると何しに出てきたんだとまさにランスのような気分になる。
        過去作でもこうしたあからさまに使えないネタキャラはいたが、その手の作品では必ずしもPTメンバーに加えずとも先に進められたため、問題にはならなかった。
      • 特に仲間になるキャラに1名意図的に極端に弱く設定されたキャラがいる。当該キャラは任意加入*7かつ途中で娼館に売り飛ばして離脱させることも出来る*8のだが、やりこみ用マップへ入る条件が「仲間になるキャラを全員揃えること」なので売り飛ばしたままだと挑戦できない。
  • アリスソフトのフルプライスゲーとして見た場合の見劣り感
    • ミドルプライスで元が疑似的RPGだった『01』と違い、こちらはフルプライスかつ原作時点が完全なRPGだったので「もっと作りこんで欲しかった」という感想が見うけられる。
    • 上記した通りシナリオ・キャラ面は評価するユーザーの方が多いのだが、戦闘や探索面についてはあまりにも単純化されすぎているという指摘が少なくない。
      • その分声の追加があり、エロ要素も従来作より強化されたと言いたいところなのだが、単純にCG枚数だけで言えば同価格帯である『9』と比べると30枚位少ない。もちろん最低ラインは優に越えており*9、原画家が1名しかいないので作業量的な限界も分からなくはないが。
    • パケ版だと9,000円近くするだけに総合的に見てやや割高だったと感じた人もいる。スタッフブログでは諸事情で没になってしまったイベントの存在が示唆されているため、それらも入れてボリュームを確保するか、もう少し柔軟にミドル~フル間で価格を設定しておけば、この辺りの批判も少なかったものと思われる。

総評(03)

リメイク作品として押さえるところは押さえており、シナリオ・CG面は好評で、最大の懸念事項だったボイス導入に関しても多くの人に受け入れられたという点では良作でランスシリーズのファンならばぜひおススメする。
ただしアリスソフト製フルプライスゲーとしてはやや完成度に疑問符がつく部分もあり、「遊び」の面を期待して買うと気持ち物足りないかもしれない。
それでも他社製のフルプライスゲーに比べれば勝ってるポイントはちゃんとあるので、シリーズファン以外の人も主人公のキャラを受け入れられるのであれば買って損はしないと言える。


余談(03)

  • エンディングも『IV』に直接つながる物に改変されており、スタッフからも次は『IV』をリメイクしたいとの発言があったのだが、本作及び『01』を担当した開発チームはランスと無関係の完全新作を手掛けているようである。
  • 2018年6月29日にDMMの『GAME 遊び放題』に追加されたタイトルの一つである。
  • 2020年4月23日に定額ゲームプラットフォーム「OOParts」がサービス開始。本作は初期から収録されたタイトルの一つである。
    • PCだけでなくスマートフォンにも対応している。

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最終更新:2023年01月29日 11:55
添付ファイル

*1 アリスの館4・5・6に収録。

*2 厳密には本作ではシィルにも限界値が存在しないが、後にシィルにも限界値が設定されている

*3 ランスシリーズ外のアリスソフト作品を含めるならば前年の『闘神都市』のラセリアからだが。

*4 本作では12太郎名義。

*5 終盤に個数無制限のものも購入できるようになるが、かなり割高

*6 男性のみOFFも可。

*7 ただし加入させないと他の任意加入キャラも加えられない

*8 買い戻して再加入させることも可能

*9 フルの最低ラインは70~80枚で本作は96枚。