闘神伝3

【とうしんでんすりー】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 プレイステーション
発売元 タカラ
開発元 タムソフト
発売日 1996年12月27日
定価 5,800円(税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)*1
配信 【PS3/PSP/PSV】ゲームアーカイブス
2016年11月22日/617円(税8%込)
判定 賛否両論
ポイント シリーズ最多のプレイアブルキャラ総勢32名
『1』『2』からシステムの多くを一新
グラフィックは前作より明確に劣化
闘神伝シリーズ


いきなりクライマックス! 連続絶頂バトル!
ノンストップで炸裂するスリリングな攻防。華麗かつ壮絶なバトルがいきなり楽しめる。
エイジ達仲間に新たな敵が立ちはだかる!!
炸裂する連続技! 壁に囲まれたステージでデスマッチ ソウルボムで窮地を切り抜けろ!

※製品パッケージ帯と、パッケージ裏より


ストーリー

【1作目から本作に至るまでの大まかな流れ】

西欧に本拠を構える「ジェラード財団」。表の世界では様々な事業を手掛ける慈善団体でありながらも、
その実態は歴史を影からコントロールし続けてきた「秘密結社」の母体なのであった。
秘密結社の幹部・四天王の一員であった男「ガイア」は、内部抗争により妻を失ったことから秘密結社への反逆を決意。
格闘トーナメント「闘神大武会」の管轄者であった立場を利用し、結社に挑む同志を密かに集め始めた。
【闘神伝】のプロローグ部分

だがこのガイアの行いは、四天王一の実力者である女「ウラヌス」には筒抜けだった…。
身を危うくするガイアであったが、物語の主人公である青年「エイジ」を始め、「闘神大武会」の縁により集った勇敢な戦士達が結託して
逆に秘密結社を追い詰めていく。ついにはウラヌスと、秘密結社の主である最強の少年「マスター」さえも敗れ、ここに秘密結社は瓦解した。
【闘神伝2】

かくして「闘神大武会」は終わりを告げたかに見えた。
しかし秘密結社がその力を完全に失ったことで、もう一つの影の勢力、闘神アゴーン・テオスを崇める「古代組織」の台頭を許してしまう。
アゴーン・テオス復活のため、優れた血を持つ者を次々と人身御供とする彼らの凶行は、ついにエイジ達にまで及ぶ。
刺客の一人である銃使い「ヴァーミリオン」による襲撃を皮切りに、エイジ達と古代組織による、さらなる『闘神伝』が始まる。
【闘神伝2】のラスト ⇒【闘神伝3】


概要

3D格闘ゲーム『闘神伝』シリーズのナンバリング3作目。オフィシャルイラストはことぶきつかさ氏が担当している。
1作目のセガサターンへのリメイク移植『S』や他の外伝作(『にとうしんでん』や『URA』)なども含め、シリーズ関連作として見た場合はなんと8作目にあたり、円熟期にある中の完全新作だった(前作と異なりアーケード版は存在しない)。

しかし世間では既に同ジャンルのゲームとして『ソウルエッジ』『鉄拳2』『バーチャファイター3』など傑作が揃い踏み。
特に「武器格闘」という点でも被りがある『ソウルエッジ』のPS版とは、発売日がわずか1週間しか離れていなかった。

他作品にインパクト面で差をつけられ新規層へのアピールが思わしくなく、システムの大胆な刷新はシリーズ既存ファンの反応も二分してしまう。
それでも本作には32人ものプレイアブルキャラクターが存在し、一人当たりの技数までシリーズ最多と、見所が多い。


モード

  • 1P GAME………… 任意のキャラクターを選択し、CPUの操る15~18人の敵を倒していく。クリア時はエンディングが流れる。何度でもコンティニュー可能。
  • VS HUMAN……… 対人戦を行う。PSP/PSVのアーカイブス版では選択できない。
  • VS COMPUTER… 対CPU戦を行う。何故かラウンド数は1、制限時間は無制限で固定。
  • RANKING………… 1P GAMEクリア時のベストタイムがキャラクターごとに記録される。
  • OPTION…………… ステレオ/モノラル切替、戦闘中のカメラタイプ切替【ふつう/遠方/上空(俯瞰・遠)/頭上(俯瞰・近)】、CPU戦難度変更、
    対人戦の制限時間とセット数変更、表示モード変更ができる。
    • 表示モードは30fpsと60fpsの二種類。
    • 60fpsにすると非常に滑らかだが、ポリゴンモデルの質が劣化してしまう。背景に至っては誇張抜きでファミコンレベル(『たけしの挑戦状』風)まで簡略化される。
      • 60fpsだと一部のキャラクターの飛び道具のエフェクトが前作のものに変化するというおまけもある。

前作から引き継いでいる基本システム

  • 3Dで描かれたバトルフィールドにて、3Dキャラクターが1対1で闘う。
    • ただし基本的には左右へしか移動できず(歩き・ダッシュだけでなく、ジャンプも含む)、特定の回避技と必殺技でのみ画面奥や手前方向へ移動できる。
    • ジャンプで相手を飛び越して背後に着地しても、自動的に振り向くことはない。相手に背を向けた状態でのみ出せる強力な専用技も存在する。
  • 先に体力が尽きた方が負け。試合時間が超過しタイムアップになった場合は、その時点で体力の多い方が勝者となる。
  • カメラは基本的には真横からの視点となり、キャラクターに追従する形で緩やかに動く。
    • 試合の状況によっては斜めや、キャラクターを手前に据えたような迫力ある視点になることもある。プレイしているうちに元のカメラ視点に矯正される。
  • □で弱武器攻撃、△で強武器攻撃、×で弱キック、○で強キックが使用できる。キャラクターによっては、×や○でも武器で攻撃するなど例外もある。
    • 方向キー+ボタンで出せる特殊技がある他、ダッシュ中はどのボタンでもダッシュ時の専用技に変化する。
  • ガードは向いている方向と逆側に方向キーを入れることで行えるものの、前方からの攻撃しか防げず、背面からの攻撃や「めくり」攻撃は食らってしまう。
    • キーコンフィグでは「特定のボタンを押すことでガードできる」ように機能を変えることも可能。オートガード機能も存在する。
    • 中段攻撃を防げる立ちガード、下段攻撃を防げるしゃがみガードの2種が存在。上段攻撃はどちらのガードでも防げる。
  • 必殺技は、闘気を前方に飛ばす闘気を纏って上空に飛び上がるなど、アニメや2D格闘ゲームなどで見られる超人じみた内容が大半を占める。
    • 必殺技のコマンドは方向キーの入力も伴う。テンキー表記で236(波動拳)、623(昇龍拳)、41236(半回転)など。2D格闘ゲームファンならお馴染みのものが多い。
      • 特定の必殺技には弱版と強版があり、押したボタンにより使い分けられる。
      • カメラに対してキャラクターがどちらを向いているかで、必要となるキーの入力方向も反転する。
    • シリーズ伝統の要素である「必殺技のワンボタン発動」は本作でも健在。キーコンフィグでLRボタンに「必殺技ボタン」を設定できる。
      • 設定可能なのはキャラクター毎に決められた4種類のみで、強弱の使い分けも不可能。
        とはいえ必殺技を「確実に」「最速のタイミングで」繰り出せるのは大きく、主力技が割り振られているキャラクターであれば大きな助けとなる。
  • やはり2D格闘ゲームでは定番の、超必殺技も使用可能。全キャラクター共通の「究極宝技」「秘伝必殺技」、特定のキャラクターのみが持つ「闘神奥義」が存在する。
  • 究極宝技は「オーバードライブゲージ」が点滅している状態でのみ使用可能。コマンドは□+△or×+○。コマンドによる性能変化は無い。
    • オーバードライブゲージは攻撃を繰り出すか相手に当てる、もしくはダメージを受けることで溜まっていき、満タンになると点滅状態になる。
      究極宝技を使うか、時間経過でゲージは0になり点滅状態が解除される。
      • ゲージの使い道は究極宝技の使用のみ。非常にシンプルである。説明書には「ゲージ点滅中は攻撃力アップ」と記載されているが、効果のほどは不明。
      • セレクトボタンで「挑発」を行うと、相手のオーバードライブゲージが大幅に上昇する。一部のキャラクターはセレクトボタンに特殊動作が割り当てられているが、それらを使用しても相手にゲージを与えてしまう。
  • 秘伝必殺技は、体力ゲージが少なくなり点滅している状態でのみ使用可能。コマンドは→←→+△(カインのみ何故か→←→+○)。
    • 旧作では使い放題になる作品もあったが、本作では1回使用すると点滅状態が解除され、更に体力を減らさなければ再使用できない。
      • 体力が少なくなるとガード時に削りダメージを受けなくなるが、この仕様により秘伝必殺技の再使用がさらに厳しく制限されている。
  • 闘神奥義は隠し必殺技と言えるもので、コマンドを知ってさえいれば通常の必殺技と同様に制限なく使用できる。そのためか、コマンドは難しく設定されている。
  • これらの超必殺技もワンボタン発動に対応している(闘神奥義のみ隠し要素扱いになっている)。
    • 必殺技ボタンをすべて同時押しする(1つしか設定していない場合は不可能)と、超必殺技を使用できる。複数の使用条件を満たしている場合には「究極宝技>秘伝必殺技>闘神奥義」の順に発動する。
      • 闘神奥義を2種類以上持っているキャラクターでも、ワンボタン発動できるのは決められた1種類のみ。
        なお、闘神奥義を持っていないキャラクターで必殺技ボタンをすべて同時押しすると、特定の通常技もしくは必殺技が出る。

以上の特徴から、2D格闘ゲームにかなり近いプレイ感覚を味わえる。


本作から加わった新システム

  • 四方を壁に囲まれたデスマッチ
    • 『1』『2』で存在した「リングアウト」(による決着)の概念を完全に廃止。加えて、壁を使ってコンボを伸ばせたりする。
      • 例えば攻撃判定の持続が長い技を壁際で使うと、吹き飛んだ相手が壁によりまた跳ね返ってきて連続で攻撃を喰らい、通常ではあり得ないほどのヒット数が稼げたりする。
      • また、リングアウトを恐れずどんどん回避行動や突進技を使えるようになった。もともとが非常にリングアウトしやすいゲームだっただけに、立ち回りが一変したといっても過言ではない。
  • ウォールカウンター
    • 吹き飛ばされて壁に接触した際、○ボタンで壁を蹴って着地しニュートラルへ。もしくは△ボタンで相手めがけて突進技を繰り出せる。
      • 適当に連打しているだけでもほぼ確実に成功する。△ボタンの突進技はガードされても五分と高性能。
  • 背面取り&投げ抜け
    • ←+△+○で出せる通常投げの一種。ダメージは与えず立ち位置だけを相手と入れ替える。
      • 発生が非常に早く、成功後は五分の状況。本作にしては珍しく、全キャラクターが同等の性能で使用できるシステム。
    • 投げられた瞬間に△+○を押すと投げ抜けになり、背面取り成功時と同じ状況になる。
  • ソウルボム
    • □+×で使用できる、回数限定の超必殺技。演出的にもトップクラスに派手なものが揃っている。
    • キャラクターごと内容が異なるのはもちろんのこと、地上で出すか空中で出すかで、全く別の技に変化する。
    • 回数限定だけあって優れた性能を持ち、初心者でも扱いやすい。技によっては容易にコンボに組み込めたり、反則的なダメージを狙えるものもある。
    • ラウンド1本先取の勝負では2回、2本先取では4回、3本先取では5回使用可能。
      1ラウンド目でいきなり全弾使い切るようなラフプレイも可能だが、その場合残りのラウンドはソウルボム無しで乗り切らなくてはならない。
    • 名称と効果からして、シューティングゲームのボムをイメージして頂ければ問題無いシステム。さすがにガード中や被ダメージ中は使用できない。
  • リバースアタック
    • スーパーアーマー付きの反撃技で、全キャラクターが最低1種は持っている。
    • 発生が遅いので基本は「肉を切らせて骨を断つ」使い方をすることになるが、キャラクターによってはコンボに組み込む価値があるほどの威力と攻撃範囲を備える。
    • モーション中は被ダメージ量が2倍になってしまうため、相手に読まれてしまうと大惨事となることも。
  • あらゆる技で空中追撃、追い打ちが可能
    • 前作では、ダウンした相手には「ダウン攻撃」という専用カテゴリの技しか決まらない仕様だった。
    • しかし本作では、床にまで攻撃判定が出ている技ならば何でもヒットする上に、完全にダウンしきるまでの相手に攻撃を当てると浮かせ直すことさえできる。
  • 受け身
    • 空中で追撃された後、もしくはダウン追い打ちをされた後には、○で受け身をとり態勢を立て直せる。何故か解説書などでは紹介されていない。
    • といっても本作には空中ガードが存在しないため、状況によっては受け身に成功しようと危険な状態が続いてしまう。
  • 闘神連技
    • 【□・□・↓□】【□・□・□・△】など、キャラクター毎に専用モーションで連続攻撃するコンビネーションが多々用意されている。
    • ヒット時だけでなく空振りでも出せ、一段ごとに相手の位置をわずかながら追尾する性能もあるため、至近距離で繰り出せば相手を捕まえやすい。
    • 連技の途中でガード方向を揺さぶれるもの、ヒット・ガード問わず当てさえさせれば隙無しのものなど、性能は千差万別。
    • 連技の種類によっては、途中で連続ヒットが途切れてしまうものもある。
    • 最も長いものでは【□・△・△・□・×・○・△】などとなっており、完走させるにはコマンドを覚える記憶力も重要。

その他、マイナーチェンジされたシステムなど

  • すべての通常技がキャンセル不可能になってしまった
    • 闘神連技を推したかったのか、他の格闘ゲームにありがちな【弱攻撃 →キャンセル強攻撃 →キャンセル必殺技】といったようなコンボは一切できなくなってしまった。
    • □→△と繋げられるかどうかからして、使用しているキャラクターがそのような連技を持っているのなら可能で、持っていなければ目押しするくらいしかない。
    • 大半のキャラクターは、最終段が必殺技と同じモーションになった連技を持っている。これにより見た目だけはキャンセル必殺技のようなことが出来るようになっているが、本質的には別物。
  • ダウンからの起き上がり
    • □or△or×or○の連打で起き上がりを早められる。早めに起きないと追撃され放題なのでほぼ必須のテクニック。
      • 連打とはべつに、起き上がり中にL1orL2or方向キー左or右を入れておくと、起き上がりながら任意の方向へ移動できる。いずれも入力していないとその場起き上がりになる。
  • 軸ずらし
    • L1orL2で出かかりが無敵の側転を行える。画面の奥または手前に移動でき、軸を大きくずらせるのが特徴。
      無敵時間こそ長いものの終わり際に隙があり、不用意に使うと自分からピンチを招いてしまう。
    • 方向キーを前方向に入れながらL1orL2を押すと、軸をずらしながら相手方向へ移動する「飛び込み側転」が行える。間近で使用すれば背後にも回れる。ジャンプによる飛び込みとの使い分けが肝心。
    • ダッシュ中にL1orL2で「ダッシュかわし」が使用できるものの、無敵時間が無い上にキャラクターによってはほとんど移動できないため魅せ技の領域。
    • 方向キー下2回で、ステージ中央に向かって軸をずらす「自動側転」を行う。キーコンフィグに関係なく使用できるが、移動方向を把握しづらく扱いが少々難しい。

プレイアブルキャラクター

+ 全32人の設定紹介

主な情報は攻略本『闘神伝3オフィシャルガイド』と、本作の後にリリースされた『闘神伝カードクエスト』で明かされた情報より。
『闘神伝2』のプレイアブルキャラクターのうち、「ホー」「ウラヌス」「マスター」を除いた全員が本作に登場している。

【前作から続投している男性キャラクター】
エイジ 23歳 日本人。本作の主人公。会津出身。前作大会の覇者とされている。
武器は四聖武具の一つ「白虎の太刀」。かつては超えられない壁であった兄との実力差はかなり縮まっている。
隠しコスチュームは『1』と同じ半袖衣装。
カイン 24歳 イギリス人。エイジの親友。
ストリートファイターシリーズ』における「ケン」のポジション。
亡き養父アモウが実は古代組織の一員であったと判明する。武器は西洋刀「キャリバーン」。
デューク 31歳 フランス人。高潔な地方領主。かつてエイジとの野試合で敗れるも、今や互いの実力を認め合う仲。
前作では「騎士道に反する」という設定で唯一人ダウン攻撃を所持しておらず、本作でもダウン追い打ちに厳しい制約が課されている(空中コンボは制約なし)。
武器は両手剣「デルニエ・ヴァンクール」。
モンド 44歳 日本人。富士の樹海に隠れ住む隠密集団「夜鬼一族」の一員にして、四聖武具の一つ「青龍の槍」の使い手。
前作までは古代組織の命令で動いていたが、一族ですらその組織に狙われる状況となり、参戦。
 
ラングー 32歳 アメリカ人。ワイオミング州の怪力自慢の鉱山夫。
家族を大切にする男で、ガイアの境遇に深く同情し、前作に続き彼に協力するため参戦。武器は巨大な金棒。
隠しコスチュームでは『2』のような袖なしジャケットを着用している。星条旗を背負ったデザインは『2』の没設定が元になっているらしい。
ガイア 41歳 日本人。本名不詳。和装の大男。『1』でラスボスを務めて以降は公に善玉として闘っている。
秘密結社製のプロテクターを捨てた『2』以降も炎を吹くなどトンデモな必殺技を披露する。
武器は巨大な和洋折衷刀「バッドエンド」。
カオス 36歳 スリランカ人。元・秘密結社四天王の一人。長身痩躯の禿男で、何より闘いを好む。
ハードな設定を持っているキャラクターだが、それを全く感じさせないぶっ飛んだ言動が特徴。
味方サイドにいるのが不思議なくらいの戦闘狂だが、本作のオープニングではエイジ達と並んで朝日に見入っている。
武器は四聖武具の一つ「玄武の盾」と大鎌「最後の審判」。さらには体内から吹き出す毒ガスや毒ゲロで闘う品の無い男。
ヴァーミリオン 年齢等不詳 黒服の眼鏡男。前作では謎の男と紹介されていたが、本作で古代組織の諜報員*2だったという拍子抜けな正体が明かされた。
『闘神伝カードクエスト』での発言によると暗殺は趣味でしかないらしい。
標的を儀式に招くという意味合いで、前作のコート姿から礼装姿に着替えたとのこと。ゲーム中では分かりにくいが衣装に怪しい紋様が描かれている。
メタ的(性能的)には前作から大幅に弱体化している。短期間で他のキャラクターの実力がヴァーミリオンに切迫したということだろうか。
とはいえ、本作の彼はキック系の技が非常に高性能で、前作と違った強みがある。
前作で使用していたショットガンは用いず、本作では前作で使用していた黄金の拳銃「ピースメーカー」と硫酸ビンにくわえて、新たに長大なデリンジャー*3と電撃ワイヤーを用いて闘う。
必殺技が全て得物に依存しており、闘気などは一切使いこなせないのかもしれない。
高圧的なルックスと狂気的なボイス、それでいてセコイ闘い方というギャップから、シリーズで特に人気の高いキャラクター。
本作でもパッケージはおろか、攻略本の表紙を描き下ろしイラストで飾っている。攻略本に至っては主人公たちを差し置いての単独イラスト&オリジナルコスチュームである
ショウ 年齢不詳 日本人。エイジの実兄だが、何故か年齢不詳(作品・媒体によっては本名も不詳)。
生きながらにして伝説の「風の異邦人(エトランゼ)」として語られるほどの大天才。自分以上の強者を常に欲しており、カオスとは別のベクトルで戦闘狂。武器は東洋刀「飛燕剣」。
過去にカインの養父を殺害している。その理由は媒体により異なっており、ゲームの方はというと、詳細が語られていない。
シリーズ恒例の隠しキャラクターだが、本作ではCPU敵としては特に条件もなく普通に出てくるのでありがたみが薄い。
作品ごとに性能が変わってきた闘神奥義「炎魔烈襲砕(えんまれっしゅうさい)」が、本作ではとうとう対戦相手を一定時間止めるという格闘ゲームでも稀に見るチート技に。
1ラウンド1回しか使えず、止められる時間も非常に短いが、うまく決めればガードを崩し放題である。
自らの腹に刀を刺しその反動ダメージを相手にも確定で与える謎の技「自らを絶つ」とこの「炎魔烈襲砕」を併用して勝利でもしようものなら、ヴァーミリオンよりも卑怯な闘士に思えてくる。
【前作から続投している女性キャラクター】
エリス 18歳 トルコ国籍の緑髪の少女。ガイアの実の娘。父(ガイア)の配慮により旅芸人一座に身柄を預けられており、かつては自身の出自を知らなかった。
現在は父や仲間を守るため闘っている。武器はダーク(片刃の短剣のこと)。
母カエデも日本人なので、実のところエリスは純然たる日本人である。ただし日本人としての本来の名は、未だにどの媒体でも明かされていない。ひょっとして「設定」が無いのでは……。
1作目からヒロインとして一部で圧倒的な人気を誇った。生足姿かつ足を大きく開いた構えをとり、半透明の処理により地肌が透けて見えている衣装など、エロスとCG技術の高さを両立させており色々な界隈に衝撃を与えた。
ちなみに、エリスの衣装は『初代』『2』『3』それぞれでデザインが大きく異なっている。*4『2』における変更の際はファンの賛否が大きく分かれたと言われており、当時の関心の高さをうかがわせる。
ソフィア 26歳 ロシア人。ボンテージ風の衣装を纏った私立探偵。
かつて秘密結社により強化手術と記憶操作を受けており、自身の正確な出自を追い求めている。古代組織の非人道的な行いが気に入らず参戦。武器は革製のムチ「クラースヌイ・ブーリァ」。
エリスと双璧を成す『闘神伝』シリーズの大人気ヒロイン。こちらは女王様系。本作では性能はともかくとして、モデリングで不遇なことに。
隠しコスチュームでは『2』のデザインに近い衣装になる。
トレーシー 22歳 アメリカ人。好戦的なボーイッシュ婦警。本作では古代組織の捜査に回されることになった。
武器は高出力スタンガンを仕込んだトンファー。恐らく銃より物騒な代物である。
エリスとソフィアに遅れ、『2』から登場した人物。本作ではなぜかソフィア(及びゾラ)に謎の対抗意識を持っているようで、専用の勝利ボイスが用意されている。
隠しコスチュームは、バンダナにロングパンツとよりボーイッシュな服装。
【新規男性キャラクター】
バイホウ 不明 中国出身のオス猿。前作まで登場していた殺人鬼の老人「ホー」の技を見よう見まねで身につけた。
なぜか何者かの頭蓋骨を背負っており、ホー本人はというと行方不明になっている。武器はカギ爪。
隠しコスチュームは「ゾンビ化したホー」のような姿になる。
デヴィッド 15歳 イギリス人。古代組織によって実験体にされそうになったところを自力で脱走してきた少年。
武器はその場で強奪したチェーンソーと、シズクから護身用に譲られたトカレフ、他に手榴弾も使う。新主人公的なポジション。
『闘神伝カードクエスト』でもプレイアブル8人のうちの1人として登場する。
ナギサ 36歳 日本人。本作でトレーシーとコンビを組むことになった強面のICPO捜査員。
女性のような自分の名前にコンプレックスを持っている。
常識人寄りだが、ソウルボムの挙動は地上版・空中版ともにツッコミどころ満載。武器は大型拳銃と警棒。
レオン 25歳 アメリカ人。古代組織所属。エイジのライバルキャラクターで、使用する技もほぼ同等。組織のボスであるアベルにのみ忠誠を誓う豪快な男。
勝利ボイスの一つ「チョーMM!」は今でもファンの語り草。武器はレイピア「スカルストーカー」。
隠しコスチュームはアメリカ兵じみた姿になるが、なぜか目の色が異様になっている。
テンカウント 29歳 イギリス人。古代組織所属。カインのライバルキャラクターで使用する技も似ているが、オリジナルの蹴り技も多い。
オネェ口調な上に、マイケル・ジャクソン氏のダンスを取り入れたアクションを披露する強烈な人物。
武器は長剣「ナイトメア」と投げナイフ。
バルガ 33歳 ノルウェー人。古代組織所属。デュークのライバルキャラクターだが、騎士道精神のかけらもない粗野な男で、ダウン追い打ちも制約なく可能。
自身の祖先が没落した理由がランバート家にあり、現当主であるデュークへ深い恨みを抱いている。
武器は大剣と盾で、剣技だけでなく蹴り技やシールドバッシュ等の体術も使う。
ジャッジメント 16歳 イギリス人。古代組織が生み出した怪人。デヴィッドの幼馴染だが、彼と違い古代組織から逃げ出せなかった。
闘神を生身の身体に宿す実験に耐え切れず、精神が壊れている。武器はチェーンソーと手榴弾。デヴィッドと違い、足技は使わない。
ホッケーマスク風の仮面で顔を隠している。勝利時にはうなり声しか出さない。『闘神伝カードクエスト』でもマトモに言葉をしゃべれない。
トウジン 62歳?*5 日本出身。古代組織の傭兵。お面でもなく被り物でもなく、本物の天狗
不治の病に侵された妻を救うには不老不死の教義が必須と考え、そのルーツを求め呪術に精通している古代組織に近付いた。
武器は槍と大砲「美人局」。モンドのライバルキャラクターであるが相違点はかなり多い。
アダム 不明 古代組織が製作したロボット。一応ラングーのライバルキャラクター扱いだが、技の類似はほとんど無い。
アベルの身辺警護を任されているが自我を持っており、人間になることを本気で夢見ている。武器は打撃での使用にも耐えるガトリング砲。
隠しコスチュームはモヒカンでヒゲ面の頭部をしたサイボーグになる。
アタワ 17歳 ペルー人。古代組織の傭兵。古の帝国の末裔であり、インディアン風のペイントと衣装を身に付けている色黒の少年。
エリスのライバルキャラクターで、エリスには無い投げ技を持っている。武器は吹き矢も撃てる二対の笛「オシュラフン」と「ボロン」。
オフィシャルイラストでは驚くほど端正な顔立ちだが、ゲーム中では奇妙な笑い声とローポリゴンの影響でかなり怖い。
タウ 45歳 ブラジル人。古代組織の傭兵。少数部族出身の大男で、自分の一族の再興を夢見る。
アタワに強いシンパシーを感じ、彼の帝国復興計画に力を貸している。ガイアのライバルキャラクターであり、前作でガイアが使っていた必殺技を分け合う形で設定されている。
武器は大鉈と吹き矢。
シュルツ 32歳 ドイツ人。古代組織最高幹部の一人。ガイゼル髭がチャーミングな大男だが、呪術に精通し組織の儀式を取りまとめている聡明かつ冷酷な人物。
忍者のような装束と神父のような言い回しが特徴。武器は大鎌「真理の究明」と腕に装着したカッター。
隠しコスチュームは何故かピエロの格好になる。
アベル 年齢等不詳 古代組織の教主であり本作の大ボス。
「闘神を蘇らせ現世を破壊し尽くした上で新世界を創造する」という計画を本気で実行しようとしているシリーズ屈指の危険人物。本人の戦闘力も極めて高く、素手で闘いを挑んでくる。
×ボタンで選択すると隠しコスチュームになり、バグったような姿になる。
ヴェイル 年齢等不詳 アベルが破壊衝動を解き放った姿。過去にアベルは己に闘神を宿らせようとするも失敗し、不完全な意識だけを身に宿してしまった…
…ということがあった。その事件の再現でしかないが、戦闘力はアベルの時と比較して更に上がり、荒々しくも妙にサッパリした言動になるのがシュールである。
武器はオーラの刃「エレメンタルブレード」。
【新規女性キャラクター】
シズク 23歳 日本人。流れ者の博徒。瀕死のデヴィッドを匿ったことから自身も古代組織に狙われてしまう。
武器は刃物のような切れ味を誇る着物の袖と、色々と規格外な長煙管(キセル)。短刀投げも使う。
『パズルアリーナ闘神伝』においてもプレイアブルキャラクターとして登場する。
レイチェル 22歳 アメリカ人。トレーシーの双子の姉。幼少の頃に生き別れ、古代組織に拾われた。
「自身の不幸は妹のせい」と組織に言い聞かされており、本作においては暗いストーリーが展開する。武器は爆発や雷撃を繰り出せるダブルトンファー。
『闘神伝カードクエスト』では妹を前にしても取り乱さず、冷静に対話するなど大人らしさを見せている。
スイレイ 15歳 香港人。古代組織の傭兵。幼少の頃から暗殺術を仕込まれてきたため、良心の呵責なく笑顔で人を殺せる恐ろしい少女。
財閥『昇竜』預かりの暗殺者だったが、そこが敵対組織『鬼影』によって壊滅した後に古代組織入りした。
バイホウのライバルキャラクターという位置付け。しかし前作のホーがベースの性能のため技の差異が激しい。武器はもちろんカギ爪。
キャラクター人気が高かったのか、『闘神伝カードクエスト』では8人のプレイアブルキャラクターのうちの1人に選ばれている。
ゾラ 24歳 オーストリア人。古代組織所属。表の顔は有名なオペラ歌手。裏では猫を模した覆面とボンデージ服を着用して暗殺者をしている。
カインの養父に惚れ込んでいたが、彼がショウに殺害されてしまったので復讐のためにも組織に身を置き続けている。武器は棘のムチ「ブラッディローズ」と左手の鉤爪。
技の構成はほとんどソフィアと同じで、ソフィアのライバルキャラクターではあるものの、ストーリー上はソフィアよりもショウやカインと因縁深い人物。
隠しコスチュームは何故か猫の面を付けた法被姿である。
ミス・ティル 26歳 マレーシア人。シュルツと肩を並べる古代組織最高幹部の一人。
未来を見通す力を持つ巫女だが闘神の行く末は見ること叶わず、使命感から組織に身を置いている。ソウルボムでは召喚術のようなものも披露する。武器は「精霊の杖」とダガー。
シズクのライバルキャラクター。技の構成はほとんどシズクと同じだが、主要技には大きな変更があり、意外と使用感は異なる。
ナル 5歳(誤植ではない) イギリス人。設定上は1作目から存在していたカインの養女が、本作最後の隠しキャラクターとして参戦。
武器は養父と同じく「キャリバーン」。どんな攻撃を受けても「えへへ♪」と無邪気に喜び、低すぎる身長によりそもそも一部の攻撃が全く当たらない。恐ろしい闘士である。
後に『闘神伝 昂』にてデフォルトキャラクターとして活躍する。そちらでは「キャリバーン」は正式に彼女の所有武器となっている。

評価点

  • 全32人もの個性的なプレイアブルキャラクター
    • デザインやボイスがよく作り込まれており、32人全員をしっかり差別化できている。性能面では似通ったキャラクターもいるが、単なるコンパチや上位・下位互換はほとんど無い。
      • ボイスにはエコーの処理がかかっている他、エイジのソウルボム使用時のボイス「ド根性ぉ!!」など、ユニークで印象に残るものが非常に多い。ラスボスのアベルですらネタ台詞の宝庫。
      • 極わずかではあるが、特定のキャラクター同士の組み合わせでしか発生しない勝利ボイスも存在し、キャラクターの個性を伸ばす工夫も行われている。
      • カオスに専用のエンディングBGMが存在するなど、どのキャラクターも多かれ少なかれ何かしらの贔屓点が用意されており、愛を感じられる作り。
      • 全32人を出現させた後「1P GAME」をクリアすると、タイトル画面のカーソルの色が変化することがあり、最終的には緑色になる。その状態で□か×でキャラクターを選択すると、隠しカラーが選択可能。*6一部のキャラクターには隠しコスチュームが用意されている。
        裏技のコマンドを計3回入力すると、32人出現させずとも同じ状態にできる。上記の方法は手間がかかるうえ確実性にも欠けるので、裏技を使う方が無難だろう。*7
  • 闘神連技のお手軽さと格好良さ
    • コマンドさえ覚えれば誰でも手軽に「コンボ」を叩き込める。
    • 特別使い勝手の良いものを2~3覚えておけば実戦でも問題無いが、極めようとすると奥深い。準備されている数が多いので、性能把握からして楽しめる。
      • 浮かせている相手に有効な連技など、状況によって使い分ける楽しさがある。
      • モーションも非常に格好良く、見ているだけで楽しめる。画面が粗い分、なおさら映える。スタッフロールによると、膨大なモーション数に対し担当者はわずか3名で、苦労がしのばれる。
      • キャラクターが武器を振り回した際には軌跡が色付き、美しい。タムソフトが後に開発する『お姉チャンバラシリーズ』や『閃乱カグラシリーズ』でも続投させている演出のひな形を見ることができる。
  • 活用しやすいソウルボムとリバースアタック
    • 初心所でもすぐに主な使いどころが把握できる、直感的で分かりやすく強力な必殺技である。尖った部分だけ見ればかなり個性的な存在ともいえる。
    • コンボにまで組み込めるあたり実用性が広い。
  • ガード時はお互いが五分の状況になる技・コンボが多い
    • ソウルボムやリバースアタックが共通システムとして存在することも手伝って、延々と相手から有利状態を押し付けられる事態にほぼならない。
    • ソウルボムとリバースアタックは、必殺技と同様にワンボタン発動が可能。*8
  • 良質なBGMの数々
    • 本作のコンポーザーである中野恭宏(YASUHIRO NAKANO)、田辺文雄(FUMIO TANABE)、梅垣ルナ(LUNA UMEGAKI)、本山明燮(AKIHI MOTOYAMA)4名はいずれもタムソフト所属(当時)。
      • 『チョロQ』シリーズなども手がけているメンバーであり、シリーズで一貫して評価の高い部分である。
      • SEについても派手で爽快なものが多く、試合開始時にデヴィッドがチェーンソーを駆動させるときのSEなど、専用のものも意外と多い。
  • オマケでビューモードが搭載されている
    • キーコンフィグでL1L2R1R2を同時押しするとカメラモードが「操作」に変わる。この状態だとL1L2R1R2が画面の横回転と縦回転になる。
    • この状態で、ポーズメニューが表示されているときに□△×○を同時押ししながら、セレクトボタンを押すとポーズメニューの表示が消える(もう一度押すとゲージ類が全て非表示になる)。
    • ポーズメニュー非表示にした状態でポーズをかけ、セレクトボタンだけを押すと、方向キーとL1L2R1R2がカメラの軸移動とズームイン・ズームアウト機能に変更される。
    • このビューモードを使うと普通にプレイしている時は気づかない意外なことがわかる。
      • ヴァーミリオンが銃撃をした際、実は豆粒サイズの銃弾が表示されており、それを拡大してみると弾に「呪」の字が描かれている
      • ゾラは隠しコスチュームだと猫の面を付けているが、真横からズームインすると通常時では見ることのできなかった彼女の素顔を拝むことができる。



賛否両論点

  • 下段技・中段技の発生が非常に早い
    • 技を見てから立ちガードとしゃがみガードを切り替えるのは至難。読み合いの駆け引きを通り越して運ゲーに感じてしまうことも。
  • 全体的にダメージ量が控えめ
    • 簡単な連続技で体力ゲージが4~5割減ることもあった『2』の反動か、攻撃一発一発が軽く、勝負がつくまでに時間がかかる。
    • ただし、闘神連技や空中コンボがメインの本作では「一発が軽いぶんコンボを好きなだけ叩き込んで楽しめる」という評価点もあり、一概に欠点とは言い難い。
  • 派手な演出
    • 本作では超必殺技等を使用した際、背景の暗転・フラッシュや時間停止などの演出がつくようになった。
    • 演出としては優れているが、対応した技を使うたびにいちいち発生するため「テンポが悪くなる」「鬱陶しい」という否定的な意見もある。
  • 露骨なパロディキャラクター
    • マイケル・ジャクソン風の出で立ちで「スリラー」の振り付けを披露するテンカウントや、ジェイソンを彷彿とさせるルックスのジャッジメント*9に、キャットウーマン風のコスチュームであるゾラ。著作権や肖像権に抵触しないのか?
      • 極めつけは主力技が『ストリートファイター』シリーズの豪鬼そっくりなものばかりというアベル/ヴェイル。いくら『2』の製作にカプコンが関わっていたとはいえ…訴えられなくて良かったね。
      • 前作ではカオスがSNKキャラクターをモチーフにしたパロディ技の数々を披露していたが、あれよりも自重していない。これらを笑って許せるかどうかは人によると思われる。
  • デフォルトキャラクターとそのライバルキャラクターには、共通のBGM・ステージが割り当てられている
    • 例えば「エイジ」と「レオン」どちらを対戦相手に選ぼうと、火口の中に作られた金網ステージが舞台になる(エイジ&レオンステージ)。そこで流れるBGMも一種類しかない。
    • 上記例で流れるBGMは、『闘神伝』のエイジのテーマのアレンジバージョンだが、曲調はレオンに合わせたものとなっている。
      • そのため過去の作品を知っているユーザーからは「エイジとレオンのどちらが出てきても、BGMにどこか違和感が感じられてしまう」という意見が挙がっている。
      • 同じことは『闘神伝』のモンドのテーマのアレンジが流れるモンド&トウジンステージ、『闘神伝2』のラングーのテーマのアレンジが流れるラングー&アダムステージにも言える。
  • ステージについては、すべてライバルキャラクターを基準に作られており、デフォルトキャラクターのことを一切考慮していない。親和性の高いステージ*10も少なくないものの、それがかえって違和感のある組み合わせを際立たせる結果となってしまっている。
    • 特に違和感が目立つのがガイア&タウステージで、海外風の山岳のロッジを舞台にしたステージに、渋みのきいた和装で登場するガイアは悪目立ちする。この組み合わせに関しては、BGMもライバルキャラクター側に偏っている。
  • 欠点ばかりが目立つ一方で、ペアに共通のBGM・ステージを割り当てた結果として、双方のキャラクターの関連・印象を深めているという評価点もある。
    • デューク&バルガ(互いの先祖がライバル関係)とトレーシー&レイチェル(生き別れの姉妹)とデヴィッドとジャッジメント(幼馴染)の3組に関しては全く問題が無い。
    • ナギサ&ヴァーミリオンのステージは大都会の下水道とおぼしき場所で、タキシード姿のヴァーミリオンとは一見不釣り合いに思える。が、逃亡劇の果てに辿り着いた、もしくは隠れ家など、ある種のストーリー性を感じられる。



問題点

  • 前作よりもグラフィックが粗く、バトルフィールドも薄っぺらい
    • 攻略本では60fpsモードを実現した際の苦労が語られており、グラフィックが相当犠牲になってしまったとのこと。
    • もともと本作は60fpsモードありきの企画だったようで、代替として用意された30fpsモードでもグラフィックが冴えないが、色々とやむを得なかった。
      • なお、初期設定は30fpsモードになっている。初志貫徹できていない。
    • 戦闘中、カメラが壁に引っかかったりすることはないが、平気で壁を突き抜ける。その際に壁や床が1枚の板でしかないことが丸分かりになってしまう。
      • バトルフィールドによっては、ラウンド開始前のカメラ演出でさっそく突き抜けていたりする。いちいち気にしていてはもはやプレイできない。
  • ゲーム中に技表を見る機能が存在しない
    • そのため、コマンド技と闘神連技両方のコマンドを自力で調べ、しかも覚えないといけない。
    • 攻略本にすら掲載されていない技がある。編集者に渡った資料が不完全だったのだろうか…。
  • CPUのアルゴリズムが微妙
    • AIの作りが甘く、こちらのソウルボムに無策で突っ込んで勝手にダメージを受けるなど、珍妙な行動をとる事さえある。
    • オプションで難易度を上昇させると攻撃の手数やガード頻度が増えるものの、基本性は変わらない。
      • なお本作には、難易度上昇に伴ってCPU側の攻撃力が高くなるという仕様がある。不出来なAIをごまかすための仕様…というのは考えすぎか?
  • ゲームモードが少なすぎる
    • トレーニングモードも無いため、調べ物をするのが困難。近い環境を作りたければ、対人戦をスタートさせ、2P側を放置させるくらいしかない。
    • せっかく各々のキャラクター設定が魅力的なのに用語集といったものも無いので、攻略本を買わないとストーリーの大部分が理解できない。
  • 1P GAMEの作業感が酷い
    • 対戦人数の多さもさることながら、一試合当たりの長さが足を引っ張り、非常に手間がかかる。
    • 一応、ストーリーモードにあたるものではあるが、ストーリーに関わる演出があるのは敵を全員倒した後のみ。それも、エピローグが簡潔に語られるだけで終わってしまう。
      • 32人もプレイアブルキャラクターが居る作品なので簡潔にならざるを得なかったと思われるが、中断なしで10人以上の敵と戦わせておいてその程度の内容では物足りない。
    • プレイアブルキャラクターを全員出現させるには、この1P GAMEを最低でも20回クリアする必要がある。
      • 少なくともデフォルトの14人・アベル・ヴェイルでのプレイは必須となっており、しかもアベルとヴェイルは難易度「ふつう(=デフォルトの難易度)」以上でノーコンティニュークリアしないと条件が達成できない。
  • 華であるはずのオープニングムービーが不出来
    • 動きが全体的に地味で人形劇じみている。派手なBGMと劇中のSEが逆に浮いているほど。冒頭と終盤のシーンは悪く無いのだが。
    • 製作したのは、スタッフロールによると「SHOEISHA INC. VISUALDESIGNROOM」。翔泳社のことだと思われる。

総評

実際のところ、グラフィックと引き換えに本作が得たものは大きかった。粗いグラフィックは一見さんをお断りにしてしまうが、
「アニメのようなキャラクター達が、2D格ゲーライクに闘う3D格ゲー」というなかなか目にできない作品となっている。
良質なBGMも揃っているので、キャラクターや世界観の魅力も込みで楽しめそうなら、今からプレイしても十分に元は取れるだろう。


その後の展開

  • 海外では『Battle Arena Toshinden 3』の名でリリースされており、国内版から内容が色々と変わっている。
    • 北米版とEU版では、プレイヤーが上段・下段ガードを使い分ける必要が無い。ガード入力さえしていれば、自動で受ける技の属性に対応したガードになる。
    • 1P側と2P側でそれぞれ日本版ボイスと吹替えボイスを選択できる他、国内版には無かった「サバイバルモード」と「プラクティスモード」も実装されている
      • プラクティスモードの設定可能項目は多岐にわたり、与えたダメージ値の表示も可能。ステージも専用のものだが描画モードによる見た目の変化は無し(簡易版で固定)。
        + プラクティスモードの試遊動画
  • 本作のあと、闘神伝4にあたる作品『闘神伝 昴』の登場には2年を要することになる。
    • 本作の弱点部分を補おうとした作品であることはよく伝わるのだが、痒くないところへばかり手を届かせ、肝心な部分は結局おろそかになってしまった印象がある。また、システム的に『KOF』シリーズを意識している部分がある。
    • 『昴』よりさらに後に、他社から『KOF MAXIMUM IMPACT』という『闘神伝3』に類似したプレイ感のKOF関連作が登場、良作として評価されたのは皮肉なものである。
  • タムソフトが開発し2005年にリリースされた『SIMPLE2000シリーズ Vol.90 THE お姉チャンバラ2』に登場するボスキャラクター「エヴァ」の衣装は、『闘神伝3』のソフィアが着ているものと瓜二つである。
    • 設定的には全くつながりのない作品なので、ファンサービスだろうか。販売元が違うので少々危ない。
      • 上記のリメイク作、『お姉チャンバラ ORIGIN』でエヴァは実に14年ぶりに再登場。デザインは多少変更されたがソフィア風衣装も無事に復活となった。

余談

  • 武林武士氏による漫画版『闘神伝』*11は『1』『2』をベースにした物語であるが、3巻で早くもヴァーミリオンが登場し、5巻では『3』のレオンとテンカウントも脇役で登場している。
  • 異識氏による実在の格闘ゲームレビュー漫画『ゲーメイト』の1巻*12では、第12話が丸ごと『闘神伝3』特集回になっており、ソウルボムなど主要システムの解説や空耳ネタ、果てはヒロインによるヴァーミリオンのコスプレ絵や攻略本のアオリの件など、濃い目の話題を揃えてある。
    • ただしメーカーに許諾をとっていないまま作中で扱っているのか、キャラクターのオフィシャルイラストやゲーム画面は一切登場せず、タイトルも『闘●伝3』という伏字での表記になっている。
      • なおこれは作中で扱われる他全ての格闘ゲームについても同様である。『闘神伝3』なみに危ない橋わたってるんじゃねーか
  • 本作のキャストはスタッフロールにて50音順で英字表記されているが、どの声優がどのキャラクターを演じているかまでは紹介されていない。攻略本や製品サイトでも一切掲載されていない。
    • 『闘神伝』シリーズは続編でたまに声優が交代したりし、その次の作品でまた声優が戻っていたりもするため、実はシリーズのキャストについてはあまり明確でなかったりする。
+ スタッフロール:キャスト部分の抜粋
【スタッフロールでの表記】 脚注
TAKESHI AONO 青野 武
HIROSHI ISOBE 磯部 弘
HISAO EGAWA 江川 央生
TAKESHI ENDOU 遠藤 武
MASAAKI OHKURA 大倉 正章
MAHITO OHBA 大場 真人
MEGUMI OGATA 緒方 恵美
RYOTARO OKIAYU 置鮎 龍太郎
MASAYA ONOSAKA 小野坂 昌也
YUKIMASA KISHINO 岸野 幸正
DAISUKE GOHRI 郷里 大輔
KENJI SATO 佐藤 賢治
MASAHARU SATO 佐藤 正治
KANETO SHIOZAWA 塩沢 兼人
NANAE SUMITOMO 住友 七絵
YUKO SUMITOMO 住友 優子
TAMIO FUNABE ※ たみお ふなべ
YOHKO TEPPOZUKA 鉄炮塚 葉子
YUMI TOHMA 冬馬 由美
YUKO NAGASHIMA 永島 由子
KEIICHI NANBA 難波 圭一
NOBUTOSHI HAYASHI 林 延年(現:神奈 延年)
MASATO HIRANO 平野 正人
KIGA MEU ※ きが めう
YUKO MITA 三田 ゆう子
HIKARU MIDORIKAWA 緑川 光
KWAK MYOUNGSEOB ※ カク ミョンセオブ
KOHJI YADA 矢田 耕司
NATSMI YANASE 柳瀬 なつみ(現:やなせ なつみ)
WAKANA YAMAZAKI 山崎 和佳奈
KEIKO YAMAMOTO 山本 圭子

このうち、TAMIO FUNABE氏、KIGA MEU氏、KWAK MYOUNGSEOB氏は調べても情報が出てこない。KWAK氏はともかくとして、
たみお ふなべは、本作のサウンドスタッフ田辺文雄(たなべ ふみお)氏に名前がよく似ており、
きが めうは、逆から読むと「うめがき」となり、同じくサウンドスタッフである梅垣のことのようにも思える。
現に、本作には素人が声をあてているようなキャラクターが2名ほどいるのだが……真相については謎のままである。

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最終更新:2023年11月15日 08:25

*1 ゲームアーカイブス版で付与されたレーティングを記載。

*2 ただし「アベルから諜報の任務の一切を任されている」という設定があるので、立場としては諜報部の責任者だと思われる。

*3 攻略本によると「強攻撃で使う大きい銃がデリンジャー」とのこと。

*4 セガサターン版『闘神伝URA』でも、PS版シリーズとは異なる衣装で登場している。

*5 攻略本にて「?」付きの表記。

*6 隠しカラーと同時に、闘神奥義のワンボタン発動も解禁される。

*7 当時の攻略本や現存する攻略サイトでは、裏技コマンドのみが正規の手段として紹介されている。

*8 ただしソウルボムを割り当てると、割り当てたボタン+□+×で無限に使用できてしまったり、残数ゼロのときに空中でソウルボムボタンを押すとフリーズしてしまう。

*9 ただし実際のモチーフは、映画『悪魔のいけにえ』のチェーンソー使いの殺人鬼「レザーフェイス」であると攻略本のスタッフインタビューで述べられている。勘違いされやすいがジェイソンがチェーンソーで人を殺めたことはない。

*10 デューク&バルガ、ソフィア&ゾラ、モンド&トウジン、トレーシー&レイチェル、バイホウ&スイレイ、デヴィッド&ジャッジメントの6組。

*11 角川コミックス・エースより、全5巻。5巻は1998年1月16日初版発行。

*12 電撃コミックスEXより。1巻は''2017年''6月27日初版発行。