ヒロインドリーム

【ひろいんどりーむ】

ジャンル ヒロイン育成SLG
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 マップジャパン*1
発売日 1996年10月10日
定価 6,800円(税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)*2
廉価版 もう一度君に会いたい…Loved.2
1999年9月9日/1,800円(税別)
配信 ゲームアーカイブス
2013年11月27日/617円(税8%込)
判定 良作
ポイント 正体を隠しながら進める育成SLG


ストーリー

都会から離れた、とある学校の人気者、「舞木静」は、芸能界に憧れるただの女の子にすぎなかった。
ある芸能プロダクションのスカウトチームが彼女に眠る才能に気づくまでは・・・
芸能各界にパイプを持つ超大手プロダクション、「ライジングドリーム」の経営の一つに私立の芸能学校がある。
これは、高等学校教育課程と同時に、様々な芸能活動を奨励したもので、生徒たちはここで各種訓練を積み、芸能界へデビューすることになるのである。
そして現在、歌手、映画、舞台、モデル等で一流として通用するスターを生み出す計画が、極秘に進められていた。
今回のプロジェクトでは、全国から選りすぐった5人の候補生を、3年間にわたって各界のスペシャリストに手ほどきを受ける大がかりなものであった。
そして3年後には、5人からさらにたった1人に絞った人材を、総力を上げてバックアップする。
いつしか関係者は、その頂点の1人を「ヒロイン」と呼ぶようになっていた。

舞木静を育てるために選ばれたディレクターはあなた。
ライバル達は強力だが、あなたは静の能力をトップレベルに引き上げ、「ヒロイン」として成功させなければならない。
何故なら、他の候補生と違い何の実績もない静は、このチャンスを逃せば夢をあきらめなくてはならないのだ。

あなたの静は見事「ヒロイン」になれるだろうか・・・


概要

  • マップジャパンが世に送り出した育成シミュレーションゲーム。
  • プレイヤーは、ヒロイン候補生の1人である舞木静を高校3年間で鍛え上げ、他の候補生よりも優秀な人材へと成長させていくのが大きな目的となる。

登場キャラクター

+ ヒロイン候補生
  • 舞木 静 (CV:西村 ちなみ)
    • 本作の主人公。元々普通の女の子だったのだが、ライジングドリームの目に留まりヒロイン候補生としてスカウトされることに。
    • 好奇心旺盛かつ気まぐれな性格。天性のアイドル気質であるためか、自然と人を惹きつけるカリスマを持つ。
    • ヒロイン候補生の中では唯一ズブの素人であるが、その内には非凡な才能を秘めている。
  • 源舞 由紀 (CV:高乃 麗)
    • 運動神経抜群のスポーツ少女。元々不良だったが、あることがきっかけで舞台役者を目指すようになった。
    • 明るくさっぱりとした気性と、多少なスパルタではへこたれないガッツを併せ持つ。
  • 大羽 音夢 (CV:大谷 育江)
    • 演技の天才少女。普段は能天気かつ大らかな性格で、読書が趣味。
    • しかしいざカメラの前に立てば、ありとあらゆる役を演じ分ける実力派女優へと豹変する。ただし歌唱力は壊滅的。
  • 神楽 姫子 (CV:かない みか)
    • 音楽家の家庭出身の少女。その境遇ゆえに歌唱力は抜群である。
    • 気の強い性格で、どんな相手にもズバズバと本音を突きつけてくる。口は悪いが、良く言えば裏表がない。
    • 静とは1番の仲良しだが、それだけに喧嘩することも多い。傍から見ればコントをしているようにしか見えない時もあるが…。
  • 見和 麗 (CV:折笠 愛)
    • モデル志望で、容姿端麗、成績優秀という非の打ちどころのない完璧少女。
    • しかし実際は、それらを達成するために人知れず鍛錬を積み重ねてきた努力家でもある。
    • ヒロイン候補生の中でも特に大人びているが、占いやおまじないが好きという少々子供っぽいところも。
+ ディレクター
  • 元見 演信 (CV:大塚 明夫)
    • 由紀の担当ディレクターである舞台演出家。
    • 気難しく頑固な性格で、指導も非常に厳しいが、その厳しさを発揮するのは明らかに才能を秘めた相手に対してのみである。
  • 名渡 画帝 (CV:藤原 啓治)
    • 音夢の担当ディレクターである映画監督。
    • 実力は確かなのだが、極度の映画バカ。何でも映画に結びつけて考えてしまう陽気なお調子者。
  • 鈴無 響子 (CV:榊原 良子)
    • 姫子の担当ディレクターである音楽プロデューサー。
    • 強気な性格であり、口喧嘩で彼女にかなう者はいない。その一方で面倒見はよく、彼女を慕うものも少なくない。
  • 秋夜 楓 (CV:呉林 卓美*3) 
    • 麗の担当ディレクターであるファッションデザイナー。
    • 冷静沈着な性格で、他のディレクターに比べても声を荒らげて主張するようなことはない。
    • 基本的に1人で仕事をすることが殆どだが、その一方で才能のある者に対してはエールを惜しまない。
  • 5人目のディレクター/占い師
    • 静の担当ディレクターであり、プレイヤーの分身。
    • 過去に起きた出来事から、静と直接会うことを禁じられている。

特徴

ゲームの流れ

  • 『卒業』シリーズの流れをくむオーソドックスな育成シミュレーションゲーム。
  • 基本的には週の初めにトレーニングの内容を決め、月曜から土曜までの6日間でそれを実行しステータスを伸ばし、仕事のオーディションをこなして評価を上げていく。
    • トレーニングの内容は、「スペシャリスト」「方針」によって決められる。
  • スペシャリスト
    • 端的に言えば静をトレーニングする講師のこと。プレイヤーはあくまでもディレクターであるため、直接指導は行わないのだ。
    • スペシャリストには、それぞれ専門科目とそのレベルが1から4まで設定されており、レベルが高ければ高いほどステータスの伸び幅も大きくなる。
    • そのため、ステータスをより高く伸ばすためにはレベルの高いスペシャリストを雇う必要がある。スペシャリストの雇用は、毎月第3週のみ可能。
    • 条件を満たせば先述したディレクターもスペシャリストとして雇うことができる。いずれも優秀なスペックを誇るが、雇えるのは1ヶ月間のみ。
  • 方針
    • スペシャリストの指導方針を決める項目。これによって伸ばすパラメータが決められる。項目は以下の6種類に分けられている。
      • 能力主義:現在1番高いパラメータを中心に上げていく。
      • バランス:現在1番低いパラメータを中心に上げていく。
      • スパルタ:スペシャリストの専門科目を中心に上げていく。パラメータの上がり幅が1番大きいが、ストレスも溜まりやすい。
      • 個性尊重:静が1番伸ばしたいと思っているパラメータを中心に上げていく。静の性格の関係上、ランダム性が強い。
      • 色々:スペシャリストの専門科目を中心に上げていく。スパルタと比べると上がり幅が狭いものの、対象となるパラメータの範囲が広い。
      • 自習:ストレスのみ下がる効果がある。スペシャリストによって下がり幅が異なる。
  • 毎年7月第4週から8月第4週までは夏休みが、12月第4週から1月第1週までは冬休みが設けられ、その間はトレーニングができなくなる。
    • 夏休みの間は各ディレクターたちが集中合宿を開くため、それに参加させてステータスを伸ばすことは可能。
  • 「自習」以外の方針でトレーニングを進めていくと次第にストレスのパラメータが伸びていき、一定値を超えるとステータス異常が発生。
    • スランプに陥ってパラメータが伸びなくなったり、病気にかかって一切の行動ができなくなるなどのデメリットが発生する。そのため適度なガス抜きが必要になる。
    • 特定のパラメータが低いと発生する骨折のような、ストレスと関係なく発生する物もある。

オーディション

  • ある程度ゲームを進めると、月の初めにオーディションの依頼をもらうことがある。
    • 各月の第1週のみ静にオーディションを受けさせることが可能。オーディションには合格に必要なパラメータ項目とレベルが設定されており、レベルが高いほど合格に必要なパラメータ値も高くなる。
    • 見事合格できれば、仕事内容に応じた拘束期間分トレーニングができなくなる。CMやポスターのモデルなどはその日の内に終わることが多いが、舞台や映画撮影では1ヶ月丸々拘束されることも。
    • 拘束期間を終えればお仕事終了。仕事内容に応じた評価値を貰える他、仕事の内容を表したスチルが表示される。
    • 不合格の場合は、そのオーディションは2度と受けることが出来なくなってしまう。
    • なお、月によっては仕事のオーディションとは別に簡単なバイトが紹介されることもある。貰える評価値は微々たるものだが、合否判定がないので気軽に受けることが可能。

マップ

  • 各週の初めには、マップコマンドを選択することで外出し、ヒロイン候補生やディレクターたちと交流することができる。条件を満たせばイベントが発生することも。
    • ただし、先述した通りプレイヤーは静に正体を悟られてはいけないため、全身ローブ姿というステレオタイプな占い師に変装して出歩かなければならない。
    • そんな恰好で外をうろつく姿は紛うことなき不審者であり、実際各ヒロイン候補生やディレクターからも相当怪しまれてしまう。好きでそうしているわけでもないのに…。
    • ヒロイン候補生は基本的に校内にランダムで配置されており、それぞれの場所を選択することで会いに行くことが可能。
    • 彼女らに対しては「水晶占い」「カード占い」のどちらかの占いをすることができる。
      • 「水晶占い」を選べば、無条件で彼女らとの関係を上げられる。
      • 「カード占い」では彼女らの悩みを聞いて3択の解決策を選ぶ。上手く選べば関係が深まる他パラメータを上昇させることもできるが、選択を間違えれば関係を損ねてしまうことも。
    • ゲームセンターに行けば、「UHOキャッチャー」というクレーンゲームをプレイして景品を獲得するミニゲームが遊べる。
      • 入手した景品は静に与えられ、景品に応じたパラメータが上昇する。ただし、入手率は低いがパラメータが減少する外れもある。
    • 花屋に行けば、花束をプレゼント(後述)としてストックすることが可能。

その他システム

  • 毎月第2週と4週には静にプレゼントをあげることが可能。あげるプレゼントは花屋で買う花束の他、イベントで貰うこともできる。
    • プレゼントをあげればディレクターへの感情が上がる他、パラメータも増減される。
    • また7月には静の誕生日があるため、通常のプレゼントとは別に誕生日プレゼントをあげることもできる。
  • マップ移動時に溜めることのできる関係度とは別に、静には「ディレクターへの感情」というパラメータも存在する。
    • 要するにディレクターへの好感度を示したものであり、厳しいトレーニングを重ねれば悪化し、プレゼントをあげたりオーディションで合格すれば上がる。
    • この好感度が低いとトレーニングを受けさせてもサボってしまうことがあるため、効率よくパラメータを上げたければある程度好感度を維持する必要がある。
    • ちなみにこの好感度の表示形式は数値ではなく、静本人による口語で表現されるのだが、これが非常にバラエティに富んでいる。
    • 評価が高いと「大好きっ!」「そんけーしちゃう」「いつもありがとう」などと表示され、逆に低いと「きらいなの」「バカにしやがってー」「く、くされげどう…」などと表記される。
    • 表現が可愛らしいと言えばそうだが、「くされげどう」呼ばわりされたくなければ、トレーニング漬けにするのを控えよう。
  • 毎月第1週にはディレクター同士の定例が開かれ、そこで各ヒロイン候補生のパラメータを確認できる。
    • その時、パラメータの伸び具合に応じたコメントを貰うことがある。

評価点

魅力的なキャラクターたちと個性を引き立てるストーリー

  • 各キャラクターは個性豊かで多少毒っ気を感じさせる部分もあるが、全体的にマイナス面が目立つような描写は少なく、個々の魅力を引き出すような作風に仕上がっている。
    • ヒロイン候補生たちの仲は良く、殺伐さやギスギス感といったものとはほぼ無縁。
    • 友達が困っていれば支え合い、たまには遊びに出掛け、仕事が成功した際には励まし合う。スターの座を奪い合うライバルというよりは、同じ目標に向かって切磋琢磨する仲間のような関係である。そんな彼女らが織りなすストーリーは見ていて非常に爽快。
    • とは言っても、随所随所にシリアスなイベントが挿まれることもある。メリハリの効いたストーリーだと言えるだろう。
  • ライバルとなるディレクターたちも、ヒロイン候補生たちに負けないくらい個性の立った面子である。
    • 全員その筋のプロということもあり、こちらが生半可なプレイを続けていると辛辣な言葉を投げかけてくることもある。
    • しかしきちんと成果を出せば賞賛の声をかけてくれるし、先述したようにスペシャリストとして育成の手伝いをしてくれることもある。ライバルの教え子だろうと、育成に手を抜かない姿勢は流石プロといったところか。

「ディレクター」ではなく「占い師」として静と接していくゲーム性

  • 先述した通り、本作ではディレクターとして静と接触することを禁じられている。そのため、静には担当ディレクターに関する情報が一切与えられていない。
    • このことに静は大変立腹しており、素性も知れない、姿を見せようともしないディレクターに対して酷く嫌悪感を抱いている。そのため、ディレクターと静の関係はマイナスから始まることになる。
    • 静の一方的な言い分に腹が立つかもしれないが、仕事が成功したあかつきにはディレクターに対して感謝の気持ちを伝えてくれるし、ディレクターの身を気遣うような手紙も出してくれる。このようにマイナスから信頼関係を築いていく過程は評価が高い。
    • 関係が改善していくと、静はディレクターとの接触を何度も試みるようになる。しかしこちらにも事情があるため、たとえプレイヤーが願っても「ディレクター」として静の前に姿を現すことはできない。
    • 静が喜んでいる時も悲しんでいる時も、親身に接してあげられるのは胡散臭い「占い師」としてである。そして「ディレクター」と「占い師」が同一人物であることを静は知る由もない。
    • ディレクター(プレイヤー)と静の間で起きる心のすれ違いがどのような結末を辿るのか、という部分も本作の魅力の1つである。
      • なお、散々言及している「ディレクターが静と直接会ってはいけない理由」については、ゲーム中のイベントで明かされる。発生条件に関しても普通にプレイしていれば達成できるレベルのもの。

多岐にわたるエンディング分岐

  • 本作には明確なゲームオーバー、バッドエンドというものが存在しない。期限となる3年目の3月を迎えると、ヒロイン候補生の育成状況に応じてヒロインが決定。エンディングを迎えることになる。
    • 静がヒロインが選ばれた際は、その時のパラメータやイベント達成率に応じて13種類ものエンディングに分岐する。一定の手順を踏めばベストエンド(通称:スーパーヒロインエンド)へ分岐し、専用のエンディングが見られる。
    • また、他のヒロイン候補生がヒロインに選ばれた場合のエンディングも用意されている。静と違って直接育成することができないため、ヒロインへ登りつめるにはイベントでのパラメータアップをこなす必要がある。
    • 合計17種類ものエンディングが用意されているため、やりこみ要素としても挙げられる。

豊富なイベント

  • マップ移動時に見ることのできるイベントの数が非常に多い。
    • キャラクターの出自に関わるシリアス調なものから、コントのようなドタバタ劇まで種類も豊富。
    • 発生条件も細かく、特定のパラメータや関係性、合格したオーディションなども発生条件に関わってくる。静たちヒロイン候補生を取り巻く状況がゲームの進行とともに変化していくことがよく分かる。
    • イベント収集率はエンディング時に表示されるため、エンディング同様こちらもやりこみ要素として挙げられる。
      • イベント収集率を100%にすると、エンディングにちょっとした変化が…。

サウンド面

  • イベントシーンは全てフルボイス。本作ではアニメのアフレコと同じく声優陣を同室に集めて収録しているため、非常に臨場感のある会話シーンが楽しめる。
    • 出演声優も実力者揃いであり、演技の質も非常に高い。特に複数人が登場するイベントでの掛け合いは必聴。
  • 本作の使われているBGMの多くは、エンディングテーマである「Fly to Fly」のインストゥルメンタルバージョンのアレンジ曲が使われている。
    • このため、ゲームをプレイしていくうちに自然とメロディを覚えることができ、エンディングに入った時点での印象を強くすることに成功している。
    • また、スーパーヒロインエンドに関わる一部のイベントでは、この曲そのものが重要な伏線となるシーンが存在する。

その他

  • トレーニング中などに表示される静のデフォルメキャラ画像は非常に可愛らしく、種類も豊富。

賛否両論点

  • ボイスの流れるシーンではテキスト表示や字幕などが一切ない。
    • リピート機能もないため、一度聞き逃してしまうとデータをロードし直さなければ聞き直すことは不可能。
    • ただしテキスト表示がない分、会話は不自然に途切れることなく進むためテンポは良好。そもそも複数人の声が入り混じるシーンではテキスト表示自体がし辛いため、この仕様を良しとする意見もある。
    • また、テキストが表示されないことで自然と流れる音声に集中でき、ドラマCDを聞いているかのような没入感を生み出しているのも事実。
    • とはいえ消音時のプレイではゲーム性を大きく損ねてしまうのも事実である。
    • ちなみに説明書には「本ゲームでは、演出上セリフを画面に表示しません。クリアな音質でより深くゲームを楽しむため、ヘッドホンの使用をお勧めします。(以下略)」という記載がある。消音プレイは公式的に非推奨なのだろう。

問題点

育成SLGとしては大味かつ単調なバランス

  • 先述したように、静を育成するためには「スペシャリスト」と「方針」を決めてトレーニングする必要がある。
    • スペシャリストに関しては、基本的に最大レベルである4未満のキャラは不必要。毎月第3週にレベル4のスペシャリストを揃えたら、あとは彼らのトレーニングをひたすら繰り返す作業になる。
    • 方針に関しては、「スパルタ」と「自習」の2つだけあれば事足りてしまう。他の方針に関してはパラメータの伸び具合が高くないため、あまり効率が良くない。
      • スパルタを続けていくとストレスが大幅に上昇し、ディレクターへの感情も悪くなってしまうが、ストレスに関しては適宜自習を実施してガス抜きを行えば問題ない。
      • ディレクターへの感情に関しても、オーディションを受けさせて合格すればいくらでも取り戻すことが可能。
  • 以上の点から、本作における効率的なゲームの進め方は、レベル4のスペシャリストを雇ってスパルタと自習を繰り返すことに終始してしまう。
    • 本作は他の候補生とヒロインの座を競争するゲームでもあるのだが、上記の手順を踏めばパラメータ的に圧倒的差をつけて勝利することも容易。やろうと思えば全パラメータカンストも難しくはない。
    • なお、スパルタを一切使わなくてもスーパーヒロインエンドに到達することは十分可能。敷居が低いと見るか、難易度調整が甘いと見るかはプレイヤー次第。

スーパーヒロインエンド到達条件が完全にノーヒント

  • パラメータを一定まで上げる、キャラクターとの関係性を一定まで保つ、特定のイベントを見る…という一連の行動を一定の期間内にこなさなければいけない。
    • 特に3番目に挙げた「特定のイベントを見る」ことについては、他のイベントとバッティングしていると発生条件を満たしても見られないことがある。バッティングしているイベントを消化すれば解決するが、初見で気付くのは難しいだろう。
    • 発生条件自体は緩く、先述したように育成SLGとしては易しい難易度のため、一度理解してしまえば到達することは容易。

お邪魔イベントの存在

  • ディレクターへの感情が高いと、マップ移動時に静がディレクターの部屋へ侵入するお邪魔イベントがランダムで発生する。
    • 一度発生してしまうと、パラメータが書き換えられ1ヶ月間マスクデータになってしまう*4、スペシャリストを1人だけ別の人物に差し替えられてしまう、所持していたプレゼントを奪われてしまう*5、というデメリットが発生してしまう。
    • 防ぐにはディレクターへの感情を一定まで下げる必要があるが、本作では順当にパラメータを上げてオーディションをこなしていくと、ディレクターへの感情が簡単に最大値に達してしまい下げるのが難しくなってしまう。
    • したがって、オーディションが揃ってくるゲーム中盤から後半にかけては常にこのランダムイベントの発生と隣り合わせな状態になりがち。
    • 一応、発生自体はデータをロードすることで防ぐことが可能。デメリットもゲームクリアに大きな影響を及ぼすものではないのが幸いかもしれない。

その他の細かい問題点

  • グラフィックの質はあまり高いとは言えない。
    • 本作は立ち絵もスチルも種類が豊富だが、その出来栄えは玉石混淆。技術不足故か、ブックレットなどでは綺麗に見えていた立ち絵もゲーム用のCGでは野暮ったい印象を受ける。
      • キャラクターデザインは、現フリーゲームグラフィッカーであるくさなぎほむらが担当している。
    • 細かい点では、ボイスシーンで口パクがないことも挙げられる。
  • ミニゲームである「UHOキャッチャー」の難易度が高い。
    • クレーンの掴み判定がシビアで、きっかり中心を掴んだと思っても途中で落っことしてしまうことがある。逆に少々歪んだ位置で掴んだら取れてしまうことも。
  • 一部イベントでは、選択肢が似たり寄ったりな内容になってしまい、どれを選んでもその後の会話が一切変化しないものがある(特にスーパーヒロインエンドに関わるイベントに顕著)。
    • 先述したように、本作では周回を誘う要素がいくつもあるため、何度も見るであろうイベントにおいて「選択肢を選び変える楽しみ」が失われてしまうのは味気ない。
  • ステータス画面には静の「気分」も表示されるのだが、はっきり言って何の意味もない。
    • 説明書にも「そんなに深刻な影響はありません。」と表記されてしまっている。
  • アルバム機能は未実装。先述したように本作ではオーディション合格時などにスチルが用意されているため、収集機能がないのは残念。

総評

育成SLGとしては詰めの甘い部分があるものの、ヒロイン候補生たちが織り成す爽快なストーリー、マイナスから築いていく静とディレクターとの関係性、そして声優陣による迫真の演技と集団収録による臨場感あふれるイベントは評価が高い。
「女の子との関係を深めながら能力育成し、オーディションを通過して評価を上げていく」というゲーム性から「早すぎたアイマスと評価する声もある。
メーカーのマイナーさ故にゲームの知名度はお世辞にも高いとは言えないが、他の育成SLGにはない魅力を併せ持っていることも確かである。
現在はPSゲームアーカイブスでも配信されているため、機会があれば是非プレイしていただきたい一品である。


余談

  • 1998年には続編の『ヒロインドリーム2』が発売されている。
  • 販売元であるマップジャパンは、かつて『ミスピーチワールド』などの非公認ソフトを販売してきたハッカーインターナショナルの業務移管後の企業である。
    • マップジャパンにゲーム事業を移管した後はSCE(現SIE)と正式契約したため、非公認ソフトの類は販売していない。
    • また、マップジャパンとは別にエア・プランツというブランドも立ち上げており、そちらではWindows向けのアダルトゲームを製作していた。
    • いずれも2001年に事業を畳んでいる。
  • 初回特典にはサウンドトラックCD、キャラクター原画が記載されたブックレットが付属されていた。
    • ブックレットはゲームアーカイブス版にも同梱されている。
  • 本作のエンディングテーマ「Fly to Fly」を歌うのは、神楽姫子を演じたかないみか。
    • 舞木静を演じた西村ちなみの歌う「Fly to Fly」はゲーム内では聴くことができず、初回特典のサントラにも収録されていない。どうしても聞きたければ、彼女のシングルアルバム「Chinaism~Heroine Dream~」(絶版)を買うほかない。
    • 入手が面倒だが、本作のメインヒロインが歌う曲だけあって一聴の価値はある。スーパーヒロインエンドの時に流せば、また違った余韻を味わうことができるだろう。
    • ちなみに、このCDには挿入歌の「CRYSTAL FANTASY」と「FLASH LIGHT VIBRATION」の西村ちなみ版も収録されている。
    • 先述の通りコンセプトが通じるものがある『アイドルマスター』と親和性が高く、この歌を使ったアイマス動画が多数投稿されているため、マイナーな本作に対して歌の知名度は高い。

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最終更新:2023年12月08日 15:45

*1 ゲームアーカイブス版はガンホー・オンライン・エンターテイメント。

*2 ゲームアーカイブス版で付与されたレーティングを記載。

*3 発売当時は「くればやしたくみ」名義。

*4 ディレクターへの感情同様、こちらも静本人なりの表現に書き換えられてしまう。ある意味必見。

*5 一応、ディレクターへの感情は上がる。