うたっち
【うたっち】
ジャンル
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音楽シミュレーション
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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コナミデジタルエンタテインメント
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開発元
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ハドソン アンブル
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発売日
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2010年2月25日
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定価
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5,250円(税込)
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廉価版
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ベストセレクション: 2010年11月25日/1,980円(税込)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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ポップン外伝作の一作
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ポップンミュージックシリーズ
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概要
ニンテンドーDSにて発売された音楽ゲーム。
れっきとしたBEMANIシリーズの一作であり、タイトルは違うが実質的には『ポップンミュージック』の外伝作である。
キャラクターデザインは本家ポップンを踏襲しており、本家のキャラクターも登場。本家のオリジナル楽曲も収録されているほか、パッケージにも小さく『pop'n music』のロゴがしっかりと入っている。
内容自体もポップンを簡略化した部分が目立つ。
BEAMANIシリーズ含む一般的な音楽ゲームでは、降ってくるノーツを処理することでメロディ(歌もの、インストもの含む)やリズムを刻むが、本作で奏でるパートは歌(歌詞)のみであり、歌っていない場面ではノーツは一切流れない。わかりやすく言えばカラオケで歌うのと同じである。
低年齢層向けを志向しているようで、作中では曲名以外に漢字は使用されておらず、取扱説明書や公式サイトでも全ての漢字に読み仮名が振ってある。
ストーリー
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本編とほぼ無関係なので格納
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人気急上昇中のスイートなアイドル「K-SUKE」と「なっつん」は世界を股にかけてツアーを行っていた。
実は二人には秘密があった。「K-SUKE」と「なっつん」はお菓子の国からやって来たお菓子の精だったのだ。
二人の甘くて魅力的な歌は、まるでお菓子のように人々を幸せにするのだった。
ある時、お菓子の国に食いしん坊カエルの「たっちぃ」が大繁殖。
このままではお菓子と歌が大好きな「たっちぃ」によって国中のお菓子が全部食べられてしまう。
このピンチの知らせがツアー中の二人の下へ届く。
「たっちぃを歌で誘き寄せて捕まえよう!」という作戦を考えた二人は、
ライブや歌番組を通じて知り合った世界中の仲間達と共に、お菓子の国に舞い戻るのだった。
(取扱説明書より)
上記のようなバックストーリーが一応存在するのだが、ゲーム中には特に会話デモやエンディング等も無いためほとんど意味はない。
これについては本家ポップンでも(一部のストーリー性の濃い作品を除いて)同様である。
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特徴
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本作はニンテンドーDSの本体を横に持って遊ぶ。
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右側の画面(タッチスクリーン)には譜面が流れ、それをタッチやスライドすることで演奏を行う。左側の画面にはグルーブゲージやスコア、担当キャラクター、楽曲の歌詞といった様々な情報が表示される。
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これは標準設定の場合であり、タイトル画面で「左利き用」を選択すると左右の配置を逆にすることもできる。
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音ゲーとしてのシステム自体は「降ってくるノーツが判定エリアに重なったらタッチ又はスライド」という、いたってシンプルな内容。
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判定は「イェー」「まぁね」「ブー」の3種類。名称は違うがそれぞれ本家で言う「GREAT」「GOOD」「BAD」判定と思っていい。
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もちろんポップンなので判定に応じて左画面のキャラクターがアクションを行う。アクションはふつう(ニュートラル)、まぁね(GOOD)、イェー(GREAT)、ブー(BAD)、かち(WIN)、まけ(LOSE)の6種類。本家のFEVERアクション・FEVERWINアクションに相当するものはない。
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登場するノーツは4種類。普通にタッチする赤いノーツ「たっちぃ」、タイミング良く上方向へ弾く黄色いノーツ「はねっちぃ」、終点までタッチし続ける青いロングノーツ「のびっちぃ」、タッチではなく終点まで擦り続ける緑のロングノーツ「こすっちぃ」。
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クリアの成否は本家ポップン同様のグルーヴゲージ方式を採用。ただしゲージは13目盛りと本家より短く(本家は24目盛り)、クリアボーダーは10目盛り、クリアゾーンの長さは4目盛りとなっている(本家はそれぞれ17目盛り/8目盛り)。
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譜面は1レーン、3レーン、5レーンから選べ、それぞれ「かんたん」「むずかしい」の二種類が用意されている(1レーンのみ「かんたん」しか選べない)。パッケージや解説書のプレイ画面から、おそらく3レーンが標準と思われる。
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難易度は☆の数で表示され、最大は☆5つ。
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具体的なBPM表記は存在せず、「ゆったり」「ふつう」「はやめ」「めちゃはや」の4種類のみ。スクロール速度が変化する譜面は存在しない。
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Hi-SPEEDやHIDDEN/SUDDEN、RANDOM/S-RANDOMといったプレイオプションの設定もない。
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楽曲の解禁は演奏後に入手できるポイントを消費して購入するシステム。必要ポイント自体は少なめだが、コナミオリジナル曲は版権曲に比べ必要ポイントが多め。
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ゲームモードは「シングル」、複数人で遊ぶ「ワイワイ」「ダウンロード」の三つ。加えてオートプレイ機能やキャラクターアクションの閲覧が行える「おまけ」が存在。
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当時推していた「DSダウンロードプレイ」も利用可能。
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メインモードとなる「シングル」は更に「キャンペーン」「フリープレイ」の二種類のモードが選択可能。「キャンペーン」はステージクリアすると楽曲解禁用のポイントを入手でき、同時に隠し要素解禁のチャンスであるスクラッチを行うことができる。演奏で高得点を記録した場合はレアなスクラッチカードが出現することがある。
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一方「フリープレイ」は好きなキャラクターを選ぶことが可能な代わりにポイントが入手できず、スクラッチも出ない。
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キャラクターは新キャラクターを含む全24名が登場。
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登場キャラクター
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カッコ内は本家で登場したシリーズ。太字は新規。
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デフォルトで選択可能
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K-SUKE(初登場)
、
なっつん(初登場)
、タイマー(16)、ホワイト・メリー(13)
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スクラッチで出現(隠しキャラ)
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ビーくん(14)、カジカ(11)、ハヤト(9)、ナカジ(13)、翔(14)、フロウフロウ(15)、鹿ノ子(15)、かごめ(16)、ニッキー(14)、アイス(13)、ピエール&ジル(16)、リエちゃん(8)、六(6)、シャルロット(14)、スペース・マコ(10)、ロッテ(CS13)、リサ(16)、リゼット(7)、
ニャミ(オリジナル)
、
ミミ(オリジナル)
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評価点
楽曲について
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収録されている楽曲は版権曲が中心。
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「絶望ビリー」「亡国覚醒カタルシス」「全力少年」といった他機種には収録されたものの本家には収録されなかった版権曲がいくつか収録。「残酷な天使のテーゼ」「創世のアクエリオン」「ブルーバード」など、本家に収録された版権曲も一部収録している。
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「撫子ロック(凛として咲く花の如く)」「ハイスピードラブソング(HIGH SCHOOL LOVE)」「フロウビート(CURUS)」など本家の人気曲も収録。
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本家に先駆けてDDRより「GIRIGILI門前雀羅」を収録(本家でも後に『19』で移植)。またIIDXからの移植曲「NoN-Fiction Story」は本家には現在でも未収録であり、本作の独自性とも言える。
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本作の楽曲はボーカルこそカバーあるいは本家の物を使用しているが、ハードの都合なのか全てニンテンドーDS音源でアレンジされている。
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その為、音源こそDS相応のチープさが目立つが、それが本家シリーズとは違った趣向のアレンジという事もあってか「むしろいい」と一部のファンから支持の声がある。
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本作の版権カバーなどボーカル曲の一部は現行ポップンのSDであるPONとDJ YOSHITAKA、SOUND VOLTEXのSDを務めるポップンスタッフのcodyによるユニット「ビンビンWAVES」が担当。
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その為、本作はPONがボーカルを務めた楽曲が多く収録されているのだが、氏が本格的に本家ポップンで台頭する事になるせんごく列伝以降のバージョンが家庭用機種に移植されてない事からか、本作はCSシリーズにおける氏の活躍が見られる作品として稀少価値もある。
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codyは後に発見!よみがえったBEMANI遺跡での「KHAMEN BREAK」で作曲を経験する事になるが、作品自体の知名度こそ非常に低いものの楽曲参加について語るには本作を欠かす事は出来ないだろう。
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他、彼らのボーカル曲全体の雰囲気としても全体的ににぎやかで、ある意味では2011年以降のBEMANI機種で隆盛する事になる「VENUS」曲といった「BEMANI芸人」らしさを押し出した楽曲群を先取っているとも言える。
その他の評価点
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本家から「かごめ」「タイマー」「ナカジ」「フロウフロウ」「鹿ノ子」「ロッテ」「ハヤト」といった比較的人気・知名度が高いキャラクターが登場。
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「フロウフロウ」は何故か通常カラーではなく3Pカラー(AC15「オービタリックテクノ」仕様)を起用するという意外なチョイス。
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おまけとしてキャラクターのアクションのみをじっくり見られるモード(本家で言うキャラクターガイド)も搭載している。
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ロングノーツの採用。
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この点は他の派生作品の多くでも当てはまる事だが、本作の発売当時は派生作品の『ミッキーチューンズ』を除いてロングノーツを採用した作品が存在していなかったため、ポップンで長押しが出来るというのは貴重だったとも言える。
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画面上に歌詞が表示される。
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全てひらがな表記ではあるが、画面に歌詞が表示されるのはポップン派生作品のアニメロシリーズ以来。
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また、歌詞は譜面とは別画面の方に表示されるため邪魔にもならない。
問題点
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低年齢向けを謳っている割に難易度が高い。
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本家と比べ、グルーヴゲージの仕様がシビア。本作はゲージが短くなったことで、絶対的なゲージ増加量やクリアゾーンの目盛り数が本家より少なくなっている。にもかかわらず、演奏開始からクリアボーダーまでの目盛り数や、ミスした際のゲージ減少量は、本家とほとんど変わらない。御丁寧に見逃しBADでゲージ2目盛り減少という仕様まで共通しているため、わずかな油断が命取りになる。
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判定もやけに厳しい。たとえ本家の上級者でも、なめてかかろうものならGOOD判定が大量発生し、ガタガタなスコアが記録される。
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ノーツの内「はねっちぃ」の反応がかなり悪く、誤反応による見逃しBADや空BADが発生しやすい。そのためはねっちぃが多い(「ブルーバード」等の譜面)と難易度は加速度的に上がり、フルコンボともなればもはや苦行である。
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はねっちぃだけでなくロングノーツ二種の反応もイマイチであり、誤反応でのBADが出やすい。
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譜面は数種類用意されているが、レーンの少ない譜面は基本的に5レーンの譜面をレーン数に合わせ圧縮しているだけである。
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そのためレーン数を減らすとノーツの感覚がさらに狭くなり、はねっちいの誤反応がさらに猛威を振るうことになる。
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キャラクター関連の問題点
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キャラクターが画面上に1体しか表示されないため、キャンペーンモードでは楽曲の担当キャラクター、フリープレイモードではプレイヤーの選択したキャラクターしか登場しない。
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キャラクター数は24名と少なめ。しかもフリープレイでは初期状態で使えるのは主人公二人を含む4名のみで、残りはクリア後のスクラッチで引き当てないと使えない隠しキャラ。このため目当てのキャラが中々出てこない場合も。
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収録楽曲数よりも少ないためいくつかの曲ではキャラが使いまわされており、本家ポップンの収録曲でも担当キャラが変わっているものもある。
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一応キャンペーンモードでは未解禁の隠しキャラも担当曲を選べば一時的に使用できるのだが、この場合は選曲が固定されてしまう。
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本家で言う2Pカラーも存在しない。デフォルトが本家の1Pカラーでないフロウフロウや、カラー変更で別のキャラクターになるロッテも、他の色に変えることはできない。
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新規描き下ろしキャラも主人公二人組の「K-SUKE」「なっつん」のみ。「ミミ」「ニャミ」は新規衣装でこそあるが、『16』のグラフィックを改変して作られており、完全なオリジナルではない。
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しかもこの4人はキャンペーンモードでの担当曲を持っていないため、アクションが見られるのはフリープレイのみとなる。
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一部のキャラクターアクションが手抜き。
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容量の問題か、本家でのアクションがすべて移植されず、無関係なアクションを使い回しているキャラクターが多く見られる。
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まぁね(GOOD)アクションとイェー(GREAT)アクションが全く同じ、ブー(BAD)アクションとまけ(LOSE)アクションが全く同じ…という、やたらとアニメ数が少ないキャラクターも存在する。
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また、「かごめ」の動作が全体的に高速化していたり、「アイス」のブー(BAD)アクションに本来のLOSEアクションが流用されているなど、謎の改変も見られる。
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ただしアイスに関しては、本来のBADアクションが少々過激な表現なので、低年齢向けということを考慮して変更したとも考えられるが。
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DSの解像度の関係でアニメ自体にも粗があり、やや線のギザギザが目立つ。
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前述の通り、楽曲は版権曲が中心となっており、コナミオリジナル楽曲は少なめ。加えて楽曲数自体も少ない。
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本作オリジナル楽曲は「星空に誓うロマンス」「エンプティマイハート」と、たったの二曲しかない。
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版権もすべてカバー版で、本人歌唱はなし。本作のCMソングであった「Dreamin'」もCMで歌っていたステレオポニー本人ではなくカバー。
総評
評価できる要素はあるものの、結局のところ「駄作揃いのポップン外伝作の一作」という程度の扱いである。
当時はBe-Mouse、ビートン、Wiiポップンといったパッとしないポップンの外伝シリーズを乱発し続けていたが、本作もその内の一作として大して注目されることもなく埋もれることとなった。
その後の展開
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本作のオリジナル楽曲二曲は後に『ポップンミュージック19 TUNE STREET』にて移植された(「星空に誓うロマンス」は「スターヒロイン」、「エンプティマイハート」は「アイドルウェーブ」というジャンル名)。
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ただし移植されたのは楽曲のみで、本作の新規書き下ろしキャラクターであったK-SUKEとなっつんは登場せず、それぞれアイスとミミの使い回しで済まされてしまった。加えて譜面難易度も低かったため、攻略面でも注目される事は無く、全くと言っていいほど話題にならず埋もれるハメに。
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もっともキャラクターに関しては、単純にK-SUKEとなっつんがマイナーな存在である上、仮に本家で登場させようとする場合は解像度とアクション数の少なさから描き直しを余儀なくされるため、「わざわざ登場させるほどの価値がない」と判断された可能性も否定できないが。
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また、元々本作でのK-SUKEとなっつんは「プレイヤー専用キャラクター」であり、キャンペーンモードでの「エンプティ マイ ハート」の担当キャラは本家と同じくアイス、「星空に誓うロマンス」のキャラは8のリエちゃんの使い回しだった。そのためオリジナルキャラクターの二人が登場できなかった事は残念だが、移植としては問題があったわけではない。
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DDRからの移植曲だった「GIRIGILI門前雀羅」も、同様にAC版『19 TUNE STREET』にて「ミクスチャンポン」のジャンル名で移植。ただし、こちらはうたっちからの移植扱いにはなっておらずCSカテゴリにも含まれない。
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ミミとニャミについても、アクション数や解像度の都合で本家にはうたっち版衣装が移植されていない。
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一方、本作のオブジェクトを務めていた「たっちぃ」についてはオリジナル楽曲移植の際にキャラクター背景画像としてさり気なく登場し、『ラピストリア』のスミレのWinアニメではアゲハら他のCS版出身キャラに混じってゲスト出演を果たしている。
またも主役キャラを差し置いての登場である。
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本作で結成されたDJ YOSHITAKA、PON、codyによるユニット「ビンビンWAVES」はスマホアプリ『ポップンリズミン』の書き下ろし曲「Rhythm in Pocket」の歌唱も務めた。
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もっとも、2014年6月7日に開催されたイベント「ポップンミュージック感謝祭」にて楽曲が発表された際には、初出作品である本作の知名度が低い事も相まってか、ビンビンWAVESの事を同曲の為に結成されたユニットと勘違いしたファンも非常に多かったとか。
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こちらの楽曲も後にアーケード版『ポップンミュージック éclale』にて移植されている。
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2021年に配信されたiOSアプリ『jubeat』におけるカバー版権曲は各BEMANIで過去に制作されたものから多数採られており、その中には今作の物も流用されている。
最終更新:2022年12月01日 17:00