世界の果てまでイッテQ! 珍獣ハンターイモトの大冒険

【せかいのはてまでいってきゅー ちんじゅうはんたーいもとのだいぼうけん】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売元 カムイ
開発元 スカラベスタジオ
発売日 2010年5月27日
定価 5,040円(税5%込)
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 クソゲー
ポイント マラソンゲーム
忠実性が全くない
全体的にいい加減な作り
日本テレビ関連作品リンク


概要

「珍獣ハンターイモト」とは、お笑い芸人のイモトアヤコをメインキャストに据えた、日本テレビ系列の人気バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』のコーナーのひとつ。
世界各国を訪問し、その国に生息する珍獣を発見・生態のリポートをする。またこの流れに付随して、国の情勢・文化、国有民族の生活を紹介し、レジャーも楽しむという内容となっている。

本作は、このイモトたちの活躍をアドベンチャーとミニゲーム集の体裁でゲーム化したものである。

あらすじ

世界旅行をキャンセルされて落ち込んでいる子供のために、世界珍獣図鑑のプレゼントを約束してしまったイモト。
後に引けなくなったイモトは、彼女の境遇を理解してくれたプロデューサーとともに珍獣さがしの旅に出発した。

ゲームの流れ

  • 端的にいえば、イモトを走り回らせて各所を調べまわるゲーム。
    • 最初からすべての地域に行けるわけではなく、現状で行ける村の村長の指定する珍獣を発見するといった流れを繰り返し、村長に認められると新しいエリアに行けるようになる。
    • 収録されている珍獣100種中、80種を見つけることがこのゲームの目標。
    • その他にも、地域ならではの絶景、イモトの冒険を助けるアイテムを発見できる。
      • 発見したものは図鑑に掲載される。(珍獣:100種、絶景:30種、アイテム:100種)

操作方法

  • イモトの操作
    • 十字ボタンで移動する。斜め移動にも対応している。Bボタンを押している間はダッシュする。
    • マップに転がっている「?」「Q」マークではイベントが発生する。調べる必要はなく触れるだけでいい。
  • マップの見方
    • 上画面は常に地域全体を示したおおまかなマップとなっている。
    • イモトの現在地、村の位置、村長と話している場合は指定された珍獣のいる位置がざっくりと示される。
    • 下画面左上の方位磁針のN極は、「?」マークや「Q」マークが近くにある場合にその方角を指し示す。
  • 集落
    • フィールドにひとつだけ存在する。ゲームを進めるためにはここにいる村長と話をしなくてはならない。
    • 周囲の村人に話しかけると、珍獣・絶景の噂が得られる。また時折ミニゲームを挑まれることがあり、勝利するとQポイントを得られる。
    • ターザンと商人はランダムで駐在している。アイテムの売買もここで可能。
    • 通路をふさぐ村人がフィールドにいることがあり、どいてもらうには村長の示した珍獣を発見する必要がある。
  • イベント
    • 珍獣、絶景に遭遇、アイテムの取得、Qクイズ等のミニゲームが発生する。
      • 珍獣やアイテムは同じものを何度も拾うことがある。絶景に限り一度きりしか発見できない。また発見できるポイントも概ね固定されている。
  • Qポイント
    • 本作の世界における通貨。
    • 入手方法はアイテムの売却、2回目以降の珍獣発見、ミニゲームで好成績を収めるなど。
    • 世界中の村と売買ができるほか、ターザンに必要なQポイントを支払うことで、アイテムおよび村長の依頼に登場する珍獣以外であれば即座に発見してもらえる。
  • アイテム
    • 上記のアイコン調査やミニゲームの報酬で得られる。
    • 金策として売るという使い道が一般的、一部珍獣との対決のミニゲームで、イモトをパワーアップさせられる消費アイテムもある。
  • Yボタンでメニューを開ける
    • セーブはここで行う。
    • 珍獣、絶景、アイテムの図鑑がみられる。
    • 別の地域へ移動することができる。

ミニゲーム関連

  • 探索に加えて本作では時折、タッチペンやマイクを用いたミニゲームがはさまれる。
    • 大きく分けて村人との対戦、珍獣との対決、Qクイズの3種類。
      • 一部の珍獣はマップ上で発見するだけでは図鑑に載せられず、出会ったうえでミニゲームで対決し勝つ必要がある。種目は徒競走だったり、綱引きだったり。またバンジージャンプしてつかみあげるという謎の競技をすることも。
      • またこの例に該当する珍獣を見つけることでゲーム開始時のメニュー画面からいつでも対応したミニゲームが遊べるように。通信対戦にも対応。
  • ハンターランク
    • 金色のQマークを調べると高確率で「ハンタークイズ」が出題される。
    • 1回につき3問の3択クイズが出題される。出題内容は(一部例外があるが)ゲーム中に発見した珍獣にまつわるもの。
      • 珍獣図鑑に答えが書いてあるものばかりではなく、番組内容を細かく覚えていないと答えられないものもある。
    • ミニゲームのハンタークイズという問題の総正解数に応じてハンターランクが上昇していくが、このランクを一定以上にしておかないと、村長に珍獣を紹介してもらえない。

問題点

原作との比較

  • 明らかに原作企画よりスケールダウンしている
    • テレビ番組のゲーム化ということで、権利などの諸事情で完全再現は難しかったのだろうが、来訪する国の地理や情勢についてまるで触れられていない。
    • 現地の名産品はアイテムとして手に入るが、こちらも版権にひっかかったのかイラストで説明するのみ。紹介文は珍獣以上にざっくりとしており、どこの国の名産品かわからないどころか実在するかどうかも怪しい仕上がりになってしまっている。
    • 個人の感性にもよるだろうが、画質や画面の大きさの関係から、絶景の写真も正直微妙な出来なものが多い。
  • 珍獣の説明
    • 珍獣の説明は長くて80文字。生息地域も非常にざっくりとしている。世界地図の範囲に色を塗るなどしてもよかったのではないか?
      • 生息地域や環境についての言及もほとんどない。住んでいる国について本当にざっくりと述べられているだけ。上記の国家情勢や文化と異なり、版権に関してそこまで制限がなかったはずだが。
    • イモトが出会ってきた珍獣には、人間に保護された個体というのも存在する。イモトが出会った場所の再現を優先したのか、本来の生息地(図鑑で紹介している地域)と違う場所で会うこともある。
      • ベンガルトラの白化個体であるホワイトタイガーが、アフリカの保護施設で飼育されていたというくだりが原作にあった。そのため、ホワイトタイガーはアフリカで遭遇できるのだが、こちらも全くベンガル地方にいないわけではないし、図鑑でもきっちりアジア地域に生息していることになっているため違和感が強い。
      • 何の変哲もない「ヒグマ」が南アメリカに出てくるが、これに至っては単なるミスにしか見えない。
  • マップ設計が拙い
    • イモトで探索することになるマップは、ターザンがいたりもはや架空のものになっている。
    • イベントが単調な割にマップ構造が無駄に入り組んでいるので、ゲーム中は意味もなく彷徨う事態が発生する。特に終盤。
      • イモトのおおまかな位置と拠点となる村の位置がわかるのだが、いまいる地形をつぶさに確認する手段がないため、余計迷いやすくなっている。
    • 水のないところで水棲生物に出会える、緑が生い茂っているところに砂漠の生物が出現する、立派な建物の絶景のすぐ隣にその建物がみられる国には住んでいない生き物がいるなど、現実味のない配置も往々にして起きているので、珍獣を探す楽しみもへったくれもない。同じ珍獣があちこちにいることもあり、珍獣ですらない場合も。
    • 分布があまり厳密でないにもかかわらず、本作で取り扱うアジア地域は東南アジア限定。名所や珍獣生息数の兼ね合いもあったのだろうが、イモトが訪れた国の数や生物の数でいうなら決してスケールの小さな地域ではないため、なぜこのようにしたのか疑問。
  • イモトの喋り方
    • アイコンに触れた時のコメントがショボい。番組で言いそうなことをそのまま再生しているだけなので、状況的にかみ合っていない。
    • 若干早口で滑舌が悪いので、そもそも何を言っているのかわからないといった事態も。

1つのゲームとして

  • クイズの設計
    • 基本的に発見した珍獣から出題するような工夫はうかがえるがいい加減なところもあり、一匹も珍獣を発見していないにもかかわらず、ハンタークイズさせられることもある。
      • また、番組を見ていないと(というか番組内容を詳しく覚えていないと)答えられないトリビアクイズもあり、ゲーム中の珍獣図鑑にもその答えが載っていないことも多い。
    • クイズも総合問題数が少ないのか、さきほど出題されたものと全く同じものが問われることも頻繁に起こる。
    • 信憑性が怪しい出題もちらほら存在する。(以下例)
      • クモ、ムカデを昆虫類の括りにしている。
      • 「肉食動物に襲われたヌーがどんな行動をとるか?」に対して「逃げる」という選択肢があるにもかかわらず、「戦う」を正答として答えさせる*1
    • イモトも珍獣クイズに遭遇した時に、うんざり感がひしひしと伝わってくる語気で「え、またっすか?」「えー、またー?」とコメントする。この嫌がっている加減がプレイヤーの耳に毒となっている。
  • ミニゲームの設計
    • ゲーム開始画面で今まで経験したミニゲームを遊べるのだが、一度イモトによる探索モードをロードしてしまうと、最初の開始画面に戻るためには一度DS本体の落とす(3DSならソフトを終了する)必要がある。
    • 村人とできるミニゲームが本作攻略に特に意味をもたらしていない。開始時のチュートリアルでは、「村人の通行止め突破に必要」のようなことを言っているが、実際そんなことはない。
    • 村長以外の村人に話しかけなければ、特にミニゲームをやることなく本編を進められてしまう。
  • 珍獣にまつわるミニゲーム
    • 上記のとおり、散々目で確認しただけで登録できる珍獣がいたのにもかかわらず、対決方式のミニゲームをクリアして、何かしらの方法で打ち負かさないと図鑑に載せられない珍獣がいる。
    • そのうちロクな操作方法をしているのは綱引きぐらい。その他のゲーム(100m走、バンジーキャッチャー)はひたすら連打するだけである。
    • バンジーキャッチャーは、「珍獣を目視したのちに珍獣の真上からバンジージャンプで落下し、その珍獣を背中から掴みあげると図鑑に載せることができる」という名目だが、なぜバンジージャンプをする必要があるのか、どこから飛び降りるのか…、等もはや突っ込みが追いつかない
    • 珍獣によってはアイテムによるドーピングがないとマトモなクリアが不可能という場合すらある。
    • 2回目以降の遭遇でもミニゲームをやらされる(スキップ不能)。イベントのアイコンに触れてみないことには何が起こるかわからないため、こういったミニゲームを意図的に回避することはできない。
      • バンジーキャッチャーは放置でもいいが、100m走はイモトがゴールインしないと次の画面に進まない。
  • 総じて単調すぎる
    • ミニゲームの問題ばかり挙げたが、本作でやることは陳腐な2Dマップをひたすら右往左往しアイコンにさわるといった作業が7割方を占める。やっていて苦痛になるレベル。
    • イケてるハンター(正解数60)から人気ハンター(正解数130)、超国民的ハンター(正解数210)になるまでが地味に長い。
    • あまりにも同じようなことが続くので、さほど長くないクイズの待ち時間ですら気になってしまう。そんな状態で、スキップ不能のミニゲームを強要してくる珍獣に出遭った日には目も当てられない。
      • しかし、ハンターレベルの仕様から単に集落に出向いて目的地に行くというプレイも不可能。なるべく寄り道をしないようにしていると、ハンタークイズから逃げてきた分のツケを清算する(寄り道を繰り返し、珍獣クイズに挑み続ける)ことになる。
    • 80匹目の珍獣を見つけた時のエンディングの内容には、プロローグを反映したそれなりの感動要素があるのだが非常に内容が淡泊。また形式上はムービーが途端唐突に挿入されるというもので手抜き感が否めない。
      • 必ず80匹目は最後に訪れることになる南アフリカ地域で発見することになる。それを考慮してか、最後の村では村長からの依頼動物は一頭だけなのだが、コツコツと珍獣を見つけるプレイスタイルをとっていると、タイミング的にその依頼の遂行途中というなんとも間抜けなことにもなりかねない。
    • ターザンと商人は入った時に確率でいるかいないかが決定するが、会いたいなら何度でも入りなおせばいいので、あまり障害として機能していない。
    • また、なぜか村にいるときはセーブできない。
  • BGMは悪くはないが…
    • BGMはイモトのテーマとして知名度が高い『破壊魔定光のテーマ』は基本的にルール説明の時に流れるのみ。ループも20秒程度と短め。
    • 各地域に別々のBGMが用意されている(ただしアフリカの北部・中部・南部は共通BGM)。探索の邪魔にならない程度に主張がひかえめではあるが、これといってほめることもできない出来ともいえる。

評価点

  • 小ネタ
    • 各回に出てきたアイテムの再現が一部にみられる。しかし、拾う内容があまりにもマニアックなので、番組をきっちり見ていないと伝わらないネタも多い。かといって元ネタがわかったからという感動もないのが現状。
    • ハンタークイズに出題される「珍獣の特異な生態」に関連する問題は、場合によってはためになる知識だったりする。
  • 美術点
    • 特筆すべきレベルではないが、イモトを表現した2Dキャラはそこそこかわいいかもしれない。
    • しばらくイベントもないまま探索を続けていると、イモトが探索地を反映した台詞をつぶやく。なかなかバリエーションに富んでいる。
    • ボリュームには全く恵まれてはいないが、プロローグとエピローグのお話自体はきれいな雰囲気でまとめることに成功している。
  • マシなミニゲーム
    • 珍獣との綱引きおよび村人との棒倒しが、DSのミニゲームとして楽しめなくはない。
      • 綱引きは攻防にターンが分かれており、攻撃時には綱をイモト側に何度もこするようにタッチすることで引ける。防御時には綱の指定された範囲をタッチペンで押さえつけることで踏みとどまれる。
      • ゲージを左右移動するメモリを止めて、棒を下で支える砂山の砂を「どこから・どれだけ」取り去るかを決定する。取った砂の量・棒を倒したペナルティで勝敗が決まる。
  • 細かい親切設計
    • いつでも地域からジャンプする機能、およびターザンのシステムのおかげで、ミニゲームや道に迷って発見できないといった詰み要素は発生しない。

総評

本作も世間にはよくある、「テレビ番組を原作としたクソゲー」の典型例である。
ゲームの大半が「ただ即席で作ったようなマップをあてもなく走り回る」といった内容であり、教育要素もの欠片もなければ制限があるなりに原作内容を活かそうとする努力の跡すらも見られない。
時折はさまれるミニゲームはマンネリを打破するどころか、手抜きが垣間見えるようなストレスがたまる操作方法・設計。とにかく制作陣のやる気を感じられず、番組の熱心なファンでどうしても欲しいというのでなければ買うものではないだろう。


余談

  • 芸人のイモトアヤコは、本作の前年に同じくニンテンドーDSタイトルの『怪獣バスターズ』のTVCMに出演していた事があった。
    • もっとも、そちらの方は宣伝内容はともかく非常に出来が良いと好評で、イモト本人のホーム番組のゲーム化がこのような酷い出来という事もあってか皮肉とも言うべき結果であった。
+ タグ編集
  • タグ:
  • DS
  • 2010年
  • ADV
  • 日本テレビ

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最終更新:2020年11月19日 01:56

*1 状況にもよるが、ヌーはライオンから逃げ切れる可能性が十分ある